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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900399 審決 商標
異議2013900207 審決 商標
異議2013900096 審決 商標
異議2013900068 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W18
管理番号 1296287 
異議申立番号 異議2013-900409 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-02-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-12-06 
確定日 2014-12-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5612578号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5612578号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5612578号商標(以下「本件商標」という。)は、「スワロ」の片仮名を横書きしてなり、平成25年4月8日に登録出願され、第18類「かばん類,袋物」を指定商品として、同年7月16日に登録査定、同年9月6日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、次のとおりであり、その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2294319号商標(以下「引用商標1」という。)は、「スワロフスキー」の片仮名を横書きしてなり、昭和63年8月4日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年12月26日に設定登録されたものであり、その後、同14年6月26日に、指定商品を第14類「身飾品(「カフスボタン」を除く。),カフスボタン,宝玉及びその模造品」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」、第25類「靴下止め,ベルト」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,ボタン類,頭飾品,造花(「造花の花輪」を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第892051号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SWAROVSKI」の欧文字を横書きしてなり、昭和44年6月4日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同46年3月8日に設定登録されたものであり、その後、同14年2月13日に、指定商品を第14類「身飾品(「カフスボタンを除く。」),カフスボタン,宝玉及びその模造品」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」、第25類「靴下止め,ベルト」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,ボタン類,頭飾品,造花(「造花の花輪」を除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
以下、引用商標1及び2をまとめていうときは、「引用商標」という。
3 登録異議申立ての理由(要旨)
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第176号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号について
商標権者は、名声が確立された申立人の著名な略称「スワロ」の顧客吸引力にフリーライドする不正な意図をもって本件商標を登録出願及び使用したことは明らかであり、申立人と何らの関係も有しない商標権者が本件商標を独占排他的に使用した場合、市場において多大な混乱を招くことは必至であるから、本件商標をこのまま維持する場合は、公正な取引秩序に著しい混乱をもたらすことになる蓋然性が極めて高く、国際信義に反し公の秩序を害するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第8号について
商標権者は、申立人とは何らの関係も有しておらず、他人に該当する。そして、本件商標は、申立人の略称であり、当該略称は本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名であった。さらに、商標権者は、申立人から何らの承諾も得ていない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第10号について
申立人の引用商標及び申立人の「スワロ」の語(以下「申立人スワロ」という。)は、クリスタルを始めとした、本件商標の指定商品を含む各分野において、本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者の間に広く認識されていた。
本件商標は、既成の語ではなく、それ自体では何の意味も有しないものであるが、本件商標の指定商品「かばん類、袋物」を含む各分野において、申立人スワロは申立人の略称として著名となっていることから、本件商標の指定商品の需要者は、本件商標に接した場合、申立人又は申立人の商品を想起する。また、引用商標は、申立人又は申立人の商品を表すものとして著名であるため、これらの商標からも、申立人又は申立人の商品を想起させるから、本件商標と引用商標とは、観念において同一である。
