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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900370 審決 商標
異議2013900329 審決 商標
異議2013900372 審決 商標
異議2013900206 審決 商標
異議2013900291 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W2930
審判 全部申立て  登録を維持 W2930
管理番号 1288806 
異議申立番号 異議2013-900318 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-07-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-09-17 
確定日 2014-05-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5590214号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5590214号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5590214号商標(以下「本件商標」という。)は、「LA BELLE EPOQUE」の欧文字(標準文字による。)からなり、平成25年1月9日に登録出願され、第29類「ジャム,加工野菜及び加工果実,果実の缶詰及び瓶詰,果実のジャム,ジャムその他の加工野菜及び加工果実」及び第30類「調味料,はちみつ,蜂蜜を主原料とする甘味料,蜂蜜を加味した香辛料,茶,茶飲料」を指定商品として、同年4月24日に登録査定、同年6月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由として引用するのは、次の4件の登録商標(以下、4件をまとめて「引用商標」という場合がある。)である。
1 登録第2521937号商標(以下「引用商標1」という。)は、「BELLE EPOQUE」の欧文字を横書きしてなり(「BELLE」の欧文字と「EPOQUE」の欧文字の間にはやや間隔がある。)、平成2年12月26日に登録出願、第28類(昭和35年4月1日に施行された商標法施行令(昭和35年政令第19号)第1条に基づく商品の区分、以下「旧商品区分」という。)「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、同4年11月6日に登録査定、同5年3月31日に設定登録され、その後、同16年10月13日に指定商品を第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
2 国際登録第1092992号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成からなり、2011年3月28日にFranceにおいてした商標の登録出願を最初の出願とするパリ条約第4条による優先権を主張して、2011年(平成23年)9月6日に国際商標登録出願、第33類「Alcoholic beverages (except beer).」を指定商品として、平成24年3月12日に登録査定、同年6月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 登録第2547754号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(2)に示すとおりの構成からなり、平成2年12月26日に登録出願、旧商品区分第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、同5年2月5日に登録査定、同年6月30日に設定登録され、その後、同17年6月8日に指定商品を第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」とする指定商品の書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
4 登録第4357141号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(3)に示すとおりの構成からなり、平成10年6月19日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同11年12月1日に登録査定、同12年1月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第276号証(枝番を含む。)を提出している。
1 本件商標について
