• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2013890028 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
管理番号 1298395 
審判番号 無効2013-890080 
総通号数 184 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-04-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-11-15 
確定日 2015-02-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5223634号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5223634号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5223634号商標(以下「本件商標」という。)は、「ACME MADE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年4月18日に登録出願、第9類「写真機械器具・映画機械器具・映像周波機械器具・光学機械器具・オーディオ機械器具・コンピュータその他の電子応用機械器具又はこれら機械器具の付属品の持ち運び用バッグ・ハードケース又はソフトケース・リュックサック・大型かばん・バックパック(ホイール付又はホイールなし)・ベルトパック・ポケット・トートバッグ・ポーチ型の専用収納具,写真撮影用フィルム整理・収納バッグ,携帯電話機用ポーチ,写真機械器具・映画機械器具・映像周波機械器具・光学機械器具・オーディオ機械器具・コンピュータその他の電子応用機械器具又はこれら機械器具の付属品持ち運び用のバッグ・ハードケース又はソフトケース・リュックサック・大型かばん・バックパック(ホイール付又はホイールなし)・ベルトパック・ポケット・トートバック・ポーチ型の専用収納具及び写真撮影用フィルム整理・収納バッグ又は携帯電話機用ポーチの保持用ウェストハーネス・ショルダーハーネス,携帯型コンピュータ・デスクトップコンピュータ・コンピュータモニター・その他の電子応用機械器具及びその部品専用の防塵カバー・保護カバー,音声周波機械器具・映像周波機械器具・その他の電子通信機械器具・電子通信機械器具の部品及び付属品専用の防塵カバー・保護カバー,音声周波機械器具・映像周波機械器具・その他の電子通信機械器具・電子通信機械器具の部品及び付属品専用の保護ケース,音声周波機械器具・映像周波機械器具・その他の電子通信機械器具・電子通信機械器具の部品及び付属品専用の保護ケースの保持用ウェストハーネス・ショルダーハーネス」及び第18類「肩掛けかばん,書類入れかばん,手提げかばん,ハンドバッグ,バックパック(ホイール付又はホイールなし),ベルトパック,その他のかばん類,袋物,肩掛けかばん・書類入れかばん・手提げかばん・ハンドバッグ・バックパック(ホイール付又はホイールなし)・ベルトパック・その他のかばん類・袋物の保持用ウエストハーネス・ショルダーハーネス」を指定商品として、同21年3月30日に登録査定、同年4月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第15号に該当するとして引用する登録第5081028号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ACME」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年8月31日に登録出願、第9類「眼鏡,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,携帯電話端末用のストラップ及びネックピース,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,スロットマシン,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」並びに第3類、第14類、第16類、第24類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年10月5日に設定登録されたものである。
同じく登録第5186872号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成19年9月6日に登録出願、第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,乗馬用具,原革,原皮,なめし皮,毛皮」を指定商品として、同20年12月5日に設定登録されたものである。
なお、これらを一括して、以下「引用商標」という場合がある。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第40号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
ア 本件商標は、標準文字で表してなる「ACME MADE」の文字からなる。「ACME」の語は「美しさ・技術などの完成の頂点」といった意味があるが、一般に使用される語ではなく、特定の観念が生じない語であり、識別力の強い標章と考えるのが自然である。
