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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X30
管理番号 1299530 
審判番号 取消2014-300378 
総通号数 185 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-05-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2014-05-23 
確定日 2015-03-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第5259019号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5259019号商標(以下「本件商標」という。)は、「きんたろう」の平仮名及び「金太郎」の漢字を上下二段に横書きしてなり、平成20年5月21日に登録出願、第30類「菓子及びパン,和菓子,甘栗,甘納豆,あめ,あられ,あんころ,いり栗,いり豆,おこし,かりんとう,ぎゅうひ,氷砂糖,砂糖漬け,汁粉,汁粉のもと,ぜんざい,ぜんざいのもと,せんべい,だんご,練り切り,水あめ,みつまめ,蒸し菓子,もち菓子,もなか,もなかの皮,ゆで小豆,ようかん,らくがん,洋菓子,アイスキャンデー,アイスクリーム,ウエハース,カステラ,乾パン,キャラメル,キャンデー,クッキー,クラッカー,コーンカップ,シャーベット,シュークリーム,スポンジケーキ,タフィー,チューインガム,チョコレート,ドーナツ,ドロップ,ヌガー,パイ,ビスケット,フルーツゼリー,フローズンヨーグルト,ボーロ,ホットケーキ,ポップコーン,マシュマロ,焼きりんご,ラスク,ワッフル,あんぱん,クリームパン,ジャムパン,食パン,バンズ」を指定商品として、同21年8月21日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、本件商標の指定商品中、第30類「洋菓子、アイスキャンデー、アイスクリーム、シャーベット、フローズンヨーグルト」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書及び弁駁書において要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「洋菓子、アイスキャンデー、アイスクリーム、シャーベット、フローズンヨーグルト」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、上記商品についての登録を取り消すべきものである。

2 答弁に対する弁駁
被請求人は、「洋菓子」に属する「キャンデー」について、本件商標と同一(若しくは実質的に同一)又は社会通念上同一の商標を使用していると主張する。
しかしながら、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」では、「和菓子」と「洋菓子」を区別した上、「和菓子」に属するものを「あめ」とし、他方で「洋菓子」に属するものとして「キャンデー」と分類している。したがって、「あめ」とは和風の飴菓子を意味し、「キャンデー」は洋風の飴菓子を意味することは自明である。
そして、被請求人が証拠として提出する各乙号証に照らしても、本件審判の請求の登録前3年以内に被請求人が販売していた飴菓子は、和風の飴菓子であって洋風の飴菓子ではない(唯一、乙第2号証において洋風の飴菓子を販売していたかもしれない形跡があるが、同飴菓子を販売した時期は1990年頃である。)。
念のため、被請求人が販売している飴菓子(乙第2号証ないし乙第29号証)が和風の洋菓子であって洋風の飴菓子ではないことは、(1)被請求人は、日本古来の昔話である「金太郎」に結びつけて「金太郎飴」を販売していること(乙第7号証の説明文及び乙第8号証等のパッケージ参照)、(2)被請求人は先代以前のルーツが江戸時代にまで遡り、その伝統を受け継いで「金太郎飴」を作り続けている旨を説明して商品を販売していること(乙第7号証の「金太郎飴の由来」欄参照)、(3)各商品を販売している店舗(乙第13号証の1ないし5)もホームページ(乙第7号証及び乙第14号証)も純和風なデザインになっていること、等からして明らかである。
以上のとおり、被請求人は、「洋菓子」に属する「キャンデー」について、本件商標と同一又は社会通念上の商標を使用していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第29号証(枝番を含む。)を提出している。
