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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z42
管理番号 1301684 
審判番号 取消2014-300180 
総通号数 187 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-07-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-03-07 
確定日 2015-05-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4444569号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4444569号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成11年2月9日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,オフセット印刷,グラビア印刷,スクリーン印刷,石版印刷,凸版印刷,気象情報の提供,求人情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,一般廃棄物の収集及び分別,産業廃棄物の収集及び分別,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,雑草の防除,有害動物の防除(農業・園芸又は林業に関するものに限る。),建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,機械器具に関する試験又は研究,通訳,翻訳,施設の警備,身辺の警備,栄養の指導,家畜の診療,保育所における乳幼児の保育,老人の養護,編み機の貸与,ミシンの貸与,衣服の貸与,植木の貸与,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,会議室の貸与,展示施設の貸与,カメラの貸与,光学機械器具の貸与,漁業用機械器具の貸与,鉱山機械器具の貸与,計測器の貸与,コンバインの貸与」並びに第20類、第21類、第29類ないし第32類、第39類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同13年1月12日に設定登録されたものであり、その後、同22年12月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成26年3月26日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標について、その指定商品及び指定役務中、第42類「栄養の指導,老人の養護,カーテンの貸与,家具の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与」(以下「本件審判の請求に係る役務」という場合がある。)についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書、弁駁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件審判の請求に係る役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者及び使用権者により使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により、該役務についての登録を取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)通常使用権者について
ア 被請求人は、社会福祉法人土浦市社会福祉協議会(以下「協議会」という。)が本件商標についての通常使用権者であり、また、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)と協議会及び土浦市とは資本的に密接な関係にある旨主張するが、本件商標権者と協議会との間の資本関係を示す証拠は提出されていない上、そもそも社会福祉法人は出資持分が認められていないのであるから、株式会社である本件商標権者と社会福祉法人である協議会との資本関係の有無を論ずること自体、妥当でない。
また、社会福祉法人は、公益性と非営利性を兼ね備えた法人であり、市から援助を受ける等、公金支出を受けることができるのであるから、「公の支配」に服するものであり(憲法第89条)、利潤を追求し、これを株主へ分配することを目的とする営利法人である株式会社とは、その目的を全く異にする。
よって、たとえ、本件商標権者と協議会とをそれぞれ代表する代表機関が同一の自然人であったとしても、両者間に密接な関係があるわけではない。
