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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900292 審決 商標
異議2013900384 審決 商標
異議2013900385 審決 商標
異議2013900404 審決 商標
異議2013900346 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2528
審判 全部申立て  登録を維持 W2528
管理番号 1289799 
異議申立番号 異議2013-900374 
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-08-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-10-29 
確定日 2014-07-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第5607648号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5607648号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5607648号商標(以下「本件商標」という。)は、「MY SWEET MONSTER」の欧文字(標準文字による。)を横書きしてなり、平成25年2月25日に登録出願、第25類「被服,履物」及び第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」を指定商品として、同年6月13日に登録査定、同年8月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立てにおいて、「MONSTER ENERGY」の欧文字を横書きしてなり、第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」を指定商品とする登録第5393681号商標を始め、以下のとおりの構成からなる33件の商標を引用している。
そして、以下の(1)ないし(32)に係る商標のうち、(1)ないし(31)に係る商標は、第32類に属する商品を始めとする商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とし、また、(32)に係る商標は、第25類に属する商品を始めとする商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、それぞれ既に設定登録され、現に有効に存続しているものである。加えて、(33)に係る商標は、商標法第44条第1項に規定する審判に係属しているものである。
なお、以下の商標のうち、文字からなる商標は、いずれも標準文字によるものである。
(1)登録第5393681号商標:「MONSTER ENERGY」
(2)登録第5057229号商標:別掲1のとおり
(3)登録第5010968号商標:「M MONSTER ENERGY」
(4)登録第5394526号商標:別掲2のとおり
(5)登録第5442171号商標:「MONSTER ENERGY PINK」
(6)登録第5417815号商標:「MONSTER ENERGY AGENT ORANGE」
(7)登録第5379390号商標:「MONSTER」
(8)登録第5527566号商標:「MONSTER DETOX」
(9)登録第5476620号商標:「MONSTER REHAB」
(10)登録第5490798号商標:「MONSTER RECOVERY」
(11)登録第5497766号商標:「MONSTER UNLEADED」
(12)登録第5451361号商標:「MONSTER PUMPED」
(13)登録第5480373号商標:「MONSTER BIOACTIVATED」
(14)登録第5527567号商標:「MONSTER REHABITUATE」
(15)登録第5495941号商標:「MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE」
(16)登録第5417769号商標:「MONSTER REDUCED CARB」
(17)登録第5417770号商標:「MONSTER LO-CARB」
(18)登録第5375090号商標:「PROTEIN MONSTER」
(19)登録第5327467号商標:「MUSCLE MONSTER」
(20)登録第5409580号商標:「MONSTER RIPPER」
(21)登録第5409582号商標:「MONSTER BLACK」
(22)登録第5419507号商標:「MONSTER DOUBLE BLACK」
(23)登録第5409583号商標:「MONSTER GIRL」
(24)登録第5542584号商標:「MONSTER CUBA-LIMA」
(25)登録第5043703号商標:「JAVA MONSTER」
(26)登録第5431412号商標:「JAVA MONSTER」
(27)登録第5562023号商標:「JAVA MONSTER GREEN BEANS」
(28)登録第5423080号商標:「LOCA MOCA JAVA MONSTER」
(29)登録第5630446号商標:「KONA CAPPUCCINO M JAVA MONSTER」
(30)登録第5389881号商標:「X-PRESSO MONSTER」
(31)登録第5590215号商標:「JUICE MONSTER」
(32)国際登録第1048069号商標:別掲1のとおり
(33)商願2012-089483号商標:別掲3のとおり

第3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、その証拠方法として、甲第1号証ないし甲第176号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人が使用している商標について
