• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900220 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W031416182021252628
管理番号 1285658 
異議申立番号 異議2013-900221 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-04-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-07-16 
確定日 2014-02-24 
異議申立件数
事件の表示 登録第5571722号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5571722号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5571722号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成24年6月4日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」、第14「類貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,キーホルダー,宝石箱,身飾品,貴金属製靴飾り,時計」、第16類「紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙類,文房具類,印刷物,写真,写真立て」、第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,ポーチ,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革」、第20類「海泡石,こはく,クッション,座布団,まくら,マットレス,木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,うちわ,扇子,家具,屋内用ブラインド,すだれ,装飾用ビーズカーテン,日よけ,懐中鏡,鏡袋」、第21類「陶器の置物,陶器製の食器類,化粧用具,家事用手袋,ガラス製又は陶磁製の包装用容器,台所用品(「ガス湯沸かし器・加熱器・調理台・流し台」を除く。),鍋類,コーヒー沸かし(電気式のものを除く。),鉄瓶,やかん,食器類,ワイングラス,タンブラー,携帯用アイスボックス,米びつ,食品保存用ガラス瓶,水筒,魔法瓶,調理用具,アイスペール,こしょう入れ,砂糖入れ,ざる,塩振り出し容器,しゃもじ,じょうご,ストロー,膳,栓抜,卵立て,タルト取り分け用へら,ナプキンホルダー,ナプキンリング,鍋敷き,はし,はし箱,ひしゃく,ふるい,盆,ようじ,ようじ入れ,清掃用具及び洗濯用具」、第25類「被服,子供服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」、第26類「電気式ヘアカーラー,テープ,リボン,編みレース生地,刺しゅうレース生地,房類,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,幼児用おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具,昆虫採集用具」を指定商品として、平成25年4月5日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出している。
(1)引用商標について
「MUD PIE」は、米国法人のマッド・パイ、エルエルシーの最高経営責任者であるマルシア・ミラーによって、1988年に創出されたブランドである。引用商標は、1992年11月頃、陶磁器製品に初めて使用され、以来、多くの贈答品を含め、バー用の器物、旅行かばん、アルバム、事務用品、クリスマスの装飾及びベビー用の装飾品等、20年以上もの間、多数の商品に使用されている。また、1992年、米国内向けに初めてカタログも発行され、現在に至るまで、65万部のカタログが頒布された。さらに、2007年には、マッド・パイ、エルエルシーにより、小売店向けのインターネットのウェブサイトが開設されたが、2010年1月1日から2013年4月24日までの本ウェブサイトへの訪問者数は、945,517人であった。さらに2010年には、一般消費者向けのインターネットのウェブサイトも開設され、2011年1月1日から2013年4月24日までの本ウェブサイトヘの訪問者数は、1,206,635人であった(甲2?甲6)。
引用商標は、本件商標の出願及び登録査定時において、少なくとも米国において周知な商標であったこと、そして、引用商標の正当な権利者がマッド・パイ、エルエルシーであること、は明らかである。
一方、本件商標の権利者である株式会社Dream Maker(以下「本件商標権者」という。)は、平成20年(2008年)6月13日に設立され、平成23年(2011年)11月頃から、米国所在のワンコースト社を通じて、マッド・パイ、エルエルシーの商品を購入し、日本国内において販売を行っている(甲8)。本件商標の出願日は、平成24年6月4日であるから、本件商標権者がこのとき既に、引用商標の存在を知る立場にあったことは、甲第8号証からいうまでもない。
