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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W44
審判 全部申立て  登録を維持 W44
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管理番号 1295105 
異議申立番号 異議2014-900225 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-01-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-08-07 
確定日 2014-12-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5669625号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5669625号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5669625号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成26年2月7日に登録出願,同年4月9日に登録査定され,第44類「美容,理容,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として,同年5月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同第11号及び同第15号に該当し,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人が引用する商標について
申立人が引用する商標は,次のとおりであり(以下,それらをまとめて「引用商標」という。),いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
ア 登録第4993507号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成18年3月3日に登録出願,第44類「美容,理容」を指定役務として,同年10月6日に設定登録されたものである。
イ 登録第5118399号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成19年4月2日に登録出願,第3類「かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,つけづめ,つけまつ毛」,第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,職業のあっせん,広告用具の貸与,自動販売機の貸与,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」,第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与」及び第44類「あん摩・マッサージ及び指圧,植木の貸与,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定商品及び指定役務として,平成20年3月14日に設定登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 本件商標の構成中,ハサミと櫛の各図柄は,ハサミと櫛をデザイン化したものであるが,店舗の看板に使用する場合やウェブページのヘッダ部分などに,極めて小さく表示する場合(甲24)を想定して,各図柄を全体として観た場合や,遠くから眺めた場合には,おおむね縦方向に伸びる太線として認識される。
さらに,ハサミと櫛の図柄における太線の色と太さが「Cut」なる文字の色と太さにほぼ合致しており,極めて強い結びつき感を生じている。
「Cut」とハサミと櫛の図柄は,白抜きの十字形図形中に配置された「PLUS」の文字と「Cut」なる文字との結びつきよりも,はるかに強い結びつき感を生じさせている。
したがって,本件商標に接する需要者・取引者おいては,ハサミと櫛の各図柄からなる図形と,「Cut」からなる文字との強い結びつき感から,「11Cut」と認識される可能性が極めて高いものである。
イ 申立人は,平成12年創業以来,「美容室 イレブンカット」なるサービス業を運営し(甲4),我が国における売り上げも全国で上位6位,市場占有率も大きいものである(甲5)。そして,展開している店舗数も,直営97店舗,FC77店舗(2014年6月27日付)の合計174店舗であり(甲6),その分布も全国的に及んでいる(甲7?甲9)。
ウ テレビ放送に関して,全国・地方放送局を通じてゴールデンタイムを含む時間帯で多数回放映されており(甲10),刊行物等に業務内容の紹介と来店を促す広告・宣伝活動(甲11),出版社などの取材活動として申立人の美容室業務の紹介などの取材も多数あり,雑誌などへの掲載も多数行っている(甲12?甲15)。
エ 新聞への折り込みチラシの配布や,タウン誌と呼ばれる一般大衆に無料で配布される情報誌への掲載を常時行っている。直営店におけるチラシの配布枚数は,2013年1年間で,おおよそ900万枚,情報誌への掲載回数及び発行部数は,2013年1年間で,104回,おおよそ1,267万部に至っている(甲16)。
折り込みチラシの配布部数の根拠となる「キャンペーン内容確認書(請求書実績)(5店舗分抜粋)」,「キャンペーン内容確認書(請求書実績)」に対応するチラシ印刷業者の「月次請求書等(抜粋)」,タウン誌の掲載実例,当該タウン誌掲載実例の掲載の事実を示す根拠となる「キャンペーン内容確認書」,タウン誌発行体からの請求書,発行体から提供を受けたパンフレットを示す(甲17ないし甲23)。
オ 以上のように,申立人は,「11cut」と認識し得る図形若しくは「イレブンカット」の文字からなる商標又はこれらの結合からなる商標(以下「使用商標」という場合がある。)を広く使用し,今日に至っており,「美容,理容」に係る商標として高い周知性を獲得している。
したがって,本件商標は,申立人の使用商標と同一又は類似の商標であり,同一又は類似の役務に使用するものであるから,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標は,その図形部分により「11cut」の図形的外観を明確に認識させ,これにより「イレブンカット」なる称呼,観念を生じさせる。
イ 引用商標は,赤色系のバックグランドに,白抜きで「11cut」なる文字を配置し,その下に「イレブンカット」の文字を付加してなる商標であり,「11cut」なる外観と「イレブンカット」の称呼,観念を生ずる。
ウ 本件商標と引用商標は,共に,「11cut」なる外観と「イレブンカット」という称呼,観念を共通にする類似の商標であり,本件商標の指定役務も引用商標に係る指定役務と一致(抵触)するものである。
したがって,本件商標は,外観及び称呼の点から,引用商標に類似し,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
本件商標権者は,本件商標を太田ドン・キホーテ店などの看板として使用し(甲25),「早期審査に関する事情説明書」(甲24)に添付された「使用の事実を示す書類A」に示された態様で,本件商標の使用をしている旨を表明している。
このように,本件商標を指定役務について使用すると,申立人が多大なる努力と宣伝活動を行った結果,使用商標の周知度が高くなっていることを鑑みれば,申立人の業務に係る役務の出所と非常に紛らわしい事態が生ずる。
