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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y35
管理番号 1296141 
審判番号 取消2013-300506 
総通号数 182 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-02-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-06-17 
確定日 2014-12-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第4651762号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4651762号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成14年6月12日に登録出願、第35類「事業の管理又は運営,事業の管理又は運営に関するコンサルティング,経営の診断又は経営に関する助言及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,広告,トレーディングスタンプの発行,財務書類の作成,経理事務の代行,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,書類の複製,会計・営業・総務・人事・広報・渉外・企画その他の事務的事項に関する事務処理代行,文書又は磁気テープのファイリング,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,求人情報の提供,自動販売機の貸与」を指定役務として、同15年3月7日に設定登録され、その後、同25年2月5日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年7月8日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項により本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その全指定役務について、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないものであるから、その登録は取り消されるべきである。
2 被請求人の答弁に対して
被請求人は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という場合がある。また、以下、請求の登録の日を「予告登録日」という場合がある。)に、被請求人(商標権者)によって、その請求に係る指定役務中、第35類「事業の管理又は運営,事業の管理又は運営に関するコンサルティング,経営の診断又は経営に関する助言及び指導」(以下「本件役務」という。)について使用された事実があると主張するが、以下のとおり、これを客観的に示す証拠は提出されていないため、本件商標に係る商標登録は取り消されるべきである。
(1)乙第1号証
被請求人は、被請求人の法人登記の事実を示す履歴事項全部証明書(乙1)を提出し、被請求人の事業内容の概要に言及しているところ、かかる証明書より、被請求人が法人として実在することは是認できるが、本件商標がその指定役務について実際に使用されたことまでは明らかとなっていない。
(2)乙第2号証
乙第2号証は、「被請求人の会社概要」として被請求人の会社概要、事業内容及び代表者の略歴等を説明する書面であるところ、当該書面は、その発行年月日が不明である。また、本書面を提出するのみでは、被請求人が「経営戦略・財務戦略に関するコンサルティング及びリーダー人材の開発・育成」の業務を実際に提供していたこと、又はしていること、被請求人の事業実績や進行中のプロジェクトが実際に存在することは、客観的に把握できる証拠をもって裏付けられていない。
(3)乙第3号証
被請求人は、「被請求人は株式会社ドワンゴに対し、同社及び同社子会社の制作部門の業務改善に関するコンサルティング、その他これに派生する経営全般についての助言を提供した」と述べるが、乙第3号証が存在する事実、すなわち、契約書を取り交わした事実のみでは、上記「経営全般についての助言」が実際に被請求人より提供されたことまでは明らかではなく、乙第3号証は、本件商標の使用及び本件役務が実際に提供されたことを示す根拠とはならない。
