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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない X30
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X30
審判 全部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない X30
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない X30
審判 全部無効 観念類似 無効としない X30
管理番号 1295080 
審判番号 無効2014-890001 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-01-24 
確定日 2014-12-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5465978号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5465978号商標(以下「本件商標」という。)は、「in and out」の欧文字を横書きしてなり、平成23年8月30日に登録出願、第30類「ハンバーガー」を指定商品として、同24年1月5日に登録査定、同年1月27日に設定登録され、その後、有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人は、本件商標の無効の理由において、以下の3件の登録商標を引用している(以下、3件の登録商標を総称する場合は、「引用商標」という。)。
(1)登録第4188436号商標(以下「引用商標1」という。)は、「IN-N-OUT」の欧文字を横書きしてなり、平成8年5月27日に登録出願、第30類「チーズバーガー,ハンバーガー,コーヒー」を指定商品として、同10年9月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(2)登録第4188437号商標(以下「引用商標2」という。)は、「IN-N-OUT BURGER」の欧文字を横書きしてなり、平成8年5月27日に登録出願、第30類「チーズバーガー,ハンバーガー」を指定商品として、同10年9月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
(3)登録第2690799号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成3年12月10日に登録出願、第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同6年7月29日に設定登録され、その後、同17年6月1日に、指定商品を第30類「ステーキバーガー,チーズバーガー,クラムバーガー,フィシュバーガー,ポークバーガー,ターキーバーガー,エッグバーガー,ピッツァバーガー,野菜バーガー,その他のハンバーガー」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)(審決注:請求人は、甲号証の枝番を、例えば、甲第5号証-1、甲第5号証-2のようにハイフンを用いて表しているが、審決においては、甲第5号証の1、甲第5号証の2のように「甲第○号証の○」のように表している。以下同じ。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標1の類否
ア 本件商標
本件商標は、英単語の「in」、「and」及び「out」の語を組み合わせ、横書きした「in and out」の文字から構成される。その構成中、「and」の語は、我が国において「・・と・・」を意味する英単語として一般に普及し、よく知られている。本件商標は、その構成中の「and」の語が、例えば、「AとB」のように、AとBの並列を認識させるにすぎないものであり、それ自体が看者に強く認識されない(甲第5号証の1ないし8)ものであるから、看者が強く認識するのは、「A」と「B」である。
本件商標において、「and」の語をはさみ並列しているのは、「in」と「out」の語である。「in」の語は「・・の中に」、「out」の語は「・・の外に」と、それぞれ反対の意味合いを有し、対をなすものであり、両語とも一般によく知られている上に、各語の間には一文字程度の余白が設けられているから、本件商標に接する看者は、「in」と「out」の語を明確に認識することができる。
以上からすれば、看者(需要者)は、本件商標を「inとout」と認識し、把握すること明らかであり、本件商標からは、反対の意味合いを有する一対の「inとout」(内と外)といった内容が印象付けられ、記憶される。
イ 引用商標1
引用商標1は、英文字「N」を中心に、前後に「-」(ハイフン)を介して英単語の「IN」と「OUT」を配した構成からなるところ、米国においては、当該「-N-」は、「and」と認識され、「IN-N-OUT」は、「IN AND OUT」としても認識され、米国及び複数の国においては、「in and out」が「IN-N-OUT」に類似することは自明である(甲第6号証ないし甲第9号証)。
もっとも、日本においては、「and」の省略形として「‘n」が使用されることは少なくない反面、「-n-」が辞書に「and」の省略形として掲載されていないことなどから、「-N-」が直ちに「and」を表すとまではいえないとも考えられる。しかし、「‘n」も、「and」が明確に想起されるというよりは、前後の語を繋ぐ程度に認識されるか、または、単に前後の語の並列を認識させるというのが通常であり、アポストロフィそれ自体の厳密な意味合い(語の省略)が認識されるわけではない。一方、「-n-」は、「‘n」と同じく要部が「n」で、これに、接続を表す「-」(ハイフン)がバランスよく左右に付されたものであり、「‘n」と同様、前後の語の並列を認識させる。
さらに、引用商標1の構成中の「N」は、単なるアルファベット一文字であり、また、その両脇の「-」(ハイフン)は繋ぎを意味する記号にすぎず、いずれも、それ自体で特定の意味合いは生じない。一方、「IN」と「OUT」は、上記のとおり一般によく知られた語である。これらの語には「-」(ハイフン)が付され独立性が保たれており、「IN」及び「OUT」とも、はっきりと認識することができる。
したがって、引用商標1に接する看者(需要者)は、「and」の明示がなくとも、「IN」と「OUT」とを明確に認識し、需要者にはこれらが印象付けられ、記憶に「IN」と「OUT」として残る。
加えて、引用商標1は、仮に、全体をひとまとまりで捉えられたとしても、そこから何らの意味合いも認識、想起されないわけではなく、需要者は、馴染みがあり、はっきりとわかる「IN」と「OUT」を認識し、一対の「INとOUT」、「内と外」として印象付けられ、記憶される。
ウ 本件商標と引用商標1の対比