本件商標の構成中の「LA」の文字部分は、フランス語の定冠詞として容易に認識され(甲第6号証、甲第7号証)、それ自体に格別の意味がなく、ほかの語に冠して、その語を特定し又は強調するものと認められるから、取引者、需要者は、本件商標の構成中の「BELLE EPOQUE」の文字部分を本件商標の主要な部分と認識し、該文字部分から生ずる称呼をもって取引にあたる場合も決して少なくないとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、フランス語読みに倣って「ラベルエポック」の称呼を生ずるほか、「BELLE EPOQUE」の文字部分に相応して、「ベルエポック」の称呼をも生ずるものというべきである。
また、「BELLE EPOQUE」の文字は、下記のとおり、申立人が製造、販売する世界的に著名な高級シャンパン「BELLE EPOQUE」を表すものとして、我が国において広く知られており、本件商標に接する取引者、需要者は、申立人又は申立人のシャンパンを想起するというべきであるから、本件商標からは、かかる観念が生ずるといえる。
2 引用商標について
(1)我が国の登録商標
申立人は、我が国において、登録商標である引用商標1ないし引用商標4を有している(甲第2号証ないし甲第5号証)。
引用商標1は、下記で述べるとおり、申立人が製造、販売する著名な高級シャンパン「BELLE EPOQUE」(ベルエポック)を表すものとして、広く知られており、引用商標1からは、「ベルエポック」の称呼が生じ、申立人の著名な高級シャンパン「ベルエポック」という観念が生じるものである。
また、引用商標2は、その構成中、上段の「BELLE EPOQUE」の文字部分からは、「ベルエポック」の称呼が生じ、申立人の著名な高級シャンパン「ベルエポック」という観念が生じるものであり、また、その構成中の下段の「PERRIER-JOUET」(最後から2番目の「E」にはトレマ(¨)が付いている。以下同じ。)の文字部分からは、「ペリエジュエ」の称呼が生じ、フランスの著名な老舗のシャンパンメーカーである申立人の名称を観念させるものである。
さらに、引用商標3及び引用商標4は、その構成中、「BELLE EPOQUE」の文字部分からは、「ベルエポック」の称呼がそれぞれ生じ、申立人の著名な高級シャンパン「ベルエポック」という観念が生じるものであり、また、「PERRIER-JOUET」の文字部分からは、「ペリエジュエ」の称呼が生じ、フランスの著名な老舗のシャンパンメーカーである申立人の名称を観念させるものである。
(2)申立人である「CHAMPAGNE PERRIER-JOUET」の著名性並びに引用商標及び申立人が製造販売する高級シャンパン「BELLE EPOQUE」(ベルエポック)の著名性について
ア 申立人と申立人が製造販売するシャンパンの著名性
申立人であるシャンパーニュ ペリエ ジュエ(CHAMPAGNE PERRIER-JOUET)(商標登録原簿上の表記はペリエー ジユーエーとなっているが、取引では「ペリエ ジュエ」が一般的に使用される読み方である。)は、1811年に創業された老舗のシャンパンメーカーであり、また、引用商標の商標権者として、かつ、最高級のシャンパンメーカーの一つとして世界的に知られており、その高いプレステージは、フランス国内のみならず、日本においても広く知られているところである。申立人は、現在、フランスの巨大グループ企業であり、アルコール&スピリッツ部門では世界1位であるペルノリカールグループ(PERNOD RICARD)(甲第14号証)の一員として、世界各国にシャンパン製品を輸出し、販売している(甲第15号証、甲第17号証)。
申立人のシャンパンメーカーとしての発祥は、創業者でありシャンパンの職人であるピエール・ニコラ・ペリエ(Pierre Nicolat Perrier)とその妻アデル・ジュエ(Adel Jouet(最後から2番目の「e」にはトレマ(¨)が付いている。以下同じ。))により、1811年にシャンパーニュ地方のエペルネ市に創設されたのが始まりであり、「ペリエ ジュエ(PERRIER-JOUET)」の社名は、夫妻の名前に由来している(甲第18号証及び甲第19号証)。
申立人は、2代目社長のシャルル・ペリエの先見性により、1854年に他社に先駆けて「辛口シャンパン」や「ヴィンテージシャンパン」を発売し(甲第16号証、甲第18号証ないし甲第22号証、甲第29号証、甲第123号証)、申立人が造るシャンパンを人気不動のものにしたことで知られている。今ではすっかりシャンパンの主流となっている、これらのシャンパンを生み出したことにより、申立人の1811年から現在まで続く200年にわたる歴史は、「シャンパーニュの歴史」(甲第29号証)そのものだともいわれている。
