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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1300728 
審判番号 無効2013-890081 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-11-19 
確定日 2015-05-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第5543850号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5543850号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5543850号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲の構成からなり、平成24年8月16日に登録出願され、第30類「菓子,パン,穀物の加工品」を指定商品として、同年11月27日に登録査定、同年12月14日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第31号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 無効事由
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同19号に該当するものであるから、同法第46条第1項に基づき、無効とされるべきである。
2 具体的事実関係等について
(1)請求人について
請求人は、1421年ころより京都において菓子の製造及び販売を行う、全国的に著名な会社であり、1715年以降に「龜屋陸奥」の屋号を名乗りはじめ、昭和39年7月、現在の「株式会社龜屋陸奥」となった。
請求人は、西本願寺(以下、単に「本願寺」という場合がある。)が建立された当時から、本願寺御用達の御供物司として、供物調達や慶事に関する諸事を担ってきたことから、カタログ等の表記には社名の前に「本願寺御用達 御供物司」という記載をしている(甲4の1)。
そして「松風」及び「西六條寺内松風」等の菓子は、「西本願寺ゆかりの銘菓」であって、請求人の代表菓子である(甲4の1及び2)。
(2)請求人の使用する商標について
請求人は、包装紙、掛紙を留めるシール及び内装袋には、本件商標を白抜きに表示し、掛紙にはエンボス加工により、本件商標と同一又は類似の商標(検甲2の1?5。以下「引用商標」という。)を「松風」箱入り商品の包装紙(2種類)、掛紙、掛紙を留めるシールについては、平成元年から25年以上にわたり、内装袋については平成11年から14年以上にわたり、本件商標の指定商品及び類似する商品等について、異なる数量の商品の大きさに合わせて使用している(検甲2の1?5、甲3の1?5。ただし、掛紙を留めるシールは、1種類のみ。)。
(3)引用商標の使用状況について
ア 包装紙、掛紙、掛紙を留めるシール、内装袋の使用歴
請求人は、昭和63年?平成元年頃、ペンシルランド社に松風やその他の菓子の包装デザインを依頼し、現在松風化粧箱入り商品に採用している包装形態は、この当時にほぼ確立した。昭和63年?平成元年に、請求人から企画・デザイン料として合計500万円弱がペンシルランド社に支払われ、広告費として計上されていることから(甲5)、遅くとも平成元年より本件商標と同一又は類似の商標を包装紙に使用し始めている。
イ 本件商標と同一又は類似の商標が使用された包装紙等の購入履歴
請求人は、包装紙をはじめとする包装材料を、ペンシルランド社を介して仕入れていた。平成元年?3年の3年間で包装費として合計68,351,512円がペンシルランド社に支払われている(甲5)。
平成4年?平成9年の6年間の元帳の所在が不明であるため、請求人がいつまでペンシルランド社から包装材料を仕入れていたかは定かでないが、包装紙をはじめとする包装材料を製造元より直接購入するようになった。
包装紙については、その後、ビーライン印刷株式会社から購入するようになった(甲6)。その後、ビーライン印刷株式会社が倒産したため、平成16年7月以降は、株式会社朝陽堂印刷から購入を開始し、現在に至っている。
箱入り松風の内袋は、平成11年9月に初版を作成し、翌月から、(株)奥田セロファンより購入を開始し、現在に至っている(甲7)。
掛紙については、平成10年3月以降、現在の包装紙の購入先の株式会社朝陽堂印刷から購入している(甲8)
シールについては、平成10年3月以降、小林織ネーム株式会社より購入し(甲9)、現在に至っている。
そして、平成10年3月(第35期)ないし平成25年(第49期)2月末の15年間の包装紙、内袋、掛紙、そして鶴丸シールの購入実績を集計すると、「鶴丸文様付包装材料購入実績」(甲10)のとおりとなり、包装紙と内袋の購入数は年平均9万枚となる。