すなわち,本件商標権者の役務の提供が,申立人による提供と誤認されたり,申立人と深く関係のあるものの役務の提供と誤認されたり,出所の誤認を生ずる結果,品質の誤認をも生ずるおそれがある。
申立人の使用商標の周知度が高いので,同業者である本件商標権者が,使用商標をまったく知らずに,まったく偶然に出所の混同が生ずる態様の商標が採択されたと考えるのは非常に無理があり,本件商標権者は,意図的に不正競争の目的をもって申立人の業務と混同が生ずるおそれがある商標を採択したと言われても反論の余地はないと考える。
上述のように,申立人の使用商標が広く知られているという事実に鑑みれば,本件商標が,その指定役務について使用された場合には,需要者・取引者は,申立人の業務に係る役務と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標は,別掲1のとおり,朱色で,「CUT&COLOR」と,その下に,ハサミ及び櫛と思しき図形,「Cut」の欧文字及び縁取りされた十字の図形中に「PLUS」の欧文字を配してなるものである。
そして,本件商標の構成中,「CUT&COLOR」の欧文字部分は,その指定役務との関係においては,「髪を切り整えること,毛を染めること」程の意味合いを表すものである。
また,ハサミ及び櫛と思しき図形部分は,「美容及び理容」の役務の提供において使用される道具を表すものであることからすれば,これらは,役務の質又は提供の用に供する物を表すものということができる。
そうとすれば,本件商標は,同じ高さでまとまりよく一体的に表された「Cut」の欧文字と縁取りされた十字の図形においては,これが要部として看取されるものであるから,「Cut」及びその図形中に表された「PLUS」の欧文字部分から,「カットプラス」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものと認められる。
イ 引用商標は,別掲2のとおり,赤色の長方形の中に白抜きで「11cut」の文字を表し,該図形の下に「イレブンカット」の文字を表した構成からなるところ,その構成各文字から,「イレブンカット」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものと認められる。
ウ そこで,本件商標と引用商標の類否について検討するに,両商標の外観は,それぞれの構成態様に照らし,明らかな差異を有するものであるから,外観上,明確に区別できるものである。
そして,本件商標から生ずる「カットプラス」の称呼と,引用商標から生ずる「イレブンカット」の称呼とは,本件商標の語尾における「プラス」の音と,引用商標の語頭における「イレブン」の音において,明らかな差異を有するものであるから,称呼上,明確に区別できるものである。
また,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,比較することができず,類似するとはいえないものである。
そうとすれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
なお,申立人は,「ハサミと櫛の各図柄を全体として観た場合や,遠くから眺めた場合には,おおむね縦方向に伸びる太線として認識され,ハサミと櫛の図柄における太線の色と太さが「Cut」なる文字の色と太さにほぼ合致しており,極めて強い結びつき感を生じている」旨を主張している。
しかしながら,本件商標のハサミと櫛の図柄は,一見してハサミと櫛をモチーフとして表したものと理解,認識させるものであって,おおむね縦方向に伸びる太線として認識されるものということができない。
また,本件商標は,その全体が同一の色彩で表示され,ハサミ及び櫛の図柄と「Cut」の欧文字が,異なる色彩で表されているものではないことや,申立人が提出した証拠(甲24)を勘案しても,本件商標に接する者が,ハサミ及び櫛の図柄と「Cut」の欧文字とを,常に関連付けて把握するものというべき事情は見受けられない。
その他,本件商標と引用商標とが類似するとすべき理由は見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,申立人は,平成12年に設立された「美容室の経営,フランチャイズシステム事業」を事業内容とする会社であって,2014年7月10現在の店舗数は,直営97店舗,FC78店舗であり(甲4),その店舗は.宮城県,埼玉県,東京都,神奈川県,愛知県,大阪府,島根県など広く展開しているものである(甲6)。
そして,申立人の美容室は,テレビで放送されたこと,「美容室 イレブンカット 11cut」,「11cut」又は「イレブンカット」と表示して各種刊行物へ掲載されたこと,販促チラシの配布及びキャンペーンの実施等を行っていること等が認められる(甲10ないし甲23)。
また,2013年(平成25年)11月6日付けの日経MJ新聞によれば,申立人は,「理美容」部門の売上高が全国第6位であることが認められる(甲5)。
上記事実からすれば,引用商標は,本件商標の登録出願の時ないし登録査定時において,申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に一定程度知られているものと認められる。
イ 商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について
引用商標は,上記アのとおり,申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして需要者の間に一定程度知られているものと認められる。
しかしながら,本件商標と引用商標とは,上記(1)のとおり,称呼,観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものであり,その他,申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても,本件商標をその指定役務について使用した場合,役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせない。
そうとすれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定役務について使用しても,これに接する取引者,需要者が,引用商標を連想又は想起させることはなく,その役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第10号,同第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 (本件商標,色彩の詳細は,原本を参照されたい。)





別掲2 (引用商標,色彩の詳細は,原本を参照されたい。)





異議決定日 2014-12-02 
出願番号 商願2014-9236(T2014-9236) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (W44)
T 1 651・ 271- Y (W44)
T 1 651・ 263- Y (W44)
T 1 651・ 262- Y (W44)
T 1 651・ 261- Y (W44)
最終処分 維持  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 井出 英一郎
田中 亨子
登録日 2014-05-09 
登録番号 商標登録第5669625号(T5669625) 
権利者 株式会社RION CREATE
商標の称呼 カットアンドカラーカットプラス、カットアンドカラー、カットカラー、カット、シイユウテイ、カラー、プラス 
代理人 村山 保之 

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