1 本件商標の使用について
請求人は、本件商標の指定商品中「洋菓子、アイスキャンデー、アイスクリーム、シャーベット、フローズンヨーグルト」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないと主張している。
しかしながら、被請求人、すなわち商標権者たる「株式会社金太郎飴本店」は、本件審判の請求の登録日(平成26年6月12日)前3年以内(以下「要証期間」という。)に、日本国内において、取消対象たる指定商品「洋菓子」に含まれる「キャンデー」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。

2 商品「キャンデー」について
(1)被請求人は、100年以上の歴史を有する、どこを切っても同じ図柄が現れるように工夫された切り飴、「組み飴」を初めとする菓子の老舗であり、「洋菓子」の概念に属する「キャンデー」もかねてから取り扱っている。例えば、西暦1990年には、3月14日の「ホワイトデー」に合わせ「キャンデー」の販売を顧客に提案、販売していた記録がある(乙第2号証)。
なお、「キャンデー」が「洋菓子」の範疇に属することは、本件商標の登録の際に採択されていた、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」(国際分類第9版)において、第30類「菓子及びパン」中の「洋菓子」に属するものとして、具体的に例示されていることからも明らかである(乙第3号証)。
(2)もっとも、上記「類似商品・役務審査基準」(国際分類第9版)においては、「あめ」は「和菓子」、「キャンデー」は「洋菓子」に属するものとされているが、実際には「あめ」と「キャンデー」の区別は必ずしも明確ではない。
例えば、株式会社岩波書店発行の「広辞苑」(第6版)によれば、「あめ(飴)」の説明として「澱粉又は米・甘藷などの澱粉含有原料を麦芽・酸で糖化させた、甘味のある粘質の食品」と記載されている一方、「また、砂糖を煮詰めて製したものもいう。」とも記載されており、後者の説明は、同辞書の「キャンデー」の説明、すなわち「砂糖を煮詰めて作った飴菓子」と実質的に共通している(乙第4号証)。この説明からすれば「粘質」なものは「キャンデー」とは呼べないものの、砂糖を煮詰めて「固くした」飴菓子については「あめ」とも「キャンデー」とも呼べることとなる。
また、株式会社小学館発行の「大辞泉」では、「あめ(飴)」の説明として「もち米・サツマイモなどのでんぷんを麦芽や酸の作用によって糖化させた、粘りけのある甘い食品」とする一方、「また広く、砂糖を煮詰めて香料・着色料などを加えて固めたキャンデーも含めていう」(乙第5号証)とも説明しており、「あめ(飴)」には「キャンデー」の意味合いも含んでいることを明記し、更にキャンデーは「香料・着色料などを加えて固めたもの」であるとの説明がなされている。加えて同辞書の「キャンデー」の説明では「砂糖を煮固めて作った洋風の飴菓子。」とし、「洋風のもの」であることが「キャンデー」の条件であるようにも記載している。
すなわち、「広辞苑」の定義に従えば、「キャンデー」とは(a)「砂糖を煮詰めて作った菓子」全般を意味して、これは同時に「あめ(飴)」と呼ぶこともできることとなる。その一方、「大辞泉」の定義に従えば、(b)「砂糖を煮固めて作った菓子」のうち、特に「香料・着色料などを加え」たもの(更には「洋風なもの」)を「キャンデー」と呼び、同時にこれを「飴」とも呼ぶことになる。
そして、以下に説明するように、被請求人は、上記(a)又は(b)の何れの意味の商品についても、本件商標と実質的に同一又は社会通念上同一の商標を使用して商品の製造・販売している状況にある。

3 商標の使用の事実及び証拠
(1)まず、上記(a)の意味、すなわち「砂糖を煮詰めて作った菓子」であれば、被請求人の代表的な商品である「組み飴」は、「キャンデー」とも(そして「飴」とも)呼べる商品ということになる。乙第6号証は、被請求人の「組み飴」である「金太郎」あめの製造方法を説明したものであるが、「水あめ」に「グラニュー糖」を入れて煮詰め、複数の色を付した飴を準備し、それを組み合わせて最終的には、固い飴(キャンデー)となるものである。そして、この商品については、請求人提出の甲第2号証(要証期間である「2014年5月9日」にプリントアウトされたものである。)にも、「金太郎飴」という表示の下、販売されている事実が示されている。「金太郎飴」の表示のうち「飴」の部分は、商品の普通名称を表しているにすぎない部分であるから(「キャンデー」を一般に「飴」とも呼ぶのは、上記辞書の記載のとおりである。乙第4号証及び乙第5号証)、要部は「金太郎」となり、本件商標と実質的に同一又は社会通念上同一の商標が、日本国内で要証期間に使用されているといえる。
