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審決分類 審判 判定 その他 属する(申立て成立) 029
管理番号 1300788 
判定請求番号 判定2014-600015 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2015-06-26 
種別 判定 
判定請求日 2014-04-30 
確定日 2015-05-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4038761号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「卵」に使用するイ号標章は、登録第4038761号商標の商標権の効力の範囲に属する。
理由 1 本件商標
本件登録第4038761号商標(以下「本件商標」という。)は、「たまごの村」の文字を書してなり、平成7年9月18日に登録出願され、第29類「食肉,肉製品,卵,加工卵」を指定商品として同9年8月8日に設定登録され、その後、同19年4月24日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

2 イ号標章
請求人が、被請求人が商品「卵」に使用する標章として示した標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲のとおりの構成からなるものである。

3 請求人の主張
請求人は、「被請求人が商品『卵』に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属する。」との判定を求め、その理由、当審からの審尋に対する回答書、上申書及び弁駁書において、要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)判定請求の必要性
請求人は、本件商標の商標権者であるが、被請求人が、商品「卵」にイ号標章の使用をしているところを、平成25年2月19日にイオン九州株式会社が経営するイオンモール直方店にて知り、購入した。
また、同年4月4日にも同店及び同社が経営するイオン若松ショッピングセンターにおいて、同様にイ号標章が付された商品「卵」が被請求人により販売されていた。
そこで、請求人は、本件商標の商標権の効力の範囲について判定を求めることとした。
(2)イ号標章の説明
イ号標章は、別掲のとおり、横15.8cm×縦9.5cmのラベルシートの左端から中央に向けて横10.3cm×縦5.3cmと大きく形成された商標部に、凹凸で白く縁取りされた黒文字で大きく同じ書体・同じ太さで書された「たまご村」の文字と、その左上の隅に九州の地形を表したものを二重丸で囲み、その二重丸の間に「九州育ち/KYUSHUSODACHI」の文字を付した外国において手紙に押印される印鑑のような図形を配し、右上に「たまご村」の文字の半分ないし1/3の大きさで、赤字で「E」の欧文字を丸で囲んで表記された「ビタミンE強化卵」の文字を配し、その背景に牧草地及び右隅に横3cm×縦2cmの大きさで、白色の卵が山盛りされたカゴの図形からなり、その周囲に、賞味期限、栄養成分表示、商品説明等が記載された標章である(甲第1号証の1)。
(3)本件商標の使用
請求人は、平成7年9月1日頃より、商品「鶏、鶏肉、卵、加工卵」について本件商標の使用を開始し、その後も継続して使用し、現在に至っている。本件商標は、請求人が永年使用した結果、少なくとも、平成25年2月19日の時点では、福岡、長崎、山口、宮崎、埼玉の各県及び東京において、請求人の業務にかかる商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っている 。
(4)イ号標章が商標権の効力の範囲に属することについて
ア 商品について
本件商標に係る指定商品中第29類「卵」とイ号標章の使用商品「卵」とは、同一の商品である。
イ 標章について
本件商標は、「たまごの村」の文字を書してなり、これより「タマゴノムラ」の称呼及び「卵の集まっている所」の観念が生じる。
他方、イ号標章は、上記(2)のとおりのものであり、その構成中、賞味期限、栄養成分表示等、標章右側及び下側に書された部分は、各々、その商品の産地、品質、使用の方法等、商品の説明を普通に用いられる方法で表示しているため、自他商品の識別力がなく、商標として機能しない。そして、その構成中、左上に記載されている、「九州育ち/KYUSHUSODACHI」の図形部分及び「ビタミンE強化卵」の文字部分についても、商品の産地や品質を普通に用いられる方法で表示しているため、自他商品識別力がなく、商標として機能しない。また、背景に使用されている牧草地及び白色の卵が入ったカゴの図形は、商品の生産地若しくは商品を想起させる。