そして、それ以上に、申立人を広く知らしめているのは、アールヌーヴォーの天才芸術家であるエミール・ガレと懇意にしていた3代目社長のアンリ・ガリスの審美眼により、ガレと申立人の協働作業により生まれ、現在まで多くのセレブリティに愛され続けている芸術的な味とボトルデザインを持つシャンパン「BELLE EPOQUE」(ベルエポック)の存在にある。この「BELLE EPOQUE」(ベルエポック)により、日本を始め世界各国において、「芸術的なシャンパン」を造るシャンパンメーカーとして著名となっている。すなわち、申立人が製造、販売するシャンパンは、1811年の創業から現在までの2世紀にわたって、ビクトリア女王、ナポレオン三世、レオポルド一世といった欧州の王室を始め、モナコ王妃グレース・ケリーなど、多くのセレブリティや美食家、芸術家により寵愛されてきた(甲第16号証及び甲第17号証、甲第19号証ないし甲第23号証、甲第29号証及び甲第30号証、甲第50号証、甲第78号証、甲第111号証、甲第124号証、甲第137号証、甲第160号証、甲第166号証、甲第209号証)。その中でも、「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」は、エミール・ガレがデザインしたボトルの優美な姿と繊細な味わいで、「プレステージ・シャンパーニュ」(甲第78号証、甲第111号証、甲第118号証、甲第121号証、甲第137号証)としての地位を不動のものとしている。申立人によるシャンパンの品質へのこだわりは徹底しており、優れたブドウを生み出す畑を購入することはもちろん、完璧な品質には妥協を許さず、過去に5回、ブドウの不作を理由に出荷を断念することもあったほどである(甲第19号証)。このような申立人の真摯な品質管理の結果として、申立人の製造、販売するシャンパンは、シャンパン愛好家のバイブルといわれる「4000champagnes」では四つ星評価であり、「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」に至っては、1964年からヴィンテージが造られた年のほとんどのヴィンテージにおいて90点以上の評価を得ており、プロも最高級のシャンパンであることを認めている(甲第16号証)。
一昨年の2011年に、申立人は創業200周年を迎え、日本を含め世界各国で大々的に記念イベントが開催され、需要者を招待して申立人の節目を祝うディナーパーティーが企画され、また、創業200周年を迎えた限定品も発売された(甲第23号証ないし甲第35号証、甲第51号証、甲第120号証)。
イ 引用商標及び高級シャンパン「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」の著名性
引用商標が付された「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」は、1964年に最初のヴィンテージとして生まれ、5年の熟成を経た1969年に、パリの有名レストラン「マキシム」で発売されたのが始まりである。現在では、申立人を代表するシャンパンとなり、そのボトルのデザインの華やかさとそこに閉じ込められたシャンパンの味の素晴らしさにより、「シャンパンの芸術品」「シャンパーニュの華(フルール・ド・シャンパーニュ)」と称されている(甲第16号証及び甲第17号証、甲第26号証及び甲第27号証、甲第29号証、甲第53号証ないし甲第60号証、甲第62号証ないし甲第64号証、甲第83号証、甲第119号証ないし甲第121号証、甲第123号証、甲第146号証、甲第201号証)。
申立人が製造、販売する「BELLE EPOQUE」のシャンパンは、申立人と所縁が深いアールヌーヴォーの天才芸術家「エミール・ガレ」と申立人の3代目社長とが出会い、そして、共に生きたからこそ産まれたシャンパンとして、その時代を表わす「BELLE EPOQUE(美しき良き時代)」の名を商標として採択したものであり、引用商標は、申立人の最高級シャンパンについて長年使用され続けている。日本においても、引用商標を付した申立人の商品「シャンパン」は、以前はサントリーにより、現在はペルノリカールグループの日本支社ペルノ・リカール・ジャパン株式会社により継続的に販売されている(甲第13号証の1ないし甲第13号証の4、甲第15号証)。
さらに、日本においては、「BELLE EPOQUE」は、その象徴ともなっている白いアネモネを描いたエミール・ガレが、日本の芸術に感銘を受けており、日本との深い縁を感じるシャンパンであるところ、申立人は、2011年に創業200周年を迎えたプレステージ・シャンパーニュメゾンの輝かしい歴史に新たな1ページを加えるべく、2012年に、「日本へのトリビュート」として(甲第77号証)、日本のフラワーアーティストで世界を股にかけ活躍する東信(あずままこと)を起用したコラボレーションを行い、「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」の限定ボトル「BELLE EPOQUE FLORAL EDITION(ベルエポック フローラルエディション)を発売した。「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」は、これまでも、2桁増の伸びを示して(甲第33号証、甲第169号証及び甲第170号証、甲第203号証)、日本で成功しており(甲第95号証、甲第155号証)、その出荷量の第1位は日本である(甲第96号証ないし甲第98号証)が、このコラボレーションに伴い、申立人に係るシャンパンの人気及び販売量がさらに飛躍的に伸びることとなった。このコラボは、「BELLE EPOQUE」の誕生以来、初の限定ボトルであり、申立人の3代目社長と天才芸術家のエミール・ガレとのコラボにより生れた白いアネモネが描かれて以来、110年ぶりのアーティスト起用ということもあり、世界中が注目することとなった(甲第36号証ないし甲第144号証)。