また、この商品は、円柱型のボトル容器に入れた態様でも販売もされており(甲第2号証の「金太郎飴」と書かれたリスト中、上から7番目。価格¥702(税抜¥650)と記載)、この円柱型ボトル容器には、欧文字で「KINTARO!」と表示されている。本件審判請求の登録前の平成26年5月27日付けで、インターネット上の電子資料を保存している団体「The Internet Archive」(米国)が被請求人ホームページの内容を保存しているが(乙第7号証:1ページ目の左上に「INTERNET ARCHIVE/Waybackmachine」と表示され、右上に2014年5月27日付けの記録であることが明示されている。)、その2ページ目中央には、正にこの商品が掲載されている。なお、「The Internet Archive」で保存された電子資料が、過去に特許庁において、不使用取消審判に係る使用の証拠として採用された例があることを念のため補足する(取消2009-300510号審決)。
本件商標「きんたろう/金太郎」と使用商標「KINTARO!」とは、同一の称呼が生じ、また、観念も昔話に出てくる「金太郎」、更には被請求人の商標として著名な飴菓子(組み飴)である「金太郎」をも想起させ、同一であるといえる。
したがって、このボトルに書かれた「KINTARO!」の文字は、本件商標とは称呼及び観念が共通する社会通念上同一の商標であり(商標法第50条第1項カッコ書き)、被請求人は同商標を要証期間に商品「キャンデー」について使用していたものといえる。
(2)一方、上記(b)の意味、すなわち「砂糖を煮固めて作った菓子」のうち、特に「香料・着色料などを加え」たもの(更には「洋風なもの」)を「キャンデー」と呼ぶと考えた場合であっても、被請求人は、要証期間に使用実績がある。
乙第8号証の1ないし8は、被請求人が「わんぱく金太郎飴」と称して販売している商品の写真である。この商品の包装正面上部には、漢字で「金太郎飴」と記載され、包装裏面上部にも、欧文字で「KINTAROUAME」と記載されている(乙第8号証の1ないし4)。
「飴」及び「AME」は、商品の普通名称を表したにすぎないため、これら使用商標の要部は「金太郎」及び「KINTAROU」となり、本件商標とは実質的に同一、若しくは、本件商標とは称呼と観念が共通する「社会通念上同一」の商標を使用しているといえる。
なお、実際の商標の使用態様が、「登録商標と、指定商品の普通名称等との組み合わせ」からなる場合において、当該使用が登録商標と社会通念上同一の商標と認められている審決例は、多数存在していることを念のため申し添える(例えば、取消平成11-30730、取消2001-30248、取消2004-30003、取消2003-31154など)。
この商品の包装中には、更に個別包装された飴菓子が封入されており(乙第8号証の5及び6)、その個別包装には後述のとおり商品名称として「キャンディー」と記載されている。また、この飴菓子の原材料には「香料・着色料」に加え、酸味料などが含まれており、実質的にも上記(b)の意味でいう「キャンデー」となっている(乙第8号証の7)。
この商品には、具体的には2種類の図柄からなるキャンデーが入っており、1つが「金太郎」の顔図形(白地の平面中央に「金太郎」顔図形が表されており、目・眉・口・髪の毛の部分が「茶色」、顔の部分が「肌色」、頭頂部が「水色」で描かれ、飴の周囲は「半透明な白色」からなる。)、もう一つが「熊」の顔図形(白地の平面中央に「熊」の顔図形が表されており、顔全体が「茶色」、目と口は「黒」、鼻と口の回り及び耳の回りが「肌色」、口が「赤」で描かれ、飴の周囲は「半透明なピンク色」からなる。)を表したものとなっている。どちらも複数の色がカラフルに配合されており、洋風な印象を与えるものである。加えて、個別包装には商品の名称として「キャンディー」と記截されてもいる(乙第8号証の8)。念のため個別包装用のフィルムも併せて提出する(乙第9号証)。
そして、この商品については、前出の乙第7号証(米国「The Internet Archive」で保存している平成26年5月27日付け被請求人ホームページ)の2ページ目一番右に、掲載されている。すなわち、商品「キャンデー」の包装に、本件商標と実質的に同一又は社会通念上同一の商標「金太郎飴」及び「KINTAROUAME」を付したものを、譲渡若しくは引き渡しのために、要証期間に展示(商標法第2条第3項第2号)していたといえる。