平成10年3月以前の包装紙の購入数量については、「年間売上と荷造包装費の推移」及び「売上対荷造包装費の相関」(甲5)からすると、少なくとも近年と同程度(7?8万枚)の数量を購入していたことが推認される。
このように、請求人は、本件商標と同一又は類似の商標を使用した包装紙を25年以上、毎年少なくとも7万枚以上使用していたのである。
ウ 引用商標を表示した包装紙を使用した「松風」の販売状況
松風の販売実績について、平成18年3月1日から平成25年2月28日までを集計し、引用商標の印刷された包装紙、内装袋、シール、掛紙を使用した商品を集計した表(甲14)によれば、平成24年3月1日?平成25年2月28日は7万4123個、平成23年3月1日?平成24年2月29日は8万300個、平成22年3月1日?平成23年2月28日は7万2587個、平成21年3月1日?平成22年2月28日は7万9940個、平成20年3月1日?平成21年2月28日は8万6091個、平成19年3月1日?平成20年2月28日は9万6350個、平成18年3月1日?平成19年2月28日は9万4390個が売れているおり、上記7年間の平均販売数は、年間8万3397個であり、この松風の販売によって、引用商標が印刷された包装紙等が世間に広まっていることになる。
エ 販売店舗について
請求人「松風」の販売店舗は、(株)龜屋陸奥本店(京都、注文により全国発送)、高島屋(京都店、洛西店、大阪店、泉北店、日本橋店、新宿店、JR名古屋高島屋)、JR西日本伊勢丹(JR京都伊勢丹、SVACO、JR大阪三越伊勢丹)、京都駅観光デパート(ザ・キューブ店、ポルタ店、ASTY大原店 他)、近商ストアーハーベスト京都店、(株)開明社(聞法会館、大谷本舗、法輪)、JR東海関西開発京のみやげ、三越伊勢丹(三越日本橋本店、伊勢丹新宿店)、京阪百貨店(守口店、樟葉店)、阪急阪神百貨店(阪急梅田本店)、近畿百貨店(近鉄あべのハルカス店)、京都府物産協会等である。
オ 請求人による宣伝広告状況
請求人の引用商標を用いた主な広告宣伝については、以下のとおり
JR京都伊勢丹中元歳暮カタログ(平成9年?)(甲15の1及び2)、高島屋オンラインショップ(平成19年?)(甲16の1及び2)、ザ・キューブホームページ(平成22年?)(甲17)、京都定期観光バスのご案内(昭和62?)(甲18)、MAPPLE及びるるぶの観光ガイドサイト(平成23年?)(甲20及び甲21)
その他に、平成19年10月26日に発行された「京都を包む紙」において、まさに引用商標の印刷された包装紙が取り上げられている(甲22)。
平成22年10月10日に発行された「はじめまして京都」に掲載された写真においても、引用商標を印刷した包装紙が敢えてみえるように掲載されている(甲23)。
さらに、請求人とは関係のないブログにおいても、請求人の松風が紹介されている(甲25の1?12)
(4)被請求人について
被請求人は、請求人会社の取締役になっていた時期があり(甲26の1)、引用商標を請求人が長年上記の包装紙等に使用していることについて明確な認識があった。
なお、被請求人は、その後、競業避止義務違反を理由に請求人の取締役を解任されている(甲26の1及び2)。
(5)被請求人の本件商標の使用状況について
被請求人は、「三木都」という屋号で本件商標を「松風」という名称の菓子(請求人の販売している上記「松風」と同種の菓子。)を販売する際のカタログやホームページ(甲27の1及び2)上に掲載し、自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用している。
そして、被請求人は、請求人が長年使用している本件商標と同一又は類似の引用商標をカタログやホームページに記載すると共に、請求人の御供物や松風等を掲載し、西本願寺とゆかりのある請求人と関係があることを売りにして商売をしている
ア カタログ
甲27の1のカタログは、被請求人のカタログでありながら、以下の内容又は写真を掲載しており、被請求人の商品を請求人の商品に変更すれば、そのまま請求人のカタログとして使用できるようになっている。
(ア)「龜屋睦奥」の屋号の由来
(イ)請求人が「御本山御用菓子」を提供してきたこと
(ウ)請求人の販売している「松風」の写真
(エ)請求人も自社カタログに使用の申立人を連想させる亀の置物の写真
(オ)請求人が西本願寺に納めた御供物であり、申立人の「松風」を使用した御供物の写真
イ ホームページ
被請求人は、自身が本願寺に納めてもいない御供物の写真や、請求人が以前使用していたカタログの写真をホームページにも載せており、あたかも被請求人が、ホームページに掲載している御供物を本願寺に納めているような体裁をとっている(甲27の2、2?4頁)。
ウ その他
(ア)ジュニア京都検定(テキストブック)における写真について
