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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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異議2013900174 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 審判 全部申立て 登録を維持 W25 |
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管理番号 | 1285659 |
異議申立番号 | 異議2013-900214 |
総通号数 | 172 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-04-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-07-08 |
確定日 | 2014-03-20 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5569369号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5569369号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5569369号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成24年4月24日に登録出願、第25類「被服,履物」を指定商品として、同25年2月21日に登録査定、同年3月29日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号又は同第19号のいずれかに該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は取り消されるべきであるとして、その理由(要旨)を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第56号証を提出した。 1 引用商標 申立人が本件商標の登録異議の申立ての理由に引用する商標は、以下の(1)ないし(5)のとおりであり、現に有効に存続しているものである。以下、引用商標1ないし5をまとめていうときは「引用商標」という。また、引用商標1、2、4及び5をまとめていうときは「引用A商標」という。 (1)登録第4989959号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成18年1月20日に登録出願、第3類、第9類、第14類、第18類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年9月22日に設定登録されたものである。 (2)登録第5313384号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成19年4月6日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同22年4月2日に設定登録されたものである。 (3)登録第5592185号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成よりなり、平成25年2月5日に登録出願、第3類、第18類、第21類、第24類、第25類、第26類及び第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年6月21日に設定登録されたものである。 (4)登録第5383129号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成20年10月8日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同23年1月14日に設定登録されたものである。 (5)登録第5282431号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成20年10月8日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同21年11月20日に設定登録されたものである。 2 具体的理由 (1)引用商標に係るブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」の著名性について ア 米国および世界各国における著名性 申立人は、アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ・インコーポレーテッド(以下「AEO社」という。)の関連会社(リテイル ロイヤルティー カンパニー)であり、AEO社の商標の登録と維持管理、登録に基づく権利行使等を行っている。AEO社は多くの関連会社と共に、日本や米国等の世界各国においてカジュアル衣料品の製造販売事業を展開している。申立人及びAEO社のブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」(以下「申立人等ブランド」という。)は、米国発のアパレルブランドであり、若者を中心に絶大な人気を誇っている(甲3)。そして、鷲(イーグル)のシルエット図形よりなる引用A商標は、申立人等ブランドを象徴する標章として、各種商品、広告、店舗正面部、店舗内看板、包装用袋、AEO社公式ウェブサイト、取引書類などあらゆる場面・場所において広く使用され、ブランド戦略の中心的な存在となっている。 AEO社は、1977年に米国で第一号店を開店して以来、着実に店舗数を増やし、平成25(2013)年2月1日迄の営業年度は、粗利益が約1340億円、全世界での店舗数は1044店となっている(甲4)。現在では、北米のみならず日本を含むアジア各国や中東各国など10か国以上に店舗を展開している。 