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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2014900059 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W11
審判 全部申立て  登録を維持 W11
審判 全部申立て  登録を維持 W11
審判 全部申立て  登録を維持 W11
管理番号 1291776 
異議申立番号 異議2014-900061 
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-10-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-02-24 
確定日 2014-09-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第5632583号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5632583号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5632583号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成25年7月12日に登録出願、第11類「エアコンディショナー,空気清浄器,電気冷蔵庫,加湿器,除湿機,業務用空気清浄器,冷蔵庫,業務用加湿器,業務用除湿機,暖冷房装置,家庭用電熱用品類」を指定商品として、同年11月1日に登録査定、同月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5446231号商標(以下「引用商標1」という。)は、「Plasmacluster」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年5月27日に登録出願、第11類「家庭用イオン発生機能付き電気式扇風機」を指定商品として、同年10月21日に設定登録されたものである。
(2)登録第5458514号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Plasmacluster」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年7月20日に登録出願、第11類「家庭用イオン発生機能付き布団乾燥機,家庭用イオン発生機能付き電気式衣類乾燥機,家庭用イオン発生機能付き電気式洗濯物乾燥機,家庭用イオン発生機能付き電気式長靴乾燥機」を指定商品として、同年12月16日に設定登録されたものである。
(3)登録第5477766号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Plasmacluster」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年10月6日に登録出願、第7類「家庭用イオン発生機能付き電気式清掃用ロボット」を指定商品として、同24年3月9日に設定登録されたものである。
(4)登録第5483165号商標(以下「引用商標4」という。)は、「Plasmacluster」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年10月20日に登録出願、第11類「家庭用イオン発生機能付き電気式ヘアドライヤー,家庭用イオン発生機能付き電気式カーリングヘアドライヤー,家庭用イオン発生機能付き電気式ブラシ付きカーリングヘアドライヤー」を指定商品として、同24年3月30日に設定登録されたものである。
(5)登録第5520518号商標(以下「引用商標5」という。)は、「Plasmacluster」の欧文字を標準文字で表してなり、平成24年3月27日に登録出願、第11類「家庭用イオン発生機能付き電気式送風機」を指定商品として、同年9月7日に設定登録されたものである。
(6)登録第4521235号商標(以下「引用商標6」という。)は、「プラズマクラスター」の片仮名を標準文字で表してなり、平成12年8月31日に登録出願、第11類「家庭用電熱用品類,電球類及び照明用器具」を指定商品として、同13年11月9日に設定登録され、その後、同23年9月6日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(7)登録第4729158号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成14年2月26日に登録出願、第7類「イオン発生機能付家庭用食器洗浄機,イオン発生機能付家庭用電気式ワックス磨き機,イオン発生機能付家庭用電気洗濯機,イオン発生機能付家庭用電気掃除機,イオン発生機能付電気ミキサー