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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z21
管理番号 1292739 
審判番号 取消2013-300268 
総通号数 179 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-11-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-04-04 
確定日 2014-09-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4433432号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4433432号商標の指定商品中「香炉」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4433432号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、平成12年3月28日に登録出願され、第21類「なべ類,鉄瓶,やかん,食器類(貴金属製のものを除く。),こしょう入れ・砂糖入れ及び塩振り出し容器(貴金属製のものを除く。),盆(貴金属製のものを除く。),ようじ入れ(貴金属製のものを除く。),ざる,しゃもじ,すりこぎ,すりばち,ぜん,なべ敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,ようじ,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,花瓶及び水盤(貴金属製のものを除く。),風鈴,香炉」を指定商品として、同年11月17日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成25年4月24日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中「香炉」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、答弁に対する弁駁、口頭審理における陳述及び上申書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査によると、本件商標の指定商品中「香炉」について、過去3年間使用された事実が認められず、また当該不使用に付き正当な理由も発見できないので、商標法第50条第1項の規定に基づき、その指定商品中「香炉」について取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は乙第7号証を提示し、指定商品「香炉」について本件商標を使用している旨を主張している。
本件商標は一枚の蓮の葉を表した図形(以下「蓮の葉図形」という。)の下に欧文字「HASU」を配した構成からなり、「HASU」の欧文字と共に蓮の葉図形もそれぞれ商標の重要な構成要素となっている。
ところで、提示の商品の表底面に直接表示した「HASU」の欧文字及び蓮の葉図形は、前記表底面のかなりの領域を占めて目立つように表現したものであって、これはもっぱら表現の装飾的あるいは意匠的効果である「面白い感じ」「楽しい感じ」「可愛い感じ」などにひかれてその商品の購買意欲を喚起させることを目的として表示されたものであり、その表示が付された商品の出所を知り或いは確認するための「目印」と捉えることは到底にできない表現態様である。それを裏付けるように、被請求人は当該香炉を店内の装飾品の一つとして販売した旨を述べている。
これに対して、「香炉」についての「本来の商標」すなわち、商品の識別標識としての商標は、広告、宣伝的機能、品質的機能を発揮するが、「本来の商標」の性質からいって、吊り札、包装箱等に表示されるのが取引社会の現状からして通常である。
したがって、乙第7号証の表示の使用行為は、これを客観的に見ても商標の本質的機能である自他商品の識別機能及び品質保証機能を有さず、また、その主観的意図からしても商品の出所を表示する目的をもって表示されたものではない。
よって、被請求人の提示したいずれの証拠からも、本件商標を指定商品「香炉」について商標的使用態様で使用している事実を見出すことはできない。
3 口頭審理期日(平成25年11月14日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
(1)「香炉」に表示された標章が、本件商標の使用にあたるか否かの判断にあたっては、当該香炉分野の商慣行を踏まえて関連取引者・需要者の視点に立ちつつ、本件の使用が出所識別標識として認識されるものであるかを検討しなければならない。