申立人等ブランドは、例えば「2006年『Forbes』のプラチナ勝者 1位」(甲12)、「ファッション誌『THEWWD』(2008年4月10日)『過去12ケ月で10代の女性が買い物をしたと回答した店トップ10』2位」(甲13)及び「ファッション誌WWD(2008年11月13日)『十代女性に最も好かれるアパレルブランド』2位」(甲14)のように、著名雑誌等において、上位にランクインしている。 イ 日本における著名性 伝統的に、カジュアル衣料品分野における米国の日本への影響は非常に強く、日本において、Gap(ギャップ)、Abercrombie & Fitch(通称「アバクロ」)等に代表される「アメリカンカジュアル(通称「アメカジ」)」というジャンルのファッションが確立しており、絶大な人気を博している。引用A商標に係る申立人等ブランドは、平成24年4月半ばに日本第一号店が開かれるかなり以前から、「アメカジ」の需要者には注目されていた。現代では、インターネット等の通信の発達により、商品やその情報の流れは国境を簡単に越えるため、日本にいてもその入手は容易である。「アメカジ」のようなジャンルのファッションを好む需要者は流行に敏感であり、雑誌やインターネット等を通じて最先端の情報を入手しようとする傾向が強く、米国で流行しているファッションであれば、日本のファッション誌等のメディアで取り上げられることも多い上、昨今のインターネットの普及により、需要者自ら手軽にそのような情報を入手できる状況にある。よって、被服・履物等のアパレル業界においては、米国等の海外ブランドの著名性が、ほぼリアルタイムで日本の需要者に認識されるといえる。このような、ファッション業界の実情の下、申立人等ブランドと、これに伴って常に使用されてきた鷲(イーグル)図形商標の米国における著名性は上述のとおりであるため、引用A商標は、本件商標の出願日前において、日本の需要者に広く認識されていたと考えるのが自然である。このことは、本国米国で著名性を獲得していた申立人等ブランドが、日本では本件商標の出願日前から注目を浴び(甲20?甲35)、未進出の「最後の大物」としてメディアに取り上げられていたことからも明らかである(甲21)。また、申立人等ブランドが日本に進出する前から数々の並行輸入品販売サイトが開設されている(甲22?甲27)ことからも、申立人等ブランドが日本国内において第一号店が開かれるかなり前から、需要と人気を獲得していたことを示している。 2012年4月18日に東急プラザ表参道店(東急不動産が運営)が開業し、その看板ブランドとなるテナントとして、申立人等ブランドの日本第一号店が開店した(甲28)。同店舗のオープン後の様子や入店を待つ人の写真(甲29?甲33)から分かるように、店舗正面の入口上には巨大な鷲図形商標(引用A商標)が目立つように掲げられており、また、オープン直後の入場制限のために店舗の外にできた長い行列(甲33)から、申立人等ブランドの日本進出が非常に注目されていたことが伺える。 そして、第一号店開店後も順調に出店が続き、本件商標の出願日までには、お台場ダイバーシティ東京プラザ店がオープンし、その後も、ららぽーとTOKYO-BAY店、池袋店、ラゾーナ川崎店、クイーンズスクエア横浜店、三井アウトレットパーク滋賀竜王店がオープンしている。日本の需要者向け公式ウェブサイトも2012年より開設されており、容易に申立人等ブランドの製品を入手できるようになり、このウェブサイト上でも引用商標が頻繁に用いられている(甲56)。 以上より、申立人等ブランドと同ブランドの象徴として用いられてきた引用A商標は、本件商標の出願日の2012年4月24日前においてすでに、日本において周知又は著名であったことが明らかである。 (なお、申立理由の記載中、本件商標出願日の2013年は2012年の誤りであり、また、ららぽーとTOKYO-BAY店、池袋店、ラゾーナ川崎店のオープンは本件商標の出願日前ではなく出願日後の誤りであり、クイーンズスクエア横浜店のオープンは本件商標の出願日の2日後ではなく、翌年の2日後の誤りである。) ウ 引用商標の著名性 申立人提出の証拠から明らかなように、引用商標は、申立人及びAEO社のブランドの各種商品や包装用袋、店舗正面部に付されている上、公式ウェブサイトや宣伝広告等あらゆる場所、あらゆる用途に用いられている。 まさに、引用A商標の鷲(イーグル)図形商標は、申立人等ブランドのハウスマークであり、象徴となっており、米国のみならず、日本をはじめ世界各国において、申立人等ブランドが需要者に広く知られると共に、引用A商標も広く認識されているものとなっている。 (2)商標の類否について ア 本件商標と引用A商標の類否 本件商標は、鷲(イーグル)のシルエット図形とそれに重ねて書された欧文字「EAGLE EYE」よりなる商標であり、黒く塗りつぶしてシルエットとして描かれた鷲は、大空を舞うように両翼を広げている。 一方、引用A商標は,鷲(イーグル)のシルエット図形よりなり、黒く塗りつぶしてシルエットとして描かれた鷲は、大きく上方に両翼を広げている。 両商標の外観(本件商標については鷲の部分)を比較すると、いずれも黒く塗りつぶしてシルエットとして描かれた鷲であることが共通する。本件商標が滑空中の鷲を表している一方、引用商標は羽ばたきのスピードを緩めて地面に降りようとしている鷲を表しているため、鷲の体の形は異なる。しかし、両翼の先端部の形状や尾の縁の形状が似ており、また、鷲の頭と体の向きは同じである。さらに、鷲の体全体を描く輪郭線が滑らかで、全体的に柔らかい印象を醸し出している点でも共通する。つまり、商標全体として鷲の描き方、いわゆるタッチが非常に似通っているため、同じ鷲の少し違う体勢を描いたもののように受け取られる可能性が高い。さらに、指定商品が「被服」や「履物」であることに鑑みると、両商標は、ポロシャツやシャツの胸ポケットなどに同系色による小さめの刺繍(ステッチ)で表されることが想定され、その場合、まずは鷲であること、頭と体が左向きであること、飛んでいる様子であること、両翼を大きく広げていること、広がった尾がくちばしと逆方向に延びていること、両翼の先端部が何本かにわかれていることといった共通点から、需要者は両商標より、非常に似通った印象を受けるものと推測され、この場合には、両商標同士を関連するものと思うどころか、曖昧な記憶や印象から全く同じものであると認識する可能性すら十分にあると考えられるため、本件商標の鷲図形部分と引用A商標とは外観上類似である。 