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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z14
管理番号 1292807 
審判番号 取消2012-301012 
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-12-27 
確定日 2014-09-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第4561902号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第4561902号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成13年4月11日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製の花瓶・水盤・宝石箱,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて」並びに第9類、第16類及び第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年4月19日に設定登録されたものであり、その後、同24年4月10日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年1月24日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標について、その指定商品中、第14類「時計」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書、弁駁書、口頭審理陳述要領書(口頭審理における陳述を含む。)及び上申書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証(枝番号を含む。なお、請求人は、「甲第1号証の2」とするものを複数提出しているので、以下においては、審判請求書と同時に提出したものを「甲第1号証の2」、弁駁書と同時に提出したものを「甲第2号証の2」とし、あわせて、審判請求書と同時に提出された「甲第2号証」を「甲第2号証の1」と読み替えることとする。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第14類「時計」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者及び使用権者により使用されていないから、商標法第50条第1項の規定により、該「時計」についての登録を取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)時計バンドの製造計画について
被請求人は、平成23年10月頃、時計バンドの販売を企画したと称して、その関連会社代表者の陳述書(乙第3号証)を提出しているが、これは、事後的に代理人との相談で作成された文書に本人が署名したもので、被請求人が主張したい事実に合わせて作成されたものであり、客観性はなく、証拠価値は低く、ここに書かれている事実を立証するものではない。
また、現在、被請求人オンラインショップにおいても販売されているとして、2013年3月21日付けのサイトホームページのプリントアウト(乙第4号証)を提出し、平成23年から継続して時計バンドが販売されていたかのように主張しているが、請求人が甲第2号証の1として提出した被請求人の会社紹介記事と同日に出力したホームページ(2012年12月18日)では、時計バンドは、商品として販売されていなかった(甲第2号証の2)。
さらに、乙第5号証は、中国輸入業者の送り状写しとされるが、感圧式ノーカーボン紙による写しと思われ、写しの内容は判読不能である。
したがって、平成23年10月頃に時計バンドが製造され、輸入されたと主張する事実は、立証されていない。
(2)時計バンドの販売について
被請求人は、2011年12月16日より、サボイ表参道本店において、時計バンドの販売を開始したとして、時計バンド売上リスト(乙第7号証)を提出しているが、該リストの中に、本件商標が使用されているわけではなく、何を立証しようとしているのか不明である。
(3)サボイオフィシャルブログについて
ア 被請求人は、自社ブログの2012年5月1日の掲載記事として、乙第8号証を提出し、そこに掲載されている写真は、サボイ表参道本店店長が撮影し、本社あてに送信したメールに添付した写真であるとして、乙第8号証ないし乙第11号証を提出している。
しかし、被請求人のブログは、サイバーエージェント社が提供するアメーバブログサービスを利用したものであり、このサービスによれば、利用者は、自由にそのブログの内容を編集でき、事後的に記事を掲載することも可能である。仮に、該記事がその日付に掲載されたものであれば、請求人が審判請求前に「SAVOY 時計」で検索できたはずであるが、その時点では検索されなかった事実をみれば、該ブログ記事の日付は、事後的に作成された可能性がある。
また、被請求人の従業員の陳述書(乙第9号証及び乙第10号証)は、当事者が事後的に代理人と相談の上作り上げた文章に本人が署名したにすぎず、証拠価値はないに等しい。
イ 乙第11号証として提出されたイーメールのプリントアウトの日付は、出力するコンピュータの時計の時刻を変えることによって操作が可能であり、送信日時が実際にこの日に送られたものかは疑わしい。
この点につき、請求人は、日付がどのように操作可能かを示すために、請求人代理人事務所内で2013年4月12日にやり取りされたメール(甲第4号証)を提出する。すなわち、甲第4号証の1として提出するイーメールは、「送信日時テスト」という件名で、弊所「maekawa@nagapat.com」のアドレスから、「toba@nagapat.com」に送信されたものであるが、イーメールを送信するコンピュータの時計を操作して、日付が4月1日になるようにしたもので、「Date」(日付)は、「01 Apr 2013」と、2013年4月1日に受信されたようにプリントアウトされている。これに対して、甲第4号証の2は、このイーメールのヘッダ情報をコピーしてプリントアウトしたもので、受信日時は、「Received:」にあるように、2013年4月12日である。
このように、イーメールのプリントアウトに表示された日付は、出力するパソコンの時計表示を変えることにより、簡単に操作可能であることが分かる。
したがって、請求人は、乙第11号証のイーメールの実際の送信時が明らかとなるように、該イーメールのヘッダ情報の提出を求める。
ウ 乙第11号証のイーメールに添付された写真は、サボイ表参道本店の店長がブログ掲載用に私物の携帯電話のカメラ機能を用いて撮影したとされているが、そうであれば、写真のデータには撮影時間を表す数字が記載されているはずであるところ、甲第5号証は、乙第11号証のアドレスと同様の携帯電話から送られた写真添付のイーメールをプリントしたもの(個人情報のイーメールアドレスを黒く塗りつぶしてある。)であるが、添付写真情報は、写真を表す「Picture」の文字と撮影日時を表す数字の組合せである(2013年5月15日)。
そうすると、仮に、添付写真が「店長が私物の携帯電話で撮影した画像をこの日に添付して送った」というのであれば、写真データには、その日の日時を表すデータが表示されているはずであるが、データ名は変更されている。携帯電話で撮影した写真を携帯メールで送る場合、その写真データの名前を変更することはしないのが通常であり、そのデータ名が変更されているということは、実際の撮影日時を隠す意図があると考えざるを得ない。
したがって、請求人は、記録媒体に記録した写真の「jpg情報」での提出を求める。
(4)乙第14号証及び乙第15号証について
乙第14号証のブログ掲載記事についても、既述のとおり、ブログの記事は、いかようにも編集可能であり、日時を証明する能力は低い。
また、請求人は、乙第15号証のイーメールについては、乙第11号証と同様に、その日付の証明のために、ヘッダ情報の提出を求める。
さらに、上記イーメールに添付されている写真についても、データ名は変更されており、携帯電話から送付されたものとは思われないことから、請求人は、記録媒体に記録した写真の「jpg情報」の提出を求める。
(5)まとめ
以上のとおり、被請求人が、乙各号証により、どのように、いつの使用を証明しようとしているのかは判然としないが、いずれにしても、虚偽の記載があったとしても罰則規定のない当事者の陳述書の証拠価値は低く、イーメールのプリントアウトで証明しようとしているらしい日付は、正しい情報とするには、更なる情報が必要であり、ブログへの掲載記事の日付についても、簡単に編集可能であり、写真もその撮影日時が確認できない態様で提出されているので、答弁書によっては、被請求人の主張する事実は証明されていない。
3 口頭審理陳述要領書における主張
(1)乙第5号証及び乙第6号証について
被請求人は、審判請求書と同時に提出した乙第5号証の複写濃度を上げたものを乙第5号証の2として提出し、その訳文(乙第5号証の3)も提出しているが、いまだに判然としない部分がある。
乙第5号証の2については、その「申請内容及詳細説明」の欄に、英文字の「Watchband」らしき文字は見えるが、その下に漢字で書かれている文字が、いまだ判然としない。
また、乙第6号証の請求書で請求されている金額は、819円であるが、これは、乙第5号証には「税金」として表示されており、この「税金」が何を意味しているのか明らかにされたい。そして、この荷物が、なぜ「税金」のみの請求なのか、輸入業者が請求するのは「税金」のみなのか明らかにされたい。
さらに、この荷物の中には34個の商品が入っていたと記載されているが、答弁書で、「商品は完売した」と書かれているのは、この34個が完売したという意味であるのか確認されたい。「売上リスト」(乙第7号証)によれば、追加注文前までに販売された個数は29個であり、数が合わない。
(2)乙第7号証及び乙第13号証ないし乙第15号証について
被請求人は、2011年12月11日に中国から輸入した時計バンドを同月16日よりサボイ表参道本店において販売を開始し、2013年2月17日までの間に合計32本の販売がされたとして、これに対応する「売上リスト」(乙第7号証)を提出しているところ、該リストでは、2011年12月11日から2012年7月11日までの入力と、2013年1月4日から同年2月7日までの入力の記載の仕方が異なっている。すなわち、追加注文(乙第13号証)を行って新たに中国から商品を取り寄せてからの分は、すべて「SAVOY WATCH BAND」と記載されている。