(4)乙第4号証及び乙第5号証
乙第4号証及び乙第5号証は、被請求人が株式会社ドワンゴ宛てに発行した平成23年9月22日及び同24年3月19日付けの請求書であるところ、その請求内容として「業務委託費」と記載されているが、「業務委託費」というだけでは、どのような具体的役務の提供に関連する請求書であるのか不明である。
この点、被請求人は、答弁書において、被請求人が株式会社ドワンゴとコンサルティング契約を締結したこと、同社に対し業務改善に関するコンサルティング・サービス、その他経営全般に関する助言を提供したこと、上記契約の契約期間、被請求人発行の株式会社ドワンゴ宛て請求書が存在すること、同請求書に本件商標が付されていることに単に言及する。
しかしながら、乙第4号証及び乙第5号証に具体的な業務内容の記述は無く、また、乙第3号証として示される契約内容に基づき、被請求人により本件役務が実際に提供され、その役務の提供についての費用請求として、乙第4号証及び乙第5号証の請求書が発行されたことまでは、提出された全ての証拠を通じて直接的に裏付けられていない。
(5)乙第6号証
被請求人は、指定役務への本件商標の使用の事実を裏付ける証拠として、被請求人と日本駐車場開発株式会社との間で平成23年11月11日付けにて締結されたコンサルティング契約書を提出するが、乙第6号証は、乙第3号証に関する上記請求人の主張と同様に、同契約書に基づいて実際に本件役務が提供されたかが不明であり、乙第6号証に表示される「株式会社インテラセット」は、本件商標と社会通念上同一の商標ではなく、かつ、商標として認識される態様での使用には該当しない。
(6)乙第7号証及び乙第8号証
乙第7号証及び乙第8号証は、被請求人が日本駐車場開発株式会社宛てに発行した平成23年11月18日及び同24年10月19日付けの請求書であるところ、これらの証拠は、乙第4号証及び乙第5号証に関する上記請求人の主張と同様に、いかなる役務に関連する請求書であるのかが不明であり、また、被請求人が提出する他の証拠との関係も具体的には裏付けられていない。
(7)乙第9号証
被請求人は、指定役務への本件商標の使用の事実を裏付ける証拠として、被請求人と株式会社ドワンゴとの間で平成24年4月1日付けに締結されたコンサルティング契約書を提出しているが、乙第9号証は、乙第3号証に関する上記請求人の主張と同様に、同契約書に基づいて実際に本件役務が提供されたかが不明であり、乙第9号証に表示される「株式会社インテラセット」は、本件商標と社会通念上同一の商標ではなく、かつ、商標として認識される態様での使用には該当しない。
(8)乙第10号証及び乙第11号証
乙第10号証及び乙第11号証は、被請求人が株式会社ドワンゴ宛てに発行した平成24年4月19日及び同年6月8日付けの請求書であるが、これらの証拠は、乙第4号証及び乙第5号証に関する上記請求人の主張と同様に、いかなる役務に関連する請求書であるのかが不明であり、また、被請求人が提出する他の証拠との関係も具体的には裏付けられていない。
(9)乙第12号証ないし乙第14号証
被請求人は、被請求人の代表者である荒木隆司氏、株式会社ドワンゴの法務部長である伊織巧人氏及び日本駐車場開発株式会社の人事部長である小海信哉氏が署名・押印する陳述書(乙12?乙14)を提出しているが、これらの書面は、すべて本件審判の予告登録日以後に作成されたものであり、考慮されるべきではない。また、そもそもこれらの書面は、被請求人が本件審判の請求に係る指定役務のいずれかについて本件商標又はそれと社会通念上同一の商標を使用していることを証明するものではなく、提出の趣旨が不明である。
(10)「業務委託費」と「コンサルティング・サービス委託」との関係性
被請求人は、「請求書」(乙4,乙5,乙7,乙8,乙10,乙11)に記載された「業務委託費」と「コンサルティング契約書」(乙3,乙6,乙9)にいう「コンサルティング・サービス委託」との具体的関係を、請求書記載の「業務委託費」及び「経営コンサルティング」の説明に用いる証拠(乙15,乙16)と追加陳述書(乙17?乙19)の提出、並びに黒塗り部分の一部を明らかにした契約書の再提出を行っているが、自説の展開に終始するのみであって、これらの主張や証拠によっては、請求書に記載された「業務委託費」が、被請求人が提供したと主張する役務についてのものであることは不明である。
そもそも、被請求人は、契約書及び請求書以外の本件商標の本件役務への直接的な使用を示す客観的な証拠を追加で提出すれば足りるところ、そのような証拠の提出も無い。