してみると、上記の取引者・需要者は、皿状香炉の表面の目立つ個所に然も大きく描いた蓮の葉図形や、離れた個所に示した「HASU」の欧文字は、いずれも香炉に施されたデザインとして認識するのが寧ろ自然である。
そして、通常商品を販売する場合には、売るためにつくられた品物であるため、その商品の販売価額を表示し、かつ買い上げた商品については包装箱等の包材に収納した状態で購入者に渡すものであって、その際、包材や販売額を表示した値札には、その商品の識別標識である商標が付してあるのが商取引では一般的であることを勘案して、商標法第2条第3項第2号に包材に標章を付す行為も使用の一態様である旨を規定している。
また、香炉は香をたく入れ物であることから、燃え滓により隠れてしまう皿内に商標を表示することは考え難く、本件のような皿状香炉に仮に商標を直接表示する場合であっても、通常皿の裏側に然もあまり目立たないような大きさで商標を表示するのが取引の社会通念上に照らして一般的である。
(2)本件の皿状香炉の表面に施された図柄及び文字が商標であると仮定しても、登録になっている商標は、蓮の葉図形の下に「HASU」の欧文字が記載されているものであって、全体としてまとまりのある一体商標として認識できるように表示されているにもかかわらず、本件での皿上の表面での表示態様は、蓮の葉図形は皿中央より右側の底から立ち上がり部分にかけて表示されており、一方、「HASU」の欧文字は中央より右側でかつ奥側立ち上がり部分に表示されており、蓮の葉図形と欧文字の表示個所がかけ離れた位置にあり、両者はそれぞれ繋がりのない個々に独立した商標として認識される。
したがって、蓮の葉図形と「HASU」の欧文字とを、まとまりのある一つの商標として捉えて認識することには、相当に無理がある。
(3)答弁の内容から、本件の皿状香炉が一品作品ではないか、との疑念が払拭できない。
商品の証拠写真を撮るために販売先の会社に当該香炉の提供が可能かを問い合わせていること自体に違和感を感じざるを得ない。
販売目的の商品である以上、同種の商品は通常相当数の在庫を備えているのが当たり前のことであるが、答弁書の上記内容を見る限り売った香炉が唯一の存在であり、他に同種のものが存在していないかの印象を受ける。
もしそうであるならば、一品しか存在していない品物に商標の使用である旨の主張をすること自体が不自然さを禁じえないし、一品しかない作品に商標を付す必要性もないように思う。
(4)取引書類が不自然である。取引書類において、控え書類であれば、通常の形態においては、請求書及び領収書には捺印はされていないのもであって、カーボンコピーが通常である。領収書の手書きも商売として可能ではあるが、不自然な印象はぬぐえない。
また、一取引のみの証拠の提示であるが、どのように商品を展示し、販売を行ったのか、商品の仕入先(注文書があるはず)はどこなのか、いずれも不明である。
(5)被請求人が提示した皿状をした香炉は、本当に香炉の用途に使用できるのか、疑念を感じる。
したがって、乙第7号証で提示された皿状香炉は香炉としての用途に適していないように推察される。
4 上申の内容
(1)被請求人は販売商品の包装箱等に「HASU」ブランドが表示されている旨を主張しているが、「HASU」ブランドと本件商標、即ち「蓮の葉図形」の下に「HASU」の欧文字が記載の商標とは別商標であり、本件商標を使用している証拠には全くならない。
(2)商品の販売を目的として商品の製造を依頼する場合には、求める商品の納入を確実にするために、製造業者と取引契約(条件)を通常定めるものであり、しかも本件審判においては3年以内の販売実績を問題にしていることとも相まって、本件審判の取消対象である香炉に関する製造業者、製造数、製造時期のいずれも特定できないということは、商品取引社会の通念に照らし不思議としかいいようがない。
いずれにしても、被請求人が販売した「香炉」ついては、乙第7号証に示す皿状香炉以外の存在を証拠により立証していないし、しかも、前記の皿状香炉は有限会社クロニクルワークス(以下「クロニクルワークス」という。)に唯一1個のみ販売しただけであり、他に当該香炉を販売したことを示す事実を証拠により立証していないことは明確である。
(3)証拠からは、販売した香炉は、クロニクルワークスに売った1個で且つこの1回限りであることは疑いのない事実である。
しかも、被請求人も消極的に認めているように、当該香炉は他に1個の在庫も有していない。
商標法上の商品は、本来的に流通性を有するものであることを予定しているものであって、一作品限りの商品や1回限りの取引に資される商品は、商品の製作者(又は販売者)と特定人との間における取引に限られるものであるから、そこには他人の商品との識別を必要とすることはなく、商品の流通性は存在しないというべきである。
