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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 1070912
管理番号 1289691 
審判番号 取消2013-300350 
総通号数 176 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-08-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-05-01 
確定日 2014-06-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第2620783号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2620783号商標(以下「本件商標」という。)は、「デュアル ショット」の文字と「DUAL SHOT」の文字を二段に横書きしてなり、平成3年6月18日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年2月28日に設定登録され、その後、平成16年3月2日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、平成16年7月28日に、指定商品を第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」及び第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」並びに第8類、第10類、第11類、第17類、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換の登録がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中の『第7類 起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機』、『第9類 配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品』及び『第12類 陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁(平成26年1月17日付け口頭審理陳述要領書を含む。)を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中の「第7類 起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機」、「第9類 配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び「第12類 陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 弁駁の理由
(1)「ビデオカメラ総合カタログ」(乙4)について
被請求人は、キャノン株式会社(以下「キャノン」又は「ライセンシー」という。)及びキャノンマーケティングジャパン株式会社(以下「キャノンマーケティングジャパン」又は「サブライセンシー」という。)の作成によるビデオカメラ総合カタログ(以下「本件カタログ」という。)において、ビデオカメラ「iVIS HF R11」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「デュアル ショット」を使用していると主張する。
そこで、その使用態様を確認すると、上記主張に係る商標が表示されている頁には、「初めてでもカンタン、キレイ。」、「小型ボディで高画質&高倍率ズーム。」、「撮った後も、楽しさ広がる。」と、ビデオカメラ「iVIS HF R11」の特徴や様々な機能が説明されている。その中で「小型ボディで高画質&高倍率ズーム。」という商品の特徴を実現する具体的な機能として、「光学20倍ズーム」、「キャノン フルHD システム」、「リレー記録」と共に「デュアルショット」の文字が表示されており、その下に「デュアルショット」機能についての説明が記載されている。ここでは、隣の「リレー記録」機能のように、「動画・静止画の切り替え」が「デュアル(二重)ショット」と表現されているものと考えられ、特に日立つ態様では表示されていない。また、上記「ビデオカメラ」の他の機能名と比べても、殊更商標「デュアルショット」の商品との結びつきが強いとはいえず、需要者においても商標として認識することはできないものと思われる。このような使用態様から、「デュアルショット」の文字が、完全に商品「ビデオカメラ」に関する一つの機能名として記載されていることが明らかとなる。
(2)「HDビデオカメラ iVIS HF M32」の使用説明書(乙5)について
被請求人は、ライセンシー及びサブライセンシーの作成による「ビデオカメラ iVIS HF M32」の使用説明書(以下「本件使用説明書」という。)において、ビデオカメラ「iVIS HF M32」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「デュアルショット」を使用していると主張する。
