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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
審判 一部申立て  登録を維持 W14
管理番号 1296303 
異議申立番号 異議2014-900166 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-02-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-06-02 
確定日 2015-01-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5652556号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5652556号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5652556号商標(以下「本件商標」という。)は、「セクシーリップ」の片仮名と「SEXY LIP」の欧文字を二段に横書きしてなり、平成25年9月19日に登録出願、第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,宝石箱,身飾品,時計」を指定商品として、同26年2月6日に登録査定、同月28日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第2649374号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成3年5月17日に登録出願、第23類「時計、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成6年4月28日に設定登録されたものであり、その後、同17年1月26日に、指定商品を第14類「時計」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由要旨
申立人は、本件商標がその指定商品中の「時計」について商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1ないし第16号証(枝番号を含む。)を提出している。
(1)引用商標の周知著名性について
ア 引用商標の歴史
フランスの時計ブランド「lip」は、1807年にフランスのブザンソンの時計技師エマニエル・リップマンが機械式時計を製作したことから始まり、1810年にナポレオン1世がブザンソンを訪れた際に時計を贈呈したという記述も残っている歴史的名門時計ブランドである。1867年に孫のアーネット・リップマンが「Comptoir Lipmann」の名で時計工房を開き、1893年に「Societe Anonyme d’Horlogerie Lipmann Freres」と社名を変更し、1896年から「LIP」社として事業を展開している。その後「LIP」社はフランスを代表する時計メーカーとして成長を遂げ、1976年に自社での生産を中止したものの、そのデザインの優秀さゆえ、「lip」ブランドはその商標権者を変えながら受け継がれ、現在も「時計」の有名ブランドとして存続し続けている(甲3)。
「lip」の高い技術力、信頼性とデザイン性は、第1次世界大戦ではフランス軍砲兵将校のための腕時計として、第2次世界大戦ではフランスの飛行機のコックピットの計器類として使用されたという歴史を有する。また、その後も、イギリスのチャーチル首相に贈呈された「T18」、フランスのドゴール大統領やアメリカのアイゼンハワー大統領など、世界のVIPも愛用していた電子腕時計「エレクトロニック」など、「lip」を代表する作品が数々製造され、中でも、フランスの新幹線TGVのデザインも手掛けたインダストリアルデザイナーのロジェ・タロンが1974年にデザインした「マッハ2000」は、今日まで「lip」の代表的モデルとして高い人気を誇っており、ニューヨーク近代美術館(MOMA)の永久収蔵品に選定されている(甲4)。また、アメリカを代表するニューヨークタイムズ誌の電子版にも、「lip:フランスの象徴」と題した「lip」の歴史を回顧する記事が掲載され、また、世界的ファッション雑誌「Vogue」にも取り上げられるアメリカの人気EC(エレクトロニックコマース)サイト「WATCHISMO」も「lip」を特集しており、「lip」は世界的に名声を博した著名な時計ブランドであることは明らかである(甲5)。
イ 我が国での周知性
時計ブランド「lip」は、日本においてもかねてより有名であり、インターネット検索サイトのGoogleやYAHOOにおいて「lip×時計」を検索すると102万件もの件数がヒットする(甲6)。また、「ロレックス」「オメガ」「カルティエ」「エルメス」「フランクミュラー」など名だたるブランドとともに、日本で販売されている主な「腕時計ブランド」に名を連ねている(甲7)。さらに、「lip」の時計は、日本おいては従前よりフランスの著名な時計ブランド品として知られていたが、さらに現在の正規販売代理店により、日本において15年以上もの間、継続的に販売され続けており、正規販売代理店による正規販売ルートだけでも、2006年には38万本程度、2005年からの9年間で合計163万本を売り上げている(甲8)。わが国では、それ以外にも並行輸入の形で、数多くの「lip」ブランドの時計が販売されている。