イ 被請求人は、乙第11号証として、「商標『うらら』に関する確認書」を提出しているが、該確認書においては、許諾した指定役務の範囲が明らかでなく、かつ、許諾に係る商標も本件商標とは異なる「うらら」とされていることから、これをもって、本件商標権者と協議会との間で本件商標に係る通常使用権の許諾があったことを推認することはできない。
また、上記確認書において、その許諾対象となっている「老人福祉センター『うらら』」及び「地域包括支援センター『うらら』」は、本件審判の請求に係る「老人の養護」の役務を提供するものではない。
さらに、被請求人は、本件商標権者が、協議会に対し、口頭により通常使用権を許諾した旨主張し、上記乙第11号証に加え、乙第16号証を提出するが、乙第11号証ないし乙第16号証の確認書は、本件審判の請求の登録後に作成されたものであるから、人間のあいまい、かつ、あやふやな記憶に依拠したものであり、本件商標権者と協議会との関係を考慮しても、本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。)に通常使用権があった事実を推認させるものではない。例えば、親会社と子会社の関係にある場合や商標権者の正規品の流通を担う関係にある場合は、通常使用権を認めることが商標権者の利益につながることが明らかであり、また、通常使用権を許諾することが一般的であるので、上記確認書のような証拠のみでも通常使用権の存在を推認し得るが、本件においては、本件商標権者と協議会とは、ビル管理会社とテナントの関係にすぎない。そうすると、テナントに対して通常使用権を許諾することが一般的であるとの事実もなく、本件商標権者が管理するビル内のみでの使用許諾であるのかなどの許諾内容の重要な部分についてさえ不明なのであるから、被請求人の主張する通常使用権は、その内容が不明瞭で把握し得るものではない。
よって、本件商標について、要証期間内での協議会に対する通常使用権は、認められない。
(2)本件商標と使用に係る「うらら」の表示との同一性
ア 商標法第50条第1項は、社会通念上同一の商標の範囲として、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」又は「外観において同視される図形からなる商標」の3例を示しており、また、審判便覧には、該3例に加えて、「称呼及び観念を同一とする場合の平仮名及び片仮名と漢字の相互間の使用」、「登録商標が二段併記等の構成からなる場合であって、上段及び下段等の各部が観念を同一とするときに、その一方の使用」又は「縦書きによる表示態様とこれに対応すると認められる左横書き又は右横書き(ローマ字にあっては、右横書きを除く)による表示態様の相互間の使用」が例示されているところ、被請求人が本件商標の使用を主張する乙各号証における「うらら」の表示がこれらの例示に該当しないことは明らかである。
イ 上記「うらら」の表示は、その構成文字に相応して、「ウララ」の称呼を生じるものであり、また、「春うらら」の使い方で親しまれている「春のうららかな様子」の意味を有するので、「春のうららかな様子」の観念を生じる。
他方、本件商標は、別掲のとおり、三段構成からなるものであるところ、上段の「URALA」の文字は、我が国において親しまれている英語の辞書に載録されたものではなく、また、その文字中の「RALA」の部分によれば、単純に日本語をローマ字変換したものではないことが認められるので、該文字は、特定の観念を有しない造語と認められる。
そして、本件商標の構成中、中段の「ウララ」の文字及び下段の「うらら」の文字は、上段の「URALA」の文字の読みを特定するものと認められるところ、本件商標は、上記のとおり、三段構成からなるものであって、各段の文字の大きさは同じであり、かつ、各段の間隔は文字の大きさの2分の1程の開きがあることから、ルビを振った構成とは認識されず、よって、「ウララ」の称呼を生ずるほか、「ウララウララウララ」の称呼をも生じ得るものである。
ウ 上記「ウララ」の称呼は、3音と非常に短い音構成であって、音調がリズミカルであることから、該称呼は、人名等に用いられたり(甲2)、歌謡曲において特に意味を有しない歌詞としても用いられている(甲3)。このように、「ウララ」の称呼の使い方は多様性を有するものであるから、「うらら」という言葉に「春のうららかな様子」という意味があるとしても、さほど日常一般において使われる言葉でもなく、「ウララ」の称呼のみから特に強い意味を示すことはない。
してみれば、本件商標からは、特定の観念を生じない。
エ 上記アないしウによれば、平仮名のみからなる「うらら」の表示からは「ウララ」の称呼を生じ、「春のうららかな様子」という観念を生じるのに対し、本件商標からは「ウララ」又は「ウララウララウララ」の称呼を生じ、特定の観念を生じない。また、上記「うらら」の表示と本件商標とは、外観においても著しく異なるものであるから、需要者に与える印象も著しく異なり、「うらら」の表示を使用しても、本件商標に信用が蓄積されることはない。