(ア)本件商標と引用商標1は、いずれも、「『in/IN』と『out/OUT』」(内と外)の観念が生じ、「in」と「out」、「IN」と「OUT」が印象付けられ、「inとout」(内と外)程度のものとして記憶に残る。かかる印象、記憶は、時間が経過し、場所を異にすれば、「inとout」(内と外)と同様の内容を相互に連想させやすく、両商標で、全く同一の指定商品(ハンバーガー)に使用するときは、一層紛らわしいものとなる。
次に、本件商標からは、その文字に従って「インアンドアウト」の称呼が生じる。しかしながら、「and」は、前後の語を繋ぐ役目を果たすに過ぎず、現実の取引でも分野を問わず、「and」、「アンド」又は「&」は、省略されて称呼されることが少なくない。料理の「カレーライス」は英語の「curry & rice」を由来とし(甲第10号証の1)、さらに、ロックバンド「JUDY AND MARY」の略称「ジュディマリ」(甲第10号証の2)、セレクトショップ「WOOD&PECKER」の称呼「ウッド・ぺッカー」(甲第10号証の3)、アニメの「ガールズ&パンツァー」の略称「ガルパン」(甲第10号証の4)等の例も挙げられる。商標登録の例にも、欧文字表記では「&」があっても、日本語表記には「&」がないものなどがある(甲第10号証の5及び6)ほか、我が国では、ブランド等名称が中間部分等を省略して称呼されることが少なからずあり、中間の「and」、「アンド」又は「&」は、一層、省略され易い。
それに対し、本件商標の「in」と「out」は、上述のとおり容易に認識することができるものであり、「インアンドアウト」の称呼は、8音と比較的長く、本件商標が常にそのとおりに称呼される理由も乏しいから、本件商標は、現実の取引においては、「インアウト」の称呼を生じる場合が少なくないことが経験則上明らかである。
一方、引用商標からは、その文字に即し、「インアウト」などの称呼を生じる(異議2012-900108の異議決定)。
(イ)本件商標と引用商標1を対比すると、両商標は、いずれも、少なくとも「インアウト」の称呼を共通にする。また、引用商標1からは「N」を省略しない「インアンドアウト」の称呼も生じ得るのであって、この点でも、引用商標1は本件商標と称呼上類似する。
さらに、本件商標と引用商標1の外観については、本件商標が小文字からなるのに対し、引用商標1は大文字からなるとの違いがあるものの、かかる違いは、軽微な差異にすぎない。
次に、両商標の文字の配列については、本件商標と引用商標1は、前半部2文字(「in」と「IN」)、後半部3文字(「out」と「OUT」)が共通するほか、中央の文字(「n」と「N」)が共通する。本件商標と引用商標1とでは、「and」と「-N-」において、「n」「N」の両脇が「a」及び「d」か「-」かの違いはあるものの、本件商標を構成する全8文字のうち6文字までが引用商標1と配列を同じくしており、両商標の外観は、常に明確に区別できるというものでなく、時と場所を異にしたときは、需要者にとって紛らわしさが残る。
実際、インターネット上で「in and out バーガー」を検索すると、ヒットするのは請求人の「IN-N-OUT」に関する記事やサイトがほとんどである(甲第10号証の7)。
上述したとおりの外観、観念及び称呼を総合的に考慮し、また、外観、観念、称呼等によって取引者に与える両商標の印象、記憶、連想(両商標とも「inとout」)を総合して全体的に考察すれば、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあることは明らかであるから、本件商標は、引用商標1に類似するものである。
(2)本件商標と引用商標2の類否
引用商標2は、「IN-N-OUT BURGER」の欧文字を横書きにしてなるところ、引用商標2の構成中の「BURGER」の文字部分は、指定商品「ハンバーガー」との関係で自他商品の識別力が弱いと考えられるものであるから、自他商品識別力を有する「IN-N-OUT」の文字部分のみをもって取引に供されることも少なくなく、上記(1)ウにおいて本件商標と引用商標1の類否について述べた諸点が当てはまる。
したがって、本件商標は、引用商標2と類似する。
(3)本件商標と引用商標3の類否
引用商標3は横書きの「IN-N-OUT」の欧文字を中心にして、「OUT」の欧文字の下に、小さく「BURGER」の欧文字を横書きに付し、「N」の下から「OUT」の上に沿うように矢印状の図形を配してなるところ、引用商標3の構成中「BURGER」の文字部分は、指定商品「ハンバーガー」との関係で自他商品識別力が弱く、また、図形は分離観察されるものである。
したがって、引用商標3も、「IN-N-OUT」の文字部分のみをもって取引に供されることも少なくなく、上記(1)ウにおいて本件商標と引用商標1の類否について述べた諸点が当てはまる。
よって、本件商標は、引用商標3とも類似する。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品
本件商標の指定商品は、「ハンバーガー」であるところ、該商品は、引用商標の指定商品中、少なくとも「ハンバーガー」とは同一の商品であり、しかも、引用商標の指定商品中の「チーズバーガー」も包含するものである。
(5)小括
本件商標と引用商標とは、以上のとおり、外観、観念及び称呼を総合的に考察すれば、相互に類似する商標であり、かつ、その指定商品も同一又は類似するものである。さらに、それらに基づく両商標の印象、記憶、連想を考慮すれば、その商品の出所について混同を生じるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきである。
2 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、商標法第4条第1項第11号における類似性が認められないと仮定しても、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
引用商標に係る「IN-N-OUT」の文字は、創造標章であり、かつ、少なくとも米国で周知の請求人のハウスマークであり、本件商標は、その態様が若干変更されたにすぎないものである。他方、本件商標と引用商標の指定商品は、「ハンバーガー」と同一であり、多角経営の可能性は論じるまでもない。商標の画一的な類似判断とは別途、上記諸点を総合的に考慮したときは、本件商標が請求人の業務に係る商品とその商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきである。
ところで、多くの国において、「in and(&) out」に係る商標と請求人の「IN-N-OUT」等の商標は、相互に類似し又は混同を生じるおそれがあると判断されているところ(甲第11号証の1ないし9)、英語の普及度合い等からみても、日本にこれらの国と異なるように解すべき具体的事情は存しない。
3 商標法第4条第1項第19号について
(1)米国における周知性