よって、今回、クロニクルワークスに唯一1回限り売った香炉は、商標法上の商品ということはできない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を答弁書及び答弁書(2)、口頭審理陳述要領書における陳述及び上申書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第25号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)被請求人について
被請求人は、兵庫県神戸市中央区を主たる事務所(本社)の所在地として、主に飲食業・洋菓子製造小売・音楽出版事業を行う営業主体である(乙1)。
平成3年(1991年)に創業し、平成11年5月に社名を株式会社ポトマックに改称・組織変更して以降、様々な業態・コンセプトの飲食店や洋菓子店を多数出店していき、着実にその事業規模を拡大しており、現在(平成25年6月時点)の出店数は約50店舗にも達し、その営業地域は、今や神戸にとどまらず、西宮(兵庫県)、大阪、京都、東京、横浜(神奈川県)にも及んでいる(乙1)。
また、上記営業展開に付随して、被請求人は、被請求人が手掛ける店舗デザインや店内装飾品に注目した業界関係者から新規店舗のデザイン依頼や店内ディスプレイ用装飾品の販売について引き合いを受けることがあり、また、一般需要者からも店内装飾品や飲食物の提供に用いた食器等の販売について問い合わせを受けることから、これらの販売事業等も営んでいる。
(2)本件審判の請求に係る指定商品「香炉」についての本件商標の使用
被請求人は、1999年に、神戸市の旧居留地内にオリエンタル風レストラン「HASU オリエンタルティーサロン」をオープンし(乙1)、当該店舗の店舗ロゴとして、店舗看板等に本件商標の使用を開始した(乙2)。 当該店舗は、オリエンタル料理を提供するコンセプトのレストランであることから、店舗デザイン(外装及び内装)や店内装飾品にはアジアの雰囲気を醸し出すものが数多く用いられ、「香炉」も装飾品の一つとして取り扱われていた。
被請求人は、古着及び雑貨の販売事業を営むクロニクルワークスより、同社の経営する店舗デザイン及び店内装飾品について相談を受け、被請求人の上記レストラン「HASU オリエンタルティーサロン」で取り扱った装飾品が当該店舗の雰囲気に見合うことから、平成24年4月、店内装飾品の一つとして、本件商標を付した「香炉」を販売した(乙5及び6)。
乙第5号証は、上記取引に係る被請求人発行の平成24年4月20日付請求書であり、乙第6号証は、当該取引に関するクロニクルワークスからの支払い代金を被請求人が受領したことを裏付ける平成24年(2012年)4月26日付けの領収証である。
被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品「香炉」と同一の商品に本件商標を出所表示として認識される態様により付して、遅くとも2012年4月26日以前から使用している。
また、前記の使用時期(2012年4月)は、いずれも本件取消請求の予告登録日より3月以前でかつ3年以内に該当することは明白である。
以上により、被請求人が、本件取消請求の予告登録日より3月以前でかつ3年以内に、「香炉」について、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標を使用した事実は、十分証明されたものと判断されて然るべきである。
2 答弁の理由(2)及び口頭審理期日(平成25年10月29日付け口頭審理陳述要領書)における陳述
乙第7号証における商品の表底面には、本件商標構成中の蓮の葉図形が目立つ態様で描かれており、それに隣接する表縁面には、本件商標構成中の欧文字「HASU」が書されている。
上記使用態様は、蓮の葉図形と「HASU」の欧文字の位置関係において本件商標と差異が認められるものの、一般消費者が一見して「香炉」に付された両構成要素を容易且つ一体的に視認できることから、本件商標、若しくは本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用と判断されて然るべきである。
このため、商標権者である被請求人自らが本件審判の請求に係る指定商品「香炉」についての登録商標の使用をしていることは、明らかである。
請求人は、被請求人が上記で述べた本件商標の使用について、平成25年8月28日付弁駁書(2)において、上記使用事実を認めつつも、「商標の本質的機能である自他商品の識別機能及び品質保証機能を有さず、また、その主観的意図からしても商品の出所を表示する目的をもって表示されたものではないものと判断する。」と述べ、その根拠として、被請求人が「香炉」を店内の装飾品の一つとして販売したこと、商品の識別標識としての商標は通常その性質上、吊り札、包装箱等に表示されること、及び4件の裁判例を挙げている。
