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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20163993 審決 商標
不服201317559 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項14号 種苗法による登録名称と同一又は類似 登録しない(当審拒絶理由) X41
管理番号 1300605 
審判番号 不服2012-18712 
総通号数 186 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-09-25 
確定日 2015-04-28 
事件の表示 商願2011- 90947拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「東京維新の会」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,教育研修のための施設の提供,電子出版物の提供,書籍の製作,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定役務として、平成23年12月16日に登録出願されたものである。

2 当審において通知した拒絶の理由
当審において、請求人に対し、本願商標は商標法第4条第1項第6号に該当するとして平成25年4月9日付けで通知した拒絶の理由は、別掲1のとおりである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第6号によれば、「…公益に関する団体であつて営利を目的としないもの…を表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標」は、商標登録を受けることはできないとされている。
(2)本願商標は、前記1のとおり、「東京維新の会」の文字を標準文字で表してなるものである。
当審において通知した拒絶の理由(別掲1)及び職権をもって調査した事項(別掲2)を踏まえると、以下の事実が認められる。
平成24年9月10日、野田数ら東京都議会議員(当時)3人が、東京都議会の新会派として「東京維新の会」を設立し、議員改革や脱原発依存などを目指すとした「東京都版維新八策」を公表した。
同月27日、同会派の野田数都議らは、地域政党「東京維新の会」(以下、単に「東京維新の会」という。)を立ち上げ、東京都選挙管理委員会に届け出るとともに、大阪維新の会とも連携し、日本維新の会の傘下に入った。
平成24年11月14日には、東京維新の会は、新代表を山田宏元東京都杉並区長(現、日本維新の会所属の衆議院議員)とし、日本維新の会と協定を締結して同党と協力関係を築くとともに、平成25年1月21日には、山田代表が日本維新の会の東京都支部長となり、東京維新の会所属の都議会議員2人が都議選における日本維新の会の候補として公認されることとなった。
また、同年3月28日には、東京維新の会所属の都議会議員数は、民主党を離党した鈴木勝博都議が東京維新の会に入会したことにより、再び3人となった。
以上の事実によれば、東京維新の会は、平成24年9月27日に設立された我が国の地域政党であることが認められる。
ところで、「政党」とは、「共通の原理・政策の実現のために、政権の獲得あるいはそれへの参与を企図する団体。」(広辞苑第六版)であり、「議会制民主主義を支える不可欠の要素であって、同時に、国民の政治意思を形成する最も有力な媒体」(最高裁昭和45年6月24日大法廷判決 昭和41年(オ)第444号 民集第24巻6号625頁参照)であるが、これらの趣旨は、「地域政党」においても当てはまるものである。
そして、これらの団体の活動に当たっては、政治資金規正法に基づく資金の収入支出の制限など様々な公的規制が課せられる。
そうとすれば、東京維新の会は、公益に関する団体であって、かつ、営利を目的としないものといえる。
また、前記事実によれば、東京維新の会は、平成24年の都議会の会派としての設立から、「東京都版維新八策」を公表するとともに、大阪維新の会とも連携し、日本維新の会と協力関係にある地域政党として、その活動が新聞にも度々取り上げられたことが認められる。
そうとすれば、東京維新の会は、少なくとも東京都及びその周辺地域に広く認識されているといえるものであり、同政党を表示する標章である「東京維新の会」の文字についても、少なくとも東京都及びその周辺地域に広く認識されているといえるものである。
