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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20139242 審決 商標
不服20146330 審決 商標
不服201413821 審決 商標
不服20141568 審決 商標
不服20143800 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W141825
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W141825
管理番号 1293777 
審判番号 不服2013-15790 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-08-15 
確定日 2014-10-31 
事件の表示 商願2012- 71184拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「松阪牛革」の文字を標準文字で表してなり、第14類、18類及び第25類に属する願書に記載されたとおりの商品を指定商品として、平成24年9月3日に登録出願され、その後指定商品については、当審における同26年5月23日付けの手続補正書により第14類「松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製キーホルダー,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製記念たて,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製身飾品,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製時計バンド」、第18類「松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製包装用容器,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製かばん類,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製袋物,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革」及び第25類「松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製コート,その他の松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製被服,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製バンド,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製ベルト,松阪地域で肥育された牛の革を使用した皮革製靴」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『松阪牛革』の文字を書してなるところ、その構成文字から容易に『松阪牛の革を使用した商品』を認識させるものであって、本願の指定商品との関係において、商品の品質を表示したものと認識されるものであるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。したがって、本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し、『松阪牛の革を使用しない商品』に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審における手続の経緯
(1)平成26年2月12日付け拒絶理由通知(要旨)
審判長は、「本願の指定商品は、その内容及び範囲を明確に指定したものとはいえない。商標法第6条第1項の要件を具備しない。」旨通知した。
これに対し、請求人は、同年5月23日付け手続補正書により、指定商品を上記1のとおり補正した結果、この拒絶の理由は解消した。
(2)平成26年2月12日付け審尋(要旨)
審判長は、追加の証拠を提示し、「本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、提出された証拠からは、請求人は、本願商標を使用しているとは認めることができないことから、本願商標は、商標法第3条第2項に該当するとはいえない。」旨の審尋を発した。
これに対し、請求人は、同年5月23日付けの意見書により、「本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることできるに至ったものである。」旨主張し、同年7月1日付け手続補正書により、証拠を追加提出した。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、「松阪牛革」の文字を標準文字で表してなるところ、牛には、肥育された地域の名称を冠した「○○牛」(○○は地名。)と称するものが多数存在し、また、これらの牛の革が「○○牛革」(○○は地名。)と称され、各種の革製品に使用されていることが認められる(当審における審尋で提示した証拠 別掲)。
これらの事実からすれば、「松阪牛革」の文字は、「松阪地域で肥育された牛の革」であることを表示するものとして、取引者、需要者に認識されるとみるのが相当である。
そして、本願の指定商品は、いずれも「松阪地域で肥育された牛の革」を使用した皮革及び皮製品である。
そうとすると、「松阪牛革」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、本願商標を「松阪地域で肥育された牛の革」であるという商品の産地、品質又は原材料を表示したものと認識するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(2)商標法第3条第2項について
ア 請求人は、本願商標「松阪牛革」は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであるから、本願商標は、商標法第3条第2項により登録を受けることができる旨主張し、証拠方法として、資料3ないし資料9(枝番号を含む。)を提出している。
ところで、出願に係る商標が、商標法第3条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、商標の使用開始時期、使用期間及び使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願に係る商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、出願に係る商標及びその指定商品は,原則として使用に係る商標及び商品と同一であることを要するものというべきである。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて、請求人の提出した証拠及び主張を検討する。
(ア)請求人(株式会社三重県松阪食肉公社)は、三重県、農畜産業振興機構及び中南勢地域内7市10町並びに3農協連、10農協及び食肉関係業界13団体の45事業体で構成され、松阪地域で肥育された牛(いわゆる「松阪牛」)の個体識別管理を行う株式会社であるところ、請求人は、2005年に、株式会社バンビと共同して、松阪地域で肥育され、請求人が個体識別管理などを行う牛の革を使用した時計バンド「SATOLI(さとり)」の販売を開始した(資料3、4、5、8)。
そして、平成17年5月25日付けの伊勢新聞、DIME(5/19 2005)によれば、松阪地域で肥育された牛の皮を使った時計バンドが「SATOLI」として販売されていること、そのベルトに「MATSUSAKA LEATHER」の文字と個体識別番号が表示されていることが確認できる(資料5)。