そして、申立人スワロと、本件商標とが、外観、称呼及び観念において同一であることは明らかである。
してみれば、外観及び称呼について論じるまでもなく、本件商標と引用商標とは類似し、また、本件商標と申立人スワロとは同一である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標と類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一の商品である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において著名な商標であり、本件商標と類似するものである。また、本件商標と同一である申立人の略称「スワロ」も同様に著名である。引用商標は創業者の名前に由来するものであり、容易に思いつく商標ではなく、申立人のハウスマークである。
そして、申立人の事業は既に、クリスタル、ジュエリー・鞄等のファッションアクセサリー、化粧品、照明器具、映画製作等、多岐に亘っており、申立人の営業規模を考慮すると、さらなる多角経営が行われる可能性は高いものである。
そうすると、本件商標が付された「かばん類、袋物」に接した需要者は、その商品が、申立人が提供するものであるか、又は申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係若しくは同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信する可能性が極めて高いといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品又は役務と出所について混同を生ずるおそれがある商標であることが明らかであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(6)商標法第4条第1項第19号について
本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標2が世界各国における需要者の間に、引用商標1及び申立人スワロが日本国内における需要者の間に広く認識されていたことは上記のとおりである。
商標権者は、引用商標及び申立人スワロが発揮する顧客吸引力にフリーライドし、自らの商品の売り上げを伸ばして不正の利益を得ると共に、出所表示機能を稀釈化し、その名声を毀損させ、さらには、商標「スワロ」が第18類「かばん類、袋物」について日本国において登録されていないことを奇貨として先取り的に本件出願を行ったと考えられる。
したがって、本件商標の登録は、不正の目的でなされたものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

4 本件商標に対する取消理由
当審において、本件商標の登録が商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるとして、商標権者に対して平成26年7月29日付けで通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1) 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、1895年にオーストリアで設立された企業であり、創業者に由来する「SWAROVSKI」及び「スワロフスキー」の商標(引用商標)の下にクリスタル及びクリスタルを使用したファッションアクセサリーの製造販売を主な事業として発展し、今や全世界規模で活動するグローバル企業となっており、世界で約2,350店舗(直営店舗約1,250)を有し、日本国内では40の都道府県に100以上の取扱い店舗を有している(甲2ないし甲4)。2008年には大規模な旗艦店を銀座にオープンし、店舗デザインやオープニングレセプションで大きな注目を集めた(甲5及び甲6)。
また、1987年にクリスタルの愛好者のために「Swarovski Crystal Society(スワロフスキー クリスタル ソサイエティー)」(SCS)が設けられ、今日、SCSは世界最大のコレクターソサイエティーとなっているほか、1995年には申立人の100周年を記念してテーマパーク「SWAROVSKI CRYSTAL WORLDS(スワロフスキー・クリスタル・ワールド)」がオーストリアにオープンし、クリスタル製品の展示・販売、イベント開催等が行われており、世界中から1100万人が訪問したとされ、そのことが日本でも紹介されている(甲74ないし甲77)。
イ 引用商標を使用した申立人の業務に係る商品「クリスタル」(以下「申立人クリスタル」という。)は、本件商標の登録出願時には既に、ジュエリー、繊維製品、アクセサリー、インテリア等広範な分野の企業に販売され各種商品に使用されており、例えば、シャネル、クリスチャン・ディオール、ジョルジオ・アルマーニ等の著名なファッションブランドが申立人クリスタルを使用した商品を販売等する形で申立人とコラボレーションしている(甲7ないし甲23)。
その他、本件商標の登録出願前において、ソフトバンクが申立人クリスタルを携帯電話及びスマートフォンの装飾に使用したこと、アカデミー賞の授賞式に参加する女優や古くはマリリンモンロー、マリアカラス等が申立人クリスタルを使用したバッグや衣装を身に着けていたこと、オバマ大統領の愛犬に申立人クリスタルで装飾した食器がプレゼントされたこと、ハローキティの人形が申立人クリスタルで装飾され、記念パーティが開催されたこと、高島屋クリスマスキャンペーン(2011)において申立人クリスタルで装飾されたこと、松屋銀座の壁面に申立人クリスタルの巨大装飾が行われたこと、申立人クリスタルを100万個使用してロールスロイスが装飾されたこと、ヴァージンアトランティック航空のアッパークラス・スイートの壁、カーテン及びアイマスクが申立人クリスタルで装飾されたこと、モエ・エ・シャンドンのシャンパンボトルに申立人クリスタルが使用されたこと、ベルサイユ宮殿、メトロポリタン劇場、ベンツ博物館等の照明器具・シャンデリアに申立人クリスタルが使用されたこと、1930年代から「風と共に去りぬ」、「ローマの休日」、「タイタニック」等の有名映画の登場人物が申立人クリスタルを使用していたこと、「Swarovski(スワロフスキー)」を冠したチャリティイベントや表彰が行われていること、などがインターネットや雑誌において掲載・紹介されている(甲24ないし甲44及び甲69ないし甲73)。