3 結語
以上のとおり、被請求人が提出する乙第1号証ないし乙第19号証によっては、商標権者が本件商標をその請求に係る指定役務のいずれかについて、要証期間内に、日本国内において使用した事実は示されていない。

第4 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。
1 被請求人(商標権者)による「事業の管理又は運営,事業の管理又は運営に関するコンサルティング,経営の診断又は経営に関する助言及び指導」(本件役務)についての使用事実
(1)総論
被請求人は、その代表者である荒木隆司が平成7年に経営戦略・財務戦略に関するコンサルティング及びリーダー人材の開発・育成を主たる事業として設立した法人である(乙1)。「会社案内」(乙2)の「代表取締役略歴」にあるように、被請求人代表者は平成7年の設立以来、一貫して被請求人を通じて経営コンサルティング業務を行ってきたが、2004年よりエイベックス株式会社(現エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社)及び同社関連会社の役員を歴任し、2011年7月より再び主たる活動の場を被請求人として、現在に至るまで経営コンサルティング業務を行っている。
そして、被請求人は、平成23年9月1日以降継続的に本件役務を、株式会社ドワンゴ及び日本駐車場開発株式会社に対して提供し、取引書類(顧客に対する請求書)において本件商標と同一の商標を使用した(乙12?乙14)。
(2)株式会社ドワンゴ
乙第3号証は、被請求人が平成23年9月1日東京都中央区日本橋浜町二丁目31番1号の株式会社ドワンゴとの間で締結したコンサルティング契約書であるところ、同契約書に基づき、被請求人は株式会社ドワンゴに対し、同社及び同社子会社の制作部門の業務改善に関するコンサルティング、その他これに派生する経営全般についての助言を提供した(第1条)。
当該コンサルティング契約の契約期間は、平成23年9月1日から同24年3月31日までであった(第7条)。
乙第4号証は、被請求人が株式会社ドワンゴに対して発行した平成23年9月22日付け請求書であり、また、乙第5号証は、被請求人が株式会社ドワンゴに対して発行した同24年3月19日付け請求書である。これらの請求書においては、請求項目として「業務委託費」と記載されているが、コンサルティング・サービス委託費は、会計処理上の勘定科目としては「業務委託費」である(請求人の主張における「請求書」について、以下同じ。)。そして、これらの請求書には本件商標が付されている。
(3)日本駐車場開発株式会社
乙第6号証は、被請求人が平成23年11月11日東京都千代田区丸の内一丁目5番1号の日本駐車場開発株式会社との間で締結したコンサルティング契約書であるところ、同契約書に基づき、被請求人は日本駐車場開発株式会社に対し、同社の経営幹部候補生に対して、経営者に必要とされる知識・スキルに関する研修、コーチングを実施し、これについて同社経営者への報告を行った(第1条)。
当該コンサルティング契約の契約期間は、平成23年11月11日から同24年11月10日までであった(第8条)。その後、当該コンサルティング契約は更新され、平成25年4月まで継続した(乙14)。
乙第7号証は、被請求人が日本駐車場開発株式会社に対して発行した平成23年11月18日付け請求書であり、また、乙第8号証は、被請求人が日本駐車場開発株式会社に対して発行した同24年10月19日付け請求書である。そして、これらの請求書には本件商標が付されている。
(4)株式会社ドワンゴ(第二回目)
乙第9号証は、被請求人が平成24年4月1日株式会社ドワンゴとの間で締結したコンサルティング契約書であるところ、同契約書に基づき、被請求人は株式会社ドワンゴに対し、同社のコーポレート本部強化に関するコンサルティング、その他これに派生する経営全般についての助言を提供した(第1条)。
当該コンサルティング契約の契約期間は、平成24年4月1日から同年6月30日までであった(第7条)。
乙第10号証は、被請求人が株式会社ドワンゴに対して発行した平成24年4月19日付け請求書であり、また、乙第11号証は、被請求人が株式会社ドワンゴに対して発行した同年6月8日付け請求書である。そして、これらの請求書には本件商標が付されている。
(5)小括
