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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1291782 
異議申立番号 異議2014-900011 
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-10-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-01-10 
確定日 2014-09-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5622175号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5622175号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5622175号商標(以下「本件商標」という。)は、「国際ビーチラグビー協会」の文字と「INTERNATIONAL BEACH RUGBY ASSOCIATION」の文字を二段に横書きしてなり、平成25年2月20日に登録出願、第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同年9月4日登録査定、同年10月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)IRB(International Rugby Board、国際ラグビーボード、国際ラグビー評議会)について
IRBは、1886年に設立され、ラグビーユニオン(以下「Rugby」という。)の競技・大会のための国際的な統括及び立法機構であって、その目的の一つにRugbyの国際的発展がある。我が国においても、特にスポーツ関連の業者・スポーツに関心のある一般人によく知られている(甲4?甲7、甲10?甲17)。
(2)IRBとビーチラグビーとの関係
ア IRBは、その加盟国及び加盟地域連合のために、IRBのウエブサイトに「Beach Rugby Laws」(ビーチラグビー競技規則)を公表している(甲21)。
イ Rugbyには、各種変形型が存在し、ビーチラグビーもその一つであり、IRBは、これらに関し、「A Beginner’s Guide to Rugby Union」なる題名の出版物を発行している(甲22、甲40)。
ウ IRBの加盟国及び加盟地域連合は、ビーチラグビー競技大会の開催に活発である(甲24?甲28)。
エ IRBは、ビーチラグビーを含むあらゆる種類のラグビーのための国際連合として、他のスポーツ団体・協会に許可されている(甲29?甲32)。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性
本件商標は、ビーチラグビー(競技・大会)を国際的に統括する組織を認識させるものであるところ、IRBは、Rugby競技・大会の国際的な統括・立法機関であることが知られており、ビーチラグビーの競技・大会にも国際的に支配・後援・関与している。
また、例えば、ビーチサッカーは、サッカーの統括団体であるFIFAによって、ビーチバレーは、バレーの統括団体であるFIVBによって、また、ビーチハンドボールは、ハンドボールの統括団体であるIHFによって、それぞれ統括されている(甲33?甲35)ように、そのスポーツの国際統括団体が総括している。
したがって、本件商標がその指定役務に使用された場合は、該役務がIRBの主催・後援・ライセンス下等、IRB又はこれに関連のある業務に係るものと混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、ビーチラグビーのスポーツ競技について、組織において、また、活動範囲において国際的な団体を認識させるものである。
しかしながら、他の一般のスポーツ競技の場合と同様に、ビーチラグビー競技のもつ公共・一般性及び国際性に鑑み、上述したような意味を認識させる商標の登録を一私人に認め、独占させるのは穏当でない。
一方、IRBは、国際オリンピック委員会及びその他の国際スポーツ連盟の場合と同様に、Rugbyのための唯一つの国際連盟である(甲1)。
してみると、本件商標がその指定役務に使用及び登録維持がされれば、Rugbyのための国際統治・立法機関としてのIRBの権威・目的及び責任を毀損させる結果を招く。
特に、Rugbyの国際的な発展・促進するためIRBの国際的・公益的な活動を妨げるものである。
したがって、本件商標は、国際信義、及び高い公共性すなわち、公の秩序を害するおそれがあるものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出した証拠(各項の括弧内に掲記。なお、訳文の提出がないものについては除く(商標法施行規則第22条第7項において準用する特許法施行規則第61条参照)。)によれば、以下の事実を認めることができる。
