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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 |
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管理番号 | 1298484 |
異議申立番号 | 異議2014-685001 |
総通号数 | 184 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2015-04-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2014-01-07 |
確定日 | 2014-12-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 国際登録第1145640号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 国際登録第1145640号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 国際登録第1145640号商標(以下「本件商標」という。)は、「VIGNETI SANT’HELENA」の欧文字からなり、2012年(平成24年)10月31日に国際商標登録出願、第33類「Bitters;aperitifs;beverages (alcoholic) (except beer);beverages containing fruit (alcoholic);beverages (distilled);cocktails;digesters (liqueurs and spirits);alcoholic essences;alcoholic extracts;fruit extracts (alcoholic);liqueurs;piquette;wine;sparkling wine.」を指定商品として、平成25年6月21日に登録査定、同年10月18日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4211421号商標(以下「引用商標」という。)は、「SANTA HELENA」の欧文字を横書きしてなり、平成9年2月21日に登録出願、第33類「ぶどう酒,その他の果実酒」を指定商品として、同10年11月13日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標について、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第32号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 商標権者について 本件商標の商標権者は、ワインやグラッパを製造販売するイタリア法人である(甲4)。 2 申立人商標について (1)申立人について 申立人である「ヴィーニャ サン ペドロ タラパカ ソシエダッド アノニマ」は、チリ国において第2番目の規模を持つワイン輸出企業であり、その傘下に、ワイン製造を業とするサンタヘレナ社、サンペドロ社、タラパカ社、ミシオネス社、アルタイル社、ヴィーニャ・マール社等を有する。申立人とこれらの傘下企業により、「ヴィーニャ・サン・ペドロ・タラパカ・グループ(通称「VSPT」。以下「申立人グループ」という。)を構成し、申立人が、傘下企業の商品の輸出、販売及びグループ企業全体のブランド管理を担っている(甲5の1及び2)。 なお、申立人は、2008年にタラパカ社(ビナ タラパカ)を合併したことにより、旧商号「ビナ サン ペドロ ソシエダッド アノニマ」から「ヴィーニャ サン ペドロ タラパカ ソシエダッド アノニマ」に商号を変更したものである(甲6及び甲7)。 (2)申立人商標の周知性 ア 申立人グループ傘下のサンタヘレナ社は、1942年の創業より、自己の業務に係るワインに、ハウスマーク「SANTA HELENA」を継続して使用している。サンタヘレナ社は、毎年、約1,800万本のワインを出荷する実績を有し、現在、約50力国を超える地域で愛飲されており、主たる出荷先のひとつが日本である(甲8)。サンタヘレナ社は、様々なワインシリーズを展開しており、そのいずれのシリーズにも「SANTA HELENA」が表示されている(甲9及び甲10)。例えば、料理に合うワインとして、25種類もの「SANTA HELENA」ブランドのワインを紹介している(甲10)。 イ 日本では、遅くとも2003年には、アサヒビール株式会社(以下「アサヒビール」という。)をはじめとする輸入代理店を介して、「SANTA HELENA」ブランドのワイン(以下「使用商品」という。)販売が開始された(甲11)。日本において使用商品が販売される際には、商品ラベルや宣伝広告、記事等に、欧文宇「SANTA HELENA」(以下「申立人商標1」という。)又は片仮名「サンタ・ヘレナ」(以下「申立人商標2」という。なお、申立人商標1とあわせて「申立人商標」と総称する場合がある。)