以上により、被請求人が、株式会社ドワンゴに対しては、要証期間内にあたる平成23年9月1日以降同24年6月30日までの期間、日本駐車場開発株式会社に対しては、要証期間内にあたる平成23年11月11日以降同25年4月までの期間、両社を対象とした経営に関するコンサルティングの役務を提供し、その過程において取引書類(上記両社に対する請求書)に本件商標を付して使用したことは明らかである。
2 追加提出した証拠について
株式会社ドワンゴ及び日本駐車場開発株式会社による陳述書を追加提出する(乙17,乙18)。
これらの陳述書において、株式会社ドワンゴは、(a)乙第3号証及び乙第9号証の契約書に基づくコンサルティング・サービスを被請求人から受けたことに相違ないこと、(b)乙第4号証の請求書と乙第5号証の請求書が乙第3号証の契約書に基づいて被請求人から株式会社ドワンゴに提供されたコンサルティング・サービスに対して発行されたものであり、株式会社ドワンゴがこれを受領し、これに対する支払いをなしたこと、及び乙第10号証の請求書と乙第11号証の請求書が乙第9号証の契約書に基づいて被請求人から株式会社ドワンゴに提供されたコンサルティング・サービスに対して発行されたものであり、株式会社ドワンゴがこれを受領し、これに対する支払いをなしたことに相違ないこと、(c)被請求人との間で乙第3号証及び乙第9号証の他に業務委託契約を締結したことがないこと、したがって、乙第4号証及び乙第5号証の各請求書が乙第3号証の契約書に基づいて提供されたコンサルティング・サービスの対価の請求であったことは自明であったこと、乙第10号証及び乙第11号証の各請求書が乙第9号証の契約書に基づいて提供されたコンサルティング・サービスの対価の請求であったことも同様に自明であったこと、(d)乙第3号証の契約書第2条第2項において定められた報酬の金額と乙第4号証及び乙第5号証の請求書の請求金額から消費税の額を差し引いた額とが一致していること、並びに乙第9号証の契約書第2条第2項において定められた報酬の金額と乙第10号証及び乙第11号証の請求書の請求金額から消費税の額を差し引いた額とが一致していることを陳述している。
日本駐車場開発株式会社は、(a)乙第6号証の契約書に基づくコンサルティング・サービスを被請求人から受けたことに相違ないこと、(b)乙第7号証の請求書と乙第8号証の請求書が乙第6号証の契約書に基づいて被請求人から日本駐車場開発株式会社に提供されたコンサルティング・サービスに対して発行されたものであり、日本駐車場開発株式会社がこれを受領し、これに対する支払いをなしたことに相違ないこと、(c)被請求人との間で乙第6号証の他に業務委託契約を締結したことがないこと、したがって、乙第7号証及び乙第8号証の各請求書が乙第6号証の契約書に基づいて提供されたコンサルティング・サービスの対価の請求であったことは自明であったこと、(d)乙第6号証の契約書第2条第2項において定められた報酬の金額と乙第7号証及び乙第8号証の請求書の請求金額から消費税の額を差し引いた額とが一致していることを陳述している。
したがって,これらの追加的陳述書をもって,「コンサルティング契約書」にいう「コンサルティング・サービスの委託」と各請求書における「業務委託費」の具体的な関係は明らかになったから、被請求人は商標法第50条第2項に規定する証明をしたものと認定されるべきである。
3 結論
以上のとおり、要証期間内に、被請求人が本件役務を提供し、当該取引にかかる請求書に本件商標を使用したことは明らかである。

第4 当審の判断
1 認定事実
被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標に係る商標権者(被請求人)は、会社成立の年月日を「平成12年12月11日」、その目的を「1.各種事業及び各種企業に対する経営上の諸問題に関する総合的な研究調査の受託及び経営相談 2.企業又は企業が提供する商品・サービスのブランド価値に関する調査研究及びそれらの向上に関するコンサルティング業 3.企業の経営活性化のための人材育成・啓発に関する調査研究及びそのコンサルティング業 4.企業経営及び企業財務に関するコンサルティング業務 5.企業間の合併・営業譲渡・業務提携等についての代理、仲介、コンサルティング業務」等とする法人であって、その代表取締役は「荒木隆司」であることが認められる(乙1)。