申立人のエナジードリンク製品、さらに、アパレル製品、アクセサリー類、その他の関連グッズには、モンスターの爪痕を象った「M」の文字状のロゴマークからなる商標、「MONSTER ENERGY」の文字からなる商標(上記第2の(1)登録第5393681号商標)、「MONSTER」の文字からなる商標(上記第2の(7)登録第5379390号商標)、「M」の文字状のロゴマークと「MONSTER ENERGY」の文字の文字を一体にした「M MONSTER ENERGY」のブランドロゴマークからなる商標(例えば、上記第2の(2)登録第5057229号商標、同じく(32)国際登録第1048069号商標、同じく(33)商願2012-089483号商標。以下「MEブランド」という。)が使用されているほか、「MONSTER」の文字と他の文字を結合させた様々な結合商標(例えば、上記第2の(3)登録第5010968号商標ないし(31)登録第5590215号商標。以下、これら商標を総称して「Mファミリー商標」という。)。

2 MONSTERファミリー商標の著名性について
(1)申立人及びMEブランド
申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、アルコールを含有しない飲料、すなわち、炭酸飲料、天然ソーダ水、フルーツジュース、エネルギー補給用飲料(エナジードリンク)、エネルギー補給用飲料(エナジースポーツドリンク)、フルーツジューススムージー、レモネード、アイスティー等の企画、開発、製造、マーケティング、販売の事業に従事している(甲第2号証及び甲第58号証の段落3)。
申立人は、2002年には、エナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国で同年3月から広告宣伝を開始し、同年4月から製造販売を開始した(甲第4号証、甲第7号証、甲第18号証並びに甲第58号証の宣誓供述書の段落8ないし12及び証拠物件RCS-2)。
この「MONSTER ENERGY」のオリジナル版のエナジードリンク製品は、従来の清涼飲料製品の容器とは異なる黒色ベースのボトル缶にモンスターの爪痕を象った「M」の文字状のロゴマークと「MONSTER」の文字を太字で目立つように表示した独特な雰囲気が経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲第56号証、甲第57号証、甲第58号証の宣誓供述書の証拠物件RCS-2)、男性若者層を中心に、たちまち人気商品となった。
(2)広告・マーケティング・販売促進活動
申立人は、2002年から現在まで、全世界におけるMEブランドのエナジードリンクに関する広告、マーケティング及び販売促進活動費として総額21億米ドルを超える費用を支出した(甲第58号証の宣誓供述書の段落24)。こうした販売促進活動の主な内容は、世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会、アマチュア選手、音楽祭及びミュージシャン、米国ラスベガスの公共機関モノレールに対する支援活動(スポンサー提供)並びに販売店用什器及び備品の供給である。
上記スポンサー提供活動においては、スポーツ競技会などイベント会場施設の看板、旗、垂れ幕、ブース、什器類、移動車、スタッフの衣装やユニフォーム、スポンサー契約アスリートやレーシングチームが着用するユニフォーム・ヘルメット・帽子・手袋・スポーツ用具・車体等、申立人がイベント関連ニュースを配信するニューズレター、ビデオクリップ、ラスベガスのモノレールの車体や関連広告物などに、MEブランドが表示されている。
このようなスポンサー提供による広告・マーケティング及び販売促進活動の中核をなすのが世界中の一流アスリート、スポーツチーム及びスポーツイベントに対する支援であり、申立人は「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクを販売開始した2002年から、継続して、モトクロス、スーパークロスなどのオートバイ競技、フォーミュラワン(F1)などの自動車レース、スノーボード、サーフィン、スケートボード、その他のアクションスポーツ(エクストリームスポーツ、Xスポーツ)など、様々なスポーツの分野で世界的に活躍する有名アスリート及びレーシングチームとスポンサー契約を交わし、その競技活動及び米国内外の国際的な競技会、世界選手権などのスポーツイベントの開催の支援活動を行っている(甲第58号証の宣誓供述書の段落25ないし117及び証拠物件RCS-9ないし31)。これらのスポンサー活動は、申立人自らが発信する情報のみならず、スポンサー提供を受けるアスリートたちが運営するホームページやブログ、有名経済ビジネス誌、一般の報道ニュース、スポーツファンのホームページなどを通じて、日本国内の一般消費者にも発信、紹介されている(甲第34号証ないし甲第45号証、甲第52証、甲第53号証、甲第56号証及び甲第57号証)
また、申立人は、2003年に米国の観光都市ラスベガスを走行する公共交通機関のモノレールと1千万米ドルのスポンサー契約を締結し、モノレールの車両にMEブランドを付した「モンスター列車」がカジノを結ぶラスベガスの通りを走行することになった(甲第58号証の宣誓供述書の段落135ないし137並びに証拠物件RSC-38及び39)。このモンスター列車に関しては、2003年6月から7月にかけて、米国内の印刷物、テレビ、インターネットなど、数々のマスメディアが大きく取り上げて報道し(同証拠物件RCS-40)、統計調査によれば、インターネットの記事のみで7千万以上の読者がモンスター列車の報道を読んだ(同証拠物件RCS-41)。
MEブランドは、そのエナジードリンクの販売店用の什器及び備品(エナジードリンクの陳列用見出し、陳列ケース、陳列用カード、チラシ、ステッカー、ポスター、ポールの看板、カウンターに置くクーラー、自立クーラー、サイド棚又はワイヤー棚システム、吸盤式ラック、静電クリングフィルム、旗、風船など)にも表示されており、米国では30万以上の小売店に、これらの什器類が供給され、設置されている。2007年に米国、カナダ及び中南米で供給された什器類の総数は600万点を超え、2010年に世界中で供給された総数は770万点以上であった(甲第58号証の宣誓供述書の段落138及び証拠物件RCS-45)。
