• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X1825
管理番号 1287632 
審判番号 無効2013-890046 
総通号数 174 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-06-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-07-02 
確定日 2014-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5462166号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5462166号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第 1 本件商標
本件登録第5462166号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成23年5月24日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,手袋,マフラー,帽子,ベルト,靴類」を指定商品として、同年12月5日に登録査定、同24年1月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。なお、引用商標1ないし16をまとめていうときは「引用各商標」という。
(1)登録第1727592号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、昭和54年1月29日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年11月27日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成17年1月26日の指定商品の書換登録により、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となった。
(2)登録第1811253号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3に示すとおりの構成からなり、昭和57年10月13日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年9月27日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成18年3月1日の指定商品の書換登録により、第18類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となった。
(3)登録第4964605号(以下「引用商標3」という。)は、別掲4に示すとおりの構成からなり、平成18年2月2日に登録出願、第3類、第5類、第6類、第8類、第9類、第11類、第12類、第14類、第16類、第18類、第20類、第21類、第23類ないし第28類、第34類、第41類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年6月23日に設定登録されたものである。そして、当該商標権には、第10類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品について防護標章登録がされている。
(4)登録第1263242号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲5に示すとおりの構成からなり、昭和48年4月26日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年4月11日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成19年7月18日の指定商品の書換登録により、第5類、第9類、第10類、第16類、第17類、第20類ないし第22類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となった。また、当該商標権には、第35類、第37類及び第40類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務について防護標章登録がされている。
(5)登録第4567433号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲6に示すとおりの構成からなり、平成13年7月19日に登録出願、第3類、第9類、第14類、第18類、第25類及び第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年5月10日に設定登録されたものである。
(6)登録第1932457号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲3に示すとおりの構成からなり、昭和57年10月13日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同62年2月25日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成19年6月27日の指定商品の書換登録により、第14類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となった。
(7)登録第1531366号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、昭和53年9月6日に登録出願、第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年8月27日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、同58年2月14日に放棄により一部が抹消され、さらに、平成16年5月19日の指定商品の書換登録により、第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となった。
(8)登録第3106543号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、平成4年8月18日に登録出願、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同7年12月26日に設定登録されたものである。
(9)登録第1806610号商標(以下「引用商標9」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、昭和54年1月29日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年9月27日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成18年2月22日の指定商品の書換登録により、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となった。
(10)登録第1285553号商標(以下「引用商標10」という。)は、別掲5に示すとおりの構成からなり、昭和48年4月26日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年7月20日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成19年7月18日の指定商品の書換登録により、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となった。また、当該商標権には、第1類ないし第5類、第9類、第11類、第16類、第19類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に書換登録された防護標章登録がされている。
(11)登録第3326557号商標(以下「引用商標11」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、平成6年8月26日に登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年6月27日に設定登録されたものである。
(12)登録第1314571号商標(以下「引用商標12」という。)は、別掲5に示すとおりの構成からなり、昭和48年4月26日に登録出願、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同52年12月2日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、平成19年7月4日の指定商品の書換登録により、第17類、第24類及び第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となった。また、当該商標権には、第22類及び第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に書換登録された防護標章登録がされている。
(13)登録第4258117号商標(以下「引用商標13」という。)は、別掲4に示すとおりの構成からなり、平成9年11月27日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年4月2日に設定登録されたものである。
(14)登録第4507077号商標(以下「引用商標14」という。)は、別掲4に示すとおりの構成からなり、平成12年10月18日に登録出願、第28類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年9月14日に設定登録されたものである。
(15)登録第4475741号商標(以下「引用商標15」という。)は、別掲7に示すとおりの構成からなり、平成12年5月17日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年5月18日に設定登録されたものである。
(16)登録第5140748号商標(以下「引用商標16」という。)は、別掲4に示すとおりの構成からなり、平成19年4月27日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同20年6月13日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号ないし第153号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号、同第19号及び同第7号に該当するものであるから、その登録は同法第46条第1項第1号によって無効とされるべきである。

