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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2014900169 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) W41 |
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管理番号 | 1300768 |
異議申立番号 | 異議2014-900135 |
総通号数 | 186 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-06-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-05-12 |
確定日 | 2015-04-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5647196号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5647196号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5647196号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年8月7日に登録出願、第41類「スポーツ又は知識の教授」を指定役務として、同年12月11日に登録査定され、平成26年2月7日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要旨) (1)商標法第4条第1項第7号 本件商標は、その構成中に「大リーグ」の文字を含むものである。「大リーグ」は、「メージャーリーグべースボール」と同義語であり、米国のプロ野球リーグを意味する語である。プロ野球は、米国で最も盛んなスポーツの一つであり、メジャーリーグベースボールの試合は国民的なイベントとなっている。このような意味合いを有する語である「大リーグ」を含む商標を、メジャーリーグベースボールの許諾なく登録し、使用することは国際信義に反するものであり、公序良俗に反するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するから、その登録を取り消すべきである。 (2)商標法第4条第1項第11号 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、メージャーリーグべースボールの商標権を管理する団体である。申立人の引用する登録第4592825号商標、登録第4570063号商標及び登録第4956866号商標(以下、これらを「引用商標」という。)は、いずれも「MAJOR LEAGUE BASEBALL」又は「MLB」を含むものである。そして、「MAJOR LEAGUE BASEBALL」及び「MLB」は、「メージャーリーグべースボール」を意味するものであり、「メージャーリーグべースボール」、つまり「大リーグ」の観念を生じる。本件商標の構成中、「予備校」は、本件指定役務との関係において自他役務識別力が弱いものであるから、本件商標の要部は「大リーグ」の部分であり、そこから「大リーグ」の観念を生じる。よって、本件商標と引用商標とは観念において類似する。また、本件商標の指定役務と引用商標の指定役務とは類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、その登録を取り消すべきである。 (3)商標法第4条第1項第15号 本件商標は、「大リーグ」の文字を要部として含むものである。「大リーグ」は、申立人を指称する著名な表示「メージャーリーグべースボール」を意味するものであるから、本件商標を見る需要者、取引者は本件商標を使用した役務が米国メジャーリーグと関連するものであるとして出所を誤認するものである。特に、申立人は、日本を含む世界70か国以上で野球に関する教育支援プログラムを提供している。よって、「大リーグ」を含む本件商標をその指定役務に使用すると、需要者の間であたかもその役務がメージャーリーグべースボールによって、あるいはそれと関連ある団体によって提供されているかのごとき出所の混同が生じる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するから、その登録を取り消すべきである。 (4)商標法第4条第1項第19号 本件商標は、「メジャーリーグべースボール」の同義語である「大リーグ」の語を含むものである。「大リーグ」は、申立人を指称する著名表示であり、このような表示を含む本件商標が使用された場合、申立人の著名表示の出所表示機能が稀釈化され、それに化体した信用、名声が毀損されるおそれがある。また、本件商標の使用は、申立人と関連があるかのようにみせかけ、申立人の商標、名称に化体した信用にただ乗りしようとするものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するから、その登録を取り消すべきである。 3 本件商標に対する取消理由 商標権者に対して、平成26年12月26日付けで通知した本件商標の取消理由は、次のとおりである。 (1)申立人の提出に係る証拠及びその主張によれば、以下の事実が認められる。 ア 米国のプロ野球の球団によって構成される「MAJOR LEAGUE BASEBALL(メジャーリーグベースボール)」(以下「メジャーリーグベースボール」という場合がある。)は、1876年にナショナル・リーグが発足したことから始まり、1900年に「クラシックエイト」といわれる8球団が確定した(甲42、甲63)。 イ 我が国では、第二次世界大戦前の1927年より現在に至るまで、メジャーリーグベースボールをその別名「Big League」の和訳である「大リーグ」と称することも多い(甲37?甲60、甲62)。 