,イオン発生機能付業務用電気式ワックス磨き機,イオン発生機能付業務用電気掃除機,イオン発生機能付業務用電気洗濯機,イオン発生機能付業務用攪はん混合機,イオン発生機能付業務用皮むき機,イオン発生機能付業務用食器洗浄機」及び第11類「イオン発生機能付洗浄機能付き便座,イオン発生機能付洗面所用消毒剤ディスペンサー,イオン発生機能付便器,イオン発生機能付和式便器用いす,イオン発生機能付家庭用電熱用品類,イオン発生機能付電球類及び照明用器具,イオン発生機能付暖冷房装置,イオン発生機能付乾燥装置,イオン発生機能付換熱器,イオン発生機能付蒸煮装置,イオン発生機能付蒸発装置,イオン発生機能付蒸留装置,イオン発生機能付熱交換器,イオン発生機能付冷凍機械器具,イオン発生機能付火鉢類,イオン発生機能付ガス湯沸かし器,イオン発生機能付便所ユニット,イオン発生機能付浴室ユニット,イオン発生機能付加熱器,イオン発生機能付調理台,イオン発生機能付流し台,イオン発生機能付業務用加熱調理機械器具,イオン発生機能付業務用食器乾燥機,イオン発生機能付業務用食器消毒器,イオン発生機能付車載用空気清浄機,イオン発生機能付ガス式浴室暖房乾燥機,イオン発生機能付電気式浴室暖房乾燥機」を指定商品として、同15年11月28日に設定登録され、その後、同25年11月12日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(8)登録第4729159号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成14年2月27日に登録出願、第7類「イオン発生機能付家庭用食器洗浄機,イオン発生機能付家庭用電気式ワックス磨き機,イオン発生機能付家庭用電気洗濯機,イオン発生機能付家庭用電気掃除機,イオン発生機能付電気ミキサー,イオン発生機能付業務用電気式ワックス磨き機,イオン発生機能付業務用電気掃除機,イオン発生機能付業務用電気洗濯機,イオン発生機能付業務用攪はん混合機,イオン発生機能付業務用皮むき機,イオン発生機能付業務用食器洗浄機」及び第11類「イオン発生機能付洗浄機能付き便座,イオン発生機能付洗面所用消毒剤ディスペンサー,イオン発生機能付便器,イオン発生機能付和式便器用いす,イオン発生機能付家庭用電熱用品類,イオン発生機能付電球類及び照明用器具,イオン発生機能付暖冷房装置,イオン発生機能付乾燥装置,イオン発生機能付換熱器,イオン発生機能付蒸煮装置,イオン発生機能付蒸発装置,イオン発生機能付蒸留装置,イオン発生機能付熱交換器,イオン発生機能付冷凍機械器具,イオン発生機能付火鉢類,イオン発生機能付ガス湯沸かし器,イオン発生機能付便所ユニット,イオン発生機能付浴室ユニット,イオン発生機能付加熱器,イオン発生機能付調理台,イオン発生機能付流し台,イオン発生機能付業務用加熱調理機械器具,イオン発生機能付業務用食器乾燥機,イオン発生機能付業務用食器消毒器,イオン発生機能付車載用空気清浄機,イオン発生機能付ガス式浴室暖房乾燥機,イオン発生機能付電気式浴室暖房乾燥機」を指定商品として、同15年11月28日に設定登録設定登録され、その後、同25年11月12日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(9)登録第5441062号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、平成23年4月28日に登録出願、第7類「家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用乾燥機能付き電気洗濯機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」及び第11類「家庭用及び業務用空気清浄用イオン発生器,鉄道車両用空気清浄用イオン発生器,家庭用エアコンディショナー,家庭用空気清浄機,家庭用除湿機,家庭用加湿器,家庭用電気冷蔵庫,その他の家庭用電熱用品類,電球類及び照明用器具」を指定商品として、同年9月22日に設定登録されたものである。
(10)登録第4582023号商標(以下「引用商標10」という。)は、「プラズマクラスター」の片仮名と「Plasmacluster」の欧文字とを上下二段に書してなり、平成13年6月26日に登録出願、第6類「金属製建造物組立てセット」、第7類「業務用電気洗濯機,業務用食器洗浄機,業務用皮むき機,業務用切さい機,業務用かくはん混合機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」、第9類「自動販売機,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池,電線及びケーブル,配電用又は制御用の機械器具」、第10類「しびん,病人用便器」、第11類「便所ユニット,浴室ユニット,車載用空気清浄機,暖冷房装置,家庭用電熱用品類,加熱器,調理台,流し台,浴槽類,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用いす,火鉢類,冷凍機械器具,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器」、第19類「建造物組立てセット(金属製のものを除く。)」