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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z16
管理番号 1288666 
審判番号 取消2013-300106 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-02-08 
確定日 2014-05-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第1455002号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1455002号商標(以下「本件商標」という。)は、「FUKI」の欧文字を書してなり、昭和51年10月4日に登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同56年2月27日に設定登録、平成14年3月13日に指定商品を第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」並びに第6類、第9類、第19類及び第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、その後、同23年4月5日に更新登録を求める商品及び役務の区分を第16類として存続期間の更新登録がされているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年2月26日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁、口頭審理における陳述及び上申を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。
1 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をした事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 「キーブック」は商標法上の「商品」には該当しないこと
株式会社後藤製作所(以下「後藤製作所」という。)が、乙第2号証及び乙6号証に示す合鍵複製用の元鍵(いわゆる、キーブランク)のカタログを作製したことは、請求人も認めるところである。しかしながら、そのカタログを「キーブック」とあたかも書籍の一種類のように称して、商標法上の「商品」に含まれると主張するが、これは事実を被請求人に都合良く捻じ曲げて解釈したものにすぎない。
商標法上の「商品」は、独立して商取引の対象となるものであることが必要である。そして、カタログを商標法上の商品に該当するというためには、カタログ自体が独立して流通し、譲渡される対象であることを立証する必要がある。
キーブランクのカタログは、キーブランクを購入する合鍵複製業者や卸売業者に対して限定的に、かつ、キーブランクに付随して頒布されるにすぎない。したがって、独立して商取引の対象となる商標法上の「商品」には該当しない。
また、カタログは、キーブランクに付随して頒布されるか、販促のためのノベルティとして譲渡されるにすぎないため、商標法上の「商品」には該当しない。
3 封筒は「印刷物」についての広告的使用に該当しないこと
(1)被請求人は、キーブランクのカタログの納品書を本件商標が記載された封筒に入れることによって、指定商品の取引書類に商標を表示して取引に資する行為と同視し得るなどというが、これは事実を曲解した都合の良い解釈である。
乙第4号証の1の封筒を見ると、封筒の下部に後藤製作所の営業品目、社名及び住所地が表記されている。その表記の周囲は枠で囲われ、枠の上部が一部途切れている。その途切れた部分に、「TRADEMARK」と「FUKI」の文字が二段に分けて表記されている。
このような表示態様においては、「FUKI」は、その直下に記された営業品目についての商標であると強く認識される。したがって、納品書に記載されている品目は何でも広告的使用と認識されるということは当然ながら無い。納品書の中でも封筒に記載されている営業品目に直接的に関連する品目についてのみ「取引書類に商標を表示して取引に資する行為と同視し得る」可能性があるといえるのである。