これは、被請求人が、本件商標に対して提起された別件の不使用取消審判(取消2011-300871)の審決取消訴訟(平成24年(行ケ)第10277号。以下「別件取消審判」という場合がある。)の判決が出された平成24年(2012年)12月5日以後、「時計」について不使用取消審判が請求されることを予測して、その使用の証拠準備のために、それまでの入力方法では「時計バンド」についての入力であることを主張することが難しいことから、その入力方法を変更したものと推測される。
したがって、上記判決以降の日付で作成された乙第13号証ないし乙第15号証は、すべて不使用取消審判が提起されることを知って作成されたものであり、商標法第50条第3項により、同条第1項に規定する使用に該当しない。
(3)乙第7号証及び乙第16号証ないし乙第18号証について
ア 被請求人は、「売上リスト」(乙第7号証)の2011年12月16日ないし2012年7月11日に係る「商品名」欄に記載された商品が「時計バンド」であることを明らかにするために、「WATCH F GREY」(乙第16号証)、「WATCH D GOLD/NAVY」(乙第17号証)、「WATCH M LEATHER」(乙第18号証)の商品名に係るとする商品の写真を3件提出しているが、商品名の種類は11種類にわたるのに、なぜこの3件のみを証拠として提出したのか明らかにされたい。乙第11号証の写真の籠に入っている商品に近いものを出したかったとしても、数が足りない。
また、被請求人は、乙第16号証ないし乙第18号証の商品タグに関連して、写真撮影報告書(乙第19号証)を提出しているが、そもそも乙第11号証の写真に見えている商品タグは、商品の陰に隠れた一部でしかなく、さらに、乙第16号証ないし乙第18号証の商品タグの裏面に貼られた商品名の表示された白いラベルの下には文字が透けて見え、無地黒色のラベル添付欄に貼られたものとも見えない。
加えて、上記商品タグは、その大きさが不自然であり、かつ、その裏面における商標の使用も確認することができない。
イ 被請求人は、「売上リスト」(乙第7号証)の商品が実際に販売されたことを証するために、2012年7月の2個の売上げを取り上げて、数々の会計書類を提出しているが、その中の1つの商品「SAVOY WATCH I BLACK」であるとして提出されている写真(乙第20号証の3)には、商品タグも価格も付けられておらず、これが「SAVOY WATCH I BLACK」と呼ばれる商品であることを示す証拠はない。
また、2011年7月11日に販売されたとする「WATCH F GREY」の写真(乙第21号証の3)は、乙第16号証の写真と同一のものと思われるが、こちらには日付がなく、誰が撮影したのかも不明である。被請求人は、なぜ同一の写真の一方には日付が入り、他方には日付がないのか明らかにされたい。
ウ 以上のとおり、被請求人が販売された「時計バンド」であるとして提出している証拠の写真類には、不審な点が多く、使用を証明するものとは到底いえない。
(4)乙第8号証のブログと乙第11号証の写真について
被請求人は、2012年5月1日付けのイーメールの情報については提出したものの、携帯電話で送られたとする写真については削除したため提出できないとしている。
しかし、携帯電話から削除したとしても、送り先のパソコンにはそれが残っているものと思われ、その提出は可能と思われることから、被請求人は、その提出を拒む理由を明らかにされたい。
また、上記写真を撮影した理由がブログ記事への掲載のためであれば、被請求人は、なぜ既に商品がそれほど残っていない2012年5月1日に、サボイ表参道本店で「時計バンド」の写真を撮り、このような記事を掲載したのか明らかにされたい。なぜなら、「売上リスト」(乙第7号証)によれば、上記ブログが掲載されたとする2012年5月1日の直後に時計バンドが販売された形跡はなく、同年6月23日に3本、同年7月1日に2本販売されただけで、最初の輸入商品は完売したものとされ、その後の販売は、2013年1月4日であり、追加注文による商品と考えられるところ、上記ブログの記事の日付が正しいとすれば、商品が3点しか残っていないのに、販売を促す宣伝のための記事を掲載したことになり、不自然といわざるを得ない。
なお、被請求人は、乙第11号証のイーメールが2012年5月1日に送信されたことが確認できれば、ブログ記事の日付の真偽は問題ないとしているが、メールの送信が確認されたからといって、それに添付されている写真の日付とその内容が証明されたものではないのであるから、ブログ記事の日付の真偽も、依然として大いに問題である。
(5)乙第15号証のイーメールについて
被請求人が主張するように、乙第15号証のイーメールが2012年12月28日に送信されたものであったとしても、添付されていた写真の日付と内容が確認されたものではないので、該イーメールの証拠価値は低い。
すなわち、上記イーメールは、本件審判事件が提起されることを予測して準備したものであり、商標法第50条第3項により、同条第1項の使用には該当しない。
(6)まとめ
以上のとおり、追加提出された写真には不審な点が多くあり、ブログへの掲載記事の日付には疑問があり、2012年12月以降に作成された証拠は、本件審判事件が提起されることを予測して準備された駆け込み使用の証拠であるから、被請求人による口頭審理陳述要領書における主張及び追加提出された乙各号証によっても、被請求人が答弁書において主張する事実は、証明されていない。
4 上申書における主張
(1)本件商標の時計バンドに係る使用について
被請求人が本件商標を時計バンドに使用していたと主張して提出した乙号証中、その主張する事実を直接証明できるのは、乙第8号証及び乙第11号証の写真であるが、この写真が撮影された日付を証明できるものは、間接証拠としてのイーメールの発信記録のみであり、撮影した日付の記録の付いた写真は提出されていない。
そのため、被請求人は、数々の間接証拠を提出しているが、それらの証拠により、中国から輸入した時計バンドの販売が事実として立証できたとしても、その時に本件商標が付されていた事実をある程度客観的に示すことができるのは写真のみであり、その写真の日付に疑義がある限り、本件審判の請求の登録前3年以内における本件商標の時計バンドへの使用は立証されていない。
(2)駆け込み使用について
別件取消審判の審決取消訴訟については、諸般の事情により、請求人は、上告を見送ったが、判決には法令違反(商標法施行規則別表第14類に属するとされるのは、「チャーム(鎖用宝飾品)」であり、「チャーム及び鎖用宝飾品」ではない。)があり、取り消されるべきものであったと考えている。
すなわち、第14類「身飾品、時計」について、上記取消審判によって、本件商標は、取り消されるべきものであった。
被請求人には、代理人として、大手の法律事務所が助言を与えていることから、上記取消審判の審決が取り消されれば、取消の対象を変えての審判が提起される可能性については予測するのが通常と思われ、それにより駆け込み使用の準備がなされたものと推測できる。
したがって、上記審決取消訴訟の判決以降の日付で作成された乙第13号証ないし乙第15号証は、すべて本件審判が請求される可能性を知って作成されたものであり、商標法第50条第3項により、同条第1項に規定する使用に該当しない。
5 むすび
以上述べたところによれば、被請求人が提出した乙各号証によっては、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に、その指定商品中の第14類「時計バンド」について使用されたことの証明はなされていない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、第14類「時計」について、商標法第50条第1項及び第3項により取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第34号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、本件商標の使用権者である山陽商事株式会社(以下「山陽商事」という。)の販売に係る「時計バンド」に使用されていることから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。
(1)被請求人と山陽商事との関係について
被請求人は、「時計、バッグ類、喫煙具、貴金属、宝石、筆記具、化粧品、装身具、家庭用電気製品、衣料用繊維製品、その他日用雑貨品及び医療機器の製造、販売及び輸出入」のほか、「商標権、意匠権の管理斡旋業務」を目的とする法人であり(乙第1号証)、被請求人の関連会社であり、「SAVOY」ブランドのバッグ類、アクセサリー、ポーチその他雑貨品の企画、製造、卸売販売を営む山陽商事が、その事業及びその取扱いに係る商品との関係で使用する本件商標を含む「SAVOY」関連商標の権利者として、これらの商標の包括的管理を行っている。
そして、乙第1号証及び乙第2号証に示すように、被請求人の代表取締役である山田陽一氏は、山陽商事の代表取締役も兼任しており、山陽商事は、被請求人と密接な関係を有する被請求人の関連会社である。
山陽商事は、本件商標及びこれと同一の構成からなる商標に関する被請求人保有の登録商標を、各商標登録の登録日より、そのすべての指定商品について使用することにつき、被請求人より許諾を受け、「SAVOY」ブランドの各種商品の国内販売を行っている。
したがって、山陽商事は、被請求人から本件商標の使用許諾を受けた、本件商標の通常使用権者である。
(2)山陽商事による本件商標の使用実績について
ア 本件商標の使用権者である山陽商事は、サボイ表参道本店(東京都渋谷区神宮前4-32-13)を始めとするサボイ直営店を運営し、各店舗において、「SAVOY」ブランドのバッグ、財布、アクセサリー、傘等の商品を販売しているところ、平成23年10月頃、時計バンドの販売を企画し、従来より「SAVOY」ブランドのバッグの製造を委託しており、山陽商事と取引関係のある中国の工場に、時計用バンドの製造を発注した(乙第3号証)。その後、山陽商事は、該中国工場が製造した時計用バンドを、平成23年12月11日に輸入し、同月16日より、サボイ表参道本店限定販売商品として販売を開始し、その後、現在まで継続して時計バンドの販売を行っている。
なお、当初、時計バンドは、サボイ表参道本店限定で販売されていたが、現在は、サボイオフィシャルブログのオンラインショッピングにおいても販売されている(乙第4号証)。
イ 乙第5号証は、平成23年10月に山陽商事による時計バンドの製造発注を受けた中国工場から、2011年12月9日に、山陽商事あてに時計バンドが発送された際の輸入業者「SCORE JAPAN CO.,LTD」の送り状であり、最上段の「荷送人」の欄に、中国工場の名称、住所、電話番号及びファクス番号の記載があり、また、「国家」の欄に「China」、「都市」の欄に「Guangzhou」と記載されており、中国の広州市から貨物が発送されていることが分かる(なお、商品の製造原価や時計バンドの製造元である中国工場の名称等の詳細情報は営業秘密であるため、山陽商事の希望により、該当部分を黒塗りしている。)。