(2)乙第3号証は、株式会社インテラセット(商標権者。以下「ITL」という場合がある。)が株式会社ドワンゴ(東京都中央区日本橋浜町二丁目31番1号在。以下「本委託者」という場合がある。)と2011年9月1日付けで締結したコンサルティング契約書であると認められ、その第1条(コンサルティング・サービス委託)には「本委託者はITLに対し、以下のコンサルティング・サービスを委託し、ITLはこれを受託する。(1)株式会社ドワンゴ及びその子会社(株式会社CELL)の制作部門の業務改善に関するコンサルティング (2)その他、(1)に派生する経営全般についての助言」と記載され、第7条(有効期間)には「1.本契約の有効期間は、前条の規定により期間内に終了されない限りは、本契約締結日から2012年3月31日までとする。(以下省略)」と記載されている。
また、乙第9号証は、商標権者が株式会社ドワンゴと2012年4月1日付けで締結したコンサルティング契約書であると認められ、その第1条(コンサルティング・サービス委託)には「本委託者はITLに対し、以下のコンサルティング・サービスを委託し、ITLはこれを受託する。(1)株式会社ドワンゴのコーポレート本部強化に関するコンサルティング (2)その他、(1)に派生する経営全般についての助言」と記載され、第7条(有効期間)には「1.本契約の有効期間は、前条の規定により期間内に終了されない限りは、本契約締結日から2012年6月30日までとする。(以下省略)」と記載されている。
そして、乙第4号証、乙第5号証、乙第10号証及び乙第11号証は、商標権者が株式会社ドワンゴに対して発行した請求書であると認められ、商標権者の住所と認められる記載の上段に本件商標と同一と認められる標章が付され、ご請求内容、ご請求金額及びご入金口座名がそれぞれ記載されており、「ご請求内容」欄において、2011年09年22日付け請求書(乙4)には「業務委託費 09月分」、2012年3年19日付け請求書(乙5)には「業務委託費 3月分」、2012年4年19日付け請求書(乙10)には「業務委託費 4月分」、2012年6年8日付け請求書(乙11)には「業務委託費 6月分」と記載されている。
(3)乙第6号証は、商標権者が日本駐車場開発株式会社(東京都千代田区丸の内1丁目5番1号在。以下「本委託者」という場合がある。)と2011年11月11日付けで締結したコンサルティング契約書であると認められ、その第1条(コンサルティング・サービス委託)には「本委託者はITLに対し、『本委託者により選抜された8名の次世代リーダー候補生に対し、経営者に必要とされる知識・スキルに関する集合研修を行い、コーチングのための個別面談を実施し、さらに、経営陣に対し上記選抜者の育成状況等につき適宜報告をする。』旨のコンサルティング・サービスを委託し、ITLはこれを受託する。」旨記載され、第8条(有効期間)には「1.本契約の有効期間は、前条の規定により期間内に終了されない限りは、本契約締結日から2012年11月10日までとする。(以下省略)」と記載されている。
そして、乙第7号証及び乙第8号証は、商標権者が日本駐車場開発株式会社に対して発行した請求書であると認められ、商標権者の住所と認められる記載の上段に本件商標と同一と認められる標章が付され、ご請求内容、ご請求金額及びご入金口座名がそれぞれ記載されており、「ご請求内容」欄において、2011年11年18日付け請求書(乙7)には「業務委託費 11月分」、2012年10年19日付け請求書(乙8)には「業務委託費 10月分」と記載されている。
(4)乙第15号証は、「WEBNOTE-[経済]簿記勘定科目一覧表(用語集」を表題とするウェブサイトにおける「外注費」の項の紙打ち出しの写しと認められるところ、「外注費勘定の定義・意味・意義」の見出しの下、「外注費とは、会社の業務の一部を外部の業者へ委託(アウトソーシング)した場合の費用や下請工賃・加工賃、またはコンサルタントを利用した場合の費用を管理するための勘定科目をいう。外注費は業務委託費ともいう。」との記載がある。
2 判断
上記1によれば、商標権者は、2011年(平成23年)9月1日付け及び2012年(平成24年)4月1日付けの株式会社ドワンゴとのコンサルティング契約に基づき、その契約書第1条に記載の「コンサルティング・サービス」を提供したこと、また、2011年(平成23年)11月11日付けの日本駐車場開発株式会社とのコンサルティング契約に基づき、その契約書第1条に記載の「コンサルティング・サービス」を提供したことが推認される。それらの役務に係る請求書が、商標権者から株式会社ドワンゴに対し、少なくとも2011年9年22日付け、2012年3年19日付け、同年4年19日付け及び同年6年8日付けで発行され、また、商標権者から日本駐車場開発株式会社に対し、少なくとも2011年11年18日付け及び2012年10年19日付けで発行され、それらには本件商標と同一の標章が付されていたことが認められる。そして、上記の日付は、要証期間内に含まれるものである。
