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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900410 審決 商標
異議2014900019 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W45
審判 全部申立て  登録を維持 W45
審判 全部申立て  登録を維持 W45
管理番号 1290770 
異議申立番号 異議2014-900069 
総通号数 177 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-09-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-03-12 
確定日 2014-08-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第5637669号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5637669号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5637669号商標(以下「本件商標」という。)は,「天声神語」の文字を標準文字で表してなり,平成25年7月8日に登録出願,第45類「占い・易,携帯電話・スマートフォン又は電子計算機端末による通信を用いて行う占い,携帯電話・スマートフォン又は電子計算機端末による通信を用いて行う占いに関する情報の提供,インターネットを利用した占い,インターネットを利用した占いに関する情報の提供」を指定役務として,平成25年10月23日に登録査定,同年12月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 「天声人語」(以下「引用商標」という。)は,登録異議申立人(以下「申立人」という。)の発行する朝日新聞朝刊の1面のコラムの名称として,需要者の間に広く認識されている(甲2ないし甲19)。
また,引用商標は,「天に声あり,人をして語らしむ。」という中国古典に基づき,記者であった西村天因が命名したもので,現在では具体的出典は不明であり,辞書に掲載されていないところから,創造標章である可能性が高い。
さらに,申立人は,出版活動のみならず,環境,教育,健康,文化,スポーツ等様々な分野において企業活動を行っているおり,また,朝日新聞紙面又はウェブサイト「朝日新聞デジタル」において,本件商標の指定役務である「占い」及び「身の上相談」を行っている(甲20ないし甲23)。
イ 本件商標と引用商標の類似性
本件商標は,その構成文字より「テンセイシンゴ」の称呼が生じる。一方,引用商標は,その構成文字より「テンセイジンゴ」の称呼が生じる。したがって,本件商標と引用商標は,相違する1音が清音,濁音の差にすぎず,称呼上類似する。
また,本件商標と引用商標は,共に漢字4文字からなり,「神」と「人」の1文字のみが相違する。
さらに,申立人は,「天声新語」,「天声こども語」のように,「天声人語」における「人」を他の語に置き換えて使用している(甲24及び甲25)から,本件商標は,引用商標のシリーズ物である等,何らかの関連性を誤認させる。
ウ したがって,本件商標をその指定役務について使用するときは,その需要者が,申立人の業務に係る役務であると誤認し,役務の出所について混同を生ずるおそれがあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第19号及び同7号該当性
引用商標が著名であること,本件商標が引用商標と類似すること,引用商標との関連性を誤認させることは,前記(1)のとおりである。
そして,本件商標は,引用商標の出所表示機能を希釈化させ,その名声等を毀損させる目的をもって出願されたと考えるのが相当である。
してみると,本件商標は,不正の目的をもって使用するものであり,また,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号及び同7号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号,同第19号及び同第7号に違反してされたものであるから,取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の著名性
申立人の提出した証拠によれば,「天声人語」の文字よりなる引用商標は,申立人の発行する朝日新聞朝刊の1面に掲載されるコラム(以下「本件コラム」という。)の名称であって,本件コラムが登場したのは,1904年(明治37年)であり,引用商標は,今日に至るまで,中断した時期があったものの,復活した昭和20年から平成24年2月の時点まで約67年間継続して使用されているものである(甲3及び甲5)。
そして,引用商標が「朝日新聞の朝刊1面に掲載されているコラム」として,デジタル大辞泉に掲載されていること(甲2),申立人は,2012年(平成24年)2月1日より,本件コラムをテーマにしたテレビコマーシャルを放映したこと(甲4),本件コラムの英語版が1962年(昭和37年)に出版され,2014年(平成26年)2月25日に発行されたものまで175巻が出版され,引用商標がその題号として表示されていること(甲8及び甲9),1992年(平成4年)より本件コラムが,半年ごとに書籍として出版され,引用商標がその題号として表示されていること(甲10及び甲11),本件コラムの筆者が厳選したコラムをまとめた文庫本が出版され,引用商標がその題号として表示されていること(甲12及び甲13),申立人が提供する配信サイトにおいて,本件コラムが閲覧できること(甲14),その他,本件コラムを書き写す専用ノート等が発売されていること(甲16ないし甲19)などを認めることができる。
これらを総合すると,引用商標は,申立人の業務に係る本件コラムの名称又は書籍の題号を表示するものとして,本件商標の登録出願日(平成25年7月8日)前より,我が国の印刷物の分野の需要者の間に広く認識されているものと認めることができ,その著名性は,本件商標の登録査定時(同年10月23日)においても,継続していたものと認めることができる。
イ 本件商標と引用商標の類似性
(ア)外観について
本件商標は,前記1のとおり,「天声神語」の文字を標準文字で表してなるものである。
これに対して,引用商標は,「天声人語」の文字よりなるものである。
そして,本件商標と引用商標は,いずれも漢字4文字よりなり,「天」,「声」,「語」の各文字を共通にし,第3文字において「神」の文字と「人」の文字の差異を有するものであるところ,相違する「神」の文字(語)と「人」の文字(語)は,いずれも一般世人に親しまれているものであり,これらの有する意味及び文字の画数等において著しい差異を有することからすれば,その需要者がたやすく見間違えるものとは認め難いところである。
したがって,本件商標と引用商標は,外観上,類似する商標とはいえない。