他方、「MADE」の語は、「MAKE」の過去形・過去分詞として日本人にも非常に馴染深い英単語であり、容易に「?作、?製」の意味を観念することができる識別力の無い語である。事実、広辞苑においては「Made in Japan(メードインジャパン)」、「tailor made(テーラーメード)」、「custom made(カスタムメード)」、「order made(オーダーメード)」、「ready made(レディーメード)」「half made(ハーフメード)」、「hand made(ハンドメード)」、「home made(ホームメード)」が紹介されており(甲5)、それぞれ「?作り、?製」の意味が認められていることから、「MADE」の語がいかに平易で日本語としてそのまま用いられているか理解できる。
イ また、「MADE」の語は、自他識別力が弱く、この部分は捨象されると判断された審決がある(甲6;無効2008-890054)。
本件商標の指定商品は、第18類のかばん類及び第9類の専用かばん又はケース等であるが、かばんやケースは被服と同様にファッション性が高く、ともにファッション関連商品として認識され、用途・需要者層・販売場所が一致する場合も少なくない(甲7)。
したがって、上記審決は、本件の「かばん」の分野についても十分に参考となる。
ウ すなわち、かばんの分野では被服同様にデザイナーがデザインを手がける場合や製造地、品質を表示する場合に「○○○made」、「made by ○○○」、「made in ○○○」のような表示が用いられる場合がある(甲8?甲23)。
これは、かばんが裁縫や素材、製造地、製法、デザイナー、職人等に裏づけされた優れた品質・技術であることを示すことを目的とする。インターネットによると、例えば手作り製を意味する「hand made・バッグ」について検索すると約1330万件ヒットし、「leather made・バッグ」で検索すると約58万件、「original made・バッグ」では約22万件、「US made・バッグ」で約73万件、「Japan made・バッグ」では約31万件、「Italy made・バッグ」は約15万件、「France made・バッグ」は約8万件の結果が出てくる(甲24?甲30)。
したがって、「MADE」の語は、ブランドの一部としてではなく、商品自体の品質等を説明する語であると認識されるものである。
以上より、「ACME」と「MADE」の文字が同書同大で記述されているとしても、本件商標中の「MADE」の文字は識別力の無い極めて平易な語であるために「ACME」の文字部分が要部と認識される。そして、全体から看取される観念も「ACME製」の意味となる。
また、称呼においても、全体から「アクメメイド」と生じる場合があるとしても、「MADE」は識別力が無い語であるために捨象されて「ACME」が本件商標の要部として認識され、「アクメ」の称呼が生じる場合も多分にある。
(2)引用商標と本件商標の対比
引用商標は、「ACME」の文字により構成され、該文字に相応して「アクメ」の称呼が生じる。
そこで、引用商標と本件商標とを対比すると、両者はいずれも「アクメ」の称呼が生じる。
また、観念も本件商標は「ACME製」の意味が生じるのに対して、引用商標は「ACME」であり、引用商標と変わらない。すなわち、「ACME MADEかばん」と「ACMEかばん」は、いずれも「ACME製のかばん」であってなんら変わらない。
以上により、引用商標と本件商標とは、称呼及び観念のいずれも同一又は類似する商標である。
(3)指定商品の対比
本件商標と引用商標の指定商品は、同一又は類似の関係にある。
(4)被請求人の主張に対して
ア 「MADE」の品質表示性
(ア)乙第1号証ないし乙第3号証で提出している資料は、英和辞典ないしはインターネット上における英語の語学上又は会話上における「make」の用法を紹介するものに過ぎない。重要なのは日本の平均的知識を備えた需要者が本件商標に接した場合に「made」の語をどのように理解するかであり、それを計るのは英和辞典ではなく国語辞典である。
そして、請求人が提出した甲第5号証によれば、「made」の語は日本語としても深く浸透していることは明白であり、「○○製」の意味を形成する語と一義的に理解されるものであることは明らかである。
よって、乙第1号証ないし乙第3号証は、本件商標中の「MADE」が品質表示か否かを検討する資料として適切ではない。
(イ)「made」の前に来る語が何であろうと一義的に「○○作、○○製」と理解されることは前述のとおりであり、「made」の前に来る語が品質表示か否か或いは周知著名である否かは全く関係ない。
なぜ、品質表示の場合と周知著名商標の場合のみ「made」が「○○作、○○製」となり、普通の商標の場合にはそうならないのか理解に苦しむ。
したがって、本件商標である「ACME」は「その製品の製造主体として無理なく把握できる」ものであり、それが付される商品は、被請求人の表現を引用すれば、「デザイナーズラップトップバッグ」であることから、あるデザイナーにより製造されたことが特徴となっている。
したがって、「ACME MADE」の「MADE」は「○○作、○○製」と理解されることは容易である。
イ 本件商標の分離観察
被請求人は、自己の使用例や本件商標の外国における登録例を提出している(乙9?乙14)が、外国の登録例は本件と関連性は無いものであり、また、使用例も被請求人若しくは代理店のウェブページ、又は文字「ACME MADE」の検索結果のタイトルのみであり、これらをもって本件商標の取引実情とすることはできない。