よって、本件商標と上記「うらら」の表示とは、社会通念上同一の商標ではない。
オ 被請求人が挙げた3件の審判に係る登録商標(甲7ないし甲9)は、いずれも欧文字の部分から自然に生じる称呼が1つのみであって、その称呼を表した仮名部分が該欧文字よりも小さい文字で表されているものであり、その欧文字部分について使用の証明がされた事案である。
他方、本件商標は、「URALA」、「ウララ」及び「うらら」の各文字を三段に表してなるものであって、視覚上、その全体が一体的なまとまりあるものとして看取されるところ、上段の「URALA」の欧文字部分からは、英語又はローマ字の読みに倣えば、「ユーレイラ」、「ユーラーラ」、「ウラーラ」又は「ウララ」の称呼を生じ得るものの、中段の片仮名部分及び下段の平仮名部分から生じる称呼によって、その称呼が「ウララ」に特定され得るものであり、また、各段における文字の大きさが同じで、かつ、各段の間隔も広いこととあいまって、中段及び下段の文字が上段の欧文字の読みを表したものではないと捉えられることもあるから、本件商標は、「ウララ」の称呼を生じるほか、その構成全体から「ウララウララウララ」の称呼をも生じるものである。
そして、被請求人は、「うらら」の平仮名のみの使用をもって、本件商標の使用を証明しようとしている。
したがって、被請求人が挙げた事例は、本件とは事案を異にするものである。
カ 被請求人は、平成22年(行ケ)第10336号の判決例を挙げ、「ウララ」の使用が本件商標の使用である旨主張するが、該判決例における登録商標の構成中、欧文字からなる「YUJARON」部分は、一般的なローマ字表記で表されたものと認識されるものであり、「ユジャロン」の称呼しか生じないものであるから、該判決例は、本件とは事案を全く異にする。また、該判決例においては、登録商標の構成中、欧文字からなる「YUJARON」部分と片仮名からなる「ユジャロン」部分のみから出所表示機能を生じると判断され、実際にも欧文字からなる「YUJARON」と片仮名からなる「ユジャロン」とが商標として使用されていた事実をもって社会通念上の同一が認められたものであるから、該判決例を本件に当てはめることは、当を失する。
(3)「デイサービスセンターうらら」のパンフレット
被請求人は、乙第2号証により、パンフレットを年間100枚程度配布し、現在も継続して配布している旨主張しているが、同号証に係る納品書、請求書及び納品書(控)の日付はいずれも2005年2月18日であるから、同号証は、要証期間内である2011年(平成23年)3月26日から2014年(平成26年)3月25日までに該パンフレットが頒布された事実について証明するものとは到底いえない。
(4)「地域包括支援センターうらら」の提供するサービスについて
ア 被請求人は、乙第3号証及び乙第6号証により、「地域包括支援センターうらら」の表示を「老人の養護」の役務について使用している旨主張するが、乙第3号証によると、「地域包括支援センターうらら」の提供するサービスは、単なる電話相談であり、たとえ、その相談内容が介護に関する内容に及ぶとしても、「老人の養護」の役務を提供するものとはいえない。
また、商標法にいう役務とは、「他人のためにする労務又は便益であって、付随的でなく独立して市場において取引の対象となり得るもの」(東京高等裁判所 平成11年(行ケ)第390号事件 平成12年8月29日判決参照)と解されるところ、上記電話相談が独立して対価を得ていることは、乙第3号証及び乙第6号証からはうかがえず、「地域包括支援センターうらら」の提供するサービスは、そもそも商標法上の役務に該当しない。
さらに、乙第3号証の「うらら社協だより No.138」の2頁及び3頁には「地域包括支援センターうらら」の表示がなく、使用商標が把握できないばかりか、2頁には介護保険に関する記載があるのみで、「老人の養護」の役務の提供について証明するものではない。
イ 被請求人は、「地域包括支援センターうらら」が介護及び福祉に関する相談を受けていること並びに「介護に関する相談」が第44類の類似群コード「42W02」に該当することをもって、「老人の養護」の役務を提供している旨主張するが、「介護及び福祉に関する相談」は、あくまで相談に応じているだけであって、養護するには至っていないのであるから、これが「老人の養護」に該当することはない。
ウ 被請求人は、商標法上の役務に対価は不要であり、たとえ、対価が必要であるとしても、社協会費が対価である旨主張するが、独立して対価を得ているか否かは「付随的でなく独立して市場において取引の対象となり得るもの」を判断する上でのメルクマールとなるものであり、社協会費は「介護及び福祉に関する相談」と対価的な関係にはないものと考えられるから、該「介護及び福祉に関する相談」は、そもそも商標法上の役務に該当しない。
(5)「老人福祉センターうらら」の提供するサービスについて