また、上記送り状の「実輸入者」の欄には、山陽商事の英文表記「SANYO SHOJI CO.,LTD」が記載され、「住所」の欄には、山陽商事の住所の英語表記「Marunouchi Bldg. F10 2-4-1,Marunouchi Chiyoda-ku,Tokyo,Japan」との記載があり、「Commodity Description」(商品詳細)の欄には、「Watchband」と記載されている。
さらに、上記送り状右側の「Pick Up BY」の欄には、12月9日の日付の記載があり、右上部分には「SEND NO.,送り状番号/単号」との表示の下にバーコードが表示され、「SCJ007-0964768」と記載され、「Receiver’s Name」の欄の下には「¥819-」との記載がある。
なお、上記送り状には、12月9日の日付のみが記載され、西暦(年号)が明らかではないが、乙第6号証により、該送り状が2011年に作成されたものであることが分かる。
ウ 乙第6号証は、上記時計バンドの輸入業者である株式会社スコア・ジャパンが2012年1月5日付けで作成した山陽商事あての請求書である。該請求書には、日付、送り状番号等の記載があるところ、上から2つ目の項目には「11.12.11」の日付が記載され、その右横に、「0070964769」(審決注:末尾の「9」は、「8」の誤記と思われる。)の送り状番号の記載がある。該番号は、乙第5号証に記載されている送り状番号「SCJ007-964768」(審決注:「9」の前にある「0」は、脱漏したものと思われる。)と「SCJ」以下の番号部分が一致するほか、請求書に「小計」として記載されている「819」の額は、乙第5号証に記載されている「¥819-」の額と一致していることから、上記送り状が2011年12月9日に作成されたものであることが分かる。
なお、上記請求書の「11.12.11」と乙第5号証の送り状の日付「12月9日」が一致しないのは、該請求書に記載された日付が、中国の工場から発送された荷物が山陽商事に到着した日付であるためである。
したがって、乙第5号証及び乙第6号証により、山陽商事が時計バンドの製造を依頼した中国の工場から、「Watchband」が2011年12月9日に発送され、同月11日に山陽商事が受領したことが分かる。
エ 山陽商事は、2011年12月16日より、サボイ表参道本店において、時計バンドの販売を開始した。乙第7号証は、山陽商事が、同日から2013年2月7日までの間、サボイ表参道本店において、時計バンドを販売したことを示す「売上リスト」である。山陽商事では、POSシステムを採用しており、サボイ表参道本店で商品の販売がレジに記録されると同時に、本社にその売上げデータが自動的に送られる仕組みとなっており、該「売上リスト」は、同システム上の売上げデータリストを印刷したものであるところ、その商品名の欄に「SAVOY WATCH C PURPLE」、「SAVOY WATCH M LEATHER」、「SAVOY WATCH L ENAMEL」等の記載があり、各日に販売された商品名及び売上数量等が記載されている。具体的には、以下の販売がされている(以下の(ア)ないし(テ)において、商品名中にある「SAVOY WATCH」の表示は省略する。)。
(ア)2011年12月16日
「C PURPLE」及び「M LEATHER」各1点
(イ)2011年12月17日
「L ENAMEL」1点
(ウ)2011年12月18日
「G L.PURPLE」、「F GREY」及び「L ENAMEL」各1点
(エ)2011年12月20日
「M LEATHER」4点
(オ)2011年12月21日
「B D.BROWN」1点
(カ)2011年12月30日
「M LEATHER」及び「L ENAMEL」各1点
(キ)2011年12月31日
「H RED」2点及び「M LEATHER」1点
(ク)2012年1月2日
「D GOLD/NAVY」1点
(ケ)2012年1月7日
「B D.BROWN」1点
(コ)2012年1月14日
「C PURPLE」1点
(サ)2012年1月23日
「J PINK」及び「D GOLD/NAVY」各1点
(シ)2012年1月29日
「M LEATHER」1点
(ス)2012年2月3日
「D GOLD/NAVY」1点
(セ)2012年2月9日
「M LEATHER」及び「L ENAMEL」各1点
(ソ)2012年2月25日
「E SILVER/PURPLE」1点
(タ)2012年2月26日
「M LEATHER」1点
(チ)2012年6月23日
「E SILVER/PURPLE」、「G L.PURPLE」及び「D GOLD/NAVY」各1点
(ツ)2012年7月1日
「I BLACK」1点
(テ)2012年7月11日
「F GREY」1点
さらに、2013年1月の4日、5日、8日及び13日に各1点、同年2月7日に2点の「SAVOY WATCH BAND」が販売されている。
したがって、山陽商事は、2011年12月16日にサボイ表参道本店において、時計バンドの販売を開始した後、2012年7月11日までの間に、合計32本の時計バンドを販売しており、その売上合計金額は10,080円となっている。
オ 乙第8号証は、「SAVOY」の新作商品情報や雑誌掲載情報等の、SAVOYの最新情報を紹介する「SAVOY(サボイ)オフィシャルブログ」の2012年5月1日付け掲載記事である。該記事には、「サボイファンの方から、大変ご好評いただいておりますサボイ腕時計ベルトのご案内です」、「サボイのバッグとお揃いの柄でお作りしたとってもキュートな時計ベルト」との記載とともに、サボイ表参道本店の商品棚上に、「時計バンド」の表示の前に置かれたピンク色の籠に入った時計バンドがハンドバッグと並んで展示されている写真が掲載されているところ、該記事は、2012年5月1日に、サボイ表参道本店の店長である金子舞佳氏が、ブログ掲載用に時計バンドの店内販売の様子を撮影し(乙第9号証)、同日、サボイオフィシャルブログの管理を担当しているサボイ株式会社web事業部の後藤菜実子氏が該オフィシャルブログに投稿したものである(乙第10号証)。
また、乙第11号証は、2012年5月1日12:00に、サボイ表参道本店の店長である金子氏が、ブログ掲載用に時計バンドの店内販売の様子を撮影した写真を本社あてに送信した際のメールである。該メールの2ページ目の写真が、乙第8号証のブログ記事に掲載された写真であり、これより、該写真が、少なくとも2012年5月1日までに撮影され、ブログに掲載されたものであることが分かるほか、時計バンドが、同日の時点で、サボイ表参道本店において販売されていたことが分かる。なお、該ブログに掲載された写真には、乙第11号証の写真中に存在する「¥315」という価格表示が存在しないが、これは、山陽商事が将来的に異なる価格帯で時計バンドの販売を行うことを計画していたことから、315円が時計バンドの固定価格であると消費者に誤解されては困ると懸念したため、価格を伏せて掲載するように写真データの修正をしたものである(この点、実際に、山陽商事は、現在、315円の時計バンドのほかに、580円の時計バンドも販売している(乙第4号証)。)。
さらに、乙第8号証及び乙第11号証の2ページ目の写真上で、時計バンドの後ろに展示されているピンク色のバッグは、2012年5月の1日から13日までの間に、期間及び個数限定で、SAVOYがイタリア初の人気エアーデザインブランド「MILLEFIORI」とコラボレーションして販売した「ローズフレーバードバッグ」という商品名のバッグであり(乙第12号証)、かかる商品と並んで時計バンドが展示されている事実からも、時計バンドが、少なくとも2012年5月の1日から13日までの間、サボイ表参道本店で販売のために展示されていたことが分かる。
そして、乙第11号証のメールの1ページ目及び4ページ目の写真は、該メール2ページ目の写真のうち、時計バンドの入ったピンク色の籠部分をアップで撮影した写真であるところ、その籠に入って展示されている各時計バンドには、黒色の商品タグがプラスチック製の紐で結び付けられており、そのタグの表面には、銀色で表された本件商標が使用されている。
したがって、乙第8号証ないし乙第12号証より、山陽商事が、少なくとも2011(審決注:「2011」は、「2012」の誤記と思われる。)年5月1日に、本件商標を付した時計バンドをサボイ表参道本店において販売のために展示していたことが分かる(商標法第2条第3項第2号)。
なお、商標法第50条における「登録商標」には、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものが含まれる(商標法第70条第1項)ため、時計バンドの商品タグに銀色で表された本件商標は、商標法第50条の「登録商標」に該当する。
カ 乙第13号証は、山陽商事の発注を受けた中国工場から、2012年12月22日に、山陽商事あてに時計バンドが発送された際の輸入業者「SCORE JAPAN CO.,LTD」の送り状である。2011年12月にサボイ表参道本店で販売を開始した時計バンドは、好評を得て、当初輸入した商品が完売となったため、山陽商事は、中国の工場に追加発注を行っており、該送り状は、追加で製造された商品が中国の工場より発送された際のものである。
上記送り状の最上段の「荷送人」の欄に、中国工場の名称及び住所が中国語で表記されているほか、電話番号及びファクス番号の記載があり、かつ、「国家」の欄に「中国」と記載されていることから、中国の広州市にある会社から荷物が発送されていることが分かる(なお、商品の製造原価や製造元である中国工場の名称等の詳細情報は営業秘密であるため、山陽商事の希望により黒塗りしている。)。
また、上記送り状の「実輸入者」の欄には、「山陽商事株式会社」と記載され、「住所」の欄には、山陽商事の住所である「東京都千代田区丸の内2-4-1丸の内ビルディング10F」との記載があるほか、「国家」の欄には、「日本」と記載され、「Contact Person」の欄には、被請求人及び山陽商事の代表取締役である山田陽一氏の名前が「Mr. Yoichi Yamada」と記載されており、「Commodity Description」(商品詳細)の欄には、「Watch strap」と記載されている。
したがって、乙第13号証により、山陽商事が時計バンドの追加製造を依頼した中国の工場より、「Watch strap」が2012年12月22日に山陽商事あてに発送されたことが分かる。
キ 乙第14号証は、「SAVOY(サボイ)オフィシャルブログ」の2012年12月28日付け掲載記事であり、該記事には、「とってもキュートなSAVOY時計ベルトが登場しました」、「カラフルでおしゃれなデザインなので、日替わりで時計ファッションを楽しむことができちゃいます」、「お値段も315円(税込み)ととってもリーズナブル」との記載とともに、サボイ表参道本店の商品棚上に置かれた乙第8号証及び乙第11号証の写真と同じピンクの籠に入った時計バンドが販売のために展示されている写真が掲載されている。時計バンドが入ったピンクの籠の後方には、「SAVOY Goods」、「時計ベルト」、「¥315-(税込み)」の文字の左横に本件商標が大きく表されている。