請求人と引用商標は、例えば、以下に示すとおり、遅くとも、本件商標の出願日である2011年8月30日より前に、米国において周知である。
ア 請求人は、1948年に米国カリフォルニア州で設立され、店舗をチェーン展開して、ハンバーガーを販売し、2011年8月30日より前に、カリフォルニア州、ネヴァダ州、アリゾナ州、ユタ州、テキサス州で請求人が開店したレストランは、261店に達する(甲第12号証の1)。
イ ベストセラー本「In-N-Out Burger?店員は見た。全てのルールを打破するファストフードチェーン」(甲第12号証の2)は、2009年のニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー(全米ベストセラー)で、ビジネス関係の出版社により「本年のベスト本」と称された。
ウ 2008年のロサンゼルス・タイムズ紙の記事(甲第12号証の3)では、ミシュラン星付きで国際的に高名なスコットランド出身のシェフであるゴードン・ラムゼイが「In-N-Out」を彼の好きな食事場所の一つに挙げている。
エ ラスベガス・ライフ誌の記事(甲第12号証の4)では、「In-N-Out」を2004年のラスベガスのベスト・バーガーに挙げた。
オ 2010年9月のテキサス州フォートワース市のスター・テレグラム紙の記事(甲第12号証の5)では、「In-N-Out」のレストランの開店を詳述している。
カ 2010年1月のネイションズ・レストラン・ニューズ誌の記事(甲第12号証の6及び7)では、「In-N-Out」を全米アイコン的レストランのトップ100の一つに挙げている。
キ 2006年7月のレストラン・ビジネス誌の記事(甲第12号証の8)では、「In-N-Out」を「あらゆる物の最高品-バーガー」に挙げている。
ク 2000年7月のサクラメント・ビー(カリフォルニア)紙の記事(甲第12号証の9)では、「ビジネス・インサイダー」のコラムで、「In-N-Out」が顧客満足度において全米のベストにランクされたと述べている。
ケ 日本の著名なアーティストである村上隆氏に依頼された広告用撮影からの写真が付いた記事(甲第12号証の10)がある。
コ 「In-N-Out」は、LAXロサンゼルス国際空港の近くに複数の店舗を有し、カリフォルニア州ロサンゼルスに1997年、カリフォルニア州ハリウッドに1994年、ネヴァダ州ラスベガスに1992年、すなわち、2011年8月30日より10年以上前にそれぞれの店を開店し、以来、継続して営業し、ハンバーガーを販売している。これらは日々、数千人の人々が世界各国から訪れる場所であり、かかる場所での永年にわたる営業活動・広告宣伝活動により、「In-N-Out」は、多くの国際旅客を通じ、国際的にも知られるようになり、現在も、日々、知られるものとなっている。日本で周知のJTBルックツアーの日本語サイトにも、2010年10月1日付けのレポートで、「カリフォルニアや西海岸で一番人気のハンバーガー『In-N-Out』」として紹介されている。ちなみに、同レポー卜で「『In‘n’Out』は『In and out(インアンドアウト)』のこと」と言及されている(甲第12号証の11)。
サ 請求人は、例えば「Reno‘s Hot August Nights Magazine」等の雑誌(2008年8月発行)に引用商標を使用して広告を行っている(甲第12号証の12)。また、屋外の看板での広告も行っている。
シ 請求人は、種々の賞を受賞している(2011年10月12日カリフォルニア州のベストバーガー賞受賞。甲第12号証の13)。また、受賞に関する広告も行っている(2011年10月。甲第12号証の14)。
ス 請求人の「IN-N-OUT」等を使用したハンバーガーは、2011年8月付けの雑誌ブルータスでも「カリフォルニアのベストビジネス」の一つとして取り上げられている(2011年8月1日発行。甲第12号証の15)。
セ フィリピンの知的財産局で請求人のロゴマーク(引用商標3)が2000年9月12日付け異議決定において、「国際的に周知な商標である」旨認定された(甲第12号証の16)。
(2)第4条第1項第19号該当性
引用商標は、少なくとも、米国の需要者の間に広く認識されている。また、本件商標が引用商標に類似するのは前述のとおりである。上記実情において、本件商標を出願することには、先取り的意図が推認され、また、これを使用することは、審判請求人の上記商標の出所表示機能の稀釈化の認識が推認される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とすべきである。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号又は同項第19号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により無効とすべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、その証拠方法として、乙第1号証を提出した。
なお、被請求人は、本件商標の登録に対し本件無効審判請求と同様の理由で、請求人によって登録異議の申立て(異議2012-900108)がされ、登録を維持する決定(乙第1号証)がなされた旨を主張している。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標1の類否について
ア 本件商標
本件商標は、「in and out」の欧文字を横書きしてなるものであり、該文字に相応して、「インアンドアウト」の称呼を生じ、「内と外」の観念を想起させるものである。
本件商標は、一連一体にまとまり良く構成されており、「インアンドアウト」の称呼も冗長でないことから、「in and out」の欧文字が一体のものとして認識されるのが通常と理解される上、2ないし3文字からなる単語の「in」及び「out」と3文字からなる単語「and」とは、短く、かつ、その語自体は、強い意味を持たない点において、同様に並列的であることから、殊更に「and」の語を捨象して、「in」及び「out」の部分のみが印象づけられることはないというべきである。
なお、請求人の甲第5号証の1ないし8は、他の構成文字より小さく記載された「アンド」の文字や、「&」の記号に係る事案であり、また、「アンド」の文字や「&」の記号の前後の文字が短く強い意味を持たない単語で構成されている商標に係る事案ではないので、本件とは事案が異なるものである。
イ 引用商標1
(ア)引用商標1は、「IN-N-OUT」の欧文字を横書きしてなるものであり、該文字に相応して、「インエヌアウト」、「インナウト」の称呼を生ずるものである。この点、請求人自身も、自らの商号の片仮名による表記を「インエヌアウトバーガーズ」としており、その後「インナウト・バーガーズ」(現在の商号表記)としているから(甲第4号証参照)、請求人自らが、引用商標1から「インエヌアウト」、「インナウト」の称呼が生ずることを認めており、また、そのように称呼させることが商標権者の意思であると表明しており、このことからも、引用商標1から「インエヌアウト」、「インナウト」の称呼が生ずること明らかである。