請求人が提出する「ACME」のみで取引されている資料(甲31?甲35)から、取引者及び需要者において本件商標が「ACME」部分で取引されていることは明らかであり、本件商標を「ACME」部分と「MADE」部分を分離して「ACME」を要部として判断して引用商標と対比することはなんら不自然ではない。
よって、被請求人の「ACME MADE」の構成文字全体が一体不可分の造語であって、「アクメメイド」ないし「アクミメイド」以外の称呼は生じず、また、特定の観念は生じないとの主張は失当である。
(5)以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似であり、指定商品も同一又は類似するものを指定するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標では、「○○作、製造」を意味する「MADE」の有無のみの差異しか存在せず、これをその指定商品に使用した場合、引用商標の権利者の業務に係る商品と混同又は組織的関係を想起させるおそれがある商標である。
本件商標は引用商標と類似する商標であるが、仮に類似ではないとしても、本件商標は引用商標を使用する請求人の業務と何らかの組織的関係を想起させるものであり、出所の混同が生じる可能性が非常に高い。
3 むすび
以上により、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同第15号に該当するものとして無効とされるべきである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)「MADE」の品質表示性
ア 請求人が述べるように、「MADE」の語は「MAKE」の過去形・過去分詞として知られている英単語である。
しかしながら、「MAKE」の語は「製造する、創造する、制定する、構成する、整える、案出する、引き起こす、もうける、理解する、遂行する」などのような意味を有する英単語(動詞)として知られているものであり(乙1,乙2)、また、「?を作る」との意味以外の意味で多く使用されることが広く知られている事実でもあることからすれば(乙3)、「MADE」の語が「MAKE」の過去形・過去分詞として知られていることをもって、直ちに「?作、?製」との意味が一義的に理解されるものではない。
イ 請求人は、乙第1号証の1及び乙第2号証の1に記載されている用例を挙げ、「made」が「○○作、○○製」の意味であることは容易に理解できると主張する。
しかしながら、該証拠に記載されている用例は、いずれも「made」の語の前に具体的な商品の製造場所や製造手段等の語が配され、その構成全体が一体となって商品の品質等を表すものである。
ウ すなわち、「MADE」の語は、その用法によっては、「○○製の、○○な作りの、人工の、人造の」といった意味を観念し得る語ではあるものの、それ単独で具体的な商品の品質を表示するものではなく、その前後に配された他の語との組合せ(結合)によって意味が生じるものであり、請求人が挙げる甲第11号証ないし甲第13号証及び甲第15号証ないし甲第30号証のように、全体として品質を表示する語であると無理なく把握できる場合にのみ、「MADE」の語は「○○製の」との意味において認識されるものである。
エ 換言すれば、「○○made」の構成中「made」の語が商品の品質を説明する語であると認識されるのは、「○○」の語が「素材、製法、製造地域や国」のように「made」と結合して全体で品質を表示するものであると無理なく把握できる場合や、「○○」の語が周知著名でありその製品の製造主体として無理なく把握できる場合に限られるものである。
一方、「○○made」全体で品質を表示するものと把握できない場合や、「○○」の語が製造主体を示すものとして把握できない場合には、これに接した取引者及び需要者は、全体から特定の(自然な)観念を理解することはできず、「made」の語を商品の品質を表示するものとは捉えずに、全体をそのままの態様で把握すると解するのが経験則に合致するというべきである。
これを本件についてみるに、本件商標の構成中「ACME」の語は、「絶頂、頂点、極度、極致、完璧」などを意味する英単語であるものの(乙4)、広く一般に親しまれている語句とまではいえず、その意味が容易に理解されるものではなく、「MADE」と結合して一つの品質を表示する語を形成すると理解されるものではない。
また、「ACME」は周知著名商標ではなく、「ACME」の部分が製造主体を示すものと認識できるものでもない。このことは、例えば、商標「mao made」(乙7;登録第5097878号)と商標「MAO」(乙15;登録第4081528号)とが同一の指定商品「かばん類,袋物」について併存登録されているところ、「mao」が広く一般に知られたブランドでなければ「mao製」というような不自然な観念を理解することはないことと同様である。
してみれば、本件商標に接した取引者及び需要者は、「MADE」の語を無理矢理に「?製」と解し、本件商標から「ACME製」という意味不明な観念を想起することはせず、「ACME MADE」の全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の商標として認識するものである。
(2)本件商標の分離観察
