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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
管理番号 1295084 
異議申立番号 異議2013-900341 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-01-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-10-09 
確定日 2014-11-28 
異議申立件数
事件の表示 登録第5597382号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5597382号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5597382号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成23年11月21日に登録出願、第33類「ポーランド産ウォッカ」を指定商品として、同25年4月23日に登録審決、同年7月12日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第4378788号商標(甲2、以下「引用商標」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、第33類「ポーランド産のウオッカ」を指定商品として、平成9年7月30日に登録出願、同12年4月21日に設定登録、同22年9月21日に更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第18号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件登録商標と引用商標との対比
本件商標は、その構成中、「SPIRYTUS」の欧文字と「REKTYFIKOWANY」の欧文字とが中央上部に上下二段に渡って大きく顕著に表されているところ、日本においては当該欧文字(いずれもポーランド語)の意味を知るものは極めて少ないとみるのが相当であるから、本件商標からはこれらの文字に相応し、「スピリタス」又は「スピリタス レクティフィコワニー」の称呼が生じ、特定の観念は生じないというべきである。
これに対し、引用商標は、その構成中、中央に大きく顕著に表された「SPIRYTUS」の欧文宇と下部のリボン状の図形の上に表された「REKTYFIKOWANY」の欧文字が際立った態様であるところ、本件商標と同様にこれらの文字に相応して「スピリタス」又は「スピリタス レクティフィコワニー」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。
そして、本件商標と引用商標の指定商品が同一である。
してみれば、本件商標と引用商標は、いずれもその構成中に大きく又は目立つ態様で「SPIRYTUS」及び「REKTYFIKOWANY」の欧文字が表されており、該欧文字部分から「スピリタス」又は「スピリタスレクティフィコワニー」という同一の称呼が生じるものであるから、両商標は類似するものといわざるを得ない。
以上のとおり、本件商標と引用商標とは、類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから取り消されるべきである。
(2)「SPIRYTUS」の文字部分の識別力について
本件商標は、平成24年10月9日付け拒絶査定において、引用商標と類似することを理由として拒絶されたが、同25年1月21日付けで拒絶査定不服審判が請求され、その後、同年4月23日付けで出された審決において、「『SPIRYTUS』の文字は、ポーランド語で『アルコール』を意味すること、『スピリタス(SPIRYTUS)』は、『ポーランドを原産地とするウォッカ』を表すこと、さらに、『SPIRYTUS』の文字を付した酒が多数存在し取引されていることが認められるものである。そして、本願商標及び引用商標の指定商品は、いずれもポーランド産のウォッカであることからすると、本願商標及び引用商標の構成中『SPIRYTUS』の文字部分は、自他商品の識別力が無いか極めて弱いものとみるのが相当である」と判断された。
しかしながら、上記審決において識別力が無いか極めて弱いと判断された「SPIRYTUS」の欧文字を上段に、当該欧文字の称呼である「スピリタス」の片仮名を下段に配して構成された文字商標、及び「SPIRYTUS」の欧文字を含む「SPIRYTUS REKTYFIKOWANY」の欧文字を上段に、当該欧文字の称呼である「スピリタス レクティフィコワニー」の片仮名を下段に配して構成された文字商標については、それぞれ第33類「日本酒、洋酒、果実酒、酎ハイ、中国酒、薬味酒」を指定商品として、平成24年5月9日に登録出願され、同年9月20日付けで登録査定が出され、同年10月19日に登録されていることから(甲3、甲4)、本件商標に対する平成25年4月23日付け拒絶審決の7カ月前である同24年9月20日時点においては、特許庁が「SPIRYTUS」の文字部分には識別力があるものと判断されていたことが伺える。
確かに、もともと識別力のあった商標が、長年にわたって広く一般的に使用された結果、識別力を失うことは考えられるが、本件のように、甲第3号証商標及び甲第4号証商標の登録査定時(平成24年9月20日)から本件商標の審決時(平成25年4月23日)までのわずか7カ月の間に、日本において「SPIRYTUS」の文字がもともと有していた識別力が簡単に失われるとは考え難く、またそのような事情を示す証拠資料も示されていないことから、「SPIRYTUS」の文字部分は本件商標の審決時においても自他商品の識別力を有しており、該文字部分からは自他商品識別標識としての「スピリタス」の称呼が生じるというべきである。
してみれば、「SPIRYTUS」又は「SPIRYTUS REKTYFIKOWANY」の文字部分が共通し、称呼を共通とする本件商標と引用商標とは類似すると考えるのが相当である。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と申立人の表示との類似性の程度
本件商標と引用商標とが類似の関係にあることは、前記1(1)において述べたとおりである。
(2)引用商標の周知性及び独創性の程度
引用商標は、1918年から1924年頃にポーランドで創業された国営企業が民営化されたことを受けて誕生した申立人が製造するウォッカに使用しているラペルである。申立人は、1993年にスタロバボラにあるウォッカ工場で生産活動を開始し、現在は、ウォッカの製造、アルコール及びその他の飲料の卸売及び小売流通、アルコール飲料の輸出等の事業を行っている。1987年にポーランド政府からアルコール飲料の直接輸出のライセンスが供与されて以降、申立人は、世界中の多くの国にアルコール製品を輸出しており、主な外国消費者は、日本、アメリカ合衆国、カナダ、台湾及びオーストラリアの市場となっている(甲6)。その結果、申立人は、ポーランド国内において、特に輸出の発展において外国市場と国際的に連携し、極めて優れた業績をあげた者に対して与えられる「ディスティングイッシュド ポーリッシュ エクスポーター」(Distinguished Polish Exporter)のタイトルを1997年に獲得したほか、農業及び食物部門の最高の輸出業者を表彰する「アグロエクスポートコンテスト2003」(AGRO EXPORT Contest 2003)においても準優勝し、「クリスタル グローブ」(Crystal Globe)を獲得している(甲7)。
なお、引用商標が付されたポーランド産ウォッカの2005年の日本における売上本数は150,687本、売上数量は75,343リットル及び売上高は180,824,400円などであり、当該商標を付したポーランド産ウォッカが、日本最大級のインターネットショッピングモールである楽天市場のウォッカ売上ランキングにおいて1位に輝いていることや(甲8)、インターネット上で酒を販売するショッピングサイト「河内屋」において売れている順にウォッカを表示したところ、当該商標を付したポーランド産ウォッカが一番先に表示されることからも分かるように(甲9)、当該商標を付したポーランド産ウォッカは、取引者・需要者からの信頼が厚く、極めて品質のよい評判の商品であることがわかる。