ア IRBの著名性
IRBは、「国際ラグビーボード」あるいは「国際ラグビー評議会」を意味する「International Rugby Board」の略語として、また、Rugbyの競技・大会のための国際的な統括団体として、我が国のスポーツ関連業界及びラグビー愛好家の間に広く知られるものと認めることができる(甲1、甲3?甲8、甲10?甲15、甲18、甲20、甲40)。
イ IRBとビーチラグビーとの関係
(ア)Rugbyには、各種変形型が存在し、最も古いものは7人制ラグビーであり、そのほか、タッチラグビーやタグラグビー等があり、砕けた派生型としてビーチラグビー、スノーラグビーがある(甲40)。
(イ)ビーチサッカーの大会は、国際サッカー連盟(FIFA)によって主催されているものであり、ビーチバレーの大会は、国際バレーボール連盟(FIVB)によって、また、ビーチハンドボールの大会は、国際ハンドボール連盟(IHF)によって、それぞれ主催されていることが認められる(甲33?甲35)。しかし、ビーチラグビーの大会がIRBにより主催され、統括されている事実を認めるに足りる証拠の提出はない。
(ウ)申立人は、「IRBは、Rugby競技・大会の国際的な統括・立法機関であることが知られており、ビーチラグビーの競技・大会にも国際的に支配・後援・関与している。」と主張するも、これを認めるに足りる的確な証拠の提出はない。
(エ)以上によれば、申立人の提出した証拠からは、IRBとビーチラグビーの競技・大会とが密接な関連性を有すると認めるに足りる証拠を見いだすことができない。
ウ 国際ビーチラグビー協会について
(ア)「ラグビーマガジン」2007年1月号(ベースボール・マガジン社発行:甲11)によれば、「CONTENTS」の下部に「84 ビーチ通信」との記載があり、その84頁には、「BEACH FOOTBALL通信」の表題のもと、ビーチフットボールの競技大会などの記事が掲載され、同頁下部には、「国際ビーチフットボール協会 東京都千代田区三崎町3-10-10・・・オフィシャルホームページwww.beachfootball.com」と記載されている。また、同雑誌2008年10月号、2008年12月号、2013年2月号、2013年4月号、2014年2月号(甲13?甲17)には、いずれも「CONTENTS」に「ビーチ通信」との記載があり、さらに、上記2013年4月号(甲16)の91頁には、「2013年、新たな飛躍元年!名称変更!『ビーチフットボール』は『ビーチラグビー』へ!」との表題が記載され、同153頁には、「2013年/ビーチフットボールは“ビーチラグビー”に生まれ変わります。」、「創設24年にあたる本年4月より、皆さまに親しみ愛されておりますスポーツ名『ビーチフットボール』を、『ビーチラグビー』に名称変更します。1990年、湘南海岸で開催された『サーフ‘90』、このイベントをきっかけに前身である、『ビーチタッチフットボール』が誕生し、1991年7月に第一回関東大会が湘南ひらつかビーチパークで開催されました。もとよりこの競技は、ラグビーのタッチフットボールを原型とし、ビーチ用にアレンジしたスポーツです。・・・」などと記載され、最下部には、「国際ビーチラグビー協会/www.beachrugby.jp」と記載されている。
(イ)前記(ア)の「国際ビーチラグビー協会/www.beachrugby.jp」(オフィシャルホームページ)の「国際ビーチラグビー協会」の頁には、「ビーチラグビーは1990年に生まれた日本発祥のビーチスポーツです。1991年7月に湘南平塚で行われた第一回関東大会を皮切りに現在も全国各地にてそれぞれの大会を開催しております。そのトーナメントで勝ちあがった各地区代表チームが7月下旬に行われる全国大会へ進み男子、女子それぞれの全国ナンバー1を目指す図式となっています。ビーチラグビーの最大の目標は日本発祥のビーチスポーツとして、日本国内に留まらず世界人々により広くより深く根付かせて行く事にあります。国境や言語の壁を越え、世界中とコミュニケーションできるこのスポーツを一人でも多くの方に愛されるスポーツに高め、ひいては日本を代表するビーチスポーツとして確立していきたいと考えております。」と記載され、また、「国際ビーチラグビー協会沿革」の頁の冒頭には、「1990/明治大学ラグビー部OB若狭平和氏(現IBRA副会長)が日本発祥のビーチスポーツとして、ビーチラグビーの前身ビーチタッチフットボールを考案し具現化する。」と記載されている。
ちなみに、「IBRA BEACH RUGBY JAPAN TOUR/2014年のスケジュール(仮)発表?!」(甲17)によれば、6月14日から8月24日まで、東海大会、北関東大会、白浜大会、関西大会、中部大会、九州大会、1日大会関東&関東大会、リベンジ上越大会」が組まれている。
