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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W41
管理番号 1301742 
審判番号 無効2014-890055 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-07-23 
確定日 2015-06-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5552907号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5552907号商標(以下「本件商標」という。)は、「ホスピタリティー&ブライダル専門学校」の文字を標準文字で表してなり、平成24年7月23日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、同年12月17日に登録査定され、同25年1月25日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 無効理由
本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、同法第46条第1項第1号により無効にすべきものである。
2 無効原因
(1)被請求人(商標権者)は、東京都江戸川区に本拠を置く学校法人滋慶学園の傘下の滋慶学園グループに属する1996年設立の学校法人であり、福岡デザインコミュニケーション専門学校、福岡スクールオブミュージック専門学校、福岡医健専門学校、福岡エコ・コミュニケーション専門学校、福岡キャリナリー製菓調理専門学校、仙台コミュニケーションアート専門学校及び仙台医健専門学校の運営主体とされている。
また、被請求人は、滋慶学園グループの中で最初の観光・旅行・ホテル・ブライダル系の専門学校として、2014年4月に「福岡ホスピタリティ&ブライダル専門学校」を開校している。
したがって、被請求人による本件商標の登録はそのための準備であったと推測される。
(2)請求人は、1973年に学校法人森谷学園として設立され、2007年に現名称に変更された学校法人であり、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校」(東京都中野区。以下「請求人校1」ということがある。)、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪」(大阪市西区。以下「請求人校2」ということがある。)、「大阪ブライダル専門学校」(大阪市西区。以下「請求人校3」ということがある。)及び東京ブライダル専門学校の運営主体である。
これらの内、請求人校1は、1973年にトラベルジャーナル旅行学院として開校された後、1980年にトラベルジャーナル旅行専門学校に校名が変更され、2007年に現校名に変更され現在に至っており、旅行系の専門学校では最古参であると共に、現校名となる2007年以前から関東圏における観光・旅行・ホテル・ブライダル系の専門学校としては最大手としての地位にある。
また、請求人校2については、1981年に大阪トラベルジャーナル旅行学院として開校された後、1986年に大阪トラベルジャーナル旅行専門学校に、1994年にトラジャル旅行ホテル専門学校にそれぞれ校名が変更され、2007年に現校名に変更され現在に至っており、東京側の請求人校1と同様に、現校名となる2007年以前から関西圏における観光・旅行・ホテル・ブライダル系の専門学校では最大手である。
請求人校3は、2011年4月に、東京ブライダル専門学校は2013年4月に、それぞれ請求人校1及び2の各ブライダル科を独立させる方式で開校され現在に至っているが、各校は開校当初から関東圏と関西圏のブライダル系の科目を有する専門学校(ブライダル系のみの専門学校も含む)の中では入学者数において最上位レベルにある。
(3)請求人は、前身の専門学校のインターネット上のウェブサイトを引き継ぐ方式で、2007年4月以降、請求人校1及び2の各ウェブサイトをそれぞれ独自に運用して入学生の募集や情報・資料の提供等の広告・宣伝を行ってきている(甲2、甲3)。また、請求人校3についても、2011年4月の開校以来、インターネット上にウェブサイトを設けて前記と同様に入学生の募集や情報・資料の提供等の広告・宣伝を行っている(甲4)。
(4)請求人は、前記のようなインターネット上のウェブサイトを通じた広告・宣伝と並行して、各専門学校として小冊子、チラシ(DMで配布)やDVD等の多種多様な媒体を頒布することによる広告・宣伝も行っている(甲5)。小冊子「Campus Life」は5月から8月の各月毎に発行されており、チラシ類については少なくともほぼ毎月何等かの情報発信のために発行されている。
また、請求人は、毎年、入学案内書や募集要項を作成し、入学年度の前年の5月頃から前記ホームページを通じての資料請求者や来校者に配布している(甲6?甲8)。
さらに、リクルート進学ネット(リクナビ進学)はインターネットにおける大学・短期大学・専門学校の進学情報サイトの中で最も人気があるサイトであり、リストアップされる学校の表示順序は各校の情報掲載量の大きさによって設定されるようになっているが、請求人は請求人校1ないし3についての掲載情報量を2011年以降現在まで常に高く維持するように努めており、専門学校の検索結果において常に高位の順序に掲載されるようにしており、300件程度の該当専門学校群の中で請求人校1及び2は常に4、5番目以内に掲載されると共に両校の内の何れかが最上位になっており、請求人校3についても最初の検索結果表示画面内に含まれる20番目以内を維持している(甲9)。
(5)このような様々な広告・宣伝と各校の充実した運営実績により、請求人の各校は常に安定した入学者数と卒業者数を維持し、高い就職率に基づいて長年に亘り多数の卒業生を旅行・観光・ホテル・ブライダル業界に送り出してきた(甲10、甲11)。
(6)請求人校1及び2の両校は、請求人による以上のような運用実績に基づいて、上記したように、旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に係る専門学校としては老舗で最大手の専門学校であるとの評価を得ており、それぞれ関東圏及び関西圏において高い知名度を有している。
請求人校2はテーマパーク、トラベル及びホテルの細目分野において学生数の比率が圧倒的に高く、また請求人校3はブライダルの細目分野では抜きん出た比率を保持しており、請求人校2及び3は、少なくとも本件商標の出願時及び登録査定時において、エアラインやエアポートの細目分野以外の旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に係る関西圏の専門学校の中で極めて人気の高い専門学校としての地位を有している(甲12)。
