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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2013900318 | 審決 | 商標 |
異議2013900291 | 審決 | 商標 |
異議2013900372 | 審決 | 商標 |
異議2013900206 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 審判 全部申立て 登録を維持 W35 |
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管理番号 | 1287690 |
異議申立番号 | 異議2013-900329 |
総通号数 | 174 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-06-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-09-30 |
確定日 | 2014-05-22 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5594877号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5594877号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5594877号商標(以下「本件商標」という。)は,「スーパーリッツ」の片仮名を標準文字で表してなり,平成25年1月25日に登録出願,同年6月6日に登録査定,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同年6月28日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標(まとめていうときは,以下「引用商標」という。)は,以下のとおりであり,引用商標の商標権は,いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)商標登録第2083248号(以下「引用商標1」という。) 商標:別掲1のとおり 登録出願日:昭和55年10月29日 優先権主張:1980年4月29日にフランス共和国においてした商標登録出願 設定登録日:昭和63年10月26日 指定商品:第29類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 指定商品の書換登録: 平成21年2月12日 第30類「フランス製の茶,フランス製のコーヒー,フランス製のココア,フランス製の氷」及び第32類「フランス製の清涼飲料,フランス製の果実飲料」 (2)商標登録第2466347号(以下「引用商標2」という。) 商標:「RITZ」 登録出願日:昭和60年12月4日 設定登録日:平成4年10月30日 指定商品:第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品 指定商品の書換登録: 平成16年2月18日 第5類「乳糖,乳児用粉乳」,第29類「食用油脂,乳製品」及び第30類「調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと」 (3)商標登録第3272792号(以下「引用商標3」という。) 商標:別掲1のとおり 登録出願日:平成6年1月25日 設定登録日:平成9年3月12日 指定商品:第33類「フランス産の日本酒,フランス産の洋酒,フランス産の果実酒,フランス産の中国酒,フランス産の薬味酒」 (4)商標登録第3303925号(以下「引用商標4」という。) 商標:別掲1のとおり 登録出願日:平成6年7月6日 設定登録日:平成9年5月9日 指定商品:第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,はちみつ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,氷」 (5)商標登録第4101119号(以下「引用商標5」という。) 商標:別掲2のとおり 登録出願日:平成8年5月9日 設定登録日:平成10年1月9日 指定商品:第29類「 食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,加工水産物(「かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり」を除く。),かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」 (6)商標登録第4101120号(以下「引用商標6」という。) 