の表示が用いられている。 そして、販売開始から現在に至るまで、その高い品質と手ごろな価格並びに営業努力によって、日本市場において人気を博していることは、例えば、アサヒビールのニュースリリース(甲12ないし甲16)及びチリワイン通販専門ショップ&ポータル ユヤイのウェブサイト(甲17)等において広告されていることからも認められるところである。 これらのことから、ワインの取引者・需要者間において、使用商品が高い人気を博していることが明らかである。 ウ 近年、チリ国の主要輸出産業のひとつとして「ワイン」が挙げられ、チリ国のワインは「新世界ワイン(ニューワールドワイン)」として高い評価を得る程に世界的地位を獲得している実情が認められる(甲18)。使用商品は、世界のワインコンテストにおいてその品質を高く評価され、例えば、2006年から2011年までの一部を抽出しても、ワインの国際コンクールにおいて高い評価を得ていることが認められる(甲19)。そして、日本においても、例えば、藤田観光株式会社が主催する2012年「日本で飲もう最高のワイン2012」(2012年5月開催)において「コストパフォーマンス賞」を受賞する程までに、使用商品は、高い評価を得ているものである(甲20及び甲21)。 また、雑誌における「極旨ワイングランプリ」特集記事において、使用商品は、第1位と第3位を受賞している。雑誌の発行時期は本件商標の登録後であるものの、使用商品が、愛好者や取引者間において、高い評価を獲得していることの理解を助ける資料として提出する(甲22)。 さらに、日本全国482箇所に店舗を持つレストランチェーン「ココス」において、使用商品の赤ワインと白ワインが取り扱われている実情がある(甲22及び甲23)。とりわけ、メニューに「サンタ・ヘレナ・グラン・ヴィーノ」との商品名と、申立人商標1がラベルに付されたワインボトルの写真が掲載されていることからも、使用商品の顧客吸引力が高いことが明らかである。 このように、申立人グループ傘下のサンタヘレナ社及び申立人(以下「申立人ら」という。)のたゆまない品質の維持管理と営業努力の結果、申立人商標1は、日本におけるワイン愛好者、需要者及び取引者の間において、申立人らの業務に係るワインの名称として広く親しまれており、現在においても日本へ大量の輸出を継続して行っていることから(甲25ないし甲27)、周知性を失うような事情は見受けられない。 エ 上記アないしウのとおり、申立人商標1及び申立人商標2は、本件商標の登録出願前(平成24年10月31日)には、「ワイン」を表示する名称として、日本におけるワイン愛好者、需要者及び取引者の間において、広く知られていたことが明らかである。 3 商標の類似性について (1)申立人商標1について 申立人商標1は、同書・同大・同間隔からなる欧文字「SANTA HELENA」を横一列にまとまりよく構成してなるものであり、その構成文字から「サンタヘレナ」との自然な称呼が生じるものであり、特定の意味を生じない造語であるものの、「ワイン」との関係においては、その周知性から、申立人らを想起させるものである。 (2)申立人商標2について 申立人商標2は、同書・同大・同間隔からなる片仮名「サンタ・ヘレナ」を横一列にまとまりよく構成してなるものであり、その構成文字から「サンタヘレナ」との自然な称呼が生じるものであり、特定の意味を生じない造語であるものの、「ワイン」との関係においては、その周知性から、申立人らを想起させるものである。 (3)本件商標について 本件商標は、「VIGNETI SANT’HELENA」の欧文字を横一列に配してなり、母音省略記号「’」を含めて「18文字」の構成文字からなるところ、比較的に構成文字が多い構成である点、かつ、「VIGNETI」と「SANT’HELENA」との間にスペースが設けられていること、「ビグネッティーサントヘレナ」との12音との長い称呼であることを考慮すると、本件商標に接する取引者、需要者は、一体不可分の造語というよりもむしろ、「VIGNETI」と「SANT’HELENA」に分離して視認、理解するものといえる。 本件商標の構成中「VIGNETI」の文字部分は、「ブドウ畑」を意味するイタリア語であるところ、本件の指定商品中「ワイン」との関係においては、ワインの主要産地であるイタリア語及びフランス語はその取引者・需要者間において比較的に親しまれている実情があることを考慮すると、本件商標の構成中「VIGNETI」の文字部分は、他の要素に比べて自他商品識別機能が弱い言葉と考えられる。 一方、本件商標の構成中「SANT’HELENA」の文字部分中の記号「’」は、日本において、母音省略記号として広く親しまれていることが認められるから、「SANT’HELENA」は「SANTA HELENA」を省略的に表示したものとして理解することについて、何ら無理は認められない。 ここにおいて、南大西洋のセントヘレナ島は、英語表記は「Saint Helena」、「St.Helena」、イタリア語表記では「Sant’Elena」と表示されることを考慮すると、本件商標の要部「SANT’HELENA」は、セントヘレナ島およびこれに由来するものを省略的に表わした言葉ではなく商標権者の造語であることが推認される。 