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審決分類 |
審判 全部無効 観念類似 無効としない W2930 審判 全部無効 称呼類似 無効としない W2930 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W2930 審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない W2930 審判 全部無効 外観類似 無効としない W2930 |
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管理番号 | 1294888 |
審判番号 | 無効2014-890004 |
総通号数 | 181 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2015-01-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2014-01-30 |
確定日 | 2014-11-25 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5625191号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5625191号商標(以下「本件商標」という。)は、「MCフードスペシャリティーズ」の文字を標準文字で表してなり、平成25年5月8日に登録出願された商願2013-34001に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同年9月20日に登録出願、第29類「乳製品,冷凍野菜,冷凍果実」及び第30類「アイスクリームのもと,シャーベットのもと,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン」を指定商品として、同年10月7日に登録査定、同月25日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が引用する登録商標は、以下の1ないし4に示すとおりであり、これらの商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。 1 登録第819036号の1の2商標(以下「引用商標1」という。) 商 標:別掲1のとおり 登録出願日:昭和42年5月30日 設定登録日:昭和44年5月31日 指定商品 :第29類「加工野菜及び加工果実」(平成21年7月1日に登録された指定商品の書換登録後のもの。) 2 登録第2188713号商標(以下「引用商標2」という。) 商 標:別掲2のとおり 登録出願日:昭和46年4月12日 設定登録日:平成元年11月28日 指定商品 :第29類「肉製品」及び第30類「サンドイッチ,べんとう」(平成21年7月22日に登録された指定商品の書換登録後のもの。) 3 登録第2339747号商標(以下「引用商標3」という。) 商 標:別掲3のとおり 登録出願日:平成元年6月14日 設定登録日:平成3年9月30日 指定商品 : 第1類「人工甘味料」、第29類「食用油脂,乳製品」、第30類「みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖(調味料),砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ(調味料),ごま塩,食塩,すりごま,セロリ-ソルト,化学調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「ビール製造用ホップエキス,乳清飲料」(平成15年4月2日に登録された指定商品の書換登録後のもの。) 4 登録第2691117号商標(以下「引用商標4」という。) 商 標:別掲3のとおり 登録出願日:平成元年6月14日 設定登録日:平成6年8月31日 指定商品 : 第29類「食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと」及び第32類「飲料用野菜ジュース」(平成17年10月12日に登録された指定商品の書換登録後のもの。) なお、上記引用商標1ないし引用商標4をまとめていうときは、以下「引用商標」という。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標 本件商標は、前記第1のとおり、「MCフードスペシャリティーズ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字から生じる称呼は、「エムシーフードスペシャルティーズ」又は「マックフードスペシャルティーズ」であって、14音又は13音という極めて長い称呼であるから、簡易迅速を旨とする通常の取引においては、本件商標は、その構成中、「MC」と「フードスペシャリティーズ」又は「MCフード」と「スペシャリティーズ」の2つの部分に分けて称呼されるものである。 