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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X31 審判 全部申立て 登録を維持 X31 審判 全部申立て 登録を維持 X31 |
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管理番号 | 1291792 |
異議申立番号 | 異議2013-685013 |
総通号数 | 178 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-10-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-07-23 |
確定日 | 2014-07-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 国際登録第934975号に係る商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 国際登録第934975号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件国際登録第934975号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、2011年(平成23年)6月16日に国際商標登録出願(事後指定)、第31類「Foodstuffs for animals,including additives to fodder not for medical purposes;beverages for pets,dietetic substances for animals not adapted for medical use;litter for animals.」を指定商品として、平成25年2月25日に登録査定、同年4月26日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要点) 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録が取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出している。 (1)本件商標の商標権者について 本件商標の商標権者は、ペットフードをはじめとするペット用品の製造販売を主たる業務とするドイツ法人である(甲3)。 (2)引用商標について ア 申立人について 申立人である「ノルメリカ インコーポレイテッド」は、1991年に設立した、ペットフードをはじめとするペット用品の製造販売を主たる業務とするカナダ法人である(甲4)。 イ 引用商標の周知性 申立人は、日本において、遅くとも2012年2月には、商標「VitaLife」(以下「引用商標」という。)を「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」に使用している(甲5)。そして、申立人は「VitaLife」、「VitaLife Plus」、「VitaLife Cuisine」とのペットフードのシリーズブランド(以下「申立人ブランド」という。)を展開しており、引用商標は、これらの冠ブランド名として共通して用いられている。 申立人ブランドは、原料や機能に応じて様々な商品展開がなされており、例えば、「VitaLife チキンテンダー」、心臓と循環器系の働きを助けるペットフード「VitaLife ヘルシーハート&アイテンダー」、軟骨の修復と維持を目的とするペットフード「VitaLife ヘルシーヒップ&ジョイントテンダー」等の幅広い商品バリエーションが展開され、いずれの商品にも引用商標が用いられている。そして、高い品質と幅広い商品展開によって、申立人ブランドに係る商品は、カナダでは、ペットフードにおいて、第一位の市場シェアを誇るに至っている(甲7)。 日本市場においては、日本の販売代理店を通じて販売されており(甲6)、店頭での販売をはじめとして、インターネット等を用いた通信販売がなされ(甲8の1?5及び甲9の1・2)、例えば、2012年2月は、卸売値で約70万円分もの商品を申立人は日本の販売代理店に出荷する実績を有するまでに至っている。すなわち、毎月500個以上の引用商標に係る商品が販売されている。 以上のとおり、高い品質のおやつ用ドッグフード、犬用ビスケット、ペットフードを提供し続ける申立人は、ペットフード等の需要者、取引者間において、高い評価を得ていることが認められる。 したがって、少なくとも本件商標の査定がなされた頃(2013年2月25日)までには、引用商標は、申立人の業務に係るおやつ用ドッグフード、犬用ビスケット、ペットフードの需要者、取引者間に広く知られており、すなわち、強い顧客吸引力を発揮するに至っているものである。 (3)商標の類似性について ア 本件商標について 本件商標「Vita Life」は、アルファベット8文字を横一列に表してなり、その外観から「ビタライフ」又は「ヴィタライフ」との称呼が生じる。 観念については、一般的な英語辞典等には掲載されていないことから、特定の観念は想起し得ないとも考えられるが、「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」に関する需要者、取引者間において、引用商標は、申立人の業務に係る商品を示す商標として広く親しまれていることからすれば、「カナダのNormerica社(申立人)」との観念を想起せしめる。 イ 引用商標について 引用商標「VitaLife」は、アルファベット8文字を横一列に表してなり、その外観から「ビタライフ」又は「ヴィタライフ」との称呼が生じる。 そして、「VitaLife」は、申立人の業務に係る「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」を示す商標として広く親しまれているから、その需要者、取引者が引用商標に接した場合には、「カナダのNormerica社(申立人)」との観念を想起せしめる。 ウ 両商標の対比 上記のとおり、本件商標は、引用商標と欧文字の配列、これから生じる称呼「ビタライフ」(又は「ヴィタライフ」)及び観念が共通するから、両商標は、外観が相紛らわしく、称呼及び観念を共通にする類似の商標である。 エ 商品について 引用商標は、「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」に使用しており、本件商標の指定商品は、「Foodstuffs for animals,including additives to fodder not for medical purposes;beverages for pets,dietetic substances for animals not adapted for medical use;litter for animals.」(第31類)であって、その一部に、「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」を含むものである。 オ 小活 上記アないしエのとおり、本件商標は引用商標と相紛らわしいほどに近似し、また、その使用に係る商品が共通することから、両商標は類似するものである。 (4)商標法第4条第1項第7号について 上記(3)のとおり、本件商標は、引用商標と共通する文字構成からなり、スペースが配されているものの、その態様は酷似するものであり、引用商標は、「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」に関する主たる需要者、取引者の間で周知著名である。 