乙第4号証の1の封筒に記載された営業品目は、「各種キー、ブランク製作販売/各種合鍵製作販売/各種合鍵複製機製作販売/各種キーホルダー製作販売」であり、「カタログの作成・出版」といったような、カタログに直接的に関連する品目はない。したがって、カタログが納品書に記載されていたとしても、その広告的使用と認識されることはないことは明らかである。
さらに、そもそも、乙第3号証の納品書が乙第4号証の1の封筒に入れられていたのかにも疑問が生じる。本件で提出されている乙第4号証の1には、宛名はもちろん記載されておらず、乙第3号証の納品書を納品した封筒とは別の封筒であることは明白である。
被請求人は、乙第3号証の納品書と乙第4号証の1の封筒とを関連付けるために、乙第5号証の2を作成したようであるが、乙第5号証の2は全く信用できない。
(2)被請求人は、封筒に記載された「FUKI」の標章をもって、本件商標がキーブックの取引書類に使用されていたと主張する。
しかしながら、商標の使用があるとするためには、当該商標が、必ずしも指定商品に付されて使用されていることは必要ではないが、その商品との具体的関係において使用されていなければならない。
4 ホームページに表示された本件商標は「印刷物」の広告的使用ではないこと
(1)後藤製作所のホームページに表示された「FUKI」は、あくまでキーブランクの広告として表示されているものであり、カタログの広告ではないことから、指定商品「印刷物」についての本件商標と実質的に同一の商標の広告的使用を証明するものではない。
(2)被請求人は、乙第1号証の1の1丁表の「FUKI」をクリックすれば、「各ブランド紹介」の頁が表示され、「FUKI」がキーブックの商標であることが分かるなどと主張している。
しかし、乙第1号証の1の4丁表には、「・昭和56年『FUKI』商標(カタログ関連)の登録」とだけ記載されているにすぎない。ここに、商標の「登録」と「使用」とは全く法的意味が異なるのであり、本件商標を「登録」した事実をホームページに記載したからといって、本件商標をキーブックやカタログに「使用」したことになる訳ではない。
5 前記4のホームページによる本件商標の使用は「駆け込み使用」に該当するものであること
(1)請求人と被請求人とは、本件商標を含めた複数の登録商標の使用について、長期間にわたり交渉を続けてきたが、その交渉は、平成24年11月2日に、被請求人からの書簡(甲6)をもって決裂となった。したがって、当然ながら、被請求人は平成24年11月2日の時点で請求人が審判請求を行うことを知ったことになる。
請求人が、平成24年12月初めに、後藤製作所のホームページを閲覧したときは、乙第1号証の1のホームページは存在せず、甲第7号証のホームページ(以下「旧ホームページ」という。)のみが存在していた。この旧ホームページの写しは、平成24年12月6日に取得したものである(乙5-1、乙1-2)。この旧ホームページには、後藤製作所の製品としてキーブランク等の鍵が表示されているだけで、カタログを「キーブック」と称していること、ましてやカタログが独立した商品であることについては全く記載がない。
一方、乙第1号証の1に示すホームページは、請求人が平成25年2月15日に、新たなホームページができていることを発見したものである。したがって、乙第1号証の1のホームページ(以下「新ホームページ」という。)は、少なくとも本件審判請求後にアップロードされたものであると考えられる。
以上の事実から、新ホームページは、後藤製作所が、請求人が本件審判を請求することを知った後に作成したものであり、いわゆる駆け込み使用に該当することは明らかである。
(2)たとえ、被請求人が平成24年8月17日にホームページの準備をしていても、駆け込み使用は、実際の使用日を基準とするものであり、準備は使用とはいえない。
また、被請求人が不使用取消審判の請求をされることを知ったのは、平成24年4月10日に被請求人に発送された書簡(甲5)を受領した時点であり、その後において、ホームページの準備及び使用が行われた。
以上の理由から、ホームページによる使用は駆け込み使用に当たる。
6 「キーブック」に本件商標を付し、又は付したものを譲渡等していないこと