そうすると、上記2つの部分に分けて称呼される場合において、前者のときは、「MC」の部分から「エムシー」又は「マック」の称呼を生じ、また、後者のときは、本件商標の指定商品である食品に関連する分野では「フード」の語が単に食品を意味する普通名称であることから、「MCフード」の要部は「MC」となり、これより「エムシー」又は「マック」の称呼を生じる。 (2)請求人を含めたマクドナルドグループのビジネス及びその商品を表す「マクドナルド」及び「マック」の商標及び称呼は、いずれもマクドナルドの商品及び役務を意味するものとして、日本において周知、著名となっている。 また、請求人は、日本において、引用商標に加え、「MC」、「Mc」、「MAC」、「Mac」、「マック」等の文字を要部とする多数の商標登録を得ている。 (3)本件商標は、上記(1)のとおり、その構成中の要部である「MC」の部分から「マック」の称呼も生じるものであり、また、本件商標の指定商品のうち、第29類の指定商品は、引用商標の指定商品と抵触している。 したがって、本件商標は、引用商標と称呼及び外観において類似するものであり、かつ、本件商標の指定商品中、第29類の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似するものであるから、本件商標は、該指定商品の範囲においては、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について 請求人は、引用商標に加え、語頭部に「Mc」、「MAC」、「Mac」、「マック」等の語を有する多数の商標登録を有しており(以下、これらの商標及び引用商標をまとめて「マック・ファミリー商標」という。)、マクドナルドがそのビジネスの遂行に関して多数のマック・ファミリー商標を使用していることは、周知、著名となっている。 また、上記マック・ファミリー商標は、「マクドナルド」及びそれを短縮した「マック」の商標の著名性とあいまって、マクドナルドの商品及び業務に使用される商標を意味するものとして、需要者の間において広く知られている。 他方、本件商標は、「MC」をその語頭部に有しており、その後部に「フードスペシャリティーズ」が配置されているところ、「フードスペシャリティーズ」は、「特別な食品」あるいは「専門の食品」という意味を有する言葉であって、それ自体は識別力を有しないか又は識別力の極めて弱い言葉であるため、本件商標は、需要者間において、マック・ファミリー商標の一部であるとの誤認を生じさせるおそれの極めて強いものである。 したがって、本件商標は、その指定商品のうち、マック・ファミリー商標が使用されている第29類の指定商品との関係においては、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであり、同じく、そのすべての指定商品との関係においては、同法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであり、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第34号証を提出した。 1 商標法第4条第1項第11号について (1)本件商標の構成中の「MC」の欧文字部分から生じる称呼 ア 請求人は、本件商標の構成中の「MC」の欧文字部分から「エムシー」又は「マック」の称呼を生ずると主張しているが、その根拠について、何ら説明も立証もしていない。 本件商標の構成中の「MC」の欧文字部分のように欧文字の大文字2字からなる言葉は、例えば、「PC」(Personal Computer=パーソナルコンピュータ)、「CD」(Compact Disc=コンパクトディスク)、「IT」(Information Technology=情報技術)、「JR」(Japan Railwayに由来)など、日常において多数存在し、一定の言葉の略語として、それぞれ「PC」は「ピーシー」、「CD」は「シーディー」、「IT」は「アイティー」と、アルファベット読みされるのが通常である。 したがって、本件商標の構成中の「MC」という大文字2字は、「エムシー」と読むとみるのが自然である。 イ 被請求人は、「商標出願・登録情報検索」(IPDL)を用いて、飲食料品あるいは飲食物の提供の分野において登録された「MC」商標を検索した結果、複数の登録商標(乙3ないし乙9)を確認したところ、これらには、特殊事情があると推測されるものを除き、いずれも「エムシー」又は「エムシイ」の称呼が付されていることから、大文字で表記されている「MC」の欧文字からは「エムシー」の称呼のみを生ずることは明白である。 さらに、被請求人は、IPDLを用いて、商品分野を問わずに、大文字で表記される「MC」の欧文字の後に仮名文字が位置する商標を検索したところ、いずれの登録商標についても、大文字で表記されている「MC」の欧文字部分には「エムシー」又は「エムシイ」の称呼のみが付されており、「マック」の称呼が付されているものは確認できなかった。 ウ 請求人が提出した本件商標に係るIPDLの結果(甲1)によれば、本件商標の構成中の「MC」の欧文字部分は、明らかに「エムシイ」の称呼を生ずるものである。 