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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2013300235 審決 商標
取消2011301114 審決 商標
取消2013300398 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y25
管理番号 1288765 
審判番号 取消2013-300263 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-04-02 
確定日 2014-06-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第4862059号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4862059号商標(以下「本件商標」という。)は、「アジル」の片仮名及び「Agile」の欧文字を上下二段に表してなり、平成16年1月30日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」を指定商品として、同17年5月13日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判請求の登録日は、平成25年4月19日である。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録は、これを取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。
なお、請求人は、後記第3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第24号証(枝番号を含む。)を提出した。
なお、証拠方法の枝番号のすべてを引用するときは、枝番号を省略する。
1 被請求人による「agile」商標の使用
(1)被請求人は、平成22年10月から同23年3月ころまで、東京都中央区新川一丁目14番1号所在のジュピターショップチャンネル株式会社(以下「ジュピター」という。)がテレビやインターネット、カタログで展開する通信販売「ショップチャンネル」の専用ブランドとして、「agile」の欧文字を筆記体で横書きしてなる商標(以下「使用商標1」という。)を使用し、被請求人が同社に納入するパーカー、パンツ、スカート等の被服(以下「本件被服」という。)に、使用商標1が表示されたタグ(襟の部分等に縫着されるブランドネーム。以下同じ。)や下げ札を付していた。
(2)本件被服についての取引書類に、「agile」の欧文字を活字体で横書きしてなる商標(以下「使用商標2」という。)や、「アジル」の片仮名を横書きしてなる商標(以下「使用商標3」という。)を使用していた。
(3)被請求人は、メーカーに委託して生産された本件被服に別途手配したタグや下げ札を付しており、例えば「納品書(控)」(乙1の1ないし3)は、被請求人が株式会社協永商会に発注したタグの納品時に発行されたもので、納品されたタグには使用商標1が表示されていた(乙2)。
(4)「NAME指示書」(乙3)は、被請求人が本件被服を生産委託していた韓国のメーカー「神話」(SHINHWA CREATIVE C0.,LTD)がタグを手配し得るように、被請求人が「神話」に対して使用商標1が表示されたタグの仕様を示したものである。
(5)「下げ札指示書」(乙4)は、メーカー「中紡」(株式会社エターナル中紡)が下げ札を手配し得るように、被請求人が「中紡」に対して使用商標1が表面に表示された下げ札(裏面には材質やサイズ等が記載されている。)の仕様を示したものである。
(6)被請求人からメーカーへの生産委託は、商品発注書等により行われ、本件被服に関する「商品発注書」(乙5の1ないし14)には、いずれも、「納品先」の欄に「ジュピター」と記載され、「ブランドネーム」の欄に使用商標2が記載されている。
(7)生産を受託したメーカーは、海外の工場で本件被服を生産し、これにタグや下げ札が付されて日本国内に輸入された。
ア 「COMMERCIAL INVOICE」(乙6)では、被請求人の商品番号722963(「商品発注書」(乙5の1)と後記「商品カード」(乙10の1)に対応)等の商品が中国の石島(SHIDAO,CHINA)から日本に輸入されたことが示されている。
イ 「INVOICE」(乙7)では、被請求人の商品番号740430(「商品発注書」(乙5の9)と後記「商品カード」(乙10の9)に対応)等の商品が中国の大連(DALIN)から日本に輸入されたことが示されている。
ウ 「COMMERCIAL INVOICE」(乙8)では、被請求人の商品番号723376(「商品発注書」(乙5の8)と後記「商品力-ド」(乙10の8)に対応)等の商品が中国の石島(SHIDAO,CHINA)から日本に輸入されたことが示されている。
(8)被請求人からジュピターに本件被服が納入された。
「請求明細書(控)」(乙9)では、(i)ジュピターの商品コードが4000408511の「ティアードスカート」(「商品発注書」(乙5の13)と後記「商品カード」(乙10の13)に対応)、(ii)4000409729の「アジル レース&ラッフルドルマンチュニ」(「商品発注書」(乙5の7)と後記「商品カード」(乙10の7)に対応)、(iii)4000409730の「アジル パンツ」(「商品発注書」(乙5の14)と後記「商品カード」(乙10の14)に対応)が、被請求人からジュピターに販売されたことが示されている。
(9)被請求人は、ジュピターに対し、納入商品に関する各種情報を記載した商品カードを提出しており、本件被服に関する「商品カード」(乙10)には、いずれも、「ブランド名」の欄に使用商標2が記載されていた。
(10)ジュピターへの納入商品は、同社の指定業者である株式会社アヴァンス(以下「アヴァンス」という。)等による検品・補修を受けなければならず、アヴァンスが発行した「請求書」に添付の「検品補修報告書」は、使用商標3が付された「レース&ラッフルドルマンチュニ」(ジュピターの商品基本コードが4000409729で、「商品発注書」(乙5の7)と「商品カード」(乙10の7)に対応)と「ティアードスカート」(ジュピターの商品基本コードが4000408511で、「商品発注書」(乙5の13)と「商品カード」(乙10の13)に対応)が検品・補修を受けたことを示している(乙11)。
(11)本件被服について、被請求人の販売管理データベースから販売データを抽出してなる販売データリスト(乙12)によると、被請求人は、ジュピターに対し、本件被服を累計約1万5000着販売しており、そのうち一部の商品については、直近でも、インターネット上の「ショップチャンネル」に商品情報が残っていた(乙13に記載された「アジル ビッグシルエット 七分袖 ニットカーディガン」は、商品番号が409732で、「商品発注書」(乙5の8)と「商品カード」(乙10の8)に対応している。)。