(3)国内における販売及び販売促進活動
日本国内ではMEブランドのエナジードリンクの販売は、アサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」という。)を通じて行われている。2012年3月15日付のニュースリリースで、アサヒ飲料が国内独占販売権の取得を公表し、2種類のエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の発売を発表、同年5月8日から販売を開始している(甲第5号証ないし甲第7号証)。当該商品は、発売後、日本国内でもたちまち人気となり、同年9月の時点で、既に年間売上目標の100万箱を突破し(甲第8号証)、その後も、好調に売上を伸ばして157万箱の売上を記録した(甲第9号証)。さらに、2013年5月7日からは、同ブランドの新製品として、糖類ゼロ・カロリーゼロのエナジードリンク「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」も発売されている(甲第10号証)。
これら3種のMEブランドのエナジードリンクは、日本全国のコンビニエンスストア、自動販売機、キオスク、スーパーマーケット、列車の売店、会員制スーパー、店舗、ゲームセンター、ドラッグストア及びホームセンター等の販売小売店のほか(甲第58号証の宣誓供述書の段落18)、アサヒ飲料の通販サイトからも直接購入可能である(甲第11号証ないし甲第17号証)。また、大手ネットショッピングサイトのアマゾンジヤパンなどでは、日本未発売の輸入品販売も取り扱われている(甲第33号証)。
また、2012年5月の国内発売直後から継続的にテレビコマーシャル放映、日本開催の多数のスポーツイベント等へのスポンサー操供 サンプル配布などを含む大々的な広告・販売促進活動が実施されている(甲第58号証の宣誓供述書の段落22、23、30ないし34及び証拠物件RCS-5ないし8)。
(4)全世界の販売国・地域及び販売額
現在までに、全世界100以上の国及び地域でMファミリー商標を使用したエナジードリンクを販売している(甲第58号証の段落14)。
販売額は、2002年に米国で販売開始以来、90億缶以上を販売し、世界中で毎年15億缶以上を売上げ、世界中で合計170億米ドルを超える収益を上げており、全世界での小売販売額は、毎年40億米ドルを超える。2011年12月31日締めの総売上額は、2010年の14.89億米ドルから31%増加して19.5億米ドルに、2012年12月31日締めの申立人の年間総販売額は、2011年の19.5億米ドルから21%増加して、23.7億米ドルに至っており、「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクの販売は、当該売上額の90%以上を占める。
米国以外の国及び地域における申立人のエナジードリンクの小売販売額は、2012年が10億米ドル以上、2010年が5億米ドル以上、2011年が7億6,000万米ドル以上であり、米国以外の需要者に対する2010年の総売上額は、前年の1億6,800万米ドルから43%以上増加して2億4,060万米ドルに、2011年の総売上額は、前年の2億4,060万米ドルから58%以上増加して3億8,100万米ドルに、2012年の総売上額は、前年の3億8,100万米ドル以上からおよそ35%以上増加して約5億1,400万米ドルに至っている。また、現在、申立人は、米国におけるエナジードリンク市場の32.9%のシェアを占めるものである。
さらに、日本におけるMEブランドのエナジードリンクの販売数量は、2012年4月の販売開始から2013年3月までの約2年の期間において、約5.500万缶を売り上げ、総販売額は、4,900万米ドル以上、日本円で40億円以上である。
(5)アパレル製品、ビデオ製品等の販売
申立人は、2002年から、MEブランドの商標を付したアパレル製品等の製造販売をライセンスしており、多数のライセンシーを通じて、日本及びアジア全域、オーストラリア、米国、カナダ、中央アメリカ、南米、ヨーロッパ、アイスランド、スカンジナビア及びメキシコを含む世界各地で販売中である(甲第58号証の宣誓供述書の段落126ないし128及び証拠物件RCS-36)。また、MEブランドのマークのステッカーや転写シールも製造販売されており、モンスターアーミー(申立人が支援育成するアマチュア選手)の登録会員、スポンサー提供するアスリートやイベントの観客・ファンに配布されている。(甲第58号証の宣誓供述書の段落129及び130)。
このようなMEブランドの商標が付された被服、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、ステッカー、リュックサック等は、インターネットの通信販売業者により、日本国内でも輸入販売されており(甲第47号証及び甲第48号証)、一般消費者の人気も高い。
また、申立人は、ビデオゲーム制作販売会社とも提携し、申立人がスポンサーを務めるカーレーサー等がMEブランドの商標を付したウエア等を着用し、レーシングカーを使用して登場する複数のビデオゲーム製品なども、商品化しており、日本でも購入可能である(甲第58号証の宣誓供述書の段落139及び140並びに証拠物件RCS-46)。
(6)その他
ア ウェブサイト・ソーシャルメディアによる情報発信等
申立人の「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクの商品情報、スポンサー契約アスリート・チーム及びスポーツ等のイベントに関する情報、アスリート等の大会成績や記録情報並びに「MONSTER ENERGY」のアパレル及びアクセサリー類に関する商品情報や販売などが、申立人が開設運営する複数のウェブサイト及びソーシャルメディアサイトを介して、日本を含む全世界の需要者に発信されており、日本を含む多数の需要者からアクセスがある(甲第58号証の宣誓供述書の段落120ないし125及び証拠物件RCS-32ないし35)。