加えて、上述のように申立人商標1が申立人らの業務に係る「ワイン」を表示するものとして需要者・取引者間において広く知られている事情を総合的に考慮すると、本件商標に接する取引者、需要者は、より顧客吸引力の強い「SANT’HELENA」の文字部分に着目して取引に資する可能性が高いと思料される。 したがって、本件商標の要部は「SANT’HELENA」である。 (4)本件商標と申立人商標との対比 本件商標において、「VIGNETI」と「SANT’HELENA」は外観上及び観念上において軽重の差があり、本件商標は識別力の強い要部「SANT’HELENA」に着目して取引に資されると考えられるところ、本件商標の要部「SANT’HELENA」と申立人商標1は、いずれも11文字の構成において、中央に位置する「’」と「A」のみが相違し、他の構成文字配列は共通するものであるから、外観上、近似する構成といえる。 次に、称呼においては、本件商標の要部から「サントヘレナ」との称呼が生じる一方、申立人商標からは「サンタヘレナ」の称呼が生じ得る。両商標は、中間に位置する「ト」の音と「タ」の音を異にするものであるが、該差異音が6音の中間に位置する音であって、いずれも無声の破裂音「T」を子音とし、近似する母音「o」と「a」のみが相違するものの、母音「o」と「a」は母音三角形の隣同士に位置し、母音の中でも調音方法が近い音声であるため、全体として称呼した際には近似音として聴取される。 本件商標から生じる「サントヘレナ」の称呼は、申立人商標から生じる「サンタヘレナ」の称呼と、全体としての語調、語感が極めて近似し、彼此聴き誤るおそれがあるものと判断するのが相当である。 そして、本件商標の要部「SANT’HELENA」は、特定の観念を想起させない造語であるところ、「’」は母音省略記号として広く親しまれている実情と相侯って、「SANT’HELENA」は「SANTA HELENA」を省略的に表示したものとして理解され、いずれの商標も申立人らを想起せしめるものである。 上述のとおり、本件商標は、申立人商標とその外観・称呼・観念のいずれの要素も近似するものであって、かつ、本件商標に係る指定商品は「ワイン」と共通するものである。 したがって、本件商標は、申立人商標に類似するものである。 4 商標法第4条第1項第7号について 上述のように、申立人らの業務に係る商品の出所表示である申立人商標1は、「ワイン」に関する主たる取引者、需要者の間で広く知られている。そして、本件商標は、申立人商標1と共通する要部「SANT’HELENA」を、視覚的に分離して把握されやすい態様からなるものである。 このような本件商標を、申立人らとは何らの関係も有しない他人である本件商標権者が使用することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、申立人らの広く知られている商標の著名性にただ乗り(フリーライド)することにより得ようとすることにほかならず、申立人商標に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあることから、本件商標は不正の目的をもって使用し申立人商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図が推認でき、その結果、このような行為は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するので、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。 5 商標法第4条第1項第10号について 申立人商標は、「ワイン」との関係において、申立人らの業務に係るものを表示するものとして、「ワイン」に関する取引者、需要者の間で、広く親しまれている(甲5ないし甲24)。 そして、本件商標は、申立人の周知商標である申立人商標と、その外観、称呼および観念において、相紛らわしいものであるから、本件商標は、申立人商標に類似する商標であって、その商品又はこれに類似する商品について使用をするものである。 上記の点から、本件商標が「ワイン」について使用され、日本市場において取引に資される場合には、取引者、需要者に出所の混同を生じさせるおそれが極めて高い。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 6 商標法第4条第1項第11号について 申立人は、日本国において、引用商標を有し、その商標権は、現在においても有効に存続している(甲24の1及び2)。 引用商標は、申立人商標1と同一の文字構成・文字配列であり、ワインを意味する「ぶどう酒」を含む指定商品に関するものであるから、本件商標と引用商標は互いに類似する。 そして、引用商標は、本件商標の登録出願の日より前に登録出願された登録商標であり、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又はこれに類似する商品について使用をするものである。 