したがって、イ号標章の要部は、イ号標章の左上、又は、包装容器に添付された場合は中心に位置し、他の文字よりも大きく書された「たまご村」の文字部分である。
よって、イ号標章はその態様から、「タマゴムラ」の称呼が生じ、「卵の集まっている所」の観念が生じる。
ウ 本件商標とイ号標章の類否について
(ア)称呼の類似
本件商標とイ号標章を比較してみるに、本件商標から生じる称呼「タマゴノムラ」とイ号標章から生じる称呼「タマゴムラ」は、称呼識別上最も重要な部分である語頭の「タ」、「マ」、「ゴ」の部分が共通であり、語尾の「ム」及び「ラ」の部分も共通する。両称呼の差異は、比較的聴別され難い第4音の中間音である「ノ」の音の有無にすぎず、この差異が称呼全体に及ぼす影響は小さいから、両称呼は常に明瞭に聴別し難く、それぞれ一連に称呼するときは、全体の語感・語調及び印象が極めて近似し、あらゆる年齢層の需要者が予想される商品「卵」においては、相紛らわしく類似すると判断するのが相当である。
(イ)観念の類似
本件商標とイ号標章の観念は、「村」が「(名詞について)その人々や物の集まっている所」の意味を有し、「の」が所有、所属、属性等を表す格助詞であるから、いずれからも「卵の集まっている所」の如き意味合いを生じさせ、両者は観念を同一とする。
(ウ)外観の類似
本件商標とイ号標章は、主たる構成要素である「たまご」と、「村」の各文字を共通にするものであり、これを隔離観察すると、外観においても近似するというべきである。
(エ)まとめ
上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標に接した需要者は「たまごの村」を記憶し、イ号標章の「たまご村」に接した需要者は「たまごの村」を連想するため、混同することは明らかである。
したがって、本件商標とイ号標章が全体として類似することは明らかである。
(オ)異議決定及び審決
異議の決定及び審決において、格助詞の「の」の有無に関して、称呼又は称呼及び外観において類似の商標であると判断されている(甲第6号証ないし甲第11号証及び甲第13号証)。
(5)結論
本件商標とイ号標章は、その観念、称呼及び外観において類似し、イ号標章の商品「卵」は、本件商標の指定商品中、第29類「卵」と同一であるから、被請求人が商品「卵」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、「被請求人が商品『卵』に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない、との判定を求める。」と答弁し、その理由を要旨以下のとおり述べ、その証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
(1)イ号標章が本件商標に類似しないことについて
請求人は、イ号標章は本件商標と類似すると主張している。しかしながら、下記に述べるとおり、本件商標とイ号標章とは非類似の関係にある。
ア 称呼について
イ号標章からは「タマゴムラ」の称呼が生じ、本件商標からは「タマゴノムラ」の称呼が生じることについては、被請求人も異存はない。
しかしながら、これらの称呼を比較すると、中間音において、「ノ」の音の有無の差異を有するものである。この「ノ」の音は、本件商標中の格助詞「の」に起因する音であり、格助詞であることから、本件商標を称呼する場合には、「たまごの」の部分と「村」の部分とで、一瞬区切るような語調となる。
また、「ノ」の音は、明瞭かつ明確に聴取される有声通鼻音であることを考慮すると、この「ノ」の音の差異が両称呼に与える影響は大きい。
したがって、両者は互いに聞き誤るおそれのない非類似の称呼である。
イ 外観について
イ号標章を構成する「たまご村」の文字と、本件商標を構成する「たまごの村」の文字とは、中間部において「の」の文字の有無の差異を有するため、通常の注意力があれば、両者の外観を見誤るおそれもなく、外観上も非類似である。
ウ 観念について
イ号標章も本件商標も特定の意味合いを有しない造語と認められるものであるから、比較すべくもなく、観念上も非類似である。
エ まとめ
以上のとおり、イ号標章と本件商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても非類似の商標である。
(2)請求人の提出した異議決定及び審決
請求人が本件商標とイ号標章が類似する証拠として挙げた異議決定及び審決は、甲第6号証を除けば、10年以上も前のものばかりである。近年の審決例等においては、格助詞「の」の音は、助詞であることから明確に発音されることが大きいとして、称呼上の影響が大きいと判断している(乙第1号証及び乙第2号証)。
(3)イ号標章の先使用による権利
