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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z33
管理番号 1294957 
審判番号 不服2001-16078 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2015-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-09-10 
確定日 2003-12-01 
事件の表示 商願2000- 93864拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第33類「テキラ酒,テキラ酒をベースにしたカクテル,テキラ酒入りアルコール性飲料,その他の洋酒,果実酒,日本酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成12年8月25日に立体商標として登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同13年4月16日付け手続補正書により「メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒,メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒入りリキュール,メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒をベースにしたカクテル」と補正されたものである。
2 原査定の理由
原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、本願指定商品を取り扱う業界においては、特にその収納容器に特徴をもたせたものを採択し、販売していることが一般に行われているところであって、この特徴は、商品の機能(使い易さ等)や美感(見た目の美しさ)を効果的に際立たせるための範囲のものというべきであるところ、本願商標は、ビン本体の下方に模様が刻まれてはいても、全体的にその指定商品との関係よりすれば、その商品の収納容器(包装)の形状の一形態を表したものと容易に認識させる立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の形状又は包装容器の一形態を表示してなるものと認識されるものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認めます。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当します。」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり、4つの縦長台形状の面からなる四角柱とその上部に液体を収納する容器特有のキャップを冠した注ぎ口が付されている立体的形状からなるものであり、縦長台形状の一つの表面の下部に、先の尖った12本の植物の葉が扇状に束ねられているように描かれた図形と、該図形の上部に四角と半円状とを結合させた輪郭が描かれており、該輪郭の上部と前記キャップとがテープ状の長方形で留められているものであるところ、前記した立体的形状は、液体等を収納する容器の一形態を表したものと認識されるにすぎないものであり、また、植物様の図形は、指定商品との関係から、メキシコ国ハリスコ州産の蒸留酒の原材料である竜舌蘭を容易に想起させるものである(この点については、請求人も認めるところである。)。また、竜舌蘭の上部に描かれた輪郭は、極めてありふれた形状よりなり、特に看者の注意を惹くものとはいえないものである。
そうすると、本願商標は、容器の立体的形状そのものに、自他商品の識別機能を有しないと認められる図形を施してなるものであり、これをその指定商品について使用しても、構成全体をもって、自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
(2)請求人(出願人)は、「容器の一形態であることをもって、いわゆる立体商標の全てが自他商品識別力を有しないとすることはできず、商品等の機能や美感をより発揮させる特徴付けがされていることから直ちに自他商品の識別力がないことにつながるのか、論理性にかけ、『容器の形状としての一形態』ではあってもその形態に特徴付けがなされていれば、他の容器と区別しやすいものとした印象的な自他商品の識別標識として機能を果たすものである。」旨主張し、甲第1号証ないし同第4号証を提出しているので、以下検討する。
商品の立体的形状は、本来、商品の目的とする機能を効果的に発揮させたり、あるいはその美感を高める等の見地から選択されるものであって、本来的(第一義的)には商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように商品の機能、又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品の形状を表示したものであると認識するにとどまり、このような商品の機能又は美感に由来する形状は、多少特異なものであっても、未だ商品の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
(3)これを本願商標についてみるに、「洋酒」等を取り扱う業界においては、その取り扱う商品が液体であるが故に、ある程度特徴をもたせた形状の容器を採択し、商品「洋酒」を販売している実情にあることは認め得るとしても、本願商標は、前記したとおり、4つの縦長台形の面からなる四角柱とその上部のキャップの立体的形状は、液体を収納する容器そのものの形態であり、たとえ四角柱の四隅が面取りされ、中央がややくぼんだ底広がりの胴部等の形状がとられているとしても、その形状は、その商品(容器)に期待される機能(使いやすさ、持ち易さ等)をより効果的に発揮させるものであるから、液体(洋酒等)を収納する容器の機能等から予測し難いような特異な形状、特徴を備えているものとは認められない。
また、縦長台形状に施された図形は、前記したとおり、自他商品識別力を有しない部分であるといえる。仮に、縦長台形状の一つの表面の下部に、植物様の図形が装飾的図形と理解される場合があるとしても、該図形は、その商品(容器)から得られる美感(見た目の美しさ)をより効果的に際立たせるための範囲内のものというべきものである。
したがって、本願商標は、上記特徴を持たせたことをもって、自他商品の識別機能を有するものとは認めることはできず、商品の形状を普通に用いられる方法で表示する商標のみからなる商標というべきである。
(4)さらに、「請求人は、本願のような商品の包装容器の形状や広告については、商品に付される通常ラベル商標と別個の判断を行うことには理由が無く、同様な審査がなされるものべきである。」と主張しているが、商品等の立体的形状は、その機能・美感の発揮を第一の目的として選択されることが通常であるから、出所を表示することを第一目的として選択され、これに接する需要者もそのように理解するのが一般である平面商標と同一視することはできない。このような立体的形状が第一義的に果たす機能・美感については、制度上、本来、それぞれ特許法・実用新案法・意匠法で一定期間に限り保護が与えられ、その後は何人も自由に使用することが認められるべきものであるから、商標登録して、これに半永久的な保護を与えるには、慎重でなければならないのは当然だからである。
(5)以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定、判断は妥当なものであって取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2003-07-08 
結審通知日 2003-07-11 
審決日 2003-07-23 
出願番号 商願2000-93864(T2000-93864) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Z33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 寺光 幸子 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 井岡 賢一
瀧本 佐代子
代理人 江藤 聡明 

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