ちなみに、引用商標が付されたポーランド産ウォッカが、ポーランドから日本を除く外国に輸出された量は2008年が102,817.55リットル、2009年が125,521.94リットル、2010年が136,078.80リットル、2011年が151,446.19リットル、2012年が134,972.03リットル、2013年が150,398.93リットルとなっており、当該商標を付したポーランド産ウォッカが日本のみならず、外国においても広く流通していることがうかがえる。
また、申立人は、2013年3月5日から8日に幕張メッセで開催されたアジア最大級の国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN(第38回国際食品・飲料展)」に出展したほか(甲10ないし甲14)、当該展示会等において、引用商標が付されたポーランド産ウォッカに関するチラシ(甲15)を配布したり、店頭において、引用商標が付されたポーランド産ウォッカに当該商品を使用した果実酒のレシピが記載されたラベル(甲16ないし甲18)を付して販売する等、引用商標が付されたポーランド産ウォッカについて、日本において積極的に広告宣伝活動を行っている。
さらに、申立人は引用商標と極めて類似するラペル及び「SPIRYTUS REKTYFIKOWANY」の文字について、世界各国で商標登録を行っており、ブランドの保護に努めている。
このように、引用商標は、本件商標の登録出願当時(平成23年11月21日)には、既に、申立人の業務に係る商品である「ポーランド産ウォッカ」を表示するものとして、世界的に高い信用が形成され、需要者に広く知られた商標であったといえる。
(3)本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品と申立人が引用商標を使用する商品とが、性質、用途、目的等を述べるまでもなく、互いに同一の関係にあることは、前記1において述べたとおりであり、取引者・需要者も完全に共通している。
(4)出所の混同について
前記(1)ないし(3)の事実を本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断をした場合、本件商標と引用商標とは、商標及び商品についてほぼ同一又は極めて類似している状況から、本件商標が付された商品に接する取引者・需要者は、その商品の出所について、あたかも申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると混同を生ずるおそれがあるというべきである。
以上のとおり、本件商標が本件指定商品に使用された場合、その商品の需要者が、その商品の出所について、申立人又は申立人と組織的・経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるといえるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1に示すとおり、クリーム地の縦長長方形内に、上から順に下方へ、左右青赤背景地に「W」のアルファベット文字を白抜きに表した盾を両脇から獅子が支えている様の紋章、その下に小さく該紋章と横幅をそろえて併記された「WRATISLAVIA」の欧文字、大きく「SPIRYTUS」の欧文字、中央の位置に赤字で大きく「96%」の文字、同じく赤字で小さく「Premium Quality」の欧文字、青地の帯様の図形内に白抜きで「REKTYFIKOWANY」の欧文字、左隅に「500ml」の文字及び右隅に「96% vol.」の文字などを配した構成からなるものである。
そして、その構成中、「SPIRYTUS」の欧文字は、「アルコール」の意を有するポーランド語(白水社 ポーランド語辞典)であって、本件商標の指定商品との関係からすれば、該商品の取引者においては上記意味合いを理解する場合があるとしても、該商品を購入する一般消費者においては、我が国のポーランド語の普及度からみて、上記意味合いを想起、理解することが少ないとみるのが相当であり、独立して商品の出所識別標識としての機能を果たす部分といえるものである。してみると、「SPIRYTUS」の欧文字は、特定の観念を有さない造語からなるものであり、これを英語読みに倣って「スピリタス」の称呼が生じるものである。
同じく、その構成中の「WRATISLAVIA」及び「REKTYFIKOWANY」の欧文字も、ともに辞書類に載録がないものであるから特定の観念を有さない造語からなるものであり、紋章図形も含めてこれらが配された位置からみれば、それぞれ各々が独立して商品の出所識別標識としての機能を果たす部分といえるものである。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2に示すとおり、緑色の縦長長方形の輪郭内に、背景地を薄い緑色にし、その中に上から順に下方へ、黒字の筆記体からなる「Polmos」の欧文字、中央に大きく緑色の太字で上下2段からなる「SPIRYTUS」及び「REKTYFIKOWANY」の欧文字、小さく緑色で「RECTIFIED SPIRIT」、黒字で「96 PER CENT ALCOHOL BY VOLUME.」及び「0.5L」、緑字で「PRODUCE OF POLAND」及び「PRODUCTION POLONAISE」などの欧文字を配した構成からなるものである。
そして、その構成中、「SPIRYTUS」及び「REKTYFIKOWANY」の欧文字部分は、これらがたとえ2段に表されているとしても、ともに緑字で同じ書体、同じ大きさ、等間隔で、全体がまとまりよく一体的に表されているものであり、かかる構成においては、「SPIRYTUS」又は「REKTYFIKOWANY」の欧文字のみを殊更分離し、抽出して取引に資する特段の理由がなく、そうとすると、2段の構成全体をもって独立して商品の出所識別標識としての機能を果たす部分といえるものである。
してみると、「SPIRYTUS REKTYFIKOWANY」の欧文字は、辞書類に載録がないものであるから、特定の観念を有さない造語からなるものであり、これを英語読みに倣って「スピリタスレクティフィコワニ」の称呼が生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、前記(1)で認定したとおり、その構成中の「SPIRYTUS」の欧文字が独立して商品の出所識別標識としての機能を果たす部分といえるのに対し、引用商標は、前記(2)で認定したとおり、その構成中の「SPIRYTUS」「REKTYFIKOWANY」の欧文字部分が一体不可分の構成からなるものであって、該「SPIRYTUS」の欧文字のみが独立して商品の出所識別標識としての機能を果たす部分といえないものであるから、たとえ両商標に「SPIRYTUS」の欧文字が存するとしても、「SPIRYTUS」の欧文字と「SPIRYTUS」及び「REKTYFIKOWANY」の2段からなる欧文字部分との比較において、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれはないものである。
したがって、本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
甲第6号証ないし甲第18号証によれば、申立人は、その前身を1918年に創業された国営スピリット独占企業とし、2003年に国営企業の民営化を受けた合資会社である。申立人が製造するウォッカは、ポーランド製の農業エチルアルコールから製造され、商標「RECTIFIED SPIRIT」の所有者として国内外に知られているその名前の下で唯一製造を行っているメーカー(甲6)である。そして、引用商標が付されたウォッカが通販サイトの「楽天市場」及び「河内屋」に掲載され(甲8、甲9(ともに2013年12月24日紙出力))、また、申立人は、2013年3月に幕張メッセで開催された「FOODEX Japan(第38回国際食品・飲料展)」に出展し(甲10ないし14)、引用商標が付されたポーランド産ウォッカに関するチラシ(甲15)を配布したり、店頭において、引用商標が付されたポーランド産ウォッカを使用した果実酒のレシピが記載されたラベルを付して販売(甲16ないし18)されている。
しかして、これらから引用商標が付されたウォッカが我が国において現在も販売され、広告されていることは認められるが、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の需要者の間に広く認識されていると認めるに足りる証拠はない。
また、本件商標と引用商標とは、前記1で認定したとおり、非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人又は引用商標を想起、連想させるものとは認められず、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標