また、「IN-N-OUT」、「インエヌアウト」又は「インナウト」の語が全体として特定の意味を有するものとして、日本において親しまれているとはいえないから、引用商標1は、特定の観念を生じないものといえる。
本件で問題となるのは、そもそも、日本の取引者、需要者が本件商標及び引用商標をどのように認識するのかであって、請求人が米国所在の企業であるからといって、米国の取引者、需要者の理解が基準となるのではなく、また、日本以外の国における商標の類否判断も本件には無関係である。
(イ)請求人が提出する証拠に基づく個別の主張は、以下のとおり、請求人の主張を何ら支持するものではない。
a 請求人は、甲第6号証の1ないし5を根拠に、複数の辞典や出典において「N」の語は、「AND」を表すか、同義の語である旨述べられているとする。
しかし、そもそも、引用商標1は、「IN-N-OUT」の欧文字から構成されており、問題となるのは「-N-」の意味であるところ、これらの証拠で説明されているのは、「‘n’」(甲第6号証の1及び4)、あるいは、「N」、「n」(甲第6号証の2、3及び5)であって、「-N-」ではない。
また、甲第6号証の2及び3には、「N」が、「in」、「number」、「north」、「no」、「noun」、「noon」、「neutral」等の略語としても使用されることが記載されており、米国人の間であっても、「N」が必ずしも「and」を意味するものでないことが示されている。
いずれにしても、甲第6号証の1ないし5によって、日本の取引者、需要者が、「-N-」を「AND」を表すものと一般的に理解しているなどとは到底いえないこと明らかである。
さらに、請求人は、甲第7号証ないし甲第9号証を根拠に、「N」を「AND」として使用する例が多数ある旨主張するが、そもそも、本件で問題となるのは、日本の取引者、需要者の認識であるところ、甲第7号証ないし甲第9号証は、いずれも米国人の認識を示すものと理解され、この時点で請求人の主張は的が外れているというほかない。
b 請求人は、米国最高裁の裁判例を引用し、「N」は「AND」と同一と判断されている旨を主張するが、そもそも、当該裁判例が証拠として提出されていないから、その主張の根拠が立証されていない上、たとえ、請求人の主張するとおりの内容の裁判例であったとしても、「-N-」についての事案ではなく、本件とは無関係のものというほかない。
また、本件で問題となるのは、そもそも、日本の取引者、需要者の認識であるところ、当該裁判例の内容が仮に立証されたとしても、米国人の認識を示すものと理解され、請求人の主張は、やはり、的が外れているというほかない。
c 請求人の主張は、要するに、引用商標1の「IN-N-OUT」の欧文字のうち、「-N-」の部分は印象に残らず、「IN」及び「OUT」の部分のみが引用商標1を目にした取引者、需要者の印象に残るということのようである。
しかし、引用商標1は、わずか6文字と2つの記号からなる商標であり、それぞれの文字及び記号は、まとまりよく一連一体に表示されており、「-N-」の部分が引用商標1の中央部分を占め、特段小さな文字で表記されているといったこともないことからすれば、引用商標1のうち、「-N-」の部分のみが殊更に印象に残らないとする理由は存在しないというほかない。
したがって、引用商標1を目にした取引者、需要者であれば、引用商標1を殊更に分離して観察することはなく、「IN-N-OUT」、「インエヌアウト」又は「インナウト」の語が、全体をもって特定の意味を有するものとして、日本において親しまれているものとはいえないから、引用商標1は、特定の観念を生じないものと理解される。
ウ 本件商標と引用商標1との対比
(ア)観念について
請求人は、本件商標と引用商標1とは、いずれも、「『in/IN』と『out/OUT』」(内と外)の観念が生じる旨を主張するが、本件商標は、「内と外」の観念を想起させるものと認識される一方、引用商標1は、特定の観念を生じないものと理解されるものであるから、異なる観念を生じるといえるものであり、請求人の主張は誤りである。
(イ)称呼について
請求人の主張は、以下のとおり、理由がない。
本件商標は、一連一体にまとまりよく構成されており、「インアンドアウト」の称呼も全く冗長ではないことから、本件商標からは「インアンドアウト」との称呼が生じることは明らかである。
他方、引用商標1は、「インエヌアウト」又は「インナウト」の称呼が生じるものである。
したがって、本件商標から生じる称呼は「インアンドアウト」、引用商標1から生じる称呼は「インエヌアウト」または「インナウト」であり、両者が類似しないことは明白である。
a 甲第5号証(枝番号含む。)は、他の構成文字より小さく記載された「アンド」の文字や、「&」の記号に係る事案であり、また、「アンド」の文字や「&」の記号の前後の文字が短く強い意味を持たない単語で構成されている商標に係る事案ではないので、本件とは事案が異なり、本件で参照すべきものではない。また、甲第6号証ないし甲第9号証(枝番号含む。)は、「and」、「アンド」及び「&」は省略されて称呼されることを示すものではない。
b 甲第10号証の1ないし4には、料理名、ロックバンドやアニメの名称など本来的に商標に係るものではない例があげられているほか、「and」が省略されて称呼されるものではなく、他の称呼の変化も伴う例(「カリー」→「カレー」など)が挙げられるなど、本件商標の称呼には関係のない例があげられているにすぎず、本件商標から「インアウト」の称呼を生じることを示すものではない。
c 甲第10号証の5及び6の商標の登録例は、そもそも、本件商標とは異なる構成の2つの例が示されるのみであり、また、これらの商標登録例は、これらの出願人が片仮名において「&」を反映しなかったことを示すのみで、取引者、需要者が欧文字のみを目にした場合にどのように称呼するかを示すものではない。いずれにしても、本件商標において「インアウト」の称呼を生じることを何ら示すものではない。
d 「スタバ」、「ロイホ」などの例は、略称前のブランド名に「and」、「&」及び「アンド」の文字を含む例ですらなく、もはや本件とは全く関係ない例というほかない。
(ウ)外観について
本件商標と引用商標1の外観を比較すると、構成文字が大文字であるか小文字であるかの違いがあるほか、本件商標の中央部分が「and」の文字であるのに対して、引用商標1は「-N-」の文字であり、その構成文字が異なるほか、引用商標1では2つの「-」(ハイフン)が表記されている点において大きく異なる。少なくとも、日本においては、「-N-」の表記が一般的とはいえず、加えて、「-N-」の表記が引用商標1の中央にバランス良く配されていることからすれば、引用商標1を目にした取引者、需要者であれば、「-N-」の部分が少なからず印象づけられると言うべきである。
したがって、本件商標と引用商標1とは、その外観が大きく異なるものというほかない。
なお、請求人は、甲第10号証の7を提出しているが、本件商標と引用商標1の外観に係る判断とは何ら関係がないものである。