(2)前記(1)で認定した事実を総合すると、IRBは、「国際ラグビーボード」あるいは「国際ラグビー評議会」を意味する「International Rugby Board」の略語として、また、Rugbyの競技・大会のための国際的な統括団体として、我が国のスポーツ関連業界及びラグビー愛好家の間においては広く知られるものであるとしても、1990年に誕生した日本発祥のビーチスポーツであるビーチラグビーは、Rugbyより派生したRugbyの変形型のスポーツであるという点などにおいて、RugbyないしIRBとの関連性を見いだすことができるにすぎず、競技や大会の開催等において、IRBと密接な関係を有するものと認めることができない。のみならず、ビーチラグビーは、2013年(平成25年)4月に、「ビーチフットボール」の名称から変更したものであるものの、1990年の誕生以来24年以上にわたり、日本各地で大会が開催されているものであって、ビーチラグビーを主催する「国際ビーチラグビー協会」の活動は、本件商標の商標権者が発行する「ラグビーマガジン」に毎月掲載されていることを推認することができるから、少なくとも「国際ビーチラグビー協会」の名称は、我が国のスポーツ関連業界及びビーチラグビー愛好家の間には、広く知られるものと認めることができる。
(3)商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、前記1のとおり、「国際ビーチラグビー協会」の文字と「INTERNATIONAL BEACH RUGBY ASSOCIATION」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、前記(2)で認定した事実によれば、本件商標に接する取引者、需要者は、いわば正式なRugbyの競技・大会のための国際的な統括団体としてのIRBとは切り離して、日本発祥のビーチスポーツであるビーチラグビーのための競技・大会を取りまとめる団体の名称を表したと認識するものとみるのが相当である。
してみると、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、該役務がIRB又はこれと何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標と認めることはできない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
前記(3)のとおり、本件商標は、IRBとは切り離して、日本発祥のビーチスポーツであるビーチラグビーのための競技・大会を取りまとめる団体の名称を表したと認識されるものとみるのが相当であって、IRBの権威、目的等を毀損させ、その国際的・公益的な活動を妨げるものとはいい難い。
また、本願商標の構成文字より、申立人主張の「国際的な団体を認識させるものである」としても、これが他の法律によって、その使用が制限又は禁止されているものであると認めるに足りる証拠の提出はない。
してみると、本件商標は、構成全体をもって、任意に設立された団体の名称を表したものと認識されるというべきであって、これを本件商標の商標権者がその指定役務について使用することが、国際信義に反するものということはできず、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標ともいえない。その他、本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当すると認めるに足りる特段の事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する商標ということはできない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第7号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-09-01 
出願番号 商願2013-11274(T2013-11274) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W41)
T 1 651・ 271- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 渡邉 健司
前山 るり子
登録日 2013-10-11 
登録番号 商標登録第5622175号(T5622175) 
権利者 株式会社ベースボール・マガジン社
商標の称呼 コクサイビーチラグビーキョーカイ、コクサイビーチラグビー、ビーチラグビーキョーカイ、ビーチラグビー、インターナショナルビーチラグビーアソシエーション、インターナショナルビーチラグビー、ビーチラグビーアソシエーション 
代理人 加藤 ちあき 
代理人 中村 稔 
代理人 藤倉 大作 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 松尾 和子 
代理人 辻居 幸一 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 熊倉 禎男 

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