請求人の主張によれば、商標が付された商品が購入者によって装飾目的に使用されるのであれば、その商標はたとえ有名性を獲得していても商標の本質的機能を発揮しないとの結論を導出しかねず、取引の実情に反するだけでなく、具体的根拠を欠くものといわざるを得ない。また、商標権者の主観的意図をもって商標の機能が判断されるものでないことは、需要者の利益保護を目的とする商標法の趣旨に照らしても明らかである。
また、商標法第2条第3項第1号及び第2号に、商品そのものに標章を付する行為は商品商標の使用と定義されており、吊り札、包装箱等に縦示されることのみが商品商標の使用でないことは、法律上明らかである。したがって、吊り札、包装箱等に表示されていないことは、本件商標の使用を否定する根拠とは到底なり得ない。
食器類をはじめとする陶磁器の表面に商標が出所標識として表示されることに馴染みある一般消費者であれば、「香炉」における本件商標の表示を自他商品の識別標識と認識する可能性は極めて高いものといえる。したがって、請求人が引用した裁判例は本件商標の使用を否定する根拠とはいい難い。 以上により、請求人の弁駁書における主張はいずれも具体的且つ客観的根拠を欠くものといわざるを得ない。
3 上申の内容
(1)香炉の製造業者、製造数、製造時期に関する庁の質問について、特定することができなかった。
(2)商標法上の商品該当性
請求人は、本件香炉を一品作品と指摘し、その根拠として、乙第7号証の証拠写真を撮るために被請求人がクロニクルワークスに本件香炉の提供可否を問い合わせていることを挙げている。
請求人の主張によれば、在庫品を一切持たず、受注後に製造を開始する販売方法において提供される商品は、全て一品作品と扱われることになり、昨今の取引の実情と著しく乖離したものと言わざるを得ない。
被請求人がクロニクルワークスに本件香炉の提供可否を問い合わせたのは、被請求人の販売に係る商品であっても、引き渡し後は当該商品の所有権が同社にあることからすると、当然の行為である。
また、乙第24号証からも明らかなとおり、被請求人は、本件商標を付した「香炉」以外にも同種の商品の販売を提案している。
このため、在庫品の有無等をもって本件香炉が一品作品との請求人の上記主張は失当である。

第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人提出の証拠には以下の記載がある。
ア 乙第5号証は、被請求人発行の平成24年4月20日付け、クロニクルワークス宛の請求書であり、摘要欄に「cafe DP用品 HASU 香炉」、請求金額欄に「¥3,150」と記載されている。
イ 乙第6号証は、被請求人発行の2012年4月26日付け、クロニクルワークス宛の領収書であり、領収金額欄に「¥3,150」、但欄に「DP用品 HASU 香炉1」と記載されている。
ウ 乙第7号証は、「HASU 香炉 Cafe(eにはアクサンテギュが付されている。)卓上サイズ」の表題のもと、別掲(2)に示すとおり、立ち上がりのある皿の左側には蓮の図形を配し、中央には赤い三角香が置かれ、皿の立ち上がり部分の右側には「HASU」の欧文字が表示された写真2枚の他、撮影場所、撮影日時、撮影者(ポトマック)が記載され、「上記の商品を、平成24年4月20日に株式会社ポトマックより購入したことを証明します。」、「平成25年7月16日」の記載他、「有限会社クロニクルワークス」の記載と共に、住所、代表取締役の氏名、捺印がされている。
エ 乙第23号証は、被請求人の現金出納帳であり、伝票日付欄に「12/04/26」、摘要欄に「クロニクルワークス/DP用品/HASU」、借方欄に「3,150」と記載されている。
オ 乙第24号証は、被請求人がクロニクルワークスに宛てた「HASU 卓上小物(三角香立て)のご提案」と表示された提案書であり、右上には、「2011-11-07」と記載されている。
上記提案書には、様々な形状の無地の香立てがサイズ表示と共に表示され、該提案書の2枚目には、上記ウと同じ形状の無地の皿の写真が表示されている。
そして、該提案書の下方には、別掲(3)に示すとおり、蓮の葉図形と「HASU」の欧文字が一連で表示され(以下「提案書標章」という。)、その下には、「HASUロゴ入りアイテムは、在庫数により納期が変動する場合がございます。」、「HASUロゴのサイズ・レイアウトの変更はご相談ください。」、「在庫品以外のオーダーの場合は、納期を2か月程いただいております。」と記載されている。
(2)以上の記載及び被請求人の主張を総合すれば、以下の事実が認められる。