ア 被請求人は、乙第4号証及び乙第6号証により、「老人福祉センターうらら」の表示を「老人の養護」の役務について使用している旨主張するが、乙第6号証によると、「老人福祉センターうらら」の提供するサービスは、単に各種施設を提供するものであることが明らかであり、「老人の養護」の役務を提供するものではない。
イ 被請求人は、「デイサービスセンターうらら」のパンフレット(乙2)をもって、「老人福祉センターうらら」の提供する役務が「老人の養護」に該当しない旨の請求人の主張を排斥しようとするが、乙第6号証の組織図に示されているとおり、「老人福祉センターうらら」と「デイサービスセンターうらら」とは異なる施設であり、「老人福祉センターうらら」の提供する役務を検討するに当たり、乙第2号証のパンフレットは、全く関係がない。
よって、「老人福祉センターうらら」の提供する役務は、「老人の養護」に該当しない。
(6)「デイサービスセンターうらら」の事業所廃止のお知らせについて
被請求人は、乙第5号証により、「デイサービスセンターうらら」の表示を「老人の養護」の役務について使用している旨主張するが、乙第5号証は、「デイサービスセンターうらら」の事業所廃止についてお知らせする内容のものであり、何らその表示に信用を化体させる行為ではないから、要証期間内における法目的に沿った実質的な使用の事実を証明するものではない。
また、乙第5号証中の「訪問介護事業所うらら」の記載については、その記載のみで使用の事実を認めるには至らない。
(7)ホームページのプリントアウトについて
ア 被請求人は、乙第6号証のホームページのプリントアウトを証拠として提出しているが、ホームページのプリントアウトは、そのホームページが更新された日時が明らかではなく、既に実態のない過去に掲載された情報が残っている可能性もある。現に、乙第6号証のそれには、事業所を廃止したはずの「デイサービスセンターうらら」についての記載がある。
よって、上記ホームページのプリントアウトは、要証期間内における本件商標の使用の事実を証明するものではない。
イ 乙第5号証によれば、「デイサービスセンターうらら」は、平成26年4月1日に事業所自体を廃止したはずであるが、乙第14号証によれば、同日付けにて、ホームページの維持管理等に関する業務委託契約書が交わされており、協議会の事情の変化が反映されずにホームページが維持されていることを証明するものである。
この点、ホームページ上での商標の使用等、いわゆる広告的使用については、事業所が存続していたという事実だけではなく、その事業所で実際に指定役務に関する業務が提供されていた事実が伴ってこそ、商標の実質的な使用といえるものである。
(8)まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証を総合的に判断しても、本件審判の請求の登録前3年以内の本件商標の使用の事実を証明したものとは認められない。
よって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、本件審判の請求に係る役務について、取消しを免れない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を答弁書及び口頭審理陳述要領書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、本件審判の請求に係る「老人の養護」について、要証期間内に、通常使用権者である協議会により使用されている。
(1)本件商標の使用者
ア 本件商標権者の定款の第29条(発起人の氏名、住所及び引受株式)によれば、土浦市は、本件商標権者の設立時に9,000万円(1,800株)を出資しており(乙7)、また、本件商標権者の現在の代表取締役は、土浦市の現市長である(乙8)ことから、土浦市と本件商標権者とは、資本的に密接な関係にある。
また、土浦市は、社会福祉法により、協議会を金銭的に支援することが義務づけられており、協議会の定款第2条(事業)には、「(8)土浦市障害者自立支援センターの管理・経営」及び「(9)土浦市老人福祉センター『湖畔荘』・『うらら』の管理・経営」をすることが規定されている(乙9)。そして、協議会の理事は、土浦市の現市長である(乙10)。
上記のとおり、本件商標権者、協議会及び土浦市の間には、資本的にも密接な関係があるため、本件商標は、当然に協議会により使用されることが許されていたものであり(乙11)、協議会が通常使用権者であることが判然とする。
イ 本件商標権者は、土浦市駅前開発で完成したウララビルの管理をするために設立された会社であり、同ビルに入居し、本件商標を使用したいとするテナントに対し、口頭でその使用を許諾していた。そして、協議会も、同ビル4階に入居しているテナントである。
なお、「取消2006-30444」、「取消2006-30956」及び「取消2006-31092」の各審判事件においては、「通常使用権の許諾自体は口頭の契約であっても有効なもの」と解されている。