そして、商標法第4条第1項第6号の趣旨は、同号に掲げる団体の公共性に鑑み、その権威、信用を尊重するとともに、出所の混同を防いで需要者の利益を保護するものであるから(知財高裁 平成20年(行ケ)第10351号判決、平成24年(行ケ)第10125号判決)、同号における「著名」とは、必ずしも全国的に認識されていることまでは要しないものと解されるものであり、例えば東京都及びその周辺地域に広く認識されていれば、同号における「著名」なものと判断するのが相当である。
してみると、標章「東京維新の会」は、公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものといえる。
そして、本願商標は「東京維新の会」の文字からなるものであるから、前記著名な標章「東京維新の会」と同一又は類似の商標である。
したがって、本願商標は、公益に関する団体であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標といわなければならず、商標法第4条第1項第6号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、日本維新の会が著名であることは認めるが、東京維新の会は東京近辺では少しは名前が知られているといえても、全国規模では知られていないと主張している。
しかしながら、前記(2)のとおり、商標法第4条第1項第6号における「著名」とは、必ずしも全国的に認識されていることまでは要しないものであり、また、東京維新の会は、少なくとも東京都及びその周辺地域に広く認識されているといえるものである。
また、請求人は、東京維新の会は、査定時には存在しなかったと主張するが、商標法第4条第1項第6号の判断時期は、拒絶査定に対する審判が請求された場合には、査定時の事情にかかわらず、審決時を基準として判断されるべきである。
そうとすれば、請求人の主張はいずれも採用できない。
(4)むすび
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 当審において通知した拒絶の理由
本願商標は、「東京維新の会」の文字を標準文字で表してなるものである。
ところで、当審において調査したところ、以下の(1)ないし(3)によれば、「東京維新の会」の文字は、平成24年9月に発足し、東京都港区赤坂1-11-28に主たる事務所を置き、「日本維新の会」所属の山田宏衆議院議員が代表を務め、都議会議員2人等が所属する我が国の地域政党の名称を表示するものである。
そして、政党は議会制民主主義を支える不可欠の要素であって、同時に、政党は国民の政治意思を形成する最も有力な媒体であり(最高裁昭和45年6月24日大法廷判決 昭和41年(オ)第444号 民集第24巻6号625頁参照)、また、その活動に当たっては、政治資金規正法に基づく資金の収入支出の制限など様々な公的規制が課せられるものであるから、政党は公益に関する非営利目的の団体であるといえる。
また、「東京維新の会」は、以下の(4)によれば、平成24年11月に「日本維新の会」と協定を締結して同党と協力関係を築き(以下の(1)「NEWS」欄にも「・2012/11/14 日本維新の会と協定を締結しました。」との記載がある。)、さらには、以下の(5)及び(6)のように、「東京維新の会」代表の山田宏衆議院議員が「日本維新の会」の都支部の支部長となり、また、「東京維新の会」所属の都議会議員2人が来る都議選における「日本維新の会」の候補として公認されたこと等が報道されていることからすれば、「東京維新の会」の文字は、我が国の著名な政党である「日本維新の会」と協力関係にある地域政党の名称として広く一般に知られているものと認められる。
そうすると、「東京維新の会」の文字は、公益に関する非営利目的の団体である地域政党を表示する標章(名称)であって著名なものといえる。
そして、本願商標は「東京維新の会」の文字からなるものであるから、上記地域政党「東京維新の会」を表示する標章と同一又は類似の商標であるといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第6号に該当する。
(1)東京維新の会オフィシャルウェブサイト
「NEWS」欄に、「・2012/09/27 東京維新の会として政治団体を設立しました。」、「・2012/11/14 山田宏元杉並区長が新代表として就任しました。」及び「・2012/11/14 日本維新の会と協定を締結しました。」との記載がある。また、所属議員等及び事務所所在地については、「役員・議員」及び「連絡先」のページを参照。