及び第20類「家具」を指定商品として、同14年6月28日に設定登録され、その後、同24年3月13日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(11)登録第4892106号商標(以下「引用商標11」という。)は、「プラズマクラスター」の片仮名と「Plasmacluster」の欧文字とを上下二段に書してなり、平成16年3月30日に登録出願、第6類「金属製の置物」、第7類「廃棄物圧縮装置,廃棄物破砕装置,業務用ディスポーザー型生ゴミ処理機,土木機械器具,荷役機械器具,エレベーター昇降機,工業用静電気除去装置」、第9類「ドリンク自動販売機,イオン発生器」、第10類「ほ乳用具,魔法ほ乳器,ほ乳瓶保管用容器,医療用機械器具,医療用又は歯科用の肘掛いす,医療用マッサージ器,家庭用マッサージ器,家庭用電気式マッサージ器,椅子型家庭用電気マッサージ器」、第11類「カーエアコン用部品,空気清浄用イオンコンディショナー,業務用分煙機,浴室暖房乾燥機,業務用衣類乾燥機,厨房用レンジフード,ガスレンジ,冷蔵ショーケース」、第20類「洗面化粧台,ベッド,クッション,座布団,まくら,マットレス,額縁,屋内用ブラインド,つい立て,びょうぶ,プラスチック製の置物,木製の置物,美容院用いす,理容店用いす,業務用食器・調理器具収納用キャビネット,家庭用食器・調理器具収納用キャビネット」、第21類「ガラス製の置物」、第24類「かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第28類「おもちゃ,人形」を指定商品として、同17年9月2日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、その申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第79号証を提出した。
(1)「プラズマクラスター」及び「Plasmacluster」の各表示の著名性並びに引用商標1ないし引用商標11の著名性
ア 「プラズマクラスター」及び「Plasmacluster」の各文字は、申立人が独自に開発した、自然界にあるのと同じプラスとマイナスイオンをプラズマ放電により作り出し、放出し、浮遊ウイルスの作用を抑え、浮遊カビ菌等を空中で除去する技術(以下「プラズマクラスター技術」という。)を表す表示として、申立人が独自に創作した標章であり(甲第13号証)、ウィキペディア及び一部のオンライン辞書にも掲載されている(甲第14号証ないし甲第16号証)。
また、引用商標は、「プラズマクラスター技術」を搭載した空気清浄機やエアコンディショナー等の申立人の商品について、該技術が搭載されていることを表す商標として使用されているほか、申立人の製造、販売に係る「プラズマクラスター技術」によりイオンを発生させるイオン発生器(デバイス)(以下「プラズマクラスターイオン発生器」という。)が組み込まれた他社商品について、該技術が搭載されていることを表す商標としても使用されている。
イ 「プラズマクラスター」の文字からなる標章及び「Plasmacluster」の文字からなる標章(以下「引用標章」という。)は、上記アのとおり、「プラズマクラスター技術」を表す標章であるところ、申立人は、商標「プラズマクラスター」を2000年(平成12年)8月31日に登録出願し(引用商標6)、少なくとも同年9月には「空気清浄機」について使用を開始した(甲第17号証)。その後、現在までの約13年間にわたり、申立人は、「プラズマクラスター技術」を搭載した家庭用及び業務用の様々な商品を開発し、それら商品に引用商標及び引用標章を付して販売している(甲第19号証及び甲第20号証)。
ウ 申立人が販売する「プラズマクラスターイオン発生器」は国内27社の商品に採用されており(甲第20号証ないし甲第38号証)、該商品の説明には、「プラズマクラスター技術」を搭載している旨や「プラズマクラスター」及び「Plasmacluster」等の商標が申立人所有のものである旨などの表示とともに、引用商標及び引用標章が付されていることから、引用商標及び引用標章は、上記他社の商品に係る取引者、需要者の間においても、申立人の「プラズマクラスター技術」を表すものとして広く認識され得る状況となっている。
また、申立人は、2012年(平成24年)の時点において、北米、南米、ヨーロッパ、アジア、中近東及びアフリカ諸国を含む約100か国で「プラズマクラスター技術」を搭載した商品及び「プラズマクラスターイオン発生器」(他社向けのもの)を販売しており、これら商品には「Plasmacluster」の標章からなる及び該標章を含む商標を使用している。
