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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W41
管理番号 1298470 
異議申立番号 異議2013-900282 
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-08-21 
確定日 2015-02-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5591939号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5591939号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5591939号商標(以下「本件商標」という。)は、「わくわくらんど」の平仮名を標準文字で表してなり、平成25年1月21日に登録出願、同年6月3日に登録査定、第41類「娯楽の提供及びこれらに関する情報の提供,遊園地の提供,娯楽施設の提供,子供用遊戯施設の提供,おもちゃの貸与,おもちゃの貸与に関する情報の提供,遊園地用機械器具の貸与及びこれに関する情報の提供,遊戯用器具の貸与及びこれに関する情報の提供,運動施設の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,映画の上映・制作又は配給,オンラインによる映画・画像・映像の提供,映像の上映,写真の撮影,ビデオの撮影」を指定役務として同月21日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第19号証を提出した(決定注:申立人が提出した証拠は、1ないし19との記載があるが、甲第1号証ないし甲第19号証とした。)。
1 本件商標について
本件商標権者は、平成24年10月27日に福島空港内の3階に幼児とその保護者を利用対象者として「わくわくらんどたまかわ」の名称の屋内遊技場を設置し、「わくわくらんど」なる商標を使用して、同25年1月21日に登録出願したものである。
2 「わくわくらんど」商標の周知性について
申立人は、昭和53年6月20日に財団法人として設立され、同60年11月より東京都渋谷区にて「こどもの城」を国の委託を受けて運営している。
平成5年、国は、同建物の3階に「わくわくらんど」と称する木製大型遊具を設置し、「わくわくらんど」の名の下の今日まで20年間にわたり設営し、関東一円の父兄及び子供らの利用に供してきたものであり、また、全国の児童厚生施設職員を対象とした研修会、実技指導講習会等により、全国4300以上の児童厚生施設職員及び多数の国民の知るところになっているところである。
同施設は、周知の施設であり、皇族の方々も広く利用され、「わくわくらんど」の記事は、多くのマスコミによって国民多数の知悉するところであって、商標登録こそしていないが、申立人の役務を表示するものとして、一般(特に子供達及びその父兄の間)に広く知られていたものであり、申立人は先使用人である。
3 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してなされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。

第3 当審における取消理由
当審において、商標権者に対して平成26年6月19日付けで通知した取消理由の内容は、以下のとおりである。
1 申立人の提出に係る証拠及び当審における職権調査によれば、以下の事実が認められる。
(1)「わくわくらんど」の語の使用例について
ア 東京都渋谷区在の国立総合児童センター「こどもの城」の施設説明として、プレイホール(3F)に「大型アスレチック『わくわくらんど』、『幼児コーナー』・・・など年齢に応じて遊べます。」、「大型の木製アスレチック・いろいろな遊び方が楽しめます。」と説明されている。
イ 茅ヶ崎市公式ホームページには、「わくわくらんど」の見出しの下、「子どもの家『わくわくらんど』(コミュニティセンター湘南内)」の記載、「利用できる人」として、「市内在住の小学生、付添人がいる幼児(未就学児)」の記載、「その他」として、「室内にはすべり台が設置されています。その他、絵本やブロックなどの遊具があります。」の記載がある。
ウ YAHOO!口コのウェブサイトには、「青森市スポーツ広場わくわくらんど」の紹介がある。