被請求人は、本件商標と同一又は類似の商標をツイッター上に掲載するとともに、「ジュニア京都検定」の「松風」の写真は被請求人の提供である旨掲載している(甲28の1)が、これに掲載されている「松風」の写真は、請求人が提供している(甲28の2)。ここでも、被請求人は、西本願寺とゆかりのある請求人との関係をことさら強調している。
(イ)百貨店等における誤認について
数年前から、被請求人は、西武百貨店(東京池袋)(甲29の1)、横浜そごう、大丸松坂屋オンラインショッピングにも商品を出品している(甲29の2)。
平成23年6月10日に西武百貨店の諸国銘菓コーナーに展示された店舗紹介のカードには、「閑静な京都御苑東にある老舗『三木都』その名店が作る伝統銘菓『松風』に京丹波産の黒豆を使用することにより独自のしっとり感を生みだしました。百貨店初登場のお味をどうぞ。・・・限定入荷商品・・・」との記載があり(甲29の1)、開店2年程の店を「老舗」と表示していることからして、被請求人が西武百貨店への売込みに際して、請求人の社名あるいは請求人との関係を使ったことは明らかであり、西武百貨店においては、そもそも被請求人と請求人を誤認していると考えられる。
(ウ)インターネット情報における誤認について
上記したとおり、被請求人が西本願寺と関係があるかのような表現をしたり、カタログやウェブページ上に請求人の社名や請求人の御供物や「松風」を記載したり、また、店頭で請求人と関係がある者と説明したりしているために、一般人は、以下のとおり、請求人と被請求人を誤認している。
a 「老舗若主人のこだわりの『松風』三木都(みきと)」、「あの龜屋陸奥息子さんが『松風』と『御供物』を作るために作ったという三木都(みきと)」(甲30の2)。
b 「お供物も、龜屋陸奥さんの分家?『三木都』さんに検討してもらっていますし・・・」(甲30の3)。
c 「その7条にあるのが龜屋陸奥。そこの息子さんって言ってはったかな・・・」(甲30の4)。
これらを記載した人々は、明らかに請求人が被請求人に暖簾を分けたような関係があると誤解している。
また、これらの記載では、単に「三木都」という店を紹介するのではなく、請求人の社名を出しており、いかに請求人の知名度が高いかを表している。
さらに、「そんな『龜屋陸奥』が、京都御所の東側(下切り通し)の『イストワール御所東』に開いたのが『三木都』」(甲30の5)のように、被請求人を請求人の支店のように認識している誤認の酷いブログもあるほか、「株式会社龜屋陸奥のブログ記事」というウェブページ(甲30の6)からのリンク先の「[和菓子探検隊]三木都の松風」(甲8の7)なるページの冒頭には、「西本願寺の御用菓子」と記載され、「三木都(みきと)は亀屋睦奥を本家とし、『松風』と『御供物』を作るために出したお店。」と紹介されており、ここでも被請求人が請求人の支店のような扱いをされている。
3 商標法第4条第1項第10号について
引用商標は、平成元年から現在に至るまで、請求人の製造する「松風」の箱入り商品の包装紙、掛紙、掛紙を留めるシールに25年以上、また、内装袋に14年以上にわたって、本件商標と同一又は類似の引用商標を使用しており、本件商標の出願時点で、既に請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。
それゆえ、被請求人が本件商標を自己の菓子等の商品又は役務について使用をすることは、請求人の未登録の周知商標である引用商標に抵触する。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものである。
4 商標法第4条第1項第15号について
請求人が25年以上も本件商標と同一又は類似の引用商標を包装紙等に使用しているため、被請求人が本件商標をカタログやホームページで業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用すると、上記のとおり、既に請求人と被請求人を誤認・混同している状況にさらに拍車をかけることにつながり、請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に該当しないとしても、同第15号に該当し、無効である。
5 商標法第4条第1項第19号について
被請求人は、請求人に勤務し、取締役になっていた時期もあり、請求人が請求人の周知商標となっている本件商標と同一又は類似の引用商標を、長年に亘り請求人の「松風」の箱入り商品の包装紙、掛紙、掛紙を留めるシール、内装袋に使用しているのを知っているにもかかわらず、敢えて本件商標の商標登録を行った上で、自己の業務に係る同じ名称の「松風」の商品又は役務を表示するものとして使用している。
また、被請求人は、一般人に本願寺の御用達である請求人との誤認・混同を生じさせ、請求人が老舗の本願寺御用達であるという請求人の業績にただ乗りして、既に百貨店への出店等、業務の拡大を行って利益を得ている。