その使用態様を見ると、40頁には、「POINT」という文字の横に「デュアルショットとは」と記載され、その下に「デュアルショット」機能の詳細が説明されている。また、41頁にも、「POINT」という文字の横に「こだわりオートの自動設定機能とは」と記載され、「こだわりオートの自動設定機能」に関する説明が記載されている。さらに、当該説明は、本件使用説明書が全体で290頁ある中の1頁においてのみ記載されており、「デュアルショット」との文字は、「」(鉤括弧)等で強調されることもなく、文章の中に埋もれている。このような場合においては、機能名としても、他の機能名と並列的で飛び抜けているわけでもなく、商品との関連性は薄いと考えられる。このような使用態様からも、「デュアルショット」の文字が、完全に商品「ビデオカメラ」の機能名として使用されていることが明らかとなる。
(3)インターネット上の記事(乙9)について
インターネット上に掲載された記事(乙9)の3頁には、頁の下半分を占める表において、上の行に商品名が順に「キャノン iVIS HF R11」、「ビクター(JVC)Everio GZ-HM340」、「パナソニック HDC-SD60」、「キャノン iVIS HF M31」と記載され、その下の表のうちの一番左の列に、「オートモード」、「AF(オートフォーカス)」、「スポット/タッチフォーカス」等の機能名が記載されている。表のマス目には、上の行に記載された商品が左の列に記載された機能を備えるかを「○」「×」で記載するか、どのような機能を備えるかが文字で記載されている。その中の、商品「キャノン iVIS HF M31」の「オートモード」機能に対応する欄において、当該ビデオカメラが「オートモード」機能を有し、その機能の名前が「デュアルショット」機能であることを示すため、マス目の中に「○」が記載され、下に「デュアルショット」の文字が記載されている。このような使用態様からも、「デュアルショット」の文字が、完全に商品「ビデオカメラ」の機能名として使用されていることが明らかとなる。
(4)以上のことから、乙第4号証、乙第5号証及び乙第9号証における使用は、商標的使用とはいえないと考えられる。
(5)他方、被請求人が提出した証拠からは、「ビデオカメラ」自体や本件カタログ、本件使用説明書の表紙に、本件商標が直接貼付されたり、刻印されたり、といった事実を確認することはできない。
確かに、乙第4号証、乙第5号証及び乙第9号証の「デュアルショット」の表示は、商標法第2条第3項各号に限定列挙されている条文上の商標の使用の定義に照らすと、形式的には商標の使用に該当すると言えるかもしれない。
しかし、形式的に商標の使用に該当したとしても、いわゆる商標的使用態様に該当しない場合には、商標の使用に該当しない、とする法理論が通説となっている。すなわち、商標法上の商標の本質的機能とは、商品の出所を明らかにすることにより、需要者に自己の商品と他の商品との品質等の違いを認識させること、つまり自他商品識別機能にあると解するのが相当である。商標の使用といい得るためには、当該商標の具体的な使用方法や表示の態様からみて、それが出所を表示し、自他商品を識別するために使用されていることが客観的に認められていることが必要である(東京高裁判決平成13・1・22、東京地裁判決平成16・6・23、東京地裁判決昭和63・9・16、東京地裁判決昭和62・8・28、東京地裁判決昭和7・2・22)。なお、このような理論は、商標権侵害の場面ばかりでなく、商標法第50条に規定される不使用取消審判においても適用されるのが妥当と思料する。
この理解に基づいて、乙第4号証及び乙第5号証を確認すると、本件商標が、いずれにおいても、ビデオカメラの特徴的な機能を説明する言葉として用いられていることが確認されるのみである。これらについては、標章を貼付し、刻印し、焼付けし、というような、自己の商品を他社の商品と識別する意識での使用態様といえないことは明らかである。
一般的に、商標法第2条第3項第8号の要件を満たした上で、自他商品識別機能を発揮する商標の使用とは、例えば、乙第4号証及び乙第5号証の表紙にある「Canon」や「iVIS」のようなものである。ところが、本件商標については、ビデオカメラの特徴的な機能の説明として記載されているのみであり、このような表示態様に接した需要者が、「デュアルショット」の文字を指標として「ビデオカメラ」を識別することにはならない。すなわち、このような使用は自他商品の識別力を発揮する状態での商標の使用ということはできず、商標法上の使用といえないことは明らかである。
したがって、乙第4号証や乙第5号証を根拠として、本件商標の使用を述べる被請求人の主張は成り立たない。本件審判において、自他商品識別力を発揮する状態での登録商標の使用か否かが争点であるべきところ、その争点が看過されている被請求人の主張は失当という他ない。
さらに、このような被請求人の主張が認められ、乙第4号証及び乙第5号証にある本件商標の記載でさえ商標法上の使用と認定されるのであれば、商標の登録の目的ないし期待に反し、使用されていない登録商標を整理することにより、商標制度の目的を発揮せんとする不使用取消審判の制度趣旨を没却する。さらに、商標の保護を通じて商標に化体されている商標権者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護するという、商標法の目的を達成することはできないものと思料する。
以上より、乙第1号証ないし乙第9号証によっては、被請求人による商標法上の商標の使用があったとはいえない。
(6)むすび
以上のとおり、本件審判の請求登録前3年以内に、本件商標が本件請求に係る指定商品について使用されていたとはいえない。
3 平成26年1月17日付け口頭審理陳述要領書
(1)機能名の商標としての認識等
機能名の商標が商品の広告に使用された場合は、当該商標は、商品の出所表示機能を発揮し商標的使用がされているものと考えられる。