(イ)資料9-2は、「松阪まるよし」の「松阪牛 牛革(レザー)」と題するウェブページであるところ、そのページのトップの位置に掲載された写真には、「SATOLI」の文字が大きく顕著に表され、その文字の上に「艶と風格の松阪牛レザー小物」と記載され、これらの文字の右側に、4個の革製品と包装用の箱が表示されている。そして、その革製品の包装用の箱には、デザイン化された「さとり」の文字と「SATOLI」の文字を上下二段に表し、その下に小さく「MATSUSAKA LEATHER BY BAMBI」の文字が表示されていることが確認できる。
(ウ)資料9-3は、「宝生堂」のウェブページであるところ、これには、「松阪牛のレザーを使用した使い込むほどに味が出る『SATOLI』」の表題と、その下に6個の革製品が写された写真が表示され、同写真中の右上にデザイン化された「さとり」の文字と「SATOLI」の文字を上下二段に表し、その下に小さく「MATSUSAKA LEATHER BY BAMBI」の文字が表示されている。
(エ)資料9-4は、「ジュエリー、宝石と時計の専門店内山」の「松阪牛革の時計バンド、さとり/悟」との表題のあるウェブページには、デザイン化された「さとり」の文字、「MATSUSAKA/LEATHER」、「究極の素材『松阪牛革』を使用した高級時計バンド」等の文字とともに、時計バンドの写真が表示されている。
(オ)資料9-5は、「シチズン」のウェブページであるところ、「付属品のカーフバンドは松阪牛革を使用」の文字とともに、時計バンドの写真が表示されている。
イ 前記アのとおり、請求人は、2005年に、株式会社バンビと共同して、松阪地域で肥育され、請求人が個体識別管理を行う牛の革を使用した時計バンドの販売を開始し、その後、時計バンドに加え、同素材を使用した財布及び名刺入れ(以下「使用商品」という。)を販売していること、そして、請求人は、使用商品のウェブページにおける広告や包装用の箱に「SATOLI」又はデザイン化された「さとり」の文字を商標として使用していることが認められる。
しかしながら、使用商品についての「松阪牛革」の文字の使用をみると、そのほとんどが単に商品の原材料を表示又は説明する語として使用されているにすぎないものである。
そして、そのうちの資料9-2「松阪まるよし」のウェブページに、「松阪牛革SATOLI ラウンドファスナー(長財布)」として紹介されているものがあるが、これには、その直下に【素材】「松阪牛革」と表示され、かつ、該ウェブページの冒頭には、「SATOLI」と大きな文字で表示されていることから、「松阪牛革SATOLI」の表示に接する需要者は、これから「SATOLI」の部分を抽出し、商標として認識することはあるとしても、「松阪牛革」の部分のみを商標として認識するとはいい難い。
よって、請求人は、出願に係る商標と同一の商標を使用商品に使用しているということはできない。
また、仮に、使用商品について、出願に係る商標と同一の商標を使用していることが認められるとしても、使用商品は本願の指定商品の一部であって、出願に係る指定商品と使用に係る商品が同一であるということもできない。
そうすると、本願商標は、その指定商品に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 「日本の銘柄牛(和牛)」のウェブサイトにおいて、都道府県ごとに、地域の名称を冠した「○○牛」(○○は地名。)が多数掲載されている事実。
(http://www.penguin-toyu.net/otoriyose/wagyu.html)
2 牛の革が「○○牛革」(○○は地名。)と称され、各種の革製品に使用されている事実。
(1)「靴屋さんの日記」のウェブサイトにおいて、「なんじょだべ?オーガニックな暮らしを楽しむ靴。」の見出しの下、「他にも山形牛革を使用した靴も入荷しております」の記載とともに靴の写真が掲載されている。
(http://ameblo.jp/ms-foot/day-20140121.html)
(2)「HIDA Calf」のウェブサイトにおいて、「おすすめ商品情報」の見出しの下、「【本革】飛騨牛革ランドセル」、「【本革】飛騨牛革牛置物」、「【本革】飛騨牛革折財布」、「【本革】飛騨牛革長財布」、「本革ストラップ-飛騨牛革ネックストラップ」、「【本革】飛騨牛革システム手帳」、「【本革】飛騨牛革名刺入れ」及び「本革ベルト【飛騨牛革】」の記載とともに商品の写真が掲載されている。
(http://takayamakasei.com/)
(3)「道の駅村岡ファームガーデン」のウェブサイトにおいて、「但馬牛革ブランド始まります!!。」の見出しの下、「但馬牛と言えば神戸牛・松坂牛など名だたるブランド牛の素牛として、食用牛肉の母と言えると思いますがこの度その但馬牛を使った革製品が販売される事になりました。」及び「こちらは出来たてホヤホヤのキーホルダーです。」の記載とともにキーホルダーの写真が掲載されている。
(http://yaplog.jp/farm-garden/archive/582)
(4)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「RENA(レナ)国内牛革製(佐賀牛革)ソフトオイルレザー ワンショルダーボディバッグ(FB-016)ダークブラウン【豊岡製】」の見出しの下、「素材:国内牛革(佐賀牛革)」の記載とともにバッグの写真が掲載されている。
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0042VGUZ2/amanatu-22/ref=nosim)
(5)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「RENA(レナ)〔国産オイルレザー〕ラウンドファスナー長財布 ブラック FB-0072」の見出しの下、「素材:佐賀牛革」の記載とともに長財布の写真が掲載されている。
(http://www.amazon.co.jp/RENA-レナ-RENA-〔国産オイルレザー〕ラウンドファスナー長財布-ブラック-FB-0072/dp/B002OUPCLG)
(6)「楽天市場」の「Cross web shop」のウェブサイトにおいて、「沖縄のレザーブランドColorが手がけたストラップ。石垣牛革のやさしさと手づくりのぬくもりを。」の記載とともにストラップの写真が掲載されている。
(http://item.rakuten.co.jp/cross-web/4571341441617/)
(7)「やいまねっと」のウェブサイトにおいて、「leather & knife CUERO」の見出しの下、「石垣牛革商品:5,500円?」の記載とともに財布の写真が掲載されている。
(http://jaima.net/modules/mxdirectory/singlelink.php?cid=106&lid=809)

審理終結日 2014-08-27 
結審通知日 2014-09-02 
審決日 2014-09-19 
出願番号 商願2012-71184(T2012-71184) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (W141825)
T 1 8・ 13- Z (W141825)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 晃弘 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 千葉 麻里子
大森 健司
商標の称呼 マツザカウシガワ、マツザカギューガワ、マツザカギューカク、マツサカウシガワ、マツサカギューガワ、マツサカギューカク、マツサカウシ、マツサカギュー、マツサカカワ 
代理人 岩田 敏 

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