(1)カタログ(乙2)の商標は、本件商標とは別の「KEY BLANKS LIST」と「J.S.S」であり、カタログの表紙に付された「FUKI」はあくまでカタログに掲載されたキーブランクの出所を表示するものであることから、カタログの「FUKI」は指定商品「印刷物」についての本件商標と実質的に同一の商標の使用を証明するものではない。
(2)請求人の主張を受け、被請求人も、客観的に見れば、本件商標が「キーブック」ではなく「キーブランク」との関連性を印象づけるものと受け取られるであろうことを認めている。
その上で、被請求人は、乙第6号証のキーブックが近年まで継続して販売されていたかのように主張しているが、これは明らかに誤りである。
本件商標を表紙に付した乙第6号証の使用は昭和62年には終了し、その後は、被請求人も認めるとおり、客観的に本件商標を付していないキーブックに変更していることから、被請求人が、キーブックに本件商標を使用していないことは明白である。
7 被請求人から請求人への本件商標の使用許諾はないこと
被請求人は、請求人に本件商標につき通常使用権の許諾をしたと主張するが、被請求人と請求人との間で、本件商標につき、使用許諾契約書が取り交わされた事実はない。
また、被請求人と請求人の間で、価格及び売買数量問題に端を発した交渉経過を全てチェックしてみても、被請求人と請求人との間で、本件商標に関する通常使用権の成立に合意があった事実は存在しない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、答弁、口頭審理における陳述及び上申を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第54号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標は、本件審判の予告登録前3年の間に、本件商標の通常使用権者である後藤製作所により、商品「キーブック」について使用されている。
後藤製作所は、被請求人が代表取締役である会社であり、両者のこのような関係から特に通常使用権設定の契約書は作成されてはいないが、後藤製作所は本件商標の通常使用権者である。
2 「キーブック」は商標法上の「商品」に該当すること
(1)後藤製作所は、主としてキーブランク(合鍵複製に使用する元となる素材)の製造販売を行う株式会社であり、製造販売する多数のキーブランクを掲載したキーブック「キーブランクリスト」を現在2種類販売している。1つは多数のキーブランクを番号順に掲載した「番号順キーブランクリスト」(以下「番号順キーブック」という。)であり、もう1つは多数のキーブランクをメーカー別に掲載した「メーカー別キーブランクリスト」(以下「メーカー別キーブック」という。)である。
後藤製作所の「メーカー別キーブック」は、5冊一括販売の場合は1冊の単価18500円といった形で販売されており(乙3)、「番号順キーブック」も同様である。
後藤製作所の上記2種類のキーブックは、商標法上の商品であり、第16類「印刷物」に含まれるものである。
(2)「キーブック」は、請求人自身が「商品」として販売していること、また、他社も「キーブック」を商品として販売していることから、「キーブック」は取引の対象となる「商品」として流通しているのである。
(3)合鍵の複製作業には、素材である「キーブランク」、鍵山を形成するための「キーマシン」に加えて、適切なキーブランクを選定するための資料としての「キーブック」が不可欠である。
合鍵の複製を依頼された業者は、持ち込まれた「鍵」に適合した「キーブランク」を特定しなければ複製作業を行うことができない。キーブランクの形状は数千に上るものであり、複製業者はその中から標準的なタイプのものを選択して在庫を持ち、壁に吊すなどして保管している。
しかしながら、持ち込まれた鍵と壁に吊されたキーブランクを直に比較して適切なものを選び出すことは容易ではないし、手持ちにない形状のものもある。
そこで、「キーブック」に掲載されたキーブランクの写真を参照して、適切なキーブランクを選択することになる(乙17)。
請求人作成の乙第12号証及び乙第13号証における宣伝は、正に合鍵の複製作業(キーブランクの選択)にキーブックが欠かせないことを言い当てている。
(4)「キーブック」は、合鍵複製に不可欠な「資料」としての価値を持ち、それだからこそ商品販売のための「カタログ」とは異なり、比較的高額な、独立した商品として取引されているのである。そして、被請求人においては、「商品」として継続的に販売し、棚卸し資産として管理を行っている。