このように、ブランド「lip」の時計はデザイン性に大変優れた時計として認知され、わが国では、「lip」公認の正規販売代理店やその他の時計専門店のほかにも、ビームスやTOMORROWLANDなどの衣料品や雑貨を販売する著名なアパレル系セレクトショップや、ヴィレッジバンガードのような雑貨も販売する複合型書店、雑貨店などでも販売されており、時計のコレクターなどの特定層だけではなく、時計の需要者層において広く一般的に知られるものとなっている(甲9)。時計専門雑誌においても、カジュアルウォッチの代表格として、「lip」の「マッハ2000」や「パラノミック」、「プレジデントウォッチ」などが度々取り上げられている(甲10)。
なお、「lip」の商標は、現在はアルファペット小文字の「lip」をデザイン化した態様であるが、1908年に登録された昔の商標は、シンプルな大文字アルファベット「LIP」を横書きした態様であった(甲11)。また、現在も「lip」ブランドの時計は相当数流通しており、その際に、時計販売店の店頭やインターネットサイトなどにおいて、「lip」ブランドは単に大文字アルファベットからなる「LIP」として表記されることが多い(甲12)。
したがって、少なくとも、時計の分野では、わが国の需要者において、大文字アルファベットによる「LIP」の表記も、引用商標権者の周知著名なブランドとして認知されていることは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第10号の該当性について
引用商標(甲2)は、時計の分野において周知著名性を有する。このため、他の文字と周知著名な引用商標とが結合した本件商標は、全体として一体に看取されるだけでなく、「LIP」の部分が要部として分離して看取され観察され、そこから「リップ」の称呼を生ずるものであり、他方、引用商標も、その構成から「リップ」の称呼を生ずるものであるから、両商標は、称呼を共通にする類似のものである。しかも、両商標は、商品「時計」を共通にしている。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は、その構成中に「フランス老舗時計ブランドの著名商標」である「LIP」を含むものであるから、商標権者が本件商標を「時計」に使用するときは、これに接する取引者及び需要者は、「LIP」の文字より著名ブランドである引用商標を連想し、その商品が引用商標と組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせる蓋然性が高い。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号の該当性について
引用商標は、わが国及び外国において、時計の分野において周知著名なブランドとして、その名声を獲得しており、当該ブランドを商標の一部に取り込んだ場合に、そのような商標の使用が、引用商標のきわめて大きな顧客吸引力や引用商標に化体した大きな信用を希釈することは、当該時計の分野の取引者及び需要者には十分に理解される。
このため、本件商標は引用商標と類似し、かつ、本件商標が指定商品「時計」に使用された場合には、引用商標の著名性を害することになり、しかも、そのような結果が生ずることは、本件商標の商標権者には自明であったということができる。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、指定商品中「時計」について、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものである。
よって、本件商標の登録は、指定商品中「時計」については取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は、上段に「セクシーリップ」の片仮名、下段に「SEXY LIP」の欧文字を、二段に横書きしてなるところ、外観上、上段と下段の各文字部分がいずれも同じ書体、同じ大きさで一連にまとまりよく表されているものである。次に、本件商標は、称呼においては、上段の片仮名が下段の欧文字の表音と認められるところ、その全体より生ずる「セクシーリップ」の称呼も淀みなく一連に称呼し得るものである。そして、本件商標は、観念においても、その構成中の「セクシー」及び「SEXY」の文字部分が「セクシーな」などの意味を有する語として、また、「リップ」及び「LIP」の文字部分が「唇」の意味を有する語として、いずれも我が国で広く知られた語であり、全体としては「セクシーな唇」程度の意味合いを容易に認識し得るものであることからすれば、その構成全体より「セクシーな唇」の一連の観念が生ずるものである。
そうすると、本件商標は、「リップ」の片仮名及び「LIP」の欧文字の部分に看者の注意が惹かれ、該文字部分をもって取引に資されるとは考え難く、上段の「セクシーリップ」の片仮名及び下段の「SEXY LIP」の欧文字がそれぞれ一体不可分のものとして認識されるというのが相当である。
(2)引用商標について
ア 引用商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、該表示は文字を表しているというよりは、むしろ、何らかの幾何図形を想起、連想させるというべきものであり、該表示のみでは特定の称呼、観念が生じるとは考え難いといわざるを得ないものである。
また、申立人が主張している商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号証は、登録されている商標に限らず、使用商標も引用し得るものであり、申立人が提出した甲号証によれば、引用商標とともに、「lip」、「LIP」又は「リップ」の文字からなる商標も併せて使用されていることから、当審においては、引用商標のほか、「lip」、「LIP」及び「リップ」の文字の使用商標を含め(以下、これらの商標をまとめて「引用商標等」という。)、本件商標の商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号証の該当性を判断することとする。