また、請求人校2の観光学科(昼・夜間部)の各コースは、2009年度に大阪府や大阪府教育委員会、社団法人大阪府専修学校各種学校連合会、大阪商工会議所、労働局などで構成する推奨委員会の審査を経て、推奨される大阪発「産学接続コース」として推奨を受け(甲13)、それ以降も本年に至るまで毎年連続して推奨を受け続けており、請求人校3においても、前身である請求人校2のブライダル科の実績に基づいて、開校した2011年以降同様に連続して「産学接続コース」として推奨を受けている。
(7)このように、請求人校1及び2は、本件商標の出願時及び登録査定時において、旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に係る専門学校として、少なくとも関東圏や関西圏では既に高い周知性を有していた。
そして、本件商標の出願時以前において、「ホスピタリティ」の語を校名に含む専門学校は請求人が運営する前記2校しか存在しておらず、その校名の特異性により、前記分野で「ホスピタリティ」から連想される専門学校といえば、直ちに前記両校が挙げられる程度の知名度があった。
また、請求人校3は、2011年に請求人校2のブライダル科を独立させて開校されたものであるが、独立前からの実績を承継しながら関西圏におけるブライダル系専門学校やブライダル科を含む専門学校の中では最大の学生数を維持しており(甲12)、本件商標の出願時においては未だ開校から1年3か月程度しか経っていないが、関西圏におけるブライダル系への進学志望者の中では既によく知られていたことはいうまでもない。
さらに、本件商標の出願時以前において、旅行・観光・ホテル系専門学校とブライダル系専門学校とを独立させて運営している学校法人は請求人以外には存在しなかった。
(8)ところで、請求人は、第41類の「知識の教授」を含む指定役務について、本件商標の出願前に、「ホスピタリティ&ツーリズム」(商標登録第4878177号)、「ホスピタリティ ツーリズム」(商標登録第5187095号)、「大阪ブライダル専門学校」(商標登録第5350283号)及び「東京ブライダル専門学校」(商標登録第5350495号)の商標登録を受けて商標権を保有している。
したがって、本件商標と前記各登録商標とは非類似であり、これに異議を挟むものではない。
しかしながら、上記のように、(a)本件商標の出願時及び査定時において、請求人の「ホスピタリティ ツーリズム専門学校」(請求人校1)、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪」(請求人校2)及び「大阪ブライダル専門学校」(請求人校3)は充分な実績と高い周知性を有していること、(b)専門学校全般を対象としても「ホスピタリティ」の語を含むものは請求人の前記2校しか存在していないこと、(c)旅行・観光・ホテル系専門学校とブライダル系専門学校とを独立に運営している学校法人は請求人だけであったこと、及び(d)請求人校2と請求人校3は独立に運営されながらも募集要項などについては共通の刊行物で行っていることから鑑みると、旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に関する知識の教授を役務とする専門学校の校名として本件商標が使用された場合には、旅行・観光・ホテル・ブライダル系の専門学校への進学希望者や高校教員等の進学被相談者や卒業生の受け入れ企業等が請求人によって運営されている専門学校ではないかと混同するおそれがあり、また請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者によって運営されている専門学校であると認識して混同を生じるおそれがある。
現に、被請求人は「福岡ホスピタリティ&ブライダル専門学校」を2014年4月に開校しているが、TV-CMなどによる同校の広告が開始されると、旅行・ホテル・空港関連の企業や福岡地区の高校から、「請求人が新たに福岡地区に専門学校を開校するのか」との問い合わせが相次いだ。
3 答弁に対する弁駁
(1)無効原因について
ア 無効原因(2)について
被請求人は、請求人校1と請求人校2が、観光・旅行・ホテル・ブライダル系の専門学校において最大手であること、及び請求人校3と東京ブライダル専門学校が、開校当初から関東圏と関西圏のブライダル系の科目を有する専門学校(ブライダル系のみの専門学校も含む)の中では入学者数において最上位レベルにあることを否認しているが、請求人校1、請求人校2及び請求人校3が、本件商標の出願日より前に周知であったことは、甲第9号証から甲第13号証に基づけば明らかであり、特に、甲第10号証及び甲第11号証に見られる実績と、甲第12号証のマーケットポジショニングマップからは、請求人校1ないし3についての周知性を十分に確認でき、甲第13号証では請求人校2についての評価を伺い知ることができる。
イ 無効原因(4)について
被請求人は、「リクナビ進学のサイトでの掲載の順位が高いことが必ずしも知名度や実績がある証拠にはならない」としているが、掲載情報量を常に高く維持するように努めて掲載順位を高く保つことは、常に最初の方の検索結果表示画面に学校名とその情報検索手段が表示されることから、知名度と印象のアップに大きく寄与し、周知性の確保に有効に作用する。
ウ 無効原因(5)について
トラベルジャーナル学園の内部資料で信用性に乏しいとしているが、すべて確認した実数を提示している。
エ 無効原因(6)について
(ア)被請求人は、「甲第12号証は、基礎となる数値について根拠が不明(資料の出所が不明)であり、信用性に乏しい。そのうえ、結局このマップは単に各専門学校等の学生数だけを分野ごとに比較したものであって、請求人による『旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に係る関西圏の専門学校の中で極めて人気の高い専門学校としての地位を有している』との主張には理由がない」と主張している。
これに対して、請求人は、甲第12号証の作成に用いた基礎データ資料として、請求人による大阪府に対する行政文書の公開請求に基づき、大阪府情報公開条例第13条第1項の規定により公開することが決定された「専修学校の平成23年度?25年度における大阪府私立専修学校基礎資料調査様式2『生徒数調』」の写しを公開決定通知書と共に、甲第14号証及び甲第15号証として追加する。
甲第12号証では、各専門学校の学科をテーマパーク、トラベル、エアポート、鉄道、エアライン、ホテル、ブライダルの分野に対応させるように振り分けながら学生数を把握してマッピングしてある。(注:請求人校2及び請求人校3に係る甲第15号証の「生徒数調」については、大阪府へは学科単位での生徒数を申告するようになっているために観光学科/夜間観光学科及びブライダル学科/夜間ブライダル学科としての生徒数のみが記載されているが、前記7分野からブライダルを除いた6分野は請求人校2における観光学科(昼間部・夜間部)に含まれている6科(「学科」の下に細目の「科」を設けている)に対応しており、その各科の学生数に基づいてマッピングを行ってある。)