したがって、「キーブック」が商標法上の商品であることは明らかである。
3 「キーブック」に関する取引書類が本件商標を付した封筒を用いて頒布されたこと
(1)後藤製作所の封筒(乙4-1)には、「TRADEMARK」の文字の下に、本件商標と実質的に同一の商標「FUKI」が表示されている。
そして、乙第4号証の1の封筒は従前から後藤製作所の製品の納品・販売等に使用されて来たものである。後藤製作所では、キーブランクやキーブックなどの各種製品を顧客に納品・販売する際には納品書等の取引書類が発行されるが、これらの取引書類の配布に同封筒が使用されているものである(乙5-2)。
後藤製作所のメーカー別キーブックは、平成24年3月20日に発行されて(乙2)、その後顧客に販売されており、その際の取引書類の配布にももちろん同封筒が使用されている。
乙第3号証は、メーカー別キーブック5冊が「平成24年4月27日」に後藤製作所の顧客に納品されたことを示しており、その際にこのメーカー別キーブックの納品書も同封筒(封筒はなくなれば随時発注されているが、この時は平成24年3月16日に納品されたもの(乙4-2))に入れられて商品とともに後藤製作所の顧客に届けられた(頒布された)ものである(乙5-2)。
また、乙第21号証ないし乙第24号証に示すキーブックの販売においても、乙第5号証の2にあるように、「FUKI」と表示された封筒(乙4-1)が使用されていた。
かかる行為は、納品書等の取引書類それ自体に商標を表示して取引に資することと同視し得るものである。
(2)請求人は、「納品書の中でも封筒に記載されている営業品目に直接的に関連する品目についてのみ、『取引書類に商標を表示して取引に資する行為と同視し得る』可能性があるといえる。」と主張する。
しかしながら、納品書には、種々の商品が記載されるのであり(乙22ないし24)、もし請求人の主張のとおりであるとすると、納品書に記載された一部の商品については封筒に表示された商標と関連づけて理解され、一部の商品については関連づけずに理解されるということになる。取引の実情に反すること甚だしい結果となってしまう。
なお、封筒(乙4-1)の「営業品目」に「各種キー、ブランク製作販売」「各種合鍵製作販売」と記載されているのであり、「キーブック」は合鍵製作に不可欠な道具であるから、この記載から商品「キーブック」との具体的関係が読み取れるものである。商品「キーブック」が封筒に記載されていないとしても、商品「キーブック」との具体的関係が否定されるものではない。
4 ホームページにおいて「キーブック」に関する広告に本件商標が使用されていること
(1)後藤製作所ホームページには「製品案内」「キーブック」として「メーカー別キーブック」と「番号順キーブック」の2種類のキーブックが掲載されている(乙1-1)。そして、同号証の1丁表では、2種類のキーブックの写真の直下に「信頼のブランド TRADE MARK」として、本件商標と実質的に同一の商標「FUKI」が表示されており、商品「キーブック」の広告に標章が付されているものとして本件商標の使用が認められる。
(2)この「FUKI」の表示をクリックすれば、ブランド紹介の「FUKIの合鍵」の箇所が表示され、「FUKI」の商標が、鍵・工具関連、キーマシン関連、カタログ関連の各商品について昭和39年から昭和56年にかけて計7種類のものが登録されていて、「FUKI」がキーブランク、キーマシン、キーブック3商品全てに係る被請求人のブランドであることが明らかにされている。
5 前記4のホームページによる本件商標の使用は「駆け込み使用」に該当しないものであること
(1)請求人は、被請求人のホームページは請求人と被請求人の交渉が決裂し請求人が審判請求を行うことを知った平成24年11月2日の後になされた「駆け込み」使用である旨主張するが、平成21年から平成24年まで長期間にわたり請求人と被請求人が交渉していたのは、専ら「旧9類・13類」の登録商標についての「商標権移転」や「不正競争」についてであり、キーブックについてではなかった。
