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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900318 審決 商標
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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W37
審判 全部申立て  登録を維持 W37
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審判 全部申立て  登録を維持 W37
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審判 全部申立て  登録を維持 W37
審判 全部申立て  登録を維持 W37
管理番号 1288815 
異議申立番号 異議2013-900372 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-10-28 
確定日 2014-06-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5605878号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5605878号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5605878号商標(以下「本件商標」という。)は、「インテルコム」の片仮名を標準文字で表してなり、平成24年8月9日に登録出願され、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,火災報知機の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具の修理又は保守,照明用器具の修理又は保守,電動機の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,貯蔵槽類の修理又は保守,機械式駐車装置の修理又は保守,自転車駐輪器具の修理又は保守,水質汚濁防止装置の修理又は保守,浄水装置の修理又は保守,錠前の取付け又は修理,建築物の外壁の清掃,窓の清掃,床敷物の清掃,床磨き,貯蔵槽類の清掃」を指定役務として、同25年6月21日に登録査定され、同年8月9日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、「インテル」の片仮名を横書きしてなり、昭和51年3月22日に登録出願、同55年4月30日に設定登録、平成23年4月13日に指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」のほか、第7類、第8類、第10類ないし第12類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする書換登録がされた登録第1415772号商標をはじめ、登録第1373591号、登録第1415771号、登録第3018770号、登録第4362619号、登録第4441585号、登録第4456379号(同号の防護1号及び防護2号を含む。)、登録第4614499号、登録第4634154号、登録第4733468号、登録第4997875号、登録第5054296号及び登録第5076985号の各商標であり,いずれも現に有効に存続しているものである。
以下、これらの登録商標をまとめて単に「引用商標」ということがある。

第3 登録異議申立ての理由の要点
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第8号、同第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に該当する旨主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第60号証を提出している。
1 申立人会社について
申立人は、1968年(昭和43年)7月18日にアメリカ合衆国カリフォルニア州で創業した世界最大の半導体製品メーカーであり、半導体・コンピュータ関連の取引者、需要者のみならず、商品分野や業種を超えて、一般の消費者を含む広範囲の需要者の間でも広く知られるようになっている。
2 商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、申立人の名称の著名な略称「インテル」をそっくりそのまま含む商標であって、申立人の承諾を得ていないものである。
3 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その登録出願日前の商標登録出願に係る申立人所有の引用商標に類似する商標であって、引用商標に係る指定商品・役務と同一又は類似の役務について使用をするものである。
4 商標法第4条第1項第15号について
申立人が使用する「インテル」及び「INTEL」の商標は、申立人の業務に係る商品「半導体、集積回路」等を表示する商標として広く一般に認識されているから、本件商標は、申立人の商標を容易に連想させ、本件商標がその指定役務に使用された場合、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
5 商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている「インテル」及び「INTEL」の商標と類似する商標であって、不正の目的をもって使用するものである。
6 商標法第4条第1項第7号について
本件商標をその指定役務について登録することは、正常な取引慣行に反するとともに国際信義上好ましくないものであるから、本件商標は、公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標である。