イ 経済界等からの表彰等
MEブランドのエナジードリンクの開発、導入の成功により、急成長を遂げた申立人の業績は、本件商標の登録出願のはるか以前から、経済界で高く評価され、数々の表彰を受けている(甲第58号証の宣誓供述書の段落3及び131並びに証拠物件RCS-37)。
ウ 国内における申立人のアパレル製品等の人気と模倣品の取締り
申立人のライセンシーの製造販売に係るMEブランドのマークを付した帽子、Tシャツ、スウェットシャツ、レーシングジャケット、手袋等のアパレル製品、オートバイ、車、サーフボード、スノーボードなどに貼付することができるステッカー(シール)などは、日本の国内でも、輸入販売されており、モトクロス、F1その他の自動車レース、スノーボード、サーフィン、エックススポーツ等のスポーツ愛好家を含む一般消費者の間で人気の高い商品となっている。
このような国内市場におけるMEブランドのマークの人気、周知性の高まりに便乗して、申立人の商標権を侵害するアパレル製品、ステッカー等の模倣品が海外で製造され、申立人の商標権の侵害物品として、日本の税関で輸入が差止められる案件も増加している(甲第59号証ないし甲第70号証、甲第175号証及び甲第176号証)。
(7)小括
申立人のMファミリー商標は、以上の事実に照らせば、本件商標の登録出願の日である平成25年(2013年)2月25日のはるか以前より、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、米国をはじめとする外国で広く認識されていたにとどまらず、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、日本国内の需要者の間でも、申立人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。

3 本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当する理由について
(1)商品の対比
本件商標は、第25類「被服,履物」及び第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」(以下「本件指定商品」という。)に使用するものである。
本件指定商品中の第25類「被服」は、引用商標の(32)の国際登録第1048069号商標の指定商品に係る第25類「被服、すなわちティーシャツ、フード付きシャツ及びフード付きスウェットシャツ、スウェットシャツ、ジャケット、ズボン及びパンツ、バンダナ、汗止めバンド及び手袋、帽子、すなわち帽子及びビーニー」(審決注;国際登録第1048069号商標の指定商品の記載は仮訳によるものである。)と同一又は類似のものであり、また、申立人がそのライセンシーを通じて実際に製造販売しているMEブランドのマークを付したTシャツ、帽子、スウェットシャツその他のアパレル製品と同一又は類似のものである。
本件指定商品中の第25類「履物」は、これらのアパレル製品(被服)と全身をファッションコーディネートして同時に購入することも少なくなく、アパレル製品と同時に使用(着用)されるものであり、同一事業者によって製造され、あるいは、同一店舗内で販売されることも多く、需要者層もアパレル製品と一致ないし重複する。
そして、本件指定商品中の第28類「おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具」は、その主たる需要者が一般消費者である点で、申立人の取扱いに係るアパレル製品と一致ないし重複するのみならず、申立人の実際の取扱いに係るビデオゲームと製造部門、販売部門、販売場所、用途、需要者層等を共通にする類似の商品である。
したがって、本件指定商品は、引用商標の(32)の国際登録第1048069号商標の指定商品及び申立人による使用に係る商品と同一又は類似のものであり、また、その製造部門、販売部門、用途、需要者層などが申立人の取扱商品と一致ないし重複する極めて関連性の深いものである。
(2)商標の対比
本件商標は、標準文字による欧文字をもって、「MY SWEET MONSTER」と横書きしてなるものである。そして、その構成中の「MY」の文字は「私の」を意味する英単語「my」に、「SWEET」の文字は「甘い、楽しい、愛しい、大切な」等を意味する英単語「sweeet」に、「MONSTER」の文字は「怪獣、怪物、モンスター」等を意味する英単語「monster」に、それぞれ通ずるものであり、いずれも、外来語として国民一般に広く親しまれているから、本件商標に接した需要者は、その構成文字である「MY SWEET MONSTER」の文字が英単語の「MY」、「SWEET」及び「MONSTER」の語を結合させたものであることを容易に認識、理解する。
本件商標の構成文字は、「MONSTER」の文字を有する点において、申立人がアパレル製品に使用しているMEブランドの商標と一致し、また、「MONSTER」の語と他の語を結合させた構成からなる点において、申立人が「MONSTER ENERGY」の各種エナジードリンク製品(飲料製品)の個別の商品名として使用しているMファミリー商標の構成とも一致する。本件商標と申立人の商標は、それぞれの構成中の「MONSTER」の文字部分において「怪獣、怪物、モンスター」の観念及び「モンスター」の称呼を共通にするものである。
(3)小括
本件商標の登録出願時には、申立人の使用に係るMファミリー商標は、日本国内及び米国を含む多数の外国において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間で広く認識されていた。さらに、本件指定商品と同一又は類似の商品に該当する被服等のファッション関連製品は、MEブランドの商標を付した申立人のアパレル製品の模倣品が税関の水際取締りで申立人の商標権侵害物品と認定され、輸入が差止められる事案が多発する程度にまで、日本国内の当該分野の需要者の間では広く知られており、非常に人気の高い商品となっている。