ウ 上記様々な分野における商品等の紹介に当たっては、例えば、「あのココ・シャネルも、ジェリーの創作に『スワロフスキー』のクリスタルをいち早く取り入れたひとり。」(甲13)、「ジョルジオは先日、スワロフスキー(SWAROVSKI)とコラボレーションした作品を発表した。」(甲16)、「・・・ワンポイントのハートにスワロフスキークリスタルをあしらったスタイリッシュなタイプの2種類。」(甲19)、「ソフトバンクBBとソフトバンクモバイルは12月1日から、スワロフスキー・クリスタルをあしらった『705SH』の特別限定モデル、スワロフスキー・クリスタル・バージョンを1500台限定で販売する。」(甲24)、「・・・クイーン・ラティファ(Queen Latifah)らも、スワロフスキーが敷き詰められたクラッチで華やかさをプラスしていた。」(甲27)、「スクリーンでも、レッドカーペットでも、セレブが愛するスワロフスキー 1962年、マリリン・モンローがケネディ大統領のために・・・歌ったときのドレス。歴史的なシーンをスワロフスキーの輝きが華やかに彩る。」(甲29)、「スワロフスキー(Swarovski)のハローキティ(HelloKitty)コレクションの報道陣向け発表会が行われ、1万9,636個のスワロフスキークリスタルを埋め込んだハローキティの人形が公開された。」(甲33)、「キャンペーン期間中は、高島屋に出店する『ケンゾー(KENZO)』・・・など国内外の全51ブランドが、スワロフスキー・エレメントを使用した限定商品を販売する。」(甲35)、「スワロフスキー(Swarovski)製クリスタル約100万個をちりばめた超豪華なロールスロイス(Rolls Royce)がこのほど、・・・お目見えした。」(甲37)などのように、申立人又は申立人クリスタルが「スワロフスキー(Swarovski)」として表示されている。
エ 申立人自身も、引用商標の下に、申立人クリスタルを使用したネックレス、ペンダント等のジュエリー、ビーズ、チャーム、キーホルダー、サングラス、ハンドバッグ、ポーチ、財布等のファッションアクセサリー、時計、置物、スマートフォンケース、文房具、化粧品、照明器具等の広範な商品を製造販売していることが窺える(甲45ないし甲55)。
オ 申立人自身を始め、申立人の製造販売に係る商品又は申立人クリスタルを使用した商品については、本件商標の登録出願前の2003年8月30日から2012年12月28日にかけて、「スワロフスキー(SWAROVSKI)」として、「出没!アド街ック天国」(テレビ東京)、「恋愛百景」(テレビ朝日)、「ズームイン!!SUPER」(日本テレビ)、「知りたがり!」(フジテレビ)、「レディス4」(テレビ東京)、「艶メキッ」(日本テレビ)、「奥の深道?同類くんの旅?」(フジテレビ)、「おネエMANS」(日本テレビ)、「ハッピーMusic」(日本テレビ)等のテレビ番組で放映されたほか、「GINGER」(2010年5月号、8月号及び12月号)、「Grazia」(2012年11月号)、「ELLE」(2011年12月号)、「ビーズBOOK」(2002年)等の雑誌、日本経済新聞(2010年12月9日付)でも紹介された(甲29,甲78、甲80ないし甲89、甲91ないし甲94、甲96、甲97、甲100、甲101、甲170及び甲173)。また、朝日新聞には引用商標を明示した申立人に係る全面広告が、2006年12月20日から2012年4月4日までの間に複数回掲載された(甲104、甲105、甲171及び甲172)。
カ さらに、検索サイトの「Google」及び「Yahoo!」における「スワロ」のキーワード検索によれば、いずれも本件商標の登録出願前の掲載サイトの上位10件が全て申立人又は申立人クリスタルに関するものであり、例えば、「スワロ問屋」、「スワロ社製品」、「スワロ100粒195円、・・・スワロなんと100種類以上」、「初めてスワロを使ったデコをしようと思っているんですが、・・・」等の記載が見られる(甲106)。「Google」の「“スワロ”スワロフスキー」のキーワード検索でも、上位10件が全て申立人又は申立人クリスタルに関するものであり、「スワロ小粒サイズ(SS3/SS4)一覧」、「裏に糊が付いているホットフィックス(Fotfix)タイプのスワロです。・・・【布接着スワロ】」、「スワロをガラス、プラスチックなどに貼る場合、・・・」、「大粒スワロをペンダントにする方法」等の記載が見られる(甲107)。
キ 同じく「Google」における「スワロ」と「ラインストーン」、「デコ」、「鞄」、「ネックレス」、「ジュエリー」、「ピアス」、「シューズ」、「帽子」、「服」、「バッグ」、「財布」、「靴」又は「時計」とのキーワード検索(本件商標登録出願前に限定)によれば、殆どのサイトが申立人又は申立人クリスタルに関する事項を内容とするものである(甲109ないし甲121)。