上記ブログ記事は、2012年12月28日に、サボイ表参道本店の店長である金子舞佳氏がブログ掲載用に時計バンドの店内販売の様子を撮影し、同日、サボイオフィシャルブログの管理を担当しているサボイ株式会社web事業部の後藤菜実子氏がサボイオフィシャルブログに投稿したものである。
また、乙第15号証は、2012年12月28日14:29に、サボイ表参道本店店長の金子氏が、ブログ掲載用に時計バンドの店内販売の様子を撮影した写真を本社あてに送信した際のメールであるところ、該メールの1ページ目にある写真が、乙第14号証のブログ記事に掲載された写真であり、これより、該ブログに掲載された写真が、少なくとも2012年12月28日までに撮影され、ブログに掲載されたものであることが分かるほか、時計バンドが、同日の時点で、サボイ表参道本店において販売され、時計バンドが入ったピンクの籠の後方に置かれた時計バンドの価格表には、本件商標が使用されていたことが分かる。
なお、時計バンドの価格表に付されている本件商標が商標法第50条第1項の「登録商標」に該当する点は、既に述べたとおりである(商標法第70条第1項)。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人から本件商標の使用許諾を受けた山陽商事は、2011年12月16日から、山陽商事が運営するサボイ表参道本店において、時計バンドの販売を開始し、現在も継続して、サボイ表参道本店及びサボイのオフィシャルウェブサイトのオンラインショップにて時計バンドを販売している(乙第4号証)。そして、該時計バンドにプラスチック製の紐で結び付けられた商品タグには、本件商標と色彩のみが異なる同一商標(商標法第70条第1項)が付され(同法第2条第3項第2号)、該時計バンドの店頭での展示の際に使用された価格表には、本件商標と色彩のみが異なる同一商標が付されており(同法第2条第3項第8号)、これらの行為が、本件商標の使用に該当することは明らかである。
2 口頭審理陳述要領書における主張
(1)乙第5号証について
被請求人は、答弁書と同時に提出した乙第5号証の記載内容が明確となるように、同号証のコピーの濃度を上げたものを乙第5号証の2として提出するとともに、これら送り状の訳文を新たに提出する(乙第5号証の3)。また、被請求人は、口頭審理期日に、乙第5号証の2の原本を持参して提示する。該原本の提示及び訳文の提出により、乙第5号証に被請求人が答弁書で詳述したとおりの内容が記載されていることが確認できる。
したがって、乙第5号証及び乙第6号証により、平成23年(2011年)12月9日に、時計バンドの製造を行った中国工場から山陽商事あてに時計バンドが発送され、同月11日に、山陽商事が受領したことが証明される。
(2)乙第7号証について
ア 被請求人は、「売上リスト」(乙第7号証)の2011年12月16日ないし2012年7月11日に係る「商品名」欄に記載された商品が「時計バンド」であることを明らかにするために、乙第16号証ないし乙第18号証の写真を新たに提出する。これらは、バーコードと[税込み]¥315の価格が表示された白色の値札と、下部に「SANYO SHOJI CO.,LTD」、「PHONE:03-3833-4671」、「http://www.savoy-net.com」の文字等が上下3段に記載された黒色タグがプラスチック製の紐で結び付けられた時計バンドの写真であり、乙第16号証の黒色タグの白色部分には、「WATCH F」、「GREY」の文字が2段書きで記載され、乙第17号証の同部分には、「WATCH D」、「GOLD/NAVY」の文字が2段書きで記載され、乙第18号証の同部分には、「WATCH M」、「LEATHER」の文字が2段書きで記載されている。なお、山陽商事では、時計バンドを含む一部の小物類については、バーコードによる商品管理を行っていないため、上記各写真の時計バンドに結び付けられている白色の値札のバーコード部分には、「00 00000 000000」の数字が振られている。
山陽商事が販売する時計バンドは、上記各写真に示すとおり、「WATCH F GREY」、「WATCH D GOLD/NAVY」、「WATCH M LEATHER」等の商品名で販売されているところ、乙第7号証の「売上リスト」1ページ目の2011年12月20日の商品名の欄に記載されている「SAVOY WATCH M LEATHER」は、乙第18号証の時計バンドであり、同リスト2ページ目の2012年1月2日の商品名の欄に記載されている「SAVOY WATCH D GOLD/NAVY」は、乙第17号証の時計バンドであり、同リスト4ページ目の2012年7月11日の商品名の欄に記載されている「SAVOY WATCH F GREY」は、乙第16号証の時計バンドである。
そして、乙第17号証の時計バンドは、乙第11号証の電子メールの1ページ目、2ページ目及び4ページ目の写真において、ピンク色の籠に入って展示されている時計バンドの1つ(5つの時計バンドのうち左端のもの)と同種の商品であり、乙第16号証の時計バンドも、同じく、籠に入って展示されている時計バンドの1つ(5つの時計バンドのうち中央のもの)と同種の商品である。なお、「同種の商品」としたのは、山陽商事が販売する時計バンドは、サボイブランドのバッグ製造用の生地を利用して製造しているため、利用する生地の場所により、時計バンドの生地の模様が異なり、乙第16号証及び乙第17号証の写真の時計バンドの生地の模様と乙第11号証の写真のピンク色の籠に入って展示されている時計バンドのそれが異なっているからであり、時計バンドの生地の模様が異なっていても、乙第17号証の時計バンドと乙第11号証の電子メールの1ページ目、2ページ目及び4ページ目の写真に写っている時計バンドの1つ(5つの時計バンドのうち左端のもの)とは同じ生地を使用しているため、両時計バンドは、いずれも「SAVOY WATCH GOLD/NAVY」の商品名の商品であり、同じく、乙第16号証の時計バンドと乙第11号証の写真に写っている時計バンドの1つ(5つの時計バンドのうちの中央のもの)とは同じ生地を使用しているため、両時計バンドは、いずれも「SAVOY WATCH F GREY」の商品名の商品である。
以上により、「売上リスト」(乙第7号証)に記載されている「SAVOY WATCH C PURPLE」、「SAVOY WATCH M LEATHER」、「SAVOY WATCH L ENAMEL」、「SAVOY WATCH G L.PURPLE」、「SAVOY WATCH F GREY」、「SAVOY WATCH B D.BROWN」、「SAVOY WATCH H RED」、「SAVOY WATCH D GOLD/NAVY」、「SAVOY WATCH J PINK」、「SAVOY WATCH E SILVER/PURPLE」又は「SAVOY WATCH I BLACK」の表示は、山陽商事が販売した商品「時計バンド」を特定するものであることが分かる。
イ 山陽商事及びサボイ表参道本店では、原則として、バーコードによる商品管理を行っているが、時計バンド等の小物類については、バーコードによる商品管理を行っていない商品があり、該商品については、レジに「小物」の商品分類と金額を手入力するとともに、店員がレジカウンターで業務確認表(乙第20号証の1及び乙第21号証の1)に手書きで販売した商品の品番、販売数、金額を記録する。乙第20号証の1にある「(小物)WATCH I BLAK」は、伝票番号「No.62067」の下、「小物」の販売による2012年7月1日の売上として記録され(乙第20号証の2)、また、乙第21号証の1にある「時計バンド WACHE F GLAY」は、伝票番号「No.62598」の下、「小物」の販売による同月11日の売上として記録されている(乙第21号証の2)。
そして、上記業務確認表は、毎日、営業時間終了後にサボイ表参道本店から山陽商事本社にFAX送信され、山陽商事本社では、翌日、販売管理システムに入力された前日分のサボイ表参道本店の売上情報の集計を行う際に、経理担当者が該業務確認表と照らし合わせ、前日に「小物」としてのみ入力された商品の具体的内容を販売管理システムに入力する。
また、乙第22号証及び乙第23号証は、上記システムに入力されたサボイ表参道本店での2012年7月の1日及び11日の時計バンドに関する取引ごとの売上情報を出力した「納品書」であり、これらには、各取引の伝票番号が表示されているほか、売上情報が入力・確定された順に自動的に付される連番が表示されている。乙第22号証には商品名「SAVOY WATCH I BLACK」、伝票番号「62067」、連番「1289617」があるところ、その伝票番号は、乙第20号証の2の伝票番号と一致するものであり、また、乙第7号証の売上リスト中の7月1日に係る「連番」、「伝票番号」、「商品名」とすべて一致する。そして、乙第23号証にある商品名「SAVOY WATCH F GREY」、伝票番号「62598」、連番「1293316」についても同様に一致する。なお、該「連番」及び「伝票番号」は、取引及び情報の入力順に自動的に付与されるものであり、入力された取引情報をいったん確定した後に、人為的に操作して変更することはできない(乙第24号証)。
さらに、乙第25号証及び乙第26号証は、サボイ表参道本店において2012年7月の1日及び11日に販売した全商品の売上リストであり、これらにある「連番」及び「伝票番号」からすれば、上記各時計バンドの取引は、各日に行われた連続する取引のうちの1つであることが分かり、後日、売上情報を追加して作出したものでないことは明らかである。
加えて、乙第27号証は、山陽商事に係る上記「SAVOY WATCH I BLACK」及び「SAVOY WATCH F GREY」の各商品が販売された2012年7月を含む事業年度の税務申告関係書類の写し及び山陽商事の顧問税理士による報告書である。これによれば、該各商品の売上は、サボイ表参道本店の2012年7月度の「得意先台帳」(乙第27号証の別紙6)に記録されており、その売上額の総額は、山陽商事の同年同月の「売掛残高一覧表」(乙第27号証の別紙5)のサボイ表参道本店の売上額の合計と一致しており、該「売掛残高一覧表」に記載のあるサボイ表参道本店の上記時計バンドの売上額を含む山陽商事の同年同月の売上額(税込)は、これを基に山陽商事の毎月の売上額が申告されている「残高試算表(損益計算書)」(乙第27号証の別紙3)の売上高と完全に一致しており、これらの数字に基づき、上記顧問税理士により、乙第27号証の別紙1及び別紙2のとおり、山陽商事の法人税の申告が行われている。仮に、2012年7月1日の「SAVOY WATCH I BLACK」及び同月11日の「SAVOY WATCH F GREY」の売上が、本件審判の請求後に人為的に追加して作出されたものであるならば、同年11月27日に申告を完了した税務申告書類に記載されている2012年7月度の山陽商事の売上高と上記各帳簿類の数字が一致することはあり得ないのであるから、上記2点の時計バンドは、確かにその各日にサボイ表参道本店において販売されたものであることが分かる。