以上の観点に照らせば、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接した需要者は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間で広く認識されている「MONSTER ENERGY」を始めとする申立人のMファミリー商標を想起、連想し、本件商標を申立人のMファミリー商標のひとつであると誤信し、あるいは、本件商標を使用した指定商品を申立人と経済的又は組織的関係を有する者の取り扱いに係る商品であると誤信することにより、商品の出所について混同を生じるおそれが高いことが明らかである。
ところで、商標法第4条第1項第15号の規定は、出所の混同防止のみならず、著名商標の顧客吸引力へのフリーライド、その出所表示力のダイリューションを防止する趣旨も含むものであると解される(平成16年(行ケ)第85号審決取消請求事件 平成16年10月20日東京高裁判決)。本件商標が本件指定商品に使用された場合、2002年から現在までの申立人による継続的使用と営業努力によって、申立人の商品を表す出所識別標識として広く認識されるに至ったMEブランドを含むMファミリー商標について、その強力な出所表示力が希釈化すること明らかであり、また、被申立人による本件商標の使用は、申立人がMファミリー商標について獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ない。

4 本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当する理由について
本件商標は、その登録出願時に申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び米国その他の外国で広く認識されている「MONSTER ENERGY」を始めとするMファミリー商標と、「MONSTER」と他の文字を結合させた構成を有する点において、その構成の特徴と一致する。また、本件商標が使用される商品は、申立人が実際にMEブランドの商標を使用しているアパレル製品及びビデオゲーム製品と同一又は類似の商品を含むものである。
そうすると、本件商標がその指定商品に使用された場合、Mファミリー商標の強力な出所表示力を希釈化するおそれが極めて高く、また、本件商標の使用は、Mファミリー商標が獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ないものであるから、申立人に経済的及び精神的損害を与えるものといえる。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神及び国際信義に反するものであるから、公の秩序を害するおそれがある。

第4 当審の判断
1 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)MEブランドを始めとするMファミリー商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る甲号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、2002年に、米国においてエナジードリンク(エネルギー補給用飲料)の販売を開始した。該飲料は、従来の清涼飲料容器とは異なる黒色ベースのボトル缶が用いられ、該ボトル缶には、別掲1に示す、Mの字状の図形を大きく表示し、その下部に、図案化した「MONSTER」の文字と小さな「ENERGY」の文字を併記した構成からなる商標(前記第2の(2)に係る登録第5057229号及び同じく(32)に係る国際登録第1048069号商標と同一の構成からなる。以下「使用商標」という。)が付されている(甲第4号証ないし甲第8号証、甲第11号証ないし甲第14号証並びに甲第58号証の証拠物件RCS-2及び3)。
また、上記ボトル缶には、使用商標に加えて、あるいは、使用商標の構成中の「ENERGY」の文字部分に代えて、「KHAOS」、「ABSOLUTELY ZERO」、「JAVA」、「SUPER DRY」、「EXTRA STRENGTH」、「ANTI GRAVITY」、「BLACK ICE」、「Rehab」、「Baller’s Blend」、「Mad Dog」、「MUSCLE」、「M-8O」等の文字を表示したものもある(甲第4号証、甲第6号証ないし甲第8号証、甲第10号証、甲第11号証、甲第13号証ないし甲第17号証、甲第19号証ないし甲第33号証及び甲第58号証の証拠物件RCS-3)。しかし、これらは、「KHAOS」の文字を表示したものを除き、本件商標の登録出願後に日本国内で発売されたものか、未だ日本国内で発売されていないものである。
(イ)申立人は、2002年から現在まで、MEブランドを使用したエナジードリンク製品に関し、全世界での広告、マーケティング、販売促進活動費として、総額21億ドル以上を支出している。販売促進活動の主な内容は、様々なスポーツ分野で活動する有名アスリートやレーシングチーム、競技会、アマチュア選手、音楽祭、ミュージシャン、ラスベガスの公共機関モノレール等の支援活動(スポンサー提供)、販売店用什器・備品の提供等であり、スポーツ分野では、モトクロスライダー、スケートボーダー、オートバイライダー、カーレーサー、カワサキオートバイのレーシングチーム等のスポンサー活動がある(甲第34号証ないし甲第44号証(枝番を含む。)及び甲第58号証)。
上記支援活動は、スポンサー提供を受けるアスリートのウェブサイト、ビジネス誌、報道ニュース、スポーツファンのウェブサイト等を通じて発信され紹介されているが、多くは「Monster Energy」又は「モンスターエナジー」として表示・紹介され、「Monster」又は「モンスター」のみで表示・紹介されているものは、ほとんど見当たらない(甲第34号証ないし甲第45号証(枝番を含む。)及び甲第49号証ないし甲第57号証)。
そして、上記スポンサー提供を受けるアスリートやチームが着用又は使用するウェア、レーシングスーツ、帽子、レーシングヘルメット、レーシングカー、オートバイ、サーフボード等には、MEブランドのうちの一つ(特にMの文字状の図形)又は複数が付されているが、そのほかに、「MONSTER」の文字のみからなる標章やMファミリー商標と思しき標章が付されたものはほとんど見当たらない(甲第34号証ないし甲第44号証(枝番を含む。)並びに第58号証の証拠物件RCS-9ないし11、13ないし15、17ないし33、35及び36)。