(イ)被請求人は、「請求人校1及びホスピタリテイツーリズム専門学校大阪について、各ブライダル科が設置されているが、推測するに『ホスピタリティ』の一部としての位置付けに過ぎない」と主張している。
しかしながら、請求人校3は、2011年4月に、東京ブライダル専門学校は2013年4月に、それぞれ請求人校1と請求人校2の各ブライダル科を独立させる方式で開校されて現在に至っており、請求人校3は、本件商標の出願日より1年以上前に請求人校2から独立している。
(ウ)被請求人は、「『ホスピタリティ』という用語が教育や産業で使用されるようになった元祖が請求人ではない」と主張している。
しかし、請求人は、審判請求書においてそのような内容は述べておらず、本件商標の出願時以前に「ホスピタリティ」の語を「学校名」に含む専門学校は、請求人が運営する「請求人校1」と「請求人校2」しか存在していなかったという事実を述べているだけである。
オ 無効原因(7)について
被請求人は、次の主張を行っているが、(ア)及び(イ)については誤りである。
(ア)被請求人は、「大阪学院大学が、平成18年(2006年)4月に『ホスピタリティインダストリー研究所』(HIC)を設立し、平成20年(2008年)4月に『経営学部ホスピタリティ経営学科』を設立し、HIC内に『ホスピタリティ・マネジメント研究会』を設置しており、請求人は、その名称に触発されて学校名を変更したと考えられる」と主張している。
この主張は何の根拠もない憶測に過ぎず、誤りである。
(イ)被請求人は、「請求人の名称である『ホスピタリティ』を名乗る専門学校は、後述するように、現在では多数存在する」と主張している。
しかし、この主張は誤りであり、後述されている記事の中に「ホスピタリティ」を名乗る専門学校は示されていない。本件商標の出願時以前に「ホスピタリティ」の語を「学校名」に含む専門学校は「請求人校1」と「請求人校2」だけしかなく、その後も見当たらない。
(ウ)被請求人は、「ブライダルを名称として有する専門学校も、後述するように現在では多数存在する。」と主張している。
この主張は認める。
カ 無効原因(8)について
(a)については、請求人による「本件商標の出願時及び査定時において、請求人の請求人校1、請求人校2及び請求人校3は充分な実績と高い周知性を有している」との主張に対してこれを否認し、「大阪学院大学の『ホスピタリティインタストリー研究所』あるいは『経営学部ホスピタリティ経営学科』が著名である請求人は専門学校であり、一般論として大学と専門学校間では周知度に差があることが多い。」としている。
しかしながら、専門学校や大学の名称が知識の教授という役務の提供についてそのまま商標的機能を有するのに対して、大学の中の研究所名や学科名は直接的な意味では商標的機能は果たさず、大学自体の教育内容、すなわちサービスの内容を表すに過ぎない。したがって、商標の周知性の論点とは噛み合わない。
(b)については、請求人による「専門学校全般を対象としても『ホスピタリティ』の語を含むものは本件請求人の前記2校しか存在していない」との主張に対して、被請求人は、答弁の中で「請求人の名称である『ホスピタリティ』を名乗る専門学校は、後述するように現在では多数存在する。」と述べながら、この(b)では「専門学校を対象としても『ホスピタリティ』の語を含むものは本件請求人の前記2校しか存在していない点についてはなお調査するが」と述べており、その主張が矛盾しているように、この(b)は否定できない事実である。
(c)については、請求人による「旅行・観光・ホテル系専門学校とブライダル系専門学校とを独立に運営している学校法人は本件請求人だけであった」との主張に対して、被請求人はこれを否認して「請求人のブライダル科は観光学科の一部であり、独立して運営していたとはいえない。又、旅行・観光・ホテル系専門学校とブライダル系専門学校を同一校内で運営している法人は他に多数あった」としている。
しかしながら、請求人校3は、本件商標の出願日である2012年7月23日より前の2011年4月に請求人校2の各ブライダル科を独立させる方式で開校されていることについては、審判請求書で説明しており、請求人が本件商標の出願日より前に旅行・観光・ホテル系専門学校とブライダル系専門学校とを独立に運営していたことは事実であり、被請求人の解釈に錯誤がある。
また、被請求人は、請求人以外の「旅行・観光・ホテル系『専門学校』とブライダル系『専門学校』を同一校内で『独立に』運営している法人」を具体的に示すことができていない。
(d)については、請求人による「請求人校2と請求人校3は、独立に運営されながらも募集要項などについては共通の刊行物で行っていることから鑑みると、旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に関する知識の教授を役務とする専門学校の校名として本件商標『ホスピタリティー&ブライダル専門学校』が使用された場合には、旅行・観光・ホテル・ブライダル系の専門学校への進学希望者や高校教員等の進学被相談者や卒業生の受け入れ企業等が請求人によって運営されている専門学校ではないかと混同する恐れがあり、また請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者によって運営されている専門学校であると認識して混同を生じる恐れがある」との主張に対して、被請求人はこれを否認して「請求人の請求人校1と請求人校2及び請求人校3と東京ブライダル専門学校は、別の校名であり、請求人が両者を峻別するために別の校名を選択したのであり、さらにいえば請求人は両者の混同を危惧して校名を別にしたのである。ここで請求人が主張する本件商標『ホスピタリティー&ブライダル専門学校』と請求人の『請求人校1』と『請求人校2』あるいは『請求人校3』と『東京ブライダル専門学校』は、請求人の理屈から対比すると混同のしようがないことになる。」と主張している。
しかしながら、専門学校名に地名を付ける/付けないにより、また別の地名を付けることにより区別しているのは、単に専門学校の所在地で分別しているだけあり、地名以外の部分は同一であることから当然に経済的又は組織的に何等かの関係がある者によって運営されていると認識され得ることになるが(そのように認識されるという意味では混同が生じる)、事実はその認識のとおりであって、問題となる混同を生じる訳ではなく、混同を避ける意図で両者を峻別するべく別の校名にしているというのではない。一方、請求人によって「請求人校1」、「請求人校2」、「請求人校3」及び「東京ブライダル専門学校」が運営されている状態において、本件商標が使用された場合にも経済的又は組織的に何等かの関係がある者によって運営されていると認識されて役務の提供に関する混同が生じるおそれがあるが、この混同は当事者及び役務の提供を受けるものにとって問題となる。
また、被請求人は答弁書において否認しているが、被請求人「福岡ホスピタリティ&ブライダル専門学校」を2014年4月に開校したときに、TV-CMなどによる同校の広告が開始されると、旅行・ホテル・空港関連の企業や福岡地区の高校から、「本件請求人が新たに福岡地区に専門学校を開校するのか」との問い合わせが相次いだのも事実である。