3 商標権者が提供した「コンサルティング・サービス」が本件役務であることについて
請求人は、請求書に記載された「業務委託費」とコンサルティング契約書にいう「コンサルティング・サービス委託」との具体的関係について、被請求人の主張や証拠によっては、「業務委託費」が本件役務についてのものであるか不明であることなどから、本件商標が本件役務について使用されたことは明らかとなっていない旨主張する。
被請求人(商標権者)は、本件役務、すなわち本件指定役務中の「事業の管理又は運営,事業の管理又は運営に関するコンサルティング,経営の診断又は経営に関する助言及び指導」について本件商標を使用するものであると立証するところ、商品及び役務の区分の第35類には、「主として、人又は組織が提供するサービスであって、商業に従事する企業の運営若しくは管理に関する援助又は商業若しくは工業に従事する企業の事業若しくは商業機能の管理に関する援助を主たる目的とするもの及び広告事業所であって、全ての種類の商品又はサービスに関するあらゆる伝達手段を用いた公衆への伝達又は発表を主に請け負うものが提供するサービスを含む。」ものであり、本件役務についてみれば、他人の依頼に基づいて、経営の診断や経営に関する助言を行う「経営コンサルタント」等が行うサービスが該当するといえるものである。
そして、本件について、商標権者と株式会社ドワンゴ又は日本駐車場開発株式会社とにおけるコンサルティング契約の内容は、会社の制作部門の業務改善に関するコンサルティング及びそれに派生する経営全般についての助言、会社のコーポレート本部強化に関するコンサルティング及びそれに派生する経営全般についての助言、又は委託者に選抜された次世代リーダー候補生に対し、経営者に必要とされる知識・スキルに関する集合研修を行い、コーチングのための個別面談を実施し、さらに、経営陣に対し上記選抜者の育成状況等につき適宜報告をする旨のコンサルティング・サービスとするものであり、その内容からすれば、本件役務の範疇に属するものとみるのが相当である。
さらに、これらのサービスを請求書において「業務委託費」と表示したことの整合性があるか否かについてみるに、「外注費とは、会社の業務の一部を外部の業者へ委託(アウトソーシング)した場合の費用や下請工賃・加工費、またはコンサルタントを利用した場合の費用を管理するための勘定科目をいう。外注費は業務委託費ともいう。」(乙15)にあるように、本件における上記契約は外注といえるものであり、コンサルティング契約書にいう「コンサルティング・サービス委託」を請求書において「業務委託費」としたことについてさほど問題があるとも思えず、また、被請求人の提出に係る乙各号証を総合してみれば、上記当該契約に基づき提供された「コンサルティング・サービス」が請求書に記載された「業務委託費」であるとみるのが相当であり、本件商標が本件役務について使用されたと認められるとする上記判断は、請求人の上記主張によって左右され得ないものである。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務中、第35類「事業の管理又は運営,事業の管理又は運営に関するコンサルティング,経営の診断又は経営に関する助言及び指導」について商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

(色彩については、原本を参照のこと。)

審理終結日 2014-07-17 
結審通知日 2014-07-22 
審決日 2014-08-08 
出願番号 商願2002-48742(T2002-48742) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y35)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 寺光 幸子
酒井 福造
登録日 2003-03-07 
登録番号 商標登録第4651762号(T4651762) 
商標の称呼 インテラセット 
代理人 田中 克郎 
復代理人 廣中 健 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 宮川 美津子 
代理人 前田 大輔 
復代理人 太田 雅苗子 
代理人 中村 知公 

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