更に加えて、この商品は、現に要証期間に販売された実績がある。乙第10号証の1は、株式会社高山から被請求人宛の発注書であり、平成26年(2014年)3月31日付けで「わんぱく金太郎飴」の発注がなされ、これを受け、被請求人は、翌日2014年4月1日付けで同商品を同社に納入している(乙第10号証の2)。この他にも、平成26年(2014年)4月4日付けで株式会社山星屋(乙第11号証の1及び2)、平成25年9月4日付けで(財)村山市余暇開発公社(乙第12号証)に「わんぱく金太郎飴」を納入した実績がある。
したがって、「キャンデー」の内容を、上記(b)の意味、すなわち「砂糖を煮固めて作った菓子」のうち、特に「香料・着色料などを加えた洋風なもの」と考えた場合であっても、被請求人は、本件商標「きんたろう/金太郎」と実質的に同一又は社会通念上同一の商標を包装に付した商品を、日本国内において要証期間に譲渡(商標法第2条3項第1号)、すなわち使用していたといえる。
(3)被請求人の店舗(東京都台東区根岸5丁目16番12号)においても、上記(b)の意味におけるキャンデー、すなわち「砂糖を煮詰めて香料・着色料などを加えて固めた洋風の飴菓子」を継続して販売している。
乙第13号証の1ないし5は、被請求人店舗の外観及び店内写真である。外観においては、1階店舗入り口の壁に「金太郎飴本店」と金色の筆書き風の文字で表示しているほか、その下には「金太郎の図形」及び「金太郎飴本店」の文字を記載したのれんを出している(乙第13号証の1)。店内正面には、ショーケースがあり、その中には被請求人が製造、販売する飴菓子が3段に並んでいるほか、ショーケースの上にも「MiniCandy/ミニキャンディ」といった商品が陳列されている。そして、各商品の値札全てには、値段の他「おかっぱ頭で、『金』の字を表した腹掛けをし、まさかりを持った男児」、すなわち「金太郎」の図形が統一的に表示されている。さらに、ショーケースの上方奥の壁には、白いのれんに墨書きで「金太郎飴本店」と記載されている(乙第13号証の2)。店内左側には、常設の「金太郎飴コーナー」があり、昔ながらの組み飴が陳列されているほか、赤い布をかけた台の上にも飴菓子が値札とともに複数陳列されている。値札に表示された「金太郎図形」以外にも「登録商標/金太郎飴」と書かれたポスター、金太郎の図形が赤色で表されたのれん、金太郎が熊にまたがった姿を現した色紙などが展示されている(乙第13号証の3)。店内右側にも、「上・中・下」3段に亘って、多くの種類の飴菓子が陳列されており、やはり何れについても「金太郎」図形が表示された値札が付されている(乙第13号証の4)。店内には更に「金太郎」の石像も飾られているなど(乙第13号証の5)、来店した消費者に店全体から「金太郎」が強く意識付けられるよう、工夫されている。
なお、乙第13号証の何れの写真も、撮影日が要証期間外の平成26年7月後半となっているが、要証期間においても商品の陳列方法・内装は大きくは変わっていない。季節により、陳列する商品には変更があるものの、要証期間ではその陳列方法等に大きな変更はないのである。このことは、上述の「The Internet Archive」において2013年9月24日付けで保存されている被請求人のホームページの写真(店舗外から内部に向けて撮影したもの。店舗入口には「金太郎飴本店」ののれんがかかっているほか、店舗内左側に、乙第13号証の3に写っているものと同じ「登録商標/金太郎飴」のポスターが掲示されている。)から、理解できる(乙第14号証)。
そして、陳列されている商品中には、上記(b)の意味における「キャンデー」が多数存在している。
乙第15号証の1は、店内右側の棚に陳列されている、円柱型のボトル容器に入れられた飴菓子の写真である。向かって右側の、値札に「丸ボトル」と書かれているのが、昔ながらの「組み飴」であり(ボトル中の飴は「個別包装」されていない。)、向かって左側、値札に「わんぱく金太郎飴瓶入り」と記載されているのが、乙第8号証(枝番を含む。)で示したのと同一製品(キャンデー)を入れた商品であり、乙第9号証として提出した個別包装用フィルム、すなわち「名称:キャンディー」と書かれたフィルムで個別包装されている(乙第15号証の2及び3)。
乙第15号証の2は、「わんぱく金太郎飴瓶入り」を中心に撮影したものであるが、ボトルの表面に本件商標と同一称呼・観念が生じる「KINTARO!」の文字が表されていることが理解できる。