ア 本件商標は、その構成から「MADE」の文字が商品の品質を表示するものとして理解されるものではなく、「ACME MADE」の全体をもって、一体不可分の造語商標と認識されるものである。
本件商標に係る指定商品を取り扱う分野においては、「EARTH MADE」や「mao made」のように、「○○○MADE(made)」の構成からなる商標が多数登録されているが、これらはいずれも全体で一つのブランドを表すものとして使用されており、「○○○MADE」の構成から「MADE」の文字を捨象して「○○○」の文字のみで取引に資されている事実は見受けられない(乙5?乙8)。
また、取引の実情を見るに、「ACME MADE」は、2002年に米国のサンフランシスコで誕生したバッグブランドであり(乙9)、同ブランドの下に販売されたノートPCケースは「デザイナーズラップトップバッグ」の市場を創出するに至り、米国、カナダをはじめ、韓国、中国などにおいても登録(販売)されている(乙10)。
我が国においては、代理店を介して本件商標を付した商品の販売が現に行われており(乙11,乙12)、当該商品を販売するインターネットショップや需要者においても、本件商標は、「ACME MADE」全体をもって被請求人の業務に係る商品のブランド名と認識されており、殊更「MADE」の文字部分を捨象して「ACME」の文字部分のみで取引に資されている事実はない(乙13,乙14)。
そして、本件商標の構成態様を考察するに、本件商標は、「ACME」と「MADE」の各文字がやや間隔をおいて配されているものの、これは英文表記における自然なスペースと把握できるものであり、いずれか一方を強調するような構成ではない。
また、本件商標は、同書、同大の文字をもって外観上まとまりよく一体的に書されているものであること、及びこの構成全体より生ずると認められる「アクメメイド」ないし「アクミメイド」の称呼も6音という短い音節からなり、語呂良く一気一連に称呼し得るものであることをあわせみれば、本件商標に接した取引者及び需要者が、本件商標を「ACME」部分と「MADE」部分とに分離した上で、「ACME」の文字部分のみを抽出して称呼するものとは到底いえない。
したがって、本件商標は、「ACME MADE」の構成文字全体が一体不可分の造語であって、「アクメメイド」ないし「アクミメイド」以外の称呼は生じず、また、特定の観念は生じないものである。
イ 請求人は、「ACME」のみで取引されている資料として甲第31号証ないし甲第40号証を提出し、これらの資料から本件商標は分離観察されると主張する。
しかしながら、甲第35号証及び甲第40号証は、海外のサイトを印刷したものであり、また、甲第37号証ないし甲第39号証は、アメリカを中心に運営されているオークションサイトの出品画面を印刷したものであって、それらの情報を作成したのはベトナムやアメリカの需要者である。我が国の商標の類似判断等において重要なのは、平均的知識を備えた「我が国(日本)」の需要者が本件商標に接した場合にどのように理解するかであり、このような海外のサイト及び海外の需要者における使用例(翻訳例)は、我が国における取引者・需要者が「ACME MADE」をいかに認識するかを示すものではない。
また、甲第31号証及び甲第32号証は、「Acme製の(ipad用)スキーニースリーブ」の語が記載されているが、これは見出しに掲載されている商品名「Acme Made Skinny Sleeve for ipadmini」の英文を翻訳したものであり、商標「Acme Made」の使用を「Acme製」と認識したものではない。甲第33号証に記載されている「Acme製のスキーニースリーブ」の語も甲第31号証及び甲第32号証と同様に上記商品名の英文を翻訳したもの、あるいは、それらの内容をそのまま用いたものと推察される。
さらに、甲第36号証に記載されている「アクメは、Java/ティールipad用ベイストリートのケースを作った。」の語も、その下に記載されている「Acme Made Bay Street Case For ipad Java/Teal」を機械翻訳したか、出品者がその英文をそのまま翻訳したものと考えられ、商標「Acme Made」の使用を「Acme製」と認識したものではない。
このように、請求人の提出した資料は、我が国における取引者・需要者の認識を検討するものとしては明らかに不適切である。
(3)本件商標と引用商標の対比
本件商標は「アクメメイド(アクミメイド)」の称呼のみを生ずるものであり、引用商標は「アクメ」の称呼を生ずるものである。本件商標と引用商標とは、「メイド」の音の有無という顕著な差異を有し、明らかに区別することができる。
そして、本件商標と引用商標とは、外観上判然と区別し得るものであり、また、本件商標は造語であって、特定の観念を生ずるものではないから観念上比較すべくもない。
(4)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれにおいても互いに紛れることのない非類似の商標であることは明白であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
2 商標法第4条第1項第15号について
請求人は、引用商標の周知著名性を明らかにする証拠を全く提出しておらず、周知著名性を明らかにするための最低限の証明事項である使用の事実すら明らかになっていない。
