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審決分類 審判 査定不服 商標の周知 登録しない X3543
審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない X3543
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X3543
審判 査定不服 観念類似 登録しない X3543
審判 査定不服 外観類似 登録しない X3543
管理番号 1293657 
審判番号 不服2012-21455 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-12 
確定日 2014-10-30 
事件の表示 商願2011-65670拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「三代目月見軒」の文字を標準文字で表してなり,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「ラーメン,餃子,チャーハンを主とする飲食物の提供」を指定役務として,平成23年8月31日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(概要)
原査定は,「本願商標は,『有限会社月フーズ』が,商品『スープ付き中華そばのめん』,役務『中華そばを主とする飲食物の提供』に使用し,本願商標の登録出願前から取引者,需要者間に広く認識されている商標『三代目月見軒』と同一又は類似であり,かつ,前記商品・役務と同一又は類似の商品・役務に使用するものと認める。したがって,本願商標は,商標法4条1項10号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 引用商標「三代目月見軒」について
有限会社月フーズ(以下「月フーズ」という。)のウェブサイトによれば,同社は,別掲のとおりの「三代目月見軒」の商標(以下「引用商標」という。)を,「みそラーメン」「しおラーメン」「しょうゆラーメン」といった「ラーメンの提供」の役務について使用をしていることが認められる。
そして,月フーズのラーメン店の店舗については,「本店」と「東京SUNAMO店」があり,それぞれの外観の写真が掲載されている(以下,これらと同じものと確認し得る店舗については,月フーズに係る店舗であるものと認める。)。(http://www.tsukimiken.com/)