また、観念については、本件商標からは鷲図形部分と文字「EAGLE」よりなる「鷲」の観念が生じる一方、引用A商標からもその図形部分から「鷲」の観念が生じるため、観念上も両商標は類似する。 これらの商標の称呼については、引用A商標は図形のみからなる商標であり、何ら称呼が発生し得ないため、比較し得ない。 本件商標と引用A商標を比較した場合、これらは外観及び観念において類似する一方、称呼は比較し得ないため、本件商標と引用A商標は、外観及び観念が共通し、全体として類似する商標である。 さらに、引用A商標は著名であり、本件商標は引用A商標と類似する図形を含むことから、本件商標に接した需要者は、申立人等ブランドの関連ブランドであるとか、申立人やAEO社と何らかの関連がある企業であると誤認するおそれがある。 これより、本件商標は、引用A商標との関係で他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標である。 イ 本件商標と引用商標3について 引用商標3は、引用A商標の鷲図形と同一の図形を、円を描く2本の矢印で囲ったものである。上記アで比較・考察した共通点から、両商標は、それらに含まれる鷲図形の部分について外観上類似である。そして、この鷲図形の部分は商標全体の構成から、すなわち、本件商標は鷲図形を中心として下方に「EAGLE EYE」の文字が加えられた構成であり、また、引用商標3では周辺に配された矢印より中央の鷲図形の方がより識別力が高いものと思われるため、需要者の注目をよく集める部分である。 さらに、両商標ともその鷲図形部分から「鷲」の観念が生じ得ることに鑑みると、本件商標は、引用商標3との関係で他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標である。 (3)商品・役務の類否について 本件商標の指定商品は、「被服」及び「履物」である。一方、引用商標1ないし3は、いずれも本件商標の指定商品と類似する指定商品及び指定役務を含むものである。また、引用商標4及び5の小売等役務を含む指定役務は、本件商標の指定商品とは審査基準上類似しないものの、その小売等役務で取り扱われる商品である「香水,オーデコロン(化粧品に含まれる。)」や「サングラス」は、例えば高級ブランドなどで被服・履物やかばん類と共に、ブランドイメージを表現する商品として一緒に販売されることがよくある商品であることよりして、類似商標が使用された「被服」「履物」と「化粧品(香水,オーデコロンなど)」「サングラス」の小売等役務との間には、出所の混同のおそれがある。 (4)不正の目的について 引用商標は、商品「被服」等に係るファッションの分野において、本件商標の出願日前に需要者の間に広く認識されていた。したがって、本件商標の権利者が、引用商標とは全く関係なく偶然に、引用商標と類似する鷲(イーグル)の黒いシルエット図形を配した本件商標を採択し、引用商標と同一又は類似の商品を指定して出願したとは考え難い。引用商標に係る申立人等ブランドの日本進出第一号店がオープンしたのが平成24(2012)年4月18日であり、本件商標が出願されたのが同年4月24日と、時間的に非常に近いことも不正の目的ではないかという印象を強める。ちなみに、同ブランドの日本進出は、店舗がオープンする前から各種メディアで報道されていた。 これより、本件商標の出願人が、引用商標の著名性にフリーライドするという不正の目的をもって本件商標を出願したことが推認される。 (5)むすび ア 商標法第4条第1項第10号について 上記(2)で述べたとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標であり、(3)で述べたとおり、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品及び役務と類似する。さらに、(1)で述べたとおり、引用商標は、日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 イ 商標法第4条第1項第11号について 上記(2)で述べたとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標であり、(3)で述べたとおり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品及び指定役務と同一又は類似する。また、引用商標はすべて申立人所有の先願先登録である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 ウ 商標法第4条第1項第15号について 仮に、本件商標が商標法第4条第1項第10号及び同第11号に該当しなかった場合においても、上記(1)で述べたとおり、引用商標は、日本国内の需要者の間に広く認識された商標であり、本件商標に接する需要者は申立人の業務と何らかの関係があるとの誤認を生じるおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 エ 商標法第4条第1項第19号について 仮に、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に該当しなかった場合においても、上記(2)で述べたとおり、本件商標は、引用商標と同一又は類似する商標であり、(1)で述べたとおり、引用商標は、外国又は日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。さらに、(4)で述べたとおり、本件商標は不正の目的をもって出願されたことが容易に推認できる。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 オ まとめ 以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号又は同第19号のいずれかに該当し、商標登録を受けることのできないものであるから、その登録は取り消されるべきである。 第3 当審の判断 1 商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、別掲1のとおり、鷲と思われる左向きの鳥類が両翼を大きく左右に広げ、大空を飛んでいる様子を黒塗りのシルエットで表した図形(以下「本件鷲図形」という。)