第4 当審の判断
1 申立人及びその商標について
(1)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1968年(昭和43年)7月18日にアメリカ合衆国カリフォルニア州で創業した世界最大の半導体製品メーカーであり、申立人の日本での本格的な営業活動は、1971年(昭和46年)10月開設の「インテル・ジャパン・コーポレーション日本支社」により開始され、1976年4月28日には「インテルジャパン株式会社」として法人登記され、その後、同社は1997年(平成9年)に「インテル株式会社」と名称変更して現在に至るものであり、申立人の沿革を記載したパンフレット及び申立人のマイクロプロセッサーの歴史について記載したウェブサイトには、別掲1のとおりの構成からなる標章(以下「使用商標」という。)が随所に表示されている(甲第17及び第18号証)。
(イ)半導体業界において、申立人は、「INTEL」又は「インテル」と略称され、1970年に世界初のICメモリ(商用DRAM)「1103」を、また、1971年に世界初のマイクロプロセッサ「4004」を開発したことに始まり、これ以後、現在に至るまで数年毎に先進技術のマイクロプロセッサを開発、製品化し、マイクロプロセッサの世界市場の80%を占めており、申立人の世界半導体市場の売上ランキングは、1992年以降2013年まで22年連続して半導体売上高で世界第1位を維持している(甲第20ないし第22号証)。
(ウ)申立人は、「INTEL INSIDE」の文字及び別掲2のとおりの構成からなるロゴマーク(以下「申立人ロゴマーク」という。)を商標として1991年から採択し、10周年を迎えた2001年に「INTEL INSIDEプログラム」について、世界130か国のパソコン広告で申立人ロゴマークが採用されている旨のプレスリリースをした(甲第24号証)。
該「INTEL INSIDEプログラム」は、申立人ロゴマークと「Pentium」等の申立人の個別商品の名称を、申立人のマイクロプロセッサを搭載したパーソナルコンピュータ等の商品を製造販売するOEMメーカーに使用許諾し、当該商品の広告宣伝活動を申立人が経済的に支援するものであって、該プログラムに基づいて、日本国内では、日本電気、松下電器産業(現パナソニック)、日立製作所、シャープ、三菱電機、東芝、ソニー、富士通、日本IBM、セイコーエプソン、デルコンピュータといった大手電機・コンピュータメーカー等に申立人の商標が使用許諾され、これらのライセンシーが製造販売するコンピュータ関連の商品及びその広告活動に申立人ロゴマーク及び「pentium」の商標等が広く使用されるに至った(甲第25ないし第52号証)。
(エ)「INTEL INSIDEプログラム」に基づく申立人及びライセンシー各社による申立人ロゴマーク及び使用商標をはじめとする申立人の商標の広範な使用により、一般消費者が申立人のプロセッサを搭載したパソコン等の最終製品を外部から認識することができるようになり、申立人の個別商品の商標が家庭の一般消費者の目に触れる機会が増大した(甲第53及び第54号証)。
加えて、パソコン市場は、1994年(平成6年)頃から急速に浸透した職場環境におけるパソコン一人一台時代が到来している事実がある(甲第55号証)。
(2)以上によれば、申立人は、「インテル」又は「INTEL」と略称され、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、取引者・需要者の間において、申立人の略称及び申立人の業務に係る商品「マイクロプロセッサ、半導体等」を表示するものとして広く認識されていたものと認められる。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)申立人は、本件商標の指定役務のうち「建設工事,建築工事に関する助言,電気通信機械器具の修理又は保守,電動機の修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守」は、引用商標のうちの登録第4614499号商標(以下「引用商標A」という。)及び登録第4733468号商標(以下「引用商標B」という。)の指定役務と同一又は類似であり、かつ、本件商標と引用商標A及びBとは類似するものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張する。
(2)本件商標と引用商標A及びBとの類否について判断する。
(ア)本件商標は、「インテルコム」の片仮名を同書、同大、等間隔でまとまりよく表してなり、これより生ずる「インテルコム」の称呼もよどみなく一連に称呼することができるものであって、全体として特定の観念を有しない一種の造語として認識し把握されるものというべきである。
この点に関し、申立人は、本件商標の構成中の「インテル」の文字が申立人の著名な略称を示すものであること、「コム」の文字が「電子計算機(computer)」や「コミュニケーション(communication)」の略語、インターネットドメインに使用される「com」の片仮名表記と認識され得ることから、本件商標は、「インテル」と「コム」の二つの表示から構成されるものと認識され、「インテル」は、申立人の著名な略称として把握される旨主張する。
しかしながら、「computer」や「communication」が、略語として「com.」と表示される場合があるとしても、これ以外に「com.」と略される成語もあることなどを考慮すると、片仮名「コム」で表された場合において、いかなる語に係る略語の表記であるかは、特定し難く、また、インターネットドメインでは「.com」として「ドットコム」と称される場合があるとしても、「コム」の片仮名のみから直ちにインターネットのドメインを想起するとまではいえないこと、などからすると、たとえ、「インテル」の文字が申立人の略称として周知・著名なものであるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が直ちに「インテル」と「コム」の二語からなるものとして認識し把握するものとまではいえず、むしろ、全体をもって一体不可分の造語からなるものとして認識し把握するというのが自然である。
したがって、申立人の主張は採用することができない。
(イ)他方、引用商標Aは、「INTEL」の欧文字を標準文字により表してなるものであり、引用商標Bは、「インテル」の片仮名を標準文字により表してなるものであって、いずれも「インテル」の称呼を生じ、また、申立人を観念させるものといえる。
(ウ)そこで、本件商標と引用商標A及びBとを対比すると、両者は、その構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものといえる。
また、本件商標から生ずる「インテルコム」の称呼と引用商標A及びBから生ずる「インテル」の称呼とは、構成音数を異にするのみならず、末尾部分における「コム」の音の有無という顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感、音調が相違し、彼此紛れることなく明瞭に区別することができるものである。
さらに、本件商標は、特定の観念を有しないものである以上、観念上、引用商標A及びBと類似するとはいえない。
してみれば、本件商標と引用商標A及びBとは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(3)小括
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。
3 本件商標の商標法第4条第1項第8号該当性について