2 具体的理由
(1)引用各商標の世界的な著名性について
請求人は、著名なデザイナーである「Gabrielle coco CHANEL」により創設され、高級婦人服、靴、帽子、ハンドバッグ、ベルトの他、アクセサリー等の宝飾品、時計、香水等の化粧品などのデザイン・企画並びにこれらの商品の製造販売を業とするトータル・ファッション・メーカーである。請求人の業務に係る商品は、いずれも洗練された高品質の商品として、極めて高い知名度を有しており、請求人の長年の継続的努力によって、世界の超一流品としての極めて高い信用が日本においても形成されている。
引用各商標は、請求人の創業者のイニシャルを図案化したものであって、「シャネルマーク」と称され、上記の各商品等に使用され、請求人の商品であることを示す出所表示として広く知られている。「シャネルマーク」が付された請求人の商品は、日本を含め世界中で超一流品としての信用が形成されており、数々の刊行物等によって紹介されている(甲49?甲57、甲59?甲78、甲81?甲91)。
また、これら請求人の業務に係る「シャネルマーク」については、引用商標3、4、10及び12について防護標章登録がそれぞれ登録されている(甲6?甲8、甲9?甲15、甲26?甲30、甲33?甲36、甲58)。
引用各商標「シャネルマーク」は、多数の判決、審決、異議決定及び審査において、請求人に係る商標として著名であることが認められている(甲93、甲95?甲128)。
以上のことから、引用各商標は、本件商標の出願時はもちろんのこと、査定時においても、請求人の業務に係る、被服や履物、帽子、かばん類、身飾品等といったファッション・アパレルに関連する商品に使用される商標として、極めて広く知られている著名商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標の要部について
本件商標は、欧文字の「C」字状の文字を背中合わせに一部を重ね合わせた図形であり、その右側の「C」図形中に欧文字「honu」が極めて小さく白抜きされている。本件商標は、その構成部分に極めて小さな欧文字「honu」が存在するものの、当該欧文字に比して図形部分が圧倒的に大きな態様で表わされていることから、当該図形部分が看者の注意を引く部分といえ、本件商標の要部となる。なお、図形部分に付されている文字「honu」が「海亀」を意味する語であるとしても、図形部分は「海亀」を一切連想させる要素を有しないから、本件商標はカメを想起させる図形とはいえない。
イ 引用各商標の構成について
引用各商標は、欧文字の「C」字状の文字を左右対称に背中合わせに一部を重ね合わせた図形からなる商標である。引用各商標は、そのマークの線の太さ及び周囲の円や四角形の有無という点において、若干の差異を有するものの、欧文字の「C」字状の文字を左右対称に背中合わせに一部を重ね合わせた図形部分が極めて特徴的な商標として認識されるものである。
ウ 本件商標と引用各商標の類否及び指定商品又は役務の比較について
本件商標の要部というべき図形部分と引用各商標とを比較すると、両者は同じ「C」の欧文字のアルファベット2文字をバランス良く背中合わせに交差させている点において構成の軌を同じくし、また、図形部分が特定の事物を表現したものとは直ちに認識されないほどに構成上顕著な特徴を持っている点、同一半径の二つの文字を組み合わせた図形から構成されている点などにおいて共通した点が多くみられ、全体として本件商標は、外観上引用各商標と極めて近似した印象を与える商標である。
本件商標は、引用各商標中、特に引用商標1ないし6、8及び16(以下「引用商標A」という。)に係る指定商品又は指定役務の一部と同一又は類似の商品について使用する商標である。また、これら引用各商標は、請求人の業務に係る商品「バック、被服」等に使用される商標として著名性を獲得しているものであるから、類否判断の際には、引用商標Aが有する著名性が、具体的取引の実情として考慮されるべきであり、本件商標と引用各商標、とりわけ引用商標Aとの類似性は高いものである。
