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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201316303 審決 商標
不服201815972 審決 商標
不服20139655 審決 商標
不服20187529 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない X25
管理番号 1288659 
審判番号 不服2013-13053 
総通号数 175 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-07-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-07-08 
確定日 2014-05-14 
事件の表示 商願2011- 91684拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「AKIKO OGAWA.」の欧文字を書してなり、第18類、第20類、第24類及び第25類に属する願書に記載の商品を指定商品として、平成23年12月20日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、同25年7月8日受付の手続補正書により、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『AKIKO OGAWA.』の文字を書してなり、日本女性の氏名をローマ字により表したものと容易に認識させるものであり、これと同一の呼び名の他人が存在することからすると、本願商標は、他人の氏名を含む商標であり、かつ、その者の承諾を得ているものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号について
ア 本願商標は、前記1のとおり「AKIKO OGAWA.」の欧文字を書してなるものである。
イ ところで、クレジットカードに表示されている氏名は、日本人の氏名を名及び氏の順にローマ字で表記(以下「ローマ字表記」という。)されている。また、例えば、後記エ(オ)のウェブサイトには「Akiko Ogawa」の記載があるように、氏名をローマ字表記することが社会全般において広く行われている。
ウ そうとすると、「AKIKO OGAWA.」の文字からなる本願商標は、これに接する取引者、需要者は、その構成中「AKIKO OGAWA」の文字部分について、氏名をローマ字表記したものと容易に認識するものと判断するのが相当である。
エ そして、「AKIKO OGAWA」に相当する者が次の(ア)ないし(オ)のとおり存在することが認められる。
(ア)「小川亜希子」(http://ja.wikipedia.org/wiki/小川亜希子)
(イ)「小川あきこ」(http://www.city.tachikawa.lg.jp/cms-sypher/www/assembly/member.jsp)
(ウ)「小川秋子」(http://www.amazon.co.jp/小川-秋子/e/B004L541QY)
(エ)「小川明子」(http://www.geocities.jp/andante_001/index.html)
(オ)「小川晶子」(http://www.trinity-group.jp/member/ogawa/)
オ してみれば、本願商標は、その構成中に他人の氏名を含む商標といわなければならず、かつ、その他人の承諾を得ているものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、請求人、小川章子(小川彰子)は、服飾デザイナーであり、「AKIKO OGAWA.」の文字からなる本願商標は、その指定商品の業界において、周知性を獲得している旨主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第8号の趣旨は、他人の氏名等に対する人格的利益を保護することにあり(最高裁 平成15年(行ヒ)第265号判決、平成16年(行ヒ)第343号判決)、「ある名称を有する他人にとって、その名称を同人の承諾なく商標登録されることは、同人の人格的利益を害されることになるものと考えられるのであり、この場合、出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がない」(知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10309号判決)と解されるから、前記(1)エのとおり他人が存在することからすると、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当すると判断するのが相当である。
イ 請求人は、本願商標に接する需要者、取引者は、ファッションブランドであって周知である「AKIKO OGAWA.」であることを認識しているのであり、単に人物名が記載されていると認識するとは考えられない旨主張している。
ところで、請求人が原審及び当審において提出した証拠によれば、請求人は、本願商標を商品のタグ及び提げ札並びに封筒に使用していること(甲1ないし3、参考資料9ないし11)、日本繊研新聞及び各種の雑誌において、「アキコ オガワ」、「アキコオガワ」、「アキコ・オガワ」又は「AKIKO OGAWA」の文字とともに商品の紹介記事が掲載されていること(参考資料2ないし8)、インターネット上のウェブサイトにおいて、本願商標をブランド名として紹介する記事が掲載されていること(甲4ないし6)が、それぞれ認められる。
これらによれば、本願商標は、その指定商品を取り扱う業界において、ある程度知られているということができるとしても、本願商標の構成文字から人物名を認識されないものとなっているとまでいうことは困難である。
したがって、この点についての請求人の主張は採用できない。