このような引用商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の出願時(平成20年4月18日)及び登録査定時(平成21年3月30日)において、需要者の間に広く認識されていたものとはいえない。
そうとすれば、上述したとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である上、引用商標の周知著名性は認められないことから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者及び需要者が、請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1第15号に違反して登録されたものではない。
(3)むすび
本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法46条第1項第1号により無効にされるべきものではない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「ACME MADE」の文字を標準文字で表してなるところ、「ACME」と「MADE」との間には一文字分の間隔が存在するものであることから、「ACME」及び「MADE」の各文字の結合からなる商標であると看取、把握されるものである。
そして、その構成中の「ACME」の欧文字は、被請求人も主張するように、「絶頂、頂点、極度、極致、完璧」などを意味する英単語であるものの(乙4)、広く一般に親しまれている語句とまではいえず、その意味が容易に理解されるものではないといえる。
他方、本件商標の構成中の「MADE」の欧文字は、例えば、研究社発行の「新英和大辞典」によれば、「・・製の、・・の作りの」等の意味を有する平易な英語であり、「Swiss-made watch(スイス製の時計)」、「home-made goods(国産品)」、「ready-made clothes(既製服)」等のように用いられており、各種商品について、「KANESA MADE」、「LEVI`S MADE」、「NIPPON MADE」、「MADE BY SEVEN-REUSE-」、「MADE by Longchamp」等の使用例(甲8?甲23)があることを認めることができる。
また、本件商標及び引用商標の指定商品である「かばん、バック」等の取引業界においても、「MADE(made)」の語は、「?製、?作」等商品における一種の品質を指称するものであって、自他商品の識別力を有しないものというべきである。
そうすると、本件商標は、その構成中の「MADE」の文字部分のみからは、商品の出所識別標識としての称呼、観念は生じないものとみるのが自然であり、本件商標は、その全体の構成文字に相応して「ACME製」の観念をもって把握されるばかりでなく、「MADE」の文字部分が捨象され、「ACME」の文字部分のみをもって取引に資される場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その全体の文字構成から、「アクメメイド」又は「アクミメイド」の称呼を生ずるほか、「ACME」の文字部分に相応して「アクメ」又は「アクミ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
また、本件商標は、上記のとおり、全体として「ACME製」ほどの観念を生じさせるものということができるが、「ACME」の文字部分から特定の観念を生じさせるということはできない。
(2)引用商標
引用商標1は、前記第2のとおり、「ACME」の欧文字を標準文字で表してなるものであるから、これよりは「アクメ」又は「アクミ」の称呼を生じるといえるものであり、また、該文字は、上記のとおり、既成の英単語であるものの、広く一般に親しまれている語句とまではいえず、その意味が容易に理解されるものではないといえるから、特定の観念は生じないものである。
次に、引用商標2は、別掲のとおり、やや丸みを帯びた「ACME」の欧文字を書してなるものであり、その文字のつづりは引用商標1と同じであるから、それと同様に、構成文字に相応して「アクメ」又は「アクミ」の称呼を生じ、特定の観念を生じるものではない。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、その構成が上記(1)及び(2)のとおりであって、全体として「MADE」の欧文字の有無の差異を有するものであるが、本件商標が「ACME」の文字部分を分離、抽出して引用商標と比較することが許されるものであるから、本件商標の「ACME」部分と引用商標とは、該文字のつづりを同じくするものであって、外観においても極めて近似した印象を与えるものといわなければならない。
次に、称呼についてみるに、本件商標から生ずる「アクメ」又は「アクミ」の称呼と、引用商標から生ずる「アクメ」又は「アクミ」の称呼とは、同一である。
また、観念については、本件商標の構成全体から「ACME製」程の観念を生じさせるほか、本件商標と引用商標との「ACME」の文字部分から特定の観念を生じるとまではいえないから、観念において比較することはできない。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、称呼において共通するものであり、また、外観においても、本件商標の要部と認められる「ACME」と引用商標とは、つづりを同じくするものであって相紛らわしいものであるから、両者は互いに類似する商標というべきものである。