なお、マッド・パイ、エルエルシーは、本件商標を本件商標権者が日本に出願することについて一切知らされておらず、その出願及び登録について商標権者に承諾した事実はない。そのため、本件商標の出願日からわずか約5ヵ月後に、マッド・パイ、エルエルシーは、自ら引用商標の日本における権利を取得すべく、引用商標について、商標登録出願を行った。なお、申立人は、その出願代理人である。しかしながら、本件商標の出願を理由に拒絶理由が通知されたため(甲10)、本件商標は、現実に、正当な権利者が登録を受けることを妨げていくるものである。
(2)本件商標と引用商標との対比について
本件商標は、標準的な字体で「mud pie」の欧小文字を若干図案化し横書きしてなる。一方、引用商標は、「MUD PIE」の欧大文字を横書きしてなる、標準文字商標である。両者は、外観において大文字と小文字の違い(及び小文字の若干の図案化)があるだけであるから、文字商標としては、実質的に同一であるか、そうでないとしても、少なくとも類似の商標であることは明らかである。なお、本件商標は、正当な権利者が実際に商取引に使用している字体そのものが盗用されたものであることは、甲第3号証のカタログから明らかである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、その出願当時、引用商標が、マッド・パイ、エルエルシーの商品について使用され、少なくとも米国国内の取引者の間に広く認識されていることを知りながら、引用商標と類似の本件商標を出願及び登録することについて、マッド・パイ、エルエルシーの承諾を得ないで無断で出願及び登録されたものであり、かかる行為が、取引上の信義則に反し、不正の目的をもって使用するものに該当することは明らかである。
なお、2013年6月に、被申立人に、書面により本件商標の放棄を求めたところ、被申立人はこれを拒否し、譲渡の条件として、(商標登録第5571721号と併せて)これまでの費用負担分と称する200万円の支払い及び、2012年6月当時、代理店契約についてマッド・パイ、エルエルシーが株式会社Dream Makerに明言したとされる文言(「オプティマイザー社とはいかなる代理店契約をも締結したことはない。今後も、日本ではいかなる会社とも代理店契約を締結する意思はない。」)の文書を要求する提案をしてきた(甲11)。これらのことは、外国で周知な他人の商標と同一又は類似の商標が我が国で登録されていないことを奇貨として、代理店契約締結交渉等を有利に運ぶべく、先取り的に出願及び登録したものと推認せしめるものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反してなされたものであるから、同第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

3 本件商標についての取消理由
当審において、本件商標権者に対し、平成25年11月5日付け取消理由通知書をもって通知した本件商標の取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)米国法人マッド・パイ、エルエルシー(以下「マッド・パイ社」という。)の使用に係る商標の周知性について
ア 申立人の提出した証拠(甲2?甲7)及び申立ての理由によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)「Mud Pie」の文字よりなる商標は、1992年(平成4年)11月にマッド・パイ社の業務に係る陶磁器製品について使用されたのを皮切りに、例えば、バー用の器物、クリスマス用の装飾(いずれも1996年(平成8年)より使用)、アルバム、事務用品(いずれも2002年(平成14年)より使用)、旅行かばん(2005年(平成17年)より使用)等多数の商品について使用されている(甲2)。
(イ)マッド・パイ社は、米国において、1992年(平成4年)より現在に至るまで、その業務に係る商品に関するカタログを小売店向けに約65万部頒布した(甲2)。そのうちの2009年(平成21年)版カタログは、商品のジャンル別に「supplement」、「gift」、「baby」、「initials」と表示された4種類である。そして、各カタログの表紙には、上記「supplement」、「gift」、「baby」、「initials」のいずれかの文字と共に、別掲のとおり、構成中の「i」の上部の点が図案化された「mud pie」の文字よりなる商標(以下「使用商標1」という。)が大きく目立つように表示されている。また、2012年(平成24年)版カタログも、上記2009年(平成21年)版カタログと同様に、商品のジャンル別に「Holiday」、「Fashion」、「Gift」、「Supplement」、「Baby」と表示された5種類であり、各カタログの表紙には、上記「Holiday」、「Fashion」、「Gift」、「Supplement」、「Baby」のいずれかの文字と共に、使用商標1が大きく目立つように表示されている。さらに、上記2009年(平成21年)及び2012年(平成24年)版のカタログにおいて、商品のジャンル別の各カタログの多くのものは、100頁を超えるものである。
なお、上記カタログ中には、使用商標1のほか、「Mud Pie」の態様の商標(以下「使用商標2」という。)、「MUD PIE」の態様の商標(以下「使用商標3」という。)も表示されている(以上、甲3)。