また、同商品を四角い箱に入れ「KINTARO!」の文字及び「金太郎」図形などをあしらった、カラフルな包装用紙で包んだ商品(これにはさらに、ボトルに表された文字と「金太郎」図形を表したシールも添付されている。)も展示、販売している。
すなわち、本件商標と社会通念上同-の商標「KINTARO」を商品「キャンデー」の包装に付したものを、継続的に譲渡のために展示し、また販売(譲渡)しているといえる(商標法第2条3項第1号及び2号)。念のため、このカラフルな包装用紙(乙第16号証)と、それに付されているシール(乙第17号証)を提出する。
この他にも、「東京名所めぐり」と題された商品(包装には、本件商標と実質的に同一の「金太郎飴」の文字が表示されている:乙第18号証の1)は、原材料に「香料、着色料」のほか酸味料などが含まれており(乙第18号証の2)、赤、青、黄、緑、ピンク、紫など複数の色を用いたカラフルな飴菓子(すなわち「キャンデー」)を、乙第9号証として提出したフィルムで個別包装し、展示、販売している。なお、この商品については、要証期間の2012年7月11日に新商品として発売された旨の広告を行っている(乙第18号証の3)。同じく要証期間の2014年5月27日付けで、この商品の販売サイトが米国「The Internet Archive」により保存されている(乙第18号証の4)。
この事実からも、指定商品「キャンデー」について、要証期間に、本件商標と実質的に同一の商標「金太郎飴」が使用されていたといえる。
更に「キャラクターあめ」なる商品もあり、その包装正面には「金太郎」の図形が表示されているほか、「CHARACTER CANDY」という文字も表示されている(乙第19号証)。現に、包装の透明な部分からは、カラフルなキャンデーが内包されているのが確認できる。
通常よりもややサイズを小さくした「MiniCandy」と呼ばれる商品も製造・販売している(乙第20号証)。4つの商品が並んでいるが、両端の商品が明るい黄色、向かって左から2番目の商品には多数の色がついたキャンデーが内包されているのがわかる。
コーヒー味のキャンデー「珈琲飴/COFFEE CANDY」も製造・販売しており、1個ずつ個装したものを(乙第21号証の1)、更に一回り大きな透明な袋で包装している(乙第21号証の2)。このキャンデーを個装しているフィルムには、「品名 キャンデー」と表示され、1つ1つ「金太郎」の絵も描かれている。
念のため、この個別包装用フィルム(「キャンディー個装フィルム(金太郎図柄)」)も、併せて提出する(乙第22号証)。
なお、乙第9号証及び乙第22号証として提出した2種類の個装フィルムは、以前より継続的に使用しており、要証期間においても当然使用していた。その事実を証明するものとして、要証期間にこれらのフィルムの製造を制作会社に発注し、納入されたことを示す証明書及び取引書類の写し(乙第23号証ないし乙第26号証)を提出する。
乙第23号証は、乙第22号証として提出した「キャンディー個装フィルム(金太郎図柄)」を作成した「株式会社ジェーシー東京」からの証明書であり、要証期間の平成25年2月19日に当該フィルムが被請求人に納入されたことを証明している。また、その証明内容に符合する納品書の写しも存在している(乙第24号証)。乙第25号証は、乙第9号証で提出した個装フィルム、「金太郎飴白1C 88mm 巻き取り」を作成した「株式会社セロハン社」からの証明書であり、要証期間の平成25年2月19日に当該フィルムが被請求人に納入されたことを証明している。また、その証明内容に符合する納品書の写しも存在している(乙第26号証)。これらから、「キャンデー」と明記された包装を要証期間に使用し、「金太郎」商標のもと、商品「キャンデー」を製造、販売していたことは明らかといえる。
(4)このように、被請求人は、昔ながらの「組み飴」とともに、洋風の「キャンデー」も製造・販売しているが、洋風の商品が販売された際には、包装紙等も別途カラフルなデザインのものを使用している。
乙第27号証は、赤いボーダー柄の中に、欧文字「KINTARO」の文字と「金太郎」図形をあしらったデザインの紙袋であり、乙第28号証は、乙第27号証と同じデザインからなる包装紙である。組み飴その他の和風の商品について使用する包装紙(乙第29号証)とは、その印象が明らかに異なると思われるが、「洋菓子」にあたる商品であることを強調するために用いているものである。ここからも、商品「キャンデー」を譲渡する際、その商品の包装に本件商標と社会通念上同一の商標「KINTARO」を付して使用しているといえる。

4 結語