「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」のシャンパンは、世界50か国に輸出され、各国の重要なセレモニー・パーティーなどでは必ず提供されるなど、世界中で愛飲されている。我が国においても、各種セレモニーからレストラン、ホテルに至るまで幅広く親しまれ、人気の高い商品である(甲第153号証、甲第158号証及び甲第159号証、甲第163号証及び甲第164号証、甲第169号証及び甲第170号証、甲第178号証、甲第180号証)。映画においても、イブモンタンが主演する「ギャルソン」という題名のフランス映画において、「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」がストーリーのキーポイントとして華麗に登場している(甲第166号証、甲第231号証、甲第249号証)。
また、申立人は、雑誌や全国紙等のメディアを通じ「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」を積極的に広告・宣伝し、また、インターネット上で多くの需要者によりブログ等において話題にされており(甲第14号証ないし甲第271号証)、その卓越した風味、徹底した生産・品質管理及び申立人による積極的な宣伝・広告活動の結果、「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」の成功と人気は、日本を含めた世界各国で今日まで維持されているのである。特に、我が国において、「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」は、最高級の嗜好品であり、芸術品としての人気は非常に高いものとなっている。このことは、申立人のシャンパン「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」が、2004年頃にはサントリーにより、現在はペルノ・リカール・ジャパン株式会社により宣伝され、販売されていることや、日本で継続的に発行されている「世界の名酒事典」(甲第13号証の1ないし甲第13号証の4)に例外なく掲載されていることからも明らかである。
したがって、日本において、「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」の文字は、シャンパンの芸術品が生まれた時代の名であるとともに、申立人が製造、販売する最高級シャンパンとして、酒類の取引者・需要者に限らず、広く一般に認識されるに至っているというべきである。
以上のとおりであるから、申立人と天才芸術家とが出会い、誕生した時代の名に由来する「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」は、申立人の営業を表示するものとして、また、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、世界的に極めて高い信用が形成され、著名に至っている。
よって、シャンパン「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」及び引用商標は、本件商標の出願日である2013年1月9日以前より、申立人の業務に係る商品「シャンパン」を表示する商標として、その取引者・需要者において、著名性を獲得するに至っていたというべきである。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、(a)当該商標と他人の表示との類似性の程度、(b)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度、(c)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度、商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情に照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきものである(平成12年7月11日最高裁第三小法廷判決平成10年(行ヒ)第85号審決取消請求事件)。
この基準に照らし合わせた場合、本件商標に接した取引者・需要者は、あたかも、申立人又は申立人と何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