ウ 「商標『うらら』に関する確認書」(乙11)には、「甲所有の登録商標第4444569号(以下『商標うらら』という)」と記載されていることから、三段構成の本件商標を定義したものであることは明らかであるが、請求人に誤解を与えることのないように、再度、作成した確認書(乙16)を提出する。
(2)本件商標と使用に係る「うらら」の表示との同一性
「平成11年審判第30862号」、「取消2000-30942」及び「取消2006-30194」の各審判事件(乙12、乙13)においては、三段書きからなる登録商標について、それを構成する各段いずれかの商標を使用することが「社会通念上同一の商標」の当たると認定されており、また、知的財産高等裁判所の平成22年(行ケ)第10336号事件に係る判決(平成23年1月25日判決)では、三段書きで、かつ、各段の間隔も広い構成からなる商標について、その構成中、中段の「ユジャロン」の片仮名のみの使用を「社会通念上同一の商標」の使用と認めていることに照らせば、本件商標の構成中の「うらら」の平仮名のみの使用についても同様に、本件商標と社会通念上同一の商標の使用である。
(3)「デイサービスセンターうらら」のパンフレット
乙第2号証は、通常使用権者である協議会がデイサービスセンターの利用者に配布して、同センターの内容を利用者に知ってもらうために作成したパンフレットであるところ、その表紙の左上部には、本件商標である「うらら」の文字が印刷されており、同じく、右上部にある「デイサービスとは?」の文字の下方には、「高齢者の方が食事や入浴などの介護サービスを日帰りで受けられる」との記載があることから、本件商標が本件審判の請求に係る「老人の養護」について使用されていることは明らかである。
そして、上記パンフレットは、「株式会社いなもと印刷」により、2005年2月18日に、同日付けの納品書、請求書及び納品書(控)とともに、1,000部納品されたものであり、その納品以後、「土浦市デイサービスセンターうらら」の受付に置かれ、年間100部程度、同センターの来訪者に配布され、現在、その在庫は3部にすぎない(乙18)。
(4)協議会による本件商標の使用
ア 「つちうら社協だより」
乙第3号証ないし乙第5号証は、いずれも協議会が発行している「つちうら社協だより」であり、これらによれば、本件商標は、本件審判の請求に係る役務に使用されている。
(ア)乙第3号証は、2013年(平成25年)4月16日に発行された「つちうら社協だより」(No.138)であって、その2頁には、「平成25年度重点目標」の一つとして、「介護保険サービス」との記載がある。また、その3頁には、「介護保険事業」の見出しの下、「介護保険サービスを利用される方を対象にケアマネジャーによる介護サービス計画の作成」との記載があり、同じく、「地域包括支援センター」の見出しの下、「高齢者のみなさんが住み慣れた地域で安心して生活を続けていくため、介護が必要な状態にならないように『介護予防サービス』のプランを作成するとともに、・・・また、要介護状態になっても、必要なサービスが提供され、・・・高齢福祉の推進に努めました。」との記載がある。さらに、その5頁には、「地域包括支援センター」の見出しの下、「健康や医療、介護及び福祉に関する高齢者の様々なご相談に保健師(省略)、社会福祉士などの専門職員が対応します。」との記載がある。
よって、上記「地域包括支援センター」は、「介護に関する相談」も受けていることが明示されており、「介護に関する相談」は、第44類の類似群コード「42W02」に該当するものであって、「老人の養護」と同一の役務と考える。
なお、請求人が挙げた東京高等裁判所判決(平成11年(行ケ)第390号)には、役務に対して対価を得なければならないことまでは明示されていないことから、対価は、必要ではない。仮に、対価が必要であるとしても、乙第3号証の8頁には、「平成24年度 社協会費」の見出しの下、「一般会費 13,565,200円」及び「施設会費 630,000円」との記載がある。
(イ)乙第4号証は、2013年(平成25年)6月18日に発行された「つちうら社協だより」(No.139)であって、その3頁には、「■介護保険・障害福祉サービス事業」の欄における「居宅介護支援事業・訪問介護事業等」との記載及び「■施設管理運営等事業」の欄における「土浦市老人福祉センター『湖畔荘』・『うらら』の管理運営等」との記載、同じく、6頁には、「老人福祉センター施設紹介」の見出しの下、「うらら」との記載があることから、本件商標が本件審判の請求に係る役務に使用されている。
(ウ)乙第5号証は、2013年(平成25年)9月17日に発行された「つちうら社協だより」(No.140)であって、その4頁には、「居宅介護支援事業所及びデイサービスセンターうららの事業所を廃止いたします」の見出しの下、「うらら」との記載があるほか、「訪問介護事業所うらら」、「居宅支援事業所」、「指定通所介護(指定介護予防通所介護)」及び「指定訪問介護(指定介護予防訪問介護)」との記載があり、「デイサービスセンターうらら」は、平成26年4月1日をもって廃止するとされているのであるから、同日までは継続している。
