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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30
管理番号 1300716 
審判番号 無効2014-890021 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-03-29 
確定日 2015-04-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5617772号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5617772号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5617772号商標(以下「本件商標」という。)は、「北海海賊温麺」の漢字を横書きしてなり、平成25年3月15日に登録出願され、第30類「魚介類を使用した調理済みの温麺」を指定商品として、同年8月8日に登録査定、同年9月27日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりである。
1 登録第1670230号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、昭和46年2月10日に登録出願、第32類「うどんめん、そばめん、中華そばめん、そうめん」を指定商品として、同58年9月21日に商標法第3条第2項の要件を具備するとして登録審決、同59年3月22日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされたものであり、さらに、平成26年3月22日存続期間満了により、その商標権の登録の抹消の登録が同年11月26日にされているものである。
2 登録第1806430号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和50年6月24日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年9月27日に設定登録され、その後、2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成18年11月1日に指定商品を第30類「うどんめん,そばめん,そうめんのめん,中華そばめん」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
3 登録第5516426号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成21年10月15日に登録出願、第30類「うどんめん,そうめん,ひやむぎ」を指定商品として、同24年5月2日に商標法第3条第2項の要件を具備するとして登録査定、同年8月24日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由の要旨を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第39号証を提出している。
1 「温麺」について
(1)「温麺」及び「白石温麺」は、元禄14年(1701年)頃、奥州白石地域で加茂久左衛門により開発された乾麺であるとされ、主として「うーめん」、「しろいしうーめん」と称呼されて、約400年間にわたって同地域で継続して盛んに製造、販売されているものであり、宮城県白石地方の伝統名産品として、需要者の間に広く知られたものとなっている。
(2)明治時代の終わり頃には温麺製造業者が多数出現してきたため、白石温麺同業組合(申合せ組合)が設立され、その後、「奥州白石温麺同業組合」(大正6年)、「奥州白石製麺工業組合」(昭和14年)を経て、昭和27年4月26日に請求人が設立されて現在に至っている。その間、これらの組合員が一貫して「温麺」及び「白石温麺」を商標として使用してきた結果、宮城県白石地方の名産品とされるようになった。
請求人は、設立以来、「温麺」、「白石温麺」等について商標登録をするように努めてきており、また、組合員以外の第三者が当該商標と同一又は類似の商標を無断で使用することを法的に禁止できるように商標保護体制を構築し、組合の協同ブランド化を図っている。
さらに、請求人は、上記商標登録について、「登録商標管理規約」を定めて商標管理をしており、自己の組合員以外の者がその商標の使用を希望する場合には、登録商標使用許諾契約書を取り交わしてその使用を許諾している。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成中に引用商標1と同一の「温麺」の文字を含んでなるものであるから、全体観察だけでなく、分離観察をもすべきものであり、その結果、本件商標と引用商標1とは、外観及び称呼において類似する商標と判断されるべきものである。
また、本件商標と引用商標2及び引用商標3とを比較すると、本件商標は、その構成中に引用商標2及び引用商標3の要部である「温麺」の文字を含んでなるものであるから、全体観察だけでなく、分離観察をもすべきものであり、その結果、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、外観及び称呼において類似する商標と判断されるべきものである。
そして、本件商標の指定商品と引用商標1ないし引用商標3の指定商品とは、「麺類」で共通しているので、類似するものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第10号について
引用商標1ないし引用商標3に係る「温麺」は、上記1のとおり、約400年の歴史がある宮城県白石地域の特産品であり、少なくとも昭和27年に請求人が設立されて以来、請求人とその組合員のみが継続して製造、販売してきた麺類の商標として長年盛んに使用してきた結果、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者に広く認識されている商標である。
してみれば、本件商標は、その構成中に「温麺」の文字を含むものであって、他人(請求人)の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標「温麺」と類似する商標であり、かつ、類似する商品について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号及び同項第11号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、前記第3において述べた請求人の主張に対し、何ら答弁していない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)「温麺」について
ア 請求人の主張及び同人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)「温麺」(うーめん)とは、白石の鈴木味右衛門が、元禄2年(1689年)9月に初めて作った油分を含まない素麺について付けた名であって、その後、「温麺」(うーめん)は、歴代の味右衛門により、その製造法についての研究及び考案、普及が図られた結果、昭和30年代には白石の一大物産にまで発展を遂げたとされている(甲9)。