ウ 岩波書店発行「広辞苑第6版」、小学館発行「大辞泉」、三省堂発行「大辞林第3版」等の辞書類及びフリー百科事典「ウィキペディア」には、「大リーグ」の語が「メジャーリーグ」、「メジャーリーグベースボール」と同義のものとして掲載され、「大リーガー」の語は大リーグに所属している選手を意味することが掲載されている(甲40?甲43、甲60)。 エ 米国はもとより我が国でも野球の人気は高く、従来よりメジャーリーグベースボール(大リーグ)についての関心が高かった。特に、2004年から電通が大リーグの試合の日本向け放映権を獲得し、NHK、TBS、フジテレビ等で放映するようになり、大リーグが日本の視聴者の間に浸透し、また、昨今では日本人選手が大リーグに所属し活躍していることから、本件商標の指定役務の需要者を含む一般的な需要者の間においても大リーグに関する知識はかなり豊富になっている(甲7、甲10、甲12、甲13、甲15、甲17、甲30)。 オ 「MAJOR LEAGUE BASEBALL」の標章(「MLB」の文字からなる標章及び別掲2のとおりの構成からなる「ロゴマーク」を含む。)及びその所属チームの標章は、被服等の多岐にわたる商品について使用されているほか、我が国でもメジャーリーグベースボール(大リーグ)のスポンサーになることを希望する企業が多い(甲4、甲65?甲70)。また、メジャーリーグベースボール(大リーグ)は、世界各国で野球の教育支援プログラムを提供したり、青少年に野球の指導を行っていることが窺える(甲21?甲23)。これら野球の教育支援プログラムの提供、野球の指導等は本件商標の指定役務と関連性を有するものといえる。 カ メジャーリーグベースボールのグラフィック使用に関するガイドラインには、メジャーリーグベースボールのスポンサー等が広告やマーケティング活動において使用するため、別掲2の標章と略同様のバッターのシルエットからなるロゴマークが定められているところ、該ロゴマークには青、赤及び白の色彩が付されている(甲65)。 (2)「大リーグ」の文字及びその周知性 上記(1)の事実によれば、「大リーグ」の文字は、米国のプロ野球の球団によって構成される「MAJOR LEAGUE BASEBALL(メジャーリーグベースボール)」を表すものとして理解される同義語というのが相当であって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国において広く認識されていたものというべきである。 (3)本件商標と「大リーグ」の文字との類似性 「大リーグ」の文字は、上記したとおり、「メジャーリーグベースボール」を表すものとして理解される同義語である。 他方、本件商標は、別掲1のとおり、やや図案化された「大リーグ」の文字を赤色及び白色で、同じく「予備校」の文字を青色で着色し、これらを白色の輪郭で囲んだ構成からなるものであり、「大リーグ」の文字部分と「予備校」の文字部分とに視覚上分離して看取されるものである。また、その構成中の「予備校」の文字は、本件商標の指定役務との関係において、役務の内容等を表示するためにしばしば使用される語であって、自他役務の識別力を有しないか又は極めて弱い語である。 加えて、本件商標における上記色彩は、メジャーリーグベースボールのバッターのシルエットからなるロゴマークに用いられている青、赤及び白の色彩とほぼ一致するものである。 そうとすれば、本件商標と「大リーグ」の文字とは、その構成文字において、「予備校」の文字の有無に相違点はあるものの、本件商標の構成中の「大リーグ」の文字部分は、主に赤系の色彩をもって目立つように表されていることから、これよりは、「メジャーリーグベースボール」を認識させるものであって、両者は、「大リーグ」の文字において近似した印象を与えるものである。 (4)出所混同のおそれ 以上を総合すると、本件商標は、その構成中に「メジャーリーグベースボール」を表すものとして広く知られている「大リーグ」の文字を含むものであり、同組織と何ら関係を有しない本件商標権者が「大リーグ」(メジャーリーグベースボール)の名声、信用等にただ乗り(フリーライド)し、不正の利益を得る目的で採択し使用するものといわざるを得ず、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「大リーグ」の文字部分及び色彩に着目し、該役務が「MAJOR LEAGUE BASEBALL(メジャーリーグベースボール)」、申立人又はこれらと経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (5)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。 4 商標権者の意見 本件商標について、上記3の取消理由を通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。 5 当審の判断 本件商標についてした前記3の取消理由は、妥当なものと認められるものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、同法第43条の3第2項により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標:色彩については原本参照。) 別掲2(メジャーリーグベースボールのロゴマーク:色彩については原本参照。) |
異議決定日 | 2015-03-04 |
出願番号 | 商願2013-64313(T2013-64313) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(W41)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 海老名 友子 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 田中 亨子 |
登録日 | 2014-02-07 |
登録番号 | 商標登録第5647196号(T5647196) |
権利者 | フォーフェアリー株式会社 |
商標の称呼 | ダイリーグヨビコー、ダイリーグ |
代理人 | 橋本 千賀子 |
代理人 | 特許業務法人橋本千賀子商標特許事務所 |
代理人 | 塚田 美佳子 |