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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X25
管理番号 1291709 
審判番号 取消2013-300468 
総通号数 178 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-10-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-06-07 
確定日 2014-08-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第2194689号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2194689号商標(以下「本件商標」という。)は,「RINASCIMENTO」の欧文字と「リナッシメント」の片仮名とを上下二段に書してなり,昭和62年7月7日に登録出願,第17類に属する商標原簿記載のとおりの商品を指定商品として, 平成元年12月25日に設定登録され,その後,2回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ,指定商品については,同22年3月31日に,第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子」に指定商品の書換登録がなされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成25年6月27日である。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定商品中,「第25類 全指定商品」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 請求の理由
請求人の調査によると,本件商標は,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても,その第25類のいずれの指定商品についても使用されていない。
したがって,本件商標の指定商品中,「第25類 全指定商品」についての登録は,取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証の別添資料1及び2として提出された資料及び写真によれば,商標「RinAsciMento」が,商品「スーツ」の上着の左側内ポケット付近に付されているように見える。
しかし,上記資料及び写真は,商品カタログのような不特定多数に向けて発行される印刷物ではなく,被請求人自らにより作成・撮影されたものと思われ,具体的にいつ発行や撮影が行われたものであるかを示す日付の記載がない。
そうとすると,宣誓供述書の中で,別添資料1の商標を別添資料2の写真1及び2で示される態様で付したスーツが2004年2月以降から現在に至るまで株式会社岩田屋三越(以下「岩田屋三越」という。)において継続して販売されていることが述べられているが,乙第1号証全体からは,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間」という。)における指定商品「被服」に係る本件商標の使用の事実を客観的に認めることはできない。
(2)乙第2号証は,被請求人の社内文書である縫製仕様書の抜粋(写し)であり,当該仕様書の表紙には,「RinAsciMento/リナシメント」の記載がある。
しかし,上記仕様書表紙の左下に「伊勢丹メジャーメイド」の記載があり,右下に「2002年12月5日/大賀(株)東京店研究室」の記載があることからすると,当該仕様書は,2002年12月に,被請求人から株式会社伊勢丹(以下「伊勢丹」という。)に提供されたものと考えるのが妥当であるから,乙第2号証からは,要証期間における指定商品「被服」に係る本件商標の使用の事実を認めることができない。
(3)乙第3号証ないし乙第6号証によると,平成25年6月3日に岩田屋三越が受注したメジャーメイドに係るスーツの取引が被請求人と岩田屋三越の間で行われたことが伺える。しかし,乙第3号証ないし乙第6号証には,本件商標に関する記載は一切ない。
乙第3号証の伝票に記載された「カタバン」の記号「RGM」が,乙第2号証の縫製仕様書に記載された「社内記号/RGM」と一致することのみをもって,乙第3号証ないし乙第6号証が,平成25年6月3日に岩田屋三越が受注したメジャーメイドに係る「本件商標に係るスーツ」の取引が被請求人と岩田屋三越の間で行われた事実を客観的に証明することにはなり得ない。
(4)請求人は,岩田屋本店のホームページ(http://www.i.iwataya-mitsukoshi.co.jp/index.html)にアクセスし,メジャーメイドの紳士服が販売される岩田屋本店5階のフロアガイド,並びに,カタカナの「リ」から始まる取扱い商品のブランド検索を行ったが,「RinAsciMento/リナ(ッ)シメント」の表示は発見されない(甲3及び甲4)。
3 口頭審理陳述要領書
(1)乙第7号証の2007年4月1日付けのオーダーシートについて,乙第3号証ないし乙第6号証には本件商標の記載は一切ないから,乙第3号証の伝票に記載された「カタバン」の記号「RGM」が,乙第2号証の縫製仕様書に記載された「社内記号/RGM」及び乙第7号証のオーダーシートに記載された「デザインNO./RGM22」と一致することのみをもって,乙第3号証ないし乙第6号証が,平成25年6月3日に「本件商標に係るスーツ」の取引が被請求人と岩田屋三越の間で行われた事実を客観的,直接的に証明することにはなり得ない。
