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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1289797 
異議申立番号 異議2013-900343 
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-08-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-10-11 
確定日 2014-07-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5603316号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5603316号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5603316号商標(以下「本件商標」という。)は,「虫バリア」の文字を標準文字で表してなり,平成24年8月17日に登録出願,第5類「薬剤」を指定商品として,同25年6月3日に登録査定,同年8月2日に設定登録されたものである。

2 本件登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同項第11号に該当するものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし第9号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)申立人が引用する商標
申立人が引用する登録第5235188号商標(以下「引用商標」という。)は,「虫よけバリア」の文字を横書きしてなり,平成20年9月8日に登録出願,第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び第5類「害虫忌避剤,防虫剤,殺虫剤,虫よけ効果を有する薬剤,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として,同21年5月29日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は,「虫」と「バリア」の片仮名を結合したと容易に理解し得る「虫バリア」の文字を普通に用いられる方法(標準文字)で表してなるものである。そして,本件商標中前半の「虫」の文字が,「害虫忌避剤,防虫剤」との関係においては,「害虫(蚊・蝿・蟻・ゴキブリ等)」を意味するものとして理解され,後半の「バリア」(barrier)の文字が「(進歩,接近などを)はばむもの,防壁,障壁」の意味を有する平易な英語であって,その意味の外来語としても日本語化するほど広く一般に親しまれ使用されているものであるから,その両文字を結合し「虫バリア」と表示した本件商標にあっては,これに接する取引者・需要者に,「害虫をはばむもの」の意味合いを直ちに把握,認識させるといい得るものである(甲3?5)。
因みに,「?バリア」をキーワードにインターネット検索をすると約1830万件ヒットするほか,「?バリア」×「薬剤」「防虫剤」「忌避剤」をキーワードに検索しても相当数ヒットする(甲6)。
そして,本件商標を構成する「虫バリア」の文字は,本件商標の権利者(大日本除蟲菊株式会社)自身のホームページやインターネットの販売サイトにおいて,「スプレーするだけで虫バリア!/虫コナーズにスプレータイプが仲間入り!/・スプレーするだけで,庭やベランダなどの屋外スペースや空間にイヤな害虫を寄せ付けません。」のように,その商品の品質(効果,効能,用途)を表すものとして使用されているばかりでなく,他にも商品の品質を表すものとして普通に使用されているのが実情である(甲7の1及び7の2)。
してみれば,本件商標は,これをその指定商品中「害虫忌避剤,防虫剤」に使用しても,取引者・需要者は,全体として「害虫(蚊・蝿・蟻・ゴキブリ等)を避ける効果を有するもの」であることを表示したものとして把握,理解するに止まり,自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
したがって,本件商標は,これをその指定商品中「害虫忌避剤,防虫剤」に使用するときは,単に商品の品質,効能,用途を表示するにすぎないものであり,前記商品以外の「薬剤」に使用するときは,それが「害虫を避ける効果を有するもの」であるかのように,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあったものといわなければならない。
なお,上記「商品の品質の誤認」については,例えば「アース/虫コナイ」「KINCHO/虫パウダー」「害虫バリア」「虫ブロッカー」「KINCHO/虫プロテクト」の文字よりなる登録商標が,品質誤認の拒絶理由通知を受け,指定商品を「虫」「害虫」の文字に相応する商品に補正した結果,登録査定がなされていること(同様の登録商標が他にも少なからず存在する)の審査経過からみても,妥当なものということができる(甲8)。
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は,前者が「虫バリア」の文字(標準文字),後者が「虫よけバリア」の文字を表してなるものである。
そこで,まず本件商標と引用商標の観念について比較すると,前者は「虫」と「バリア」,後者は「虫」「よけ(避け)」及び「バリア」の各文字を結合してなるものであるところ,両商標における冒頭の「虫」の文字は,これが普通に使用されていて,「害虫忌避剤,防虫剤」との関係においては,「害虫(蚊・蝿・蟻・ゴキブリ等)」を意味するものであることは説明するまでもないが,後半の「バリア」の文字も,「(進歩,接近などを)はばむもの,防壁,障壁」の意味を有する平易な英語であって,その意味の外来語としても日本語化するほど広く一般に親しまれ使用されているものである(甲3?6)。
また,引用商標中,中間の「よけ(避け,除け)」の文字は,「よけること。また,よけるためのもの。」を意味し,多くの場合他の語の下について複合語として用いられるものである(甲4)。
そうとすると,本件商標と引用商標は,取引者・需要者に,その構成文字全体から,前者が「害虫をはばむもの」,後者が「害虫をよけ,はばむもの」の意味合いを把握,理解されると認められるものであって,その意味合いは同一といえるほど酷似したものであるから,観念上相紛らわしいものといわなければならない。
次に,本件商標と引用商標の外観についてみると,引用商標は,前記のとおり,「虫よけバリア」の文字よりなるものであるが,その構成中,中間の「よけ」の文字は「よけ(避け,除け)ること。また,よけるためのもの。」を意味し,「害虫忌避剤,防虫剤」との関係においては,自他商品識別力が弱いか無いものであって,それが中間に位置するから,印象は自ずと稀薄になるので,看者の注意を惹き,かつ,強く印象に残るのは「よけ」の文字で結合された前後の「虫」と「バリア」の文字といい得るものである。
してみれば,両商標は,前述のように,その意味合いが酷似したものであることも併せ勘案すると,「よけ」の文字の有無の差異が必ずしも正確に記憶されるとはいえないので,これを時と所を異にして離隔的に観察したときには,外観上相紛れるおそれがあるとすべきものである。