このような行為は、被請求人が不正の利益を得る目的、請求人に損害を加える等の不正目的であることが明らである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当しないとしても、同第19号に違反してなされたものである。
さらに、請求人は、被請求人がホームページやカタログに表示している文言や画像が請求人の商品と被請求人の商品を誤認・混同させる等、不正競争防止法に違反していることを理由に被請求人に対し、それらの使用の差し止めを求める仮処分を京都地方裁判所に申し立て、平成25年9月9日に請求人の申立を認める決定が出されている(甲31)。

第3 被請求人の主張
1 請求人と被請求人の関係、並びに本件商標の由来
請求人と被請求人との関係については、「松風」という菓子が、織田信長と石山本願寺との合戦のさなかに大塚治右衛門春近という人物によって創製されたものである点、及びその血筋を引く者が長年「松風」の製法を継承してきた点については請求人も異論は無いはずである。
本件商標は、鶴とそのくちばしに銜えられた三枚の公孫樹の葉とを写実的に表した図形からなり、大塚治右衛門春近を三代目とする大塚家を象徴する「紋」である。即ち、大塚家が本願寺の供物を代々調達していたことから、戦国時代の本願寺の紋であった鶴と、本願寺火災時に水を吹いて消したと言われる公孫樹の葉とを合わせた本件商標を大塚家の紋とさせて頂くことが許された。請求人が設立された昭和39年よりもはるか昔、大塚家が「龜屋陸奥」の屋号を名乗るよりも前のことである。以来、本件商標は、大塚家直系の男子に家紋として受け継がれてきたもので、引用商標が描かれた包装紙は、被請求人の実父・故大塚新一が前記家紋に基づいて作成したものである。
そして、被請求人は、「松風」の製造技術を被請求人の実父・故大塚新一から伝授されて現存する大塚家直系の唯一の男子であり(乙1の1?3)、大塚家の繁栄と「松風」の正しい製造技術の保護を祈念して本件商標を商標登録出願するに至った。
一方、請求人の代表取締役として登記されている2名は、いずれも大塚家の血筋を引く人物ではないうえ、「松風」の製造現場での実務を経験もしていない。したがって、現在の請求人の経営者は、公孫樹の葉を街えた鶴の紋と本質的には何のゆかりも有していないのである。
2 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性
(1)請求人の知名度
法人化する前の「龜屋陸奥」が老舗であることは認める。
しかし、請求人自体は、全国和菓子協会(乙2)にも全国銘産菓子工業協同組合(乙3)にも加盟していないし、「京都人が選んだ京都のおいしいもん」(乙4)、「コトログ京都和菓子」(乙5)、「Yahoo!知恵袋」(乙6)などのWebサイトにも登場していない。
したがって、請求人が全国的に著名な会社であるというのは、請求人の奢りにすぎない。
(2)請求人にとっての引用商標の位置づけ
請求人の商号は「株式会社龜屋陸奥」であり、動物として亀が含まれていることから、請求人が自己の業務を表す標識として積極的に使用しているのは、亀の甲と陸奥の文字とを組み合わせたロゴである(乙7)。
一方、引用商標に描かれている動物は、鶴であって、通常の想像力からすれば請求人を連想させることはない。
したがって、請求人は、引用商標を商標として全く認識しておらず、単に包装紙の柄に使用しているにすぎない。
(3)引用商標が使用されている「松風」の知名度
請求人は「龜屋陸奥といえば松風」というが、「松風といえば龜屋陸奥」ではない。
即ち、下記のとおり請求人の他にも松風を製造販売する業者が少なからず存在する。
[松屋常磐]京都市中京区堺町通丸太町下る
[松屋藤兵衛]京都市北区紫野雲林院町
[御菓子司玉井屋本舗]岐阜市湊町
[松風本家正観寺丸宝]熊本県菊池市隅府
[御菓子司雲水堂]奈良県磯城郡田原本町堺町
さらに、平成24年春に廃業しておられるが、京都市下京区大宮通花屋町下るに「音羽屋老舗」という名の業者も存在していた(乙8)。この音羽屋老舗は、西本願寺が松風を購入する際に請求人と均等に受注していた業者である。なお、同証の上端に記載されている「開明社」とは、西本願寺に出入りする約50の御用達からなる組織である。
したがって、全国で製造販売されている「松風」の中で請求人の商品が周知性を有しているわけではない。
(4)請求人の商品「松風」の売上
請求人の最も大切な取引先である西本願寺は、前記「開明社」に属する指定業者から仕入れることを原則としており、引用商標をもって仕入れ先を確認しているのではない。
また、請求人の売上の大部分は請求人も自認するように徳用袋に入れられた松風が占めている(甲14)。徳用袋に入れられる商品とは、箱入りの松風が短冊形をなして整列して箱詰めされているのに対して、不定形の松風が無作為に袋詰めされたものである。この徳用袋には引用商標が全く使用されていない(乙9)。