以上のことから、本件商標は、その取引者・需要者において著名な引用各商標と、その構成及び態様が極めて酷似する図形と認識され、本件商標と引用各商標とはその外観において相紛れるおそれがあり、類似する商標というべきである。
したがって、本件商標は、請求人の先行登録商標である引用商標Aと類似する商標というべきであり、また、同一又は類似の指定商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
ア 出所の混同のおそれ
(ア)本件商標と他人の表示との類似性の程度
本件商標は、欧文字の「C」字状の文字を背中合わせに一部を重ね合わせた図形の形状であり、「バッグ、被服」等について周知著名な引用各商標と非常に近似した印象を有することから、引用各商標との類似性は非常に高いものである。
(イ)他人の表示の周知著名性及び独創性の程度
引用各商標は、請求人の創業者のイニシャルを図案化した図形商標であり、請求人による別件商標「CHANEL」とともに請求人の業務に係る商品又は役務に使用されるハウスマークとして、日本を含め世界的に周知著名となっている。また、引用各商標は特徴的な構成を有している商標であることから、請求人以外の第三者により商標として採択される可能性の低い創造標章である。
(ウ)商品間の関連性、取引者・需要者の共通性
本件商標は、引用商標Aの指定商品及び指定役務と同一又は類似の指定商品である「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,下着,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,手袋,マフラー,帽子,ベルト,靴類」に使用される商標である。請求人は「被服,かばん類,袋物」等について長年製造販売を行い、引用各商標を使用している(甲91及び甲94)。また、請求人の経営はファッション・アパレル業界全体に及び、世界的なトータル・ファッション・メーカーとして著名であり、ファッション・アパレルに関する分野にわたる多角経営を行なっている。
したがって、本件商標と引用商標Aとは、その指定商品において非常に高い関連性を有しているというべきである。
(エ)その他取引の実情
a 本件商標の指定商品の需要者において普通に払われる注意力
需要者において普通に払われる注意力としては、本件商標に接した需要者は、当該図形部分の形状に着目して、請求人にかかる商品を連想させ、当該商品が請求人の業務に係るものと認識するであろうことは容易に想像される。また、引用各商標は、例えば衣類やバッグのタグ等に付されて使用された場合、小さく付されることが多く、いわゆる離隔的観察をした場合に、特徴的な欧文字のアルファベット「C」の文字をバランス良く背中合わせに配した図形と顕著に認識される。著名な引用各商標と主たる構成が共通する図形部分を構成に含む本件商標は、商標を離隔観察した場合、視覚上、特に強く需要者の印象に残る部分が共通する商標であると判断される可能性がより高くなる。
b 取引の実情に与える周知著名性
商標の類否判断は、商標が使用される商品の主たる需要者層その他商品の取引の実情を考慮し、需要者の通常有する注意力を基準として判断しなければならないとされている。ここでいう「取引の実情」には、引用商標の周知著名性も含まれる(甲132)。
イ 出所の混同の有無
著名な引用各商標を容易に想起し得る本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者・需要者は、恰も著名な請求人又は請求人と経済的若しくは組織的に何等かの関係がある者の業務であるかの如く誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