また、ラスベガスの公共交通機関モノレール支援活動では、車両にMEブランドを付したモンスター列車が走行し、多くの人々が乗車したことがマスメディア等で報道されたほか、エナジードリンクの販売用の什器等にもMEブランドが付されているが、そのほかに、「MONSTER」の文字のみからなる標章やMファミリー商標と思しき標章が付されたものは見当たらない(甲第49号証、甲第50号証及び甲第58号証の証拠物件RCS-37ないし40)。
(ウ)申立人は、MEブランドについて、商品化を第三者に許諾し、MEブランドの商標を付したTシャツ、ジャージパンツ、レーシングジャケット、フーディ、帽子、バッグ、ステッカー等の各種商品(以下、まとめて「申立人アパレル製品等」という。)がライセンシーによって製造、販売されており、これら申立人アパレル製品等は、インターネット通信販売業者を通じて日本でも購入できる(甲第46号証ないし甲第48号証及び第58号証の証拠物件RCS-36)。
甲第47号証、甲第48号証及び甲第58号証の証拠物件RCS-36に示された申立人アパレル製品等の写真によれば、申立人アパレル製品等のそれぞれには、MEブランドのいずれか、特に、Mの文字状の図形が付されているものの、そのほかに、「MONSTER」の文字のみからなる標章やMファミリー商標と思しき標章が付されたものは見当たらない。
(エ)MEブランドのエナジードリンクの開発・導入により成長した申立人の業績は、経済界でも注目され、本件商標の登録出願前には、既に「Forbes」、「FORTUNE」、「BusinessWeek」、「Newsweek」、「TIME」、「BeverageWorld」等の経済ビジネス誌において紹介されている(甲第49号証、甲第51号証ないし甲第57号証)。しかしながら、これらの雑誌は、全て英文によるものであり、かつ、米国において発行されたものであって、これら雑誌に掲載された記事内容が我が国において紹介されたのかは明らかにされていない。しかも、掲載記事では、「Monster Energy」と一連で表記されているものがほとんどである。
(オ)日本国内では、アサヒ飲料がMEブランドのエナジードリンクの独占販売権を取得し、同社は、2012年5月8日から2種類のエナジードリンク(「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」)を発売、その販売は、同年の9月には年間目標100万箱を突破し、販売目標を120万箱に上方修正したことが発表された(甲第7号証及び甲第8号証)。なお、本件商標の登録出願後の2013年5月7日には、「MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO」が新発売され、現在では、上記3種類のエナジードリンクが、アサヒ飲料の通販サイト、ネットショッピングのアマゾンで購入することができる(甲第10号証ないし甲第17号証、甲第33号証及び甲第58号証)。
申立人は、上記飲料の国内販売の開始直後から本件商標の登録出願の前まで、発売を記念するイベントを行ったほか、各種イベントのスポンサー提供を介して広告宣伝を行った。例えば、2012年5月17日から2ヶ月間にわたり50万缶のサンプルを路上配布したほか、同年6月2日及び3日には渋谷における路上発表会で4万缶のサンプルを配布、同年7月には晴海フェリーターミナルにおけるパンクロックフェスティバルで5,500缶のサンプルの配布、同月に愛知県田原海岸におけるサーフィン大会で4,500缶のサンプルの配布、同年10月18日から28日まで各地で行われたスケートボード競技会のスポンサー提供などを行った(甲第58号証及び添付の証拠物件RCS-4ないし8)。
しかしながら、上記イベントの参加者やサンプルの配布の対象者は、一部の若者が中心であるばかりでなく、証拠物件RCS-4ないし8に示す写真によれば、MEブランドのいくつか、特にMの文字状の図形が使用されているものの、そのほかに、「MONSTER」の文字のみからなる標章やMファミリー商標と思しき標章は見当たらない。しかも、当該証拠物件RCS-4ないし8に示す写真には、本件商標の登録出願後に発売された「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」に係るもの(甲第58号証の証拠物件RCS-6)も含まれているなど、写真の撮影時期は必ずしも明らかでない。
他に、本件商標の登録出願前に、使用商標及びMEブランドを始めMファミリー商標を使用したエナジードリンクについて、新聞、雑誌、テレビ等のマスメディアにおいて宣伝広告された事実を示す証拠はない。
イ 上記(1)アの事実を総合勘案すると、本件商標の登録出願時及び登録査定時には、MEブランドが、申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」を表示する商標として、米国における取引者、需要者の間に広く認識されていたものといえるとしても、MEブランドは、「M」の文字状のロゴマークと「MONSTER ENERGY」の文字を一体にした商標として、一連の「MONSTER ENERGY」として、あるいは、「M」の文字状の図形として使用されてはいるが、そのほかに、「MONSTER」の文字のみからなる標章やMファミリー商標と思しき標章が多く使用されているとはいえない状況にあるから、「MONSTER」の文字のみをもって、申立人又は申立人の業務に係る商品を表すものとして広く知られていたとはいい難い。
他方、我が国おいては、市場参入から日が浅く、また、米国における「MONSTER ENERGYブランド」の周知性についてわが国に紹介するものも多くなく、宣伝広告も限られた範囲のものであることを踏まえると、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、MEブランドについて、申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたとまでいうことはできない。まして、そのほかの「MONSTER」の文字のみからなる標章やMファミリー商標が需要者の間で広く認識されていたということもできない。