被請求人が請求人に在籍していた当時の記憶に基づいて徳用と箱入りとの切り分けかたからすれば、請求人の年間売上を1億8千万円としても箱入りは5千万円程度である。このうち各取引先において売上の大きな割合を占める松風8枚入には引用商標が使用されていない。したがって、引用商標が使用されている商品の売り上げは5千万円にはるか及ばず、日本全国における平成22年?平成24年小麦粉使用せんべいの小売り金額725億円?745億円、同じく和生菓子の小売り金額4650億円?4820億円 、その他の菓子の小売り金額2440億円?2470億円(乙10の1及び2)からして僅かである。
(5)需要者が受ける引用商標の印象
引用商標は、包装紙への使用形態において形状線を除く全ての部分に包装紙の地色と同じ色が用いられている。しかも商標らしくなく包装紙のほぼ全面に亘って描かれているから、包装された商品「松風」が置かれている売り場などで客が商品を凝視したとしても、引用商標の一部を認識するだけである。また、シールに至っては箱の底面側に貼られるから、購入時には全く見られることはなく、購入後は直ぐに破られて原形を失うものである。
さらに前記のとおり、請求人の商号に含まれている動物は、亀であるから、鶴が大きく描かれた引用商標はかえって請求人以外の出所を需要者に連想させる。
したがって、引用商標は需要者にとって記憶に残りにくく、需要者は引用商標を手がかりとして信用して購入するのではない。
(6)請求人による引用商標の広告宣伝
請求人は、甲第15号証?甲第21号証に基づき、引用商標を積極的に用いて「松風」を販売している旨、主張している。
しかし、前記のとおり請求人は、自らのホームページに引用商標を使用していないうえ、百貨店のカタログに至っては、引用商標の一部が薄く写っているだけであるから、公孫樹の葉などは判別不可能であるし(甲15)、各種オンラインショップや案内(甲16?甲21)にはいずれも引用商標が見えない。また、公孫樹の葉を銜えた鶴の紋に関して全く言及されてない。
したがって、請求人が引用商標を用いることの積極性はどこにも認められない。
(7)需要者による引用商標の認知度
請求人は、甲第22号証?甲第25号証をもって引用商標が請求人の業務に係わる商品又は役務を表示するものとして広く認識されている旨、主張している。
しかし、甲第22号証には「松風」の文字が記載されているだけで、商品「松風」は掲載されていないうえ、同証を購入するのは、松風の需要者ではなく、包装紙自体に興味を有する極めて限られた人である。しかも同証の頒布数が不明である。
甲第23号証も頒布数が不明である。
甲第24号証は、商品「松風」が掲載されておらず、その文字も請求人の商号も記載されていないうえ、引用商標を斜めから撮影しており、しかも手前の紙袋によって遮られているので、予め引用商標の掲載を知らされている者でなければ、気づかない程度のものである。
甲第25号証の1?11は、いずれも引用商標の一部が写っているだけである。特に甲第25号証の1は引用商標を逆さに掲載し、甲第25号証の3は横に寝かせて掲載し、甲第25号証の4及び6は引用商標の中央を化粧箱や皿で隠しており、いずれも投稿者が引用商標を商標として認識していないことの証拠である。
(8)小括
以上のとおり、請求人は著名な会社ではないし、引用商標を商標と認識して積極的に宣伝し、使用しているわけでもない。また、引用商標を付した商品の売り上げは僅かである。さらに、需要者から見ても引用商標は印象に残りにくく、現実に商標として認識されていない。
したがって、本件商標の出願時及び査定時において引用商標が周知商標でなかったことは明白である。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性
(1)引用商標の性質
前記のとおり、引用商標は周知商標ではないから、その事実だけでも本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当しないことの証拠として十分である。
(2)被請求人の商品カタログ及びホームページに関して
請求人は、甲第27号証及び甲第28号証に基づき「被請求人が本件商標を使用し、西本願寺とゆかりのある請求人と関係があることを売りにして商売をしている」旨、主張している。
しかし、甲第27号証の1第2頁右下に掲載された商品「松風」は、カステラやドーナツが通常それぞれ直方体あるいは環状体をなすのと同様に、ありふれた形態を採っており、請求人の独自性も創作性も無い。
また、同証に掲載された御供物にしても請求人が意匠を考案して作成したというより、大塚家が作成したのであるが、いずれにしても西本願寺の法式規範(乙11)に基づいて作成されたものであるので、格別の創作性は無い。