(2)乙第8号証及び乙第9号証のパンフレットは,それぞれ2002年及び2004年に作成されたものであり,要証期間において,岩田屋本店において配布又は掲示された事実を示す証拠は何ら提出されていない。
4 上申書
(1)乙第10号証は,被請求人の社内システムから出力した規格RGM納品明細(写し)であるが,該書面には本件商標の記載は一切ない。
乙第10号証中に記載された「規格」欄の記号「RGM」が,乙第2号証の縫製仕様書に記載された「社内記号/RGM」や乙第7号証のオーダーシートに記載された「デザインNO./RGM22」等と一致することのみをもって,2010年6月7日から2013年6月6日までの間に「本件商標が付されたスーツ」の取引が被請求人と岩田屋本店の間で行われたという事実を客観的,直接的に証明することにはなり得ない。
(2)乙第11号証ないし乙第14号証は,被請求人の社内システム画面(写し)であり,あくまで2014年1月27日に印刷したものにすぎないから,要証期間における本件商標の使用の事実を裏付ける資料としては客観性及び妥当性に欠けるといわざるを得ない。
また,被請求人は,乙第15号証として,品番185A2017で特定される商品「スーツ」(展示用のサンプル)の写真1?4(撮影日は2014年1月28日)を提出している。
しかし,商標法第2条第3項において規定される標章についての「使用」とは,あくまで「商品」に標章を付する行為等を意味し,ここにいう「商品」とは「商取引の目的たり得るべきもの,特に動産をいう。」と解されている(工業所有権法(産業財産権法)逐条解説第19版)。
そうとすると,品番185A2017で特定されるスーツは,少なくとも要証期間においては単に展示用サンプルであって商標法上の「商品」ではなかったと考えるのが妥当であるから,被請求人が平成24年4月13日に指定商品「スーツ」に本件商標を付す行為が,商標法第2条第3項第1号の「使用」に該当すると考えるのは妥当ではない。
(3)乙第16号証は,パンフレットの店頭掲示写真であり,乙第9号証として提出されたパンフレットが岩田屋本店の店頭で展示されている様子が示されているとのことであるが,写真の撮影日は,2014年1月22日であるから,該写真により,要証期間に本件商標に係るスーツのパンフレットが展示又は頒布されていた事実を客観的,直接的に証明するものでない。
(4)被請求人の社内記号「RGM」が,本件商標を意味することを示すための根拠とする資料は,乙第2号証の社内文書である2002年12月5日付けの縫製仕様書,乙第7号証の2007年作成に係るオーダーシートである。
この点,「スーツ」という極めてファッション性及び季節性が高い商品については,各年の季節ごとに縫製仕様書が作成されてしかるべきであるにもかかわらず,被請求人からは2002年12月の作成に係る縫製仕様書しか提出されていない。また,仮に,被請求人により要証期間に本件商標が付されたスーツの取引が行われていたのであれば,当該期間内における乙第7号証と同様のオーダーシートが提出されてしかるべきと考えられる。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求める,と答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)乙第1号証は,商標の使用状況について,岩田屋三越の従業員が供述し宣誓認証を受けた宣誓供述書であり,被請求人は,2004(平成16)年2月頃から継続して商標「RinAsciMento」を付したスーツを製造し,岩田屋三越に販売している。その別添資料1は,商標ラベルの写しであり,別添資料2の写真1は,商品「スーツ」の上着の左側内ポケット付近に「RinAsciMento」の商標のラベルが付されている事実を示すもの(写真2は,その部分拡大写真)である。
(2)本件商標と商標「RinAsciMento」が社会通念上同一であることは,平成20年(行ケ)第10317号(審決取消請求事件)の判決において明らかにされている。
(3)乙第2号証は,被請求人の社内文書である縫製仕様書(抜粋,写し)であり,表紙には「RinAsciMento」と記載されており,商標「RinAsciMento」を付した商品に関するものである。
なお,表紙左下に「伊勢丹メジャーメイド」と記載されているのは,この縫製仕様書作成時の取引先の予定が,先の事件(平成20年(行ケ)第10317号)における商品販売先(伊勢丹)であったためである。
縫製仕様書の2枚目の左上にも「RinAsciMento」と記載されており,商標「RinAsciMento」を付した商品は,「RGM」と表示することが「社内記号」の欄に記載されている。
乙第3号証は,岩田屋三越から被請求人への商品発注書(岩田屋三越では受注伝票,写し)であり,ほぼ中央付近の「カタバン」の欄に「RGM」と記載されており,この商品発注書が商標「RinAsciMento」を付した商品(スーツ上衣)に関するものである。
乙第4号証は,被請求人から岩田屋三越へ商品を納入する際の出庫表(写し)であり,乙第3号証の商品発注書の取引に係るものであって,乙第3号証に記載されている品番(27Y28800),「キジバン」(65720)及びその右上の数字(739330-1)は,出庫表の摘要欄,A欄及びD欄の記載のものと一致しており,商品発注書の小計欄記載の金額と出庫表の売価金額も一致している。