以下、詳述する。
(1)「(a)当該商標と他人の表示との類似性の程度」に係る基準について
本件商標は、「LA BELLE EPOQUE」の文字から構成されるが、その要部である「BELLE EPOQUE」の文字部分は、申立人が製造、販売する世界的に有名なフランスの高級シャンパン「BELLE EPOQUE」と同一の称呼を生じ、また、同一の綴りからなるものであり、本件商標と引用商標との類似性は、非常に高いというべきである。
(2)「(b)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度」に係る基準について
本件商標の2013年1月9日の出願時には、上述のとおり、既に、申立人が製造、販売する看板商品を表わす「BELLE EPOQUE」の語は、1969年に発売以降の長年にわたる申立人の企業努力により、申立人の業務に係る商品「シャンパン」に使用される商標として、我が国の取引者・需要者において極めて著名となっていたというべきである。また、引用商標は、申立人の3代目社長と親交が深く、現在まで使用され続けているシャンパン「BELLE EPOQUE」のボトルデザインを手がけた天才芸術家であるエミール・ガレと申立人の3代目社長が生きた時代の名「BELLE EPOQUE」(ペル エポック 美しき良き時代)より名づけられたものであることから、極めて独創性の高い商標というべきである。
(3)「(c)当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性」に係る基準について
本件商標と引用商標とは、商品間の関連性並びに商品等の取引者及び需要者の共通性があるものというべきである。
本件商標の指定商品は、第29類「ジャム,加工野菜及び加工果実,果実の缶詰及び瓶詰,果実のジャム,ジャムその他の加工野菜及び加工果実」及び第30類「調味料,はちみつ,蜂蜜を主原料とする甘味料,蜂蜜を加味した香辛料,茶,茶飲料」であり、引用商標に係る商品は「シャンパン」等のアルコール飲料であって、両商品は、いずれも飲料食品であり、性質・用途・目的における関連性の程度は高いといえる。また、その取引者及び需要者の共通性も高い。
実際、日本における取引実情において、本件商標に係る指定商品「ジャム、缶詰、調味料、茶」等において、シャンパンが原材料や風味付けに使用されている例が、例えば、ウェブサイト上に複数紹介されている(甲第8号証の1ないし甲第8号証の6)。
その他、指定商品ではないが、同じ食料品である菓子類において、申立人が製造、販売する高級シャンパン「BELLE EPOQUE」と同様に、高級シャンパンとして有名な「Dom Perignon(ドンペリニョン)」が、原材料や風味付けに頻繁に使用されている例がある(甲第9号証の1ないし甲第9号証の7)。
シャンパン以外にも、現在の飲食業界では、ワインやブランデー等が食料品の風味付けや料理の隠し味に頻繁に使用され、それが宣伝効果をあげることも珍しくない。
本件商標の指定商品に照らした場合、ジャムや缶詰製品といった食料品、ビネガーといった調味料、茶といったアルコールを含まない飲料にシャンパンを使用することが行われている事実に鑑みれば、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品「シャンパン」との間には、密接なつながりがあるというべきである。
すなわち、シャンパンといったアルコール飲料が食料品の風味付けや原材料として普通に用いられていることから、両者は、原料と製品との関係において、その生産工程上、密接な関係があると思料する。
また、本件商標の指定商品に係る飲食料品と引用商標に係るシャンパンといったアルコール飲料とは、百貨店やスーパー、コンビニ等で同一店内において販売されていることは、日常目撃している光景であり、このことからも、需要者や販売ルート等に共通性があり、両者の商品には、極めて密接な関係があるというべきである。
このような「アルコール飲料」と「飲食料品」との商品の関連性の高さについては、過去の審判例においても認められている(甲第10号証、甲第11号証、甲第272号証)。また、諸外国においても、「アルコール飲料」と「飲食料品」の商品の関連性の高さについては、認められている(甲第273号証ないし甲第276号証)。
上記に加え、申立人が使用する「シャンパン」と本件商標に係る指定商品とは、非類似の商品であるとしても、現代の企業の経営の多角化の経営方針に鑑みれば、密接な関連性があるというべきである。
その他、需要者への広告・宣伝媒体となっている雑誌において、近年、シャンパンに関する情報が、紅茶やジャム、ビネガーといった飲食料品と同じ広告媒体において、アルコールの有無に関係なく、日常の嗜好品や贈答品の情報として一緒に提供されており、それら広告媒体の雑誌等の現状に鑑みても、両者の関連性は非常に高いといわざるを得ないものである。すなわち、近年の日本におけるシャンパンへの人気の高まりを背景に、シャンパンに合う飲食料品やシャンパンを使用した食料品等が紹介されるなど、シャンパンと飲食料品は、互いに影響し合っている。