甲第27号証の1の「松風の歴史は戦国時代にさかのぼります」の説明書において、「当家三代目」と述べるのは、前記のとおり被請求人が大塚家直系の現存する唯一の男子であることから、正当な表現である。そして、「御本山御用菓子としてまた京銘菓として今日につくり伝えられております」の記載についても、被請求人は現実に本願寺への菓子の納入実績を有していることから(乙12?乙14)、正当な表現である。乙第12号証において「内務室」とは、京都の西本願寺の部署名である。乙第13号証の1ないし3の金額の合計が乙第13号証の4における平成24年11月29日付けのお預り金額に対応し、乙第14号証の1の金額が乙第14号証の2における平成25年12月6日付けのお預り金額に対応する。いずれも630円の差額は振込手数料である。
ちなみに西本願寺が「御供物の松風」を発注するときは、現在でもその名宛て人を「大塚殿」と記しており、「株式会社龜屋陸奥」宛とはしていない。
甲第27号証の1に写真が掲載された亀の置物は、そもそも大塚家に代々伝わる家宝であって、請求人からとやかく言われる筋合いのものではない。
甲第28号証の2の「松風」に関する内容は、取材記者から依頼されて被請求人が「大塚家の松風」の創製エピソードを提供したものであるところ、取材記者が巻末で他の業者と足並みを揃えるために写真提供者を「龜屋陸奥」と記載したようである。
なお、甲第27号証の1では、公孫樹の葉を銜えた鶴の紋の一部が紙面からはみ出すように大きく描かれているが、商標としては明確に「三木都」(登録商標)を使用している。
以上のように、「被請求人が、西本願寺とゆかりのある請求人と関係があることを売りにしている」というのは、濡れ衣である。
(3)被請求人の百貨店等における商品販売方法
請求人は、甲第29号証の1及び2に基づいて「西武百貨店において、被請求人と請求人を誤認していると考えられる」旨、主張する。
しかし、百貨店レベルとなると商品の出所や品質を十分に吟味したうえで商品を仕入れるのが常識であり、百貨店が被請求人(個人)と請求人(法人)を誤認するなどあり得ない事である。そして、実際に被請求人の商品を百貨店の担当者が十分に吟味して取引が始まったのである。
また、老舗であるか否かは、建物の古さや屋号の使用年数で決められるものではない。被請求人は、大塚家に代々伝わる松風の製法と伝統を守り受け継いで事業を行っているのであるから、老舗と称しても偽りではない。
(4)一般人から見た請求人と被請求人との関係
請求人は、甲第30号証の1?7に基づいて「一般人が請求人と被請求人を誤認混同している」旨、主張する。
しかし、インターネット上のブログは無数に存在する。そのうち甲第30号証の1?7は、おそらく「龜屋陸奥 三木都」というキーワード検索でヒットしたものにすぎず、これらをもって一般人全般の認識ということはできない。
(5)小括
以上のとおりであるから、本件商標の出願時及び査定時において、被請求人が本件商標を被請求人の商品に使用したところで、請求人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがなかったことは明白である。
4 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性
(1)引用商標の性質
前記のとおり、引用商標は周知商標ではないから、その事実だけでも本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当しないことの証拠として十分である。
(2)被請求人が本件商標を使用する目的
請求人は、「被請求人には、請求人に損害を加える等の不正目的がある」旨、主張する。
しかし、一体どんな損害が請求人に生じているのか又は生じつつあるのか、請求人は何ら立証していない。
既に述べたとおり、引用商標は請求人の包装紙及びシールのみに商標らしくなく記憶に残りにくい態様で描かれており、需要者は引用商標を手がかりとして請求人の商品を購入するわけではなく、そこには請求人の信用は化体していない。
被請求人は、大塚家の繁栄と「松風」の正しい製造技術の保護を祈念して本件商標を使用しているのである。
なお、京都地方裁判所の仮処分決定(甲31)を求めるために請求人が同裁判所に平成24年7月26日付けで提出した仮処分命令申立書には、本件商標について一切触れられていない。即ち、この段階では請求人は引用商標を商標と認識していなかったことの証拠である。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件商標の出願時及び査定時において、引用商標が周知商標ではなく、また被請求人が本件商標を被請求人の商品に使用する目的に何の不正もなかったことは明白である。
(4)むすび
本件商標の出願時及び査定時において、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当しないことが明らかであるから、本件商標の登録は維持されるべきである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)請求人の主張及びその提出に係る証拠によれば以下の事実が認められる。