エ まとめ
本件商標と引用商標1とは、以上のとおり、その外観、称呼、観念のいずれもが相紛れることがない程度に異なるものであり、本件商標が引用商標1に類似しないことは明らかである。
(2)本件商標と引用商標2の類否について
引用商標2は、「IN-N-OUT BURGER」の欧文字を横書きしてなるものであり、引用商標1の構成文字である「IN-N-OUT」に加え、本件商標には存在しない「BURGER」の文字をその構成に含むものである。
しかるところ、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても異なる非類似の商標であるから、引用商標1よりも本件商標との相違点が大きい引用商標2は、本件商標と非類似であることが明白である。
(3)本件商標と引用商標3の類否について
引用商標3は、横書きの「IN-N-OUT」の文字、横書きの「BURGER」の文字、「N」の文字の下から「OUT」の文字の上に沿うように配された矢印の図形から構成されるものであり、引用商標1の構成文字に加え、本件商標には存在しない「BURGER」の文字及び「N」の文字の下から「OUT」の文字の上に沿うように配された矢印の図形をその構成に含むものである。
しかるところ、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼、観念がいずれも異なる非類似の商標であるから、引用商標1よりも、さらに本件商標との相違点が大きい引用商標3は、本件商標と非類似であることが明白である。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標1ないし引用商標3のいずれとも類似の商標ではないので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
よって、請求人の主張は失当である。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)請求人の主張が不明瞭であること
請求人の商標法第4条第1項第15号に係る主張は、その趣旨が必ずしも明瞭ではない。
同号の判断において問題となるのは、日本における取引者、需要者の間で混同を生じるおそれがあるか否かであるが、請求人は、請求人のハウスマーク「IN-N-OUT」(引用商標)が「米国で周知」(ただし、この主張は誤りである)であれば、日本においても周知であって、日本において混同を生じるおそれがあると主張しているのか、それとも、そもそも日本で周知であるか米国で周知であるかは関係ないという前提で主張しているのか、それとも全く他の趣旨で主張しているのか明らかではない。
そこで、請求人は、念のため、そもそも、引用商標が日本で周知であるか米国で周知であるかは関係ないという前提で主張しているか、それとも、請求人の引用商標が米国で周知であれば日本においても周知であって、日本において混同を生じるおそれがあると主張しているかのどちらかであることを前提に反論する。
(2)請求人の主張が主張自体失当であること
ア 請求人の主張が、仮に、引用商標が日本で周知であるか米国で周知であるかは関係ないという前提でなされているのであれば、その主張自体が失当である。
商標法第4条第1項第15号の判断において問題となるのは、日本における取引者、需要者の間で混同を生じるおそれがあるか否かであり、請求人の引用商標との関係で、日本における取引者、需要者の間で混同を生じるためには、引用商標が日本において周知であることが必要なのは当然である。この時点で、請求人の主張は失当である。
なお、請求人は、日本において、おそらくは、「4時間限定出店」といった形式的な営業活動を単発的に行ったことがあるのみであり、実質的な営業活動を全く行っておらず、引用商標が日本において周知であるといえないことは明らかである。
イ 請求人の主張が、仮に、引用商標が米国で周知であれば、日本においても周知であって、日本において混同を生じるおそれがあると主張しているのであれば、やはり、その主張自体が失当である。
ある商標が米国で周知であるからといって、当該商標が日本でも周知であるとは限らないこと明らかである。
また、請求人の引用商標は、米国西海岸で一定程度知られている程度であり、引用商標が日本で周知であることを示す証拠は提出されておらず、引用商標が日本で周知であるといえないこと明らかである。
したがって、引用商標について、日本における取引者、需要者の間で混同を生じるおそれはない。
さらに、本件商標と引用商標とは、そもそも、非類似の商標であるため、仮に、引用商標が日本において周知であったとしても、本件商標と引用商標との間で誤認混同のおそれがないこと明らかである。
(3)請求人が提出する証拠について
請求人は、日本以外の国における異議決定、判決等を甲第11号証(枝番号を含む。)として提出しているが、本件で問題となるのは、日本における取引者・需要者の認識であり、商標の類否判断、混同のおそれの有無の判断基準等も国によって異なり得るところであるから、日本以外の国における異議決定、判決等をいくら提出しても、本件とは全く関係がないというほかない。
(4)小括
本件商標は、以上のとおり、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
よって、請求人の主張は失当である。
3 商標法第4条第1項第19号について
(1)請求人の主張について
本件商標と引用商標とは、そもそも類似しておらず、これらが類似することを前提とする請求人主張は、失当である。
(2)請求人及び引用商標が米国で周知とは言えないこと
前述のとおり、請求人及び引用商標が米国で周知とはいえず、せいぜい米国西海岸で一定程度知られている程度であることは明らかである。
請求人は、証拠方法として、甲第12号証(枝番号を含む。)を提出しているが、以下のとおり、いずれも、請求人及び引用商標が米国で周知であることを示すものではない。
ア 甲第12号証の1は、請求人の米国におけるハンバーガーショップ一覧とされるが、仮に、この内容が真実であったとしても、店舗の大半はカリフォルニア州内に存在していることから、請求人及び引用商標が米国西海岸で一定程度知られている程度であることを示すものである。
イ 甲第12号証の2は、そこに示される書籍がどの程度販売されたのか全く明らかではなく、また、同書籍が販売されたことをもって、請求人及び引用商標が全米で周知となったということはできない。
ウ 甲第12号証の3ないし9は、米国の新聞雑誌の記事であるが、それぞれの記事が、どの程度の広さのエリアの、どの程度の人数の読者によって読まれているのか全く明らかではない。むしろ、その多くは、カリフォルニア州やネバダ州(ラスベガス)といった西海岸所在の新聞社・出版社による記事であることからすれば、請求人及び引用商標が米国西海岸で一定程度知られている程度であることを示すものといえる。