ウ 被請求人は、乙第11号証の写真の時計バンドに結び付けられている黒色の商品タグの表面には、銀色で表された本件商標が付されていることを示すため、これと同種の商品タグの見本写真を乙第19号証(別紙写真1-1及び1-2)として提出するとともに、口頭審理期日に商品タグの見本原本を持参して提示する。
上記1-1及び1-2の各商品タグの表面には、いずれも銀色で大きく本件商標が表されており、その下には「NEW YORK・TOKYO・PARIS」の文字が銀色で表されている。そして、1-1の商品タグの裏面には、「Style No.」や「Color code」の文字とともに、バーコードが記載された白い紙が貼付されており、その下には、「SANYO SHOJI CO.,LTD」、「PHONE:03-3833-4671」、「http://www.savoy-net.com」の文字等が3段書きで表されている。また、上記1-2の商品タグの裏面には、バーコード等を表示した白色の紙を貼付するための枠が設けられており、その下部には、「SAVOY INC.」、「PHONE:03-3201-5155」、「http://www.savoy-net.com」の文字等が3段書きで表されており、さらに、該タグの右下部には、QRコードが表示されている。山陽商事では、かかる黒色の商品タグを、自らが販売するSAVOYブランドのバッグ等の各種商品にプラスチック製の紐で結び付けて使用しており、上記1-1の商品タグは、2012年2月頃まで使用されていたものであり、現在は、上記1-2の商品タグを使用している。ただし、上記1-2の商品タグは、上記1-1の商品タグの裏面の一部を変更したものであり、いずれのタグも、表面に本件商標が銀色で表されている点に相違はない。
そして、乙第11号証の1ページ目の写真のピンク色の籠内部の中央の黒色商品タグには、銀色で表された本件商標の図形部分の一部、「A」及び「EW YORK・T」の文字が表示されており、同じく、左端の黒色商品タグには、「SA」及び「NEW YORK・TOKYO」の文字が表示されている。また、4ページ目の写真のピンク色の籠内部の中央の黒色商品タグには、本件商標の図形の一部が表示されており、同じく、左端の黒色商品タグには、「S」の文字が表示されていることが確認できる。
そうすると、乙第11号証の複数の写真でそれぞれ見えている黒色商品タグの各部分(要素)、乙第19号証の写真の1-1及び1-2の黒色商品タグの写真並びに黒色商品タグの原本から分かる同タグの特徴点(記載事項)を総合的に考慮すれば、乙第11号証に写っている時計バンドには、乙第19号証の写真1-1又は1-2の黒色商品タグが結び付けられており、その表面には、本件商標が銀色で大きく表されていることが合理的に推認できる。
そして、商標法第50条における「登録商標」には、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものが含まれるため(商標法第70条第1項)、時計バンドの商品タグに表された本件商標は、商標法第50条の「登録商標」に該当する。
エ 以上により、乙第7号証の「売上リスト」に記載されている「SAVOY WATCH C PURPLE」、「SAVOY WATCH M LEATHER」、「SAVOY WATCH L ENAMEL」、「SAVOY WATCH G L.PURPLE」、「SAVOY WATCH F GREY」、「SAVOY WATCH B D.BROWN」、「SAVOY WATCH H RED」、「SAVOY WATCH D GOLD/NAVY」、「SAVOY WATCH J PINK」、「SAVOY WATCH E SILVER/PURPLE」及び「SAVOY WATCH I BLACK」は、山陽商事が販売する時計バンドの商品名であり、例えば、1ページ目の2011年12月20日の商品名の欄に記載されている「SAVOY WATCH M LEATHER」は、乙第18号証の時計バンドであり、2ページ目の2012年1月2日の商品名の欄に記載されている「SAVOY WATCH D GOLD/NAVY」は、乙第17号証の時計バンドであって、乙第11号証の写真に写っている5つの時計バンドのうちの左端のものであり、4ページ目の2012年7月11日の商品名の欄に記載されている「SAVOY WATCH F GREY」は、乙第16号証の時計バンドであって、乙第11号証の写真に写っている5つの時計バンドのうちの中央のものであること、少なくとも2012年7月1日に、サボイ表参道本店において、「SAVOY WATCH I BLACK」、同月11日に、同店において、「SAVOY WATCH F GREY」の各商品が顧客に販売されたこと、時計バンドには、乙第16号証、乙第17号証及び乙第11号証の写真から分かるように、乙第19号証の写真1-1又は1-2の黒色商品タグがプラスチック製の紐で結び付けられており、該商品タグの表面には本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていたこと(商標法第2条第3項第2号)が明らかである。
(3)乙第11号証について
ア 被請求人は、乙第11号証の写真がサボイ表参道本店の棚に展示されている状態を撮影したものであることを明らかにするため、被請求人代理人らが平成25年10月1日に同店を訪問し、店舗内外の様子を撮影したものを乙第28号証(別紙写真1-1及び1-2並びに2-1ないし2-6を含む。)として提出する。別紙写真1-1及び1-2は、店舗入口前の様子、別紙写真2-1ないし2-3は、店舗内の様子を撮影したものであり、該2-3によれば、同店のレジ付近には、(ア)白木のレジカウンターがあり、(イ)レジカウンター奥には濃いピンク色の壁があり、(ウ)濃いピンク色の壁に隣接して白色の太い角柱があり、(エ)該角柱には赤色灯のある非常用ベルが据え付けられている。また、(オ)該角柱の正面部には、レジカウンターと並行に、傘が陳列されている白色パイプの什器が設置されており、(カ)該白色パイプの什器の上の柱部分には白色の額縁に入れられた写真が3枚飾られていることが分かる。
他方、乙第11号証の2ないし4ページ目の写真は、乙第28号証の別紙写真2-2ないし2-5のサボイ表参道本店奥のレジカウンターに、時計バンドが籠に入れて展示されている様子を撮影したものであるが、2ページ目の写真には、上記(ア)白木のレジカウンターがあり、(イ)レジカウンターの奥には濃いピンク色の壁があり、(ウ)濃いピンク色の壁に隣接して白色の角柱があり、(オ)該角柱の正面部には、レジカウンターと並行に設置されている白色パイプの什器の一部が見えており、(カ)該白色パイプの什器の上の柱部分には白色の額縁も見えている。なお、上記(エ)の赤色灯のある非常用ベルは、カウンターの上に置かれたピンク色のリボンが巻かれた包装袋の陰になっているため、2ページ目の写真からは確認できないが、4ページ目の写真の右上端には、該2ページ目の写真に写っている包装袋の一部が写っており、該袋の上部に赤色灯が写っていることが確認できる。
以上のとおり、乙第11号証の写真には、乙第28号証の別紙写真2-2ないし2-5に写っているサボイ表参道本店奥のレジカウンター付近の特徴点(ア)ないし(カ)がすべて写っていることから、乙第11号証の写真は、サボイ表参道本店奥のレジカウンターに展示されていた時計バンドを撮影したものであることが分かる。
なお、乙第11号証に写っている時計バンドには、乙第19号証の写真1-1及び1-2の黒色商品タグがプラスチック製の紐で結び付けられており、該商品タグの表面には、本件商標と社会通念上同一の商標が大きく表されていることが合理的に推認できる。
イ 被請求人は、請求人による乙第11号証のイーメールの送信日時に関する疑問に対し、山陽商事本社のパソコンのメールソフトの受信トレイのキャプチャー画像(乙第29号証の1)及び受信メールのメッセージのソースの一部を拡大した状態のキャプチャー画像(乙第29号証の2)を提出する。乙第29号証の1によれば、「2012/05/01」に、「maika.bundale@ezweb.ne...」から「サボイ表参道本店」という件名で添付ファイル付きのメールを受信していることが分かる。該キャプチャー画像の右上には、上記メールのプロパティが表示されており、「サボイ表参道本店」という件名、「maika.bundale@ezweb.ne...」という送信者アドレスとともに、「送信日時:2012/05/01」、「受信日時:2012/05/01」と表示され、該キャプチャー画像の右下には、「メッセージのソース」が表示されている。また、乙第29号証の2によれば、送信元は、「From:maika.bundale@ezweb.ne.jp」、あて先は、「To:savoy_07@savoy-ny.com」、受信日時は、「Date:Tue,1 May 2012」と表示されている。
以上により、乙第11号証のイーメールが、2012年5月1日に、サボイ表参道本店の店長「金子舞佳」氏の携帯電話から山陽商事本社あてに送信されたものであることが分かる。
ところで、請求人は、乙第11号証のイーメールに添付された写真のjpg情報での提出を求めているが、該写真は、約1年半前に撮影されたものであり、既に金子舞佳氏の携帯電話から該当するデータは削除されているため、jpg情報で提出することはできない。
しかしながら、上記イーメールが2012年5月1日に金子舞佳氏の携帯電話から山陽商事本社あてに送信されたものであることが乙第29号証の1及び2から明らかとなったのであるから、該イーメールに添付されていた写真は、遅くとも2012年5月1日か、それ以前に撮影されたものであることに疑いを挟む余地はない。
また、請求人は、甲第5号証を提出して、携帯電話で撮影した写真の情報には、撮影の日時を表すデータが表示されているはずと主張するが、乙第11号証及び甲第5号証のアドレスと同様の携帯電話から、被請求人代理人あてに写真添付のイーメールを送信してみたところ(メールアドレスは個人情報のため黒塗りしている)、添付写真情報は、「DSC_00019.jpg」と表示されるのみで、撮影日時を表す情報がファイル名に表示されることはなかった(乙第30号証)。
したがって、携帯電話で撮影した画像を携帯電話で送信した際のファイル名の表示態様は、携帯電話の機種によって異なり、単に甲第5号証に示す事実をもって、被請求人が撮影日時を隠す目的で乙第11号証のイーメールに添付された写真のデータ名を意図的に変更したとする請求人の主張は、失当である。
なお、請求人は、乙第11号証の2ページ目の写真を掲載した2012年5月1日付けのブログ記事(乙第8号証)についても、利用者は自由にブログの内容を編集でき、事後的に記事を掲載することが可能であり、また、請求人が審判請求前に該記事を発見できなかったことから、該ブログ記事の日付は、事後的に作成された可能性があると主張するが、該ブログ記事は、確かに2012年5月1日に掲載したものであり、単に請求人が審判請求前にそれを発見できなかったにすぎないが、上述のとおり、乙第11号証のイーメールが2012年5月1日に金子舞佳氏の携帯電話から山陽商事本社あてに送信されたものであることが確認でき、該イーメールに添付されていた写真は、当然に該イーメールの送信以前に撮影されたものであるから、遅くとも2012年5月1日又はそれ以前に、サボイ表参道本店のレジカウンターにおいて、ピンクの籠に入った時計バンドが販売のために展示されていたことは十分に立証されており、ブログ記事の日付の真偽は、もはや問題ではない。
