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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1293847 
異議申立番号 異議2014-900057 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-12-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-02-24 
確定日 2014-10-30 
異議申立件数
事件の表示 登録第5632401号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5632401号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5632401号商標(以下「本件商標」という。)は、「命の源」の文字を標準文字で表してなり、平成25年2月20日に登録出願され、第5類「薬剤,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品,栄養補助用飼料添加物(薬剤に属するものを除く。)」を指定商品として、同年11月5日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「SOURCE OF LIFE」の商標を、第5類「医療用に用いられるビタミン・ミネラル、栄養剤」について、ベネルクス、カナダ、中国、台湾、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、国際登録、イタリア、レバノン、ノルウェー、ペルー、フィリピン、スウェーデン、イギリス、米国で登録している(甲2)(以下「引用商標」という。)。なお、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンについては、登録証の添付はない。

3 申立ての理由の要点
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証を提示した。
(1)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標が、医療用ビタミン(剤)、栄養剤との関係において、申立人の商品を表示する商標として、日本及び諸外国において広く知られている商標であることは周知の事実である。申立人は1970年代の前半から、1200種類以上もの自然由来のビタミン剤の製造・販売をグローバルな市場において展開し(甲3)、2001年から2010年までの売上は、200ミリオン米ドルに達するまでに急成長している。また、この成長は商品の品質が極めて良質であったことに起因するものであるが、申立人のグローバル市場においてたゆまぬプロモーション活動を行ったことにも起因する(甲4?甲8)。
イ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標の「命の源」は、引用商標「SOURCE OF LIFE」の直訳であり、両者は観念同一の商標である。
不正の目的について
本件商標権者は、申立人と同じ商品の製造販売を行う者であり、引用商標が日本及び諸外国において広く知られている商標であることを当然知っているものと考えるのが自然である。そして、商標権者は、日本国内で申立人が本件商標を取得していないことを奇かとして、申立人が40年以上前から築き上げてきた信用にただ乗りしようとする「不正の目的」があったものと推認される。さらに、2006年に東京で申立人・商標権者の取り扱いにかかる商品の世界博覧会である「Natural Products Expo」が開催されている事実があり、そこにおいて、申立人が自己の商品を盛大に展示・宣伝・広告したため、やはり商標権者の不正の目的が容易に推認される。
エ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、申立人が40年以上前から築き上げてきた信用にただ乗りしようとする「不正の目的」をその初期から有する登録である。このような信義則に反する登録の存続を維持させることは、商標法本来の趣旨に反し、より具体的には商標法第4条第1項第7号に反することは明白である。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に該当するから、その登録は取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 引用商標の周知性について
(ア)申立人は、1970年代の前半から、1200種類以上もの自然由来のビタミン剤の製造・販売をグローバルな市場において展開し、2001年から2010年までの売上は、200ミリオン米ドルに達するまでに急成長している(甲3)と主張するが、申立人の提出した甲各号証からは、各事実は確認できない。
仮に、売上高が請求人の主張のとおりであるとしても、これと比較すべき同業他社の売上実績や請求人の市場占有率などが示されていないばかりでなく、甲第5号証の「EXPORT ORDER FORM/Nature’s Plus The Energy Supplements」には、引用商標の製品を示す「SOURCE OF LIFE」のほかに「DYNO-MINS」、「The SPIRU-TEIN」及び「FRUITEIN」などの表示が多数掲載されていることからすれば、前記申立人の売上高中には引用商標を付した商品以外の商品が含まれている可能性が高く、前記申立人の売上高がどの程度引用商標の周知性獲得に貢献しているかは明らかでない。
(イ)甲第3号証は、申立人のウェブサイトであり、同サイトには引用商標を付した申立人の製品が多数掲載されているが、各製品の掲載日は不明であり、その打出し日は本件商標の登録出願日及び登録査定日以後である2013年11月11日又は2014年4月7日になされたものであるから、商標の使用の事実を証する書類としては適当でない。
(ウ)甲第4号証は、引用商標を付した申立人の製品が掲載されている広告用ポスターであるが、これらポスターの掲載方法、掲載時期、掲載場所、掲載数量などは明らかでない。
(エ)甲第6号証は、バナー広告デザインであり、引用商標や商品写真が掲載されているが、その掲載メディア、掲載期間、掲載方法など運用状況は明らかでない。
