• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
管理番号 1297376 
異議申立番号 異議2013-900379 
総通号数 183 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-11-05 
確定日 2015-01-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第5604738号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5604738号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5604738号商標(以下「本件商標」という。)は、「DIVA」の文字を標準文字で表してなり、平成25年3月12日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,調光器,光調整器,スイッチ,照明器具用安定器」を指定商品として、平成25年7月11日に登録査定され、同年8月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第10号について
本件商標の出願日前である平成25年2月末には、申立人の所有する商標は、日本国内において周知となっていたところ、本件商標は、かかる周知な商標と同一又は類似するものであり、また、その商品も互いに抵触するものである。
(2)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、日本国内及び外国において周知な商標と同一又は類似しており、不正の目的をもって使用するために出願されたものである。
(3)むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第19号に違反してなされたものであるから、同第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

3 本件商標についての取消理由
当審において、本件商標権者に対し、平成26年5月21日付け取消理由通知書をもって通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)引用商標の周知性について
申立人の提出した証拠及びその主張によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 申立人等について
申立人は、1961年(昭和36年)に、世界で初めて電子式の白熱灯用調光器を開発、製品化し、1974年には、電子式蛍光灯調光用安定器を世界で初めて開発、製品化した米国に本店を置く企業である(甲2、甲3、甲10)。
申立人は、米国において、1992年5月頃から、その業務に係る商品「調光器」(以下「申立人商品」という。)に、「DIVA」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)を使用し、米国をはじめ、カナダ、ブラジル、ベネズエラ、メキシコ、日本、中国など10カ国以上の国々に販売している(甲4、甲8)。
イ 日本における申立人商品の販売
日本での申立人商品の販売は、100%出資のルートロンアスカ社(1991年設立)を介して行われており、申立人商品には、引用商標が使用されている(甲3、甲5?甲8)。
申立人商品は、1992年より株式会社YAMAGIWA及び山田照明株式会社、2001年より大光電機株式会社、2003年よりコイズミ照明株式会社、2005年よりマックスレイ株式会社等国内の15社の販売代理店で販売され、かつ、これらの販売代理店は、申立人商品をインターネット上で広告している(甲8)。
ウ 引用商標を付した調光器に関する我が国での広告等
(ア)申立人商品に関するカタログ(2012年2月作成)の表紙には、「DIVA」の文字からなる引用商標と共に、「LED電球用ディーバ調光器」の文字が表示されている(甲7)。
(イ)「All about」のウェブサイト(2012年2月29日更新)には、「照明の質を高める調光器」の見出しのもと、「LED電球用調光器 Diva(ディーバ)」として、申立人商品についての商品紹介の記載がある(甲10)。
(ウ)須賀建築のホームページには、「スイッチはLUTRON(ルートロン)のDIVA(ディーバ)という製品で、夜になるとスイッチ部が少し明るくなるそうです。こちらの施工は2008年と2011年に施工をさせていただいております。」の記載がある(甲12)。
(エ)株式会社建報社のホームページ「KENCHIKU」には、「LED電球・白熱電球を同時に調光可能」の見出しのもと、「ルートロンアスカ株式会社は、LED電球を調光できる新製品『LED電球用ディーバ調光器』を発売する。・・発売予定製品/モデル番号:DVCL-123P-JA-、製品名:Diva(ディーバ)・・発売開始予定:2011年8月」などの記載がある(甲14)。
(オ)申立人商品等に関するカタログ「住宅用調光器総合カタログ」(2007年3月作成)8頁には、「DIVA/ディーバ」の表示のもと、申立人商品が掲載されている(甲15)。
(カ)申立人商品等に関するカタログ「ルートロン調光システム 製品カタログ 2011?2012」(2012年12月作成)10頁及び16頁には、「ディーバ/DIVA」(引用商標)の表示のもと、申立人商品が掲載されている(甲16)。
(キ)山田照明株式会社のカタログ「インフォメーション」(2013年(平成25年)3月作成)の302頁、「LED照明器具の調光について」の「白熱調光器対応LED電球」の項目には、「ルートロン LED電球用 ディーバ」の表示のもと、申立人商品が掲載されている(甲17)。
(ク)コイズミ照明株式会社のカタログ「あかり専科 LED」(2013年10月現在)の599頁、「ウォールボックス(住宅・小規模空間用調光器)」の項目には、「ディーバ/DIVA」(引用商標)の表示のもと、申立人商品が掲載されている(甲18)。
(ケ)その他、インターネット上での照明器具の通信販売において、申立人商品が紹介されている(甲19?甲24)。
エ 上記ア?ウによれば、申立人商品には、引用商標が使用され、1992年(平成4年)頃から大手を含む国内の15の販売代理店で販売され、かつ、これらの販売代理店は、申立人商品をカタログやインターネット上で広告していることからすると、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、照明器具の取引者、建築関連の取引者等の間において、広く認識されていたものと認めることができる。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 引用商標の周知性