(イ)称呼について
本件商標は,その構成文字に相応して,「テンセイシンゴ」の称呼が生じ,他方,引用商標は,その構成文字に相応して,「テンセイジンゴ」の称呼が生ずるものである。
してみると,両称呼は,いずれも7音よりなり,わずかに中間部分において清音「シ」と濁音「ジ」の差異を有するにすぎないものであるから,該差異音が7音よりなる両称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず,これらを一連に称呼するときは,その語調,語感が近似したものとなり,互いに紛らわしいものというべきである。
したがって,本件商標と引用商標は,称呼上,類似する商標ということができる。
(ウ)観念について
本件商標と引用商標は,いずれも構成全体として成語とはいえないものであるが,表意文字である漢字4文字よりなるものであって,「天声」の語は,「天がその意志を人に伝える声」等を意味するものであり,「神語」の語は,「神のことば。神のおつげ。」等を,「人語」の語は,「人間の言語。」等を,それぞれ意味するものである(いずれも広辞苑第六版)ところから,本件商標からは,「天の声と神のおつげ」なる意味合いを想起させるものといえる。
また,引用商標は,「天に声あり,人をして語らしむ」との意味で命名したことが認められる(甲3及び甲5)。
したがって,本件商標と引用商標は,観念上,類似する商標とはいえない。
(エ)まとめ
以上によれば,本件商標と引用商標は,称呼において類似するとしても,外観及び観念において相紛れるおそれはないものであるから,後記ウ認定のとおり,両商標が使用される役務・商品の分野の取引の実情において,その主たる需要者である一般の需要者が通常有する注意力をもってすれば,両商標を誤認混同することはないものと認められる。
したがって,本件商標と引用商標は,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
ウ 取引の実情等
本件商標の指定役務は,前記1のとおり,「占い」及びこれに関連した役務であり,その主たる需要者は,若い女性を中心とした一般の需要者であるといえる。
これに対し,申立人の業務に係る商品は,主として新聞,書籍等であり,引用商標は,前記アのとおり,本件コラムの名称又は書籍の題号として使用されるものであって,その主たる需要者は,広く一般の需要者であるといえる。
なお,申立人は,新聞紙面において,占いと「類似商品・役務審査基準」上,同一の類似群に属する身の上相談を行っている旨主張するが,当該身の上相談について引用商標が使用されている事実を明らかにする証拠の提出はない。
そして,本件商標の指定役務である「占い」及びこれに関連した役務と「新聞」とは,その目的,性質,用途等を異にするものであって,両者は,一般の需要者に明りょうに区別される役務と商品であり,通常,同一の事業者によって提供又は生産・販売されているとはいえないものである。
また,本件商標の指定役務は,携帯電話やインターネット等を通じて提供される場合もあり,本件コラムが携帯電話やインターネット等を通じて提供される場合があることを考慮すれば,両者は,提供の用に供する物を共通にする場合があるといえるが,携帯電話やインターネット等を通じて各種サービスを受ける需要者は,その目的をもってサイトを開くものであり,サイトの画面上における商標は,称呼ではなく,外観,観念によって識別されるから,本件商標を表示した役務と引用商標を表示したコラムとを混同する可能性は極めて低いといえる。
エ 以上によれば,本件商標の指定役務である「占い」及びこれに関連した役務の主たる需要者と新聞及び書籍の主たる需要者とが,一般の需要者である点において共通する場合があるとしても,本件商標と引用商標とは,類似する商標ではないこと,「占い」及びこれに関連した役務と「新聞」及び「書籍」とは,その目的,性質,用途等を異にし,一般的に同一の事業者によって提供又は生産・販売されているものとはいえないものであることに加え,引用商標の著名性が印刷物の分野を越えて,占いの分野にまで及ぶものとはいえないことを考慮すると,本件商標をその指定役務について使用しても,該役務が申立人又はこれと何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように,役務の出所について誤認,混同を生ずるおそれはないとみるのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第19号について
前記(1)アのとおり,引用商標は,申立人の業務に係る本件コラムの名称又は書籍を表示するものとして,本件商標の登録出願日(平成25年7月8日)前より,我が国の印刷物の分野の需要者の間に広く認識されているものと認めることができる。
しかしながら,本件商標と引用商標は,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであって,商標権者が,申立人の引用商標の出所表示機能を希釈化させ,その名声等を毀損させる目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすこともできないから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものということができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標と引用商標とは,互いに相紛れるおそれのない非類似の商標であって,申立人提出の証拠によっては,引用商標の出所表示機能を希釈化させ,その名声等を毀損させる等の本件商標の商標登録に至る登録出願の経緯に著しく社会的相当性を欠くものとすべき具体的事実を,見いだすことができない。
また,本件商標は,「天声神語」の文字からなるものであるから,その構成自体において公序良俗違反に該当するものでないことは明らかである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号,同第19号及び同第7号のいずれにも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-07-25 
出願番号 商願2013-52797(T2013-52797) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W45)
T 1 651・ 22- Y (W45)
T 1 651・ 222- Y (W45)
最終処分 維持  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 亨子
井出 英一郎
登録日 2013-12-20 
登録番号 商標登録第5637669号(T5637669) 
権利者 株式会社ユニット
商標の称呼 テンセージンゴ、テンセーシンゴ 
代理人 中澤 昭彦 
代理人 渡邉 敬介 
代理人 山口 芳広 

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