また、MEブランドを付した申立人アパレル製品がインターネットを通じた通信販売により取引されている事実があるとしても、その販売の開始時期・期間・数量・地域・規模等や宣伝広告の事実が一切不明であり、MEブランドが申立人アパレル製品について使用する商標として需要者の間で広く認識されているとは認められないことはもとより、上記通信販売の事実によって、結果的に、MEブランドが申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」を表示する商標として需要者の間で広く認識されているともいえない。
さらに、MEブランドが、申立人の業務に係る「エナジードリンク」を表示する商標として、我が国の若者の一部にある程度知られているとしても、それは、「M」の文字状のロゴマークと「MONSTER ENERGY」の文字を一体にした商標として、一連の「MONSTER ENERGY」として、あるいは、「M」の文字状の図形として認識されているというべきであり、「MONSTER」の文字のみをもって、申立人又は申立人の業務に係る商品を表すものとして広く知られていたということはできない。
(2)本件商標と使用商標やMEブランドを始めとしたMファミリー商標との対比
ア 本件商標は、「MY SWEET MONSTER」の欧文字を標準文字で横書きしてなるところ、外観において、同じ書体、同じ大きさの欧文字をまとまりよく一体に表してなるものであり、全体の構成が格別冗長というものではなく、また、称呼においても、その構成文字の全体より生ずる「マイスイートモンスター」の称呼は、よどみなく一連に称呼し得るものである。
加えて、観念においても、本件商標の構成中の「MY」の文字が「私の」の意味を、「SWEET」の文字が「甘い、楽しい、愛しい」等の意味を、「MONSTER」の文字が「怪獣、怪物」等の意味を表す英語として、それぞれ親しまれたものであるところ、「MY SWEET」として「愛する人、いとしい人」の意味で呼びかけに用いられる場合があること、「怪物」の語が擬人化や畏敬の対象を示すものとして用いられる場合があることなどを勘案すると、本件商標は、全体として「私の愛しい怪物」程の意味合いを想起又は暗示させるものといえる。
そうすると、本件商標は、全体をもって一体のものとして看取され、「マイスイートモンスター」の一連の称呼のみを生ずるものというべきであって、殊更に「MONSTER」の文字部分のみを分離抽出して観察すべき格別の理由はないものといわなければならない。
イ 他方、使用商標は、別掲1のとおりであり、その構成及び態様に徴すれば、中央上方に大きく顕著に描かれたM字状の図形部分と、その下部に表された「MONSTER」(やや図案化されているものの、「MONSTER」の文字を表したものと容易に認識できるものである。)及び「ENERGY」の文字部分とは、常に不可分一体にのみ認識されるというよりは、むしろ、その図形部分と文字部分が独立して、その商品の出所の識別標識として認識される場合もあるとみるのが自然といえる。そして、使用商標は、読み易い上記文字部分を捉え、該文字部分より生ずる称呼をもって取引に資される場合が少なくないというべきである。
そうすると、使用商標からは、「モンスターエナジー」及び「モンスター」の称呼が生ずるとみるのが相当である。
同様に、MEブランドからも、「モンスターエナジー」及び「モンスター」の称呼を生ずるものといえる。
ウ 本件商標と使用商標及びMEブランドとを対比するに、まず、称呼において、本件商標から生ずる「マイスイートモンスター」の称呼と、使用商標及びMEブランドから生ずる「モンスターエナジー」及び「モンスター」の称呼とでは、その構成音数が異なるばかりでなく、「マイスイートモンスター」の称呼と「モンスターエナジー」の称呼とでは「マイスイート」と「エナジー」の音の差異が、「マイスイートモンスター」の称呼と「モンスター」の称呼とでは「マイスイート」の音の有無という顕著な差異があり、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が著しく相違し、容易に区別し得るものである。
また、本件商標と使用商標及びMEブランドとは、その外観においては、それぞれの構成に徴すれば、明らかに区別し得る差異を有するものである。
さらに、観念においては、本件商標は、「私の愛しい怪物」程度の意味合いを想起又は暗示させる場合があるのに対し、使用商標及びMEブランドは、「MONSTER」の文字部分に相応して「怪物、モンスター」の観念を生ずるものであるところ、両者は、観念においても相紛れるおそれがないこと明らかである。
してみれば、本件商標と使用商標及びMEブランドとは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、取引者、需要者が誤認するおそれがあるということはできないものである。
エ なお、本件商標とMファミリー商標を対比してみても、Mファミリー商標は、「MONSTER」の文字と「KHAOS」、「ABSOLUTELY ZERO」、「JAVA」、「Rehab」等の文字とを結合してなるものであって、それぞれ「モンスター」の称呼のほか、結合する各文字に相応した「モンスターカオス」、「モンスターアブソリュートリーゼロ」、「モンスタージャバ」、「モンスターリハブ」等の称呼を生ずるものである。
他方、本件商標は、その外観、称呼及び観念は上記アのとおりである。
そうすると、本件商標とMファミリー商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない非類似の商標といえる。
(3)商品の出所の混同のおそれについて