よって、本件商標は、要証期間内に、本件審判の請求に係る役務に使用されていた。
イ 協議会のホームページ
(ア)乙第6号証は、協議会のホームページを2014年(平成26年)5月9日にプリントアウトしたものであるところ、その2頁には、協議会の組織・事務局体制に係る組織図において、「土浦市老人福祉センター『うらら』」、「土浦市デイサービスセンター『うらら』」及び「地域包括支援センターうらら」との記載、同じく、3頁及び4頁には、「老人福祉センター『湖畔荘』『うらら』」を紹介する記載、同じく、5頁には、「老人福祉センター『うらら』」を紹介する記載があることから、本件商標が本件審判の請求に係る役務に使用されている。
なお、乙第6号証には、「うらら」の表示を使用する役務が明記されていないが、例えば、乙第2号証において、「うらら」が「デイサービス」及び「通所介護」について使用されていることなど、被請求人の主張及びその提出に係る証拠を総合判断すれば、「うらら」は、本件審判の請求に係る役務に使用されている。また、「デイサービスセンターうらら」と「老人福祉センターうらら」とは、いずれも協議会内に存在する施設であり、例えば、乙第4号証の6頁において、「老人福祉センター施設紹介『湖畔荘・つわぶき・うらら』」の見出しの下、「趣味・レクリエーション活動を通じて、教養の向上や健康増進が図れるよう、サービスを提供しています。」及び「身体などに障害のある方、また、重い障害がある方に付き添って介護されている方がご利用されるときは、利用料が免除されます。」と記載され、同じく、「趣味クラブ・生きがい教室活動報告」の見出しの下、趣味活動を支援している旨の記載がされているとおり、介護の役務を提供している。
(イ)乙第14号証は、乙第6号証に係る協議会のホームページの制作及び維持管理業務を受託した「ユニビスタシステムズ株式会社」(以下「ウェブ制作管理者」という。)による証明書であり、これにより、協議会とウェブ制作管理者とは、平成22年度から平成26年度までの間継続して、協議会のホームページの制作及び維持管理に関する契約を締結しており、また、平成26年5月9日にプリントアウトした乙第6号証は、同22年4月26日にウェブ上にアップされ、その後、同27年2月2日まで継続して開示されていることが明らかとなる。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について
(1)被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば,以下の事実が認められる。
ア 乙第2号証は、協議会の業務に係る「デイサービスセンターうらら」に関するパンフレット並びにその納品に係る納品書及び請求書であるところ、該パンフレットの表紙には、顕著に表された「うらら」の文字のほか、「デイサービス(通所介護施設)とは?」の見出しの下、「『要支援』『要介護』の認定を受けた,又は生きがい活動支援通所のご利用希望者の高齢者の方が、食事や入浴などの介護サービスを日帰りで受けられる施設。ご利用者の自立とご家族の介護負担を軽減することが目的です。」との記載があり、該パンフレットの3頁には、介護認定を受けている者であれば誰でも同施設を利用できる旨の記載がある。
また、上記パンフレットは、2005年(平成17年)2月18日に、「株式会社いなもと印刷」から「土浦市デイサービスセンターうらら」へ1,000部納品され、その後、来訪者向けに「デイサービスセンターうらら」の受付に置かれた。
イ 乙第5号証は、協議会の発行に係る2013年(平成25年)9月17日付け「つちうら社協だよりNo.140」であるところ、その4頁には、「居宅介護支援事業所及びデイサービスセンターうららの事業所を廃止いたします」の見出しの下、「土浦市社会福祉協議会では、事業の見直しにより平成26年4月1日をもちまして、指定居宅介護支援事業所『土浦市社会福祉協議会』及び指定通所介護(指定介護予防通所介護)事業所『デイサービスセンターうらら』を廃止することにいたしました。」との記載がある。
ウ 乙第6号証は、協議会のホームページを2014年(平成26年)5月9日に紙出力したもの(全6葉)であるところ、その5葉目には、「デイサービスセンター『うらら』(通所介護事業)」の見出しの下、「デイサービスセンター『うらら』は、『要支援』『要介護』の認定を受けた方が食事や入浴、機能訓練(リハビリ)などの介護サービスを日帰りで受けられる施設です。」との記載がある。