加えて,本件商標と引用商標の称呼について比較すると,両商標より生ずる「ムシバリア」(前者)と「ムシヨケバリア」(後者)の称呼は,称呼の識別上重要な要素を占める冒頭音を含め「ム」「シ」「バ」「リ」「ア」の5音を共通にし,その配列も同じくするものであって,異なるところは,3音4音目の「ヨケ」の音の有無であるが,該差異音である「ヨケ」の音は,称呼の識別上影響の小さい中間に位置することから,両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは,全体の語調・語感が近似したものとなり,両商標は,称呼においても相紛らわしいものということができる。
以上みてきたように,本件商標と引用商標は,その構成文字全体から生ずる「害虫をはばむもの」(前者),「害虫をよけ,はばむもの」(後者)の観念が酷似したものであること,及び,その構成文字中「虫」「バリア」の4文字を共通にするばかりでなく,中間の「よけ」の文字の有無が差程印象に残らないものであること等を総合して全体的に観察すれば,両商標は,少なくとも観念,外観において紛らわしい関係にあることは明かであり,称呼においても,上述した程度に紛らわしいものである。
さらに,本件商標と引用商標の指定商品は,ごく一般的な人々が,日常的に,かつ,気軽に買い求めるものであって,価格も左程高価なものではないから,これら商品に付された商標に対して払う需要者の注意力は低く,必ずしも,子細にその綴り字の一字一字の異同を吟味することなく,時には全体的直感に頼って買い求めるのが,経験則に照らせば,むしろ普通といい得るものであるから,この取引の実情からみても,両商標は,これがその指定商品「害虫忌避剤,防虫剤」に使用された場合には,「虫バリア」と「虫よけバリア」とを見誤ることも決して少なくなく,その商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものと判断するのが相当である。また,このような判断が妥当であることを示す審決例も存する。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(4)結論
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同項第11号に該当するから,商標法第43条の3第2項の規定により,その登録は取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本件商標は,前記1のとおり,「虫バリア」の文字を標準文字で表してなるところ,該構成中「虫」の文字は「昆虫など」の意味合いを,「バリア」の文字は「防壁,障壁」の意味合いを有するものであるが(甲3?5),これらが一体となった「虫バリア」の文字が,直ちに「害虫をはばむもの」の意味合いを理解させるものとはいい難い。また,職権をもって調査するも,「虫バリア」の文字が,本件商標の指定商品の分野において,商品の品質などを表示するものとして,一般に使用,認識されているというに足る事実は発見できない。
してみれば,本件商標は,商品の品質などを表示する標章のみからなるものとはいえず,商品の品質について誤認を生ずるおそれもないというのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,前記1のとおり,「虫バリア」の文字を標準文字で表してなり,これより「ムシバリア」の称呼を生じ,「虫バリア」は,辞書等に掲載の見受けられない一種の造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。
一方,引用商標は,前記2(1)のとおり,「虫よけバリア」の文字を横書きしてなり,これより「ムシヨケバリア」の称呼を生じ,「虫よけバリア」は,辞書等に掲載の見受けられない一種の造語と認められるから,特定の観念を生じないものである。
そこで本件商標と引用商標を比較するに,比較的短い文字数(4字と6字)から構成されている両商標において,構成文字数の差異及び「よけ」の文字の有無が与える影響は大きく,本件商標と引用商標は,外観上,一見して判然と区別し得るというべきである。また,本件商標から生ずる称呼「ムシバリア」と,引用商標から生ずる称呼「ムシヨケバリア」も,音数が明らかに相違し,比較的短い音構成において,「ヨケ」の音の有無という顕著な差異があるから,明確に聴別し得るものである。さらに,本件商標と引用商標は,共に特定の観念を生じないから,観念上も相紛れるおそれはない。
そうすると,本件商標と引用商標は,外観及び称呼において明らかな差異を有し,観念上も相紛れるおそれはないから,これらを総合的に勘案すれば,互いに非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は,審査例及び審決例を挙げ,本件商標が商標法第4条1項16号及び同項11号に該当する旨主張するが,登録出願に係る商標が上記に該当するか否かについては,当該商標の構成態様と,その指定商品の分野における取引の実情等に基づいて,個別具体的に,査定時又は審決時において,判断されるものであり,本件商標については,上述のとおりに判断するべきであるから,申立人の主張については採用することができない。
また,申立人は,本件商標と引用商標の指定商品は一般的な人々が日常的に買い求めるものであって,価格も高価ではないから,これら商標に対して払う需要者の注意力は低いという取引の実情からしても,本件商標と引用商標は,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものと判断するべきである旨主張するが,上記(2)のとおり,本件商標と引用商標は,外観上も称呼上も顕著な差異があり,また,観念上も相紛れるおそれはないものであるから,申立人が主張する取引の実情を考慮したとしても,本件商標と引用商標は,商品の出所について誤認,混同を生ずるおそれのない非類似の商標であり,申立人のこの主張も採用することができない。
(4)結論
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号並びに同項第11号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-06-24 
出願番号 商願2012-66667(T2012-66667) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W05)
T 1 651・ 261- Y (W05)
T 1 651・ 263- Y (W05)
T 1 651・ 13- Y (W05)
T 1 651・ 272- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浦辺 淑絵荻野 瑞樹 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 守屋 友宏
中束 としえ
登録日 2013-08-02 
登録番号 商標登録第5603316号(T5603316) 
権利者 大日本除蟲菊株式会社
商標の称呼 ムシバリア 

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