商標:別掲2のとおり 登録出願日:平成8年5月9日 設定登録日:平成10年1月9日 指定商品: 第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,みそ,ウースターソース,ケチャップソース,しょうゆ,食酢,酢の素,そばつゆ,ドレッシング,ホワイトソース,マヨネーズソース,焼肉のたれ,角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖,麦芽糖,はちみつ,ぶどう糖,粉末あめ,水あめ,ごま塩,食塩,すりごま,セロリーソルト,化学調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,おでん,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」 (7)商標登録第4101121号(以下「引用商標7」という。) 商標:別掲2のとおり 登録出願日:平成8年5月9日 設定登録日:平成10年1月9日 指定商品:第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」 (8)商標登録第5333237号(以下「引用商標8」という。) 商標:「RITZ ESCOFFIER」(標準文字) 登録出願日:平成21年10月20日 設定登録日:平成22年6月25日 指定商品:第30類「チョコレート,コーヒー,代用コーヒー,ココア,茶,アーモンドペースト,食塩,こしょう,はちみつ,マスタード,砂糖,チャツネ,シロップ(調味料),サラダ用の酢及び調味料,ソース(調味料),食酢,サラダ用のドレッシング,グレービーソース,その他の調味料,香辛料,食用乾燥ハーブ,おろしわさび,ねりわさび,わさび粉,米飯,粥,キノア粉(キノアを製粉したもの),セモリナ粉のクスクス,その他の穀物の加工品」 (9)国際登録第962563号(以下「引用商標9」という。) 商標:「RITZ DIAMOND」 国際登録日:2008年3月31日 優先権主張:2007年10月15日にFranceにおいてした商標登録出願 国内登録日:平成21年3月13日 指定商品:第33類「Alcoholic beverages (except beers), including cognac, liqueurs and spirits, wine, whisky.」 (10)国際登録第986439号(以下「引用商標10」という。) 商標:「RITZ ESCOFFIER」 国際登録日:2008年10月3日 優先権主張:2008年8月29日にFranceにおいてした商標登録出願 国内登録日:平成22年7月30日 指定商品:第29類「Jams; jellies; marmalades and tinned fruits; fruit topping; fruits in preserved form; fruits preserved in alcohol; crystallized fruits; dried fruits, these products being sold in delicatessen shops, delicatessen departments of department stores, by mail order, via television and via a global computer network; soups; preparations for making soups; pickles; gherkins; salad oils; dried mushrooms; dried morels; olives in preserved form; caviar; dates; foie gras; sweet chestnut creams; fish salmon; anchovies; tinned snails; preserved lentils; meat dumplings, fish meat dumplings; truffles in preserved form; vegetables preserved in vinegar. 」及び第30類「 Coffee; artificial coffee; tea; salt; pepper; spices; mustard; almond paste; chutneys; Garden herbs of Provence, preserved [seasonings]; cocoa; prepared horseradish [condiments]; sauces; vinegar; dressings for salads; kasha; couscous grains; meat gravies; pasta; rice; quinoa.」 3 登録異議の申立ての理由 申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第8号,同第10号,同第11号,同第15号及び同第19号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第137号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第15号及び同第10号の主張 ア 「RITZ」及び「リッツ」商標の周知・著名性について 申立人は,フランスのパリ・ヴァンドーム広場に所在する「ホテル・リッツ(HOTELRITZ)」を経営する英国法人である(甲52)。 