また、ホームページの一般公開は平成24年12月25日であり、同年11月2日の後であるが、それ以前に被請求人のホームページの内容は決まっており具体的にその準備はされている。すなわち、ホームページ製作の「お見積書」(乙42)と「日本語HP仕様書」(乙25)は、それより何か月以上も前の同年8月17日に出されている。11月2日の何か月も前にホームページの内容は決定して見積りもでき、これに基づく支払をしてホームページの製作は始まっていたのであるから、ホームページにおける本件商標の使用は正当であり「駆け込み」でないことは明らかである。
(2)請求人は、被請求人が審判請求がされることを知ったという時期を、弁駁書では平成24年11月2日の書簡(甲6)と主張していたが、口頭審理陳述要領書では、これを平成24年4月10日付けの書簡(甲5)を被請求人が受領した日であると主張を変更してきた。
しかしながら、被請求人のクレームに対して請求人が本件商標を使用していない等回答してこれを拒絶したことをもって、将来不使用取消審判請求がなされることを知ったとの主張は、詭弁にすぎる。「知って」とある以上、請求人が審判請求を将来行う事情があり、被請求人がそのことを認識していることが必要であるはずだが、いずれもそのような事情はない。
6 「キーブック」に本件商標を付し、又は付したものを譲渡等していたこと
(1)後藤製作所の「メーカー別キーブック」の表紙の右側3番目には本件商標と実質的に同一の商標「FUKI」が表示されており(乙2)、商品に標章が付されているものとして本件商標の使用と認められる。
(2)請求人が言うように、客観的に見れば、「FUKI」の商標が「キーブック」ではなく、「キーブック」に掲載された商品「キーブランク」の画像と関連性を印象づけるものと受け取られるであろうことは否定しない。しかしながら、被請求人は、昭和45年以来ずっと継続して商品「キーブック」の表紙には本件商標を付しており(乙6)、乙第2号証のキーブックについても、主観的には「FUKI」の商標を「キーブック」に使用していたものであり、それが「キーブック」への商標の使用とみられないことには得心がいかない。
7 被請求人から請求人への本件商標の使用許諾があったこと
被請求人が代表取締役である後藤製作所の前代表者(後藤昭)と請求人の代表者が兄弟であり、被請求人の製造するFUKI印キーブランクを請求人が継続的に購入販売する等の密接な関係にあったことから、被請求人は請求人に対し、種々の商品に「FUKI印」の登録商標の使用を許諾していた。
被請求人から通常使用権の許諾を受けた請求人が、商品「キーブック」に、本件商標を付し、付したものを譲渡等している。

第4 当審の判断
1 「キーブック」の商標法上の「商品」該当性
(1)商標法第50条における商品とは、市場において独立して商取引の対象として流通に供される物でなければならないと解するものである(東京高等裁判所 平成16年(行ケ)第337号判決)。
(2)証拠及び被請求人の答弁(当事者間に争いのない事実)によれば次の事実が認められる。
ア 「キーブック」とは、合鍵複製に使用するものであって、元となる素材であるキーブランクを多数掲載したリスト(カタログ)である(答弁書2頁及び乙11(枝番号を含む。))。
イ 後藤製作所は、株式会社ヤナイ、株式会社イチカワ及び株式会社マネットに対して、「キーブック」を販売した(乙3、乙21ないし24)。
ウ 後藤製作所は、「キーブック」の在庫を商品として資産計上している(乙20及び21)。
エ 請求人を始め、株式会社ヤナイ及びジャパンキーサービスも、「キーブック」又はこれと同種の商品と認められる「キーブランクカタログ」を販売し、取引している(乙11ないし16(枝番号を含む。))。
(3)前記(2)で認定した事実によれば、「キーブック」は、市場において独立して商取引の対象として流通に供されているというのが相当である。
してみれば、「キーブック」は、商標法上の「商品」というべきである。
(4)請求人の主張について
請求人は、「キーブック」は、キーブランクを購入する合鍵複製業者や卸売業者に対して限定的に、かつ、キーブランクに付随して頒布されるにすぎないものであり、また、「キーブック」は、キーブランクに付随して頒布されるか、販促のためのノベルティとして譲渡されるにすぎないため、商標法上の「商品」には該当しない旨主張している。
しかしながら、たとえ「キーブック」の取引先が合鍵複製業者や卸売業者に限定されるとしても、「キーブック」が市場において独立して商取引の対象として流通に供されているものであること前記(2)及び(3)のとおりであるから、「キーブック」は、商標法上の「商品」というべきである。