(2)被請求人の主張に対する弁駁
ア 1(1)について
被請求人は、「請求人の『請求人校1』と『請求人校2』は大阪学院大学の『ホスピタリティインダストリー研究所』を模倣したもので、周知性は存在しない。」と主張しているが、模倣など行っておらず、本件商標の出願時以前において、「ホスピタリティ」の語を校名に含む専門学校は、請求人が運営する前記2校しか存在しておらず、その校名の特異性により、「ホスピタリティ」から連想される専門学校といえば、直ちに前記両校が挙げられる程度に知名度があった。
また、大阪学院大学に「ホスピタリティインダストリー研究所」や「経営学部ホスピタリティ経営学科」が存在していたとしても、商標として機能する専門学校の学校名の周知性とは殆んど関係のないことである。
イ 1(2)及び(3)について
被請求人は、前記のように大阪学院大学に「ホスピタリティインダストリー研究所」や「経営学部ホスピタリティ経営学科」が設けられていることと併せて、2012年当時に「ホスピタリティ」の名を冠する学科を有した大学が多数存在していたことを多数の例を挙げて説明し(専門学校も1校あり)、それ故に「請求人校1」と「請求人校2」の周知性は存在しないとしている。
しかしながら、本件審判事件では、請求人の学校名が商標として周知性を有しているか否かが論点になっているのであって、専門学校や大学の名称は知識の教授という役務についてそのまま商標的機能を有するのに対して、大学の中の研究所名や学科名は大学自体の教育内容、すなわちサービスの内容(知識の教授の内容)を表すに過ぎず、それが商標的機能を果たすとはいい難く、「ホスピタリティ」の名を冠する学科を有する大学が多数存在していたことをもって、請求人の学校名である「請求人校1」と「請求人校2」に周知性がないということにならないことは、上記したとおりである。
請求人の専門学校の学校名には、「ホスピタリティ」や「ツーリズム」や「ブライダル」というような教育内容を象徴する単語が含まれており、他の専門学校においてもそのような傾向の学校名が多いが、学校名に教育内容を象徴する単語を含ませた学校名で生徒・学生を募集・広告することと、教育内容を学科名で示して生徒・学生を募集・広告することとは、商標的機能の観点でみれば本質的に異なる。
そして、大学及び専門学校全般の学校名を対象として、「ホスピタリティ」の語を含むものは、請求人の前記2校しか存在しておらず、その特異性に合せて、甲第12号証に示されるような「請求人校2」と「請求人校3」の規模と周知性を鑑みれば、「ホスピタリティー&ブライダル専門学校」が請求人の業務に係る役務と混同するおそれがあることは容易に推認できる。
ウ 1(4)及び(5)について
被請求人は、2012年当時に「ブライダル」に関連する学科を有していた専門学校が多数存在し、また現在「ブライダル」の語を学校名に含む専門学校が多数存在するとしている。
この事実は認めるが、故に「請求人校3」と「東京ブライダル専門学校」の周知性は存在しないということには結び付かず、甲第12号証に示すように、毎年より多くの生徒数の入学を維持できている「請求人校3」は周知であったといえる。
エ 1(6)について
被請求人は、商標法第4条第1項第15号は一地方のみで周知されている名称であっても該当する場合があるとされているが、地域が異なれば混同のおそれがないとした知財高裁判決(知財高裁平成18年(行ケ)第10438号)の例を挙げている。
しかしながら、甲第11号証の2における出身高校校一覧からも明らかなように、「請求人校2」と「請求人校3」の生徒の半分近くは地方出身者で占められており(昼間部では約4割、夜間部では約6割が地方出身者)、本件のような場合には「地域が異なれば混同のおそれがない」というようなことは当てはまらない。
また、被請求人は、「指定役務の需要者である専門学校に通おうとする者にとって専門学校の選択は人生の一大関心事であって、学科、費用、施設や講師等、専門学校の教育内容の綿密な吟味を行うのが実情と考えられる。そのため、専門学校に通おうとするものは資料を請求したり学校説明会等に参加するなどして適切な情報収集を行うのが通常である。よって、需要者が普通に払うべき注意力を基準として判断すると、仮に、本件商標の指定役務である『技芸・スポーツ又は知識の教授』と被請求人の運営する各専門学校の業務に係る役務として請求人が掲げている『旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に係る専門学校』が関連するものであって、地域的に需要者が重なり合う部分があるとしても、両者において法第4条1項15号の『混同を生じるおそれ』があるとはいえない。」と主張している。
この主張については、専門学校を選択する当事者は18?19歳の若年者であることから、まず端緒として専門学校の学校名とその周知性などから思慮して情報収集を始めるものと考えられ、その情報収集を開始する段階ですでに商標として機能する専門学校の学校名とその周知性が大きく影響し、したがって、「需要者が普通に払うべき注意力」により綿密な吟味や適切な情報収集が最初から期待できることを前提とした被請求人の主張は当たらず、両者において商標法第4条第1項第15号の「混同を生じるおそれ」は十分にあり得る。
その余の被請求人の主張として、「請求人は『ブライダル』を単独で使っており、また『ホスピタリティ』に至っては、『ホスピタリティ ツーリズム』という観光産業を表す『ツーリズム』という別の用語と組み合わせて使用しているのだから、より明瞭に識別可能であって、『混同を生じるおそれ』があるとはいえない」と主張している。
しかしながら、請求人は、もともと本件商標に対して請求人の個別の専門学校名(「請求人校1」・「請求人校2」・「請求人校3」)が類似するとは主張しておらず、無効原因(8)(a)?(d)の条件下においては、本件商標が使用された場合に、請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者によって運営されている専門学校であると認識して混同を生じる恐れがあり、実際にもそのような影響がみられているために、本件審判の請求に及んでいるものであり、この点についても被請求人の主張は当たらない。
以上から、被請求人の答弁は妥当性を欠いており、よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 無効原因に対する答弁
(1)無効原因(1)について認める。
被請求人の属する滋慶学園グループは、専修学校法が施行された1976年、厚生省(現厚生労働省)認可の歯科技工士養成校から始まり、以来38年にわたって、実学教育・人間教育・国際教育を滋慶学園グループの建学の理念に、現在、大阪にある滋慶医療科学大学院大学をはじめ、専門学校、高等専修学校など、全国64校の教育機関で、業界に直結した専門教育を実践している。
この間、500職種を超える人材を養成して、これまでに国内外を問わず様々な産業界に20万人以上の卒業生を輩出してきた。
被請求人グループの学校は、専門学校60校、スクール3校、及び各種学校、大学院大学、高等専修学校各1校である。