ウ 以上のとおり、今般新たに追加した乙第28号証及び乙第29号証により、乙第11号証の写真が、サボイ表参道本店のレジカウンター右端のピンク色の籠に入った時計バンドが「時計バンド/¥315」の表示板とともに置かれている状態を撮影したものであること、また、乙第11号証のイーメールは、2012年5月1日に、サボイ表参道本店店長の金子舞佳氏から山陽商事本社あてに送信されたものであること(したがって、乙第11号証のイーメールに添付された4枚の写真は、遅くとも2012年5月1日に撮影されたものであること、)、レジカウンター右端のピンク色の籠に入った時計バンドには本件商標が銀色で大きく表示された乙第19号証の写真1-1又は1-2の商品タグが結び付けられていたことが確認できる。
したがって、山陽商事は、遅くとも2012年5月1日に、本件商標を付した時計バンドを、サボイ表参道本店のレジカウンターで、販売のために展示していたことが証明できる(商標法第2条第3項第2号)。
(4)乙第15号証について
ア 被請求人は、請求人による乙第15号証のイーメールの送信日時に関する疑問に対し、山陽商事本社のパソコンのメールソフトの受信トレイのキャプチャー画像(乙第31号証の1)及び受信メールのメッセージのソースの一部を拡大した状態のキャプチャー画像(乙第31号証の2)を提出する。乙第31号証の1によれば、「2012/12/28 14:30」に、「maika.bundale@ezweb.ne...」から「時計ベルト写真」という件名で添付ファイル付きのメールを受信していることが分かる。該キャプチャー画像の右上には、上記メールのプロパティが表示されており、「時計ベルト写真」という件名、「maika.bundale@ezweb.ne.jp」という送信者アドレスとともに、「送信日時:2012/12/28」、「受信日時:2012/12/28」と表示され、該キャプチャー画像の右下には、「メッセージのソース」が表示されている。また、乙第31号証の2によれば、送信元は、「From:maika.bundale@ezweb.ne.jp」、あて先は、「To:savoy_07@savoy-ny.com」、受信日時は、「Date:Fri,28 Dec 2012」と表示されている。
以上により、乙第11号証(審決注:「11」は、「15」の誤記と思われる。)のイーメールが、2012年12月28日に、サボイ表参道本店の店長「金子舞佳」氏の携帯電話から山陽商事本社あてに送信されたものであることが分かる。
ところで、請求人は、乙第15号証のイーメールに添付された写真のjpg情報での提出を求めているが、該写真は、約10か月前に撮影されたものであり、既に金子舞佳氏の携帯電話から該当するデータは削除されているため、jpg情報で提出することはできない。
しかしながら、上記イーメールが2012年12月28日に金子舞佳氏の携帯電話から山陽商事本社あてに送信されたものであることが乙第31号証の1及び2から明らかとなったのであるから、該イーメールに添付されていた写真は、遅くとも2012年12月28日か、それ以前に撮影されたものであることに疑いを挟む余地はない。そして、単に甲第5号証に示す事実をもって、被請求人が撮影日時を隠す目的で乙第11号証(審決注:「11」は、「15」の誤記と思われる。)のイーメールに添付された写真のデータ名を意図的に変更したとする請求人の主張が失当であることは、既述のとおりである。
なお、請求人は、乙第15号証の1ページ目の写真を掲載した2012年12月28日付けのブログ記事(乙第14号証)についても、利用者はいかようにも編集可能であり、日時を証明する能力は低いと主張するが、該ブログ記事は、確かに2012年12月28日に掲載したものであり、単に請求人が審判請求前にそれを発見できなかったにすぎないが、上述のとおり、乙第15号証のイーメールが2012年12月28日に金子舞佳氏の携帯電話から山陽商事本社あてに送信されたものであることが確認でき、該イーメールに添付されていた写真は、当然に該イーメールの送信以前に撮影されたものであるから、遅くとも2012年12月28日に、サボイ表参道本店のレジカウンターにおいて、「時計バンド/¥315(税込み)」の表示板とともに、ピンクの籠に入った時計バンドが展示されていたことは十分に立証されており、ブログ記事の日付の真偽は、もはや問題ではない。
イ 以上のとおり、乙第15号証の写真は、サボイ表参道本店のレジカウンター右端のピンク色の籠に入った時計バンドが、「時計バンド/¥315(税込み)」の表示板とともに置かれていることを撮影したものであること、また、乙第15号証イーメールは、2012年12月28日に、サボイ表参道本店店長の金子舞佳氏の携帯電話から山陽商事本社あてに送信されたものであること(したがって、乙第15号証のイーメールに添付されていた2枚の写真は、遅くとも2012年12月28日に撮影されたものであること)、レジカウンター右端に展示されていたピンク色の籠に入った時計バンドとともにカウンター上に置かれていた「時計バンド/¥315(税込み)」の表示板には、本件商標が茶色で表されていたことが確認できる。
したがって、山陽商事は、遅くとも2012年12月28日に、時計バンドをサボイ表参道本店のレジカウンターで販売のために展示し、かかる展示の際に使用された価格表には、本件商標と色彩のみが異なる同一の商標が付されていたことが証明される(商標法第2条第3項第8号)。
(5)時計バンドの製造計画について
請求人は、甲第2号証の1として提出した被請求人の会社紹介記事と同日に出力したホームページ(2012年12月18日)では、時計バンドは商品として販売されていなかったため、平成23年から継続して時計バンドを販売しているとする被請求人の主張が事実と異なると主張する。
しかしながら、被請求人がサボイのオフィシャルウェブサイトのオンラインショップにて販売を開始したのは、2013年2月8日からであるから、請求人がした調査時点において、その販売がされていなかったのは当然である。被請求人は、時計バンドの販売が、過去の短期間に限って一時的かつ名目的に行われていたものではなく、販売を開始してから現在に至るまで継続して行っていることを示すため、答弁書において、山陽商事が2011年12月16日からサボイ表参道本店での時計バンドの販売を開始し、その後、現在もサボイ表参道本店のほか、オンラインショップでも継続して販売していると主張したのであって、2011年12月16日の販売開始当初からオンラインショップで継続的に販売していたとの主張は行っていないのであるから、この点についての請求人の主張は、失当である。
(6)まとめ
以上のとおり、答弁書及びこれまでに提出した各証拠により、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人から本件商標の使用許諾を受けた山陽商事の販売に係る「時計バンド」に使用されていることが明らかである。
3 上申書における主張
(1)乙第5号証及び乙第6号証について
ア 請求人は、乙第5号証及び乙第5号証の2の中国輸入業者の送り状写しの内容が判読不能であると主張するが、口頭審理においてそれらの原本を提示したことにより、その内容は明らかになったものと考える。
なお、「申請内容及詳細説明」の欄の英文字「Watchband」の下に書かれている漢字は、中国語で「時計バンド」を意味する「手表帯」である。
イ 乙第5号証における「税金」の手書き文字は、山陽商事の従業員が中国の工場から輸入した商品の仕入れ処理をするに当たってした走り書きで、送り状の内容とは無関係なものである。輸入業者からの請求については、乙第6号証として提出した輸入業者の請求書中、上から2つ目の項目の「費目」の欄に「運賃」とあり、小計819円との表示があるとおり、輸入業者からは運賃819円が請求されており、当該金額は、乙第5号証の右下部に記載されている金額と一致している。
また、答弁書において、「商品は完売した」と記載した点については、口頭審理において述べたとおり、再度取引の記録を確認したところ、実際に時計バンドの販売の事実が確認できたのは32個であり、残りの2個は、販売の記録が残っていないが、在庫もないため、紛失等したものと思われる。
さらに、請求人は、「売上リスト」(乙第7号証)によれば、追加注文の前までに販売された時計バンドの個数が合わない旨主張するが、それは、該リスト中の時計バンドに関する取引の件数を数えているからと思われる。時計バンドに関する取引の中には、1度に複数個の時計バンドが販売されたものがあり(2011年12月20日及び同月31日)、2012年7月1日までに販売された時計バンドの個数の合計は、32個である。
(2)乙第7号証及び乙第13号証ないし乙第15号証について
請求人は、被請求人が「時計」について不使用取消審判を受けることを予測して、その使用証拠準備のために、商品名の入力方法を変更したものと推測される旨主張するが、山陽商事は、商品名を随時変更しており、2012年12月に時計バンドを追加入荷した時点では、「SAVOY WATCH BAND」の商品名がより適切と考えて変更したものにすぎない。
なお、請求人は、別件取消審判の審決取消訴訟(平成24年(行ケ)第10277号)の判決が平成24年(2012年)12月5日に出されたため、同日以降、被請求人は、「時計」について不使用取消審判を受けることを知っていた旨主張するが、該訴訟の判決が出されたという事実のみをもって、本件審判が請求されることを被請求人が「知った」ことにはならない。
また、答弁書において述べたとおり、被請求人は、上記訴訟の判決が出された平成24年(2012年)12月5日より以前である2011年12月16日から本件商標を継続して使用している(乙第7号証)から、平成24年(2012年)12月5日以後においても本件商標を使用していることについては正当な理由がある(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説(第17版)1,352頁参照)。
よって、被請求人による本件商標の使用は、商標法第50条第3項のいわゆる「駆け込み使用」には当たらないから、請求人の主張は、失当である。
(3)乙第7号証及び乙第16号証ないし乙第18号証について
ア 被請求人が乙第16号証ないし乙第18号証の3件のみ証拠として提出した理由は、該各号証以外の証拠により、全11種類の時計バンドが販売された事実は既に立証されているため、商品の写真については、11種類すべてについて提出する必要はなく、商品に付された商品タグにより商品を直ちに特定することができる3種類のみを提出すれば十分と判断したからである。