上記(1)及び(2)で述べたように、イ号標章は本件商標とは非類似であるが、仮に類似すると判断されたとしても、そもそもイ号標章は、本件商標の出願前から使用されており、商標法第32条に規定するいわゆる先使用権を有するものである。
請求人は、甲第1号証の1等のラベルの選別包装者に「フュージョン株式会社」と記載されていることから、被請求人を相手方とする判定請求をしたものと思料するが、選別包装者である被請求人は、JA全農たまご株式会社から詳細な商品仕様書(乙第3号証)に基づいて、商品の品質だけでなく、ラベルデザインも指示された内容にしたがって、パック詰めをしているにすぎない。さらに、イオン九州株式会社との商談窓口も「JA全農たまご株式会社」であり、イ号標章の実質的使用者は「JA全農たまご株式会社」である。したがって、先使用権を有するのは「JA全農たまご株式会社」である。
そして、イ号標章の使用開始時期は、平成5年11月が最初であり、本件商標の出願日である平成7年9月18日より以前の使用開始であることが立証される(乙第4号証)。
また、イ号標章は、平成5年11月に、関西の大手スーパー量販店(当時のニチイ、ダイエー等)で販売が開始され、当時月間100トン近い取引がある大ヒット商品であり、平成7年9月18日の時点では、「たまご村」が「JA全農たまご株式会社」の前身である「近畿協同鶏卵株式会社」の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間で広く認識されている(乙第5号証)。
さらに、イ号標章は、本件商標の出願前から使用を開始しており、不正競争の目的がないことは明らかである。また、イ号標章は、平成5年の使用開始以来、関西地区、九州地区において使用を継続し、現在も判定請求書にあるように、イオン九州株式会社の各店舗等で、継続してイ号標章を「卵」に使用しているものである。
なお、「近畿協同鶏卵株式会社」は平成12年に「全農鶏卵株式会社」に吸収合併され(乙第6号証)、「全農鶏卵株式会社」は平成17年に「JA全農たまご株式会社」に吸収合併されている(乙第7号証)から、当該業務を承継した「JA全農たまご株式会社」が先使用権を有するものである。
(4)まとめ
以上のように、イ号標章と本件商標は非類似であり、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
また、イ号標章の使用は、先使用に係る使用であるため、継続して使用する権利を有するものであり、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。

4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「たまごの村」の文字を書してなり、その構成文字に応じて「タマゴノムラ」の称呼を生じるものである。
そして、本件商標は、親しまれた語である「たまご」及び「村」の各文字を格助詞「の」で結合したものであるから、その構成文字全体として「卵の集まっている所」程の意味合いを想起させるものといえる。
(2)イ号標章について
イ号標章は、前記2のとおり、横長の矩形のラベルからなるところ、その構成において、左端から中央にかけて上下左右約3分の2を占める田畑のカラー写真を背景とする部分(以下「写真部分」という。)、同ラベルの右側約3分の1の部分(以下「右側部分」という。)及び同ラベル全体の下約3分の1の部分(以下「下部分」という。)の3つの部分からなるものである。
そして、写真部分については、その中央に、白く縁取した黒色の筆書き風の書体で書された「たまご村」の文字を一際大きく表し、その左上の隅に茶色で九州の地形の図形を囲む二重円内に「九州育ち」及び「KYUSHUSODACHI」の文字を表した図形と、その右上にEの文字部分を円形状に囲んでなる「ビタミンE強化卵」の赤い文字と、その右下に籠に盛った複数の卵の写真を表してなるものである。
また、右側部分は、「バイオマス包装資材使用」、「このたまごパックはリサイクルしますので、回収にご協力ください。」等環境に関する情報が記載され、下部分は、賞味期限、個数、栄養成分表示等の説明等と共に、「選別包装者:フュージョン株式会社」、卵重軽量責任者の氏名、写真部分の構成要素を簡略化したものが記載されている(甲第1号証の1)。
そして、このイ号標章は上記のとおり、およそ3つの部分からなるといえるところ、その構成中、写真部分はその色彩の鮮やかさから取引者、需要者の目を引くものであり、「たまご村」の文字、その周りに配されている九州の地形等の図形部分及び「ビタミンE強化卵」の文字は、それぞれ視覚上分離して、看取されるものであって、これらが常に一体として把握されなければならない特段の事情も見いだせないものである。