したがって、請求人の主張は、採用できない。
2 「キーブック」に関する取引書類に本件商標を付して頒布
(1)証拠及び被請求人の口頭審理における陳述(当事者間に争いのない事実)によれば、次の事実が認められる。
ア 被請求人(商標権者)は、後藤製作所の代表者である(乙2)。
イ 後藤製作所は、キーブランクをメーカー別に掲載した「KEY BLANKS LIST」と称する「キーブック」(以下「本件商品」という。)を平成24年3月20日に作成(再版発行)した(乙1-1、乙2、乙19)。
ウ 後藤製作所は、本件商品を平成24年4月26日に株式会社ヤナイへ、同月27日に株式会社イチカワへ、同年5月29日に株式会社マネットへそれぞれ納品した(乙3、乙21ないし24)。
エ 後藤製作所から納品される本件商品には、封筒(乙4-1)に入れられた納品明細書と納品書(乙3、乙22ないし24)が付属されている(乙5-2)。
オ 乙第4号証の1の封筒には、「株式会社後藤製作所」の記載並びに「営業品目」として「各種キー、ブランク製作販売」、「各種合鍵製作販売」、「各種合鍵複製機製作販売」及び「各種キーホルダー製作販売」の記載がある。そして、これらの記載は枠で囲まれ、その枠の上部の一部が途切れており、その途切れた部分には、上段に小さい文字で「TRADE MARK」の欧文字を表し、下段にこれより大きい文字で「FUKI」の欧文字を表した構成からなる標章(以下「使用商標」という。)が付されている。
カ 乙第4号証の1の封筒は、2012年(平成24年)3月16日に株式会社和田フォトリス印刷から後藤製作所へ納品された(乙4-2)。
キ 合鍵の複製作業には、素材である「キーブランク」、鍵山を形成するための「キーマシン」及び適切なキーブランクを選定するための資料としての「キーブック」が不可欠である(乙17、被請求人提出の口頭審理陳述要領書4頁)。
ク 請求人のホームページには、「Q2.鍵屋を開業するには何が必要なの?」の見出しの下、「【合鍵開業セット明細】?開業に必要な基本セットの例です。?」として「1.合鍵複製機FC-30型キーマシン\399,000 2.キーブック\29,400 …4.キーブランク\157,500 …合計(税込)\769,860」の記載がある(乙18)。
(2)判断
ア 被請求人(商標権者)は、後藤製作所の代表者であるから(前記(1)ア)、後藤製作所は、本件商標の通常使用権者であると推認し得るものである。
イ 「キーブック」は、合鍵複製に使用するものであって、元となる素材であるキーブランクを多数掲載したリスト(カタログ)であるから(前記1(2)ア)、本件審判の請求に係る指定商品中「印刷物」の範ちゅうに含まれる商品であるといえる。
ウ 後藤製作所が本件商品を株式会社ヤナイ、株式会社イチカワ及び株式会社マネットへそれぞれ納品したのは、平成24年4月26日から同年5月29日の間であり(前記(1)ウ)、いずれも本件審判の請求の登録(登録日は平成25年2月26日)前3年以内である。
エ 後藤製作所から納品される本件商品には、使用商標が付された封筒に入れられた納品書が添付されているが(前記(1)エ及びオ)、納品書は取引書類の一種であるといえる。
そして、取引書類を取引先へ配布する際に、これを封筒に入れて配布することは一般に行われていることであるから、たとえ取引書類自体に使用商標が付されていないとしても、これを入れた封筒に使用商標が付されていれば、取引書類に使用商標を付したものと同視し得るもの(該封筒は取引書類の一部)と判断するのが相当である。
オ 後藤製作所から納品される本件商品に添付される取引書類を入れた封筒には、「営業品目」として「各種キー、ブランク製作販売」及び「各種合鍵複製機製作販売」の記載がある(前記(1)オ)。
そして、合鍵複製作業には、「キーブランク」、「キーマシン」及び「キーブック」が不可欠であり(前記(1)キ)、さらに、合鍵複製業を開業する者に対して、「キーブランク」、「キーマシン」及び「キーブック」等がセット販売されている例も見受けられる(前記(1)ク)。
そうすると、たとえ、前記封筒には「営業品目」として「キーブック」に関する記載が無いとしても、後藤製作所から納品される本件商品には該封筒に入れられた取引書類が添付されていることをも踏まえれば、使用商標は、「キーブック」との具体的な関係において該封筒に付されていると判断するのが相当である。