(2)無効原因(2)について
請求人校1及び2の前身の名称が「トラベルジャーナル旅行専門学校」及び「トラジャル旅行ホテル専門学校」である点は認める。そして、2007年4月に、現校名に変更したのである。
請求人校3が2011年4月に、東京ブライダル専門学校が2013年4月に開校した事実は認め、その余は否認する。
(3)無効原因(3)について
インターネットの広告は認める。
(4)無効原因(4)について
各広告・宣伝については不知である。
リクルート進学ネットについては、リクナビ進学ネットの掲載順位は、リクルートへ支払った広告費用等により、リクルート側の裁量により掲載順序が決められている。掲載の順位が高いことは、必ずしも知名度や実績があると証明にはならない。
(5)無効原因(5)について
甲第10号証の1及び2は、資料請求者数と来校者数と出願者数と卒業生数を示したものであるが、トラベルジャーナル学園内部の資料であり、信用性が乏しい。甲第11号証の1及び2も内部資料を元にしたものであり、信用性に乏しい。
(6)無効原因(6)について
甲第12号証は、基礎となる数値について根拠が不明であり、信用性に乏しい。そのうえ、結局このマップは単に各専門学校等の学生数だけを分野ごとに比較したものあって、請求人が「旅行・観光・ホテル・ブライダル分野にかかる関西圏の専門学校の中で極めて人気の高い専門学校としての地位を有している」との主張には理由がない。
甲第13号証は、請求人校1及び2について、各ブライダル科が設置されているが、推測するに「ホスピタリティ」の一部としての位置付けに過ぎない。なお「ホスピタリティ」という用語が教育や産業で使用されるようになった元祖が被請求人ではないことは、その経緯とともに後述する。
ところで、甲第12号証は、資料の出所が不明確である。出所がはっきりしない資料から周知性は判断されるべきではない。よって、周知だったとは認められない。
(7)無効原因(7)について
請求人校1及び2について、周知性があった点は否認する。
大阪学院大学では、「ホスピタリティインダストリー研究所」(HIC)を平成18年4月に日本型ホスピタリティ経営学の確立をめざし設立した。 設立当初は、主に教育コンテンツ(ホスピタリティ・マネジメント・プログラム⇒各学部を横断する履修科目)の構築に力を注いできたが、平成20年4月に経営学部ホスピタリティ経営学科を設立し、より研究所機能を充実させるため、HIC内に「ホスピタリティ・マネジメント研究会」を設置した(乙1?乙3)。
請求人は、大阪学院大学の「ホスピタリティインダストリー研究所」に名称に触発されて、学校名を変更したと考えられる。
なお、請求人の名称である「ホスピタリティ」を名乗る専門学校は、後述するように、現在では多数存在する。同様に「ブライダル」を名称として有する専門学校も後述するように現在では多数存在する。
(8)無効原因(8)について
請求人の商標登録の事実は認める。
本件商標と請求人校1あるいは請求人校3、「東京ブライダル専門学校」は、非類似であることは認める。
しかしながら、無効原因(8)(a)の本件商標の出願時及び査定時において、請求人校1及び2が周知性を有していたことは否認する。大阪学院大学の「ホスピタリティインダストリー研究所」あるいは大阪学院大学の「経営学部ホスピタリティ経営学科」が著名である。請求人は専門学校であり、一般論として大学と専門学校間では周知度に差があることが多い。同様に、請求人校3の周知性は立証されていない。
同(b)の専門学校全般を対象としても「ホスピタリティ」の語を含むものは請求人の前記2校しか存在していない点についてはなお調査するが、請求人の2007年4月校名変更時には、大阪学院大学の「ホスピタリティインダストリー研究所」が著名であった。一般論として大学と専門学校間では周知度に差が有ることが多い。
同(c)の本件商標の出願以前において、旅行・観光・ホテル系専門学校とブライダル系専門学校とを独立させて運営している学校法人は請求人以外には存在しなかったとする主張は、否認する。
まず請求人のブライダル科は観光学科の一部であり、独立して運営していたとはいえない。また、旅行・観光・ホテル系専門学校とブライダル系専門学校を同一校内で運営している法人は他に多数あった。
同(d)の請求人校2と請求人校3は独立に運営されながらも募集要項などについては共通の刊行物で行っていることから鑑みると、旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に関する知識の教授を役務とする専門学校の校名として本件商標が使用された場合には、旅行・観光・ホテル・ブライダル系の専門学校への進学希望者や高校教員等の進学被相談者や卒業生の受け入れ企業等が請求人によって運営されている専門学校ではないかと混同するおそれがあり、また請求人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者によって運営されている専門学校であると認識して混同を生じるおそれがあるとの主張については、そのおそれは存在しない。
請求人校1と2及び請求人校3と東京ブライダル専門学校は、別の校名であり、請求人が両者を峻別するために別の校名を選択したのであり、さらにいえば請求人は両者の混同を危惧して校名を別にしたのである。ここで請求人が主張する本件商標と請求人校1と請求人校2あるいは請求人校3、「東京ブライダル専門学校」は、請求人の理屈から対比すると混同のしようがないことになる。
被請求人は「福岡ホスピタリティ&ブライダル専門学校」を2014年4月に開校したことは事実であるが、TV-CMなどによる同校の広告が開始されると、旅行・ホテル・空港関連の企業や福岡地区の高校から、「請求人が新たに福岡地区に専門学校を開校するのか」との問い合わせが相次いだとの主張は否認する。
2 被請求人の主張について
(1)請求人校1と2は大阪学院大学の「ホスピタリティインダストリー研究所」を模倣したもので、周知性は存在しない。
大阪学院大学の「経営学部ホスピタリティ経営学科」は、2008年4月にホテル・ブライダル・ツーリズム・外食や航空といったホスピタリティ業界の経営者に必要な専門知識を学べる日本初の学科として誕生した。ホスピタリティ経営学とは、ホスピタリティを単に「おもてなし」ととらえるのではなく、経営者の視点から「利益を生み出すための価値」ととらえ、会計・財務・マーケティング・産業界の基本構造など、経営学の基礎を学んだ後に、希望する業界や職種について専門的に研究する。「経営学部ホスピタリティ経営学科」で学ぶ3要素は、Management(経営力・運営力)・International(国際感覚)・Communication(コミュニケーションカ)である。
そして、大阪学院大学では、「経営学部ホスピタリティ経営学科」の設立に先立つ、平成18年4月に、「ホスピタリティインダストリー研究所」(HIC)を日本型ホスピタリティ経営学の確立をめざして設立した。
