• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200630202 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y19
管理番号 1286672 
審判番号 取消2012-300725 
総通号数 173 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-05-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-09-12 
確定日 2014-03-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4922556号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4922556号商標(以下「本件商標」という。)は、「ミラージュ」の片仮名と「MIRAGE」の欧文字を上下二段に表してなり、平成17年5月31日に登録出願、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス,鉱物性基礎材料」を指定商品として、同18年1月20日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録の日は、平成24年10月3日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中、第19類「陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,繊維製の落石防止網,建造物組立てセット(金属製のものを除く。),セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を「本件商標は、少なくとも、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。」旨述べた。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対して何ら弁駁していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第12号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の使用
本件商標は、本件審判の請求の登録(平成24(2012)年10月3日)前3年以内(以下「要証期間」という。)に、日本国内で、商標権者により、指定商品中「木材」に属する商品である「木製床材」(以下「使用商品」という。)について使用されている。
(1)商標権者は、要証期間に、日本国内で、使用商品の取引にあたって、本件商標と社会通念上同一の商標「ミラージ」を、商標権者発行の商品カタログ「2010 床・壁・ダイライト住機製品」(乙3、2009年10月発行)(以下「本件カタログ」という。)に付して展示し、頒布した(商標法第2条第3項第8号)(乙3ないし乙10)。
ア 商標権者は、本件カタログを、商標権者の営業所、ショールームや、ヤマエ久野株式会社、善徳丸建材株式会社を含む販売店などに頒布し、同カタログは、使用商品の発注に使用された(乙4及び乙5)。
イ 本件カタログの178ページに「ミラージ」の記載がある。さらに、同カタログの目次及び177ページから178ページに、「ミラージFシリーズ」、「ミラージF」、「ミラージFZバーチ」、「ミラージFオーク」、「ミラージFバーチ/FZバーチ」の記載がある(乙3)。
「ミラージFシリーズ」、「ミラージF」、「ミラージFZバーチ」、「ミラージFオーク」及び「ミラージFバーチ/FZバーチ」は、「ミラージ」に他の語が後置されているが、これらの表示中、自他商品識別標識として機能するのが、「ミラージ」の文字部分であることは、以下から明らかである。
(ア)片仮名「ミラージ」、「シリーズ」、「オーク」及び「バーチ」に対して、「F」、「FZ」は欧文字であるため、語頭の「ミラージ」が視覚上分離して看取される上、いずれも、ひとまとまりで特定の意味を有するものではない。
(イ)「F」及び「FZ」等の欧文字1文字ないし2文字は、商品の種別、企画等を表示する記号や符号として取引において一般に使用されている。また、「シリーズ」の語も、連続性をもつ一連のものを表わす外来語で(乙6)一連の商品群を示す語として各種商品を取り扱う分野において一般に使用されている。実際に本件カタログでも、「不燃壁材プレミアートシリーズ」、「プレミアートDシリーズ」、「プレミアートKシリーズ」等他の商品にも同様に使用されている(乙3の目次参照)。よって、「F」、「FZ」、「シリーズ」の文字部分は自他商品の識別標識として機能しない。
(ウ)「オーク」はオーク材、「バーチ」はバーチ材といった商品の材質を表わす語である(乙7)。本件カタログにも「天然床材の人気シリーズ。・・・木目のナチュラルな質感が引き立つオーク、繊細で落ち着きのある木目のバーチを使用した床材。」と記載されている(乙3の177ページ)。よって、「オーク」、「バーチ」の文字部分は自他商品の識別標識として機能しない。