カ 使用商標は、上段に小さい文字で「TRADE MARK」の欧文字を表し、下段にこれより大きい文字で「FUKI」の欧文字を表した構成からなる標章であるが、その構成中「TRADE MARK」の文字は「商標」を意味し、下段の「FUKI」が登録商標であることを示すものといえるから、「FUKI」の文字が自他商品の識別標識としての要部といえる。
そうとすれば、使用商標は、「FUKI」の文字からなる本件商標と社会通念上同一の商標である。
ク 以上によれば、本件商標の通常使用権者である後藤製作所は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成24年4月26日から同年5月29日の間に、日本国内において、その請求に係る指定商品中「印刷物」の範ちゅうに含まれる商品「キーブック」の取引書類に本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布したものと認められる。
そして、その行為は、「商品…に関する…取引書類に標章を付して…頒布…する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、乙第4号証の1の封筒に記載された営業品目には、「カタログの作成・出版」といったようなカタログに直接的に関連する品目は無い、また、商標の使用があるとするためには、当該商標が、その商品との具体的関係において使用されていなければならないと主張している。
しかしながら、たとえ、乙第4号証の1の封筒に記載された営業品目にカタログに直接的に関連する品目が無いとしても、前記(2)オのとおり、「キーブック」との具体的な関係において該封筒に使用商標が付されていると判断するのが相当である。
イ 請求人は、乙第4号証の1の封筒には宛名が記載されていないから、乙第3号証の納品書を納品した封筒とは別の封筒であることは明白であり、また、乙第3号証の納品書と乙第4号証の1の封筒とを関連付けるための乙第5号証の2は全く信用できないから、そもそも、乙第3号証の納品書が乙第4号証の1の封筒に入れられていたのか疑問がある旨主張している。
乙第5号証の2は、株式会社イチカワの証明書であり、そこには「当社は鍵類の問屋であり、株式会社後藤製作所から、キーブック、キーブランクなどの商品を継続して購入しております。株式会社後藤製作所から納品される商品には、『FUKI』と表示された封筒に入れられた納品明細書と納品書が付属しております。」と記載されている。
そして、株式会社イチカワは、後藤製作所から「キーブック」を購入しており(前記(1)ウ)、また、取引書類を取引先へ配布する際に、これを封筒に入れて配布することは一般に行われていることからすれば、前記証明書の記載に何ら不自然な点はない。
また、他に乙第5号証の2の証明書が信用できないとする事情は見いだせない。
そうとすると、たとえ、乙第4号証の1の封筒が乙第3号証等の納品書を実際に入れた封筒とは別の封筒であるとしても、乙第5号証の2の証明書を踏まえれば、乙第3号証等の納品書は、乙第4号証の1の封筒と同じ封筒に入れられていたとみるのが相当である。
ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品の範ちゅうに含まれる商品について本件商標の使用をしていることを証明したものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2014-03-24 
結審通知日 2014-03-27 
審決日 2014-04-08 
出願番号 商願昭51-67568 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z16)
最終処分 不成立 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 大森 健司
山田 啓之
登録日 1981-02-27 
登録番号 商標登録第1455002号(T1455002) 
商標の称呼 フキ 
代理人 橘高 郁文 
代理人 片桐 貞典 
代理人 木内 光春 
代理人 特許業務法人レガート知財事務所 
代理人 木内 加奈子 
代理人 中島 由布子 
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