「ホテル・リッツ」は,セザール・リッツが1898年に創業したものである(甲81)。 セザール・リッツは,1899年に英国ロンドンに「カールトン・ホテル(CARLTON HOTEL)」を開業させ,1905年に米国で「ザ・リッツ・カールトン・マネジメント・カンパニー」を設立し,1927年に現在も営業を続けるホテル「ザ・リッツ・カールトン・ボストン」を開業した(甲87)。 「ザ・リッツ・カールトン」の経営権は,数次にわたり移転され,現在「マリオット・インターナショナル・インク」に引き継がれているが,商標「RITZ(リッツ)」の使用権限については,申立人が1988年に当時の経営者である「ダブリュ・ビー・ジョンソン・プロパティーズ・インコーポレーテッド」に使用する権利を許諾し,その後の経営者にも許諾が継続されている。 「RITZ」及び「リッツ」(以下「申立人商標」という。)は,申立人及び申立人の許諾により申立人商標を使用している者の業務について使用されている著名商標である。この事実は,すでに,特許庁及び裁判所において顕著であり(甲23ないし甲49),特許庁IPDLの「日本国周知・著名商標検索」においても「RITZ」の文字を含む商標は「リッツ」の称呼で,著名商標の一つとして挙げられている(甲50)。また,申立人商標は,一般の英和辞書にも載録され(甲103及び甲104),フランス大使館も証明しているものである(甲51)。 イ 商標の類否 (ア)称呼上の類似性 申立人が経営するホテルの名称は,「HOTEL RITZ」や「RITZ PARlS」であり,要部は「RITZ」である。 「RITZ」は,我が国においては「リッツ」と音訳され,「HOTEL RITZ」や「THE RITZ CARLTON HOTEL」が日本語で紹介・案内される際には,必ず「リッツ」の片仮名が使用されている。 本件商標は,「スーパーリッツ」を標準文字で横書きした構成であり,その構成中,「スーパー」が,小売等役務とりわけ飲食料品の小売等役務の分野においては,「スーパーマーケット」の一般的略称として広く使用されており,また,「スーパー」は,「超,上の,より優れた」等を意味し,いずれの役務又は商品の分野においても,それらの質又は品質を誇称する言葉として一般的に使用され,認識されている外来語でもある。 したがって,本件商標は,「リッツ」の部分が支配的な識別部分として直ちに認識されるものであって,申立人商標及び本件商標は,いずれも「リッツ」と称呼されるものであるから,称呼において類似する。 (イ)観念上の類似性 「リッツ」の文字は,「HOTEL RITZ」あるいは「THE RITZ CARLTON」のブランドイメージを与え,これを含んだ「スーパーリッツ」は,例えば,「申立人又はその使用権者の提供に係る高級スーパーマーケット」あるいは「申立人又はその使用権者の提供に係るより一層豪華なサービス,あるいは,より一層クオリティの高いサービス」というような,著名ブランド「RITZ(リッツ)」のブランドイメージに基づく観念を需要者又は取引者に与えるものである。 したがって,本件商標は,その指定役務について使用された場合には,申立人及び使用権者の使用に係る申立人商標との関係において,観念上非常に紛らわしいものである。 ウ 申立人商標の独創性 申立人商標は,その創業者「セザール・リッツ」のラストネームであるが,日本人がよく知る欧米のありふれた氏とはいい難いものであり,その周知・著名性に照らせば,申立人商標の独創性は極めて高いといえる。 エ 本件商標の指定役務と申立人の業務に係る役務及び商品との間の共通性 申立人商標は,ホテル事業について使用され,全世界にその名を知られている。 そして,国内外を問わず,多くのホテルが,オリジナルの商品を制作したり,あるいは,各地元の土産品などを用意したりして,ホテル内の店舗又はオンラインストアを通じて,それら商品を販売(小売)しているという実情が存在しているから,本件商標の指定役務とホテル事業とは,極めて深いそして密接な関連性がある。 しかして,本件商標の指定役務は,ホテル又はオンラインストアによる小売等役務を包含するものであるから,申立人及び使用権者が実際に提供している役務と,その性質・用途・目的をはじめ,需要者層・流通経路・広告方法などについて高い共通性がある(甲83及び甲84)。 オ 著名商標へのフリーライド及びダイリューション 申立人は,「RITZ(リッツ)」ブランドの根幹たるホテル事業を粛々と積み重ねて,「RITZ(リッツ)」ブランドがもつ「華麗」「風格」というブランドイメージを作り,商標登録を通じてそれを100年間にわたって守り続けている。 しかし,本件商標がその指定役務について使用され,それを見聞きした需要者が,申立人と「スーパーリッツ」との間に何らかの関係性を連想すれば,「RITZ(リッツ)」ブランドが100年間守り続けてきたブランドイメージを本件商標権者の業務によって崩されてしまうおそれがある。 カ 小括 以上のとおり,本件商標は,需要者又は取引者が,申立人と本件商標に係る業務との間に,経済的又は組織的な何らかの関係を連想し,商品及び役務の出所につき誤認混同を生ずることは明らかであるから,商標法第4条第1項第15号及び同10号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第11号の主張 本件商標は,引用商標と類似するものであって,それら商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。 