乙第5号証は,岩田屋三越の仕入伝票(写し)であり,商品の仕入先が被請求人であって,仕入伝票の標題の左に「買取」であることが明示されており,伝票番号(906491)や,原価金額及び売価金額が記載されている。
乙第6号証は,岩田屋三越から被請求人への支払明細表(写し)であり,一か所だけ金額を伏せていない部分が,乙第5号証の伝票番号と原価金額と一致している。
(4)なお,本件商標に対しては,審決取消請求事件(平成20年(行ケ)第10317号)と比べて,商品販売先が伊勢丹から岩田屋三越へ変更されているものの,両社は同じ株式会社三越伊勢丹ホールディングスに属するグループ会社であり,提供されている商品や取引形態等に変わりはほとんどない。
3 口頭審理陳述要領書
(1)乙第2号証について
岩田屋本店は,岩田屋三越が運営している店舗であり,岩田屋三越は,2002年に策定された岩田屋再建計画において伊勢丹の出資及び社長派遣がなされ,その後伊勢丹の子会社になった。その再建の過程において,伊勢丹のブランドを岩田屋に展開することが進められ,本件商標は,そのブランドの一つである。
(2)審理事項通知について
商標「RinAsciMento」を使用した商品は,乙第2号証において,社内記号「RGM」と表示することが記載されており,乙第3号証の商品発注書(写し)において「カタバン」の欄に「RGM」と記載されていることから,縫製仕様書の各取引書類との関連性を把握できる。
(3)乙第7号証は,オーダーシート(写し)であり,その上部の「ジャケット欄」には,社内記号「RGM」が記載されており,本件商標を付した商品であることを示すものである。
(4)乙第8号証は,岩田屋本店の本館5階メジャーメイド売り場で配布されているスタイリングオーダーのパンフレット(写し)であり,伊勢丹新宿店で本件商標を付した商品の販売を開始するにあたって,2002年に500部作成し,岩田屋本店の売り場で新規顧客に対して配布されている。
(5)乙第9号証は,岩田屋本店の本館5階メジャーメイド売り場において配布されているスタイリングオーダー新作フェアのパンフレット(写し)であり,本件商標を付した商品の広告を目的として2004年に作成し,顧客に配布するだけでなく,店頭においても掲示されている。
4 上申書
(1)乙第1号証の別添資料2における写真2につき,鮮明な写真を提出する。
(2)乙第10号証は,規格RGM納品明細(写し)であり,被請求人の社内システムから,要証期間に該当する2010年6月7日から2013年6月6日までの間に,岩田屋本店へ本件商標を付した商品の販売取引を抽出したものである。本件商標を付した商品であることは,「規格」(RGM)で示されている。本帳票の最終列に記載された取引(受付No.739330)が,乙第3号証ないし乙第6号証に係る取引である。
(3)乙第11号証は,新基幹システム画面(写し)及び乙第12号証は,乙第11号証に示した社内システム中の名称マスター画面(写し)であり,記号「RGM」が「リナッシメント」を意味するものとして使用されている。乙第13号証は,投入裁断仕上り状況画面(写し)であり,2段目の左端にある「マーク」欄の「185A2017」は,品番であり,乙第10号証の規格RGM納品明細においても同様の「マーク」欄がある。また,「パターンキカク」欄には「リナッシメント」を付した商品を示す記号「RGM」が記載されている。乙第14号証は,店頭在庫品番照会画面(写し)であり,乙第13号証の品番「185A2017」で特定される商品が,岩田屋福岡(岩田屋本店)のE/O(イージーオーダー売場)において,見本品であるRM(レディメイド,既製服)の店頭在庫として存在していることが示されている。
(4)乙第15号証は,店頭在庫品の写真であり,乙第16号証は,パンフレットの店頭掲示写真である。
(5)これらを総合すれば,要証期間に,被請求人が,その製造,販売に係るスーツに,本件商標を付していることは明らかである。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用について,被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証の「商標の使用状況に関する宣誓供述書」によれば,岩田屋三越は,2004年(平成16年)2月以降から現在に至るまで,岩田屋本店本舘5階の紳士服メジャーメイド売り場において,顧客から注文を受け,被請求人が本件商標を付して製造した「スーツ」を販売している。
そして,その別添資料2写真1は,「ジャケット」を広げた状態の写真であり,写真2(平成26年2月4日付けの上申書により,鮮明な写真が提出されている。)によれば,その左胸部分には,「大賀株式会社」の文字が記載された商品タグが付され,その下には「RinAsciMento」の文字が表示された布タグが付されている。
(2)乙第2号証は,2002年12月5日付けの「伊勢丹メジャーメイド」と「大賀(株)東京店 研究室」との間の「RinAsciMento/リナシメント」についての「縫製仕様書」であり,その2葉目の「SIZE」と題する書面には,「RinAsciMento」と表示され,「社内記号」の欄には「RGM」,「品種名」の欄に「E/O SUIT」のほか,「ジャケット」,「ベスト」及び「パンツ」の「型紙使用記号」等が記載されている。