また、被請求人は、平成25年6月10日付けプレスリリース(乙21)をもって、平成26年1月1日に、商号を「キリン協和フーズ株式会社」から「MCフードスペシャリティーズ株式会社」へ変更する旨発表しているところ、その際に、新商号の「MC」の文字部分に「エムシー」の振り仮名が付されていることから、被請求人において、自らの商号を「エムシーフードスペシャリティーズカブシキカイシャ」と読ませる意図を有していることは明白であり、さらに、乙第22号証ないし乙第29号証に示す名簿等における掲載順によれば、被請求人の商号が、第三者によっても、正しく「エムシーフードスペシャリティーズカブシキカイシャ」と読まれていることは明らかである。 そして、本件商標は、被請求人の商号である「MCフードスペシャリティーズ株式会社」のうち、法人の種類を意味する「株式会社」の部分を省略したものであるから、その構成全体として、「エムシーフードスペシャリティーズ」の称呼を生じるものである。 エ 「マック」と称呼される英単語は、スコットランド又はアイルランド系の人名の前について「son of」の意を表す接頭語の「Mac-」であり、この接頭語を略記するときは、「Mc-」、「Mc」(「c」の文字部分は、いわゆる上付き文字で表されている。)、「M’-」又は「M‘-」とされている(乙30)。 そうすると、接頭語「Mac-」を略す場合、2字とも大文字で表記される「MC」として表記することはない。 なお、「MCBook」という商標につき、その構成中の「MC」の文字部分からは「エムシイ」の称呼を生ずると認定した異議決定がある(乙32)。 オ 上記アないしエにおいて述べたとおり、本件商標の構成中の「MC」の欧文字部分は、2文字とも大文字で表記されているため、常に「エムシー」と称呼されるものであって、「マック」の称呼を生じることはあり得ない。 なお、請求人は、本件商標が「MCフード」と「スペシャリティーズ」に分離された場合、前者の要部は「MC」となり、「エムシー」又は「マック」の称呼を生じる旨主張するが、請求人が提出した本件商標に係るIPDLの結果(甲1)には、「エムシイ」又は「エムシー」の称呼は記載されていない。 (2)本件商標と引用商標との類否 ア 本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否 本件商標は、その構成全体から「エムシーフードスペシャリティーズ」の称呼を生じるものであり、また、甲第1号証によれば、「フードスペシャリティーズ」又は「スペシャリティーズ」の称呼をも生じるものである。 他方、引用商標1及び引用商標2は、それぞれ別掲1及び別掲2に示すとおりの構成からなり、いずれからも「マック」の称呼を生じるものである。 そして、本件商標から生じ得る「エムシーフードスペシャリティーズ」、「フードスペシャリティーズ」又は「スペシャリティーズ」の称呼と引用商標1及び引用商標2から生じる「マック」の称呼とを比較するに、両称呼は、何ら共通点がなく、称呼上、彼此相紛れるおそれがないことは明白である。 また、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、外観において、その構成文字や構成文字数の相違等により、明確に相違するものであり、さらに、観念においても同様である。 したがって、指定商品の類否を論ずるまでもなく、本件商標は、引用商標1及び引用商標2とは、明らかに非類似の商標である。 イ 本件商標と引用商標3及び引用商標4との類否 引用商標3及び引用商標4は、別掲3に示すとおり、いずれも図形化した「M」の文字の右横に「c」の欧文字を配してなるものであるところ、上記(1)イにおいて言及した「MC」図形からなる登録商標のうち、商標登録第4423535号(乙4)に係る第29類及び第30類の指定商品並びに同第5419247号(乙8)に係る第3類及び第29類の指定商品は、引用商標3及び引用商標4に係る指定商品と類似関係にあり、また、同第5162763号(乙6)に係る第32類の指定商品も、引用商標3に係る指定商品と類似関係にある。 しかしながら、引用商標3及び引用商標4を含む上記各登録商標が併存している理由は、これらが「MC」、「Mc」又は「mc」の文字的要素を共通にするとはいえ、いずれも図案化されており、その図形的要素が相紛れるおそれのない非類似のものであるゆえにほかならない。 言い換えれば、引用商標3及び引用商標4は、いずれも図案化された「M」の欧文字部分に特徴を有する図形商標としてみるべきものであるから、図形化されていない標準文字で表されている本件商標の構成中の「MC」の欧文字部分には、その類似範囲が及ばないことは明白である。 (3)小括 上記のとおり、本件商標は、引用商標1ないし引用商標4のいずれとも非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。 2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について (1)請求人は、本件商標の構成中の「フードスペシャリティーズ」の文字部分が「特別な食品」あるいは「専門の食品」という意味を有するものであって、識別力を有しないか又は識別力が弱い旨主張するが、その根拠について、何ら説明も立証もしていない。 