と、その大きく広げた下方の翼の上に「EAGLE EYE」の欧文字を重ねた構成よりなるところ、「EAGLE EYE」の文字は、「鷲の目」程の意味合いを想起させるものであるから、当該文字に相応して、「イーグルアイ」の称呼及び「鷲の目」程の観念を生じるというのが相当である。 他方、引用A商標は、別掲2のとおり、鷲と思われる左向きの鳥類が両翼を上方に掲げ、着地するかのように二本の足を伸ばしている様子を黒塗りのシルエットで表した図形よりなるところ、これよりは特定の称呼、観念を生じないものというのが相当である。 また、引用商標3は、別掲3のとおり、引用A商標の鷲図形と同一の図形を、円を描く2本の矢印で囲ったものであるところ、引用A商標と同じく、これよりは特定の称呼、観念を生じないものというのが相当である。 そこで、本件商標と引用商標とを比較するに、両者は外観において、欧文字の有無という明らかな差異を有するものである。また、本件鷲図形と引用商標の鷲図形(部分を含む。以下同じ。)とを比較した場合においても、両者が鷲と思しき鳥を黒色のシルエットで描いたという点では共通しているとしても、両翼を大きく左右に広げ、大空を飛んでいるかのように描かれた本件鷲図形と、今にも着地する様を描いてなる引用商標の鷲図形とは、その外形において極めて異なるものであるから、両商標は、外観上、十分に区別し得るものである。 そして、本件商標からは「イーグルアイ」の称呼及び「鷲の目」程の観念が生じるのに対し、引用商標からは、格別の称呼及び観念は生じないものであるから、これらにおいて類似するということはできない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれよりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標である。 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 2 商標法第4条第1項第10号について 本件商標と申立人が需要者の間に広く認識された商標であると主張する引用商標とは、上記1のとおり何ら相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものであるから、他の要件について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号について 本件商標と引用商標とは、上記1のとおり、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものである。ところで、申立人の提出に係る証拠によれば、引用A商標は、アメリカにおいてAEO社の業務に係る被服等の商標として使用され、AEO社は、カジュアル衣料では米国3位の位置にあること、また、引用A商標が付された商品が、我が国においてもインターネット通信販売により、一定程度販売されていたことが認められ、そして、本件商標の登録出願時(平成24(2012)年4月24日)には、東急プラザ表参道店(同年4月18日)及びダイバーシティ東京プラザ店(同4月19日)の二店舗が開店していたことが認められる。 しかしながら、申立人等ブランドを取り上げたとするテレビ報道はいずれも東急プラザ表参道店のオープンに合わせ、出店する店舗の一つである該ブランドを紹介したものであり、新聞記事も日本への初出店を紹介するものである。また、雑誌記事(2011年7月発売号から2012年5月号)については、東急プラザ表参道店あるいはダイバーシティ東京プラザ店に出店するブランドのひとつとして申立人等ブランドが紹介されていたにとどまり、恒常的に申立人等ブランドが雑誌等に目立つように掲載され、あるいは宣伝広告されていたことを確認することはできない。 そうとすれば、提出に係る証拠からは、申立人等のブランドに係る引用商標が、本件商標の登録出願時において、申立人等の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。 してみれば、本件商標に接する需要者が、引用商標を想起又は連想することはないというべきであるから、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、該商品が申立人等又は申立人等と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 商標法第4条第1項第19号について 本件商標は、上記1のとおり、引用商標とは、何ら相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるものである。 してみると、本件商標と引用商標とが類似の商標であることを前提とし、本件商標が引用商標の著名性にフリーライドする目的をもって使用するものであるとする申立人の主張は、理由がない。 その他、本件商標が不正の目的をもって使用するものであると認めるに足りる事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用A商標) 別掲3(引用商標3) |
異議決定日 | 2014-03-12 |
出願番号 | 商願2012-36813(T2012-36813) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W25)
T 1 651・ 25- Y (W25) T 1 651・ 262- Y (W25) T 1 651・ 263- Y (W25) T 1 651・ 271- Y (W25) T 1 651・ 222- Y (W25) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 村田 有香 |
特許庁審判長 |
村上 照美 |
特許庁審判官 |
高橋 幸志 野口 美代子 |
登録日 | 2013-03-29 |
登録番号 | 商標登録第5569369号(T5569369) |
権利者 | シャミー株式会社 |
商標の称呼 | イーグルアイ |
代理人 | 渡邊 隆 |
代理人 | 志賀 正武 |