しかし、本件カタログ(乙4)に示す「デュアルショット」機能の表記は、前記2(1)のとおり、広告における商標的機能を発揮した使用には該当しない。
機能名を商標的機能が発揮される態様で広告に使用した事例として、請求人の商標「Dual Shot」の米国での使用例(乙23)が提出されているところ、ここでは、当該商標が他の文字に比べ強調されて使用されており、乙第4号証における使用態様と乙第23号証における使用態様との差は歴然としている。したがって、本件カタログの使用態様が商標としての使用に該当するとする被請求人の主張は失当である。
(2)ビデオカメラ等の電気通信機械器具の分野における取引の実情について
確かに、電気通信機械器具の分野においては、商品の機能名を商標として登録することは一般的である。しかし、当該取引の実情を理由に、全ての機能名の商標を商標的使用と認めることはできず、個別具体的に判断すべきである。乙第10号証、乙第12号証、乙第14号証、乙第16号証は、いずれも商品の出所を表示する機能を果たしているものとはいえず、他の証拠についてもこれらと同様である。したがって、本件商標と被請求人の提出した証拠における各商標は、自社製品の優位性を説明するために用いられており、これらが商品の出所を表示する機能を果たしているものとはいえない。
(3)「デュアルショット」に相当する機能についての各社の商標の使用について
乙第20号証ないし乙第22号証における使用態様は、機能名の商標が特段目立つ態様で使用されておらず、むしろ商品の特徴を説明する役割を果たしている。商品に様々な機能が搭載されている場合、需要者は、各機能名称を逐一記憶することはなく、記憶に残るのは商品自体の名称である。したがって、上記証拠を根拠に、本件商標も自他商品識別標識として機能しているとの被請求人の主張は失当である。
(4)乙第4号証、乙第5号証及び乙第9号証の具体的内容について
ア 乙第4号証
被請求人は、「デュアルショット」の文字は、カメラ及びビデオカメラを示すアイコンと共にも表示され、取引者、需要者の目を引く態様であるから、商標として使用されている旨主張する。
しかし、乙第4号証を全体的に観察すると、目に付く商標は、「canon」、「iVIS」など商品自体の商標であるから、これに接する需要者は、商標「canon」、「iVIS」などからビデオカメラの出所を認識することがあっても、「デュアルショット」の文字をビデオカメラの出所を表示する商標とは認識するものとか考えられない。
イ 乙第5号証
乙第5号証の38頁の冒頭部分においては、「デュアルショット」の文字の上に、当該文字の約2倍の大きさで「簡単にビデオや写真を撮る」の文字が記載され、全体として特段「デュアルショット」の文字が目立つ態様で記載されているものではない。また、乙第5号証はビデオカメラの様々な機能を説明するものであり、需要者が商品を購入した後にマニュアルとして読むものであることから、「デュアルショット」の文字が商品の出所を表示するものとして使用されているものではない。
ウ 乙第9号証
「デュアルショット」の文字が「」(鉤括弧)で括られていることをもって、直ちに「デュアルショット」の文字が単独で商品の出所を表示するものとして使用されていると考えるのは妥当でない。むしろ、乙第9号証全体からは、「デュアルショット」の文字が「オートモード」機能の一種の機能名を表示するものの、キャノンの商品「iVIS HFM31」が備える機能の説明的役割を果たすにとどまっていることが明確となる。
(5)請求人の機能名の商標について
乙第23号証からも明らかなとおり、請求人は機能名の商標を自らの広告で商標的機能を発揮する態様で使用することもしている。したがって、請求人が機能名についての商標登録を行い、それらを機能名として使用しているという事実について、一律に商標的使用ではないと認定することは妥当ではない。むしろ、その商標一つ一つについて、機能名としての表示のみなのか、商標的機能を発揮した使用も行っているのかを検討した上で個別具体的に判断すべきである。
(6)商品自体や本件カタログ、本件使用説明書の表紙に使用されていない場合について
被請求人の述べる電気通信機械器具分野における取引実情は参酌するに値するものの、商標的使用であるか否かの認定については、そのような取引実情を踏まえた上で個別具体的な検討が必要である。本件について具体的検討を行ったところ、各証拠における「デュアルショット」の文字は商標としての使用に該当せず、その上、商品自体や本件カタログ、本件使用説明書の表紙等に使用されていないことから、本件商標が商標として使用されているとは言えない。
(7)不使用取消審判の制度趣旨について
請求人は、機能名の商標に関して個別具体的な判断が必要である旨主張しているのであって、そのような判断をしてこそ、不使用商標の整理を目的とする商標法第50条不使用取消審判の趣旨に沿うものと考えられる。したがって、請求人の主張に関する被請求人の解釈は妥当ではない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由(平成25年12月25日付け口頭審理陳述要領書を含む。)を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第33号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)使用の事実
ア 本件商標の使用者
