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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
審判 全部申立て  登録を維持 W12
管理番号 1287694 
異議申立番号 異議2013-685006 
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-06-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-03-13 
確定日 2013-12-11 
異議申立件数
事件の表示 国際商標登録第1115138号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際商標登録第1115138号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1115138号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2011年11月14日にPeople’s Republic of Chinaにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2012年(平成24年)2月13日に国際商標登録出願、第12類「Tires for vehicles.」を指定商品として、平成24年11月9日に登録査定、同25年2月1日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第15号証を提出した。
1 申立人が引用する登録商標
(1)登録第1028117号商標は、別掲2のとおりの構成からなり、昭和45年9月17日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同48年8月23日に設定登録され、その後、平成17年1月5日に指定商品を第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,荷車」とする指定商品の書換登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)国際登録第944476号商標は、別掲3のとおりの構成からなり、2007年7月19日にItalyにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2007年(平成19年)9月14日に国際商標登録出願、第12類「Tyres;pneumatic,semi-pneumatic and solid tyres for vehicle wheels;wheels for vehicles,rims.」のほか、第37類及び第39類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載の役務を指定商品及び指定役務として、平成20年12月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
以下、上記引用する登録商標をまとめて「引用商標」という。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、図案化した大文字を先頭に置いた2つの単語が看取され、左側の語は、「G」の変形度合いが小ぶりの欧文字3文字分の延長であり、比較的小さく、自然に「GOLD」の語が看取される。
そして、「GOLD」(ゴールド)の文字は、「金、金色」の意味を有する外来語として、一般的に親しまれ、各種商品についての標章の一部として用いられている。また、その観念から品質を表示することが多く、識別機能は、比較的弱いものといえる。
一方、右側の語は、「P」の図案化の度合い、すなわち、上部の扁平状の引き延ばした部分が小ぶりの欧文字6文字分「ARTNER」であり、左側の語「GOLD」の「G」の2倍の比率となっている。
したがって、先頭の文字を図案化した2つの語の組合せとして、デザインがされ、右側の「PARTNER」の部分は、より標章デザインの特徴的な部分であり、より高い識別機能を発揮している。
そして、6文字分右方に引き延ばされた形状の「P」の部分は、特に強い識別機能を発揮している。
(2)引用商標について
引用商標は、商品タイヤに関しては、世界的に著名な商標であり、これら商標のデザイン的な特徴は、本件商標と同じく「P」の欧文字を図案化したことであり、しかも、その図案化である上部の右方への引き延ばしの度合いは、「IRELLI」の欧文字の6文字分であり、特徴的な形状として表されている。
(3)本件商標と引用商標との類否について
引用商標の「P」と、本件商標の識別力を強く発揮する「PARTNER」の「P」とは、文字及び上部の引き延ばしの度合いがほぼ同一であり、両者のデザインの特徴は共通している。
また、両商標の「PARTNER」と「PIRELLI」からは、称呼としては、異なる「パートナー」と「ピレリ」が生じるが、特徴的に図案化された「P」は、その特徴的な形状から、その部分のみで1つの特徴的図形として自他商品識別力を発揮する可能性を有しており、引用商標の商標権者においては、事実、長年の使用により、この特徴的な形状の「P」の部分に信用が化体し、顧客吸引力を得ている。
すなわち、本件商標と引用商標の「P」の部分は、共通するデザイン的特徴から看者に強い印象を与え、時と所を異にして、離隔的に観察した場合、互いに相紛れるおそれがある。