以上のとおりであるから、本件商標と引用商標に係る商品の間の関連性及び取引者・需要者の共通性は高いと考えられ、これら商品に本件商標が付されていた場合には、取引者・需要者は、同一の者又は何らかの関係がある者の業務に係る商品であると認識し、その商品の出所について混同を生ずることは明らかである。
これらの事情を総合勘案すると、本件商標と申立人の業務に係るシャンパンの商品に使用される商標として著名な引用商標とは、同一の「ベルエポック」の称呼が生じ、同一の綴り字を有するものであり、本件商標が引用商標の指定商品と高い関連性を有する本件商標の指定商品に使用された場合、本件商標に接する取引者・需要者は、あたかも、申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく誤認し、例えば、申立人が製造、販売するシャンパンを使用した飲食料品シリーズの一つとして、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するというべきである。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記2(2)のとおり、申立人による長年にわたる努力の積み重ねの結果、取引者・需要者の間において広く知られ、高い名声・信用・評判を獲得するに至っており、本件商標の出願時である2013年1月には、引用商標は、既に申立人の業務に係る商品に使用される商標として、極めて広く知られていた。その上、引用商標の構成中の「BELLE EPOQUE」の文字部分は、申立人の3代目社長と引用商標が付されたシャンパンのボトルデザインを手がけた天才芸術家のエミール・ガレが共に生きた時代に由来した非常に独自性の高いものとして、長年継続的に使用され、取引者、需要者間に広く知られるようになったものであり、「BELLE EPOQUE(ベルエポック)」といえば、「申立人が製造、販売する世界的に有名なシャンパンブランドのベルエポック」との観念が生ずるものである。
他方、本件商標は、その要部である「BELLE EPOQUE」の文字部分が、上記のように著名な引用商標の要部である「BELLE EPOQUE」の文字部分と同一の綴り及び同一の称呼からなるものであり、その指定商品が申立人の使用する「シャンパン」と極めて密接な関係のある飲食料品であることを考えると、被申立人が著名な引用商標を知らず、偶然に同一の綴り及び同一の称呼を生じる文字を有する本件商標を登録出願したとは考え難く、引用商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で登録出願、使用されているものと推認される。
したがって、本件商標は、被申立人が不正の目的で使用するものであることは明らかであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものというべきである。
5 まとめ
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当し、登録要件を欠くものであるから、同法第43条の3第2項によって取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであると主張している。そこで、以下、申立人の主張について検討する。
なお、申立人は、引用商標3及び引用商標4について、「BELLE EPOQUE」及び「PERRIER-JOUET」の文字を含んでいることを前提に主張しているが、それら商標の構成は、別掲(2)及び(3)のとおりであり(この点は、申立人が平成25年12月16日付けをもって提出した「商標登録異議申立理由補充書」においても同じである。)、図形に囲まれている標章が「BELLE EPOQUE」及び「PERRIER-JOUET」の文字であるとは確認できない。このため、甲各号証に、図形とともに「BELLE EPOQUE」の文字が表示されている場合を含め、引用商標1として検討することとした。
また、申立人は、引用商標が使用されている商品を「シャンパン」と称しているが、「シャンパン」とは「フランスのシャンパーニュ地方で造られる発泡性ぶどう酒」を意味するものであるところ、以下においては、引用商標が使用されている商品「シャンパン」を「申立人発泡性ぶどう酒」ということとする。
1 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の周知・著名性について