「スペシャリティーズ」の語は、「特色、特性、特別事項、専門専攻、名産、自慢の品」等の様々な意味を有する英単語「specialty」の複数形に相当するものであるため、これを「フード」の語と組み合わせた場合においても、様々な意味合いを生じることになるところ、そのいずれの意味合いも、本件商標の指定商品との関係において、直ちに具体的な商品の品質を記述するものではない。 したがって、請求人による上記主張は、明らかに失当である。 (2)請求人は、「マック・ファミリー商標」なるものが周知であることを何ら立証していないが、これが周知であるか否かに関わらず、本件商標から「マック」の称呼が生じる余地はないので、本件商標が「マック・ファミリー商標」なるものと誤認混同を生ずるおそれは皆無である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号のいずれにも該当しない。 (3)被請求人は、三菱商事株式会社のグループ企業の一つであり(乙34)、その証として、同社の英語表記「Mitsubishi Corporation」の頭文字である「MC」の欧文字を社名に冠している。本件商標の構成中の「MC」の文字は、上記頭文字である。 三菱商事株式会社は、長い歴史を有し、約90か国に200を超える拠点と600社を超える連結対象会社を有する総合商社であり、その企業集団が様々な業種に及んでいることは周知のとおりであることから、本件商標の構成中の「MC」の欧文字部分から何らかの意味合いが想起、連想されるとすれば、それは、マクドナルドではなく、むしろ三菱商事グループである。 したがって、この点からも、本件商標は、「マック・ファミリー商標」の一部であるかのように誤認されることはなく、それと出所の混同を生ずるおそれはない。 (4)請求人の主たる業務は、独自の店舗において、一般消費者にハンバーガー等のいわゆるファーストフードを販売又は提供するフランチャイズ事業の運営であり、請求人の商標を使用する商品及び役務の販売及び提供先は、個人たる一般消費者であって、販売場所も請求人が展開する独自の店舗内である。 これに対して、被請求人の主たる業務は、一般消費者への商品及び役務の販売及び提供ではなく、食品製造業者等の企業に対して、食品製造に必要な調味料又は各種食品素材等を提供する企業間取引となっている(乙34)。 したがって、実際の取引過程において、被請求人の商品と請求人の商品との間で需要者が一致することはなく、よって、この点からも、本件商標は、請求人の業務に係る商標と出所の混同を生ずるおそれは皆無といえる。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しないものであり、また、本件商標は、「マック・ファミリー商標」と出所の混同を生ずるおそれがないものであるから、同項第10号及び同項第15号にも該当しないものである。 第5 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、前記第1のとおり、「MCフードスペシャリティーズ」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、同じ書体及び大きさをもって、等間隔に表されているものであって、視覚上、まとまりよく一体的に看取、把握し得るものであり、また、その構成全体から生じる「エムシーフードスペシャリティーズ」の称呼も、格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼できるものである。 そして、本件商標の構成中、「フード」の片仮名は、「食品、食物」の意味を有する外来語(「広辞苑」(第六版)(株式会社岩波書店発行))、同じく、「スペシャリティーズ」の片仮名は、「特殊性、特質、専門」等の意味を有する英語「specialty」の複数形である「specialties」に基づく外来語を表したもの(「<コンパクト版>小学館 プログレッシブ英和中辞典」(第2版)(株式会社小学館発行)及び「広辞苑」(第六版)(株式会社岩波書店発行))と認められる一方、本件商標の構成中の「MC」の欧文字は、略語等としての多様な用例があることから、特定の意味を有する語とはいい難い。 してみれば、本件商標は、その構成全体に相応して、「エムシーフードスペシャリティーズ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じることのないものである。 (2)引用商標 ア 引用商標1 引用商標1は、別掲1のとおり、同じ書体及び大きさで「マツク」と横書きしてなるものところ、該文字は、辞書類に載録された成語とは認められず、また、特定の意味合いを想起させる語として一般に広く知られたものとも認められない。 したがって、引用商標1は、「マツク」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。 イ 引用商標2 引用商標2は、別掲2のとおり、「マック」の片仮名と「Mac」の欧文字とを上下二段に表してなるところ、該各文字の構成及び配置に照らせば、上段の片仮名部分は、下段の欧文字部分の読みを表したものとして看取、理解され得るものである。 そして、引用商標2の構成中、「Mac」の欧文字は、英語の男性名を表す語、スコットランド又はアイルランド系の人名(姓)の前に付いて「son of」の意味を表す語のほか、略語等としても用いられるもの(乙31)であることからすれば、特定の意味を有する語とはいい難い。 