(ア)2011年10月1日付けで商標権者へ吸収合併された株式会社ケンウッド(以下「ケンウッド」という。)は、キャノンとの間で、2009年4月24日に、商標契約書(抜粋版写し。以下「本件契約」という。)を締結した。本件契約の有効期間は、2019年1月15日まであって、本件契約に基づき、ケンウッドは、本件商標を、電気通信機械器具(カーナビ及びカーナビ用ソフトウエアを除く)に使用することをライセンシーに許諾し、合わせてキャノンマーケティングジャパンへの再許諾を認めている(乙1)。
(イ)ケンウッドからライセンシーに対して、2011年9月1日付で、本件契約の当事者が、ケンウッドから商標権者へ一般承継される旨を通知した(乙2)。
(ウ)ライセンシーは、ケンウッドに対して、2011年9月7日付で、本件契約の当事者が、ケンウッドから商標権者へ一般承継される旨を了承した(乙3)。したがって、本件契約は、商標権者とライセンシー間で現在も有効である。
イ ライセンシー及びサブライセンシーによる本件商標の使用及びその時期
(ア)ライセンシー及びサブライセンシーは、その作成に係る本件カタログ(乙4)の13頁において、本件審判の請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」に属するビデオカメラ「iVIS HF R11」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「デュアルショット」を使用している。
また、本件カタログに掲載されたビデオカメラがいつのものであるかを明確にするための年月日(2010年9月現在)が記載されていることから、商標権者のライセンシー及びサブライセンシーが、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」に属するビデオカメラについて、本件審判の請求の日前3年以内に使用していることが立証される。
(イ)ライセンシー及びサブライセンシーは、その作成に係る本件使用説明書(乙5)において、本件審判の請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」に属するビデオカメラ(iVIS HF M32)について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「デュアルショット」を使用している。
また、本件使用説明書40頁に、「デュアルショット」に関する説明が詳しく記載されている。なお、本件使用説明書には、その発行時期を明確にするための年月日(2010年6月現在)が記載されていることから、商標権者のライセンシー及びサブライセンシーが本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」に属するビデオカメラについて、本件審判の請求の日前3年以内に使用していることが立証される。
(ウ)以下のaないしdにより、ビデオカメラ「iVIS HF R11」(乙4)及び「iVIS HF M32」(乙5)は、いずれも本件審判の請求の日前3年以内に市場で販売されていることが立証される。
a 2010年7月14日に、ライセンシーのインターネット上のサイト(http://cweb.canon.jp/newsrelease/2010-07/pr-hfm32)に掲載された記事(乙6)において、ライセンシーの新製品であるビデオカメラ「iVIS HF R11」及び「iVIS HF M32」を、2010年8月上旬に販売する旨を、ライセンシー自身が案内した。
b 2010年7月14日にインターネット上のサイト(http://japan.cnet.com/digital/camera/20416779/)に掲載された記事(乙7)において、ライセンシーの新製品であるビデオカメラ「iVIS HF R11」及び「iVIS HF M32」が、2010年8月上旬に販売される旨が案内された。
c 2010年8月10日にインターネット上のサイト(http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/023/23026/index.html)の記事(乙8)において、ライセンシーの製品であるビデオカメラ「iVIS HF M32」が掲載された。
d 2010年12月16日にインターネット上のサイト(http://www.camcorderinfo.jp/content/Canon-iVIS-HF-R11-Review/Manual-Controls.htm)の記事(乙9)において、ライセンシーの製品であるビデオカメラ「iVIS HF R11」が掲載された。
(2)むすび
したがって、商標権者のライセンシー及びサブライセンシーが本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判の請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」に属するビデオカメラについて、本件審判の請求の日前3年以内に使用していることは明白である。
2 弁駁に対する答弁(平成25年12月25日付け口頭審理陳述要領書)
(1)ビデオカメラ等の電気通信機械器具の分野の取引の実情として、製造又は販売各社は、自社製品が競合他社の同種製品にはない独自の機能を有していることを取引者、需要者にアピールするために、当該機能の名称を商標として一般的に使用している(乙10?乙19)。
したがって、乙第4号証及び乙第5号証における「デュアルショット」が商標として使用されていることは明らかである。
(2)本件使用に係る「デュアルショット」の機能に対応する機能は、他の有力メーカーのビデオカメラに搭載され、各社は、それぞれ異なる商標名で使用している。そのため、ビデオカメラの取引者、需要者は、当該商標によって商品を識別している。