かかる点を考慮すれば、本件商標は、引用商標と類似すると判断することが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 7 商標法第4条第1項第15号について (1)申立人商標は、遅くとも2003年には、日本において申立人らの業務に係るワインの名称として使用が開始されており、現在までに、主たる需要者層の間において広く知られていることは上述のとおりである(甲5ないし甲23)。 そして、申立人商標は、本件商標の登録出願、登録査定の前までに、申立人らの業務に係る商品の名称として、広く親しまれていることが認められる。 (2)本件商標は、(ア)その外観及び称呼が、申立人商標と近似し、かつ、(イ)申立人商標が「ワイン」を示す名称として周知であること、(ウ)サンタヘレナ社を含む申立人グループは、チリ産ワインのブランドとして世界的に評価が高いこと、(エ)申立人らの業務に係る「ワイン」は、その愛好者、需要者及び取引者間において強い顧客吸引力を発揮していること、(オ)申立人は、傘下にいくつものワイン製造会社を有し、「ヴィーニャ・サン・ペドロ・タラパカ・グループ」を形成していることを総合的に考慮すると、本件商標が「ワイン」に使用された場合には、「ワイン」に関する主たる取引者、需要者は、本件商標に係る商品について、申立人らと経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがあることは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 8 商標法第4条第1項第19号について 上述のとおり、「ワイン」業界において、申立人商標1はワインを示す商標として広く知られていることから、ワイン製造、販売に関わる業務を行う商標権者は、本件商標の登録出願の前より、申立人の周知商標である申立人商標1を知悉していたものといえる。 このように、本件商標が、申立人の周知商標である申立人商標1の顧客吸引力を利用し、申立人らが1942年より継続して使用する商標と酷似する商標を、自己の業務に係る商品「ワイン」について使用する行為は、申立人らの周知商標である申立人商標1の顧客吸引力を利用(フリーライド)したブランドの商品が市場に蔓延することとなり、その結果として、申立人らが長年の営業努力によって築いた周知商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の毀損を招来させることが明らかであって、不正の目的をもって使用をするものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 第4 当審の判断 1 申立人商標の周知・著名性について (1)申立人は、「SANTA HELENA」の欧文字又は「サンタ・ヘレナ」の片仮名からなる申立人商標が申立人らの業務に係る商品「ワイン」を表示する商標として周知になっている旨主張し、その証拠方法として甲第1号証ないし甲第32号証(枝番号を含む。)を提出しているところ、該証拠にによれば、以下の事実が認められる。 ア 甲第7号証は、「タラカパ:タラカパ社について」とする、申立人の日本語版ホームページであるところ、申立人は、1874年に設立されたワインの製造会社であり、2004年に申立人を中心としてワイングループが設立されたこと、2008年には、良質なワインを50か国以上へ輸出する、チリ国内第2位のワインメーカーとなったと記載されている。 イ 甲第11号証は、アサヒビールによる、平成15年12月24日付けニュースリリースであるところ、「チリ/サンタ・ヘレナ社のワインブランドを新発売 『サンタ・ヘレナ・グラン・ヴィーノ』 毎日の暮らしの中で気軽に楽しむ上質なテーブルワイン」の見出しの下、アサヒビールがサンタヘレナ社のワインブランドを平成16年2月18日から全国で新発売すること、該ブランドのワインは、チリの名門ワインメーカーであるサンタヘレナ社が手ごろな価格で提供することを目的として生み出したワインブランドであること等が記載されている。そして、ニュースリリースの下部に「サンタ・ヘレナ・グラン・ヴィーノ」として2本のワインの写真が掲載され、そのラベルには申立人商標1の表示が認められる。 ウ 甲第12号証は、アサヒビールによる、2012年(平成24年)12月20日付けニュースリリースであるところ、「ニューワールドワインの定番、チリワインの新ブランド 『サンタ・ヘレナ アルパカ』 新発売」の見出しの下、サンタヘレナ社のワインを2012年3月13日より全国で新発売することが記載されている。 エ 甲第14号証は、アサヒビールのウェブサイトであるところ、サンタヘレナ社について、「世界50か国以上で愛されるメイドinチリブランド」の見出しの下、「チリの名門サンタ・ヘレナは1942年創業。チリワインを世界に輸出してその名を広めたパイオニアです。・・・サンタ・ヘレナ社が属するサン・ペドロ・タラパカ・グループは、世界50か国に100万ケース以上のワインを輸出し、高い評価と親しみを得ています。」と記載されている。 オ 甲第15号証は、アサヒビールのウェブサイトであるところ、「サンタ・ヘレナ」の見出しの下、サンタヘレナ社の各ワインがその写真とともに紹介されている。 