(エ)商標権者は、「ミラージ」商品として、「FAオーク」、「FCオーク」、「FMオーク」、「FDオーク」、「FWオーク」、「FAバーチ」、「FCバーチ」、「FMバーチ」、「FDバーチ」「FWバーチ」等、種々の型番・材質のものを展開している(乙3の178ページ)。
(オ)商標権者は、使用商品の納品にあたって「ミラージ」にRマークを付して表示したダンボールケースを継続して使用している(乙8及び乙9)。乙第8号証は、要証期間に使用商品に使用した同ダンボールケースの版下図面の写しであり、乙第9号証は、商標権者が現在使用している同一デザインのダンボールケースの写真である。
版下図面に記載のセトウチ化工株式会社は、商標権者のグループ会社であり、商標権者は使用商品を同社に製造させている(乙10)。ダンボールケースは、同社に納品され使用商品に使用された。
以上により、商標権者が、要証期間の商品の取引にあたって、「ミラージ」の文字部分を自他商品の識別標識として使用し、取引者・需要者も「ミラージ」の片仮名部分を出所識別の手がかりとしたことは明らかである。
(2)商標権者は、要証期間に、本件商標と社会通念上同一の商標「ミラージ」を、使用商品のダンボールケースに付し(商標法第2条第3項第1号)(乙8及び乙9)、当該ダンボールケースを用いて使用商品を販売した(同法2条3項2号)(乙5)。
ア 使用商品の納品の際には、通常、出荷指図書(正)、出荷指図書(副)、納品書、受領書の4枚複写からなる納品書が使用され、取引先の受領確認を示す書類として、運送会社がその4枚目の受領書を持ち帰る。乙第5号証各枝は、「ミラージ」商標を使用した使用商品の受領を示す受領書の写しである。
イ 平成21年10月29日にヤマエ久野株式会社に出荷された品名「ミラージFW ファインオーカー YG63FL」(乙5の1)は、本件カタログの「ミラージFオーク/品番・価格一覧」に記載の「ミラージ」商品、「FWオーク」(YG-63)の色柄「FL」(ファインオーカー)である(乙3の178ページ)。
ウ 平成22年6月22日に善徳丸建材株式会社に出荷された品名「ミラージFW ファインナチュラル YG63FA」(乙5の2)は、本件カタログの「ミラージFオーク/品番・価格一覧」に記載の「ミラージ」商品、「FWオーク」(YG-63)の色柄「FA」(ファインナチュラル)である(乙3の178ページ)。
(3)上記詳述した使用商標「ミラージ」は、本件商標と社会通念上同一である。
「ミラージ」と、本件商標中の「ミラージュ」の文字部分とは、語尾の「ュ」の有無で相違する。しかしながら、かかる相違は、外観及び称呼から受ける印象に影響を与える程のものではない。
さらに、「ミラージ」は、「ミラージュ」とともに、「MIRAGE」のカタカナ表示であり、相互・互換性のある表現であって、本件商標と同一の観念が生じる(乙11)。よって、語尾の「ュ」の有無は、本件商標の識別性に影響を与えない構成部分の変更にとどまるといえる。したがって、上述した使用商標「ミラージ」の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用である。
実際に、他の審判においても、登録商標「一生懸命」について「一所懸命」の使用、登録商標「トモニー」について「トモニイ」の使用、図形の登録商標について一部の構成要素が相違する商標の使用など(乙12)、外観及び称呼が多少相違しても、それが登録商標の識別性に影響を与えない場合は、登録商標と社会通念上同一の商標の使用として認定されている。
したがって、178ページの「ミラージ」のみならず、「ミラージFシリーズ」「ミラージF」、「ミラージFZバーチ」、「ミラージFオーク」及び「ミラージFバーチ/FZバーチ」の使用も、本件商標と社会通念上同一の商標の使用であることは明白である。
(4)以上、詳述したように、本件商標は、取消請求に係る商品中、「木材」に属する商品である「木製床材」について、要証期間に、商標権者により、日本国内において現実に使用されており、上記各書証は、当該事実を明白に立証するものである。
したがって、本件商標中、取消請求に係る商品についての登録は、商標法50条1項の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)商標権者は、商品カタログ「2010 床・壁・ダイライト住機製品」を作成している(乙3)。
本件カタログの177ページには、「住宅用洋風床材 カラーフロアー」の見出しの下、やや太字で「ミラージFシリーズ」と題し、その下には、「天然木床材の人気シリーズ。」の見出しとその左側には床材の使用例の写真が掲載されている。該ページ下半分には、商品「ミラージF 仕様」及び「ミラージFZバーチ 仕様」に係る説明が帯状の短冊で区分けされ、商品「ミラージF 仕様」には、各材質のサイズ、梱包・入数、梱包重量、基材、表面などの商品説明とともに、「ミラージFA/FW」及び「ミラージFC/FM/FD」に係る平面図がそれぞれ掲載されている。
見開きの178ページには、その上半分には、床材「オーク」、「バーチ」及び「FZバーチ」の商品見本が項目ごとに紹介されている。さらに、下半分には、「ミラージFオーク/品番・価格一覧」及び「ミラージFバーチ/FZバーチ(赤味・白味混合単板)品番・価格一覧」と題する2表があり、その表中には、「製品名」「品番」「販売地域」「価格」の欄があり、例えば、「ミラージFオーク/品番・価格一覧」には、「ミラージFAオーク」、「ミラージFCオーク」、「ミラージFMオーク」、「ミラージFDオーク」及び「ミラージFWオーク」に係る品番、販売地域及び価格がそれぞれ掲載されている。