キャノンのデュアルショット機能とは、「a)動画撮影モード・静止画撮影モード相互間のモード切替えなしで、b)ビデオカメラ本体が自動で最適な撮影設定をし、動画及び静止画を撮影できる。」もので、例えば、ソニー株式会社やパナソニック株式会社等の製品も、キャノンのデュアルショット機能に相当する機能を搭載している(乙20?乙22)。
(3)乙第4号証について
請求人は、乙第4号証(13頁)に表示された「デュアルショット」の文字はビデオカメラに関する機能名として記載されている旨主張する。
しかし、ある表示が機能名であることは当該表示が商標として機能することを何ら否定するものでないことは、知財高裁判決(平成23年(行ケ)第10096号)でも確認されており、前記ビデオカメラ等の電気通信機械器具の分野において機能名が商標として使用され、取引者、需要者もそのように認識している。さらに、上記「デュアルショット」の文字は、単独で水色地の矩形枠内に白抜きで記載されているほか、カメラ及びビデオカメラを示すアイコンと共にも表示され、取引者、需要者の目を引く態様で表示されている。そして、当該表示が商標として使用されていることは明らかである。
(4)乙第5号証について
請求人は、乙第5号証(40頁)の記載に基づき、商標として使用されていない旨を主張する。
しかし、前述のとおり、機能名であることは当該表示が商標として機能することを何ら否定するものでなく、また、ビデオカメラ等の電気通信機械器具の分野において機能名が商標として使用され、取引者、需要者もそのように認識している。したがって、乙第5号証の38頁等に表記された「デュアルショット」の文字は、商標として使用されていることは明らかである。
(5)乙第9号証について
請求人は、乙第9号証に表示された「デュアルショット」の文字は、ビデオカメラの機能名として使用されている旨主張する。
しかし、乙第9号証は、乙第4号証に記載されている本件商標の使用権者のビデオカメラが、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で流通していたことを立証するものである。そして、乙第9号証における「デュアルショット」の文字には、鉤括弧が付されていることからすれば、乙第9号証の作成者は、「デュアルショット」をビデオカメラの機能を表す一般名称ではなく、キャノンのビデオカメラの出所を識別するための商標として認識していることが強く窺える。
(6)請求人は、乙第4号証及び乙第5号証における「デュアルショット」と同様な機能名について(乙28)、日本国以外の国において「DUAL SHOT」の文字よりなる商標を商標登録し、その機能名を商標として使用している(乙23?乙25)。請求人は、日本においては、「デュアルショット」と同様な機能を有するスマートフォンについての機能を、「デュアルカメラ」と称し(乙26)、「DUAL CAMERA」として商標登録した(乙27)。請求人は、その他、スマートフォンについての機能名を商標登録した(乙29?乙33)。
以上のように、請求人は、その製造販売に係るスマートフォンの機能として広告される機能名を、商標として認識し、商標登録し、商標として使用している。
(7)請求人は、被請求人が提出した証拠からは、「ビデオカメラ」自体や本件カタログ、本件使用説明書の表紙に、本件商標が直接貼付されたり、刻印されたり、といった事実を確認することはできない、と主張する。
しかし、前述のとおり、電気通信機械器具の分野においては、商品の機能名が商標として機能していることは一般的なことである。このような機能名は、商品自体に刻印したり、使用説明書の表紙に使用したりしないのが商慣行としても一般的であるが、商標として機能しているのである。
(8)請求人は、乙第4号証及び乙第5号証にある本件商標の記載が商標法上の使用と認定されるのであれば、商標法第50条の制度趣旨を没却し、ひいては商標法第1条の法目的を達成できない旨主張する。
しかし、本件のように、商標権者が明示的に本件契約を締結し、これに基づき、その使用権者が本件商標をその指定商品について使用している場合には実際に登録商標を商標として使用しているという事実に加え、商標権者及びその使用権者の本件商標を使用するという明確な意思が外形上も明らかにされているといえる。このような場合にまで、商標登録の取消しという不当な処分を与えることによって、本件商標の使用に係る商標権者及び使用権者の地位を法的に不安定にさせることは、商標法第50条の予定するところではないと言うべきである。さらに、電気通信機械器具を取り扱う電機業界の取引の実情、及び従来からの商慣行に則した使用態様により、商標として現実に使用しているにもかかわらず、取り消すとなれば、電機業界の商秩序を乱し、その利益を損なう結果となり、商標法の目的にも反するものである。したがって、上記請求人の主張は、著しく妥当性を欠くものである。

第4 当審の判断
1 乙第1号証ないし乙第7号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)商標権者(当時は、ケンウッドであったが、2011年(平成23年)10月1日の吸収合併により、株式会社JVCケンウッド:乙2、乙3)とキャノンは、2009年(平成21年)4月24日に、商標権者がキャノンに対し、本件商標をその指定商品中の「電気通信機械器具(カーナビ、及びカーナビ用ソフトウエアを除く)」の権利について、2009年(平成21年)1月15日から10年間、通常使用権の許諾をすることについての本件契約を締結し(乙1)、本件契約書第7条(権利譲渡等)に基づき、キャノン(ライセンシー)は、キャノンマーケティングジャパン(サブライセンシー)に対し、本件商標の商標権を再許諾した(当事者間に争いのない事実)。