カ 甲第17号証は、チリワイン通販専門ショップ&ポータル ユヤイのウェブサイトであるところ、「Santahelena」の見出しの下、サンタヘレナ社の紹介(上記(エ)と同様内容の紹介)及びサンタヘレナ社の各ワインが紹介され、申立人商標1の表示されたラベルの付されたワインの写真が掲載されている。 キ 甲第19号証(枝番号を含む。)は、「JETRO Santiago」の2006年から2011年にかけての「ブリュッセルワインコンクールにおけるチリのメダル獲得銘柄」と題する表であるところ、サンタヘレナ社の取り扱うワインがメダルを獲得したことが掲載されている。 ク 甲第20号証は、2012年7月11日付け藤田観光株式会社のニュースリリースであるところ、「全世界のワインから、日本で飲める最も美味しいワインを探す品評会第2回『日本で飲もう最高のワイン2012?テロワールから食卓へ?』今年のベストワインを発表!・・・」の見出しの下、サンタヘレナ社のワインがコストパフォーマンス賞を受賞したことが記載されている。 ケ 甲第22号証は、雑誌「一個人」(2013年11月号)(写し)であるところ、「1500円以下の赤・白 極旨ワイングランプリ」の見出しの下、「1500円以下の赤・白 極旨頂上ワインはコレだ!」として、サンタヘレナ社のワインが白ワインの第1位に掲載されている。 コ 甲第23号証は、「ZENSHO」のウェブサイトであるところ、「ココス」の見出しの下、「ココス」が関東・関西を中心に全国展開するレストランであること、グランドメニューの「ソフトドリンク・アルコール」において「ボトルワイン チリ産『サンタ・ヘレナ・グラン・ヴィーノ』」が記載されている。 (2)以上によれば、申立人らは、申立人商標1をラベルに付したワイン(使用商品)を製造していること、日本においては、アサヒビールが使用商品を平成15年頃から取り扱っていること、アサヒビールのホームページにおいて宣伝広告されていること、レストランココスにおいても、アルコールメニューとして使用商品が提供されていることが認められるものの、その使用商品の取扱量、販売額、販売先及び広告回数等については、何ら明らかにされていない。 また、レストランココスにおいて提供された使用商品の取扱量等についても不明であるし、日本には、世界各国から多くの銘柄のワインが輸入、販売されている状況において、それらに比べて、使用商品が多大な広告をもって需要者に浸透しているといった事情も見い出せない。 そして、申立人の提出した甲第4号証ないし甲第6号証、甲第8号証ないし甲第10号証及び甲第25号証ないし甲第27号証はいずれも外国語によるものであるから、我が国の需要者に強く印象付けられるとも考え難いものである。 そうすると、申立人商標は、我が国又は外国において、取引者、需要者の間に広く認識されているとまでは認めることはできないものである。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、上記第1のとおり、「VIGNETI SANT’HELENA」の欧文字を同じ書体、同じ大きさをもってまとまりよく一連に表してなるものであり、その全体の構成文字から生じる「ヴィグネティサントヘレナ」の称呼も一連に称呼し得ないほど冗長ということはできないものである。 そして、その構成中の「SANT’HELENA」の文字部分は辞書等に掲載のないものであり、また「VIGNETI」の文字部分も、「ブドウ畑」の意味を有するイタリア語であるが、我が国においては、イタリア語である該文字が当該意味を有する成語として一般に親しまれているとまではいい難いことから、本件商標に接する取引者、需要者には、直ちに特定の意味を想起させることのない造語として認識されるというのが相当である。 そうすると、本件商標は、一体不可分の商標として認識されるとみるのが相当であり、その構成文字に相応して、「ヴィグネティサントヘレナ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものといえる。 (2)引用商標 引用商標は、上記第2のとおり、「SANTA HELENA」の欧文字を横書きしてなるところ、これより「サンタヘレナ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 (3)本件商標と引用商標の類否について 本件商標と引用商標の類否を検討するに、外観においては、「VIGNETI」の文字の有無、さらに、「SANT」の文字の後の「’」の記号と「A」の文字が異なることから、本件商標と引用商標とは、明らかに区別できるものである。 次に、称呼においては、本件商標から生じる「ヴィグネティサントヘレナ」の称呼と引用商標から生じる「サンタヘレナ」の称呼は、語頭における「ヴィグネティ」の音の有無、さらに、「サン」の後に続く「ト」の音と「タ」の「音」が異なるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはないものである。 