エ 申立人の「プラズマクラスター技術」を搭載した空気清浄機は、2000年(平成12年)から2009年(平成21年)までの約10年間における業界全体の空気清浄機出荷台数約1,000万台のうちの約3分の1弱を占めており、また、2010年(平成22年)から2014年(平成26年)1月までの間、3年連続で台数シェア、金額シェアともに約50%の市場占有率を獲得している(甲第39号証。なお、本件商標の登録出願時及び登録査定時である2013年度(平成25年度)は、台数シェアが55.4%、金額シェアが57.7%である。)。
さらに、2013年度(平成25年度)における冷蔵庫の台数シェア及び金額シェアは、それぞれ21.2%及び14.8%であり、同じく、加湿器の台数シェア及び金額シェアは、それぞれ27.1%及び32.2%である。
加えて、マックス株式会社の浴室暖房・換気・乾燥機には申立人の「プラズマクラスター技術」が搭載されているところ、本件商標の登録出願時である2013年(平成25年)7月時点での電気式浴室暖房乾燥機部門における該商品のシェアは、1位である(甲第40号証)。
そして、申立人の「プラズマクラスター技術」を搭載した商品及び「プラズマクラスターイオン発生器」の国内外における累計販売台数は、2000年(平成12年)9月から2013年(平成25年)12月31日までの間で5,000万台を突破している(甲第41号証)。
なお、上記台数シェア及び金額シェアに係る甲第39号証は、「プラズマクラスター技術」を搭載した商品自体のシェア実績推移ではないが、該技術を搭載した商品は申立人の主力商品の1つであり、少なくとも2010年(平成22年)頃には空気清浄機、冷蔵庫、加湿器、除湿機のほぼすべてに該技術が搭載されていることから、事実上、該技術を搭載した商品の占有率といえる。
オ 申立人は、2008年(平成20年)10月から2012年(平成24年)11月18日までの間、約65億円を投じて、「プラズマクラスター」の文字及び葡萄様図形と「Plasmacluster」の文字とからなるロゴ等が明確に表示された「プラズマクラスター技術」を搭載した自社商品のテレビコマーシャルを全国又は一地域で放送した(甲第42号証)。
また、「プラズマクラスター技術」を搭載した申立人の商品及び申立人の「プラズマクラスターイオン発生器」を搭載した他社商品は、2000年(平成12年)から2014年(平成26年)2月末までの間、多数の新聞に掲載されているところ(甲第44号証ないし甲第54号証)、申立人の商品の掲載回数は、約790回に及ぶ(甲第43号証)。
さらに、「プラズマクラスター技術」を搭載した申立人の商品及び申立人の「プラズマクラスターイオン発生器」を搭載した他社商品は、2013年(平成25年)1月3日から2014年(平成26年)1月25日までの間、情報誌や女性ファッション誌等を含む幅広い分野の定期刊行物に掲載されているところ(甲第56号証及び甲第57号証)、申立人の商品の掲載回数は、約130回に及ぶ(甲第55号証)。
カ 2009年(平成21年)の4月及び10月、2010年(平成22年)4月、2011年(平成23年)の1月及び7月、2012年(平成24年)の1月及び7月並びに2013年(平成25年)2月の計8回行われた「プラズマクラスター技術」の認知度に関するアンケート結果(甲第58号証)によれば、該技術について「ある程度の技術や内容まで知っている」又は「名前は知っている」との回答者は、2011年(平成23年)1月に80%以上であったが、2013年(平成25年)2月には91.8%に達している(甲第58号証及び甲第59号証)。
キ 上記アないしカの事実に鑑みれば、少なくとも本件商標の登録出願日前である2010年(平成22年)ないし2011年(平成23年)には、引用標章は、「プラズマクラスター技術」を表す標章として、幅広い取引者、需要者の間で著名となっていたことは明らかであり、また、引用商標は、その指定商品について、「プラズマクラスター技術」が搭載されていることを表す商標として著名となっていたことは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 商標の類否
(ア)称呼
本件商標は、緑色の四角形の中に「P」様図形を配した図形と、該四角形図形の下に「Plasmaster」の欧文字を緑色で横書きしてなるものを配した構成からなるところ、これらの図形と欧文字とを一体不可分にのみ認識しなければならない格別の理由はないから、読みやすい欧文字部分をとらえて取引に資される場合が多いと考えられる。そして、「Plasmaster」の欧文字は、一般の英和辞書に掲載されておらず、特定の意味を有しない造語といえるものであるから、その構成中の「Plasma」の欧文字部分は、「プラズマ」等を意味する英単語「Plasma」に倣って「プラズマ」と発音され、同じく、「ster」の欧文字部分は、英単語「master」や「Register」等に倣って「スター」と発音されるのが自然である。