引用商標1,3及び4は,「RITZ」,「PARIS」,「HOTEL」等の文字及び図形からなるものであるが,「PARIS」の文字が,申立人経営のホテルの所在地を,「HOTEL」の文字が,商品の販売場所を示しているにすぎず,その余の「RITZ」の著名性及び顕著性を考えれば,当該「RITZ」が,商標の支配的な識別部分として認識される。 また,引用商標5ないし7は,「ホテル・リッツ」の創業者「CESAR RITZ」を表示するものであり,また,引用商標8ないし10は「RITZ」の文字を顕著に語頭に冠しているから,これらの商標は,同構成中「RITZ/リッツ」の部分が,商標の支配的な識別部分として認識される。 そして,本件商標と当該「RITZ」との類似性については,商標法第4条第1項第15号の主張の中で考察したとおり,両者は,称呼及び観念上相紛らわしく,類似するものである。 以上のとおり,本件商標と引用商標とは,称呼及び観念上類似するものであり,「RITZ」,「リッツ」の著名性を考慮すれば,混同の生じるおそれが非常に高い類似商標である。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第19号の主張 申立人商標は,申立人の業務に係る商品及び役務を示すものとして,日本国内において著名であり,本件商標と申立人商標との類似性については,商標法第4条第1項第15号の主張の中で,すでに考察したとおりである。 そして,すでに述べたとおり,本件商標は,申立人商標の名声ないし識別力を稀釈化するおそれが大であることが明らかである。 以上のとおり,本件商標は,日本において著名な申立人商標と類似するものであって,不正の目的をもって出願されたものであるから,商標法第4条第1項第19号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第8号の主張 申立人商標は,申立人が経営する「HOTEL RITZ(ホテル・リッツ)」及び申立人の商号「THE RITZ HOTEL LIMITED (ザ リッツホテル リミテッド)」の著名な略称として,遅くとも本件商標の出願日前から現在にかけて,我が国において広く知られ著名であったことは,すでに述べたとおりである。 したがって,本件商標は,「他人の氏名の著名な略称を含む商標」に該当するものであって,申立人の承諾を得ていないものであるから,商標法第4条第1項第8号に該当する。 4 当審の判断 (1)申立人商標の著名性について ア 申立人の提出に係る甲各号証及び申立人の主張によれば,以下の事実が認められる。 (ア)「HOTEL RITZ」の公式ウェブサイト(甲52)によれば,1896年,セザール・リッツは,ロンドンにおいて「ホテル リッツ パリ」を経営する有限会社「ザ・リッツ・ホテル・リミテッド」を創立した。 そして,同人は,1908年,フランスとベルンでリッツの商標を登録し,1920年,同人の未亡人が商標権を現在の名義人である「ザ・リッツ・ホテル・リミテッド」に譲渡した。 また,「有名な宿泊客」の欄には,「リッツは,ヨーロッパの貴族,財界の重要人物,政界のエリート,著名なアーティストなどが皆ここで交わり,このホテルは『パリの真ん中で,街のリズムを整えているよう』です(ヴォーグ誌)・・・英国皇太子,イランのシャー,スペイン,スウェーデン,ポルトガルの国王などの王族はここで晩餐や休息の時間を過ごし,ウィンザー公夫妻はホテルを定まった滞在地とした。ルドルフ・ヴァレンティノ,マレーネ,ディートリヒ,チャーリー・チャップリン,『神聖ガルボ帝国』のグレタ・ガルボなど,映画界の有名人やスターはここで自らの栄光の反響を味わった」旨の記載がある。 (イ)セザール・リッツは,1898年6月1日,「パリ5大宝飾店」が軒を並べる有名なパリのヴァンドーム広場に,自ら創業者兼総支配人として「Hotel Ritz Paris(リッツ・パリ)」を開業した。 リッツ・パリは,54のスイートを含む全159室のゲストルームを有し,ヴァンドーム広場側の客室はすべて豪華なスイートタイプである(甲57)。そして,「快適さ,安全性,プライバシー,サービスにおいて,世界中を旅する人々が自宅のように寛ろげるホテル」というコンセプトで,一躍同人の名前を有名にした(甲87)。 (ウ)セザール・リッツは,1910年,ザリッツカールトンマネージメントカンパニー及びリッツ・カールトンホテルをアメリカに設立し,1927年には,ザ・リッツ・カールトン ボストンを開業した。 そして,1983年に,ウィリアム・B・ジョンソンにザ・リッツ・カールトン ボストンの経営権及びザ・リッツ・カールトンの商標使用権を売却し,ウィリアム・B・ジョンソンは,ザ・リッツ・カールトンホテルカンパニーを設立した。 また,1995年には,マリオット インターナショナルInc.が株式の49%を取得して,「ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーL.L.C」を設立したものであり,1998年にはドバイに,1999年にはバルセロナに,2000年にはワシントンD.C.