そして、観念については、本件商標及び引用商標のいずれからも、特定の観念が生じないものであるから、観念において、両者が相紛れるおそれがあるということはできないものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念の点において、相紛れるおそれのないものであるから、全体を総合的に考察すれば、取引者、需要者に与える印象、記憶が異なり、両商標を同一又は類似の商品に使用した場合においても、商品の出所について混同を生ずるおそれのない非類似の商標というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は、「VIGNETI SANT’HELENA」の欧文字からなるものであり、その外観、称呼及び観念は上記2(1)のとおりのものである。 申立人商標1は、「SANTA HELENA」の欧文字からなるものであり、上記2(2)の引用商標と構成文字を同じくするものであるところ、その構成文字に相応して「サンタヘレナ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 また、申立人商標2は「サンタ・ヘレナ」の片仮名からなるものであり、その構成文字に相応して「サンタヘレナ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。 そうとすると、本件商標と申立人商標とは、上記2と同様、非類似の商標というべきである。 そして、申立人商標は、上記1のとおり、我が国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第15号該当性について 申立人商標は、上記1のとおり、我が国における取引者、需要者の間で広く認識されているとは認めることができないものである。 そして、本件商標と申立人商標は、上記3のとおり、非類似の商標というべきである。 そうすると、本件商標は、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が申立人商標を連想、想起するものとはいえず、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものといわざるを得ない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 5 商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人商標は、上記1のとおり、取引者、需要者の間で広く認識されているとは認めることができないものである。 そして、本件商標と申立人商標は、上記3のとおり、非類似の商標であって、本件商標が申立人商標を連想、想起させるともいうことができないものである。 さらに、本件商標の出願が申立人商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)する意図の下に採択された等の不正の目的をもって使用をするものであるとの証左は何ら示されていないし、かつ、他にこれを認めるに足る証拠は見いだせないから、本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認めることはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 6 商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人商標は、上記1のとおり、我が国における取引者、需要者の間で広く認識されているとは認めることができないものであるし、本件商標と申立人商標は、上記3のとおり、非類似の商標というべきであるから、本件商標は、これをその指定商品に使用することが、申立人商標の著名性にただ乗りする目的で使用するなど、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものということはできないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 7 まとめ 以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2014-12-08 |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(W33)
T 1 651・ 271- Y (W33) T 1 651・ 261- Y (W33) T 1 651・ 25- Y (W33) T 1 651・ 263- Y (W33) T 1 651・ 22- Y (W33) T 1 651・ 262- Y (W33) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 林 圭輔 |
特許庁審判長 |
林 栄二 |
特許庁審判官 |
梶原 良子 中束 としえ |
登録日 | 2012-10-31 |
権利者 | GRUPPO VINICOLO FANTINEL s.p.a. |
商標の称呼 | ビネッティセントヘレナ、ビネッティ、ビネティ、セントヘレナ |
代理人 | 村松 由布子 |
代理人 | 杉村 憲司 |