しかしながら、今般、請求人から3種類のみでは数が少ないとの主張がされたため、乙第7号証の商品名の欄に記載されている全11種類の時計バンドについての写真を新たに提出する(乙第32号証)。乙第32号証別紙の各写真は、当時、時計バンドの仕入れ処理を担当した山陽商事の阿部美花氏が、中国から時計バンドを入荷した直後の2011年12月12日に、社内の商品管理の記録用に撮影した各時計バンドの写真であり、これにより、売上リスト(乙第7号証)の商品名の欄に記載がある「SAVOY WATCH C PURPLE」、「SAVOY WATCH M LEATHER」等の商品が時計バンドであることが分かる。
イ 乙第16号証ないし乙第18号証の商品タグ裏面に貼られた商品名の表示された白いラベルの下に文字が透けて見えるのは、被請求人は、商品を入荷した際に商品管理システムに商品のマスター登録を行っており、その際、商品名とは別に商品コードの入力がシステム上必要になるところ、小物以外の商品については、バーコード用の数字とアルファベットの文字列が当該商品コードに該当するが、バーコード管理を行っていない時計バンド等の小物については、バーコードの代わりに、例えば、乙第16号証の写真の商品タグ裏面に表示した「WATCH F GREY」等の文字を商品コード代わりとしてシステムに入力している。
しかしながら、商品コードは、システム上、入力文字数の制限が設けられており、当初時計バンドの商品タグ裏面に付した商品コードでは桁数が超過していることが判明し、制限内に収まる新たな商品コードを表示した白いラベルを重ねて貼付したため、白いラベルの下に文字が透けて見えているものである。
ウ 乙第20号証の3の写真の商品が「SAVOY WATCH I BLACK」と呼ばれる商品であることを示す証拠がないとの請求人の主張については、今般追加で提出する乙第32号証に該写真の商品と同じ商品の写真が含まれているため(乙第32号証の別紙11)、乙第32号証の提出をもって、乙第20号証の3の写真の商品「SAVOY WATCH I BLACK」であることは明らかになったものと考える。
エ 乙第21号証の3と乙第16号証の写真が同一であるにもかかわらず、日付の有無が相違するのは、デジタルカメラに付属の画像処理ソフトウェア(PHOTOfunSTUDIO3.0)を使用して写真をプリントする際に、撮影日の表示の有無を選択できる仕組みとなっており(乙第33号証)、本写真を印刷した際の印刷方法(撮影日の表示の有無)の設定が相違したからである。
(4)乙第8号証のブログと乙第11号証の写真について
ア 請求人は、被請求人が写真データの提出を拒んでいると主張するが、被請求人は、該写真を添付したイーメールの送信日時を乙第29号証の1及び2をもって立証している。
そうすると、上記イーメールに添付されていた写真は、当然に該イーメール送信日時以前に撮影されたものであることは明らかであるから、写真データの提出は不要と判断したにすぎない。
また、請求人は、被請求人が本件商標を時計バンドに使用していたことを直接証明できるのは乙第8号証及び乙第11号証の写真であるが、これらの写真が撮影された日付が証明されていないと主張するが、口頭審理、平成25年12月13日付け上申書でも述べたように、被請求人は、乙第8号証及び乙第11号証の写真を撮影し、該写真を本社あてにイーメールに添付して送信したサボイ表参道本店の店長金子舞佳氏の陳述書を提出して撮影日を立証しているほか(乙第9号証)、請求人の求めに応じ、乙第11号証のイーメールの実際の送信日時が明らかとなるように、「メッセージのソース」のキャプチャー画像を提出している(乙第29号証の2)。
したがって、乙第9号証の陳述書により、乙第8号証及び乙第11号証の写真の撮影日は立証されており、また、乙第29号証の2により、該写真が、遅くとも乙第11号証のイーメールが送信された2012年5月1日か、それ以前に撮影されたものであることが立証されている。
イ 2012年5月1日に、サボイ表参道本店で「時計バンド」の写真を撮影した理由及びこの時期にブログに掲載した理由は、2012年5月1日の時点では時計バンドの在庫は残り5点であったが、以降も継続的に入荷し、販売を行う予定であったため、宣伝のためにブログに掲載したものである。その後、平成24年(2012年)6月19日に別件取消審判において、本件商標を取り消すとの審決が出されたため、本件商標の取消審決が確定する可能性を考慮して、追加の発注及び販売を見合わせることにしたため、最初の輸入の商品がなくなった時点で商品の販売も中断したのである。その後、同年12月5日に、該審判の審決取消訴訟において勝訴したため、追加注文し、販売を再開した。
以上の経緯に、何ら不自然な点はない。
(5)乙第15号証のイーメールについて
請求人は、乙第15号証のイーメールが2012年12月28日に送信されたものであったとしても、添付写真の日付と内容が確認されたものではないから、証拠価値が低いと主張するが、該イーメールの送信日時は立証されているから(乙第31号証の1及び2)、添付写真は、時計ベルトの入荷後であって、かつ、該イーメールの送信日時以前に撮影されたものであることは自明である。
また、請求人は、乙第15号証のイーメールは本件審判が請求されることを予測して準備したものであると主張するが、商標法第50条第3項に当たると主張するためには、該当する商標の使用を開始した時点において、被請求人がその審判請求がされることを知っていたことが要件事実であるところ、請求人は、その事実を何ら立証していない。
さらに、請求人は、被請求人が追加で提出した乙号証のうち、2012年12月以降に作成された証拠は、本件審判の請求を予測して準備された駆け込み使用の証拠である旨主張するが、既述のとおり、平成24年(2012年)12月5日に別件取消審判の審決取消訴訟の判決が出されたとしても、それは、請求人による該審判には理由がないということが明らかになったにすぎず、そうであるからといって、被請求人が本件審判の請求がされることを知ったことにはならないから、請求人の主張は理由がない。
加えて、請求人は、別件取消審判の審決取消訴訟の判決についての請求人の見解を種々述べて、被請求人には代理人として大手の法律事務所が助言を与えていることから、該審判の審決が取り消されれば、取消の対象を変えての審判が提起される可能性については予測するのが通常であり、それにより駆け込み使用の準備がなされたものであると主張するが、かかる主張は、請求人の単なる憶測にすぎない。
そして、被請求人は、上記判決が出された日より以前である2011年12月16日から本件商標を継続して使用している(乙第7号証)から、2012年12月5日以後においても本件商標を使用していることについては、正当な理由がある。
いずれにしても、被請求人は、本件審判が請求されることを知らなかったから、2012年12月28日における本件商標の使用は、商標法第50条第3項のいわゆる「駆け込み使用」には当たらない。
(6)乙第19号証の商品タグの大きさ及び色について
請求人は、口頭審理において、乙第19号証の商品タグの大きさが不自然であると主張するが、被請求人は、バッグだけでなく、財布や名刺入れ等の小物にも該商品タグを使用しており、商品タグの大きさが不自然であるとすべき客観的理由はない。
また、請求人は、乙第11号証の写真において、時計バンドに結び付けられている商品タグの色が複数色あるように見えるため、該写真の商品タグは、乙第19号証の黒色商品タグとは思えないと主張するが、乙第11号証の写真は、撮影時の店舗の照明やフラッシュの光の加減によって、一部の商品タグの色が異なって見えているものであり、当時、被請求人が時計バンドに結び付けていた商品タグは、すべて乙第19号証の黒色商品タグである(乙第34号証)。
(7)乙第27号証の別紙5及び別紙6について
請求人は、乙第27号証の別紙5及び別紙6は税務申告の添付書面ではないため、信憑性に乏しいと主張するが、税務申告の添付書面である同号証の別紙1及び別紙2は、別紙5及び別紙6の情報に基づいて作成されており、別紙1及び別紙2の税務申告添付書面の数字と別紙3、別紙5及び別紙6の帳簿類の数字は一致しており、また、乙第24号証で示したように、山陽商事及び被請求人が利用する販売管理システムは、いったん確定した入力情報を、後日、人為的に操作して変更することがシステム上できないものであるから、乙第27号証の別紙5及び別紙6は真正であり、信憑性に乏しいとはいえない。
被請求人は、税務申告書及びその別紙並びにこれらの根拠となった会計帳簿類をすべて開示し、その正当性を証明するために第三者の報告書まで提出しているのであり、上記別紙5及び別紙6が税務申告の添付書面ではないことのみを理由としてその信憑性を争う請求人の主張は、失当である。

第4 当審の判断
1 被請求人は、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、通常使用権者である山陽商事が本件審判の請求に係る指定商品中の「時計バンド」について使用している旨主張し、乙各号証を提出しているところ、被請求人の主張及び同人の提出に係る証拠方法によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標の通常使用権者について
被請求人は、「時計、バッグ類、喫煙具、貴金属、宝石、筆記具、化粧品、装身具、家庭用電気製品、衣料用繊維製品、その他日用雑貨品及び医療機器の製造、販売及び輸出入」のほか、「商標権、意匠権の管理斡旋業務」等を目的として、平成10年11月4日に設立された法人であり、その代表取締役を「山田陽一」とし、本店を「東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング10階」に置くものである(乙第1号証)。
また、山陽商事は、「喫煙具、バッグ類、貴金属、宝石、時計、筆記具、衣類、電気機器類、化粧品、装身具、その他日用雑貨品の製造及び製品の輸出入、国内販売」等を目的として、昭和54年5月26日に設立された法人であり、その代表取締役を「山田陽一」とし、その本店を被請求人と同所に置くものである(乙第2号証)。
そして、被請求人と山陽商事とは、上記のとおり、代表取締役を同一人とするものであるところ、同人による陳述書(乙第3号証)によれば、山陽商事は、「東京都渋谷区神宮前4-32-13」にて「サボイ表参道本店」を運営しており、また、被請求人の所有に係る本件商標及びこれと同一の構成からなる商標を、その商標登録の日以降、そのすべての指定商品について使用することを許諾された通常使用権者であるとされているところ、この点につき、請求人は、特に争っていない。
してみれば、山陽商事は、本件商標の通常使用権者であると認められる。
(2)本件商標の使用について
ア 乙第7号証は、山陽商事の時計バンド売上リストとされるもの(全4葉)であって、各葉の左上方に「山陽商事株式会社」の記載、同じく、左下方に「13/02/28 10:13作成」の記載があるほか、「連番」、「売上日付」、「伝票No.」、「得意先名」、「商品名」、「売上数量」、「売上単価」及び「売上金額」等の項目ごとに、該当する名称や金額等の記載がされた一覧表であるところ、そのうちの「売上日付」の項目に、「13/01/04」の記載がある欄には、「得意先名」として「表参道本店」の記載、「商品名」として「(SAVOY WATCHBA)/SAVOY WATCH BAND」の記載、「売上数量」として「1」の記載、「売上単価」として「315」の記載及び「売上金額」として「315込」の記載がある。