ア 申立人が提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、1811年に創業された、フランスのシャンパーニュ地方で造られる発泡性ぶどう酒のメーカーであり、社名(ペリエ ジュエ)は創業者夫妻の名前に由来すること、申立人は、1854年に辛口シャンパンを発売したこと、申立人の3代目社長がアールヌーヴォーの芸術家エミール・ガレと懇意にしていたことから、申立人発泡性ぶどう酒のボトルデザインを同人に依頼したこと、また、申立人発泡性ぶどう酒は、多くのセレブリティや欧州の王室、芸術家により寵愛され、申立人発泡性ぶどう酒であるベルエポックが、プレステージ・シャンパーニュ(ブドウの出来が良い年に造られる特別な発泡性ぶどう酒)と称され、ベルエポックは、その品質について一定の評価を得ていること、さらに、申立人は、2011年に創業200周年を迎え、限定品としての申立人発泡性ぶどう酒を発売したことが確認できる。
(イ)引用商標1が使用された申立人発泡性ぶどう酒は、1969年に発売が開始され、本件商標の登録出願及び査定があった2013年までの間に申立人により相当量の広告宣伝が行われ、また、取引者、ウェブ情報、食品情報誌(食品関連新聞を含む)や経済関連の新聞により紹介され、かつ、「フルール・ド・シャンパーニュ(シャンパンの華)」、「シャンパーニュ(シャンパン)の芸術品」などと称され、サントリー株式会社及びペルノ・リカール・ジャパン株式会社により取り扱われ、2011年の第1四半期の販売量が、前期に比して2桁増となり、日本での販売量が増加し、レストランのディナーにおいて用いられていることが確認できる。
イ 上記アによれば、申立人発泡性ぶどう酒は、洋酒や果実酒の取引者、洋酒や果実酒に関連する情報誌や新聞の編集発行者、ワインの愛好家、食通や美食家の間においてある程度知られていたということができる。
しかし、申立人が提出した甲各号証からは、申立人発泡性ぶどう酒の日本における販売量を把握することができず、また、その販売額も明らかではない(甲第33号証、甲第169号証、甲第170号証及び甲第203号証によれば、申立人発泡性ぶどう酒の販売額が2桁増加したことは認められるものの、販売総額がいくらになったのかは把握することができない。)。また、申立人発泡性ぶどう酒の市場占有率なども明らかではない。
そして、申立人が提出した甲各号証によれば、洋酒や果実酒の取引者、洋酒や果実酒に関連する情報誌や新聞の編集発行者、ワインの愛好家、食通や美食家の間における引用商標の普及度については一定の推定をすることができても、甲各号証について、本件商標の指定商品の一般的な需要者が日常的に接することの多い情報とまでいうことはできないから、本件商標の指定商品の一般的な需要者層における引用商標1の普及度は、推し量ることができないものである。
そうとすれば、引用商標1の普及度は、ワインや発泡性ぶどう酒の取引者・需要者など、限られた範囲にとどまるものといわなければならない。
(2)本件商標の指定商品と発泡性ぶどう酒との関連性について
ア 本件商標の指定商品は、前記第1のとおり、第29類「ジャム,加工野菜及び加工果実,果実の缶詰及び瓶詰,果実のジャム,ジャムその他の加工野菜及び加工果実」及び第30類「調味料,はちみつ,蜂蜜を主原料とする甘味料,蜂蜜を加味した香辛料,茶,茶飲料」であるところ、これら商品と発泡性ぶどう酒とは、たとえ、飲食料品の一つとはいえ、一般的には、食生活のいわゆる必需品といえるものであるのか否か、嗜好性の高い商品であるのか否か、アルコールを含む商品であるのか否かなどの点で異なり、その生産部門や販売部門、需要者層も異なるといえる。
この点、申立人は、本件商標の指定商品と引用商標に係る発泡性ぶどう酒といったアルコール飲料とは、百貨店、スーパー、コンビニ等の同一店内で販売されていることが日常的であり、需要者や販売ルートが共通すると主張する。
しかし、発泡性ぶどう酒等のアルコール飲料の販売は、一般的には、酒屋や、百貨店、スーパー等の酒売場であって、同じ百貨店やスーパーの中でも、本件商標の指定商品とは売場(販売コーナー)が異なるものである。しかも、嗜好性が高いアルコール飲料と、いわゆる食生活の必需品といえるものを多く含む本件商標の指定商品とでは、需要者層においても違いがあるといえるものである。
イ 申立人は、甲第8号証(枝番を含む。)を提出して、フランスのシャンパーニュ地方で造られる発泡性ぶどう酒が、ジャム、缶詰、調味料、茶等に風味付けや原材料として使用されている例があり、また、甲第9号証(枝番を含む。)を提出して、高級シャンパンとして著名な「Dom Perignon(ドンペリニョン)」が菓子類に使用されている例があるとして、本件商標の指定商品と発泡性ぶどう酒とは密接なつながりがある旨主張する。
しかし、商標法第4条第1項第15号の適用において考慮すべき商品の共通性については、完成品と原材料の関係にあるか否かだけで決すべきものではないところ、本件においては、先に述べたとおり、生産部門や販売部門、需要者層等が異なっているといえるものである。
また、発泡性ぶどう酒は、一般にアルコール飲料として取引され、購入されるものであって、食品の風味付けや飲料の香り付けに使用される場合があるとしても、それは、当該洋酒類の副次的な用途であり、発泡性ぶどう酒が本件商標の指定商品の風味付けや原材料として一般的に認識されているわけでもない。