ウ 請求人は、本願商標は、「.」(ドット)を含んだ構成であり、本願商標が登録された場合の権利対象は「.」(ドット)を含めた構成全体であって、「.」(ドット)を含まない「AKIKO OGAWA」の語には権利は及ばず、本願商標を登録することについて第三者に不利益は生じない旨主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第8号は、「…他人の氏名…を含む商標…」と規定されていることからすると、本願商標は、たとえ、その構成文字の末尾に「.」(ドット)を有するとしても、同号に該当するというべきである。
また、商標法第37条によれば、登録商標に類似する商標の使用についても、商標権を侵害するものとみなされることからすると、「AKIKO OGAWA.」の文字からなる本願商標が登録された場合に、「.」(ドット)を含まず、他の文字全てを共通にする「AKIKO OGAWA」の文字に、その権利が及ばないとは一概にはいえないものである。
したがって、この点についての請求人の主張は採用できない。
エ 請求人は、ローマ字により表された人名からなる商標についての登録例及び審決例を示し、該審決例では、商標法第4条第1項第8号に規定する「他人の氏名」とは、特定人を指し示す法令上の正式な氏名というべきであって、戸籍簿で確定される氏名が同号所定の「(他人の)氏名」に当たり、ローマ字で表記された名前は該当しないと判断されている旨主張している。
しかしながら、同号に規定する「氏名」が戸籍上の氏名の表記に限定される旨の規定はない。
そして、前記(1)イのとおり、我が国において、氏名をローマ字表記することは、日常一般的に行われており、氏名のローマ字表記に対応する漢字等による表記が一とおりでないとしても、呼び方を同じくする氏名は、これをローマ字表記する場合、同一のローマ字で表記せざるを得ないものであり、雅号、芸名、筆名又は略称とは異なり、恣意的に選択する余地がない。
また、ローマ字表記による氏名に接した者は、それと同じ呼び名の者を認識するのであり、それと同じ呼び名をする者は当該表記を自己の氏名と認識するのであるから、氏名のローマ字表記は特定の氏名と結び付くものである。
そうとすると、氏名のローマ字表記であっても、他人がそれを商標として、承諾なく登録することは、そのローマ字表記された氏名の者の人格的利益を害するものといわなければならず、人格的利益の保護という同号の趣旨からも氏名のローマ字表記も同号に規定する「氏名」に該当するものというべきである。
また、仮に、商標法上の「氏名」が戸籍上の氏名に限定されるとすると、著名性を有しない限り、他人による商標登録がなされた場合は、その効力が及ぶこととなるが(商標法第26条第1項第1号)、上記のとおり、氏名をローマ字表記することは一般的に行われているのであり、氏名の漢字等が異なるとしても、そのローマ字表記は選択の余地がないにもかかわらず、その使用が制限されることとなる。このことは、平仮名表記や片仮名表記についても同様である。この点からみても、商標法における「氏名」は戸籍上の氏名の表記に限定されるべきものではない。
オ 請求人は、商標法第4条第1項第8号の他人の対象としては、保護される程度の営業(業務上の信用)が実在していることが必要であり、全ての他人を無差別に対象として取り込むべきではないと主張している。
また、請求人は、同号を適用する場合、承諾を必要とする他人は、インターネットに掲載されているというような理由から一律に列挙されるものではなく、指定商品との関係や将来の使用の可能性の有無等を考慮した上で、具体的に特定されるべきである旨主張している。
しかしながら、同号を適用する場合、出願人と他人との間で事業内容が競合するとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がないこと前記アのとおりであり、また、同号は「他人の氏名等を含む商標をもって商標登録を受けることは、そのこと自体によって、その氏名等を有する他人の人格的利益の保護を害するおそれがあるものとみなし、その他人の承諾を得ている場合を除き、商標登録を受けることができない」(知的財産高等裁判所 平成21年(行ケ)第10005号判決)と解されるものであることからすると、前記(1)エのとおり他人が存在すること自体によって、その他人の人格的利益の保護を害するおそれがあるものとみなすというべきであり、その他人の承諾のない本願商標にあっては、商標法第4条第1項第8号に該当すると判断するのが相当である。
カ 請求人は、同姓同名の第三者が存在したとしても、商標法第26条によって、登録商標の権利の及ばない範囲として第三者の自由な使用は容認されているので、第三者の存在を理由に登録を拒絶されるべきものでない旨主張している。
しかしながら、商標法第26条は、商標登録された商標権の効力について定めた規定であり、同規定によって商標権の効力が制限されるからといって、商標の不登録事由を定めた商標法第4条第1項第8号の該当性の判断が緩和されるものではない。
キ 請求人は、本願商標は、商標登録が認められ継続して使用されていた商標「a primary\AKIKO OGAWA」(登録第4842494号:第25類)の後続商標であり、過去の登録例の判断に拘束されるべきである旨主張している。
しかしながら、本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当すること上記のとおりであり、過去の登録例によって、その判断が左右されるものではない。
ク 以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)むすび
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2014-03-05 
結審通知日 2014-03-14 
審決日 2014-03-25 
出願番号 商願2011-91684(T2011-91684) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (X25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小田 明 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 大森 健司
山田 啓之
商標の称呼 アキコオガワ、オガワアキコ 
代理人 広瀬 文彦 

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