エ 「さかい/げんキッズ 堺市立美原ひがし保育所」のウェブサイトには、「『わくわくらんど』に行ったよ!/【ひよこ組(0歳児クラス)】2013-02-15 18:13UP」として、「『わくわくらんど』(みんなで作っておそぼう)が開催されました。」の記載がある。
オ 埼玉県吉川市のホームページの「2013年8月のイベント」として、「わくわくらんど(ふれあい遊びなど)」の見出しの下、「手遊びや絵本、紙芝居の読み聞かせなど、兄さんやお姉さんと一緒にふれあい遊びを行います」の記載がある。
カ 徳島県生涯学習情報システムの「まなびひろば 詳細情報」のウェブサイトには、「神宅学童保育クラブわくわくらんど」の見出しの下、「施設内容・特色等」の項に「昼間、保護者が家庭にいない小学校低学年児童に対して授業の終了後適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る。」の記載がある。
キ 足立区のホームページの「千住河原町住区センター」の「児童館」の見出しの下、「わいわい・わくわく・たのしみがいっぱい児童館」、「わくわくらんど・・・定例工作とはちがう内容で計画します」の記載がある。
ク NPO法人「江東おやこのサポートセンター」のホームページには、該法人が「親支援」と「子ども支援」を目指し、「親子支援」をお手伝いすることが紹介され、また、4理事中の一人の蘭には「おやこのあそび教室?わくわくらんど?担当」の記載がある。
ケ 「リトル・ママ」のウェブサイトには、「サークル情報」として、「わくわくらんど@南馬込児童館(大田区南馬込)」の見出しの下、「児童館に集まった親子で自主活動を展開中!」の記載がある。
コ 風師児童館(http://www.kitaq-jidoukan.jp/kazashi/005/)には、メニューとして、「わくわくらんど」の記載がある。
(2)新聞記事情報
ア 「子育ての親を応援 松江でフェスティバル/島根」(1998.01.25 朝日新聞大阪地方版/島根)の見出しの下、「同プラザ体育室では、就学前の子を持つ親のサークル四団体が『ちびっこわくわくらんど』を開き、訪れた約三百人の親子連れらは、影絵や劇をみたり、音楽に合わせて躍ったりして遊んだ。」の記載がある。
イ 「音楽の楽しさを感じて--きょうから『TENDOミュージックフェスタ』/山形」(2001.08.18 毎日新聞地方版/山形 23頁)の見出しの下、「『TENDOミュージックフェスタ2001』が18、19日の両日、天童市鍬の町の『わくわくらんど多目的広場』で開かれる。」の記載がある。
ウ 「(週刊まちぶら 見てよふるさと)松江市鹿島町 魯迅と親交、増田渉の郷里/島根県」(2005.12.19 朝日新聞大阪地方版/島根 33頁)の見出しの下、「●母親のリフレッシュ大切/子育て支援交流センター『わくわくらんど』の主任保育士・・・は『子どもの交流スペースの提供だけでなく、母親のリフレッシュも大切にしている』という、育児疲れの体を休めるヨガやアロマテラピー教室なども開催。」の記載がある。
エ 「青空が広がり、暑さ今年一番 ソフトクリーム『おいしいね』/青森県」(2007.05.23 朝日新聞東京地方版/青森 31頁)の見出しの下、「青森市大矢沢の『わくわくらんど』では、雪をかぶった八甲田山をバックに子どもたちが半袖姿で野球や水遊び。」の記載がある。
オ 「白山わくわくランド:特設遊園地、佐賀の商店街に/佐賀」(2011.02.27 毎日新聞地方版/佐賀 27頁)の見出しの下、「佐賀市の中心商店街ににぎわいを呼び戻そうと、期間限定の特設遊園地『白山わくわくランド』が26日、同市の白山名店街アーケード内にオープンした。・・・理事長は『街の元気を取り戻すには、子供にどうアプローチするかが今後のポイントになる。親子で楽しい時間を過ごしてもらいたい』と話した。」の記載がある。
カ 「人気落語家『二人会』上尾で10月=埼玉」(2011.07.08 読売新聞東京朝刊 32頁)の見出しの下、「前売り券は・・・市コミュニティセンター、市健康プラザわくわくランド、市民球場・・・とでも発売する。」の記載がある。
キ 「再開発ビル:図書館と未来館、15日開館 にぎわい施設フル稼働--大田原/栃木」(2013.12.12 毎日新聞地方版/栃木 25頁)の見出しの下、「子ども未来館は『キッズタウン』や大型遊具を備えた『わくわくらんど』のほか『親子触れ合いキッチン』『親子レクリェーションルーム』、乳幼児を預かる『一時保育センター』などを備える。」の記載がある。