以上のとおり、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判請求の取消対象たる指定商品中の「洋菓子」に属する「キャンデー」について、本件商標と実質的に同一又は社会通念上同一の商標を使用している。
よって、本件審判請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用に係る商品について
(1)被請求人は、請求に係る指定商品中の「洋菓子」に属する「キャンデー」について本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を使用している旨主張しているのに対し、請求人は、「あめ」と「キャンデー」とは区別されるものであって、被請求人の使用に係る商品は和風の飴菓子を意味する「あめ」であり、洋風の飴菓子を意味する「キャンデー」ではない旨主張している。
(2)確かに、本件商標の登録出願時に運用されていた特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準(国際分類第9版対応)」には、第30類に属する商品として「菓子及びパン」の概念下に「和菓子」と「洋菓子」とを区別した上で、「和菓子」に属する商品として「あめ」が、「洋菓子」に属する商品として「キャンデー」がそれぞれ例示されている(乙第3号証)。
しかしながら、以下に述べるように、近年においては「あめ」と「キャンデー」とは必ずしも明確に区別することができない場合も多く、同一の商品について「あめ」とも、「キャンデー」とも称される二面性を有するものが存在するほか、広義では「あめ」に「キャンデー」が含まれるものと解する文献も存在する。
ア 例えば、岩波書店発行「広辞苑第六版」によれば、「あめ【飴】」は、「澱粉または米・甘藷などの澱粉含有原料を麦芽・酸で糖化させた、甘味のある粘質の食品。淡黄色で透明であるが、品質の低いものは黒褐色。また、砂糖を煮つめて製したものもいう。」とされ、「キャンデー【candy】」は、「砂糖を煮詰めて作った飴菓子」とされる(乙第4号証)。
また、小学館発行「大辞泉第二版」によれば、「あめ【飴】」は、「もち米・サツマイモなどのでんぷんを麦芽や酸の作用によって糖化させた、粘りけのある甘い食品。また広く、砂糖を煮つめて香料・着色料などを加えて固めたキャンデーも含めていう。」とされ、「キャンデー【candy】」は、「砂糖を煮固めて作った洋風の飴菓子。」とされる(乙第5号証)。
これらの説明からすると、少なくとも、「あめ」も「キャンデー」も「砂糖を煮つめて製した飴菓子」であることには変わりはない。
イ 小学館発行「わくわく楽しいキャンデー百科」には、「ふしぎキャンデー」、「金太郎あめはこうして作ります」との表題下に、「金太郎あめ」の作り方が掲載されており(乙第6号証)、「キャンデー」と「あめ」の用語は特に区別されていない。
ウ 被請求人の提出に係る乙第8号証の1ないし8、乙第9号証、乙第19号証、乙第20号証、乙第21号証の1及び2並びに乙第22号証に示す写真(写し)及び個別包装用フィルムによれば、「わんぱく金太郎飴」と称する商品には、包装用袋に「金太郎飴」の文字が表示され、その個別包装用フィルムには、「名称」として「キャンデー」と記載されていること、「キャラクター飴」と称する商品の包装用袋には、「キャラクターあめ」及び「CHARACTER CANDY」の文字が同時に表示されていること、被請求人店舗には、「Mini Candy/ミニキャンディ」の表示板の下に「金太郎飴」等の文字を表示した商品が陳列されていること、「珈琲飴」と称する商品の包装用袋には、「珈琲飴」、「COFFEE CANDY」及び「コーヒーキャンディ」の文字が併記されていること、該商品の個別包装用フィルムには「品名」として「キャンデー」と記載されていること、などが認められることからすれば、「あめ(飴)」と「キャンデー」の用語は特に区別されていないものといえる。
(3)ところで、商標法第50条第1項の規定に基づく取消審判において商標の使用に係る商品の認定について争われた訴訟事件の判決(東京高裁昭和57年(行ケ)第67号、昭和60年5月14日判決)では、次のように判示されている。