2 引用商標「三代目月見軒」の周知性について
職権調査及び刊行物等提出書によれば,「三代目月見軒」について,以下の事実が認められる。
なお,平成23年12月15日付け刊行物等提出書を「刊行物1」,平成24年5月22日付け刊行物等提出書を「刊行物2」,平成25年4月17日付け刊行物等提出書を「刊行物3」という。
(1)新聞記事での紹介
ア 「北のラーメン店(28)三代目月見軒 先代の思い継ぎのれん守る」2008.04.11 日本食糧新聞
「1958年創業,札幌ラーメン発展とともに歩んできた老舗ラーメン店のひとつ『月見軒』。70年代初めに引き継いだ二代目が体調を崩し長らく休業していたが,93年に『何とかのれんを守っていきたい』と二十数年の沈黙を破って三代目白金敬三店主が営業を再開した。創業の地ススキノから現在の札幌北区新道沿いに本店を移し,店名も『ラーメン専門・三代目月見軒』に改めた。・・・5年前,三代目と親交が深かった緑川清志氏(運輸会社経営)と(有)月フーズ(札幌市)を設立し,本店経営や物産展への出展,ネット販売などに事業を広げている。・・・三代かけて完成させた自慢のラーメンは,あっさりした味の中にも奥深いコクとうまみが凝縮している。昔食べていた味を懐かしみながら楽しむ年配客も多い。本店は日販平均200食は下らない繁盛店で,営業時間もスープがなくなり次第閉店というこだわりぶり。」の記載がある(刊行物1における甲2)。
この記事にはラーメン店の店舗の写真が掲載されており,以下,これと同じものと確認し得る店舗については,「月フーズ」に係る店舗であるものと認める。
イ 「札幌の老舗ラーメン店『三代目月見軒』の月フーズ,新ブランド『みすじ』で東京初進出」2008.04.23 日本食糧新聞
「札幌の老舗『ラーメン専門・三代目月見軒』を運営する(株)月フーズ・・・は1日,新ブランドのノレン『ラーメン専門・みすじ』で東京初進出を果たした。」の記載がある。
ウ 「北海道ラーメン特集:08年北の人気ラーメン店=ラーメン専門三代目月見軒」2008.04.28 日本食糧新聞
「(1)ラーメン専門三代目月見軒,(有)月フーズ・・・(3)1958年創業・・・(6)奥行きある深い味わいとこく,うま味あるスープにうまく絡む腰の強い中太縮れ麺がマッチ・・・(11)札幌でも有数の老舗で,昔食べていた味を懐かしみながら楽しむ年配客も多い。」の記載がある。
エ 「北海道ラーメン特集:09年北の人気ラーメン店=ラーメン専門三代目月見軒」2009.04.27 日本食糧新聞
「(1)ラーメン専門三代目月見軒,(有)月フーズ・・・(3)58年創業・・・(5)奥行きある深い味わいとコク,うまみあるスープにうまく絡む腰の強い中太縮れ麺がマッチ・・・(7)08年10月東京都江東区新砂の南砂町SCスナモに出店・・・(9)札幌でも有数の老舗で,昔食べていた味を懐かしみながら楽しむ年配客も多い。」の記載がある。
オ 「北海道ラーメン特集:2010年北の人気ラーメン店=ラーメン専門三代目月見軒」2010.04.30 日本食糧新聞
「(1)ラーメン専門三代目月見軒,月フーズ・・・(7)・・・今年春も有力百貨店の北海道物産展に出展・・・(9)札幌ラーメン有数の老舗で,昔食べていた味を懐かしみながら楽しむ年配客も多い。」の記載がある。
カ 「北海道ラーメン特集:2012年北の人気ラーメン店=三代目月見軒」2012.05.16 日本食糧新聞
「(1)ラーメン専門三代目月見軒,「月フーズ」・・・(4)東京江東区のスナモ店ほか・・・(7)新たな構想で多店化も検討中。全国量販店で「月見軒」ブランドの生めん,乾めんなどを販売する・・・(9)今年春も関東,関西など百貨店の北海道物産展3?4ヵ所に積極出店。スナモ店は昨年を上回る伸びで順調。」の記載がある(刊行物3における甲35)。
キ 「月フーズ,『ラーメン専門 三代目 月見軒本店』オープン」2012.06.29 日本食糧新聞
「【北海道】月フーズは15日,札幌市白石区北郷3条12丁目に『ラーメン専門 三代目 月見軒本店』を開業させた。1958年の創業から札幌で歴史を刻んできた老舗のれん店で,『札幌ラーメン本来の味を守り続け,今後も3代目の意を継承し変わらない味を提供し続けていきたい』(緑川清志社長)と意気込む。3代かけて完成させた自慢の味は,あっさりした中にも奥深いコクとうまみが凝縮。スープに絡む腰の強い中太縮れ麺がマッチし,ラーメンファンをうならせる。・・・不定休で,営業時間は午前11時30分?午後11時。席数はカウンター,ボックス合わせて21。駐車スペースは19台分を用意した。」の記載がある。
ク 「北海道ラーメン特集:道内有名ラーメン店紹介=三代目月見軒」2013.05.13 日本食糧新聞
「(1)ラーメン専門三代目月見軒,『月フーズ』・・・(4)本店(札幌市白石区北郷3条12丁目),SUNAMO店(東京都江東区新砂3-4-31)・・・(7)・・・全国量販店で『月見軒』ブランドの生麺,乾麺などを販売し好評を博している・・・(9)昔ながらの札幌ラーメンの味を守り続ける老舗のれん店。毎年春秋には関東,関西など百貨店の北海道物産展に積極出店。今年春も4?5ヵ所からのオファーを受けている。」の記載がある。
(2)雑誌などでの紹介
以下の雑誌等において,「三代目月見軒」の文字とともに,「有限会社 月フーズ」,「月フーズ」若しくは「(有)月フーズ」の文字又は月フーズに係るラーメン店の店舗の写真と,ラーメン店の案内,ラーメンの写真などが紹介されている。
ア 「じゃらん 平成16年 10月20日発行」(刊行物1における甲9の5)
イ 「クレア・イーツ spring 2004」(刊行物1における甲11の4)
ウ 「絶対ハズさない ラーメン選び 北海道版」(2004年,刊行物1における甲11の5)
エ 「じゃらん ウエルカム トゥ 北海道 ’05→’06 秋・冬編」(刊行物1における甲9の7)
オ 「北海道ウォーカー 2005 6/8→6/21」(刊行物1における甲11の7)
カ 「オレンジページ 2008 10/2」(刊行物1における甲9の10)
キ 「ラーメンWalker 2009」(刊行物1における甲9の11)
ク 「ぴあMOOK 究極のラーメン 2009 首都圏版」(刊行物1における甲9の12)
ケ (カタログ)「読売 北海道心づくし 2009年10月」(刊行物1における甲9の14)
コ 「ラーメンWalker 東京23区 2012」(刊行物2における甲19)
サ (カタログ)「SEIBU PRESS 2012年9月28日(金)からのご案内」(刊行物3における甲40)
シ 「2013最新版 ラーメンWalker 北海道」(刊行物3における甲30)
(3)テレビ番組での紹介
以下のとおり,「三代目月見軒」の文字(若しくはその文字が記載された看板やのれん)と共に,月フーズに係るラーメン店の店舗が,以下のテレビ番組で紹介されている(刊行物1における甲10)。
ア 東日本放送 ももの時間 北の大地北海道(1999年)
イ テレビ東京 いい旅夢気分スペシャル(1999年)
ウ テレビ北海道 味な店(1999年)
エ STV札幌テレビ どさんこワイド(2001年)
オ 東海テレビ ぴーかんテレビ(2003年)
カ フジテレビ メントレG (2005年)
キ TBS 王様のブランチ(2008年)
ク テレビ東京 出没!アド街ック天国 (2008年)
ケ HBC北海道放送 ぐるめTV たべれば北海道(2009年)
(4)宣伝広告
2008年4月28日及び2009年4月27日付け日本食糧新聞(刊行物1における甲9の9等)
「ラーメン専門」「三代目月見軒」の文字が表示され,そのラーメン店の店舗が「(有)月フーズ」によって,掲載されている。