商標法第4条第1項第8号の「著名な略称を含む」について、「他人の氏名や略称等を『含む』商標に該当するかどうかを判断するに当たっては、単に物理的に『含む』状態をもって足りるとするのではなく、その部分が他人の略称等として客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解すべきである。」(知財高裁 平成21年(行ケ)第10074号判決)とされているところ、本件商標は、「インテルコム」の文字を表してなり、外観上一体のものとして把握されるものとみるのが自然であって、造語と理解されるものであるから、特定の観念は生じないものである。
そうとすれば、同書、同大でまとまりよく表された本件商標の構成においては、前示のとおり、「インテル」の文字部分のみが独立して認識されるとはいい得ず、これに接する者に申立人を想起・連想させるものということができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものとはいえない。
4 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人は、申立人の著名な略称である「インテル」の欧文字表記「INTEL」が本件商標の全ての指定役務について防護標章として登録されていること、本件商標は、「インテル」の文字部分が出所標識として認識され、防護標章登録に係る登録第4456379号商標とは類似の関係にあること、申立人の略称「INTEL」の片仮名表記として広く一般に認識されている「インテル」も「INTEL」同様、極めて高い著名性が認められること、本件商標からは申立人の著名な略称「インテル」が認識されること、などを理由として、本件商標は申立人の業務に係る商品・役務との間で混同を生ずるおそれがある旨主張する。
しかしながら、本件商標は、前示のとおり、全体をもって一体不可分の造語からなるものとして認識し把握されるものであって、かかる構成において、「インテル」の文字部分のみが分離抽出されて観察されるようなことはなく、したがって、「INTEL」又は「インテル」の文字からなる商標とは非類似の商標であり、別異のものというべきである。
そうすると、「INTEL」又は「インテル」の文字が、申立人の略称として、また、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、一般の消費者を含む広範囲の需要者、取引者の間にも広く認識されていることを考慮したとしても、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する取引者、需要者がその構成中の「インテル」の文字部分のみに注目して申立人ないし引用商標を連想、想起するようなことはないというべきであり、該役務が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれもないというのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。
5 本件商標の商標法第4条第1項第19号該当性について
申立人は、「インテル」又は「INTEL」の文字からなる引用商標が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されており、本件商標はこれらの商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的をもって使用するものである旨主張する。
しかしながら、「INTEL」の文字からなる引用商標A及び「インテル」の文字からなる引用商標Bと本件商標とが、それぞれ相紛れるおそれのない非類似の商標であることは、前記2(2)のとおりであり、このことは、使用商標及び申立人ロゴマークについても同様といえる。
そうすると、たとえ、使用商標、申立人ロゴマーク及び「インテル」又は「INTEL」の文字からなる引用商標が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されているものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に定める要件を欠くものといわざるを得ない。
なお、申立人は、本件商標が申立人の周知な商標を不正の目的をもって使用するものであることを個別具体的に示す証拠を何ら提出していない。
その他、本件商標が不正の利益を得る目的、申立人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証左はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものとはいえない。
6 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、申立人と無関係の他人が本件商標を使用することは、申立人の著名商標の名声及び顧客吸引力のただ乗り(フリーライド)を是認し、申立人の著名商標の出所表示力及び顧客吸引力の希釈化(ダイリューション)を招来するものであり、商標法の予定する秩序に反し、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものである旨主張する。
しかしながら、前示のとおり、本件商標と申立人の使用商標、申立人ロゴマークをはじめとする引用商標とは類似する商標とはいえず、出所の混同のおそれもない別異のものであるから、本件商標は、申立人ないし引用商標を連想、想起するようなものではなく、申立人の引用商標の名声、顧客吸引力にただ乗りするものとはいえず、その出所表示力及び顧客吸引力を希釈化するものでもない。
もとより、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑猥、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字ではないし、指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものでもない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
7 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 使用商標


2 申立人ロゴマーク



異議決定日 2014-05-29 
出願番号 商願2012-64802(T2012-64802) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W37)
T 1 651・ 23- Y (W37)
T 1 651・ 222- Y (W37)
T 1 651・ 263- Y (W37)
T 1 651・ 22- Y (W37)
T 1 651・ 261- Y (W37)
T 1 651・ 262- Y (W37)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩崎 安子榎本 政実榊 亜耶人 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 酒井 福造
寺光 幸子
登録日 2013-08-09 
登録番号 商標登録第5605878号(T5605878) 
権利者 インテルコム株式会社
商標の称呼 インテルコム 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 中村 知公 
代理人 前田 大輔 

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