「旧商標法における商品類別ないし現行商標法における商品区分は、市場で流通する膨大な種類の商品を、商標登録出願に際しての出願人の便宜及び審査の便宜を図るという行政的見地から分類したものであり、もとより、いずれの分類に属するか判断の極めて困難な商品も存する(-略-)のみならず、時代の推移とともに右分類のなされた当時には存在しなかった種類の商品が出現することは見易い道理であり、右分類自体、現実の流通市場の実態に合わせるべく改訂されてきたところであること等に鑑みれば、右分類のいずれか一つに属するとは決し難い商品が出現した場合、不使用取消審判の場で、商品は常にいずれか一つの分類に属すべきものであって、二つの分類に属することはありえないとするのは相当でなく、登録商標の使用されている当該商品の実質に則して、それが真に二つの分類に属する二面性を有する商品であれば、当該二つの分類に属する商品について登録商標が使用されているものと扱って差支えないというべきであり、このように解しても、前記のような商品類別ないし商品区分の趣旨に反することにはならない。」
(4)以上によれば、本件商標の使用に係る商品について、「あめ(飴)」の文字が用いられていることのみをもって、直ちに該商品が「キャンデー」の範疇に属する商品ではないと断定すべきではなく、むしろ、該商品は「あめ」であると同時に「キャンデー」ともいえるものとみるのが相当である。
以上を前提として、以下、被請求人が請求に係る指定商品のうちの「キャンデー」について、要証期間に本件商標を使用しているか否かについて検討する。

2 本件商標の使用について
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第7号証は、2014年7月30にプリントアウトされた被請求人のウェブサイトの写しと認められるものの、その第1ページの上部の「INTERNET ARCHIVE/WaybackMachine」及び「2014/5/27」の表示に照らせば、該ウェブサイトは要証期間の2014年5月27日に存在していたものといえる。
そこで、上記ウェブサイトの掲載内容をみるに、その第1ページ上方には、商品の写真とともに「金太郎飴」の文字が表示され、その中段以降には「小棒」、「中棒」、「特大棒」、「面切カップ」などの見出し下に各種商品の写真とともに価格、大きさなどが表示されている。同様に、次ページには「こんぺいとう(袋入)」、「金太郎飴(丸ボトル入)」又は「わんぱく金太郎飴」の各見出しと商品の写真が掲載されている。写真に示された各商品の包装容器には、不鮮明ながら「金太郎飴」の文字が表示されていることがうかがえるほか、少なくとも「金太郎飴(丸ボトル入)」と称する商品の包装用容器には「KINTARO!」の文字が、「わんぱく金太郎飴」と称する商品の包装用容器には「金太郎飴」の文字がそれぞれ表示されていることが明らかである。
そして、上記「KINTARO!」の文字は、本件商標をローマ字で表した「KINTARO」と感嘆符「!」とを結合させたものであるが、感嘆符は「感嘆や強調を表す符号。」であるところ、ローマ字「KINTARO」の標章については、感嘆符が付されたとしても、その称呼あるいは観念に影響を及ぼすものではないから、本件商標と社会通念上同一のものと見て差し支えないというべきである。また、上記「金太郎飴」の文字は、その構成中の「飴」の文字が商品の普通名称を表示したものとして認識し理解されるに止まり、自他商品の識別標識としての機能を有しないものというべきであるから、「金太郎」の文字部分が識別標識としての要部というべきであり、該「金太郎」の文字部分は本件商標と社会通念上同一のものとみるのが相当である。
イ 前示の乙第8号証の1ないし8は、上記アのウェブサイトに掲載された商品「わんぱく金太郎飴」と同一の商品を拡大した写真(写し)と認められるところ、その包装用袋の表面上部には「金太郎飴」の文字が表示されていること、裏面上部には「KINTAROUAME」の文字が表示されていること、裏面に貼付された商品ラベルには、製造者欄に被請求人の名称と住所及び電話番号が記載されているほか、商品の名称「飴菓子」、原材料名、内容量、賞味期限などが記載されていること、該商品の個別包装用フィルム(乙第9号証)には、「名称」として「キャンディー」が、「製造者」として被請求人の名称及び住所などが記載されていること、が認められる。
そして、上記「KINTAROUAME」の文字は、表面に記載された「金太郎飴」の文字と相俟って、「AME」の文字部分が「飴」を示すものとして認識し理解され、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないことから、「KINTAROU」の文字部分が識別標識としての要部というべきであり、「KINTAROU」の文字部分は本件商標と社会通念上同一のものとみるのが相当である。
なお、上記写真(写し)は、要証期間外の平成26年7月29日及び同月31日に撮影したものと認められるが、被写体の商品は、その商品の形状、名称等に照らし、上記アのウェブサイトに掲載された商品と同一のものであって、かつ、掲載時に存在していたものとみるのが自然である。
