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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W29
管理番号 1300770 
異議申立番号 異議2013-900116 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-06-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-04-25 
確定日 2015-05-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5551964号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5551964号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5551964号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成24年9月25日に登録出願、第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,キムチその他の加工野菜及び加工果実」を指定商品として、同25年1月10日に登録査定、同月25日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用する登録第2204616号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、昭和62年12月24日に商標登録出願、第31類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録されたものであり、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品については、平成23年2月23日に第29類「食用油脂,乳製品」及び第30類「みそ,ウースターソース,グレービーソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖(調味料),砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ(調味料),ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,うま味調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」とする指定商品の書換登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
(1)本件商標の登録を取り消すべき理由
本件商標と引用商標とは、共に語頭が「San」からなる単語とだ円形を組み合わせたものからなり、外観及びその称呼において互いに類似する商標であり、また、引用商標は、申立人の商標として広く一般に知られているから、本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるため、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標は、黒地の横長だ円形と、その中に白抜き文字で「Sanki」と表記したものであり、一方、引用商標は青地の横長だ円形と黒地の横長だ円形とを重ね、さらにその中に白抜き文字で「SanCor」と表記したものであるところ、語頭が「San」からなる単語とだ円形とを組み合わせている点で共通しており、また、「a」と「n」とを繋げたようなデザインになっていることも考えると、本件商標と引用商標は相互に類似しているものである。
(3)引用商標の周知著名性及び独創性の程度
申立人は、アルゼンチンを代表する乳製品メーカーであって、アルゼンチンのサンタフェ地方やコルドバ地方の小さな酪農組合が集まってできた大規模な協同組合であり、1938年に設立された。アルゼンチンにおける乳製品生産量の20パーセントを占め、さらに、アルゼンチンから輸出される乳製品の90%が申立人の製品である(甲4)。
(4)本件商標の指定商品等と引用商標の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度
本件商標の指定商品は、前記したように「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,キムチその他の加工野菜及び加工果実」であり、一方、引用商標について実際に使用している商品は、チーズ、ヨーグルト等の乳製品であり、共に生鮮食料品であって、極めて近しい商品といえるものである。
(5)商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商標及び引用商標が使用される商品は、共に生鮮食料品であって、その取引者及び需要者は共通しており、上述のように、本件商標は乳製品ブランドとして需要者・取引者の間に広く認識されているのであるから、商品の出所混同を生ずる可能性は大きいといえる。
(6)むすび
以上の比較によれば、本件商標をその指定商品に使用するときには、これに接する需要者は、引用商標を連想・想起し、当該商品が異議申立人の取り扱う商品であると誤信するか、又は、異議申立人との間に密接な関係を有する者の業務に係る商品であると誤信することで、その商品の出所について広義の混同を生ずるおそれがあるというべきであって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当する。

4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、黒地の横長だ円形内に、やや図案化した「Sanki」の欧文字を白抜きで表してなるところ、該だ円形部分は、看者をして白抜きで表された上記欧文字の背景として普通に用いられる範ちゅうのものとして認識されるものであり、商標として注目される構成部分とはいえず、特定の称呼及び観念が生じないものである。
一方、白抜きで表された「Sanki」の欧文字は、やや図案化されているものの、看者をして容易に「S」、「a」、「n」、「k」及び「i」の欧文字からなるものと認識できる範ちゅうのデザイン化であり、同じ書体、同じ大きさで、等間隔にまとまりよく表されていることから、大文字の「S」を語頭とする「Sanki」の文字からなる語として一体的に把握されるものである。
そして、「Sanki」の欧文字は、辞書類に載録がないことから、特定の意味合いを有しない一種の造語とみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「サンキ」の称呼を生ずるものであり、また、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、青地の横長だ円形とその内側に黒地の横長だ円形を重ね、その中心にやや図案化した「SanCor」の欧文字を白抜きで表してなるところ、構成中の図形部分は、青地と黒地のだ円形を重ねた特徴があるものの、本件商標における図形部分と同様に、白抜きで表された「SanCor」の欧文字の背景として把握されるものでもあり、特定の称呼及び観念が生じないものである。
一方、構成中の白抜きで表した欧文字は、看者をして容易に「S」、「a」、「n」、「C」、「o」及び「r」の欧文字からなるものと認識できる範ちゅうのデザイン化であり、「S」及び「C」の欧文字のみが大文字で表されているものの、同じ書体、同じ大きさで、等間隔にまとまりよく一体的に表され、さらに、「a」、「n」、「C」、「o」及び「r」の欧文字がつながって表されていることも相まって、「SanCor」からなる語として一体的に把握されるものである。
そして、「SanCor」の欧文字は、辞書類に載録がないことから、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語とみるのが相当であり、該文字からは「サンコー」又は「サンコル」の称呼を生ずるとみるのが自然である。
しかして、構成中の図形部分と欧文字とは、共に特定の観念を有せず、相互に関連性があるとは認められないことから、「SanCor」の欧文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る部分といえる。
してみれば、本件商標は、「SanCor」の文字に相応して「サンコー」又は「サンコル」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較してみるに、両者は、上記のとおり、その図形部分及び欧文字の綴り字を異にするものであるから、外観上、十分に区別し得るものである。
次に、本件商標から生ずる「サンキ」の称呼と引用商標から生ずる「サンコー」又は「サンコル」の称呼とを比較すると、「サンキ」と「サンコー」の称呼において、両称呼は3音又は4音という短い音構成であって、第3音における「キ」の音と「コ」の音という母音の違いと長音を伴うか否かの違いを有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、聴者をして、容易にその差異を認識でき、称呼上、十分に聴別可能であると認められるものである。また、「サンキ」と「サンコル」の称呼においても、第3音以降において「キ」の音と「コル」の音という違いを有することから、それぞれを一連に称呼するときは、聴者をして、容易にその差異を認識でき、称呼上、十分に聴別可能であると認められるものである。
また、両者は、いずれも特定の観念を生ずることのないものであるから、観念上、相紛れるおそれがあるとはいえない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(4)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、同人が1938年に設立されたアルゼンチンを代表する乳製品の大規模な協同組合であり、アルゼンチンにおける乳製品生産量の20%を占め、さらに、アルゼンチンから輸出される乳製品の90%が同人による製品である(甲4)旨主張する。
しかしながら、引用商標の周知性を立証するために提出された甲第4号証は、ウィキペディアによる申立人に係る英文の記事(翻訳文の提出もない。)であって、記事中に引用商標が紹介されていたとしても、引用商標が付された商品が明らかでなく、我が国における引用商標の使用の開始時期、期間、場所及び方法並びにその使用に係る商品についての宣伝広告の事実、販売数量、売上高、市場占有率等を具体的に示す証左はない。
そうとすると、申立人の提出に係る証拠方法によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されるに至っていたということができない。
また、本件商標と引用商標とが非類似の商標であることは上記(3)のとおりであるから、十分に区別し得る別異の商標として認識されるとみるのが相当である。
してみれば、本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標 色彩は原本を参照。)





異議決定日 2015-04-30 
出願番号 商願2012-77356(T2012-77356) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W29)
最終処分 維持  
前審関与審査官 石井 亮齋藤 貴博 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
今田 三男
登録日 2013-01-25 
登録番号 商標登録第5551964号(T5551964) 
権利者 株式会社三輝
商標の称呼 サンキ 
代理人 青木 博通 
代理人 磯野 政雄 
代理人 中田 和博 
代理人 片山 礼介 
代理人 柳生 征男 

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