(色彩は原本を参照。)

2 引用商標


(色彩は原本を参照。)

異議決定日 2014-11-19 
出願番号 商願2011-86897(T2011-86897) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (X33)
T 1 651・ 263- Y (X33)
T 1 651・ 271- Y (X33)
T 1 651・ 262- Y (X33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安達 輝幸石井 亮 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 関根 文昭
手塚 義明
登録日 2013-07-12 
登録番号 商標登録第5597382号(T5597382) 
権利者 株式会社都商会
商標の称呼 ブラティスラビアスピリトゥスキュージューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、ブラティスラビアスピリタスキュージューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、ブラティスラビアスピリトゥスキューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、ブラティスラビアスピリタスキューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、ブラティスラビア、スピリトゥスキュージューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、スピリトゥスキューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、スピリタスキュージューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、スピリタスキューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、スピリトゥス、スピリタス、キュージューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、キューロクパーセントプレミアムクオリティレクティフィコバニ、プレミアムクオリティレクティフィコバニ、レクティフィコバニ 
代理人 川崎 隆夫 
代理人 今井 貴子 
代理人 江成 文恵 
代理人 瀧野 秀雄 
代理人 青山 なつ子 
代理人 旦 武尚 
代理人 瀧野 文雄 

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