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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900342 審決 商標
異議2013900276 審決 商標
異議2013900330 審決 商標
異議2013900243 審決 商標
異議2013900146 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W05
審判 全部申立て  登録を維持 W05
管理番号 1287676 
異議申立番号 異議2013-900203 
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-06-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-06-18 
確定日 2014-05-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5568511号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5568511号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5568511号商標(以下「本件商標」という。)は、「BEAST」の欧文字を標準文字で表してなり、平成24年11月12日に登録出願、第5類「サプリメント」(以下「本件指定商品」という。)を指定商品として、同25年3月4日に登録査定、同年3月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第15号及び同第7号に違反して登録されたとして、以下の登録商標を引用し、甲第1号証ないし甲第189号証(枝番号を含む。以下、甲各号証について枝番号のすべてを記載するときは、枝番号を省略する。)を提出した。
(1)国際登録第885429号商標(以下「引用商標1」という。)は、「UNLEASH THE BEAST!」の欧文字を表してなり、2006年4月28日に国際商標登録出願、第32類「Fruit juice drinks, soft drinks, carbonated soft drinks and soft drinks enhanced with vitamins, minerals, nutrients, amino acids and/or herbs, aerated water, soda water and seltzer water.」を指定商品として、平成19年6月29日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(2)国際登録第1079467号商標(以下「引用商標2」という。)は、「REHAB THE BEAST!」の欧文字を表してなり、2011年4月28日に国際商標登録出願、第5類「Nutritional supplemental preparations in liquid form (pharmaceutical preparations).」、第30類「Ready to drink tea, iced tea and tea based beverages; ready to drink flavored tea, iced tea and tea based beverages.」及び第32類「Non-alcoholic beverages, especially, energy drinks, sports drinks and fruit juice drinks; all the foregoing enhanced with vitamins, minerals, nutrients, proteins, amino acids and/or herbs.」を指定商品として、平成24年7月27日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。

3 登録異議申立ての理由の要旨
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 会社沿革及び「MONSTER ENERGY」ブランドの創設
申立人は、2012年1月の社名変更前の旧商号をハンセン ビヴァレッジ カンパニー(Hansen Beverage Company)といい、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、アルコールを含有しない飲料、すなわち、炭酸飲料、天然ソーダ水、フルーツジュース、スポーツ飲料・エネルギー補給用飲料(エナジードリンク)、フルーツジューススムージー、レモネード、アイスティー等の開発、製造、マーケティング、販売の事業に従事している(甲第8号証及び甲第9号証)。
申立人は、2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し、米国で製造販売を開始し(甲第8号証及び甲第10号証)、現在に至るまで継続して「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER」を構成文字に包含する「MONSTER」ファミリー商標を当該ブランドの各種エナジードリンク製品の個別商品名として使用している(甲第8号証、甲第10号証ないし甲第12号証)。