さらに、申立人発泡性ぶどう酒については、甲第9号証(枝番を含む。)において、「Dom Perignon(ドンペリニョン)」が菓子の原材料や風味付け使用されているように、ジャム、缶詰、調味料、茶等に風味付けや原材料として使用されているというべき、個別の事情も見いだし得ない。そして、申立人発泡性ぶどう酒は、フランスのシャンパーニュ地方で造られる高級品であり、発泡性ぶどう酒として高い価値を有するものであることを踏まえるならば、取引者、需要者は、当該商品を食品の風味付けや原材料として認識するとは考え難いというのが相当であるから、風味付けや原材料としての関係をもって、本件商標の指定商品である「ジャム,加工野菜及び加工果実,果実の缶詰及び瓶詰,果実のジャム,ジャムその他の加工野菜及び加工果実」及び「調味料,はちみつ,蜂蜜を主原料とする甘味料,蜂蜜を加味した香辛料,茶,茶飲料」と、フランスのシャンパーニュ地方で造られる高級品である申立人発泡性ぶどう酒とが、関連性の程度が高い商品ということはできないものである。
ウ 申立人は、申立人発泡性ぶどう酒と本件商標に係る指定商品が非類似の商品であるとしても、現代の企業の多角化の経営方針に鑑みれば、両商品は密接な関連性があるといえる旨主張している。
しかし、申立人は、自身の経営の多角化、さらには、ほかのぶどう酒の生産者の経営の多角化について、本件商標の指定商品の製造、販売などの可能性を立証するところがなく、職権をもって調査しても、そのような事情も見いだし得ないから、これをもって、両商品は密接な関連性があるということもできない。
エ 上記によれば、本件商標の指定商品と申立人発泡性ぶどう酒とは、同じ飲食料品の分野の商品であるとしても、商標法第4条第1項第15号の適用において、商品の共通性が高いとまではいうことができないものである。
(3)まとめ
本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性については、以上のとおり、引用商標1は、ワインや発泡性ぶどう酒の取引者、需要者には、一定程度の周知・著名性を獲得しているとしても、その周知・著名性が本件商標の指定商品の取引者、需要者にまで及んでいるとはいい難く、かつ、本件商標の指定商品と申立人発泡性ぶどう酒とは、それぞれの用途、品質、生産部門、販売部門、需要者層等をみても、関連性の程度が高いとまでいうことができない。
そうすると、たとえ、引用商標1の構成文字にフランス語の定冠詞を付加したものといえる本件商標をその指定商品に使用しても、本件商標に接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第19号について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもって使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
しかし、引用商標1は、本件商標の指定商品の分野においてまで、需要者の間に広く認識されるに至っているということはできないものである。また、不正の目的についても、申立人は、引用商標1が周知、著名であることを前提に、本件商標が引用商標の有する名声、信用、評判へのフリーライドを目的とするものである旨主張しているが、引用商標の周知、著名性は上記のとおりであり、ほかに、本件商標が不正の目的によるものであることを立証するところもないから、本件商標を不正の目的をもって使用をするものということはできない。
その他、職権をもって調査するも、本件商標が商標法第4条第1項第19号に該当するとしなければならない理由は、見いだし得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
3 むすび
本件商標の登録は、以上のとおり、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1) 引用商標2(国際登録第1092992号商標)

別掲(2) 引用商標3(登録第2547754号商標)

(色彩については原本を参照されたい。)
別掲(3) 引用商標4(登録第4357141号商標)

異議決定日 2014-05-15 
出願番号 商願2013-859(T2013-859) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W2930)
T 1 651・ 271- Y (W2930)
最終処分 維持 
前審関与審査官 馬場 秀敏 
特許庁審判長 林 栄二
特許庁審判官 梶原 良子
田中 敬規
登録日 2013-06-14 
登録番号 商標登録第5590214号(T5590214) 
権利者 株式会社ルピシアホールディングス
商標の称呼 ラベルエポーク、ラベルエポック、ベルエポーク、ベルエポック 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 池田 万美 
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