ウ 乙第10号証の1は、株式会社高山の発行に係る2014年3月31日付けの「発注書」の写し、同号証の2は該発注書に対する被請求人発行の2014年4月1日付けの「納品書(控)」の写しと認められるところ、商品名欄に「わんぱく金太郎飴(25粒)」と記載されている。
乙第11号証の1は、株式会社山星屋に対する被請求人発行の2014年4月4日付け「売上伝票」の写しと認められるところ、品名欄に「わんぱく金太郎飴(25粒入)」と記載されている。
乙第12号証は、(財)村山市余暇開発公社に対する被請求人発行の平成25年9月4日付け「納入伝票」の写しと認められるところ、品名欄に「わんぱく金太郎飴(20粒入)」等が記載されている。
これらは、いずれも要証期間に被請求人又はその顧客によって発行された、いわゆる取引書類というべきものであり、それぞれに記載された商品「わんぱく金太郎飴」は、取引の経験則上、上記ア及びイの商品「わんぱく金太郎飴」を指すものとみるのが自然である。
エ 乙第18号証の1及び2は、「東京名所めぐり」と称する商品を撮影した写真(写し)と認められるところ、該商品の包装用袋の中央には「登録商標/金太郎飴」の文字が表示されている。そして、上記「金太郎飴」の文字部分中の「金太郎」の文字は、上記アと同様、本件商標と社会通念上同一といえるものである。また、上記写真の撮影日は要証期間外の平成26年7月29日及び同月31日と認められるものの、要証期間の2012年7月11日に掲載されていたと認められる被請求人のウェブページ(乙第18号証の3)において、「東京名所めぐり 新発売!」として紹介された商品の写真及び説明に照らし、上記商品は要証期間に取引されていたものとみるのが自然である。
なお、上記商品「東京名所めぐり」は、上記アのウェブサイトと同様、2014年5月27日に存在していたものと認められる被請求人のウェブサイトにおいても他の商品とともに掲載されている(乙第18号証の4)。
オ 乙第25号証は、株式会社セロハン社による平成26年7月31日付けの「証明書」と認められるが、その証明内容は、上記イの商品「わんぱく金太郎飴」に使用する個別包装用フィルム(乙第9号証)を同26年2月19日に被請求人に販売、納入したことを証明するものである。また、乙第26号証は、株式会社セロハン社発行の2014年(平成26年)2月19日付けの「売上伝票」の写しと認められるが、上記個別包装用フィルムを被請求人に販売したことを示すものといえる。
(2)以上を総合すると、被請求人(商標権者)は、「金太郎飴(丸ボトル入)」、「わんぱく金太郎飴」又は「東京名所めぐり」と称する各商品について本件商標と社会通念上同一といえる商標を要証期間に使用していたものというべきである。そして、上記各商品は、前示のとおり、請求に係る指定商品中の「洋菓子」に属する「キャンデー」の範疇に含まれるものといえる。

3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が取消請求に係る指定商品中の「洋菓子」に属する「キャンデー」について、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の使用をしていたことを証明したものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、請求に係る指定商品についての登録を取り消すべき限りではない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2015-01-26 
結審通知日 2015-01-28 
審決日 2015-02-10 
出願番号 商願2008-38845(T2008-38845) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X30)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 守屋 友宏 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2009-08-21 
登録番号 商標登録第5259019号(T5259019) 
商標の称呼 キンタロウ、キンタロー 
代理人 宮崎 治子 
代理人 宮崎 章 
代理人 野付 さくら 
代理人 島垣 哲平 
代理人 一色国際特許業務法人 
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