そうすると、本件商標は、その構成中の欧文字部分から「プラズマスター」の称呼が生じる。
他方、引用商標1ないし引用商標6、引用商標10及び引用商標11は、その構成全体に相応する「プラズマクラスター」の称呼を生じ、引用商標7ないし引用商標9は、その構成中の「Plasmacluster」の欧文字部分に相応する「プラズマクラスター」の称呼を生じる。
そこで、本件商標から生じる「プラズマスター」の称呼と引用商標から生じる「プラズマクラスター」の称呼とを比較するに、両称呼は、中間の「ク」及び「ラ」の音の有無において相違するが、長音を含め14音又は12音という長い音構成において、称呼の識別上、重要な語頭の「プラズマ」及び語尾の「スター」の12音が共通していることに加え、該差異音が聴取し難い中間に位置していることからすれば、称呼全体の語感が極めて近似したものというのが相当であって、互いに聴き誤るおそれが十分にある上、引用商標1ないし引用商標11の著名性を考慮すれば、時と処を異にして離隔的に観察した場合、相紛れる可能性が高い。
また、インターネットで検索したところ、申立人の商標「プラズマクラスター」又は「Plasmacluster」を「プラズマスター」と誤解している取引者、需要者が存在しており(甲第60号証ないし甲第67号証)、この事実に鑑みれば、引用商標の構成中、印象に残りやすい部分は、語頭部分である「プラズマ」又は「Plasma」及び語尾部分である「スター」又は「ster」であることが首肯される。
したがって、本件商標と引用商標とは、称呼において類似する。
(イ)外観
本件商標は、上記(ア)のとおり、その構成中の「Plasmaster」の欧文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすこともあるといえるものである一方、引用商標1ないし引用商標5は「Plasmacluster」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、また、引用商標10及び引用商標11は「プラズマクラスター」の片仮名及び「Plasmacluster」の欧文字を上下二段に書してなるものである。
そこで、本件商標と引用商標1ないし引用商標5、引用商標10及び引用商標11とを比較するに、両商標は、本件商標について、商標全体が緑色で彩色されている点及び中間部分に位置する「c」、「l」及び「u」の欧文字が無い点という差異があるものの、その彩色は、緑色単色であって、さほど特徴があるとはいえないものであり、また、「c」、「l」及び「u」の欧文字が位置するところも、長い文字構成において比較的印象の薄い中間であるにすぎない。そして、両商標は、10文字と13文字という長い文字構成からなるものであるところ、そのうちの「P」、「l」、「a」、「s」、「m」、「a」、「s」、「t」、「e」及び「r」の10文字をすべて同一とし、かつ、その配列も共通とするものであるから、これらが外観に与える影響は大きく、両商標は、外観上、極めて類似するものであり、これに引用商標1ないし引用商標5、引用商標10及び引用商標11の著名性を併せ考慮すれば、時と処を異にして離隔的に観察した場合、相紛れる可能性が高い。
また、図形と文字からなる商標の構成中の文字部分のみを抽出して類否判断することの妥当性は、甲第68号証ないし甲第70号証に示す審決によっても首肯される。
さらに、本件商標の指定商品並びに引用商標1ないし引用商標5、引用商標10及び引用商標11の指定商品の分野においては、商標は、商品に大書されるというよりは、むしろ、商品自体のデザインに影響を与えないように、小さくワンポイントのように付される習慣がある(甲第71号証ないし甲第73号証)ことから、かかる習慣の下では、商標が長くなるほど、必然的に個々の文字が小さくなって、その綴りが判然としなくなり、印象の薄い中間部分の差異は、より認識し難くなる。
したがって、本件商標と引用商標1ないし引用商標5、引用商標10及び引用商標11とは、外観において類似する。
(ウ)観念
本件商標は、造語であって、特定の観念を生じないものである一方、引用商標も、造語であって、特定の観念生じないものであるから、両商標は、観念上、比較することができない。
(エ)小括
上記(ア)ないし(ウ)によれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観において類似する商標である。
イ 甲第74号証ないし甲第76号証に示す異議決定及び審決では、比較する商標の中間部分に差異がある場合においても、両商標を類似する商標と判断している。
ウ 本件商標の指定商品は、前記1のとおりであるところ、該指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
エ まとめ
以上によれば、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観において相紛らわしい類似の商標であり、その指定商品も同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