(ウ)マッド・パイ社は、2007年(平成19年)に、米国において、小売店向けのウェブサイトを開設した。2010年(平成22年)1月1日から2013年(平成25年)4月24日までの当該ウェブサイトヘの訪問者数は、945、517人であった。さらに、マッド・パイ社は、2010年(平成22年)に、一般消費者向けのインターネットのウェブサイトも開設した。2011(平成23年)年1月1日から2013年(平成25年)4月24日までの当該ウェブサへの訪問者数は、1、206、635人であった。そして、マッド・パイ社のウェブサイトには、使用商標1が表示されている(以上、甲2、甲4)。
なお、本件商標の登録査定後である「Publication Date」を2013年(平成25年)4月ころとするブログ等(米国)において、マッド・パイ社ないしその製品に関する紹介情報が相当数存在した(甲6)。
(エ)マッド・パイ社は、2012年(平成24年)のほぼ1年を通して、その業務に係るベビー用品、ファッション関連用品、ギフト用品等について、米国で発行された様々な雑誌に広告をした。これらの広告には、使用商標1?3ないしドメインネームと認められる「mud-pie.com」(「-」のない場合もある。)が表示された(甲5)。
(オ)マッド・パイ社は、米国において、「MUD PIE」の文字よりなる商標を、国際分類第6類、第10類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類、第28類に属する商品を指定商品として商標登録している(甲7)。
イ 上記アで認定した事実によれば、マッド・パイ社の業務に係るベビー用品、ファッション関連用品、ギフト用品等の商品及びこれら商品に付される使用商標1?3は、本件商標の登録出願前より、マッド・パイ社のカタログやウェブサイトを介して米国の小売業者に紹介された。また、マッド・パイ社の商品及びこれら商品に付される使用商標1?3は、本件商標の登録出願前より、米国の一般の需要者を対象にマッド・パイ社のウェブサイトや様々な雑誌を介して広告された。その結果、使用商標1?3は、本件商標の登録出願前より、米国の多数の小売業者や一般の需要者の目に触れられたものと推認することができる。
してみると、使用商標1?3、特に、その表現方法において特徴的であり、かつ、最も多く使用されている使用商標1は、マッド・パイ社の業務に係るベビー用品、ファッション関連用品、ギフト用品等を表示するものとして、本件商標の登録出願日である平成24年6月4日には、少なくとも米国の取引者、需要者の間に広く認識されていた商標であると認めることができ、その周知性は、2013年(平成25年)4月ころに寄せられたブログ等の件数からみて、本件商標の登録査定日である平成25年3月12日においても継続していたものと認めることができる。
(2)本件商標と使用商標1?3との類否
本件商標は、別掲のとおり、構成中の「i」の上部の点が図案化されてはいるものの、「mud pie」の文字と認識される構成態様よりなるものであるから、これより、「マッドパイ」の称呼を生ずるものであって、「泥まんじゅう」なる意味合いを理解させるものである。
一方、使用商標1は、本件商標と同一の構成態様よりなるものであるから、これより、「マッドパイ」の称呼を生ずるものであって、「泥まんじゅう」なる意味合いを理解させるものである。また、使用商標2及び3は、それぞれ「Mud Pie」、「MUD PIE」の文字よりなるものであるから、それぞれの構成文字に相応して、いずれも「マッドパイ」の称呼を生ずるものであって、「泥まんじゅう」なる意味合いを理解させるものである。
してみると、本件商標と使用商標1は、同一の商標といえるものであり、また、使用商標2及び3は、「マッドパイ」の称呼及び「泥まんじゅう」の観念を同じくするばかりでなく、大文字と小文字の相違や文字の一部において図案化されているか否かの相違があるものの、同一の綴り字よりなるものであるから、外観においても類似する商標というべきである。
したがって、本件商標と使用商標1?3は、同一又は類似する商標というべきである。
(3)不正の目的について
ア 申立人の提出した証拠(甲1、甲8、甲11)によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)マッド・パイ社の代理人が本件商標の本件商標権者に宛てた平成25年6月14日付け「商標登録第5571721号及び商標登録第5571722号の件」と題する通知書に対する本件商標権者の代理人による平成25年6月14日付け「回答書」には、おおむね以下の記載がある(甲8)。
a 本件商標権者は、平成23年11月ころから、米国のワンコースト社を通じてマッド・パイ社の製品を購入し、これを日本国内で販売をしていたところ、平成24年4月ころに、東京都所在のオプティマイザー社が、マッド・パイ社製品の日本にける独占的総代理店であるとして営業活動を開始した。そこで、本件商標権者は、ワンコースト社を通じて、あるいは、本件商標権者の代表者がマッド・パイ社の代表者に事実関係を確認したところ、マッド・パイ社がオプティマイザー社との間で代理店契約を締結した事実がないことが確認された。
b 一方、マッド・パイ社は、日本において、「mud pie」の商標の登録をしていなかった。本件商標権者は、上記aの状況を放置することはできず、また、マッド・パイ社の利益にも反することから、上記aのワンコースト社を通じて事実関係を確認した時点で、本件商標の登録出願をした。したがって、本件商標権者は、日本国内におけるマッド・パイ社の営業活動を妨げる意思はなく、実際、商標登録後から現在まで本件商標の商標権に基づく権利行使をしたこともない。