エ 乙第14号証は、協議会のホームページのウェブ制作管理者から協議会会長へあてた平成27年2月2日付け「貴議会ホームページ掲載内容についての証明書」と題する書面に乙第6号証の写し及び協議会とウェブ制作管理者との間で締結された「業務委託契約書」の写し(平成22年度ないし平成26年度に係るもの)を添付したものであるところ、該書面には、該業務委託契約書に基づき、乙第6号証として提出された内容が同22年4月26日から同27年2月2日まで継続して協議会のホームページ上に掲載されていたことに相違ない旨の記載がある。
オ 乙第16号証は、本件商標権者を甲とし、協議会を乙とする、平成27年2月10日付け「商標『うらら』に関する確認書」と題する書面であるところ、該書面には、本件商標について、甲が乙に対し、本件商標の登録後であって、乙の管理に係る老人福祉センター「うらら」及び地域包括支援センター「うらら」の開設以後に、本件商標と同一若しくは類似又は社会通念上同一の範囲において、本件商標の指定役務に自由に使用することを許諾するといった申合せがあったことを、甲乙相互に確認する旨の記載がある。
(2)上記(1)において認定した事実によれば、本件商標権者は、協議会に対し、本件商標をその指定役務について使用することを許諾しており、協議会は、該許諾に基づき、自己の業務に係る通所介護施設であるデイサービスセンターについて、平成17年2月18日以降、同26年4月1日に同センターが廃止されるまでの間、同センターのパンフレットに「うらら」の商標を使用していたものと推認される。
また、協議会は、平成22年4月26日から同27年2月2日までの間、上記「うらら」の商標の使用に係るデイサービスセンターに関する情報を自己のホームページに掲載していたことが認められる。
そして、上記「うらら」の商標の使用に係るデイサービスセンターにおいては、本件審判の請求に係る役務中の「老人の養護」が提供されていたと認められる。
してみれば、協議会は、本件商標権者の許諾を受けた通常使用権者であって、要証期間内に、「老人の養護」の役務の提供に係るパンフレット及びホームページ上の情報において「うらら」の商標を使用していたといえ、その使用は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」及び「役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するものと認められる。
(3)本件商標は、別掲のとおり、「URALA」の欧文字、「ウララ」の片仮名及び「うらら」の平仮名を同じ書体及び大きさで三段に横書きしてなる(各段の文字は、横幅が揃うように表されている。)ところ、上段に位置する欧文字は、辞書類に載録された既成の語とは認められないものではあるが、その文字つづり並びに「ウララ」の片仮名及び「うらら」の平仮名が併記されていることとあいまって、「ウララ」の称呼を生じるものとして理解されるとみるのが相当である。
そうとすると、本件商標は、特定の観念を生ずることのない造語である「URALA」の文字とその読みを片仮名表記した「ウララ」及び平仮名表記した「うらら」とを三段に併記してなるものと認識されるものであって、その構成全体から「ウララ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生ずることのないものというべきである。
他方、協議会が「老人の養護」の役務の提供に係るパンフレット及びホームページ上の情報において使用していた「うらら」の商標は、「ウララ」の称呼を生じることが明らかであり、本件商標の構成中の平仮名部分と同一の文字つづりからなるものである。
してみれば、上記協議会の使用に係る「うらら」の商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。
(4)上記(2)及び(3)によれば、本件商標の通常使用権者である協議会は、要証期間内に、本件審判の請求に係る役務中の「老人の養護」について、本件商標と社会通常上同一の商標を使用したと認められる。
2 まとめ
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定役務中の「老人の養護」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
別掲 別掲
本件商標


審理終結日 2015-03-23 
結審通知日 2015-03-25 
審決日 2015-04-07 
出願番号 商願平11-10599 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z42)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 敬規
井出 英一郎
登録日 2001-01-12 
登録番号 商標登録第4444569号(T4444569) 
商標の称呼 ウララ 
代理人 恩田 博宣 
代理人 中川 邦雄 
代理人 恩田 誠 
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