に,2001年にはアスペン ハイランドに,2006年には北京など多数開業し(甲81及び甲82),1997年には大阪に開業したほか,沖縄,東京に開業し,2014年には京都に開業する予定である(甲85,甲86及び甲89)。 (エ)「Ritz」の文字は,「リッツ 国際的な高級ホテルチェーンのホテル」(「リーダーズ英和中辞典」(株)研究社),「リッツ(ホテル)国際的な高級ホテルチェーン」(「新グローバル英和辞典」(株)三省堂),「高級ホテルRitzから 見せびらかし,誇示」(「ジーニアス英和辞典」(株)大修館)などと,辞典に記載がある(甲103ないし甲105)。 イ 上記の事実を総合すれば,「RITZ」及び「リッツ」の文字は,申立人の業務に係る役務(ホテル事業)の出所を表示する標章として本件商標の登録出願日前から,我が国において,周知,著名なものとなっていたものと認められ,その著名性は,現在においても継続しているものというのが相当である。 なお,申立人が提出した証拠においては,「RITZ」又は「リッツ」の文字が,申立人の略称として使用されている証拠は見あたらない。 したがって,「RITZ」又は「リッツ」の文字は,同人の略称として著名であると認めることができない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は,「スーパーリッツ」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成文字は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔で外観上まとまりよく表されているものであり,これからは,「スーパーリッツ」の称呼を生ずるものである。 そして,その構成中,「スーパー」の文字部分は,「超・・・」,「上の」,「より優れた」,「スーパーマーケットの略」の意味を有する語(「広辞苑 第六版」株式会社岩波書店)であって,本件商標の指定役務との関係においては,「スーパーマーケットの略」として理解される場合があるとしても,まとまりよく表された係る構成においては,これに接する者に一体不可分の商標として把握されるものとみるのが相当である。 そうすると,本件商標からは,「スーパーリッツ」の称呼のみを生ずるものであり,該文字は,特定の意味合いを有しない一種の造語と認められるものであるから,特定の観念が生じないものである。 イ 引用商標について (ア) 引用商標1,3及び4は,図形と「HOTEL RITZ」及び「PARIS」の結合商標であるところ,図形部分からは,特定の称呼及び観念が生ずるものということができず,また,「PARIS」の文字部分は,商品の産地又は販売地と解される著名な都市「パリ」を表すことから,かかる文字部分から,自他商品の識別標識としての称呼及び観念が生ずるということができない。 そうとすれば,引用商標1,3及び4は,その構成中,ホテル名を表すものとして理解され,独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「HOTEL RITZ」の文字部分から,「ホテルリッツ」の称呼を生じ,申立人の業務に係る役務(ホテル事業)の出所を表示する標章としての「ホテルリッツ」の観念を生ずるものである。 (イ)引用商標2は,「RITZ」の文字を横書きしてなるものであり,該文字からは,「リッツ」の称呼を生じ,申立人の業務に係る役務(ホテル事業)の出所を表示する標章としての「ホテルリッツ」の観念を生ずるものである。 (ウ)引用商標5,6及び7は,「CESAR RITZ」の欧文字と「セザール リッツ」の片仮名とを上下二段に横書きしてなるところ,その構成文字からは,「セザールリッツ」の称呼を生じ,「CESAR RITZ」の欧文字は,申立人の創始者を表すものであるが,我が国においては同人が一般に広く知られているとは認められないので,特定の観念が生じないものである。 (エ)引用商標8及び10は,「RITZ ESCOFFIER」の欧文字を横書きしてなるところ,該文字からは,「リッツエスコフィエ」の称呼を生じ,該文字は,「リッツホテルのシェフであるエスコフィエ」を表すものであるが,我が国においては同人が一般に広く知られているということができないものであるから,特定の観念が生じないものである。 (オ)引用商標9は,「RITZ DIAMOND」の欧文字を横書きしてなるところ,該文字からは,「リッツダイアモンド」の称呼を生じ,該文字は,我が国においては特定の意味合いを有する熟語として知られているということができないものであるから,特定の観念が生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標との類否について検討するに,外観においては,本件商標と引用商標は,その構成態様において,いずれも顕著な差異を有するものであるから,十分区別することができ,外観上,相紛れるおそれはないものである。 