• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X03
管理番号 1293654 
審判番号 取消2013-300578 
総通号数 180 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-12-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-07-10 
確定日 2014-10-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5217129号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5217129号商標(以下「本件商標」という。)は、「ROOT BOOST」の欧文字と「ルートブースト」の片仮名を二段に横書きしてなり、平成20年7月11日に登録出願され、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同21年3月27日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年7月31日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を、要旨次のように述べ、さらに、合議体からの審尋に対し上申した。
1 請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標は、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において、使用した事実が存しないことから、本件商標の登録は商標法50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 弁駁の理由
本件について、現在、請求人は被請求人に対し、譲渡等の交渉を行う準備をしているので、審理の猶予を願う。
3 上申書
本件について、提出済みの書類にて当方の主張は尽くしている。

なお、審判長は、本件審判事件の口頭審理の実施に先立ち、請求人に対し、審理事項通知において、被請求人からの口頭審理陳述要領書に対しての意見を求めたところ、請求人は、何ら意見を述べず、平成26年4月22日に実施した口頭審理に出頭しなかった。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁の理由及び口頭審理における陳述を以下のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は本件商標を使用した各種頭髪用化粧品を、本審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に日本全国で美容室を展開する株式会社田谷(以下「田谷」という。)の専用商品として製造販売している。
被請求人は本件商標の使用の証拠として乙第2号証ないし同第12号証に対し簡単に説明を加える。
(1)乙第2号証は、被請求人が田谷向けに製造販売しているスカルプトリートメントクリームの商品写真である。
(2)乙第3号証は、被請求人が田谷向けに製造販売しているスカルプトリートメントジェルの商品写真である。
(3)乙第4号証は、被請求人が田谷向けに製造販売しているスカルプクレンジングオイルの商品写真である。
(4)乙第5号証は、被請求人が田谷向けに製造販売しているスカルプナリシングエッセンスの商品写真である。
(5)乙第6号証は、本件商標を使用した商品の包装段ボール容器の写真である。
なお、乙第2号証ないし同第5号証に係る商品はいずれも頭皮用の保湿クリーム・ジェル、また養毛料、洗浄オイルであることから頭髪用化粧品、すなわち化粧品の範ちゅうに属する商品であることは明らかである。
(6)乙第2号証ないし同第6号証より、被請求人が化粧品について本件商標と社会通念上同一の商標である「ROOT BOOST」及び「ルートブースト」を使用していることが分かる。
(7)乙第7号証は、被請求人が田谷あてに発行した2011年(平成23年)6月3日発行の見積書の写しである。
(8)乙第8号証は、被請求人が田谷あてに発行した2011年(平成23年)9月30日発行の請求書、請求書明細及び集計表の写しである。なお、請求書明細は17頁にわたるため、第1頁と最終頁のみを提出する。請求書上の金額は黒塗りをしているが、請求書上の税抜御買上額(出荷合計)の下三桁「029」と請求書明細の第17頁の累計金額の下三桁「029」と一致すること、請求書明細の数量の累計「5,634」が、集計表の総計「5,634」と一致することから、乙第8号証は2011年9月の請求書一式であること、集計表の最終段に「ルートブースト」の文字が明記されていることから、本件商標と社会通念上同一の商標を使用した商品が、2011年(平成23年)9月に販売されていたことが分かる。
(9)乙第9号証は、乙第2号証ないし同第5号証の商品に使用する容器の製造業者である椿化工株式会社から被請求人あてに発行した2011年(平成23年)10月17日付け及び2012年(平成24年)12月6日付けの納品書の写しである。
(10)乙第10号証は、2011年(平成23年)10月14日及び2012年(平成24年)12月5日出庫分に対する被請求人発行の椿化工株式会社宛の受領書の写しである。
(11)乙第11号証は、被請求人発行の2012年(平成24年)10月19日付椿化工株式会社宛の発注書の写しである。
(12)乙第12号証は、配達日が平成23年11月25日及び平成25年2月16日の、被請求人から田谷が運営する日本各地の美容室へ本件商標を使用した商品のお届け明細書の写しである。
(13)上記乙第7号証ないし同第12号証より、要証期間内に、被請求人が、日本国内において、本件商標を化粧品の範ちゅうに含まれる頭髪用化粧品について使用していることが証明される。
2 口頭審理(口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)被請求人における取引の流れについて
被請求人は顧客に対して、製造ロット単位での見積もりを提示し、了承を得た後、当該商品を製造する。製造物は被請求人の倉庫へ保管し、顧客から注文のある毎に納品を行うこととしている。
そのため、見積書上の製造数を一度に納めることはない。見積書はロット単位で作成するが、そこで製造した商品に対し、複数回にわたり発注があるので、それに応じた複数枚の請求書やお届け明細書が存在する。
(2)証拠について
上述のとおりのシステムをとっているため、見積書の金額や数量と請求書の金額やお届け明細書の数量が一致することはない。
ただし、単価は一致するので、見積書における単価と、請求書における商品の単価が一致する証拠として、提出済みの乙第7号証の単価の一部黒塗りを省いたもの(乙13)、被請求人発行のお届明細書(乙14)及び田谷宛の2011年10月分請求明細書(乙15)を提出する。