ア 本件商標と引用商標及び引用標章との類似性の程度
本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、称呼及び外観において相紛らわしい類似の商標であり、また、「プラズマクラスター」の片仮名からなる標章及び「Plasmacluster」の欧文字からなる標章である引用標章についても同様に、類似するものといわざるを得ない。
したがって、本件商標と引用商標及び引用標章との類似性の程度は、相当程度高いものである。
イ 引用商標及び引用標章の周知著名性及び創作性の程度
上記(1)のとおり、引用標章は、「プラズマクラスター技術」を表す標章として、幅広い取引者、需要者の間で著名であり、また、引用商標は、その指定商品について、「プラズマクラスター技術」が搭載されていることを表す商標としても著名である。
そして、引用標章は、申立人が創作した造語である。
ウ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との間の性質、用途又は目的における関連性の程度
申立人は、本件商標の指定商品中、「エアコンディショナー,空気清浄器,電気冷蔵庫,加湿器,除湿機,業務用空気清浄器,冷蔵庫,業務用空気清浄器等の一部の暖冷房装置,一部の家庭用電熱用品類」については、「プラズマクラスター技術」を搭載した商品を既に販売しており、同じく、「業務用加湿器,業務用除湿機等の冷暖房装置,一部の家庭用電熱用品類」については、現時点においては、申立人は販売していないが、引用標章が「プラズマクラスター技術」を表す標章であることを考慮すれば、申立人又は申立人から「プラズマクラスターイオン発生器」を購入した他社が、かかる指定商品について「プラズマクラスター技術」を採用し、該技術を搭載した商品を販売することは十分に想定される。
他方、本件商標の商標権者は、その外国向けホームページによれば、外国において、「イオンを放出するエアコンディショナー」を既に販売しており(甲第78号証)、かかる商品が我が国においても販売される可能性は十分にある上、その商品と申立人の商品は、イオンを放出するイオン発生機能を備えた機能面においても共通する。
したがって、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品との関連性は、極めて高い。
エ 商品の取引者及び需要者の共通性
上記ウのとおり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とは、密接な関連性があり、商品の取引者及び需要者は共通である。
オ 実際の出所の誤認混同
上記(2)ア(ア)においても述べたとおり、インターネット上では、一部の取引者、需要者が、申立人の標章を「プラズマスター」であると誤解している事実がうかがえる(甲第60号証ないし甲第67号証)。
したがって、本件商標をその指定商品に使用した場合、申立人の業務に係る商品との間で、既に出所の誤認混同が生じる状態にあるといえる。
カ まとめ
以上によれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が申立人独自の技術である「プラズマクラスター技術」を搭載した商品であるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれが極めて高いといえる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)結語
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に違反してされたものであることは明らかであるから、その登録は、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、濃淡のある灰色で彩色された屈曲した太線及び星形様の図形を内包する緑色の隅丸正方形(該正方形は、その内包する図形と同色で縁取られている。)の下方に、緑色の「Plasmaster」の欧文字を配してなるところ、該正方形部分は、特定の事物を表したものとは認められず、また、該欧文字部分は、同じ書体、大きさ及び色彩をもって、等間隔にまとまりよく表されているものであって、視覚的に一連一体のものとして看取、把握され得るものであり、該欧文字自体は特定の語義を有する成語とは認められないから、看者をして、その構成文字全体をもって、特定の語義を有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標の構成中の隅丸正方形部分と欧文字部分とは、その配置とあいまって、相互に密接不可分の関係にあるとまではいい難いから、その欧文字部分が分離、独立して自他商品の識別標識として機能し得るとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成中の「Plasmaster」の欧文字部分が自他商品識別に当たっての要部となるから、該欧文字部分に相応して、「プラスマスター」又は「プラズマスター」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。