そして、最終ページには、その最下段に、本件カタログの作成者であることを表す商標権者の名称、住所及び発行年月を示す「発行」「2009年10月」が表示されている。
(2)乙第4号証(資料2)は、大日本印刷株式会社が発行した2009年10月20日付け請求書であると認められ、商標権者が本件カタログを96,000部印刷を発注し、同カタログが2009年10月16日に納品されたことが認められる。
(3)乙第5号証の1及び2は、受領書と題するものであり、商標権者は、平成21年10月29日に品名「ミラージFW ファインオーカー YG63FL」をヤマエ久野株式会社へ28梱(乙5の1)及び同22年6月22日に品名「ミラージFW ファインナチュラル YG63FA」を善徳丸建材株式会社へ14梱(乙5の2)それぞれ納品したことが認められる。なお、品名「ミラージFW ファインオーカー YG63FL」及び「ミラージFW ファインナチュラル YG63FA」は、ともに前記した本件カタログ178ページの商品見本及び「ミラージFオーク/品番・価格一覧」(乙3)に掲載されている商品である。
2 判断
前記1で認定した事実によれば、商標権者は、要証期間に、商品「住宅用洋風床材」を含む「床・壁・ダイライト住機」に関する製品カタログを作成し、その商品「住宅用洋風床材」の項目(178ページ)には、「ミラージFシリーズ」で構成される各種天然木床材が、例えば、「ミラージFオーク」、「ミラージFバーチ」及び「ミラージFZバーチ」などと標章が使用されている。
そして、上記した本件カタログに掲載された商品において、使用された「ミラージ」の文字を含む標章中、各後半の「F」、「FZ」、「オーク」、「バーチ」及び「シリーズ」の文字部分は、商品の記号・符号、材質や一連の商品群などを表すものであって、自他商品の識別標識としての機能がなく、これら各文字を捨象して前半の「ミラージ」の文字部分を要部抽出したとしても、各使用標章の識別性に影響を及ぼさないものである。
また、商標権者の販売に係る商品の受領書から、上記カタログの「ミラージFオーク/品番・価格一覧」(乙3)に掲載されている商品「ミラージFW ファインオーカー YG63FL」及び「ミラージFW ファインナチュラル YG63FA」が要証期間に納品されたことが認められる。
そして、上記取引に係る商品に使用された標章についても、該標章前半の「ミラージ」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たすといえるものである。
しかして、広辞苑第6版において、「ミラージ」の語から「ミラージュ[mirage]」の項が照会されることからして、「ミラージ」と「ミラージュ」とは、同じ「mirage」の欧文字の表音であって、その末尾が異なるとしても同一視しても差し支えないものである。
他方、本件商標は、「ミラージュ」の片仮名と「MIRAGE」の欧文字を上下二段に表してなるところ、該「ミラージュ」又は「MIRAGE」の文字のどちらか一方を使用しても本件商標と社会通念上同一と認められる商標である。
そうとすると、商標権者が本件カタログや受領書に使用する「ミラージFシリーズ」などの「ミラージ」標章は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
そして、「ミラージ」標章が使用された商品「住宅用洋風床材」は、取消請求に係る指定商品に含まれるものである。
してみると、商標権者の使用行為は、「商品又は役務に関する広告、定価表若しくは取引書類に標章を付して・・頒布・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものということができる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成24年10月3日)前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品に含まれる「住宅用洋風床材」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-09-02 
結審通知日 2013-09-05 
審決日 2013-11-21 
出願番号 商願2005-47886(T2005-47886) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Y19)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
酒井 福造
登録日 2006-01-20 
登録番号 商標登録第4922556号(T4922556) 
商標の称呼 ミラージュ 
代理人 鮫島 睦 
代理人 宮嶋 学 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 高田 泰彦 
代理人 勝沼 宏仁 
代理人 塩谷 信 
代理人 柏 延之 
代理人 川本 真由美 
代理人 今岡 智紀 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