2 不使用取消しの成否
(1)被請求人による使用商標1ないし3の使用は、「商品に標章を付する行為」、あるいは、「商品に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために輸入する行為」、「商品に関する取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為」といえるから、商標法上の「使用」(商標法2条3項1、2及び8号)に当たることは明らかである。
(2)被請求人は、使用商標1ないし3の使用により、本件商標を商標的に使用していたといえる(乙14ないし乙24)。
さらに、その使用は、本件商標の商標権者である被請求人が、日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内に指定商品「被服」についてしたものであるから、商標法第50条第1項に規定の不使用取消事由は存しない。

3 むすび
以上のとおり、本件登録商標について、商標法第50条第1項に規定の不使用取消事由は存しないから、本件審判の請求は直ちに棄却されるべきである。

第4 当審の判断
1 被請求人は、本件商標の使用に関し、「被請求人は、平成22年10月から同23年3月ころまで、ジュピターがテレビやインターネット等で展開する通信販売『ショップチャンネル』における被服の専用ブランドとして『使用商標1』を使用していた。『ショップチャンネル』において販売される商品は、被請求人が生産委託した『神話』等のメーカーが製造し、『使用商標1』が表示されたタグが付された状態で被請求人に納品され、被請求人がこれをアヴァンスによる検品を受けた後にジュピターに納品した。」旨主張し、乙各号証を提出する。
そこで以下、当該主張の是非について検討する。
(1)被請求人は、「神話」に対し、「2010年(平成22年)9月23日」付けの「NAME指示書」(乙3)により、agile(使用商標1)が表示されたタグの仕様及びその取付位置等の指示をした。
(2)被請求人作成の「神話」宛の「商品発注書」(乙5の7)には、「納品先/ブランド名」欄に「ジュピター/SHOP CHANNEL」、「ブランドネーム」欄に「agile」、「素材名/品名」欄に「杢フリルレースチュニック」との記載があるほか、「ST品番 723316-9533-sh」、「発注日12月1日」との記載がある。
(3)被請求人作成の「ジュピター」宛の「商品カード(アパレル、ファッションアクセ、スポーツファッション用)」(乙10の7)には、記入日欄に「2011年2月7日」、「商品基本コード」欄に「4000409729」、「商品名」欄に「杢フリルレースチュニック」、「貴社品番」欄に「723316-9533-sh」、「ブランド名」欄に「agile」との記載がある。
(4)アヴァンス作成の被請求人宛の「平成23年3月31日付けの請求書」(乙11)に添付された平成23年3月31日付けの「検品補修報告書 No.1」には、「品名 アジルレース&ラッフルドルマンチュニ」との記載があり、「品番4000409729-003」の「良品枚数」欄には、「379」との記載がある。同じく、「品番4000409729-004」の「良品枚数」欄には、「398」との記載がある。
(5)被請求人作成のジュピター宛の「2011年4月5日」「請求明細書(控)/2011年03月分」(乙9)には、左上部に「お支払い期限2011年04月28日」、「No.5」の行「商品コード」欄に「4000409729-003」、同品名欄に「アジル レース&ラッフルドルマンチュニ」及び同数量欄に「379」との記載がある。同じく、「No.6」の行に、「商品コード/4000409729-004」、「品名/アジル レース&ラッフルドルマンチュニ」及び同数量欄に「398」との記載がある。
(6)小括
以上を総合すれば、被請求人は、生産委託したメーカーである「神話」に対し、平成22年12月1日に、商品コード4000409729、品番723316-9533の商品を発注したことが認められる。この商品は、品名の記載から「チュニック」と認められ、被請求人は、「神話」から当該商品を受領後、平成23年3月31日付けでアヴァンスによる検品を受けた後、遅くとも同年4月5日にジュピターに納品し、ジュピターは、その代金を同月28日までに被請求人に支払ったことが認められる。
そして、被請求人は、「神話」に対し、使用商標1が表示されたタグの仕様及びその取付位置を示しているから、前記商品「チュニック」には、使用商標1が表示されたタグが付されていたことが十分に推認し得る。

2 判断
(1)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「アジル」の片仮名及び「Agile」の欧文字を上下二段に表してなるところ、使用商標は、前記1のとおり、「agile」の欧文字を筆記体で横書きしてなる商標(使用商標1)である。
ところで、「agile」の文字は、「機敏な」などの意味を有する英語及び仏語であって、発音は「アジル」である(乙15、乙16)。
そうすると、使用商標1は、本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標又は片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標といえるから、本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えない。
(2)使用者及び使用時期について
使用商標1の使用者は、被請求人(商標権者)であり、その使用時期は、被請求人が商品「チュニック」を納品し、その代金がジュピターから支払われた平成23年4月頃であり、これは、本件審判請求の登録前3年以内である。
(3)使用商品について
使用商標1が使用された商品「チュニック」は、取消請求に係る指定商品中の「被服」に属する商品といえる。
(4)小括
前記(1)ないし(3)によれば、商標権者は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品中の「被服」に属する商品「チュニック」について使用したということができる。
そして、上記使用行為は、商標法第2条第3項第2号でいう「商品に標章を付したものを譲渡する行為」に該当するものである。

3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標(社会通念上同一と認められる商標含む。)を、その取消請求に係る指定商品中の「被服」に属する商品「チュニック」について、商標権者が使用していたことを証明したものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2014-01-06 
結審通知日 2014-01-09 
審決日 2014-01-30 
出願番号 商願2004-8080(T2004-8080) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小川 きみえ田口 玲子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 前山 るり子
大森 健司
登録日 2005-05-13 
登録番号 商標登録第4862059号(T4862059) 
商標の称呼 アジル 
代理人 伊藤 卓 
代理人 西村 公芳 
代理人 石田 昌彦 
代理人 松田 純一 
代理人 大坂 憲正 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 夏苅 一 
代理人 田中 克郎 

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