このような本件商標を、申立人とは何らの関係も有しない他人である本件商標権者が使用することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を、引用商標の著名性にただ乗り(フリーライド)することにより得ようとすることにほかならず、引用商標の文字に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあることから、本件商標は不正の目的をもって使用し引用商標が持つ顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図が推認でき、その結果、このような行為は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するので、本件商標は、商標法第4条1項第7号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第10号について 上記(3)のとおり、本件商標は、引用商標とその外観、称呼及び観念において相紛らわしく、また、本件商標の指定商品は、「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」を含むものであり、さらに、引用商標は、申立人の業務に係る商品を示す商標として、「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」に関わる需要者、取引者において、広く親しまれているものである。 したがって、本件商標が日本国内において、その指定商品について使用された場合には、需要者、取引者に出所の混同を生じせしめるおそれが極めて高いから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第19号について 引用商標は、「おやつ用ドッグフード,犬用ビスケット,ペットフード」関連の業界において、少なくとも北米では著名であり、本件商標権者は、ドイツを中心としてペットフード事業を展開しつつもアメリカ合衆国にも拠点を有していることから、本件商標の出願日(2011年6月16日)より前には、引用商標を知悉していたものといえる。 このように、本件商標権者が、引用商標と酷似する本件商標を自己の「ペットフード」関連の商品に使用する行為は、周知著名である引用商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)したブランド商品が市場に蔓延することになり、その結果として、申立人が長年の営業努力によって築いた引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の毀損を招来させることが明らかである。すなわち、本件商標権者は、周知著名である引用商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)することを意図して、本件商標を取得したことが明らかであって、不正の目的をもって使用するものである。 したがって、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に、極めて広く認識されており、そして、本件商標は、引用商標に類似しており、不正の目的をもって使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (7)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号又は同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のことが認められる。 (ア)申立人は、1991年に設立したペットフード等のペット関連商品の製造・販売を主たる業務とするカナダ法人である(甲4及び甲5)。 (イ)申立人ブランドがカナダにおいて高いシェアを有している旨のインターネットの記事が1件あることが認められる(甲7)が、これ以外に引用商標が外国において広く知られていた商標であることを証明する証拠の提出はない。 (ウ)申立人の日本市場向けの商品パンフレットの写しによれば、申立人は、引用商標を犬用ペットフードに使用し、また、引用商標を用いた商品シリーズを展開しており(甲5)、これらの商品は、日本の販売代理店を通じて販売され(甲6)、インターネット等を用いた通信販売もなされている(甲8の1?5及び甲9の1・2)。 以上により、引用商標ないし申請人ブランドを使用した商品が我が国において販売されていることは認められるが、提出された証拠からは、a.我が国における使用開始時期、使用期間、使用地域、b.生産、譲渡の数量又は営業の規模(店舗数、営業地域、売上高等)、c.広告宣伝の方法、回数及び内容、d.一般紙、業界紙、雑誌又はインターネット等における記事掲載の回数及び内容等を何ら確認することができず、ほかに、我が国における需要者の間において、引用商標が申立人の業務に係る犬用ペットフードを表示するものとして、広く認識されていたことを証明する証拠の提出はない。 イ 上記アによれば、申立人が提出した証拠をもって、引用商標が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人又は同人の業務に係る商品を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されていたとはいい難い。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 本件商標は、別掲のとおり、「Vita Life」の欧文字を書してなり、他方、引用商標は、「VitaLife」の欧文字を書してなるところ、両商標は、類似の商標といえるものである。 そして、引用商標の使用に係る「犬用ペットフード」は、本件商標の指定商品中「Foodstuffs for animals,including additives to fodder not for medical purposes;beverages for pets,dietetic substances for animals not adapted for medical use.」と同一又は類似の商品である。 しかしながら、上記(1)認定のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に、申立人の業務に係る犬用ペットフードを表示するものとして、広く認識されていたものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第19号該当性について 上記(1)認定のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内又は外国における需要者の間に、申立人の業務に係る犬用ペットフードを表示するものとして、広く認識されていたものということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定のその他の要件について論及するまでもなく、同号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第7号該当性について 上記(1)認定のとおり、本件商標の登録査定時において、引用商標が日本国内又は外国における需要者の間に、広く認識されていたものとはいえないから、本件商標は、引用商標の顧客吸引力等にただ乗りするものとはいい難く、その他、本件商標をその指定商品について使用することが、社会の一般的道徳観念に反するような事情、あるいは、登録を認めることが商標法の予定する公正な競業秩序の維持に反し、商取引上の信義則に反するものとして到底容認し得ないとすべき事情などは見受けられない。 そして、本件商標は、「Vita Life」の欧文字を表してなるものであるから、その構成自体において公序良俗に違反するものでないことは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
【別記】 |
異議決定日 | 2014-07-02 |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(X31)
T 1 651・ 22- Y (X31) T 1 651・ 25- Y (X31) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小松 里美 |
特許庁審判長 |
酒井 福造 |
特許庁審判官 |
根岸 克弘 浦辺 淑絵 |
登録日 | 2007-07-05 |
権利者 | Vitakraft-Werke Wuhrmann & Sohn GmbH & Co. KG |
商標の称呼 | ビタライフ、バイタライフ、ビタ、バイタ、ライフ |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 松村 由布子 |