したがって、独立して識別機能を発揮している特徴的な形状の「P」をほぼ同様の形状を有している本件商標は、引用商標と類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知、著名性について
ア F1世界選手権(以下「F1」という。)での使用
申立人は、1872年に設立されたイタリアミラノに本社をおくタイヤを製造する業界世界5位の企業であり(甲第4号証)、例えば、1986年のF1では、マシン「ベネトン・B186」にタイヤが供給され、マシンに引用商標が使用され、2006年のブラジル・フォーミュラ・ルノーのマシンに装着されたスリックタイヤに引用商標が使用されている(甲第4号証ないし甲第6号証)。
2011年のF1からは、6種類のタイヤのサイドウォール全てに引用商標が観戦者や視聴者に識別できるように独自のカラーで色分けされている(甲第4号証、甲第7号証及び甲第8号証)。
イ 日本国内での使用
日本国内では、例えば、「ピレリタイヤ」を検索すると、タイヤが紹介され、その紹介の一部に引用商標が使用されており(甲第9号証)、タイヤのサイドウォールに引用商標が使用されている。
ウ 「Pirelli」のロゴの歴史
申立人が作成した「Pirelli」のロゴの歴史に関する書面によると、看者に最も強い印象を与えている「P」の右上辺部を潰して扁平状にして右方向に延長した態様は、1913年頃から顕著となり1946年頃には引用商標に表された態様が確立された(甲第11号証)。
エ 「Pirelli」のロゴの特徴
2001年2月発行の季刊雑誌「ピレリワールド」に紹介の「フィナンシャルタイムズ」で発表された「ロゴの100年」についてのコメントでは、「Pirelli」のロゴの特徴(印象)について、「長く、シンプルで間違いようのない、常に文字の上に高くそびえる十分に長い延長された『P』であって、それは常に『モダン』である」と述べられている(甲第12号証)。
このように、引用商標の商標権者は、「P」の部分のデザインに強い思い入れを持っており、強いコンセプトを注いでいる。
以上の事実からすれば、引用商標は、本件商標の登録出願前より、すでに欧州、米国その他の国はもとより、日本国内においても、一般に広く知られ、現在に至るまで、周知、著名なものとなっており、特に「P」の特徴的デザインも識別標識として著名性を有しているものである。
(2)出所の混同について
本件商標は、前記のとおり、左側に「G」の欧文字を上辺を右方向に延長することで図案化して欧文字「OLD」と一連に表し、右上には「P」の欧文字について、右上辺部を潰して扁平にしてさらに長く延ばすことで図案化し「ARTNER」の文字と一連に表してなるものである。
そこで、その構成を検討すると、上述したとおり、左側の単語からは、自然に「GOLD」の語が看取され、「金、金色」の観念が生じ、その品質表示的性格から、識別機能は、比較的弱いものであり、右側の語「PARTNER」は、「パートナー」の称呼は生じるものの、「P」の図案化の度合いが大きく(6文字分)、その「P」の部分には図形としての自他商品識別力を発揮している。
一方、引用商標の「P」は、上部を扁平状に引き延ばし、その長さは、欧文字6文字分であり、本件商標の「P」は、ほぼ同様のバランスで同じ部分の引き延ばしであって、図案化が共通の特徴をもってなされている。
したがって、引用商標の商標権者は、その企業理念を特徴的形状の「P」にて表し、長年の使用努力を重ねてきた結果、特徴的形状の「P」を有する商標として世界的に周知、著名となったものであり、引用商標と共通の特徴的デザインのなされた「P」をより識別性の高い単語の部分の語頭に配した本件商標は、それが類似する商品に使用された場合、引用商標との関連性を連想させ、出所の混同のおそれが存するものである。
(3)外国での審査結果
申立人は、本件商標と態様が同じカナダ国内出願に対して、異議を申し立てたところ、応答がなく該出願が取り消された(甲第13号証)。
バーレーンでは、本件商標が2013年2月に拒絶され(甲第14号証)、コロンビアでは、本件商標の権利者が出願した「GOLD PARTNER Design」(コロンビア国内出願第11162804号)に対し、申立人が異議を申し立て、2012年6月に出願が拒絶された(甲第15号証)ように、国際的な取引分野においても著名な「P」の形状のロゴを取り入れた商標は、拒絶されており、この状況は、我が国においても同様であり、需要者をして、著名な「P」のロゴとの関連性を想起させる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから、その登録は、同法第43条の3第2項の規定により取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 引用商標の著名性について
申立人の提出に係る甲第4号証ないし甲第12号証によれば、申立人は、1872年にイタリア国ミラノで設立され、タイヤを製造する企業であって、タイヤ業界では、世界5位であり(甲第4号証)、例えば、2006年のブラジル・フォーミュラルノーのマシンに装着されたスリックタイヤに引用商標が使用されている(甲第4号証及び甲第6号証)。
2011年のF1からは、6種類のタイヤのサイドウォール全てに引用商標が観戦者や視聴者に識別できるように独自のカラーで色分けされている(甲第4号証、甲第7号証及び甲第8号証)。
また、日本国内において、「ピレリタイヤ」を検索すると、その紹介の一部に引用商標が使用されている(甲第9号証)。