この「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク製品は、従来の清涼飲料製品の容器とは異なる黒色ベースのボトル缶にモンスターの爪痕をかたどった「M」のロゴマーク(以下「M図形」という。)を大きく表示した野性味あふれる独特な雰囲気が経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲第7号証)、発売直後から男性若者層を中心に忽ち人気商品となった。2010年度時点で、米国をはじめ、北米、南米、欧州、豪州、アジアなど少なくとも世界57カ国以上で販売されており(甲第13号証のアサヒ飲料株式会社(以下「アサヒ飲料」という。)発行のニュースリリースによる。)、現在では日本を含む世界100以上の国及び地域で販売されるエナジードリンクの有名ブランドとなっている。「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER」の名称並びにその他の「MONSTER」ファミリー商標は、申立人の取り扱いに係る商品出所表示として世界的に広く認識されている。
日本国内における「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売は、アサヒ飲料を通じて行われている。2012年3月15日付のニュースリリースでアサヒ飲料が国内独占販売権取得を公表し、2種類のエナジードリンク「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の発売を発表、同年5月8日から実際の販売が開始している(甲第11号証ないし甲第13号証)。
「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクは、2012年5月8日の発売後、日本国内でも忽ち人気商品となり、同年9月時点で既に年間売上目標の100万箱を突破し(甲第183号証)、その後も好調に売上を伸ばして157万箱の売上を記録した(甲第184号証)。さらに、2013年5月7日からは同ブランドの新製品として糖類ゼロ・カロリーゼロのエナジードリンク「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」も発売されており(甲第185号証)、米国はじめ海外で人気のエナジードリンクの有名ブランドとして日本の需要者にも広く認識されている。
これら3種の「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクは、日本全国のコンビニエンスストア、自動販売機、キオスク、スーパーマーケット、列車売店、会員制のスーパー・店舗、ゲームセンター、ドラッグストア、ホームセンター等の小売店のほか、アサヒ飲料の通販サイトからも直接購入可能である(甲第186号証)。また、大手ネットショッピングサイトのアマゾンジャパンなどでも取り扱われている(甲第187号証)。
また、下記で詳述するとおり、申立人は、エナジードリンク等の飲料製品に止まらず、被服、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、ステッカー、リュックサック等についても「MONSTER ENERGY」のブランド名と「MONSTER」の商標等を使用しており、これらのアパレル製品等は日本国内でも大手ネットショップ等で販売され、需要者の人気が高い商品となっている(甲第27号証及び甲第28号証)。
イ 「UNLEASH THE BEAST!」のスローガン商標の使用
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの各種エナジードリンク製品は、引用商標1に示すとおりの「UNLEASH THE BEAST!」の文字からなるスローガン商標を付して販売(甲第8号証、甲第10号証及び甲第12号証)されていることでも需要者に広く知られている。
本件商標の登録出願日の遥か前から、申立人は、「BusinessWeek」「Fortune」「Newsweek」など複数の有名ビジネス経済誌から急成長した飲料メーカーとして脚光を浴び、表彰されている。申立人が上記エナジードリンク製品のためのスローガン商標として採択した「野獣を解き放て!」との衝撃的意味を表すフレーズ「UNLEASH THE BEAST!」は注目され、このような斬新なスローガン商標「UNLEASH THE BEAST!」を導入して展開されている申立人のマーケティング戦略に焦点を当てた有名経済誌の記事が幾つも掲載されている(甲第4号証ないし甲第7号証)。
ウ 外国商標登録
申立人は、「UNLEASH THE BEAST!」の文字からなる商標(引用商標1)について、日本国を含む世界85カ国以上で登録を所有している(甲第29号証ないし甲第114証)。また、「UNLEASH THE BEAST!」の文字を有するロゴマークについても世界20力国以上で登録を所有している(甲第115号証ないし甲第138号証)。
また、「UNLEASH THE BEAST!」と同様に構成中に「BEAST」の文字を含み、かつ、これと類似する構成のフレーズからなる商標「REHAB THE BEAST!」(引用商標2)についても、日本国を含む世界40カ国以上で登録を所有している(甲第139号証ないし甲第182号証)。
したがって、申立人は、引用商標1に相当する「UNLEASH THE BEAST!」の文字からなる商標、「UNLEASH THE BEAST!」の文字を含むロゴマーク、引用商標2に相当する「REHAB THE BEAST!」の文字からなる商標について、全世界で150件を超える商標登録を所有している。
エ 「MONSTER ENERGY」ブランドを用いたスポンサー活動を中心とする広告、マーケティング及び販売促進活動
申立人は2002年の「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクの発売開始から現在まで継続して、当該エナジードリンク製品の広告、マーケティング及び販売促進活動の一環として、「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER」の名称、M図形、又はこれらを一体にした「M MONSTER ENERGY」のブランドロゴを用いて、国際的に活躍するモトクロス、スーパークロスなどのオートバイ競技、フォーミュラワン(F1)などの自動車レース、スノーボード、サーフィン、スケートボード、その他のアクションスポーツ(エクストリームスポーツ、Xスポーツ)などの様々な分野のスポーツで国際的に活躍する世界の一流アスリートやレーシングチームとスポンサー契約を結び、その競技活動及び国際的な競技会、世界選手権などのスポーツイベント等のスポンサー活動を行っている(甲第14号証ないし甲第25号証)。