(イ)白石の温麺製造業者は、明治時代の終わり頃に白石温麺同業組合(申合せ組合)を設立、その後、「奥州白石温麺同業組合」(大正6年)、「奥州白石製麺工業組合」(昭和14年)を経て、昭和27年4月26日に請求人が設立されて現在に至っており、その間、これらの組合員が一貫して「温麺」及び「白石温麺」を商標として使用してきた。
(ウ)請求人は、引用商標1ないし引用商標3のほか、例えば、組合員が共通使用していた「温麺」又は「白石温麺」の文字を含むレッテル態様の登録第777099号商標(甲10)及び登録第1030485号商標(職権調査によれば「登録第1454637号商標」の誤記と認める。)(甲11)を所有していた。
また、請求人は、自己の所有に係る登録商標につき、「登録商標管理規約」(甲12)を定めて管理をしており、組合員以外の者がその登録商標の使用を希望する場合には、個別に「登録商標使用許諾契約書」を取り交わして、その使用を許諾している(甲16ないし甲18)。
さらに、請求人は、自己の所有に係る登録商標を他人が無断で使用した場合又は一般名称的な使用法をした場合には、その都度、その使用を止めさせるべく対応をしてきた(甲13ないし甲15)。
(エ)「温麺」又は「温麺/うーめん」の商標は、請求人の組合員の製造、販売に係る商品に使用されている(甲19ないし甲34)。
そして、上記使用に係る商品は、「そうめん(乾麺)」のほか、「生麺」及び「即席麺」(甲25)や「中華そばの干し麺」(甲27)もあり、また、組合員以外の者の使用に係る商品「調理済み麺」(甲16ないし甲18)もある。
さらに、組合員の製造、販売に係る商品の中には、「モロヘイヤ温麺」、「にんじん温麺」、「そば温麺」、「ゆり温麺」、「柿温麺」、「葛粉温麺」、「古代米温麺」、「梅じそ温麺」、「柿の葉温麺」、「ノニそば温麺」、「ノニの葉温麺」、「ブルーベリー温麺」、「チャガ温麺」などといった、いわゆる変わり温麺も存在する(甲28ないし甲34)。
加えて、「温麺」又は「白石温麺」の商標は、請求人の作成に係るパンフレットや、組合員が開設するホームページにおいて使用されているほか、平成21年9月30日付け「河北新報」には、請求人が主催するイベントにおいて、白石特産の「温麺(うーめん)」を用いた創作メニューの提供が行われた旨の記事が掲載された(甲39)。
イ 上記アにおいて認定した事実に加え、前記第2のとおり、引用商標1及び引用商標3が商標法第3条第2項の要件を具備するとして登録されたことをも併せ考慮すれば、「温麺」及び「温麺/うーめん」の商標は、請求人及びその組合員が製造、販売する商品について長年継続して使用された結果、本件商標の登録出願時には既に、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたものと推認される。
(2)本件商標と引用商標との類否について
ア 本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「北海海賊温麺」の漢字を横書きしてなるところ、その構成中の「温麺」の文字部分は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていた商標「温麺」及び「温麺/うーめん」と同一又は類似の文字からなるものであるから、看者に着目され、ほかの構成文字よりも強い印象を与えるものとみるのが相当である。
そうとすると、本件商標の構成中の「温麺」の文字部分は、看者をして、分離して観察され、独立して商品の出所識別に当たっての要部として機能し得るものというべきである。
してみれば、本件商標は、その構成中の「温麺」の文字部分に相応して、「ウーメン」の称呼を生じ、「請求人の使用に係る温麺(うーめん)」といった観念を生ずるものである。
イ 引用商標1及び引用商標3
引用商標1は、別掲1のとおり、「温麺」の漢字を横書きしてなるものであり、また、引用商標3は、別掲3のとおり、「温麺」の漢字と「うーめん」の平仮名とを上下二段に書してなるものであるところ、両商標は、いずれもその構成文字に相応して、「ウーメン」の称呼を生じ、「請求人の使用に係る温麺(うーめん)」といった観念を生ずるものである。
ウ 本件商標と引用商標1及び引用商標3との類否
本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、上記ア及びイにおいて述べたとおりの構成からなるところ、両者は、その構成全体をもって比較するときは、前者において「北海海賊」の文字が存するといった差異があるものの、本件商標の構成中、独立して商品の出所識別に当たっての要部たり得る「温麺」の文字部分と引用商標1及び引用商標3とを比較するときは、「温麺」の文字を同じくする点において、外観上、近似した印象を与えるものである。
また、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、いずれも「ウーメン」の称呼及び「請求人の使用に係る温麺(うーめん)」の観念を生ずるものであり、称呼及び観念を同一とするものである。
したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標3とは、外観において近似し、かつ、称呼及び観念を同一とするものであるから、互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
そして、本件商標の指定商品と引用商標1及び引用商標3の指定商品とは、それぞれ前記第1並びに前記第2の1及び3のとおりであって、類似する商品と認められる。
(3)小括
上記(2)によれば、本件商標は、引用商標1及び引用商標3と類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標1及び引用商標3の指定商品とは類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
なお、引用商標1は、前記第2の1のとおり、既に商標権の存続期間満了(平成26年3月22日)により、その登録の抹消がされているものであるところ、本件商標の登録査定は、前記第1のとおり、平成25年8月8日にされたものであり、その査定時において、引用商標1は有効に存続していたものであるから、上記のとおり判断する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、その他の無効事由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 引用商標1(登録第1670230号商標)


2 引用商標2(登録第1806430号商標)


3 引用商標3(登録第5516426号商標)


審理終結日 2015-02-09 
結審通知日 2015-02-13 
審決日 2015-02-24 
出願番号 商願2013-23248(T2013-23248) 
審決分類 T 1 11・ 261- Z (W30)
T 1 11・ 263- Z (W30)
T 1 11・ 262- Z (W30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 田中 敬規
手塚 義明
登録日 2013-09-27 
登録番号 商標登録第5617772号(T5617772) 
商標の称呼 ホッカイカイゾクウーメン、ホッカイカイゾクウンメン、ホッカイカイゾクオンメン、ホッカイカイゾク、カイゾクオンメン、ウーメン、ウンメン 
代理人 大津 洋夫 

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