してみれば、引用商標2は、「マック」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。 ウ 引用商標3及び引用商標4 引用商標3及び引用商標4は、別掲3のとおり、大きく顕著に表してなるロゴ化された「M」の欧文字と、その右下方に、該欧文字の略4分の1の大きさで、かつ、サンセリフ(san serif)の書体で表された「c」の欧文字を配してなるところ、その構成中、ロゴ化された「M」の欧文字部分は、請求人及びそのグループ企業が、長年にわたり、我が国を含む各国において、自己の業務に係る商品及び役務について使用している商標と同一のものといえる。 また、請求人は、我が国において、例えば、「McBUGER」、「McSHAKE」、「McLUNCH」、「McCAFE」の各登録商標を所有しているところ、これらの商標に係る商品又は役務の取引に際し、「マックバーガー」、「マックシェイク」、「マックランチ」、「マックカフェ」と称呼している。 これらを踏まえれば、引用商標3及び引用商標4は、「エムシー」の称呼を生じるほか、「マック」の称呼をも生じ、「(請求人及びそのグループ企業としての)マクドナルド並びにその商品及び役務」程の観念を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否 本件商標と引用商標とは、それぞれ上記(1)及び(2)のとおりの構成態様からなるところ、両商標は、外観上、明らかな差異を有するものであり、明確に区別できるものである。 また、本件商標から生じる「エムシーフードスペシャリティーズ」の称呼と引用商標から生じる「マツク」、「マック」又は「エムシー」の称呼とは、その音構成及び構成音数が明らかに相違するものであるから、両商標は、称呼上、明確に区別できるものである。 さらに、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、いずれも特定の観念を生じることのないものであるから、観念上、類似することはなく、また、本件商標と引用商標3及び引用商標4とは、前者が特定の観念を生じることのないものであるのに対し、後者は「(請求人及びそのグループ企業としての)マクドナルド並びにその商品及び役務」程の観念を生じるものであるから、観念上、互いに紛れるおそれはない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について 本件商標と引用商標とは、たとえ、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品及び役務を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、上記1のとおり、非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、その他、請求人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標をその指定商品又は指定役務について使用した場合、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせない。 そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が請求人の商標を想起、連想することはないというのが相当であるから、本件商標は、請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号に違反してされたものとは認められないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 1 引用商標1(登録第819036号の1の2商標) 2 引用商標2(登録第2188713号商標) 3 引用商標3及び引用商標4(登録第2339747号商標及び登録第2691117号商標) |
審理終結日 | 2014-07-01 |
結審通知日 | 2014-07-03 |
審決日 | 2014-07-15 |
出願番号 | 商願2013-73539(T2013-73539) |
審決分類 |
T
1
11・
22-
Y
(W2930)
T 1 11・ 271- Y (W2930) T 1 11・ 262- Y (W2930) T 1 11・ 261- Y (W2930) T 1 11・ 263- Y (W2930) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 内田 直樹、齋藤 貴博、北口 雄基 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 井出 英一郎 |
登録日 | 2013-10-25 |
登録番号 | 商標登録第5625191号(T5625191) |
商標の称呼 | エムシイフードスペシャリティーズ、フードスペシャリティーズ、スペシャリティーズ |
代理人 | 村田 実 |
代理人 | 又市 義男 |
代理人 | 神林 恵美子 |