イ 引用商標
(ア)引用商標1ないし引用商標5
引用商標1ないし引用商標5は、前記2の(1)ないし(5)のとおり、いずれも「Plasmacluster」の欧文字を標準文字で表してなるところ、該欧文字は、同じ書体及び大きさをもって、等間隔にまとまりよく表されているものであって、視覚的に一連一体のものとして看取、把握され得るものであり、また、特定の語義を有する成語とは認められないから、看者をして、その構成全体をもって、特定の語義を有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
してみれば、引用商標1ないし引用商標5は、その構成文字に相応して、「プラズマクラスター」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。
(イ)引用商標6
引用商標6は、前記2(6)のとおり、「プラズマクラスター」の片仮名を標準文字で表してなるところ、該片仮名は、同じ書体及び大きさをもって、等間隔にまとまりよく表されているものであって、視覚的に一連一体のものとして看取、把握され得るものであり、また、特定の語義を有する成語とは認められないから、看者をして、その構成全体をもって、特定の語義を有しない一種の造語として認識されるとみるのが相当である。
してみれば、引用商標6は、その構成文字に相応して、「プラズマクラスター」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。
(ウ)引用商標7ないし引用商標9
引用商標7ないし引用商標9は、それぞれ別掲2ないし別掲4のとおり、図形と「Plasmacluster」の欧文字との組合せからなるところ、その構成中の図形部分は、特定の事物を表したものとは認められず、また、その構成中の「Plasmacluster」の欧文字部分も、上記(ア)のとおり、特定の語義を有しない一種の造語として認識されるものであるから、両者は、その配置とあいまって、相互に密接不可分の関係にあるとまではいい難い。
そうとすると、引用商標7ないし引用商標9は、いずれもその構成中の「Plasmacluster」の欧文字部分が分離、独立して自他商品の識別標識として機能し得るとみるのが相当である。
してみれば、引用商標7ないし引用商標9は、その構成中の「Plasmacluster」の欧文字部分が自他商品識別に当たっての要部となるから、該欧文字部分に相応して、「プラズマクラスター」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。
(エ)引用商標10及び引用商標11
引用商標10及び引用商標11は、前記2の(10)及び(11)のとおり、「プラズマクラスター」の片仮名と「Plasmacluster」の欧文字とを上下二段に書してなるところ、その構成に照らせば、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを特定するものといえ、また、該片仮名部分及び欧文字部分は、それぞれ上記(ア)及び(イ)のとおり、いずれも特定の語義を有しない一種の造語として認識されるものである。
してみれば、引用商標10及び引用商標11は、その構成文字全体に相応して、「プラズマクラスター」の称呼を生じ、特定の観念を生じることのないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
(ア)外観
本件商標と引用商標1ないし引用商標5とは、それぞれ上記ア及びイ(ア)のとおりの構成からなるところ、両商標は、図形の有無という明らかな差異があるほか、欧文字部分の比較においても、「Plasma」及び「ster」の各欧文字を同じくするものの、「clu」の欧文字3文字の有無という差異があることから、外観上、明確に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標6とは、上記ア及びイ(イ)のとおりの構成からなるところ、両商標は、図形の有無という明らかな差異があるほか、文字部分についてみても、前者が欧文字により構成されるものであるのに対し、後者は片仮名により構成されるものであるから、外観上、明確に区別し得るものである。
さらに、本件商標と引用商標7ないし引用商標9とは、それぞれ上記ア及びイ(ウ)のとおりの構成からなるところ、両商標は、いずれも図形と欧文字との組合せからなるものの、その図形部分において明らかな差異があり、かつ、両商標の要部である欧文字部分についてみても、上記本件商標と引用商標1ないし引用商標5との比較における場合と同様、互いに区別し得るといえるから、外観上、明確に区別し得るものである。