ア 請求人について
請求人は、1421年ころより京都において菓子の製造及び販売を行う会社であり、1715年以降に「龜屋陸奥」の屋号を名乗りはじめ、昭和39年7月、現在の「株式会社龜屋陸奥」となった(甲4の1、甲26の1)。 そして「松風」及び「西六條寺内松風」等の菓子は、「西本願寺ゆかりの銘菓」であって、請求人の代表的な菓子である(甲4の1及び2)。
イ 請求人の使用する引用商標について
請求人は、本件商標と同一又は類似の引用商標(検甲2の1?5)を使用しており、「松風」箱入り商品の包装紙(2種類)、掛紙、掛紙を留めるシールについては、平成元年から25年以上にわたり、内装袋については平成11年から14年以上にわたり、本件商標の指定商品及び類似する商品等について、異なる数量の商品の大きさに合わせて使用している(検甲2の1?5、甲3の1?5及び甲5?10)。
ウ 引用商標の使用状況について
(ア)松風の販売実績
平成18年3月1日から平成25年2月28日までの、引用商標の印刷された包装紙、内装袋、シール、掛紙を使用した商品は、平成24年3月1日?平成25年2月28日は7万4123個、平成23年3月1日?平成24年2月29日は8万300個、平成22年3月1日?平成23年2月28日は7万2587個、平成21年3月1日?平成22年2月28日は7万9940個、平成20年3月1日?平成21年2月28日は8万6091個、平成19年3月1日?平成20年2月28日は9万6350個、平成18年3月1日?平成19年2月28日は9万4390個が売れているおり、上記7年間の平均販売数は、年間8万3397個である(甲14)。
(イ)販売店舗
請求人が「松風」を販売する店舗は、(株)龜屋陸奥本店(京都、注文により全国発送)の他、高島屋(京都店、洛西店、大阪店、泉北店、日本橋店、新宿店、JR名古屋高島屋)、JR西日本伊勢丹(JR京都伊勢丹、SVACO、JR大阪三越伊勢丹)、京都駅観光デパート(ザ・キューブ店、ポルタ店、ASTY大原店 他)、近商ストアハーベスト店、JR東海関西開発京のみやげ、三越日本橋本店、伊勢丹新宿店、京阪百貨店等(甲14)である。
(ウ)請求人による宣伝広告状況
請求人の「松風」の主な広告宣伝については、JR京都伊勢丹中元歳暮カタログ(平成9年?)(甲15の1及び2)、高島屋オンラインショップ(平成19年?)(甲16の1及び2)、ザ・キューブホームページ(平成22年?)(甲17)、京都定期観光バスのご案内(昭和62?)(甲18)、MAPPLE及びるるぶの観光ガイドサイト(平成23年?)(甲20、甲21)であり、その他に、平成19年10月26日に発行された「京都を包む紙」において、引用商標の印刷された包装紙が取り上げられている(甲22)。
平成22年10月10日に発行された「はじめまして京都」に掲載された写真においても、引用商標を印刷した包装紙が敢えてみえるように掲載されている(甲23)。
さらに、請求人とは関係のないブログにおいても、請求人の松風が紹介されている(甲25の1ないし12)。
(2)上記(1)によれば、請求人は1715年から「龜屋陸奥」を屋号とし、現在に至るまで老舗として営業を継続しており、その代表的な取扱商品である「松風」について、平成元年よりその包装紙に本件商標と同一又は類似の引用商標の使用を開始し、平成18年以降の7年間においては「松風」の包装材として、年間約8万枚以上使用されていることが認められる。
そして、「松風」を販売する店舗は、大都市圏の有名百貨店に出店する等しており、少なくとも、京都を中心とした一定の範囲においては、多くの需要者の目に触れる販売がなされており、「松風」の包装材に表示された引用商標は、一定の周知性を有するに至っていたものと推測され、その状態は本件商標の登録査定時にも継続していたものと認められる。
2 本件商標の使用等について
本件商標は、別掲のとおりの構成よりなり、左向きの鶴のような鳥がくちばしに茎のある葉をくわえ、左右の羽を円形状に広げた図形であるところ、これは、請求人の引用商標(本件商標を白抜きに表した表示又はエンボス加工したもの)と非常に近似した構成よりなるものである。
そして、被請求人は、「三木都」という屋号で本件商標を「松風」という名称の菓子(請求人の販売している上記「松風」と同種の菓子。)を販売する際のカタログやホームページ(甲27の1及び2)上に以下のように掲載し、自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして使用している。
(1)被請求人は、自身のカタログには、請求人の以下の内容又は写真を掲載している(甲27の1)。
a「龜屋睦奥」の屋号の由来
b 請求人が「御本山御用菓子」を提供してきたこと