乙第13号証より、「ルートブーストスカルプトリートメントモイスチャライザー」の単価下2桁が「20」であること、乙第14号証より、平成23年(2011年)10月1日にTAYAもえぎ野店に「ルートブーストスカルプTR(トリートメント)モイスチャライザー」が1本、またTAYAあすみが丘店に「ルートブーストTR(トリートメントモイスチャライザー)」が1本届けられていることが分かる。
そして、乙第15号証より、2011年10月1日TAYAもえぎ野店に届けられた商品の金額下2桁が「20」であること、同日にTAYAあすみが丘店に届けられた商品の金額下2桁が「20」であることが分かる。なお、乙第14号証及び同第15号証は、それぞれ伝票NO.や出庫IDが一致することから、相応する書類であることが立証される。
(3)以上の乙各号証により、本件商標が日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内に「化粧品」について被請求人によって実際に使用されていることが証明されるものである。

第4 当審の判断
1 事実認定
被請求人提出の証拠(乙3、乙13ないし乙15)によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証は、被請求人が田谷向けに製造販売している商品写真であるところ、商品の正面にはボトルの上から下方向に向かって白字で「ROOT BOOST」の欧文字を大きく表し(以下「使用商標1」という)、その横には、黄緑色で「SCALP」「TREATMENT」「MOISTURIZER」の欧文字を三段に表し、ボトルの下部には、図形と「TAYA」の欧文字が記載されている。そして、ボトルの裏面には全て白字で、「ルートブースト」(以下「使用商標2」という。)、「スカルプトリートメントM」及び「(スカルプトリートメントジェル)」の文字が記載されている。さらに、ボトルの下部には「150mL」、「販売元:株式会社田谷」、「製造販売元:アリミノインターナショナル株式会社」、「東京都新宿区下落合1-5-22」等が記載されている。
(2)乙第13号証は、被請求人が田谷あてに発行した2011年(平成23年)6月3日発行の「御見積書」であるところ、品名「ルートブースト/スカルプトリートメント/モイスチャライザー」、内容量「150mL」、製造LOT「1,300本」、単価「¥■■20」(「■■」は黒塗りされている。以下同様。)等が記載されている。
(3)乙第14号証の下段は、被請求人が「株式会社田谷商事部」に宛てた、送付先を「0014 TAYAもえぎ野店」とする「お届明細書」の写しであり、伝票No.「19R013カリ」、商品名「ルートブースト スカルプ TR モイスチャライザー 150ml」、本数「1」、出庫ID「J014J1A」、配達日「平成23年10月1日」等が記載されている。
なお、宛先は「株式会社田谷商事部」となっているが、乙第15号証の「請求書明細」における店舗名「TAYAもえぎ野店」の表示、その他、「納品日」、「伝票No.」、「出庫ID」が乙第14号証と同一であるから、田谷の商事部に宛てたものと推認でき、結果、乙第14号証は、田谷に宛てたものとみるのが自然である。
(4)乙第15号証は、被請求人が田谷あてに発行した「2011年10月分請求書」であるところ「請求書明細」には、納品日「2011/10/1」、「伝票No.」、「19R013」、コード「014」、店舗名「TAYAもえぎ野店」、出庫ID「J014JIA」、数量「1」、金額「¥■■20」等が記載されている。
(5)小括
以上を総合すれば、被請求人は田谷に対し、使用商標1及び2を付した「スカルプトリートメントモイスチャライザー(スカルプトリートメントジェル)」(以下「使用商品」という。)を、平成23年10月1日に納品したことが認められる。
2 上記1で認定した事実により、商標法第50条第2項で規定する被請求人が証明すべき事項について、以下のとおり判断する。
ア 使用商標について
本件商標は、「ROOT BOOST」の欧文字と「ルートブースト」の片仮名を二段に表してなるところ、使用商標1(「ROOT BOOST」)は、本件商標中の欧文字部分と同一の綴りからなり、また、使用商標2(「ルートブースト」)は、本件商標中の片仮名部分と同一の綴りからなるから、使用商標1及び2は、「ルートブースト」の称呼を生じ、本件商標も「ルートブースト」の称呼を生ずるから、引用商標1及び2は、本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。
イ 使用商品について
上記1のとおり、使用商品は、「スカルプトリートメントモイスチャライザー(スカルプトリートメントジェル)」であるところ、「スカルプトリートメントジェル」の記載から、該商品は、「頭皮用のジェル状のトリートメント」と認められる。
そして、「頭皮用のジェル状のトリートメント」は、取消し請求に係る指定商品中の「化粧品」に属する商品ということができる。
ウ 使用者について
使用商品のボトルの裏面に表示されている「アリミノインターナショナル株式会社」及び「東京都新宿区下落合1-5-22」の表示は、本件商標の商標登録原簿に記録された商標権者の名称及び住所と同一であるから、使用商品の包装容器に使用商標を付して使用しているのは、本件商標の商標権者と認められる。
エ 使用時期について
上記1のとおり、使用商標1及び2を付した使用商品は、平成23年10月1日に納品されているから、本件商標の使用時期は、本件審判の請求の登録(平成25年7月31日)前3年以内である。
オ 小括
上記アないしエによれば、商標権者は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中の「化粧品」に属する商品「頭皮用のジェル状のトリートメント」について使用したということができる。
そして、上記使用行為は、商標法第2条第3項第2号でいう「商品に標章を付したものを譲渡する行為」に該当するものである。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、その取消請求に係る指定商品中の「化粧品」に属する商品「頭皮用のジェル状のトリートメント」について、商標権者が使用していたことを証明したものと認められる。
また、請求人は、前記第3の被請求人の主張に対し、何ら意見を述べていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-05-15 
結審通知日 2014-05-19 
審決日 2014-06-03 
出願番号 商願2008-60773(T2008-60773) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 大森 健司
前山 るり子
登録日 2009-03-27 
登録番号 商標登録第5217129号(T5217129) 
商標の称呼 ルートブースト、ルート、ブースト 
代理人 和田 光子 
代理人 中山 健一 
代理人 岸田 正行 
代理人 保崎 明弘 
代理人 水野 勝文 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