同年5月25日に「ホスピタリティインダストリー研究所開設記念公開講座」が開催され、一部、二部に分けて開催された公開講座の会場には、本学学生、ホテル業界、出版業界などから多数の参加があった(延べ250名)。熱気に包まれた中、トークショー形式の講座がスタートした。
平成19年5月15日には、大阪学院大学において、ホスピタリティインダストリー研究所開設1周年記念の公開講座が開催され、「ホスピタリティとまちづくり-岡山県高梁を事例に-」をテーマに、高梁市のまちづくりメンバーを招待して、まちづくりを通したホスピタリティについて、基調講演及びパネルディスカッションを行った(乙1?乙3)。
(2)本件商標の登録査定時である2012年当時「ホスピタリティ」の名を冠する学科を有していた大学は、前述の大阪学院大学に加えて、少なくとも8校存在する(乙8?乙15)。
(3)さらに、現在までに「ホスピタリティ」(審決注:「ブライダル」の記載は誤記と認めた。)の学科を有する大学や専門学校等は、上記8校に加え、少なくとも6校存在する(乙5)。
以上より、請求人校1及び2の周知性は存在しない。
(4)本件商標の登録査定時である2012年当時「ブライダル」に関連する学科を有していた専門学校は多数存在したが、その一例として5校を示す(乙16、乙18?乙21)。
(5)さらに、現在「ブライダル」の学科を有する専門学校は、上記のほかにも多数存在する(乙6、乙7)。
以上より、請求人校3と「東京ブライダル専門学校」の周知性は存在しない。
(6)知財高裁判決(平成18年(行ケ)第10438号)について(乙4)
以上のように、本件商標に対して、請求人の「ホスピタリティ ツーリズム専門学校」「ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪」「大阪ブライダル専門学校」「東京ブライダル専門学校」は商標的にそもそも混同の生じないほどに非類似であり、請求人の審判請求は成立しないが、念のため、表記の判例についても言及する。
周知とは、全国的に著名でなければならないというわけではない。しかしながら、一地域のみで周知されている名称であるとしても、それが即商標法第4条第1項第15号に該当するわけではなく、地域が異なる場合には、なお混同のおそれがないとした、表題の判決がある。
これを本件についてみても、混同を生じるおそれがあるとはいえない。すなわち、指定役務の需要者である専門学校に通おうとする者にとって専門学校の選択は人生の一大関心事であって、学科、費用、施設や講師等、専門学校の教育内容の綿密な吟味を行うのが実情と考えられる。そのため、専門学校に通おうとする者は、資料を請求したり学校説明会等に参加するなどして適切な情報収集を行うのが通常である。よって、需要者が普通に払うべき注意力を基準として判断すると、仮に、本件商標の指定役務である「技芸・スポーツ又は知識の教授」と、被請求人の運営する各専門学校の業務に係る役務として請求人が挙げている「旅行・観光・ホテル・ブライダル分野に係る専門学校」が関連するものであって、地域的にも需要者が重なり合う部分があるとしても、両者において法4条1項15号の「混同を生ずるおそれ」があるとはいえない。
判例の趣旨に従えば、仮に、大阪や東京という、福岡とは異なった地域で、被請求人らの運営する専門学校の名称がある程度知られていたとしても、需要者において適切に区別ができるのだから、商標法第4条第1項第15号の「混同を生ずるおそれ」があるとはいえないというべきである。
そのうえ、この判例は出所を識別しやすく周知性が認められやすい造語商標に関して判示したものであるが、本件商標は旅行等の様々な産業含む「ホスピタリティ」や、結婚式等の婚姻行事を意味する「ブライダル」という英語を組み合わせた点で特徴があるもので、請求人は「ブライダル」を単独で使っており、また「ホスピタリティ」に至っては「ホスピタリティ ツーリズム」という観光産業を表す「ツーリズム」いう別の用語と組み合わせて使用しているのだから、より明瞭に識別可能であって、「混同を生ずるおそれ」があるとはいえないというべきである。
以上、請求人の主張は何れも理由がない。

第4 当審の判断
1 請求人校1ないし3の周知性について
(1)請求人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次のとおりである。
ア 甲第2号証の1及び2は、2007年(平成19年)4月28日及び2012年(平成24年)7月20日における請求人校1のウェブページであり、前者には、学校名の上に「学校法人 トラベルジャーナル学園」、下に「(旧:トラベルジャーナル旅行専門学校)」の記載がある。
イ 甲第3号証の1及び2は、2007年(平成19年)4月29日及び2012年(平成24年)6月27日における請求人校2のウェブページであり、いずれにも、学校名の上に「学校法人 トラベルジャーナル学園」の記載があり、また前者の学校名の下に「(旧校名 トラジャル旅行ホテル専門学校)」の記載がある。
ウ 甲第4号証の1及び2は、2011年(平成23年)7月17日及び2012年(平成24年)7月12日における請求人校3のウェブページであり、いずれにも、学校名の上に「学校法人 トラベルジャーナル学園」の記載がある。
エ 甲第5号証の1ないし3は、請求人校2及び3連名による両校のオープンキャンパスの紹介等に係る小冊子及びチラシであり、それらに記載された「2013年度版トラジャル」の文字や日付けと曜日及び告知内容との関係から、それらは2012年(平成24年)5月以前に作成されたものと推認できる。
そして、甲第5号証の3には、無料送迎バスが、近畿、中国及び四国の各地方などから出ている旨、全国各地からの参加者に交通費を負担する旨の記載がある。
オ 甲第5号証の4は、請求人校3の学校紹介用DVDのパッケージの表紙であり、そこに記載された「オープンキャンパスの日程などの詳細は入学案内書をご覧ください」「2013年度大阪ブライダル専門学校入学案内書セット 無料 送付受付中!」の文字及び甲第5号証の1及び2のオープンキャンパスの日程から、これは2012年(平成24年)5月以前に作成されたものと推認できる。
カ 甲第6号証の1及び2は、請求人校1の「SCHOOL GUIDE 2012」と題する学校案内の抜粋及び「2012年入学生用募集要項入学願書」であり、それらは、そのタイトルから遅くとも2011年夏頃には作成されていたものと推認できる。
キ 甲第7号証の1は、請求人校2の「進路発見BOOK 入学案内2011」と題する学校案内の抜粋であり、そこには「姉妹校:大阪ブライダル専門学校(2011年4月開校予定:認可申請中)」の記載がある。
甲第7号証の2は、請求人校3の「2011 Guide Book」と題する学校案内の抜粋であり、学校名の横には「(2011年4月開校予定:認可申請中)」、下には「姉妹校:ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪」の記載がある。
甲第7号証の3は、請求人校2及び3連名の「2011年度 入学生用 募集要項&経済サポート BOOK」と題する冊子の抜粋であり、そこには、請求人校2は昼間部と夜間部があり、いずれも修業年限が2年、募集人員が240名である旨、請求人校3も昼間部と夜間部があり、いずれも修業年限が2年、募集人員が100名である旨の記載がある。