ア 被請求人は、クロニクルワークスに対し、店内の装飾品として、蓮の葉図形と「HASU」の欧文字を表示した「香炉」の提案を行った。
その提案に対し、クロニクルワークスは、提案書標章の蓮の葉図形と「HASU」の欧文字の配置を、乙第7号証の表示とおりとする皿型の「香炉」をオーダーした。
イ 被請求人は、乙第7号証の香炉(以下「使用商品」という。)を、クロニクルワークスに平成24年4月20日に引き渡し、同月26日に、クロニクルワークスから香炉代金として、3150円が支払われた(乙5及び乙6)。
2 判断
前記1のとおり、使用商品が、平成24年4月20日に、被請求人からクロニクルワークスに、販売(譲渡)されたことが認められる。
ところで、本件においては、使用商品に表示された標章が、本件商標と社会通念上同一ものであるか否か、商品の出所表示機能を有するものとして使用されているか否かに争いがあるので、以下、これらの点について判断する。
(1)本件商標は、別掲(1)に示すとおり、上段に、蓮の葉図形(その左下方から茎と思われる曲線が縦方向に向いているものを有する。)を表し、その下段に籠字風に表した「HASU」の欧文字を配した構成からなるものであり、図形部分と文字部分とは、両者間に多少の隙間を有するとしても、ほぼ同じ幅内に一体的に表されている。
これに対し、使用商品に表示された標章は、別掲(2)に示すとおり、皿型の香炉の中央に置かれた赤い三角香の左側、香炉の表底面に、蓮の葉図形(本件商標の蓮の葉図形を左に45度ほど回転したようにみえるもの)を配し、赤い三角香の右側後方の香炉の立ち上がり部分に、黒色の「HASU」の欧文字を配した構成からなるものであり(以下、乙7に表示された標章を「使用標章」という。)、文字部分と図形部分とは、左右に間隔を広くあけて配置され、視覚上分離して見えることから、これらを一体のものとして認識されるとみるのは困難である。
そこで、子細に本件商標と使用標章を対比すると、両者は、文字部分と図形部分の各外形は一致するものの、1)図形部分と文字部分の配置の相違、2)籠文字と黒色との「HASU」の文字色の相違、3)蓮の葉図形の向きの相違等、その配置や構成部分の表示態様に相違を有するものであり、かつ、一体的に表された本件商標と、分離して表され、皿のデザインを思わせるように配置された使用標章では、それぞれの構成全体から受ける印象も異なったものといえる。
また、使用標章は、その配置から香炉に施されたデザインと認識されるものとみることができ、被請求人が作成した使用商品の提案書(乙24)に、「HASUロゴ入りアイテムは・・・」、「HASUロゴのサイズ・レイアウトの変更はご相談ください」と記載しているように、被請求人も、使用標章を香炉に表示するデザインとして捉えていたことが伺われる。
以上のことからすれば、使用標章と本件商標とを、社会通念上同一の商標と認めることはできない。
(2)まとめ
前記のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人が、「香炉」に使用標章を表示して、他人に販売したことは認められるものの、これをもって、登録商標と同一又は社会通念上同一商標を、取消に係る指定商品に使用したということはできない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその取消請求に係る指定商品のいずれかについての使用をしていることを証明していないものといわざるを得ず、また、被請求人は、使用をしていないことについて正当な理由があると述べるものでもない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、取消請求に係る「結論掲記の指定商品」について、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)使用標章(乙7)

(色彩は原本参照)

(3)提案書標章(乙24)




審理終結日 2014-07-09 
結審通知日 2014-07-11 
審決日 2014-07-28 
出願番号 商願2000-30648(T2000-30648) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z21)
最終処分 成立 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2000-11-17 
登録番号 商標登録第4433432号(T4433432) 
商標の称呼 ハス 
代理人 宮田 信道 
代理人 特許業務法人 有古特許事務所 
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