c 請求人の販売している「松風」の写真
d 請求人も自社カタログに使用の請求人を連想させる亀の置物の写真
f 請求人が西本願寺に納めた御供物であり、請求人の「松風」を使用した御供物の写真
(2)被請求人は、請求人が以前使用していたカタログの写真を被請求人のホームページにも載せている(甲27の2、2?4頁)。
3 不正の目的について
(1)京都地方裁判所による仮処分の決定
請求人は、被請求人がホームページやカタログに表示している文言や画像(上記2(1)及び(2)の内容及び写真等)の使用の差し止めを求める仮処分を京都地方裁判所に申し立て、平成25年9月9日にその申立を認める決定が出されている(甲31)。
(2)被請求人は、もともと、請求人の会社の取締役であった者であり、その当時には、請求人が本件商標と同一の構成よりなる引用商標を請求人の主要商品である「松風」の包装材に使用していたことは熟知していたものである(甲26の1及び2)。
そして、被請求人は、請求人の会社の取締役を解任された後において、請求人が引用商標を継続して使用していることを知りつつ、周知な引用商標と非常に近似した構成よりなる本件商標を登録出願したものであり、これは、請求人が本件商標を商標登録していないことを奇貨として、これを先取りし、引用商標に化体した顧客吸引力、信用、名声を不正に利用し、不正の利益を得る目的をもって、本件商標の登録を受けたものといわざるを得ない。
4 小括
以上によれば、本件商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていた引用商標と類似する商標であって、不正の目的をもって使用する商標というべきである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものと認められる。
5 被請求人の主張について
被請求人は、本件商標を登録出願した目的として「本件商標は、大塚家直系の男子に家紋として受け継がれてきたもので、引用商標が描かれた包装紙は、被請求人の実父・故大塚新一が前記家紋に基づいて作成したものである。そして、被請求人は、『松風』の製造技術を被請求人の実父・故大塚新一から伝授されて現存する大塚家直系の唯一の男子であり(乙1の1ないし3)、大塚家の繁栄と『松風』の正しい製造技術の保護を祈念して本件商標を
商標登録出願するに至った。」旨、また、「引用商標は請求人の包装紙及びシールのみに商標らしくなく記憶に残りにくい態様で描かれており、需要者は引用商標を手がかりとして請求人の商品を購入するわけではなく、そこには請求人の信用は化体していない。」旨を主張している。
しかしながら、引用商標が描かれた包装紙は、請求人が、その業務に係る商品「松風」について、長年にわたって使用し、一定の周知性を有するに至っていることは、前記1(2)のとおりであって、そうとすれば、引用商標と近似した構成からなる本件商標を、請求人の会社と業務上の関係がない被請求人が、引用商標と同一又は類似する商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、請求人の業務に係る商品を連想、想起するものというべきである。
そして、たとえ、本件商標が被請求人の家紋に基づいて作成されたものであり、また、被請求人が大塚家直系の者であって「松風」の正しい製造技術の保護を目的としているとしても、被請求人は、現在においては、請求人の会社と業務上の関係がないことからすれば、被請求人が、引用商標と近似した構成からなる本件商標を商標登録し、自己の商品に使用することについての正当性は、認めがたいものである。
したがって、被請求人の上記主張は採用することができない。
6 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものであるから、その余の請求理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)

審理終結日 2014-06-20 
結審通知日 2014-06-25 
審決日 2014-07-16 
出願番号 商願2012-66314(T2012-66314) 
審決分類 T 1 11・ 25- Z (W30)
T 1 11・ 271- Z (W30)
T 1 11・ 222- Z (W30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 保坂 金彦 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 亨子
今田 三男
登録日 2012-12-14 
登録番号 商標登録第5543850号(T5543850) 
代理人 矢野 正行 
代理人 竹中 由佳里 
代理人 玉村 匡 

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