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審決分類 審判 査定不服 商64条防護標章 取り消して登録 W303543
管理番号 1301709 
審判番号 不服2014-16260 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-08-18 
確定日 2015-06-19 
事件の表示 商願2012-59160拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の標章は、登録第471330号の防護標章として登録をすべきものとする。
理由 1 本願標章
本出願に係る標章(以下「本願標章」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、第30類「茶,コーヒー,ココア,穀物の加工品」、第35類「飲食料品(「菓子,パン」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務とし、登録第471330号商標(以下「原登録商標」という。)の防護標章登録出願として、平成24年7月23日に登録出願されたものである。

2 原登録商標
登録第471330号商標は、本願標章と同一の構成からなり、昭和29年11月10日に登録出願、第43類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として同30年9月29日に設定登録され、その後、平成18年3月15日に指定商品を第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。),粉末あめ,水あめ(調味料),もち,パン」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 原査定の拒絶の理由
本願標章は、自己の業務に係る商品(役務)を表示するものとして、需要者間に広く認識されているものとは認められない。
したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。

4 当審の判断
原登録商標は、上記2のとおり、本願標章と同一の構成からなり、昭和30年9月29日に登録され、当該商標権は現に有効に存続するものであること及び当該商標権が請求人の所有に係るものであることは、その標章を表示する書面及び当庁備え付けの商標登録原簿の記載から明らかである。
なお、請求人の主張及び同人が提出した資料、当審における職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(1)原登録商標の周知・著名性について
ア 使用商品等
原登録商標は、請求人が、昭和51年(1976年)11月以後、その指定商品「菓子」について使用されているものであって、現在においては、「L*espoir」(アポストロフィ(‘)部分が「*」で表されており、「espoir」の文字部分は小文字で表されている)の態様等でも使用していることが請求人の提出した資料から認められるものである(甲10ほか)。また、原登録商標の読みを表示した「レスポワール」の片仮名の使用も認められる。
以下、原登録商標を使用した商品(菓子)を「使用商品」という。
イ 使用期間、使用地域等
原登録商標は、商標権者である請求人により、その指定商品中の菓子のうち「クッキー」について、昭和51年に使用が開始され、その後、現在に至るまで我が国において継続して使用されているものである(甲10、甲16の3)。
そして、原登録商標は、使用商品を販売する店舗の名称(屋号)や百貨店等の販売コーナーにおける名称としても使用されているものである(甲20の1、2、5及び6)。
請求人は、昭和51年11月に東京の西武百貨店(渋谷店、池袋店)に使用商品の常設店を出店し、現在までに140店舗以上の百貨店に出店してきた。平成22年11月時点では、使用商品を常設する百貨店の店舗は東北(青森県)から九州(鹿児島県)まで、全国110店舗存在し(甲33の1)、このうち、約3分の2にあたる73店舗は20年以上前から出店し、42店舗は30年以上前から出店している。
使用商品は、百貨店以外にも59店舗の量販店の贈答品コーナー及び21店舗の直営店、大阪空港内の土産物売場、菓子専門店、土産物専門店等で販売されている(甲33の2及び3、甲21)。
また、使用商品は、全国の大手百貨店やゆうパック、量販店等のお中元、お歳暮用を初めとする贈答用カタログでも、平成10年から現在まで継続的して販売され(甲12)、百貨店のオンラインショップ、インターネット通販業者のサイトでも販売されているものである(甲13)。
ウ 使用商品の広告宣伝等又は普及度
平成13年(2001年)11月に日経産業消費研究所が行った調査の結果(ランキングで見るデパ地下 2002年6月調査報告書)によると、「店舗名を知っている」という質問に対する回答について、請求人の使用商品である「レスポワール」は、百貨店の洋菓子売場のテナントから抜粋された30店舗中、首都圏と近畿圏を含む全体では13位、近畿圏だけでは7位にランキングされており、総合評価では16位、近畿圏では10位である(甲29)。
また、毎日新聞(平成22年3月1日付、甲40)には、使用商品が請求人の看板商品である旨記載された記事が掲載されている。
以上のことから、百貨店をはじめとする全国の小売店舗及び贈答用カタログやインターネット通販サイトを通じて使用商品の周知が図られたことによって、原登録商標の認知度は相当程度に達していたことが認められる。
エ 請求人の企業の規模及び使用商品等の販売実績
請求人は、明治30年(1897年)に創業した和洋菓子の製造販売・喫茶・レストラン経営を行う会社であり、平成21年9月期の売上高は100億円に上り(甲40)、「2013年 焼菓子専門店要覧(株式会社総合企画センター大阪発行)」には、「株式会社ユーハイム」や「株式会社六花亭製菓」とともに、請求人の会社が、「有力焼菓子専門店企業15社」のうちの一つとして掲載されている。
(http://www.tpc-osaka.com/fs/bibliotheque/mr120130133)
使用商品については、平成12年度から平成21年度までの出庫個数は、平均で年間300万個(箱入り、缶入りを1個として計算)を超え(甲36)、同時期の使用商品の出庫金額は、年間27億ないし33億円の間で推移し(甲37)、過去30年間では、出庫個数は計約9000万個、出庫金額は計約900億円と見込まれる。
以上によれば、請求人は、使用商品の発売以来、使用商品の包装に原登録商標を付しており、上記した販売実績及び使用商品の普及度によれば、原登録商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、店舗名等の使用とも相まって、取引者、需要者間に広く認識されているものと認めることができる。
(2)混同を生ずるおそれ
原登録商標の使用商品と本願の指定商品及び指定役務とは、いずれも食品に関する分野の商品及び役務であって、その生産者、販売者、材料、用途等を共通にする場合があり、いずれの商品及び役務についても、百貨店や量販店などで食品を販売したり、飲食物を提供するなどして取り扱われるものである。また、食品や飲食店の需要者は、広く一般消費者であることに加えて、洋菓子を販売する店舗が、店内に紅茶やコーヒー等を販売するコーナーを設けたり、喫茶店を併設することは、一般に行われていることである。
そうすると、上記使用商品と本願指定商品及び指定役務の需要者がともに一般消費者であること等を考慮すれば、原登録商標と同一の構成からなる本願標章が、他人によって本願の指定商品及び指定役務について使用された場合には、これに接する需要者は、その商品及び役務があたかも請求人、又は、請求人と何等かの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(3)小括
以上によれば、原登録商標が、請求人の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されており、原登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品及び役務以外の商品及び役務について他人が登録商標の使用をすることにより、その商品及び役務と自己の業務に係る指定商品及び指定役務とが混同を生ずるおそれがあるものであるから、本願標章は、防護標章の登録要件を具備するものである。
(4)まとめ
したがって、本願標章が商標法第64条の規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願標章





審決日 2015-06-09 
出願番号 商願2012-59160(T2012-59160) 
審決分類 T 1 8・ 8- WY (W303543)
最終処分 成立  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 清棲 保美
榎本 政実
商標の称呼 レスポアール、レスポワール、エスポアール、エスポワール 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 

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