そして、これらは、そのタイトル及び記載内容から、いずれも遅くとも2010年夏頃には作成されていたものと推認できる。
ク 甲第8号証の1ないし3は、いずれも2012年度入学生用の、請求人校2の入学案内書抜粋、請求人校3の入学案内書抜粋及び両校連名の募集要項抜粋であり、両校の募集人員等は前年と同数の記載がある。
また、甲第8号証の1及び2の最終ページには、「トラベルジャーナル学園のあゆみ」として、「1973年10月:トラベルジャーナル旅行学院(東京校)設立」「1981年4月:大阪トラベルジャーナル旅行学院(大阪校)開校」「1986年4月:大阪校、・・・大阪トラベルジャーナル旅行専門学校として新発足」「1994年4月:大阪校、トラジャル旅行ホテル専門学校に校名変更」「2007年4月:大阪校、ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪に校名変更」「2011年4月:大阪ブライダル専門学校開校」の記載がある。
そして、これらは、そのタイトル及び記載内容からなり、いずれも遅くとも2010年夏頃には作成されていたものと推認できる。
ケ 甲第9号証の1ないし4は、2011年(平成23年)4月13日、同年11月27日、2012年(平成24年)3月30日及び同年8月11日におけるリクルート進学ネットで、旅行・観光・ホテル(・ブライダル)系の専門学校を検索した結果であり、いずれにも請求人校1ないし3が表示されている。
コ 甲第10号証の1は、請求人が作成したと思われる請求人校1及び東京ブライダル専門学校の2000年度ないし2014年度の資料請求者数、来校者数、出願者数及び卒業生数の一覧表である。「ホスピタリティ ツーリズム専門学校」に校名変更した2007年度から2014年度までの資料請求者数は9,259人ないし13,403人、来校者数は1,090人ないし1,585人、出願者数は395人ないし601人及び卒業生数(2013年まで)は287人ないし449人である旨記載されている。
甲第10号証の2は、請求人校2及び3についての上記と同様の一覧表であり、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪」に校名変更した2007年度から2014年度までの資料請求者数は8,542人ないし16,297人、来校者数は946人ないし1,384人、出願者数は466人ないし763人及び卒業生数は330人ないし732人である旨記載されている。
サ 甲第11号証の1は、請求人校1の2001年ないし2010年の就職内定状況及び2011年3月卒業生の就職内定者が掲載された冊子サクセスBOOKの抜粋であり、そこには2011年3月卒業生の就職内定者の出身高校の記載があり、その出身高校は関東の学校が多くを占めているが、北海道から九州、沖縄県の高校もある。
そして、同冊子の15ページ末尾の「2011年3月1日現在、順不同」の記載から、これが2011年(平成23年)の春頃作成されたものと推認して差し支えない。
甲第11号証の2は、請求人校2及び3の2012年3月卒業生の就職内定者一覧及び2007年ないし2012年卒業者の出身高校別一覧などが掲載された冊子であり、出身校別一覧には、近畿の高校を中心として北海道から九州、沖縄県の高校が掲載されている。
そして、同冊子の表紙の「2012年2月15日現在、369名が就職内定しました!」の記載から、これが2012年(平成24年)の春頃作成されたものと推認して差し支えない。
シ 甲第12号証は、請求人が、大阪府が実施した2011年ないし2013年の各専門学校の分野別の生徒数調のデータに基づくものとする「旅行・観光・ホテル・ブライダル分野/マーケットポジショニングマップ(大阪エリア)」と題する書面であり、テーマパーク、ホテル分野で請求人校1、ブライダル分野で請求人校2の各生徒の割合がトップとなっている。
しかしながら、これは請求人が作成したものであり、また、生徒数を裏付ける証左は見あたらない。
ス 甲第13号証は、大阪職業教育ネットワークの平成21年12月24日発行の「『おおさか職業教育ナンバー1』ニュース」であり、そこには「このたび、大阪府専修学校各種学校連合会と産業界、労働関係機関、高校関係者などで構成する『大阪発[産学接続コース]推奨委員会』を設置し、10校22コースの『産学接続コース』を推奨しました。」の記載があり、「専門教育コース」及び「実践教育制度併設コース」のそれぞれに請求人校2の記載がある。
(2)上記(1)及び職権調査(各校のウェブページなど)によれば、次の事実を認めることができる。
ア 請求人は、1973年に設立された学校法人であり、請求人校1ないし3及び東京ブライダル専門学校を運営している(上記(1)ア?ウ、キ、ク、職権調査)。
請求人校1は、1973年10月に「トラベルジャーナル旅行学院(東京校)」として設立され、2007年4月に「トラベルジャーナル旅行専門学校」から、現在の「ホスピタリティ ツーリズム専門学校」に校名変更された。(上記(1)ア、職権調査)。
請求人校2は、1981年4月に「大阪トラベルジャーナル旅行学院(大阪校)」として開校、1986年4月に「大阪トラベルジャーナル旅行専門学校」として新発足、1994年4月に「トラジャル旅行ホテル専門学校」に校名変更、さらに2007年4月に現在の「ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪」に校名変更された(上記(1)イ、ク)。
請求人校3は、2011年4月に「大阪ブライダル専門学校」(現校名)として開校された(上記(1)ウ、キ、ク)。
請求人校1及び2は、2007年の校名変更後現在まで、請求人校3は2011年4月の開校以来現在まで、それぞれの学校名で運営を継続している(職権調査)。
イ 請求人校1ないし3の卒業生の内定状況の紹介(甲11)は、就職内定者の出身高校の記載があり、また、出身高校別一覧として掲載されていることから、請求人校1ないし3の卒業生(入学生)は高等学校の卒業生が多いと推認できる。
また、請求人校1ないし3の卒業生の中には、北海道から九州、沖縄県の高校を卒業した者もいる。(上記(1)サ)
ウ 請求人は、請求人校1及び2が現校名に変更された2007年の前年(平成18年)から、入学生の募集、学校紹介などを自己のウェブページ及びリクルート進学ネットなどの関連ウェブページを通じて行い、甲第5号証ないし甲第8号証、甲第10号証及び甲第11号証はもとより、同様の冊子、チラシ、入学案内などを毎年作成し、配布していたものと推認できる。
しかしながら、それら冊子、チラシ、入学案内などが、どの程度の数が作成され、どのように配布されたかなどは明らかでない。
エ さらに、裏付けがなく信ぴょう性に疑問が残るものの、仮に甲第10号証記載の人数が事実だとしても、請求人校1及び2が現在の校名に変更した2007年度から2014年度までの各人数は、それらの最大値をみても、請求人校1及び東京ブライダル専門学校の資料請求者数が13,403人、来校者数が1,585人、出願者数が601人及び卒業生数が449人であり、請求人校2及び3の資料請求者数が16,297人、来校者数が1,384人、出願者数が763人及び卒業生数が732人である(上記(1)コ)。