以上のとおり,「三代目月見軒」は,「月フーズ」の業務に係る役務「ラーメンの提供」を表示するものとして,新聞記事においては2008年,雑誌においては2004年,テレビ番組においては1999年にはすでに紹介されており,その後も,特段に途切れることなく,多数の新聞記事,テレビ番組,雑誌において繰り返し紹介され,新聞広告もされ,比較的最近(2013年)においても,新聞記事や雑誌で紹介されている。
そうすると,「三代目月見軒」は,需要者の間に広く紹介され,印象づけられているといえる。
してみれば,該文字からなる引用商標は,本願商標の登録出願時(平成23年8月31日)にはすでに,「月フーズ」の業務に係る役務(ラーメンの提供)を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたというのが相当であって,このことは現在においても継続しているものである。

3 請求人らと月フーズとの関係について
請求人らは,「『三代目月見軒』は,昭和33年に中澤豊次郎の長男である中澤信一氏が承継し・・,昭和45年に一旦閉店したものを,20数年後に中澤信一氏の甥であり,本願出願人の一である『月見軒合同会社』の代表社員である白金兵衛が中澤信一氏の許可および指導のもと開業したものであって,白金兵衛が『三代目月見軒』を開店する際,中澤信一氏は白金兵衛に対してのみ『月見軒』の屋号の使用を許可した事実がある。・・・また,出願人(の一である有限会社アイズ)は,平成15年5月ころから創業一族と共同して三代目月見軒の札幌北口店の営業を行っていることから,本願は,引用商標が示す出所と完全に同一人の出願になった」旨主張する。
しかし,本願商標の出願人ら(請求人ら)は,有限会社アイズ及び月見軒合同会社であり,それぞれの住所は「北海道札幌市北区北6条西7丁目5番3号」と「札幌市北区北33条西2丁目2-21」(平成24年3月13日付け出願人名義変更届)である。
一方,三代目月見軒本店を営業する月フーズの住所は「札幌市北区北三十4条西三丁目2番20号」(刊行物1における甲1。なお,月フーズに係るウェブサイトには「札幌市白石区北郷3条12丁目7-34」と表示(http://www.tsukimiken.com/online-shop/tokutei.php)。)であり,本願商標の出願人ら(請求人ら)と月フーズは,名称も住所も異なるから,それぞれ他人であること明らかである。また,本願商標の登録出願時には,出願人は,有限会社アイズのみであったが,月フーズとは名称も住所も異なり,他人であることには変わりがない。

4 本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標は,前記第1及び別掲のとおり,いずれも「三代目月見軒」と表すものであり,同一の文字構成からなるものであるから,その外観は,互いに相紛れるものである。また,その称呼は,「三代目月見軒」の文字に応じて生ずる「サンダイメツキミケン」において共通するものである。さらに,「三代目月見軒」からは,既存の親しまれた観念は生じないものの,「軒」は「雅号または屋号に添えて用いる。」(広辞苑 第六版)とされるものであり,「三代目の月見軒という店」といった程度の観念が想起し得るから,本願商標と引用商標のいずれからも,「三代目の月見軒という店」程の共通した観念が生ずる。
そうすると,本願商標と引用商標は,その外観において類似し,その称呼及び観念を共通にするから,互いに類似する商標である。

5 本願商標の指定役務と引用商標に係る役務との類否について
前記2のとおり,引用商標は,月フーズに係る業務「ラーメンの提供」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものである。
また,本願商標の指定役務は,前記第1のとおりであるところ,これには「ラーメン・・を主とする飲食物の提供」がある。
そうすると,本願商標の指定役務は,引用商標に係る役務(ラーメンの提供)と同一の役務を含むものである。

6 まとめ
以上からすると,本願商標は,現在においても,また,その登録出願時においても,他人(月フーズ)の業務に係る役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている商標と類似する商標であって,その役務と同一の役務について使用をするものであるから,商標法4条1項10号に該当する。

7 請求人らの主張について
請求人らは,月フーズは他人でない旨主張するが,前記3のとおり,請求人ら(出願人ら)と月フーズは,その名称も住所も異なっているから,他人というほかない。
その他,請求人らは,例えば,「月見軒」の営業譲渡について縷々述べるが,この主張は,本願商標が,他人(月フーズ)の業務に係る役務を表示するものとして,需要者の間に広く認識されている引用商標と類似する商標であること,その役務と同一の役務について使用をするものであることの判断を左右するものではないから,商標法4条1項10号の該当性に影響を及ぼすものではない。

8 結語
以上の次第であるから,本願商標が商標法4条1項10号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲(引用商標)










審理終結日 2013-10-10 
結審通知日 2013-10-18 
審決日 2013-10-30 
出願番号 商願2011-65670(T2011-65670) 
審決分類 T 1 8・ 254- Z (X3543)
T 1 8・ 251- Z (X3543)
T 1 8・ 252- Z (X3543)
T 1 8・ 253- Z (X3543)
T 1 8・ 255- Z (X3543)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 守屋 友宏
田中 亨子
商標の称呼 サンダイメツキミケン、サンダイメツキミ、ツキミケン、ツキミ、サンダイメ 
代理人 杉山 央 
代理人 杉山 央 

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