(2)キャノン及びキャノンマーケティングジャパンの製造、販売に係る商品「ビデオカメラ」に関する本件カタログ等における「デュアルショット」の表示について
ア 本件カタログ(2010年9月現在:乙4)における「デュアルショット」等の表示
13頁における「iVIS HF R11」及び「iVIS HF R10」についての商品説明において、「小型ボディで高画質&高倍率ズーム。」の表示のもと、「光学20倍ズーム」、「キャノン フルHD システム」、「リレー記録」の各見出しと並んで「デュアルショット」の見出しが、いずれも水色地の矩形内に白抜きで表示され、該「デュアルショット」の見出しの下には、「ワンアクションで動画/静止画をカメラが自動切替するので、面倒なダイヤル操作が不要です。動画/静止画ともフルオートでキレイに撮影できます。」と記載され、その右下には、モードスイッチの一つを表す別掲に示す図形(以下「別掲図形」という。なお、モードスイッチは、他に「M(マニュアル)」がある。乙5の15頁、38頁等参照)と同一の図形に、カメラを表したとみられる部分には赤色を、ビデオカメラを表したとみられる部分には紺色を、それぞれ施した図形が表示され、該図形の下には、黒色のゴシック体で表した「デュアルショット」の文字が表示されている。そして、上記図形と「デュアルショット」の文字は、その色彩を有する点や他の文字等と比較して太字で書されている点などから、見る者の注意を引く態様のものであり、「デュアルショット」の文字自体が独立して把握、認識されるものといえる。
イ キャノン及びキャノンマーケティングジャパンの作成に係る本件使用説明書(iVIS HF M32 使用説明書 2010年6月現在:乙5)における「デュアルショット」等の表示
(ア)目次(4頁)の「Chapter2/簡単に撮る」の項目には、「簡単にビデオや写真を撮る《デュアルショット》・・・38」、「拡大して撮る《ズーム》・・・44」、「すばやく撮影をはじめる《クイックスタート》・・・47」と記載されている。
(イ)「簡単にビデオや写真を撮る」の項目(38頁)には、同表題の下に、「デュアルショット」の文字が矩形枠内に表示され、その下に、「動画や静止画は内蔵メモリーまたはカードに記録できます。」と記載され、手順の「1」には、別掲図形を示し、「別掲図形にする」と記載されている。
また、「POINT デュアルショットとは」(40頁)には、「撮影時の設定はビデオカメラにすべておまかせ。気軽に動画や静止画を撮影できます。このモードでは、ズーム、クイックスタート、ビデオスナップの他、以下の機能が使えます。設定を手動で変更するときは『マニュアルモード』を使用します。
進化した手ブレ補正/歩きながら撮ったときの手ブレもダイナミックモードで補正。手ブレが起きやすい望遠撮影も、POWERED IS(パワードIS)ボタンを押せば、安定した映像が撮れます。
フェイスキャッチ&追尾/人物の顔を自動で検出してピントや明るさを合わせます。被写体が動いても、自動的に追いかけます。
タッチ追尾/画面上の被写体をタッチすると、タッチした被写体にピントや明るさを合わせます。被写体が動いても自動的に追いかけます。追尾をやめるときは『解除』をタッチします。
おまかせでキレイに撮れる『こだわりオート』/デュアルショットでは、ビデオカメラが被写体や撮影状況を判別して、シーンに最適な設定にするため、カメラまかせの全自動撮影ができます。」と記載されている。
(ウ)「自分で設定してビデオを撮る」の項目(66頁)中の「マニュアルモードとデュアルショット」(67頁)において、「マニュアルモード」の文字部分の前には「M」の文字が表示され、また、「デュアルショット」の文字部分の前には別掲図形が表示されている。そして、その説明には、「本機には、手動でいろいろな調整を行って撮影できるマニュアルモードと、ビデオカメラにおまかせで動画・静止画を撮影できるデュアルショットがあります。」などと記載されている。
(エ)「ビデオを撮りながら写真も撮る」の項目(145頁)には、同表題の下に、「同時記録」の文字が矩形枠内に表示され、その下に、「動画モードで動画を撮影中、または撮影一時停止中に、静止画を記録できます。また、デュアルショットモードで動画撮影中にも、静止画を撮影できます。」などと記載されている。また、「POINT 同時記録とデュアルショットの静止画撮影について」(146頁)には、「撮るモード」として、「動画モード」と「デュアルショットモード」が記載され、「デュアルショットモード」の文字部分の前には別掲図形が表示されている。
(オ)「画面の見かた」の項目(272頁)には、「撮影のときの画面」として、「デュアルショットのとき」、「動画のとき」、「静止画のとき」の3つの画面の見方が表示されている。
ウ 2010年(平成22年)7月14日付け「キャノン:ニュースリリース」(http://cweb.canon.jp/newsrelease/2010-07/pr-hfm32:乙6)には、「大容量64GBのフラッシュメモリーを内蔵した“iVIS HF M32”などフルハイビジョン映像が撮影できるデジタルビデオカメラ2機種を発売」との見出しのもと、「iVIS HF M32」と「iVIS HF R11」が2010年8月上旬に発売される旨の記事が掲載され、また、同日付けインターネットサイトに掲載された記事(http://japan.cnet.com/digital/camera/20416779/:乙7)にも、「キャノン、ビデオカメラ『iVIS』に新機種」などと記載された。