加えて、本件商標と引用商標10及び引用商標11とは、それぞれ上記ア及びイ(エ)のとおりの構成からなるところ、両商標は、図形の有無という明らかな差異があるほか、文字部分についてみても、前者が欧文字により構成されるものであるのに対し、後者は欧文字と片仮名との二段書きにより構成されるものであるから、外観上、明確に区別し得るものである。
(イ)称呼
本件商標からは「プラスマスター」又は「プラズマスター」の称呼を生じるのに対し、引用商標からは「プラズマクラスター」の称呼を生じるところ、「プラスマスター」の称呼と「プラズマクラスター」の称呼とでは、3音目における「ス」と「ズ」の音の差異及び「クラ」の音の有無という差異があり、また、「プラズマスター」の称呼と「プラズマクラスター」の称呼とでは、「クラ」の音の有無という差異があって、これらの差異が称呼全体に及ぼす影響は少ないとはいい難いことから、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が少なからず相違し、互いに聴き誤るおそれはないとみるのが相当である。
(ウ)観念
本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じることのないものであるから、観念上、両商標が相紛れるおそれはない。
エ 小括
上記ウによれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の主張及び同人の提出に係る証拠方法によれば、引用商標ないし引用標章は、「プラズマクラスター技術」を表すものとして、申立人が独創したものであって、2000年(平成12年)9月以降、少なくとも2014年(平成26年)1月までの間、該技術を搭載した申立人の商品はもとより、申立人以外の他社の商品についても、該技術を搭載した商品であることを表すものとして使用され、かつ、それらの商品の宣伝広告等においても使用されており、また、引用商標ないし引用標章を使用した商品の市場占有率、販売台数及び販売高も相当数に及ぶことが認められることからすれば、引用商標ないし引用標章は、遅くとも本件商標の登録出願日前において、その使用に係る商品の取引者、需要者の間において、申立人の業務に係る「プラズマクラスター技術」を搭載する商品を表示するものとして、広く認識されるに至っており、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたということができる。
しかしながら、たとえ引用商標ないし引用標章が本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る「プラズマクラスター技術」を搭載する商品を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたとしても、本件商標と引用商標とは、上記(1)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであり、また、本件商標と引用標章(「プラズマクラスター」の文字からなる標章及び「Plasmacluster」の文字からなる標章)とについても同様に、十分に区別し得る別異のものというべきものであって、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせないものである。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起することはなく、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標(登録第5632583号商標)


(色彩については、原本参照のこと。)

2 引用商標7(登録第4729158号商標)


3 引用商標8(登録第4729159号商標)


4 引用商標9(登録第5441062号商標)


異議決定日 2014-08-28 
出願番号 商願2013-54591(T2013-54591) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W11)
T 1 651・ 261- Y (W11)
T 1 651・ 262- Y (W11)
T 1 651・ 271- Y (W11)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 酒井 福造
特許庁審判官 手塚 義明
田中 敬規
登録日 2013-11-22 
登録番号 商標登録第5632583号(T5632583) 
権利者 エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
商標の称呼 プラズマスター、ピイ 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK 

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