エ 甲第12号証の10は、村上氏が米国においてどの程度注目されているのか全く明らかではなく、当該写真がどの程度の目に触れ、また、当該写真が請求人店舗であることにどの程度の人が着目するのかも全く明らかではない。いずれにしても、当該写真等をもって、請求人及び引用商標が全米で周知であるということはできない。
オ 甲第12号証の11は、ルックJTBのウェブサイトの旅ブログの記事と思われるが、この記事は、日本語による記事であるので、請求人及び引用商標が米国で周知であるかとは関係がないものである。また、請求人及び引用商標が日本において広く知られていることを主張したいのかもしれないが、どの程度の人数の読者が目にしたかも分からない、旅ブログの記事一つをもって、請求人及び引用商標が日本において周知であるということはできない。
カ 甲第12号証の12は、雑誌に掲載された請求人の広告であるが、請求人の店舗の大半はカリフォルニア州内に存在し、その他の店舗も基本的にその近隣の西海岸の州に存在していることから、当該広告も、請求人及び引用商標がせいぜい米国西海岸で一定程度知られている程度であることを示すものである。
キ 甲第12号証の13は、カリフォルニア州のベストバーガー賞受賞の証明書、甲第12号証の14は、当該受賞を受けて、ロサンゼルスの消費者に向けて出した広告と思われる。これらも、請求人及び引用商標がせいぜい米国西海岸で一定程度知られている程度であることを示すものである。
ク 甲第12号証の15は、「カリフォルニアのベストビジネス」の一つとして取り上げられたものであり、これも、請求人及び引用商標が米国西海岸で一定程度知られている程度であることを示すものである。また、この雑誌のわずか2頁程度の紹介で、請求人及び引用商標が日本において周知になることなどあり得ない。
ケ 甲第12号証の16は、フィリピンにおける異議決定通知の抜粋とされるが、当該証拠からは、引用商標3が国際的に周知な商標である旨認定されたか否かは全く明らかではない。
さらに、請求人は、「日本においても、2012年3月28日(甲第13号証)及び2013年2月21日に東京都渋谷区で出店した。」と主張し、その出店を告知する2012年3月27日の毎日新聞に掲載された広告が甲第13号証として提出されているが、わずか4時間の出店にすぎず、この程度の使用実績をもって、引用商標が日本において周知になったなどということはできない。
以上のとおりであるから、請求人及び引用商標は、甲第12号証及び甲第13号証(枝番号を含む。)をもって、日本国内においてはもちろん、米国においても、周知ということはできないものであり、米国西海岸で一定程度知られている程度のものである。
(3)被請求人は本件商標について「不正の目的」を有さないこと
請求人は、被請求人が本件商標を出願することについて、先取り的意図が推認され、またこれを使用することについて、引用商標の出所表示機能の稀釈化の認識が推認される旨を主張する。
しかし、本件商標と引用商標とは、そもそも非類似の商標であるから、本件商標の出願や使用により、引用商標を先取りすることにはならないし、また、引用商標の出所表示機能の稀釈化も起こらないので、これらを意図したり、認識したりすることはあり得ない。また、引用商標は、少なくとも、日本国内においてはほとんど知られておらず、この観点からも、その稀釈化は生じ得ない。
被請求人は、熊本において、店舗及び移動販売車における肉巻きおにぎり、ガーリックシュリンプ、ハンバーガー等の販売を業としているところ、肉巻きおにぎりが主力商品ではあるものの、肉巻きおにぎりと言えば宮崎と言われ続け、また、ガーリックシュリンプと言えばハワイというイメージがあり、地元密着感に欠けると考え、佐世保バーガーのような地元密着感のあるハンバーガーの創出を目指して、ハンバーガーに使用する商標を検討していたところ、店舗での販売を「in」、移動販売車を使っての屋外イベントでの販売を「out」として営業していたことから、「in and out」の商標を考案するに至ったものである。このように、被請求人は、引用商標を認識して、本件商標を採択したものではなく、この観点からも、被請求人が「不正の目的」を有さないこと明らかである。
被請求人は、以上のとおり、本件商標の出願登録及び使用について、何ら「不正の目的」を有するものではない。
(4)小括
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。請求人の主張は失当である。
4 結語
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当しないから、本件商標の登録が無効とされるべき理由は存在しない。

第5 当審の判断
1 請求人及び引用商標の周知性
(1)請求人は、請求人と引用商標について、「遅くとも本件商標の出願日である2011年8月30日より前に米国において周知である」旨主張し、その請求人及び引用商標の周知性を立証するため甲第12号証及び甲第13号証(枝番を含む。)を提出しているところ、これら証拠に徴すれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人のハンバーガーショップについて
甲第12号証の1は、請求人の米国におけるハンバーガーショップの一覧とされるものであるところ、その一覧によれば、本件商標の登録出願日である2011年(平成23年)8月30日より前には261店舗、登録査定日である2012年(平成24年)1月5日より前には266店舗の存在が認められるが、それらの店舗のうちの200以上の店舗については、一覧の「STATE」の欄が「CA」と記載されており、カリフォルニア州の店舗であることが認められる。
他方、請求人のわが国におけるハンバーガーショップについて、請求人は、「2012年3月28日(甲第13号証)及び2013年2月21日に東京都渋谷区で出店した」と主張し、甲第13号証を提出しているが、出店したとされる時期は、本件商標の判断の基準時である登録出願時又は登録査定時のいずれも経過した後であり、しかも、甲第13号証によれば、「3月28日スペシャルプロモーション開催」の文字があり、それがいかなる出店であるのかは明らかでなく、また、2013年2月21日の出店については、それを証するものさえ提出されていない。
イ 新聞、雑誌、インターネット上の記事等について
請求人が請求人及び引用商標の周知性を立証するために提出した証拠のうち、上記アのほかでは、甲第12号証の2ないし10並びに12ないし14は、「IN-N-OUT BURGER」なる書籍に関するインターネット情報(甲第12号証の2)、ロサンゼルス・タイムズ紙(甲第12号証の3)、ラスベガス・ライフ誌(甲第12号証の4)、テキサス州のスター・テレグラム紙(甲第12号証の5)、ネイションズ・レストラン・ニューズ誌(甲第12号証の6及び7)、レストラン・ビジネス誌(甲第12号証の8)、サクラメント・ビー(カリフォルニア)紙(甲第12号証の9)、請求人の店舗内を撮影した映像を掲載したインターネット情報(甲第12号証の10)、「Reno’s Hot August Nights Magazine」誌(甲第12号証の12)の記事及びカリフォルニア州のベストバーガー賞受賞に関する証明書と広告(甲第12号証の13及び14)であり、いずれも、欧文字による米国向けと思しき記事等である。