2 前記1で認定した事実によれば、本件商標の通常使用権者であるキャノン(ライセンシー)及びその再使用許諾者であるキャノンマーケティングジャパン(サブライセンシー)は、本件審判の請求の登録(平成25年5月21日)前3年以内である平成22年6月ないし同年9月ころに、日本国内において、その製造、販売に係る商品であり、本件請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」の範ちゅうに含まれる商品「ビデオカメラ」(「iVIS HF R11」及び「iVIS HF M32」の2機種。これらを以下「本件ビデオカメラ」という。)について、本件カタログ(乙4)に掲載し、また、「iVIS HF M32」については、本件使用説明書(乙5)を作成した。さらに、本件ビデオカメラは、平成22年8月に発売された商品であるところ、キャノンは、その発売に際して、本件審判の請求の登録前3年以内である平成22年7月にインターネットサイトにおいて広告をした(乙6)。そして、本件ビデオカメラに関する本件カタログ及び本件使用説明書には、「デュアルショット」の表示があることが認められる(以上、当事者間に争いのない事実。)。
3 本件カタログ(乙4)及び本件使用説明書(乙5)における「デュアルショット」の表示が商標としての使用であるか否かについて
(1)本件カタログ及び本件使用説明書を総合すれば、これらに表示された「デュアルショット」は、撮影時に選択するモードスイッチの一つであり、本件カタログ及び本件使用説明書では、本件ビデオカメラの使用者ないし読者に分かりやすくするために別掲図形とともに表示され、また、ビデオカメラ本体においては、別掲図形で表示されていること、そして、本件ビデオカメラにおける「デュアルショット」とは、その撮影時に、モードスイッチを「デュアルショット」モードに設定すると、主として「動画撮影モード・静止画撮影モード相互間のモードの切り替えなしで、ビデオカメラ本体が自動で適切な撮影設定をし、動画及び静止画を撮影できる」機能が発揮されるというものであり、したがって、「デュアルショット」は、本件ビデオカメラに搭載された機能の一つであり、機能名称を表示したものであること、などを認めることができる。
本件において使用に係る「デュアルショット」が本件ビデオカメラに搭載された機能の一つを表す名称であること、及び、電気通信機械器具の取引分野においては、商品の機能名称を商標として登録することが一般的であることについては、当事者間に争いがないところ、「デュアルショット」の語は、一般的に親しまれた既成語ではなく、直ちに特定の意味合いを想起させない造語よりなるものであり、また、該語がビデオカメラ等電気通信機械器具の分野において、上記「動画撮影モード・静止画撮影モード相互間のモードの切り替えなしで、ビデオカメラ本体が自動で適切な撮影設定をし、動画及び静止画を撮影できる」機能やその他商品の品質等を表示するものとして普通に使用されている事実を見いだすことはできないこと、少なくとも本件カタログ(乙4)において、「デュアルショット」の文字部分は、独立して把握、認識される態様で表されていること、ビデオカメラを含む電気通信機械器具等の分野においては、当該機械器具に内蔵されるコンピュータや半導体素子等の技術開発により、新機能を搭載した商品が次々に出現し、その新機能について各社が独自のネーミングを付している状況にあることは、テレビコマーシャルなどの広告等を通じてその需要者にも浸透していることなどを総合すると、本件使用に係る「デュアルショット」の表示は、本件使用説明書(乙5)における「デュアルショット」の表示が他の機能名称と同様の表示方法であることを考慮しても、なお、その需要者は、キャノンが独自に開発した機能に付された商標であると理解、認識するとみるのが相当である。
したがって、本件カタログ及び本件使用説明書における「デュアルショット」の表示は、自他商品の識別機能を果たすものであって、商標としての使用と認めることができる。
(2)そして、本件使用に係る「デュアルショット」の表示は、本件商標とは、「デュアルショット」の称呼を同一にするものであって、社会通念上同一と認められる商標というべきである。
4 以上によれば、本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録(平成25年5月21日)前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品に含まれる「ビデオカメラ」について、本件カタログ及び本件使用説明書に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができ、当該通常使用権者の行為は、「商品又は役務に関する広告、定価表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認めることができる。
5 本件カタログ及び本件使用説明書に表示された「デュアルショット」に関する請求人の主張について
(1)請求人は、本件カタログにおける「デュアルショット」の表示について、特に目立つ態様で表示されていないし、また、商品との結びつきが強いとはいえず、需要者においても商標として認識することはできないものと思われる。このような使用態様から、「デュアルショット」の文字は、商品「ビデオカメラ」に関する一つの機能名として記載されている旨主張する。