ウ 小括
上記に照らして考えると、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号の該当性について
ア 引用各商標の周知著名性
引用各商標は、請求人の業務に係る「バッグ、被服」等について使用された結果、全国的に高い著名性を有する商標であり、引用各商標は、商標法第4条第1項第19号の「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国において需要者の間に広く認識されている商標」に該当するものである。
イ 本件商標と引用各商標の類似性
本件商標の要部たる図形部分は、外観上引用各商標の構成態様と非常に酷似し、請求人の世界的に有名なブランドを想起させるものであるから、商標全体として観察した場合、両者は互いに類似する商標である。
ウ 出願人の「不正の目的
引用各商標は、本件商標の出願時には、すでに請求人の業務に係る商品に使用される商標として取引者・需要者間において広く知られていた。本件商標を構成する図形と引用各商標は同じ「C」字状の欧文字2文字をバランス良く背中合わせに交差させている点において構成の軌を同じくし、また、図形部分が特定の事物を表現したものとは直ちに認識されないほどに構成上顕著な特徴を持っている点、同一半径の二つの文字を組み合わせた図形から構成されている点など、本件商標と引用各商標において共通した点が多くみられ、全体として本件商標は外観上引用各商標と極めて近似した印象を与える商標であり、本件商標の指定商品が請求人が使用する「バッグ、被服」等に類似するものであることを考えると、被請求人が著名な引用各商標を知らず、偶然に著名な引用商標と同一の軌跡を有する構成態様からなる本件商標を出願したとは考え難く、引用各商標の有する高い名声・信用・評判にフリーライドする目的で出願、使用されているものと推認される。
実際、被請求人は、過去においても引用各商標に極めて類似する標章(その中には本件商標を含む。)を使用し、請求人は、日本の関連会社であり、日本において請求人の保有する商標権等の管理をしているシャネル株式会社を通じて、再三、当該標章の使用を中止するよう通知し、被請求人は、その都度、通知対象の標章を付した商品を販売しない旨を誓約している。また、被請求人は、当該誓約後にも、自己の運営する店舗及びインターネット通販サイトを通じて、本件商標と同様の態様からなる標章を付した被服及びバッグの販売を続けており、不正の目的は明らかである。(甲136?甲143、甲146、甲147)
エ 小活
以上のとおり、本件商標は、請求人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国において需要者の間に広く認識されている引用各商標と極めて類似する商標であって、不正の目的を持って使用するものというべきであることから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第7号の該当性について
本件商標は、引用各商標が有する高い名声・信用・評判にフリーライドする不正の意図に基づいて出願登録されたものであり、引用各商標の高い名声・信用・評判を希釈化させるおそれがある。また、本件商標を請求人と全く関係のない第三者の商標として登録を有効なものとして維持することは、引用各商標に化体した信用力、顧客吸引力を無償で利用する結果を招来し、客観的に公正な取引秩序を維持するという商標法の法目的に合致しない。
したがって、本件商標は、商取引の秩序を乱すものであり、公序良俗を害する商標というべきであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 被請求人の主張
被請求人は,前記第3の請求人の主張に対し,何ら答弁するところがない。