(オ)甲第7号証ないし甲第9号証は、米国、オランダ(2006年)、シンガポール(2007年ないし2010年)、ノルウェー(2007年)、インドネシア(2009年)、ギリシャ(2009年ないし2011年)、スペイン(2010年)、アラブ首長国連邦(2010年)、クロアチア(2010年)、アイスランド(2011年)、韓国(2011年)及びベトナム(2012年)におけるパンフレット又は雑誌掲載による申立人製品の広告であるが、引用商標の掲載が確認できるものも含まれているものの、多数の広告において引用商標の掲載を確認することができない。
(カ)甲第10号証は、「Natural Products Expo in Tokyo,Japan in 2006」に関する資料であり、申立人は、2006年に東京で開催された同展示会において、専用ブースを設けて引用商標を付した商品を展示したと推認できるものの、具体的な宣伝、広告の内容等は明らかでない。
(キ)以上によれば、甲各号証によっては、申立人は、我が国において、引用商標を付した商品を2006年の展示会において展示したことは推認できるものの、それ以外に引用商標の使用をしていることは認められないものであるから、引用商標が登録出願時又は登録査定時に我が国において周知・著名性を獲得していたと認めることはできない。
また、甲各号証によっては、米国を含む諸外国において、引用商標を使用した「マルチビタミン及びミネラルサプリメント」の売上高、販売数量、販売地域などの販売実績や広告宣伝の広告期間、広告媒体、広告の回数・数量などが明らかでないから、引用商標が登録出願時又は登録査定時に外国において周知・著名性を獲得していたと認めることはできない。
イ 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「命の源」の文字を標準文字で表してなるところ、該構成文字に相応して「イノチノミナモト」の称呼を生じ、「命の源」の観念を生じるものである。
(イ)引用商標について
引用商標は、前記2のとおり、「SOURCE OF LIFE」の欧文字からなり、第5類「医療用に用いられるビタミン・ミネラル、栄養剤」等について、ベネルクス、カナダ、中国、台湾、米国等で登録されているものであるところ、その構成中「SOURCE」の文字が「みなもと、源泉」などの意味、「OF」の文字が「・・・の」の意味、「LIFE」の文字が「生命、生活、活力」などの意味を有する英語として我が国において広く知られた語であることからすると、該構成文字に相応して「ソースオブライフ」の称呼を生じ、「命の源」、「生活の源」、「活力の源」などの意味合いを想起させるものである。
(ウ)本件商標と引用商標との対比
本件商標の外観と引用商標の外観とを比較すると、両者は、構成文字が全く相違するから、外観において互いに紛れるおそれはない。
次に、本件商標から生ずる「イノチノミナモト」の称呼と引用商標から生じる「ソースオブライフ」の称呼とを比較すると、両者は、構成音が全く相違するから、称呼において互いに紛れるおそれはない。
さらに、本件商標から生じる「命の源」の観念と引用商標から想起される意味合い「命の源、生活の源、活力の源」などとを比較すると、両者は、「命の源」の観念においては、共通するものであるが、引用商標からは他の意味合いをも想起できるものであるから、両者は観念上常に相紛らわしいものということはできない。
そうすると、本件商標は、引用商標とは、観念において類似する場合があるとしても、外観及び称呼において全く相違するものであるから、これらの外観、称呼及び観念を総合して考察すると、これをその指定商品に使用しても、取引者、需要者をして、申立人の取扱いに係る商品と商品の出所の混同を生じさせるおそれはなく、非類似の商標というのが相当である。
不正目的について
本件商標は、上述したとおり、引用商標が我が国及び外国において、周知・著名性を有するとはいえないものであり、また、引用商標とは、非類似の商標であるから、商標権者が引用商標の信用にただ乗りしようとする「不正の目的」があったと推認することはできない。
エ 小括
以上のことから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するというとはできない。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標は申立人が40年以上前から築き上げてきた信用にただ乗りしようとする「不正の目的」を有する登録で信義則に反するものである旨主張している。
しかしながら、引用商標は、上記イのとおり、医療用に用いられるビタミン・ミネラル、栄養剤の分野において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間で広く認識されているということはできないものであり、しかも、本件商標と引用商標とは、上記ウのとおり、相紛れるおそれがない非類似の商標であるから、本件商標をその指定商品について使用しても、取引者、需要者が引用商標や申立人を想起するとはいうことができないものである。
さらに、本件商標は、その構成文字自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではないし、他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。また、本件商標をその指定商品に使用することが、社会一般の道徳観念に反し、公正な取引秩序を乱すものともいえないし、国際信義に反するものということもできない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当するということはできない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-10-20 
出願番号 商願2013-11480(T2013-11480) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W05)
T 1 651・ 22- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 土井 敬子
原田 信彦
登録日 2013-11-22 
登録番号 商標登録第5632401号(T5632401) 
権利者 株式会社 ナカムラ企画
商標の称呼 イノチノミナモト 
代理人 上原 空也 
代理人 竹中 一宣 
代理人 村橋 史雄 

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