また、「売上日付」の項目に、「13/01/05」の記載がある欄、「13/01/08」の記載がある欄、及び「13/01/13」の記載がある欄のいずれにも、上記「13/01/04」の記載がある欄における記載と同じ「商品名」等の記載があるほか、同項目に、「13/02/07」の記載がある欄には、「得意先名」として「表参道本店」の記載、「商品名」として「(SAVOY WATCHBA)/SAVOY WATCH BAND」の記載、「売上数量」として「2」の記載、「売上単価」として「315」の記載及び「売上金額」として「630込」の記載がある。
イ 乙第13号証は、輸入業者である「株式会社スコアジャパン」の2012年12月22日付け送り状の写しとされるものであるところ、これには、「SCORE JAPAN CO.,LTD.」の記載があるほか、日付として「2012/12/22」の記載、配達先として「山陽商事株式会社(J3824)」の記載、住所として「東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング10F」の記載、負責人として「Mr. Yoichi Yamada」の記載、商品詳細として「watch strap」の記載及び原産国として「China」の記載等がある。
ウ 乙第14号証は、SAVOY(サボイ)オフィシャルブログの2012年12月28日付け記事の写しとされるもの(全3葉)であって、2013年(平成25年)1月29日に紙出力されたものであるところ、その1葉目には、左上方に「☆SAVOY(サボイ)オフィシャルブログ☆」の記載があるほか、「SAVOY時計ベルト発売中☆」(2012-12-28)の見出しの下、「とってもキュートなSAVOY時計ベルトが登場しました・・・お値段も315円(税込み)ととってもリーズナブル!!」及び「時計ベルトはSAVO表参道本店のみの限定個数販売です!!ぜひチェックしてみてください」の記載があり、これに続く2葉目には、別掲2に示す画像(「SAVOY Goods」、「時計ベルト」及び「¥315-(税込み)」等の記載とともに本件商標と同一と認められる標章が付されている値札と、籠に入った商品「時計バンド」が写っているもの)が掲載されている。
エ 乙第15号証は、サボイ表参道本店の店長金子舞佳氏が2012年12月28日にサボイ株式会社本社あてに送った電子メールの写しとされるもの(全2葉)であるところ、その1葉目には、送信者として「<maika.bundale@ezweb.ne.jp>」の記載、あて先として「<savoy_07@savoy-ny.com>」の記載、送信日時として「2012年12月28日 14:29」の記載、添付として「attachment00.jpg; attachment01.jpg」の記載及び件名として「時計ベルト写真」の記載があるほか、メール本文として「サボイ本社後藤様 お疲れ様です。時計ベルトの写真を添付いたします。ご確認よろしくお願いします。 表参道本店 金子」の記載があり、さらに、該メール本文の下方に、別掲2に示す画像(ただし、その高さ及び幅はわずかに異なる。)が表示されており、これに続く2葉目には、別掲2に示す画像に写っている値札及び籠に入った商品「時計バンド」を別の角度から撮影したと思しき画像が表示されている。
オ 乙第31号証の1は、それぞれ山陽商事本社が利用するメールソフトの受信トレイのキャプチャー画像とされるものであるところ、これには、該受信トレイ上にある複数の受信メールの送信者、件名、受信日時等が一覧表として表示されており、該受信トレイ上にあるメールの一として、送信者を「maika.bundale@ezweb.ne.jp」、あて先を「savoy_07@savoy-ny.com」、件名を「時計ベルト写真」とし、メール本文として、乙第15号証のメール本文と同一の「サボイ本社後藤様 お疲れ様です。時計ベルトの写真を添付いたします。ご確認よろしくお願いします。 表参道本店 金子」の記載があるものが表示されている(該メールに係る一覧表上の「件名」である「時計ベルト写真」の文字の左方には、添付ファイルがあることを示すものと思しきクリップ様の図形が表示されている。)ほか、該メール本文の下方には、別掲2に示す画像に写っている値札部分と思しき画像の一部が表示されており、さらに、該メールの送信日時が「2012/12/28 14:29」であり、かつ、その受信日時が「2012/12/28 14:30」である旨が表示されている。
カ 上記アないしオによれば、山陽商事は、2012年(平成24年)12月に、中国から商品「時計バンド」(watch strap)を輸入した後、同月28日付けで、「☆SAVOY(サボイ)オフィシャルブログ☆」に、自らが運営する「サボイ表参道本店」の店長である金子舞佳氏から送信されたメールに添付されていた画像(別掲2)を用いて、時計バンドを315円(税込み)で、同本店において限定個数で販売を開始した旨を内容とする記事を掲載したと認められる。そして、該画像には、「SAVOY Goods」、「時計ベルト」及び「¥315-(税込み)」等の記載とともに本件商標と同一と認められる標章が付されている値札と、籠に入った商品「時計バンド」が写っている。
また、サボイ表参道本店では、上記ブログ記事が掲載された直後である2013年1月4日から同年2月7日までの間に、商品名を「SAVOY WATCH BAND」とする商品が315円(税込み)で合計6個販売されたところ、その販売対象の商品は、その販売時期、商品名及び価額を総合勘案すれば、上記ブログ記事に係る商品「時計バンド」であると推認される。
そして、上記商品「時計バンド」は、本件審判の請求に係る指定商品「時計」の範ちゅうに属する商品である。
2 以上によれば、本件商標の通常使用権者である山陽商事は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品「時計」の範ちゅうに属する商品「時計バンド」に関する広告を内容とする情報に、本件商標と同一の商標を付して電磁的方法により提供した(商標法第2条第3項第8号)というべきである。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、乙第15号証のメールについて、仮に該メールが2012年12月28日に送信されたものであったとしても、添付されていた写真の日付と内容が確認されたものではないので、その証拠価値は低い旨主張する。
しかしながら、上記1(2)において認定、判断したとおり、乙第15号証のメールは、2012年(平成24年)12月28日に、サボイ表参道本店の店長から山陽商事本店あてに送信されたものであって、かつ、該メールには別掲2に示す画像と実質的に同一といい得る画像が添付されていたのであり、また、該メール本文の記載内容及びその画像の添付の事実に照らせば、該画像は、該メールの送信日時前のさほど間隔のない時であって、かつ、遅くとも該メールの送信直前までには撮影されたものとみるのが相当であるから、上記請求人の主張を採用することはできない。
(2)請求人は、別件取消審判の審決取消訴訟を挙げて、該訴訟の判決言渡しがされた以降の日付で作成された乙第13号証ないし乙第15号証は、すべて本件審判が請求される可能性を知って作成されたものであるから、商標法第50条第3項の規定により、同条第1項に規定する使用には該当しない旨主張する。
しかしながら、商標法第50条第3項は、「その登録商標の使用がその審判の請求がされることを知った後であることを請求人が証明したとき」と規定しているのであって、請求人に対し、審判請求がされるであろうことを被請求人が知っていたことの証明を求めているところ、同条項のこのような文言に照らすと、「その審判の請求がされることを知った」とは、例えば、該審判請求を行うことを交渉相手から書面等で通知されるなどの具体的な事実により、当該相手方が審判請求する意思を有していることを知ったか、あるいは、交渉の経緯その他諸々の状況から客観的にみて相手方が審判請求をする蓋然性が高く、かつ、被請求人がこれを認識しているとみられる場合などをいうと解すべきであり、被請求人が単に審判請求を受ける一般的、抽象的な可能性を認識していたのみでは足りないというべきである。
これを踏まえて、本件をみるに、請求人の挙げる審決取消訴訟は、被請求人を原告とし、請求人を被告とするものであって、本件商標の指定商品中の第14類「身飾品,宝玉及びその模造品,時計」についての登録を商標法第50条第1項の規定により取り消す旨判断した特許庁の審決の取消しを求めるものであり、その判決は、該審決を取り消すとして、平成24年12月5日に言い渡され、既に確定しているものであるところ、上記判決が言い渡されたからといって、これをもって、直ちに被請求人が、本件商標の使用をした同年12月28日の時点で、請求人により本件審判が請求されるであろうことを認識していたとはいい難く、また、請求人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の使用が本件審判の請求がされることを知った後であることを客観的に裏付ける事実は見いだせない。
してみれば、請求人は、本件商標の使用について、商標法第50条第3項に規定する証明をしたとはいえず、よって、上記請求人による主張を採用することはできない。
4 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「時計バンド」について、本件商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標


2 乙第14号証及び乙第15号証に係る画像

(色彩については、原本参照のこと。)

審理終結日 2014-03-10 
結審通知日 2014-03-13 
審決日 2014-05-22 
出願番号 商願2001-33420(T2001-33420) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z14)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
田中 敬規
登録日 2002-04-19 
登録番号 商標登録第4561902号(T4561902) 
商標の称呼 サボイ、サボワ 
代理人 長門 侃二 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 太田 雅苗子 
復代理人 津末 恵子 
代理人 廣中 健 
代理人 田中 克郎 
代理人 宮川 美津子 
代理人 鳥羽 みさを 
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