当該スポンサー契約のアスリートやレーシングチームが着用・使用するレーシングスーツ、ジャケット、Tシャツ、ヘルメット、帽子、手袋、オートバイ及び自動車の車体、サーフボード、スケートボード、イベント会場の看板、旗、垂れ幕、機材、スタッフのユニフォーム等、様々な物や場所に「MONSTER ENERGY」の文字、「MONSTER」の文字、M図形、あるいは「M MONSTER ENERGY」のブランドロゴが付されている。申立人がスポンサーを務めるアスリート、チーム、参加競技大会での成績、競技会場の模様などに関する情報及びビデオ画像は、申立人が運営するウェブサイト、メールマガジン、フェイスブック・ツイッター・YouTubeなどのソーシャルメディアサイトを用いて、日本を含む全世界のスポーツファンを含む一般消費者に発信されている。

甲第14号証ないし甲第24号証は第三者作成によるウェブサイト等であり、申立人による「MONSTER ENERGY」のブランド名を用いたスポンサー活動は、申立人自らがウェブサイトやソーシャルメディアサイトで発信する情報のみならず、スポンサー提供を受ける個々のアスリートやレーシングチームが運営するホームページやブログ、一般の報道ニュース、一般スポーツファンのホームページ・ブログなどを通じて、広く一般消費者に紹介されている。このようなインターネット等の記事や報道を通じて、「MONSTER ENERGY」、「MONSTER」、M図形あるいは「M MONSTER ENERGY」のブランドロゴ、並びにアスリート等が手にしている「MONSTER ENERGY」のエナジードリンクのボトル缶に付されたスローガン商標「UNLEASH THE BEAST!」の文字が一般の需要者の眼に触れる機会は数知れない。
また、申立人は、フード付スウェットシャツ、Tシャツ、ジャケット、帽子、手袋等の被服、レーシングジャケット、モトクロス用パンツ等の運動用特殊衣服などのアパレル製品、運動用ヘルメットなどのスポーツ用具、ステッカー(文房具類)、リュックサック(かばん類)などのアクセサリー類など多数の製造販売者に「MONSTER ENERGY」、M図形、「M MONSTER ENERGY」のブランドロゴマークを使用許諾しており、ライセンシーの製造販売に係るこれらの様々なアパレルその他の関連グッズが日本国内でも大手ネットショッピングサイトなどで販売されている(甲第27号証及び甲第28号証)。
「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク製品及びアパレル製品等関連グッズは、我が国の需要者の間でも広く認識されるに至っている。例えば、我が国における「MONSTER ENERGY」のブランド名の認知度、知名度の高さは、インターネットの検索エンジン「Google」で「モンスターエナジー」の片仮名で検索した場合、約149万件の情報記事がヒットすることからも容易に推認できる(甲第26号証)。
オ 出所混同のおそれ
本件指定商品は、一般にはいわゆる健康食品として認識されるものである。
本件指定商品は、申立人が引用商標1を使用中の前述のエナジードリンク製品、引用商標1の指定商品、特に第32類「soft drinks enhanced with vitamins、minerals、nutrients、amino acids and/or herbs(参考訳:ビタミン・ミネラル・栄養分・アミノ酸及び/又は薬草で強化した清涼飲料)」、並びに、引用商標2の指定商品、特に第5類「Nutritional supplemental preparations in liquid form(pharmaceutical preparations)(参考訳:液状の栄養補助剤(薬剤))」及び第32類「Non-alcoholicbeverages;especially、energy drinks;sports drinks and fruit juice drinks;all the foregoing enhanced with vitamins、minerals、nutrients、proteins、amino acids and/or herbs(参考訳:アルコール分を含まない飲料、特にエネルギー飲料、スポーツ飲料及び果実飲料、前述の全ての商品はビタミン・ミネラル・栄養素・たんぱく質・アミノ酸及び/又は薬草で強化したものである)」(以下、これらを総称して「申立人商品」という。)と類似の商品というべきものである。
特許庁における審査実務において「サプリメント」(いわゆる健康食品)と特定の「薬剤」は、類似の商品として取り扱われている。すなわち、特許庁商標課編「類似商品・役務審査基準」によれば、商品及び役務の区分の第5類の「サプリメント」に関する備考類似群として、「『サプリメント』は、『ビタミン剤 アミノ酸剤 滋養強壮変質剤』に類似と推定する。」と記載されている(甲第188号証)。
それのみならず、異議2010-900344号異議の決定(甲第189号証)は、サプリメントと特定の用途・原材料等の薬剤は、実質的に同一の商品として認識理解される類似のものであることを認めている。