(3)上記(1)及び(2)によれば、子ども、親及び親子のために、運動やふれあい遊びなどができる施設や場所について、「わくわくらんど」、あるいは、「わくわくランド」と称している事実が多数存在することが認められる。
2 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「わくわくらんど」の平仮名を標準文字で表してなり、第41類「娯楽の提供及びこれらに関する情報の提供,遊園地の提供,娯楽施設の提供,子供用遊戯施設の提供,おもちゃの貸与,おもちゃの貸与に関する情報の提供,遊園地用機械器具の貸与及びこれに関する情報の提供,遊戯用器具の貸与及びこれに関する情報の提供,運動施設の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,映画の上映・制作又は配給,オンラインによる映画・画像・映像の提供,映像の上映,写真の撮影,ビデオの撮影」を指定役務とするものである。
そして、前記1のとおり、本件指定役務を取り扱う業界において、子ども、親及び親子のための楽しめる場として、運動やふれあい遊びなどができる施設や場所(コーナー)について、広く一般に「わくわくらんど」、あるいは、「わくわくランド」と称している実情がある。
そうとすれば、本件商標をその指定役務について使用しても、上記施設や場所(コーナー)で提供される役務であると認識するにすぎず、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

第4 商標権者の意見
商標権者は、申立人の提出した異議申立書には虚偽の記載あるいは事実の誤認があり、それを基にした取消理由通知は認定判断を誤ったものであるから異議の申立て自体が無効である旨及びその詳細について要旨以下のように意見を述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している(決定注:商標権者が提出した証拠は、1ないし7との記載があるが、乙第1号証ないし乙第7号証とした。)。
1 異議申立の理由中の(2)において、「商標権者は、平成24年10月27日に福島空港内の3階に幼児とその保護者を利用対象者として『わくわくらんどたまかわ』の名称の屋内遊技場を設置し、『わくわくらんど』なる商標を使用して、同25年1月21日に登録出願したものである」と記載があるが、設置者は、福島県石川郡玉川村であり、商標権者ではない(乙1及び乙2)。
2 平成25年10月21日付け上申書において、「(9)Google検索結果『福島空港 わくわくらんど』立証趣旨には『本件商標権者が運営する施設の健作結果が28,400件であること』」と記載があるが、運営者は、福島県石川郡玉川村から業務委託を受けた福島空港ビル株式会社であって、商標権者でない(乙3及び乙4)。
また、該上申書において、「申立人の運営する施設の検索結果が88,600件であり」との記載があるが、平成24年9月28日に申立人が国から経営を委託された「こどもの城」は、同27年3月末に閉館する旨厚生労働省が発表している(乙6)。
3 平成26年6月19日付け取消理由通知には、「天童市鍬の町『わくわくらんど多目的広場』で開かれる」(前記第3の1(2)イ)と記載があるが、ここでの「わくわくらんど」は、第36類に商標登録が認められ、山形県天童市が権利者である(乙5)ところ、本件は、第41類に対する申立てであり、唐突に本件とは関係のない第36類を例示したことは事実の誤認である。
また、同取消理由通知には、「『わくわくランド』と称している事実が多数存在することが認められる」(前記第3の1(3))と記載があるが、職権調査による使用例で10件、新聞記事情報で7件の例示にすぎない。
さらに、同取消理由通知書には、「上記施設や場所(コーナー)で提供される役務であると認識するにすぎず、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである」(前記第3の2)と記載があるが、そうであるとすれば、すでに第41類において商標登録が行われている子供たちの遊び場、「ワンパクランド」(登録第5444247号商標)も同様に商標法第3条第1項第6号によって判断されるべきところ、特許庁は、そのように判断していない。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「わくわくらんど」の平仮名を標準文字で表してなり、第41類「娯楽の提供及びこれらに関する情報の提供,遊園地の提供,娯楽施設の提供,子供用遊戯施設の提供,おもちゃの貸与,おもちゃの貸与に関する情報の提供,遊園地用機械器具の貸与及びこれに関する情報の提供,遊戯用器具の貸与及びこれに関する情報の提供,運動施設の提供,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,映画の上映・制作又は配給,オンラインによる映画・画像・映像の提供,映像の上映,写真の撮影,ビデオの撮影」を指定役務とするものである。