他方、日本語による日本向けと思しきものは、JTBのルックツアーのインターネット情報(甲第12号証の11)及び「BRUTUS」誌(甲第12号証の15)にとどまっている。
(2)上記(1)に徴すれば、本件商標の判断の基準時である登録出願時又は登録査定時は、請求人のハンバーガーショップが日本に出店する前であって、雑誌やインターネットでカリフォルニア州の店舗を紹介する情報がいくつかあったとしても、これらをもって、わが国の取引者、需要者の間で、引用商標が請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されていたということはできない。
また、請求人のハンバーガーショップは、その多くがカリフォルニア州にあり、同州においてある程度知られていることまでは否定しないとしても、これら証拠をもって、米国全体で、引用商標が請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されていたということはできない。
さらに、そのほかに、引用商標がわが国又は外国において、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されていたというべき事情も見いだすことはできない。
なお、請求人は、フィリピンの知的財産局において引用商標3が「国際的に周知な商標である」旨認定されたと主張し、甲第12号証の12を提出しているが、同号証では、その詳細が明らかでなく、そもそも、本件審判請求事件の判断が他国の官庁の判断に左右されなければならない理由はない。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「in and out」の文字からなるところ、各構成文字が同じ書体と同じ大きさをもってまとまりよく一連に書してなるものであり、その全体の構成文字から生ずる「インアンドアウト」の称呼も、一気に称呼し得ないほどに冗長なものではないから、一連の称呼のみが生ずるものといえる。そして、その間隔を置いてなる構成に徴すれば、看者をして、「の中に」の意味を有する「in」、「?と?」の意味を有する「and」及び「外へ」の意味を有する「out」の各語から構成されるものと容易に認識し得るものであり、全体としては、「中と外」程度の意味合いを容易に連想し得るものといえる。
なお、請求人は、甲第10号証(枝番を含む。)を提出し、本件商標について、「and」の文字部分が省略されやすく、本件商標からは「インアウト」の称呼も生ずると主張する。しかし、本件商標は、甲第10号証(枝番を含む。)に示される料理名、ロックバンド名やアニメの名称等のように、「and」の文字部分を省略した呼び方が広く知られている事情が見いだし難く、一連に称呼し得るものであること上述のとおりであるから、請求人の当該主張を採用することはできない。
(2)引用商標について
ア 引用商標1
引用商標1は、上記第2(1)のとおり、「IN-N-OUT」の文字からなるところ、各構成文字が同じ書体と同じ大きさをもってまとまりよく一連に書してなるものであり、その全体の構成文字から「インエヌアウト」の称呼が生ずるほか、ハイフンの箇所を区切らずに発音する場合には「インアウト」の称呼をも生じ得るものといえる。そして、これら称呼は、一気に称呼し得ないほどに冗長なものではなく、一連に称呼し得るものといえる。さらに、引用商標1は、観念上、語頭部の「IN」の語が「の中に」の意味を、また、語尾部の「OUT」の語が「外へ」の意味を有するものであるとしても、かかる構成及び態様の下では、全体としては、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
イ 引用商標2
引用商標2は、上記第2(2)のとおり、「IN-N-OUT BURGER」の文字からなるところ、その構成中の「BURGER」の文字部分が指定商品である「チーズバーガー,ハンバーガー」を指称し、自他商品の識別標識としては機能し得ない文字部分であるから、その全体の構成文字全体から「インエヌアウトバーガー」又は「インアウトバーガー」の称呼が生ずるほか、「BURGER」の文字部分を省略し、要部となる「IN-N-OUT」の文字部分からは、上記アと同様に「インエヌアウト」又は「インアウト」の称呼をも生じ得るものといえる。そして、引用商標2は、語頭部の「IN」の語が「の中に」の意味を、また、語尾部の「OUT」の語が「外へ」の意味を有し、「BURGER」の語が指定商品を指称するものであるとしても、かかる構成及び態様の下では、全体としても、また、「IN-N-OUT」の文字部分を要部としてみても、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
ウ 引用商標3
引用商標3は、上記第2(3)のとおり、「IN-N-OUT」及び「BURGER」の各文字と矢印状の図形からなるところ、その構成中の「BURGER」の文字部分が指定商品である種々のバーガーを指称し、自他商品の識別標識としては機能し得ない文字部分であるから、その全体の構成文字全体から「インエヌアウトバーガー」又は「インアウトバーガー」の称呼が生ずるほか、「BURGER」の文字部分を省略し、要部となる「IN-N-OUT」の文字部分からは、上記アと同様に「インエヌアウト」又は「インアウト」の称呼をも生じ得るものといえる。そして、引用商標3は、語頭部の「IN」の語が「の中に」の意味を、また、語尾部の「OUT」の語が「外へ」の意味を有し、「BURGER」の語が指定商品を指称するものであるとしても、かかる構成及び態様の下では、全体としても、また、「IN-N-OUT」の文字部分を要部としてみても、特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
エ 「IN-N-OUT」の文字に関する請求人の主張
請求人は、米国においては、「-N-」の文字部分が「and」と認識され、「IN-N-OUT」は、「IN AND OUT」として認識され、「『IN』と『OUT』」(内と外)として印象付けられ、米国及び複数の国においては、「in and out」が「IN-N-OUT」に類似すること自明である(甲第6号証ないし甲第9号証)と主張している。
しかし、「研究社 新英和大辞典(第6版)」(株式会社研究社)や「小学館ランダムハウス英和大辞典(第2版)」(株式会社小学館)をみると、「’n」の文字に「and」の意味があることは掲載されているとしても、「n」、「N」、「?N?」の文字には、他の意味が掲載され、「and」の意味は掲載されていない。また、引用商標は、上記1(2)のとおり、わが国や米国全体において、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして広く認識されているものではないから、仮に、米国の店舗等において「IN-N-OUT」を「IN AND OUT」として広告等を行っていたとしても、わが国や米国全体において、「IN-N-OUT」を「IN AND OUT」と認識するということはできない。