例えば、一般に「栄養ドリンク」として認識される商品の多くは、ビタミン、アミノ酸、ミネラル、薬草(ハーブ)などの栄養素を添加した飲料であり、含有成分の種別及び含有濃度、ドリンクの全量、形状などによって、サプリメント(いわゆる健康食品)又はエナジードリンク(清涼飲料水)として取引されるものと、栄養ドリンク剤[医薬部外品又は第3類医薬品又は第2類医薬品(=いずれも薬剤)]として取引されるものが存在する。しかしながら、これらの商品の実質的な内容及び用途は極めて近似しており、一般消費者がスポーツその他の肉体疲労時の栄養補給、疲労回復や健康の維持増進などを目的として摂取されることが多い。また、これらの商品は、同一事業者によって製造販売されることも多く、製造部門が一致ないし重複する。
サプリメント(いわゆる健康食品)、エナジードリンク(清涼飲料水)、栄養ドリンク剤(薬剤)のすべては、薬局、ドラッグストア、医薬品等を扱う通信販売サイトなど同一店舗内で販売されている。また、医薬品に属する栄養ドリンク剤を除けば、医薬部外品として取引される栄養ドリンク剤(薬剤)を含めたこれらすべては、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ホームセンター、自動販売機などでも販売されている。
よって、販売場所や販売方法も一致ないし重複する。
さらに、サプリメント(いわゆる健康食品)、エナジードリンク(清涼飲料水)、栄養ドリンク剤(薬剤)は、ビタミン類、アミノ酸、薬草(ハーブ)、ミネラル、その他種々の栄養素を添加した飲料又は食品ないし薬剤として理解されるものであり、原材料(成分)が一致ないし重複し得る。また、肉体疲労時の栄養補給、水分補給、疲労回復、健康の維持増進などを目的として摂取されることが多いものであるから、用途が一致ないし重複する。また、その最終的な需要者は、一般家庭の消費者である点で需要者の範囲が共通する。
以上の観点に照らせば、本件指定商品と申立人商品は、製造部門、販売場所、商品の内容、原材料(成分)、用途、効能、需要者層が一致ないし重複し、一般的な需要者においては実質的に同質の商品として理解され得る類似の商品であることが明らかである。
本件商標の構成文字「BEAST」は、引用商標の構成文字の「UNLEASH THEBEAST!」及び「REHAB THE BEAST!」と共通する「BEAST」の文字及びその音訳「ビースト」の発音を包含する。
「BEAST」は、「獣、獣性、野獣」等を意味する英単語であるのみならず、当該意味の外来語としても国民一般に親しまれている語であるから、需要者の記億・印象に鮮明に残りやすい文字ということができる。
したがって、本件商標は、引用商標と似通った印象、記憶、連想を看者に与える。
さらに、「獣、獣性、野獣」等を意味する「BEAST」は、「モンスター、怪獣、怪物、野獣」等を意味する「MONSTER」と代替可能な程度に観念的に極めて近い類似のものである。現に、申立人は、「MONSTER」の語を共通の目印とする「MONSTER」ファミリー商標を個別商品名として使用する「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク製品の広告、販売促進活動において、当該商品を表示するためのスローガン商標として「野獣を解き放て!」といった意味合いを表すフレーズ「UNLEASH THE BEAST!」を使用している。ここでは「MONSTER」を「BEAST」の語で言い換えていることが明らかである。
先に詳述したとおり、本件指定商品が申立人商品と実質的に同質のものとして認識される類似のものであることに照らせば、本件商標が当該指定商品に使用された場合は、これに接した需要者は「UNLEASH THE BEAST!」の商標を付して申立人が製造販売し広く認識されている「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク製品を直ちに想起連想し、当該シリーズの商品ないしその姉妹商品と誤信、あるいはまた、申立人と組織的又は経済的な関連を有する者の取り扱いに係る商品であると誤信することにより、その出所について混同を生ずるおそれが高いことが明らかである。
また、商標法第4条第1項第15号の規定は、出所の混同防止のみならず、著名商標の顧客吸引力へのフリーライド、その出所表示力のダイリューションを防止する趣旨も含むものであると解される[平成16年(行ケ)第85号審決取消請求事件、平成16年10月20日東京高裁判決]。本件商標が本件指定商品に使用された場合は、申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の商品出所識別標識として広く認識されるに至った「UNLEASH THE BEAST!」の出所表示力が希釈化するおそれが高いものであり、また、「MONSTER ENERGY」ブランドの信用力、顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件指定商品は、申立人が「UNLEASH THE BEAST!」(引用商標1)のフレーズを使用する「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンク製品と実質的に同質のものとして理解される類似のものである。
よって、本件商標の使用は、申立人による継続的使用と営業努力によって申立人の商品出所識別標識として広く認識されるに至った引用商標1の出所表示力が希釈化するおそれが高いものであり、また、申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの信用力、顧客吸引力にフリーライドする行為といわざるを得ず、申立人に経済的および精神的損害を与える。
したがって、本件商標は、社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであるから、公序良俗を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の周知著名性について
(ア)引用商標1の周知著名性について