(4)本件商標と引用商標における指定商品の類否
本件商標と引用商標の各指定商品は、前記したとおりのものであるところ、本件商標の指定商品は、引用商標1の指定商品中、第9類「電気通信機械器具、電子応用機械器具及びその部品、携帯電話端末用のストラップ及びネックピース」と、また、引用商標2の指定商品中、第18類「かばん類、袋物」と、それぞれ同一又は類似の商品と認められるものである。
(5)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定商品が同一又は類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたというべきである。
2 被請求人の主張について
(1)被請求人は、本件商標において「ACME」の文字部分を分離観察できるのは、「made」の語が、「素材、製法、製造地域や国」のように「made」と結合して、全体で品質を表示するものであると無理なく把握できる場合や「○○」の語が周知著名であり、その製品の製造主体として無理なく把握できる場合に限られるべきであって、本件商標は、そのようなものではなく、「ACME製の」という意味不明な観念を想起することはせず、「ACME MADE」の全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の商標として認識するものである旨主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、「同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照),複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁,最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁参照)。」と解されているところである(最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決)。
そして、本件商標は、上記1(1)のとおり、「ACME MADE」の欧文字が同じ書体、同じ大きさで表されているとはいえ、「ACME」と「MADE」と文字を組み合わせた結合商標であると容易に看取、把握されるものであり、その構成中の「MADE」の文字が商品の出所識別標識としての称呼、観念を生じないと認められる場合に該当するものであって、「ACME」の文字部分を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは許されるというべきであるから、被請求人のいうように、「ACME」の文字部分を分離観察できる場合を、「ACME」の文字部分が「MADE」と結合して全体で品質を表示するものであると無理なく把握できる場合、又は「ACME」の語が周知著名でありその製品の製造主体として無理なく把握できる場合に限定されなければならないという理由はなく、被請求人の上記主張は採用することができない。
(2)被請求人は、取引の実情をみるに、本件商標は、バックのブランドであり、我が国においては、代理店を介して本件商標を付して販売が行われ、インターネットショップや需要者において、本件商標は「ACME MADE」全体をもって被請求人の業務に係る商品ブランド名と認識されており、殊更「MADE」の文字部分を捨象して「ACME」の文字部分のみで取引に資されている事実はない旨主張する。
確かに、被請求人提出の乙第9号証からは、「ACME MADE」の表示をもって商品に使用されていることは認められるが、そのことにより、「ACME」の文字部分が分離、抽出されて取引に資されないとはいいきれないものであり、しかも請求人提出の甲第31号証ないし甲第40号証からは、我が国においては「ACME」のみで取引に資される可能性をうかがわせるものである。また、両当事者の主張及び証拠に照らしてみても、本件商標が専ら「アクメメイド」又は「アクミメイド」の称呼をもって取引者・需要者間において広く知られているというような事情も見当たらない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、他の請求理由について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標2



審理終結日 2014-08-08 
結審通知日 2014-08-12 
審決日 2014-10-22 
出願番号 商願2008-30846(T2008-30846) 
審決分類 T 1 11・ 261- Z (X09)
T 1 11・ 262- Z (X09)
T 1 11・ 263- Z (X09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 石戸 拓郎金子 尚人 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 酒井 福造
手塚 義明
登録日 2009-04-17 
登録番号 商標登録第5223634号(T5223634) 
商標の称呼 アクメメード、アクメ、アクミメード、アクミ 
代理人 柏原 三枝子 
代理人 柴田 雅仁 
代理人 特許業務法人西村&宮永商標特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