上記(1)で認定したとおり、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、照明器具の取引者、建築関連の取引者等の間において、広く認識されていたものと認めることができる。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、前記1のとおり、「DIVA」の文字よりなるところ、該文字は、「名歌手」などを意味するフランス語であって、これよりは、「ディーバ」の称呼を生じ、「名歌手」の観念を生ずるものである。
これに対し、引用商標も、「DIVA」の文字よりなるものであるから、これよりは、「ディーバ」の称呼を生じ、「名歌手」の観念を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標は、「DIVA」の文字を共通にするものであるから、外観上極めて近似するものである。また、本件商標と引用商標は、「ディーバ」の称呼及び「名歌手」の観念を共通にするものである。
してみると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても互いに相紛らわしい類似の商標と認められる。
ウ 商品の類似性
本件商標の指定商品は、前記1のとおり、「調光器」を含むものである。
これに対し、引用商標が使用される商品は、「調光器」である。
したがって、本件商標の指定商品は、引用商標が使用される商品とは、同一又は類似の商品と認められる。
エ 以上のとおり、本件商標は、その登録出願日及び登録査定日において、申立人の業務に係る申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた引用商標「DIVA」と類似する商標であって、申立人商品と同一又は類似の商品について使用される商標と認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
ア 引用商標の周知性
前記(1)認定のとおり、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願日及び登録査定日において、照明器具の取引者、建築関連の取引者等の間において、広く認識されていたものと認めることができる。
イ 本件商標と引用商標の類似性
上記(2)イ認定のとおり、本件商標は、その外観、称呼及び観念のいずれの点についても引用商標と極めて高い類似性を有する商標というべきである。
不正の目的
(ア)申立人の提出した証拠及び申立ての理由によれば、以下の事実を認めることができる。
「フィーラックス カンパニー リミテッド」(以下「商標権者」という。)は、2012年(平成24年)6月26日に、「DIVA」の文字よりなる商標を、国際分類第11類「照明器具」等を指定商品として、米国に登録出願した(以下「商標権者米国出願商標」という。甲30)。
申立人は、2013年3月5日付けで、商標権者に対し、申立人の米国において有する「DIVA」の文字よりなる商標(以下「申立人米国登録商標」という。)の商標権に基づき、警告書を送付すると共に、商標権者米国出願商標に係る出願を放棄するよう要求した。
商標権者は、上記警告書に対し、2013年3月13日付けで、商標権者米国出願商標に係る出願を放棄する旨回答し、同時に、商標権者が日本において有する、「DIVA」の文字よりなり、第11類「照明器具」等を指定商品とする登録第5542960号商標(以下「商標権者別件商標」という。)についてのクロスライセンス契約を締結することを要求してきた。また、商標権者は、本件商標を上記回答をした前日の2013年3月12日に登録出願した。その後、商標権者は、2013年6月24日に、申立人に対し、商標権者別件商標の商標権に基づく侵害行為がある旨の警告書を送付した(甲31)。
さらに、商標権者は、2013年8月28日に、申立人に対し、本件商標の商標権に基づき引用商標の使用中止を求める一方で、米国における紛争の解決とクロスライセンス契約の締結を求め(甲33)、2013年10月31日には、申立人に対し、米国において申立人から商標のライセンスを受ければ、申立人に本件商標を譲渡する意図を有している旨の書簡を送った(甲34)。
商標権者は、そのホームページ(2014年1月29日にプリントアウトされたもの。)に、「DIVA」の文字よりなる商標が表示された照明器具に関する広告をした(甲32)。
(イ)上記ア?ウ(ア)によれば、引用商標は、本件商標とは、極めて高い類似性を有していること、本件商標の登録出願時において、引用商標が申立人商品を表示するものとして、我が国の照明器具の取引者、建築関連の取引者等の間に広く認識されていたこと、「DIVA」の語は、既成語とはいえ、一般にさほど知られている語とはいえず、商標として採択されやすいものではないこと、などを併せ考慮すると、照明器具を販売する商標権者は、本件商標の登録出願当時、引用商標が我が国の照明器具の分野等において広く認識されていたことを知りながら、引用商標が未だ我が国において商標登録されていないことを奇貨として、申立人に対し、商標権者別件商標等の商標権のスライセンス契約の締結を強要し、あるいは、本件商標の買取りを強要するなどの不正の目的のために、引用商標と類似する本件商標の登録出願をし、登録を受けたものと推認せざるを得ない。
そうとすれば、本件商標は、不正の目的をもって使用する商標といわなければならない。
エ 以上のとおり、本件商標は、需要者の間に広く認識されている引用商標と類似するものであり、引用商標の周知性等に便乗し、不正の利益を得る目的をもって使用するものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)むすび
以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたものと認められる。

4 本件商標権者の意見
本件商標権者は、上記3の取消理由に対し、何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第19号に違反して登録されたといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2014-09-11 
出願番号 商願2013-17867(T2013-17867) 
審決分類 T 1 651・ 253- Z (W09)
T 1 651・ 252- Z (W09)
T 1 651・ 222- Z (W09)
T 1 651・ 251- Z (W09)
最終処分 取消  
前審関与審査官 目黒 潤庄司 美和 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 井出 英一郎
田中 亨子
登録日 2013-08-02 
登録番号 商標登録第5604738号(T5604738) 
権利者 フィーラックス カンパニー リミテッド
商標の称呼 ディーバ、ダイバ 
代理人 高橋 美智留 
代理人 足立 昌聡 
代理人 特許業務法人アイミー国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