引用商標1は、英語で記載された雑誌(甲第4号証ないし甲第7号証)や申立人の英語サイト(甲第10号証)において掲載されているとしても、我が国において、引用商標1が使用されている例はほとんどないから、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められない。
(イ)引用商標2の周知著名性について
引用商標2は、外国で登録された商標であること(甲第139号証ないし甲第182号証)が認められるものの、我が国を含むいずれの国においても使用されている事実はみいだせない。
そうとすれば、引用商標2は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたとは認められない。
イ 本件商標と引用商標との類似性について
(ア)本件商標について
本件商標は、「BEAST」の欧文字を標準文字で表してなるから、「ビースト」の称呼及び「獣」の観念を生じる。
(イ)引用商標1について
引用商標1は、別掲1のとおり、「UNLEASH THE BEAST!」の文字を表してなるところ、各語の間に半角程度の隙間を有するとしても、同じ書体、同じ大きさで表されているものであり、構成文字全体が一体不可分のものとして認識され、「アンリーシュザビースト」の称呼のみを生じる。また、その構成中「UNLEASH」は、親しまれた語とはいい難いから、引用商標1からは特定の観念は生じないというのが相当である。
(ウ)引用商標2について
引用商標2は、別掲2のとおり、「REHAB THE BEAST!」の文字を表してなるところ、各語の間に半角程度の隙間を有するとしても、同じ書体、同じ大きさで表されているものであり、構成文字全体が一体不可分のものとして認識され、「リハブザビースト」の称呼のみを生じる。また、その構成中「REHAB」は、親しまれた語とはいい難いから、引用商標2からは特定の観念は生じないというのが相当である。
(エ)本件商標と引用商標1との類否について
本件商標と引用商標1とは、その構成に照らし、いずれも外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生じる「ビースト」の称呼と引用商標1から生じる「アンリーシュザビースト」の称呼とは、構成音数の差異及び「アンリーシュザ」の音の有無という顕著な差異により容易に聴別することができるものである。
さらに、本件商標は「獣」の観念を生じるとしても、引用商標1からは特定の観念が生じないものであるから、両商標は、観念においても相紛れるおそれはない。
(オ)本件商標と引用商標2との類否について
本件商標と引用商標2とは、その構成に照らし、いずれも外観上判然と区別し得る差異を有するものである。
また、本件商標から生じる「ビースト」の称呼と引用商標2から生じる「リハブザビースト」の称呼とは、構成音数の差異及び「リハブザ」の音の有無という顕著な差異により容易に聴別することができるものである。
さらに、本件商標は「獣」の観念を生じるとしても、引用商標2からは特定の観念が生じないものであるから、両商標は、観念においても相紛れるおそれはない。
(カ)小括
本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標として認識し把握されるものと認められる。
ウ 出所の混同について
上記ア及びイのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているものとはいえないものであり、また、本件商標は、引用商標とは相紛れるおそれのない別異の商標として認識し把握されるものである。
してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、上記(1)ウのとおり、商標権者がこれをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起するようなことはないものである。
そうとすれば、本件商標は、引用商標の信用力又は顧客吸引力にフリーライドするものとはいえないばかりでなく、本件商標をその指定商品に使用することが社会一般の道徳観念に反し、公正な取引秩序を乱すものとはいえないし、国際信義に反するものともいえない。
もとより、本件商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形ではないし、他の法律によってその使用等が禁止されているものでもない。
したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないから、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第15号のいずれの規定にも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 引用商標1



引用商標2



異議決定日 2014-05-01 
出願番号 商願2012-91731(T2012-91731) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W05)
T 1 651・ 271- Y (W05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 大森 健司
前山 るり子
登録日 2013-03-22 
登録番号 商標登録第5568511号(T5568511) 
権利者 ユーエスエー ニュートラシューティカルズ グループ インコーポレーテッド
商標の称呼 ビースト 
代理人 太田 雅苗子 
代理人 柳田 征史 
代理人 佐久間 剛 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 折田 忠仁 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 

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