したがって、わが国の取引者、需要者が「IN-N-OUT」を「IN AND OUT」と認識するということはできないから、請求人の当該主張を採用することはできない。
(3)本件商標と引用商標との対比
ア 本件商標と引用商標1
本件商標と引用商標1とは、外観上、それぞれの中央部において、「and」の文字と「-N-」の文字という差異があるから、明らかに区別し得るものである。
さらに、本件商標から生ずる「インアンドアウト」の称呼と引用商標1から生ずる「インエヌアウト」の称呼を比較するに、両称呼には、その中間において「アンド」の音と「エヌ」の音という差異があり、加えて、本件商標から生ずる「インアンドアウト」の称呼と引用商標1から生ずる「インアウト」の称呼を比較するに、両称呼には、その中間において「アンド」の音の有無という差異があり、それぞれを一連に称呼するときは、明確に聴別し得るものである。
また、本件商標と引用商標1とは、観念においては、本件商標が「中と外」程度の意味合いを連想し得るものであるのに対し、引用商標1が特定の意味合いを有しない一種の造語として認識されるものであるから、観念において両商標は比較し得ないものである。
したがって、本件商標と引用商標1は、その外観、称呼及び観念を総合的に考察しても、相紛れるおそれがない非類似の商標といえる。
イ 本件商標と引用商標2
引用商標2は、上記(2)イのとおり、引用商標1の構成文字と同じ「IN-N-OUT」の文字に、その指定商品を指称する「BURGER」の文字を加え、「IN-N-OUT BURGER」の文字からなるところ、その要部である「IN-N-OUT」の文字部分と本件商標を比較した場合には、本件商標と引用商標2とは、上記アと同様に、相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
さらに、本件商標と引用商標2の全体とを比較してみても、外観上、上記アのほかに、「BURGER」の文字の有無が差異として加わったのであるから、明らかに区別し得るものである。加えて、称呼上も、上記アのほかに、「バーガー」の音の有無が差異として加わったのであるから、それぞれを一連に称呼するときは、明確に聴別し得るものである。また、観念において両商標は比較し得ないのは、上記アと同様である。
したがって、本件商標と引用商標2は、その外観、称呼及び観念を総合的に考察しても、相紛れるおそれがない非類似の商標といえる。
ウ 本件商標と引用商標3
引用商標3は、上記(2)ウのとおり、引用商標1の構成文字と同じ「IN-N-OUT」の文字に、その指定商品を指称する「BURGER」の文字を加えた点において、上記イと同様であり、それに矢印状の図形を更に加えたといえるものである。そして、本件商標と引用商標3とは、上記イのほかに、外観上、図形の有無が差異として加わったものであるから、本件商標と引用商標3とは、上記イと同様に、相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
(4)小括
本件商標と引用商標とは、上記(3)のとおり、その外観、称呼及び観念を総合的に考察しても、相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものであるから、たとえ、両商標の指定商品が同一又は類似のものであったとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、その外観、称呼及び観念を総合的に考察しても、相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものであり、しかも、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、上記1のとおり、わが国の取引者、需要者の間で、請求人の商品又は役務を表示するものとして、広く認識されていたということができないものであるから、たとえ、本件商標をその指定商品に使用しても、請求人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれはないものといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
4 商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、その外観、称呼及び観念を総合的に考察しても、相紛れるおそれのない非類似の商標といえるものであり、しかも、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、上記1のとおり、請求人のハンバーガーショップが多くあるカリフォルニア州においてある程度知られていることまでは否定しないとしても、わが国又は米国全体の取引者、需要者の間で、請求人の商品又は役務を表示するものとして、広く認識されていたということはできない。
さらに、請求人は、引用商標が米国で広く知られており、本件商標と引用商標とが類似することを前提に、本件商標について、先取り的意図や引用商標の出所表示機能の希釈化が推認されると主張するが、本件商標と引用商標とが非類似であり、引用商標が米国全体で広く知られているといえないことは、上述のとおりであり、その他、請求人は、先取り的意図や希釈化等の不正の目的について、具体的証拠をもって明らかにするところもない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものではない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標3)



審理終結日 2014-07-07 
結審通知日 2014-07-11 
審決日 2014-07-24 
出願番号 商願2011-61862(T2011-61862) 
審決分類 T 1 11・ 262- Y (X30)
T 1 11・ 263- Y (X30)
T 1 11・ 261- Y (X30)
T 1 11・ 222- Y (X30)
T 1 11・ 271- Y (X30)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 土井 敬子
特許庁審判官 林 栄二
高野 和行
登録日 2012-01-27 
登録番号 商標登録第5465978号(T5465978) 
商標の称呼 インアンドアウト 
代理人 塩谷 信 
代理人 飯田 伸行 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 飯田 和彦 
代理人 柏 延之 
代理人 高田 泰彦 
代理人 宇梶 暁貴 
代理人 宮嶋 学 
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