しかし、本件カタログにおける「デュアルショット」の表示が、他の文字に比べ太字(ゴシック体)で記載され、デュアルショットモードスイッチを表す別掲図形とともに、看者の注意を引く態様であることは前記認定のとおりである。そして、「デュアルショット」の表示は、本件ビデオカメラの機能名称であるとともに、本件ビデオカメラを競合他社の同種商品と識別する機能をも備えた商標であるということができる。したがって、上記に関する請求人の主張は理由がない。
(2)請求人は、本件使用説明書において、「デュアルショット」機能の説明は、説明書全体が290頁ある中で1頁においてのみであり、また、「デュアルショット」との文字は、「」(鉤括弧)等で強調されることもなく、他の機能名と比較して飛び抜けているわけでもなく、商品との関連性は薄いから、完全に商品「ビデオカメラ」の機能名として使用されている旨主張する。
しかし、前記認定のとおり、「デュアルショット」の語が、ビデオカメラ等電気通信機械器具の分野において、「動画撮影モード・静止画撮影モード相互間のモードの切り替えなしで、ビデオカメラ本体が自動で適切な撮影設定をし、動画及び静止画を撮影できる」機能等を表示するものとして普通に使用されている事実を見いだせないこと、商品の機能名称を商標として登録することが一般的であり、各社が独自に開発した新機能にそれぞれ独自のネーミングを付している実情にあることを需要者も理解していることなどの取引の実情に照らすと、本件使用説明書に接する需要者は、「デュアルショット」の語について、ビデオカメラの機能名称であると同時に、自他商品の識別機能を果たし得る商標であると認識するとみるのが相当である。したがって、上記に関する請求人の主張は理由がない。
(3)請求人は、自他商品識別機能を発揮する商標の使用とは、例えば、本件カタログ及び本件使用説明書の表紙にある「Canon」や「iVIS」のような商標であるところ、本件商標は、ビデオカメラの特徴的な機能の説明として記載されているのみであり、これに接した需要者が、「デュアルショット」の文字を指標として「ビデオカメラ」を識別することにはならないから、商標法上の使用といえない旨主張する。
しかし、本件において使用に係る「デュアルショット」は、本件ビデオカメラに搭載された機能名称として使用されるものである。一般的には、カタログ等の表紙には、製造販売会社の代表的出所標識や当該カタログで扱う商品の個別的出所標識が表示され、当該カタログで扱う商品の各機能名称は、当該カタログの表紙には掲載されない場合が多いところからすると、本件ビデオカメラの機能名称の一つである「デュアルショット」が本件カタログ及び本件使用説明書の表紙に表示されていないとしても、本件カタログ及び本件使用説明書の表示態様並びにこれらにおいて使用される「デュアルショット」の表示態様は、通常の取引形態からみて何ら不自然なものではなく、前記認定のとおり、ビデオカメラ等電気通信機械器具の分野の取引の実情に照らせば、機能名称としての「デュアルショット」の表示は、本件ビデオカメラを競合他社の同種商品と識別する機能をも備えた商標であるというべきである。したがって、上記に関する請求人の主張は理由がない。
(4)請求人は、機能名称の商標が商品の広告に使用された場合は、当該商標は、商品の出所表示機能を発揮し商標的使用がされているものと考えられるが、本件カタログに示す「デュアルショット」機能の表記は、広告における商標的機能を発揮した使用には該当しない旨主張する。
しかし、本件カタログは、本件ビデオカメラに関する広告に該当するものであり、「デュアルショット」の表示は、看者の注意を引く態様で表示され、本件ビデオカメラについての機能名称であると同時に、その商標として自他商品の識別機能を発揮していることは前記認定のとおりである。したがって、通常使用権者の行為は、商標の「使用」に該当する。よって、上記に関する請求人の主張は理由がない。
(5)その他、請求人は、商標法第50条に規定する取消審判制度の趣旨について種々述べているところ、請求人の主張は、一般論としてはそのとおりであるとしても、前記認定のとおり、本件は、ビデオカメラ等電気通信機械器具の分野の取引の実情に照らし、提出された証拠に基づいて個別具体的に判断した結果、登録商標の使用が認められるものである。
6 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「ビデオカメラ」について、本件商標の使用をした事実を証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、本件請求に係る指定商品について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲


審決日 2014-02-18 
出願番号 商願平3-63529 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (1070912)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 井出 英一郎
小川 きみえ
登録日 1994-02-28 
登録番号 商標登録第2620783号(T2620783) 
商標の称呼 デュアルショット 
代理人 志賀 正武 
代理人 柏 延之 
代理人 塩谷 信 
復代理人 久保 怜子 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 遠藤 祐吾 
復代理人 安部 聡 
代理人 宇梶 暁貴 
代理人 宮嶋 学 
代理人 渡邊 隆 
代理人 高田 泰彦 
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