そして、「P」に特徴のある引用商標は、1913年頃から顕著となり1946年頃には引用商標に表された態様が確立された(甲第11号証)。
以上によれば、引用商標は、自動車業界において、その業務に係る商品「自動車用タイヤ」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、イタリア国をはじめ、我が国においても取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたものということができる。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、図案化した大文字を先頭に置いた2つの単語が看取され、左側の語は、語頭の欧文字「G」の上部部分を横長に伸ばして他の欧文字「OLD」の上部に配置し、該「OLD」と幅を同じくしたものであるところ、該構成から、自然に「GOLD」の語が看取され、また、右側の語は、語頭の欧文字「P」の上部部分を大きく横長に伸ばして他の欧文字「ARTNER」の上部に配置し、該「ARTNER」と幅を同じくしたものであるところ、構成全体が同じデザインで一体的にまとまりのある「GOLD PARTNER」の欧文字を表したものと認識、理解されるというのが相当である。
そうすると、本件商標の全体の構成からは、無理なく「ゴールドパートナー」の称呼を生じるものであって、全体の文字は、辞書等に載録が認められない語であって、特定の観念が生じない造語であるというべきである。
(2)引用商標について
引用商標は、別掲2及び3のとおり、語頭の欧文字「P」の上部部分を大きく横長に伸ばして他の欧文字「IRELLI」の上部に配置し、該「IRELLI」と幅を同じくしたものであるところ、構成全体からすると「PIRELLI」の欧文字を表したものと認識、理解されるというのが相当である。
そうすると、「PIRELLI」の欧文字からなる引用商標は、「PIRELLI」の欧文字から「ピレリ」の称呼を生じ、自動車用タイヤ等のブランドとしての「ピレリ」の観念を生じるものとみるのが自然である。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 称呼について
本件商標から生ずる称呼「ゴールドパートナー」と、引用商標から生ずる称呼「ピレリ」とを比較すると、両者は、音数において相違し、明瞭に聴別され、称呼において紛れるおそれのないものである。
イ 観念について
本件商標と引用商標の観念においては、本件商標は、特定の観念を生じるとはいえず、引用商標からは、自動車用タイヤ等のブランドとしての「ピレリ」の観念が生じるといえるから、観念において類似するとはいえない。
ウ 外観について
本件商標と引用商標の外観は、別掲1ないし3のとおりの構成からなるものであるところ、両者は、「P」の欧文字を横長に表してなるところを共通にするとしても、本件商標と引用商標とは明らかな差異があり、明確に区別し得るものである。
また、本件商標における構成中、「P」の欧文字の図案化されたところにのみ着目される特段の事情も見いだせないから、本件商標と引用商標を時と所を異にして離隔的に観察した場合において、互いに見誤るおそれはないとみるのが相当であり、外観において類似するとはいえない。
エ そうとすれば、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものでない。
3 商標法第4条第1項第15号について
上記2(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点からみても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
そうすると、引用商標が、自動車業界において、その業務に係る商品「自動車用タイヤ」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、イタリア国をはじめ、我が国においても取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標を直ちに想起又は連想するものとみることはできない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものでない。
4 まとめ
以上からすれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】



異議決定日 2013-11-13 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W12)
T 1 651・ 271- Y (W12)
T 1 651・ 261- Y (W12)
T 1 651・ 262- Y (W12)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅沼 結香子 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 手塚 義明
根岸 克弘
登録日 2012-02-13 
権利者 Qingdao Free Trade Zone Hongtyre Industrial & Commercial Co., Ltd.
商標の称呼 ゴールドパートナー、パートナー 
代理人 江藤 聡明 

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