そして、前記第3のとおり、本件指定役務を取り扱う業界において、子ども、親及び親子のための楽しめる場として、運動やふれあい遊びなどができる施設や場所(コーナー)について、広く一般に「わくわくらんど」、あるいは、「わくわくランド」と称している実情がある。
そうとすれば、本件商標をその指定役務について使用しても、上記施設や場所(コーナー)で提供される役務であると認識するにすぎず、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。
2 商標権者の意見について
(1)商標権者は、福島空港内の幼児とその保護者を利用対象者とする「わくわくらんどたまかわ」という名称の屋内遊技場の設置者は福島県石川郡玉川村であって、また、「福島空港 わくわくらんど」の運営者は、玉川村から業務委託を受けた福島空港ビル株式会社であるから、虚偽の記載、あるいは事実の誤認をしている旨主張し、さらに、申立人が国から経営を委託された「こどもの城」は、平成27年3月末に閉館する旨厚生労働省が発表したと主張している。
確かに、福島空港の屋内遊び場は、設置者が福島県石川郡玉川村であって、運営者は福島空港ビル株式会社であることが認められる(乙1ないし乙4)。
しかしながら、商標権者と関係のない設置者及び運営者が幼児とその保護者を利用対象者とする遊戯場を「わくわくらんど」と称しているものであるから、なおさら、その使用例は前記第3で示した例と同様に商標権者以外の者によって、親及び親子のための楽しめる場として「わくわくらんど」を使用していたといえる。
そうとすれば、前記のとおり、登録査定時前に広く一般に「わくわくらんど」と称しているといえるから、商標権者の上記主張は採用することができない。
(2)取消理由通知における「天童市鍬の町『わくわくらんど多目的広場』で開かれる」との記載中の「わくわくらんど」は、第36類に商標登録が認められたものと主張しているところ、確かに第36類「建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介など」について、「わくわくランド」の文字が天童市を権利者として商標登録されているものであるとしても、該商標登録は、あくまでも第36類に属する商標登録原簿に記載の役務についての権利であって、天童市が遊戯場に使用する該新聞記事の内容が第36類に関する役務を表示する商標とはいえない。
(3)商標権者は、職権調査による使用例で10件、新聞記事情報で7件の例示にすぎない旨主張する。
本件商標は、前記第3のとおり、本件指定役務を取り扱う業界において、子ども、親及び親子のための楽しめる場として、運動やふれあい遊びなどができる施設や場所(コーナー)について、広く一般に「わくわくらんど」、あるいは、「わくわくランド」と称している実情があることから、自他役務の識別機能を有しないものとするのが相当である。
(4)商標権者は、第41類において子供たちの遊び場、「ワンパクランド」(登録第5444247号商標)が商標登録がされている旨主張しているが、該商標登録は、標準文字ではなく、その構成文字も相違し、図形を含むものであって、本件商標と相違するものであるから、この商標登録によって、本件商標の上記判断が左右されるとはいい難い。
(5)まとめ
以上のとおり、商標権者の主張は、いずれも妥当なものとはいえず、上記1の認定判断を覆すに足りるものではない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-12-22 
出願番号 商願2013-2905(T2013-2905) 
審決分類 T 1 651・ 16- Z (W41)
最終処分 取消  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 酒井 福造
寺光 幸子
登録日 2013-06-21 
登録番号 商標登録第5591939号(T5591939) 
権利者 溝井 丈樹
商標の称呼 ワクワクランド 
代理人 秋山 昭八 
代理人 秋山 智昭 

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