(3)乙第3号証は,岩田屋三越の平成25年6月3日付けの「紳士服メジャーメイド(受注伝票)」であり,「品名」の欄に「S上下」,「納期日」の欄に「6/19」,「上衣」の「カタバン」の欄に「RGM」及び枠外に「739330-1」の記載があり,「上衣」と「ズボン」の受注の内容等が記載されている。
(4)乙第4号証は,2013年6月19日付けの「E/O出庫表」であり,「種別」の欄に「買取」,「品名」の欄に「スーツ」,「原価金額」の欄に「86400」,「D」の欄に「739330-1」,「摘要」の欄に「RGM」の記載があることから,記載された商品が,「大賀株式会社」から「岩田屋福岡 E/O」に出庫されたものである。
(5)乙第5号証は,2013年6月21日が伝票発行日の「大賀」を取引先とする岩田屋三越の仕入伝票であり,上部の枠外に「買取」の記載,「伝票番号」の欄に「906491」,「品名」の欄に「シングルスーツ」,「原価金額」の欄に「86400」の記載及び「納品予定日」の欄に「13年6月19日」の記載がある。
(6)乙第6号証は,岩田屋三越の大賀(株)への買掛金支払明細表であり,「計上日」の欄に「06/21」,「伝票番号」の欄に「906491」及び「金額」の欄に「86,400」と記載されている。
そして,同号証の伝票番号「906491」は,乙第5号証の仕入伝票の番号と符合し,金額の「86,400」は,乙第4号証のE/O出庫表及び乙第5号証の仕入れ伝票の原価金額と符合する。
(7)乙第10号証は,被請求人の社内システムから出力した「規格RGM納品明細書(受注日2010/6/7?2013/6/6)」であり,「受注No.」の欄に「739330」,「行」の欄に「1」,「取引先」の欄に「岩田屋福岡」,「規格」の欄に「RGM」の記載がある。
そして,同号証の「規格」の欄に記載された「RGM」は,乙第2号証の「RinAsciMento」の縫製仕様書の社内記号,乙第3号証の受注伝票の「カタバン」及び乙第4号証の仕入伝票(買取)の「摘要」の欄に記載された「RGM」と符合する。
また,同号証の「受注No.」及び「行」の欄の「739330」及び「1」は,乙第3号証の受注伝票及び乙第4号証の仕入伝票(買取)のDの欄の「739330-1」と符合する。
2 前記1で認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)「ジャケット」の商品タグに記載された「大賀株式会社」は,本件商標の商標権者と認められ,商品「ジャケット」は,本件請求に係る指定商品に含まれる商品である。
(2)乙第3号証ないし乙第6号証及び乙第10号証の取引書類によれば,岩田屋三越は,「カタバン」を「RGM」で特定される「RinAsciMento/リナシメント」の「E/O SUIT(イージーオーダーのスーツ)」について,平成25年6月3日に顧客から注文を受け商標権者に発注したものであり,商標権者は,注文に応じた「スーツ」を製造し,「ジャケット」の裏生地に商標「RinAsciMento」と表示した布タグを付した上で,取引伝票に「買取」と明示して,同月19日に,岩田屋三越に納品して販売した事実が認められる。
そして,上記の取引は,伝票番号を同じくする一連の取引であり,また,取引書類の年月日は,いずれも,要証期間と認められる。
商標権者の上記行為は,商標法第2条第3項第2号の商品に標章を付したものを譲渡する行為に該当するものである。
(3)本件商標は,「RINASCIMENTO」の欧文字と「リナッシメント」の片仮名とを二段に書してなるところ,上段の「RINASCIMENTO」は,一連の欧文字からなるものである。
これに対し,商品「ジャケット」には,「RinAsciMento」の文字が使用されているものであり,その構成は,「R」,「A」及び「M」の文字が大文字で表記されていることから,該3つの大文字がやや強調された印象を与えることがあるとしても,他方,「RinAsciMento」の欧文字は,すべてが一連に表示され,また,各大文字から始まる3つの部分「Rin」,「Asci」及び「Mento」のいずれも固有の観念を有しないことに照らせば,受注により仕立てられた商品「ジャケット」に,「RINASCIMENTO」の文字を使用する際の装飾的な変更にすぎないと解するのが自然である。
そうとすれば,「RinAsciMento」の表示は,本件商標の「RINASCIMENTO」の欧文字部分とその構成文字を同じくするものであるから,本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者が,その請求に係る指定商品に含まれる「ジャケット」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2014-03-11 
結審通知日 2014-03-13 
審決日 2014-03-27 
出願番号 商願昭62-77863 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X25)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 手塚 義明
田中 亨子
登録日 1989-12-25 
登録番号 商標登録第2194689号(T2194689) 
商標の称呼 リナッシメント 
代理人 青木 篤 
代理人 田島 壽 
代理人 渥美 元幸 
代理人 大橋 啓輔 

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