そして、「たまご村」の文字は、その中央部に、顕著に大きく表されていることから、他の文字及び図形部分に比して極めて印象的で記憶に残りやすく、イ号標章に接する取引者、需要者は、「たまご村」の文字部分のみをもって取引することも決して少なくないといえるものである。
そうとすれば、イ号標章は、その要部が「たまご村」の文字部分にあるというのが相当であり、その構成文字に相応して「タマゴムラ」の称呼を生ずるものである。
また、イ号標章の要部である「たまご村」の文字部分は、それを構成する「たまご」及び「村」の文字が共に親しまれた語であるから、その構成文字全体として「卵の集まっている所」程の意味合いを想起させるものといえる。
(3)本件商標とイ号標章との類否について
本件商標とイ号標章を比較すると、本件商標から生じる称呼「タマゴノムラ」とイ号標章から生じる称呼「タマゴムラ」は、前半の「タマゴ」及び後半の「ムラ」の5音を共通にし、両称呼の差異は比較的聴者の印象に残り難い中間音の「ノ」の音の有無に止まるものであり、その差異をもって両称呼を常に明瞭に聴別し得るものとは認め難いものである。
そして、両商標は共に淀みなく一気に発音、聴取されるものであるから、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語感、語調が近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがあるものというのが相当である。
そして、本件商標とイ号標章の「たまご村」の文字部分の観念については、いずれも「卵の集まっている所」程の意味合いを想起させるものであって、観念を共通にするものである。
また、本件商標とイ号標章の外観については、全体としては相違するものの、本件商標とイ号標章の「たまご村」の文字部分は、「たまご」及び「村」の各文字を共通にするものであって、該文字部分においては、外観においてある程度近似した印象を与えるものである。
してみれば、本件商標とイ号標章は、観念において共通し、称呼において相紛らわしく、外観において近似した印象を与えるものであるから、これらを総合的に勘案すれば、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれのある類似する商標というのが相当である。
(4)商品について
イ号標章が使用されている商品「卵」は、本件商標の指定商品中の「卵」と同一の商品である。
(5)被請求人の主張について
被請求人は、乙第3号証ないし乙第7号証(枝番を含む。)を提出し、イ号標章について、商標法第32条第1項の規定(いわゆる先使用権)の適用がある旨を主張している。
そして、被請求人が主張する先使用は、イ号標章の実質的使用者が「JA全農たまご株式会社」であるから、先使用権を有するのは「JA全農たまご株式会社」であるとするものである。
しかしながら、甲第1号証の1によれば、イ号標章に被請求人の名称が記載され、甲第2号証の1ないし4によれば、イ号標章を付したパック入りの卵が販売されていると認められるから、被請求人はイ号標章を「卵」に使用しているということができる。一方、これらの証拠には「JA全農たまご株式会社」の表示等はなく、「JA全農たまご株式会社」がイ号標章を使用しているということができない。
そうとすれば、JA全農たまご株式会社が先使用権を有することを前提として、先使用権の適用があるとする被請求人の主張は当を得ないものである。
また、被請求人の提出した全証拠によっても、本件商標の登録出願前から「JA全農たまご株式会社」によってイ号標章が使用されていたと認めることはできない。
その他、被請求人に先使用権を認めるに足る証拠は提出されていない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(6)まとめ
以上のとおり、イ号標章は、本件商標と類似する標章であって、イ号標章について使用する商品「卵」は本件商標の指定商品中の「卵」と同一の商品である。
したがって、商品「卵」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別掲 イ号標章

(色彩については原本を参照)
判定日 2015-05-08 
出願番号 商願平7-96137 
審決分類 T 1 2・ 9- YA (029)
最終処分 成立 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 大橋 洋子
梶原 良子
登録日 1997-08-08 
登録番号 商標登録第4038761号(T4038761) 
商標の称呼 タマゴノムラ 
代理人 木戸 良彦 
代理人 木戸 一彦 
代理人 榎本 一郎 
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