第5 当審の判断
1 商標法第4条第1項第15号の該当性について
(1)引用各商標の著名性及び独創性の程度
請求人は、フランスのデザイナーであるガブリエル・ココ・シャネル(GABRIELLE COCO CHANEL)によって創設され、創始者ココ・シャネルのイニシャルを図案化した独創性の高い別掲2から7に示す「シャネルマーク」と称される引用各商標を、婦人服、ハンドバック、靴、スカーフ、ベルト、コスチューム・ジュエリー、香水、化粧品、時計、サングラスなどに使用している。我が国において、シャネルマークは、昭和52年10月30日文化出版発行の「ミセス愛蔵版第9号 日本で買える世界の特選品」(甲82)及び同月26日株式会社鎌倉書房発行の「ファッションシリーズNo.2 世界のファッション・アクセサリー」(甲86)において、商品「ハンドバック」について掲載されて以来、昭和52年から同62年、平成2年、同4年から同6年、同11年から同16年の講談社発行の「世界の一流品図鑑」(甲49ないし甲57、甲59ないし甲70)において、商品「バッグ、香水、化粧品、ベルト、靴、サングラス、コート」などについて掲載されているほか、その他多数の雑誌において上記各種商品とともに掲載されている(甲71ないし78、81ないし92、94)。
そして、日本においては、シャネルマークが付された請求人の商品は、平成6年に東京・銀座並木通りに開店したシャネルブティック本店、同8年の大阪・心斎橋店、同13年の東京・表参道店及び同16年12月に東京・銀座三丁目にオープンした旗艦店となる銀座シャネルビルのほか、全国大手百貨店において取り扱われている(http://fashioncity.jp/brand/chanel/shop/area/90)。
以上の事実を総合すると、引用各商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品「婦人服、ハンドバック、靴、スカーフ、ベルト、コスチューム・ジュエリー、香水、化粧品、時計、サングラス」などのファッション商品の出所を表示するものとして取引者、需要者に広く知られていたというのが相当である。
(2)本件商標と引用各商標との類似性の程度
ア 本件商標の構成について
本件商標は、別掲1のとおり、太線で表された「C」の欧文字形状の図形2個を背中合わせに重ね合わせ、できた隙間の凸レンズ状部分を黒く塗り潰し、その上部に黒く塗りつぶした小さな扇状の突起部を有する図形と、その図形中の右下部に「honu」の欧文字を小さく白抜きで表してなるところ、該文字部分は「海亀」を表すハワイ語である(ハワイ事典:http://www.hawaii456.com/nature/honu.html)としても、我が国におけるハワイ語の普及度を考慮すると、本件商標に接する取引者、需要者が、これを「海亀」の意味を有するハワイ語であると理解するとはいい難く、特定の意味合いを有しない一種の造語と認識されるものと判断するのが相当である。
そして、本件商標の図形部分は特定の称呼、観念が生ずるとは認められないものであるから、構成全体としては、上記構成文字に相応して、「ホヌ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。また、図形部分は、文字部分に比較して圧倒的顕著に表されているから、独立して自他商品の識別機能を有すると解されるものである。
イ 引用各商標の構成について
引用各商標は、別掲2ないし7のとおり、「C」の欧文字形状の図形2個を背中合わせに凸レンズ状に重ね合わせた図形(円形及び四角形の外枠を有するものも含む。)からなるところ、上述したとおり「婦人服、ハンドバック、靴、香水」などの商品について、請求人の商標として、周知・著名性を有することから、「シャネルマーク」の称呼及び「シャネル」の観念を生ずると認められるものである。
ウ 本件商標と引用各商標との比較
本件商標図形部分の外観と引用各商標(外枠を有する商標はそれを除いた部分。以下同じ。)の外観とを比較すると、両者は、中央の凸レンズ状の部分の塗り潰しの有無及び中央上部の小さな突起部分の有無に差異を有するものの、図形部分の大半を占める「C」の欧文字形状の図形2個を背中合わせに凸レンズ状に重ね合わせた図形部分は共通しており、シャネルマークと称される引用各商標と構成の軌を同一にするものである。
(3)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情など
本件商標の指定商品は、「かばん類、袋物、携帯用化粧道具入れ、洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、下着、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、手袋、マフラー、帽子、ベルト、靴類」であるのに対し、引用各商標に係る使用商品は「婦人服、ハンドバック、靴、スカーフ、ベルト、コスチューム・ジュエリー、香水、化粧品、時計、サングラス」などである。
そうすると、本件商標の指定商品と引用各商標に係る使用商品とは、いずれもファッション関連商品として扱われているものが多く含まれている点において共通し、商品の関連性が高いと認められるものであり、その取引者及び需要者を共通にするものである。
(4)小括
本件商標の図形部分は、「シャネルマーク」と称される著名な引用各商標と構成の軌を同一にするものであり、その指定商品と引用各商標に係る使用商品とは商品の性質、用途又は目的において同一又は関連性が極めて高い商品であって、商品の取引者及び需要者も共通していることに鑑みれば、被請求人が本件商標をその指定商品について使用するときは、取引者・需要者は、シャネルマーク(引用各商標)を想起し、その商品が請求人又は請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。

2 結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたと認められるから、その余の請求人の主張について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲








別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標1、7、8、9、11)



別掲3(引用商標2、6)(色彩は原本参照)







別掲4(引用商標3、13、14、16)



別掲5(引用商標4、10、12)



別掲6(引用商標5)



別掲7(引用商標15)





審理終結日 2014-02-28 
結審通知日 2014-03-04 
審決日 2014-03-26 
出願番号 商願2011-38910(T2011-38910) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (X1825)
最終処分 成立 
前審関与審査官 半田 正人 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 大森 健司
野口 美代子
登録日 2012-01-13 
登録番号 商標登録第5462166号(T5462166) 
商標の称呼 ホヌ 
復代理人 池田 万美 
復代理人 佐藤 俊司 
復代理人 宮川 美津子 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