(3)他方、2007年(平成19年)から現在(平成26年)までの高等学校在籍者数は、いずれの年も300万人を超えており(職権調査:e-Stat政府統計の総合窓口(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001015843)「高等学校の学校数、在籍者数、教職員数(昭和23年?)」参照)、高等学校の卒業生だけでも、毎年120万人以上いることが推認できる。
(4)上記(2)の事実によっては、請求人校1ないし3に関して、その宣伝、広告といった証拠が極めて少なく、また、請求人の専門学校の生徒数の規模についても、(3)の認定事実をあわせみれば、決して多いものということができず、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校」(請求人校1)、ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪(請求人校2)、及び大阪ブライダル専門学校(請求人校3)(の各名称)は、いずれも請求人の業務に係る役務(知識の教授)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものとは認められないと判断するのが相当である。
2 請求人校1ないし3の名称の独創性について
専門学校の名称中には、当該専門学校で教授する主な内容を端的に表す語及び所在地名が一般に用いられていること、「ホスピタリティ」「ツーリズム」及び「ブライダル」の語がいずれも既成語であること、「ホスピタリティ」及び「ブライダル」の両語が本件商標の登録出願日前から登録査定後も大学や専門学校の学科やコースの名称中に用いられていること(乙1?乙3、乙8?乙22)をあわせみれば、請求人校1ないし3の各名称はいずれも独創性の高いものではないと判断するのが相当である。
3 本件商標と請求人校1ないし3の類似性について
(1)本件商標は、上記第1のとおり「ホスピタリティー&ブライダル専門学校」の文字からなるものである。
そして、本件商標は、その構成全体として「『ホスピタリティー&ブライダル専門学校』という専門学校の名称」を表示したものと認識されるものであって、「ホスピタリティーアンドブライダルセンモンガッコウ」の称呼を生じ、「ホスピタリティー&ブライダル専門学校(という名称の専門学校)」の観念を生じるものとみるのが自然である。
(2)請求人校1ないし3は、上記第2 2(2)のとおりであり、それらの名称は、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校」「ホスピタリティ ツーリズム専門学校大阪」及び「大阪ブライダル専門学校」である(以下、これら名称をその順に「引用標章1」ないし「引用標章3」といい、それらをまとめて「引用標章」という。)。
ア 引用標章1は、その構成全体として「『ホスピタリティ ツーリズム専門学校』という専門学校の名称」を表示したものと認識されるものであって、「ホスピタリティツーリズムセンモンガッコウ」の称呼を生じ、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校(という名称の専門学校)」の観念を生じるものとみるのが自然である。
イ 引用標章2は、その構成全体として「『ホスピタリティ ツーリズム専門学校』という名称の専門学校の大阪校」であることを表示したものと認識されるものであって、「ホスピタリティツーリズムセンモンガッコウオオサカ」の称呼を生じ、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校(という名称の専門学校)の大阪校」の観念を生じるものとみるのが自然である。さらに、引用標章2は、その構成中「ホスピタリティ ツーリズム専門学校」の文字部分が独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、これより、「ホスピタリティツーリズムセンモンガッコウ」の称呼、「ホスピタリティ ツーリズム専門学校(という名称の専門学校)」の観念をも生じるものといえる。
ウ 引用標章3は、その構成全体として「『大阪ブライダル専門学校』という専門学校の名称」を表示したものと認識されるものであって、「オオサカブライダルセンモンガッコウ」の称呼を生じ、「大阪ブライダル専門学校(という名称の専門学校)」の観念を生じるものとみるのが自然である。
(3)そうとすれば、本件商標と引用標章とは、「ホスピタリティ(ー)」又は「ブライダル」の文字を含んでいるとしても、両者は、上記(1)及び(2)のとおりの外観、称呼及び観念において、いずれの点においても相紛れるおそれのない非類似のものであって、別異のものと判断するのが相当である。
4 まとめ
本件商標の指定役務と引用標章が使用されている役務には共通するところがあるとしても、請求人校1ないし3の名称(引用標章)はいずれも、上記1のとおり請求人の業務に係る役務(知識の教授)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたものとは認められず、上記2のとおり独創性の高いものではなく、また、本件商標と引用標章とは上記3のとおり相紛れるおそれのない別異のものであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、取引者、需要者をして引用標章を連想又は想起させることはなく、その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
なお、請求人は、被請求人の「福岡ホスピタリティ&ブライダル専門学校」の広告が開始されると、「請求人が新たに福岡地区に専門学校を開校するのか」との問い合わせが相次いだ旨主張しているが、その事実を裏付ける証左は見あたらないから、かかる主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2015-04-03 
結審通知日 2015-04-07 
審決日 2015-04-21 
出願番号 商願2012-59262(T2012-59262) 
審決分類 T 1 11・ 271- Y (W41)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
登録日 2013-01-25 
登録番号 商標登録第5552907号(T5552907) 
商標の称呼 ホスピタリティーアンドブライダルセンモンガッコー、ホスピタリティーブライダルセンモンガッコー、ホスピタリティーアンドブライダル、ホスピタリティーブライダル、ホスピタリティー、ブライダル 
代理人 渡邊 敏 
代理人 永井 利和 
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