c 以上のとおり、本件商標の出願及び登録について、本件商標権者には不正の目的はなく、本件商標をマッド・パイ社に譲渡することを考えている。
(イ)本件商標権者は、平成24年6月4日に、本件商標を登録出願し、当該出願は、平成25年4月5日に設定登録された(甲1)。
(ウ)本件商標権者の代理人がマッド・パイ社の代理人に宛てた平成25年7月10日付け「連絡書」には、登録商標(登録第5571721号及び同第5571722号)の譲渡につき、おおむね以下の条件が示された(甲11)。
a 登録商標(登録第5571721号及び同第5571722号)の譲渡は、金2,000,000円と引換えで行う。
b マッド・パイ社は、日本において、オプティマイザー社及びその他の会社との間で、いかなる代理店契約を締結しない旨の書面を交付する。
イ 上記アで認定した事実によれば、本件商標権者は、使用商標1?3がマッド・パイ社の業務に係るベビー用品、ファッション関連用品、ギフト用品等について使用されている商標であることを、本件商標の登録出願前より熟知していたというべきである。
そして、使用商標1?3が本件商標の登録出願当時、マッド・パイ社の業務に係る商品を表示するものとして、米国の取引者、需要者の間に広く認識されていたこと、本件商標は、使用商標1?3と高い類似性を有していること、とりわけ、本件商標権者の有する本件商標は、特徴的な構成よりなる使用商標1と同一の構成態様よりなるものであること、本件商標及び登録第5571721号商標の登録出願が、オプティマイザー社がマッド・パイ社製品の日本にける独占的総代理店であるか否かの事実関係をワンコースト社を通じて確認した時点でされたこと、本件商標権者はマッド・パイ社に対し、マッド・パイ社製品の日本における代理店契約をオプティマイザー社その他の会社との間で締結をしないことを要求したことなど併せ考慮すると、本件商標権者は、本件商標の登録出願当時、米国内において使用商標1?3が広く知られていることを十分に知りながら、未だ使用商標1?3が我が国において商標登録されていないことを奇貨として、本件商標及び登録第5571721号商標を高額で買い取らせたり、又は、マッド・パイ社の国内参入を阻止したり、あるいは、マッド・パイ社の日本進出に際し、本件商標権者との国内代理店契約の締結を強制するなどの不正の目的のために、使用商標1?3と類似する本件商標を先取り的に登録出願し、設定登録を受けたものと推認せざるを得ない。
したがって、本件商標権者は、本件商標を使用するについて不正の目的を有していたというべきである。
この点に関し、本件商標権者は、平成24年4月ころに、オプティマイザー社が、マッド・パイ社製品の日本にける独占的総代理店であるとして営業活動を開始したので、このような状況を放置することはできず、また、マッド・パイ社の利益にも反することから、本件商標の登録出願を行ったもので、不正の目的はない旨を回答書(甲8)で述べているが、本件商標権者が、ワンコースト社を通じて、あるいは、本件商標権者の代表者がマッド・パイ社の代表者に、オプティマイザー社がマッド・パイ社製品の日本にける独占的総代理店であるか否かの事実関係を確認した時点において、本件商標権者は、マッド・パイ社に対し、マッド・パイ社が使用する商標について、日本において商標登録出願をするように伝えることも可能であったにもかかわらず、マッド・パイ社の承諾を得ないまま、本件商標の登録出願を行ったものであり、その行為は、不正の目的をもってしたものと優に推認することができる。したがって、上記本件商標権者の回答内容には理由がなく、採用することができない。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件商標は、マッド・パイ社の業務に係る商品を表示するものとして、米国の取引者、需要者の間に広く認識されていた使用商標1?3と同一又は類似する商標であって、不正の目的をもって使用する商標というべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものと認める。

4 本件商標権者の意見
本件商標権者は、上記3の取消理由に対し、何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたといわざるを得ないから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(本件商標及び使用商標1)




異議決定日 2014-01-17 
出願番号 商願2012-44695(T2012-44695) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (W031416182021252628)
最終処分 取消  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小川 きみえ
井出 英一郎
登録日 2013-04-05 
登録番号 商標登録第5571722号(T5571722) 
権利者 株式会社Dream Maker
商標の称呼 マッドパイ、マッドピエ、マッドピー 
代理人 河野 登夫 
代理人 安田 恵 
代理人 河野 英仁 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