使用商標、MEブランドを始めとしたMファミリー商標は、前示のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、いずれも申立人の業務に係る商品「エナジードリンク」を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたということができないものである。しかも、これらの商標と本件商標とは、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、取引者、需要者が誤認するおそれがあるということはできない。
そうすると、本件商標は、その指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者が使用商標及びMEブランドを始めとするMファミリー商標や申立人を連想、想起するとは考え難く、該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるということはできない。
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

2 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、本件商標の使用がMファミリー商標の強力な出所表示力を希釈化するおそれがあること、また、Mファミリー商標が獲得した信用力、顧客吸引力にフリーライドするものであり、申立人に経済的及び精神的損害を与えることを理由に、商標法第4条第1項第7号に該当すると主張している。
しかしながら、外国等で周知著名となった商標等に起因しての同規定の適用に関しては、「商標法は,出願人からされた商標登録出願について,当該商標について特定の権利利益を有する者との関係ごとに,類型を分けて,商標登録を受けることができない要件を,法4条各号で個別的具体的に定めているから,このことに照らすならば,当該出願が商標登録を受けるべきでない者からされたか否かについては,特段の事情がない限り,当該各号の該当性の有無によって判断されるべきであるといえる。」、さらに、「出願人が本来商標登録を受けるべき者であるか否かを判断するに際して,先願主義を採用している日本の商標法の制度趣旨や,国際調和や不正目的に基づく商標出願を排除する目的で設けられた法4条1項19号の趣旨に照らすならば,それらの趣旨から離れて,法4条1項7号の『公の秩序又は善良の風俗を害するおそれ』を私的領域にまで拡大解釈することによって商標登録出願を排除することは,商標登録の適格性に関する予測可能性及び法的安定性を著しく損なうことになるので,特段の事情のある例外的な場合を除くほか,許されないというべきである」とされている(平成19年(行ケ)第10391号 平成20年6月26日判決言渡)。
そして、本件商標は、上記1のとおり、商標法第4条第1項第15号に該当するということはできないものである。
さらに、本件商標は、たとえ、「MONSTER」の文字と「MY」及び「SWEET」の文字とを結合したものであっても、それをもって、直ちにMファミリー商標の識別力希釈化し、または、その信用力又は顧客吸引力にフリーライドするものということはできない。
加えて、本件商標は、MEブランドとは相紛れるおそれのない非類似の商標であって、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとはいえないものであること、MEブランドはもとより、Mファミリー商標が申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されているものとはいえないこと、MEブランドが米国において又は我が国の一部若者の間にある程度知られているとしても、単に「MONSTER」として知られているものとはいえないこと、本件商標をその指定商品に使用してもMEブランドを連想、想起するとはいえないことは、上記1のとおりである。
そうすると、本件商標は、周知著名となった商標の保護に関する商標法第4条第1項第15号以外の規定といえる同項第10号や第19号に該当するということはできないものである。
その他、本件商標は、その構成文字自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるようなものではないし、他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。また、本件商標をその指定商品に使用することが、社会一般の道徳観念に反し、公正な取引秩序を乱すものともいえないし、国際信義に反するものということもできない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。

3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではなく、その他、同法第43条の2に定める規定に違反して登録されたものでもないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(登録第5057229号商標、国際登録第1048069号商標及び使用商標)


別掲2(登録第5394526号商標)


別掲3(商願2012-089483号商標)

異議決定日 2014-07-03 
出願番号 商願2013-12634(T2013-12634) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W2528)
T 1 651・ 271- Y (W2528)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐藤 淳 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 林 栄二
中束 としえ
登録日 2013-08-16 
登録番号 商標登録第5607648号(T5607648) 
権利者 有限会社プレイセットプロダクツ
商標の称呼 マイスイートモンスター、マイスウイートモンスター 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 

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