そうすると、引用商標等は、そのうちの「lip」、「LIP」又は「リップ」の文字からなる商標から、「リップ」の称呼及び「唇」の観念を生ずるものといえる。
イ 申立人提出の甲号証によれば、「lip」等のブランドは、1807年にフランスの時計技師エマニエル・リップマンが機械式時計を製作したことに始まる歴史的時計ブランドであることは認め得るとしても、甲第3号証及び甲第5号証(枝番号を含む。ただし、甲第3号証の3は除く。)は外国語によるインターネットのウェブサイトの写しであって、これをもって我が国の取引者、需要者に周知となっているということはできないものである。また、甲第10号証は、時計の専門雑誌の記事と思しきものであるが、他の時計に混じって引用商標等に係る時計が紹介されているにとどまるものであり、しかも、該雑誌がどの程度の規模で出版されているものであるのかは定かでないものである。その他の甲号証に係る広告も、「LIP」社自身によるというより、引用商標等に係る時計を販売する業者のものと思しきインターネットのウェブサイトの写しであり、その多くが他の時計に混じって引用商標等に係る時計が紹介されているにとどまるものであって、新聞、テレビ等のマスメディアにおいて広告されていることを示すものではない。
さらに、甲第8号証の1によれば、我が国における売上本数の総計について、2012年が50,893本、2013年が56,696本としているところ、これが我が国において如何なる規模に当たるのかも定かでない。
その他、職権をもって、調査するも、引用商標等を周知、著名な商標としなければならない事情も見出し得ない。
そうすると、引用商標等が我が国又は外国において周知、著名となっているということはできない。
(3)商標法第4条第1項第10号の該当性について
本件商標は、上記(1)のとおり、上段の「セクシーリップ」の片仮名及び下段の「SEXY LIP」の欧文字がそれぞれ一体不可分のものとして認識、把握されるものであるから、引用商標等に「lip」、「LIP」又は「リップ」の文字から構成される商標があったとしても、その両者の外観を対比するに、明らかに区別し得る差異を有するものである。
次に、称呼については、本件商標から生ずる「セクシーリップ」の称呼と引用商標等から生ずる「リップ」の称呼とを対比するに、両者は、「リップ」の音を共通にするとしても、語頭部の「セクシー」の音の有無が異なり、その構成音に顕著な差異を有するものであるから、明らかに聴別し得るものといえる。
さらに、観念についても、本件商標から生ずる「セクシーな唇」の観念と引用商標等から生ずる「唇」の観念とを対比するに、両者は、「唇」に関する点を共通にするとしても、それが「セクシーな」ものであるか否かの点において顕著な差異を有するから、明らかに区別し得るものである。
そうすると、本件商標は、引用商標等とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれがない非類似の商標ということができるものである。
したがって、本件商標と引用商標等とは非類似の商標であるから、たとえ、その指定商品と使用商品が同一又は類似のものであったとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するということができないものである。
(4)商標法第4条第1項第15号の該当性について
引用商標等は、上記(2)イのとおり、我が国において周知、著名となっているとはいえないものであり、しかも、本件商標と引用商標等とは、上記(3)のとおり、相紛れるおそれない別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標は、引用商標等とは、別異の出所を表示する商標として看取されるというべきであるから、その指定商品について使用しても、取引者・需要者をして、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するということはできない。
(5)商標法第4条第1項第19号の該当性について
引用商標等は、上記(2)イのとおり、我が国又は外国において周知、著名となっているとはいえないものであり、しかも、本件商標と引用商標等とは、上記(3)のとおり、相紛れるおそれがない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第19号の要件に該当しないこと明らかであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するということはできないものである。
(6)まとめ
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中「時計」について、商標法第4条第1項第10号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当しないものであって、同号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標)


異議決定日 2014-12-18 
出願番号 商願2013-73065(T2013-73065) 
審決分類 T 1 652・ 25- Y (W14)
T 1 652・ 222- Y (W14)
T 1 652・ 271- Y (W14)
最終処分 維持 
前審関与審査官 村田 有香 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 中束 としえ
林 栄二
登録日 2014-02-28 
登録番号 商標登録第5652556号(T5652556) 
権利者 クリアオーシャンダイヤモンド株式会社
商標の称呼 セクシーリップ 
代理人 特許業務法人 大島特許事務所 
代理人 特許業務法人貴和特許事務所 
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