(http://tokyoishin.jp/)
(2)衆議院議員山田宏公式ホームページ
「プロフィール」のページに、「東京維新の会 代表」、「平成24(2012)年10月 日本維新の会 入党」及び「平成24(2012)年12月 第46回衆議院議員選挙にて比例当選」との記載がある。
(http://www.yamadahiroshi.com/)
(3)2012年9月28日付け朝日新聞東京朝刊39頁
「『東京維新の会』が地域政党届け出 日本維新の支部に」の見出しの下、「東京都議会の会派『東京維新の会』代表の野田数都議らが27日、新たに地域政党『東京維新の会』を立ち上げ、都選挙管理委員会に届け出た。」との記載がある。
(4)2012年11月15日付け朝日新聞東京朝刊38頁
「東京維新の会が日本維新と協定 衆院選で連携」の見出しの下、「地域政党『東京維新の会』が14日、日本維新の会(代表・橋下徹大阪市長)と友好協力関係団体の協定を結んだ。新代表に山田宏・前東京都杉並区長が就任し、衆院選で日本維新の会から都内の小選挙区で立候補する方針だ。協定では、衆院選での日本維新の会の候補者を全面支援する。」との記載がある。
(5)2013年1月22日付け読売新聞東京朝刊34頁
「維新が都支部設立 支部長に山田衆院議員=東京」の見出しの下、「日本維新の会は21日、都支部を設立したと発表した。同会初の都道府県支部で、支部長には山田宏衆院議員が就任した。(中略)都議を中心とする既存の『東京維新の会』も存続し、当面は山田議員が代表を兼務する。」との記載がある。
(6)2013年1月22日付け朝日新聞東京地方版/東京29頁
「都議選で2現職を維新の会が公認/東京都」の見出しの下、「日本維新の会は21日、夏の都議選で、いずれも現職で都議会会派『東京維新の会』の柳ケ瀬裕文氏を大田区、栗下善行氏を北区の公認に決めた。」との記載がある。

別掲2
(以下(2)及び(3)は、別掲1(3)及び(4)を再掲し、下線部を追記した。)
(1)2012年9月11日付け産経新聞東京朝刊27頁
「相談役に大阪市顧問『東京維新の会』設立 都議会」の見出しの下、「都議会で自民、民主の会派を離脱していた無所属議員3人が10日、新会派『東京維新の会』の設立会見を開き、議会改革や脱原発依存、職員基本条例制定などを目指すとした『東京都版維新八策』を公表した。会見には大阪市特別顧問で日本維新の会の次期衆院選候補とされる山田宏前杉並区長も同席、会派相談役に就くなど大阪維新との連携の深さをにじませた。」との記載がある。
(2)2012年9月28日付け朝日新聞東京朝刊39頁
「『東京維新の会』が地域政党届け出 日本維新の支部に」の見出しの下、「東京都議会の会派『東京維新の会』代表の野田数都議らが27日、新たに地域政党『東京維新の会』を立ち上げ、都選挙管理委員会に届け出た。橋本徹市長が率いる『日本維新の会』の傘下に入り、東京支部として次期衆院選に向けた政治活動などをする。国政選挙の候補者の公認、推薦などは『日本維新の会』本部が決める。大阪府議会『大阪維新の会』と会派間で連携する。」との記載がある。
(3)2012年11月15日付け朝日新聞東京朝刊38頁
「東京維新の会が日本維新と協定 衆院選で連携」の見出しの下、「地域政党『東京維新の会』が14日、日本維新の会(代表・橋下徹大阪市長)と友好協力関係団体の協定を結んだ。新代表に山田宏・前東京都杉並区長が就任し、衆院選で日本維新の会から都内の小選挙区で立候補する方針だ。協定では、衆院選での日本維新の会の候補者を全面支援する。東京維新の会は9月、野田数(かずさ)都議ら3都議が設立した。」との記載がある。
(4)2013年3月29日付け産経新聞東京朝刊27頁
「民主・鈴木都議離党 東京維新の会入り」の見出しの下、「鈴木勝博都議(足立区、1期)が28日、都議会民主党を離脱し、東京維新の会に入会した。(中略)これを受け都議会の会派構成は、民主43▽自民40公明23▽共産8▽生活者ネット3▽東京維新3▽無所属5-となった。」との記載がある。



審理終結日 2014-02-10 
結審通知日 2014-02-14 
審決日 2014-02-25 
出願番号 商願2011-90947(T2011-90947) 
審決分類 T 1 8・ 21- WZ (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 大森 健司
山田 啓之
商標の称呼 トーキョーイシンノカイ、イシンノカイ、トーキョーイシン、イシン 

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