次に,称呼においては,本件商標から生ずる「スーパーリッツ」と,引用商標から生ずる「ホテルリッツ」,「リッツ」,「セザールリッツ」,「リッツエスコフィエ」及び「リッツダイアモンド」とは,その構成音及び構成音数において明らかな差異を有するものであるから,十分に聴別することができるものである。 そして,観念においては,本件商標からは観念を生じないものであるから,引用商標と比較することができず,類似するとはいえないものである。 そうすれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号該当性について 申立人商標は,前記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る役務(ホテル事業)の出所を表示する標章として,我が国おいて広く知られていたものと認められる。 しかしながら,本件商標は,外観上一体のものとして把握されるものであって,前記(2)で述べたとおり,申立人商標の「RITZ」とは,相紛れるおそれのない別異の商標と認められるものである。 そして,本件商標と,申立人商標の「リッツ」とは,外観においては,「スーパー」の文字の有無により十分区別することができるものであり,称呼においては,「スーパー」の音の有無の差異を有するものであるから,互いに相紛れるおそれはなく,観念においては,本件商標からは観念を生じないものであるから類似するとはいえないものである。 また,本件指定役務である,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と,申立人の業務に係る役務(ホテル事業)とは,その提供の手段,目的,場所,需要者の範囲,業種等において関連性は薄いものと認められる。 そうとすれば,申立人商標の著名性を考慮しても,本件商標をその指定役務に使用した場合,需要者が申立人商標を想起,連想することはないというのが相当であるから,本件商標は,申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係がある者の業務に係る役務であるかのように,その役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る役務(ホテル事業)の出所を表示する標章として,我が国おいて広く知られていたものと認められる。 しかしながら,申立人提出の証拠からは,商標権者が申立人商標の出所表示機能を希釈化させ,その名声等を毀損させるなどの目的を持って本件商標を出願し,登録を受けたと認めるに足る具体的事実を見いだすことはできないから,本件商標は,不正の目的をもって使用するものということができない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第8号該当性について 前記(1)イで認定したとおり,申立人提出に係る証拠によっては,「リッツ」の片仮名が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の略称として著名であると認めることができない。 そして,同書,同大,等間隔でまとまりよく表された本件商標に係る構成においては,一連一体のものとして捉えられるものであって,申立人の略称を含むものとは認められない。 したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。 (6)まとめ 以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第8号,同10号,同11号,同15号及び同19号に違反して登録されたものとは認められないから,同法第43条の3第4号により,維持されるべきものである。 よって,結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1 (引用商標1,3及び4) 別掲2 (引用商標5ないし7) |
異議決定日 | 2014-05-14 |
出願番号 | 商願2013-4250(T2013-4250) |
審決分類 |
T
1
651・
263-
Y
(W35)
T 1 651・ 262- Y (W35) T 1 651・ 222- Y (W35) T 1 651・ 25- Y (W35) T 1 651・ 261- Y (W35) T 1 651・ 23- Y (W35) T 1 651・ 271- Y (W35) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 冨澤 美加 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 井出 英一郎 |
登録日 | 2013-06-28 |
登録番号 | 商標登録第5594877号(T5594877) |
権利者 | 株式会社リオン・ドールコーポレーション |
商標の称呼 | スーパーリッツ、リッツ |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 辻居 幸一 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 磯野 道造 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 井滝 裕敬 |