ク 本件商標の登録出願前に発行された女性向けファッション雑誌の「JJ」、「女性自身」又は「Saita」には、申立人クリスタル又はそれを使用した商品について、例えば、「Jewelna Roseのスワロトート」の見出し下における「・・・特別なスワロフスキーのトートバッグで、いつも・・・」との記述、「サテンスワロのゴージャスコンビ」の見出し下における「・・・このセットは、サテンのスワロで作るのがおすすめ。」との記述、「バカラの置物がヒントになった高級感漂うスワロのベア」の見出し下における「クリスタル・ベア」の制作方法についての記述、「オープンスクエアネックレス」についての「スワロのサイズを変えていくだけでオープンモチーフに繊細さがアップ!」との表示、「フラワージャパンクロス」についての「定番クロスが大人っぽく生まれ変わった!ニュアンス系“スワロのクロス”」との表示、「揺れるたびにキラキラ!スワロ×メタルのキューブネックレス」の見出し下における「クリスタル・キューブネックレスの作り方」についての記述、「ふだんのアイテムをスワロ使いでキラキラ☆デコ物に変身!」の見出し下における、ビーチサンダル、スニーカー、帽子、サングラスへの申立人クリスタルの使用例の記述、などが見られるほか、「最新スワロ・ビーズの手作り旅」又は「最新スワロ・ビーズで手作りキラリカジュアルアクセサリー」と題するいずれも数頁に亘る特集記事が掲載されている(甲123ないし甲131)。
同様に、「日経流通新聞」、「日経速報ニュース」又は「産経新聞」には、申立人クリスタルを使用した商品について、「はおるだけで水分吸収」の見出し下における「バスローブの『スワロ・ローブ』(3万8,850円)・・・」との記述、「アクテブライズ、スワロフスキー仕様の宝石のような『フルデコマウス』を販売」の見出し下における「球体の形状に総スワロ仕上げの宝石のようなこのマウスは、・・・」との記述、「『感謝の花』に輝き・・・母の日のプレゼント『スワロ華』が人気」の見出し下における「母の日の変わり種プレゼントとして、ユリやコチョウランの造花に宝石でデコレーションした『スワロ華(ばな)』が人気を呼んでいる。」との記述、「【はやし・ひろのコレもアリ?な!?】耳ツボスワロフスキー」の見出し下における「友人が耳をスワロフスキーでキラキラさせてきた。・・・『スワロなんて派手?』(笑)と気後れしつつも、・・・スワロで埋め尽くした、パンクな耳・・・」との記述、などが見られる(甲132ないし甲135)。
ケ ショッピングサイト「Amazon」の商品購入者によるカスタマーレビュー、「YAHOO!知恵袋」又は「教えて!goo」のサイトにおいては、申立人クリスタル又はそれを用いた商品等について、例えば、「ほんとにスワロかなと、という思いもしました。光り方もスワロのようなきらめきもないし、・・・」、「やっぱりスワロは輝きが違います。」、「安いしスワロの輝きもキレイで、・・・」、「スワロのサンキャッチャーベルトップは手芸店で幾つか購入しています・・・」、「スワロのフィギュアをお友達からいただきましたが、・・・」、「新体操の衣装にスワロで装飾していますが・・・」、「オススメは布地にアイロンで接着出来る、『ホットフィックス』と言う種類のスワロ、ラインストーンです。」、「スワロのラインストーンについて教えて下さい。」、「オンラインショップでスワロのストーンを見てると・・・」、「私が買ったリングでスワロ(5301)を使用しておりますが・・・」、「スワロを使用してデコをしたのですが、・・・」等の記述が本件商標の登録出願前から多数行われている(甲139ないし甲141)。
コ また、神田うの、亀田興毅、黒坂真美、とよた真帆、川崎希、片岡安祐美、亀井京子、おちまさと、桃原美奈といった芸能人、ファッションモデル、スポーツ選手等のオフィシャルブログにおいても、申立人クリスタル又はそれを用いた商品等について、写真と共に「スワロ」の文字が本件商標の登録出願前から使用されている(甲143ないし甲155)。
(2)上記(1)の事実を総合すると、申立人及び申立人クリスタルは、ジュエリー、ネックレス、ピアス、被服、帽子、靴、バッグ、財布等のファッション関連商品の分野において、「スワロフスキー(SWAROVSKI)」と称されているだけでなく、「スワロ」と略称されていることが認められ、引用商標及び「スワロ」の文字からなる標章(以下「使用商標」という。)は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
また、申立人は、申立人クリスタルを使用したネックレス、ペンダント等のジュエリー、ビーズ、チャーム、キーホルダー、サングラス、ハンドバッグ、ポーチ、財布等のファッションアクセサリー、時計、置物、スマートフォンケース、文房具、化粧品、照明器具等の広範な商品を製造販売していることが窺えるものであり、これらの商品と本件商標の指定商品とは、同一又は類似のものを含む密接な関連を有するものといえる。
他方、本件商標は、上記のとおり周知著名となっている使用商標と同一の文字からなるものである。
かかる事情の下に、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、周知著名となっている使用商標ないしは申立人を連想、想起し、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

5 商標権者の意見
商標権者は、本件商標についてした前記4の取消理由に対し、指定した期間内に何ら意見を述べるところがない。

6 当審の判断
本件商標についてした前記4の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-11-06 
出願番号 商願2013-29353(T2013-29353) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (W18)
最終処分 取消  
前審関与審査官 岩崎 安子 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
中束 としえ
登録日 2013-09-06 
登録番号 商標登録第5612578号(T5612578) 
権利者 株式会社LINKプロモーション
商標の称呼 スワロ 
代理人 志賀 正武 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 渡邊 隆 

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