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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09182528
審判 一部申立て  登録を維持 W09182528
審判 一部申立て  登録を維持 W09182528
審判 一部申立て  登録を維持 W09182528
管理番号 1285652 
異議申立番号 異議2013-900326 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-04-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-09-20 
確定日 2014-03-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5599000号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5599000号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5599000号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成25年3月7日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,携帯電話機の部品及び付属品,携帯電話機ストラップ,携帯電話機イヤホンジャック用アクセサリ,電子ブザー,眼鏡,電子応用機械器具(「ガイガー計数器・高周波ミシン・サイクロトロン・産業用X線機械器具・産業用ベータートロン・磁気探鉱機・磁気探知機・地震探鉱機械器具・水中聴音機械器具・超音波応用測深器・超音波応用探傷器・超音波応用探知機・電子応用扉自動開閉装置・電子顕微鏡」を除く。),電子管,半導体素子,電子回路(「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路」を除く。),電子計算機用プログラム,マウスパッド,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,電子出版物,サングラス」、第16類「文房具類,紙類,印刷物,写真,写真立て,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,鉛筆削り器(電気式又は非電気式),ゴルフ用スコアカード」、第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革,ゴルフ用傘,シューズケース」、第24類「織物,布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,のぼり及び旗(紙製のものを除く。),織物製椅子カバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳,タオル,ハンドタオル,バスタオル」、第25類「被服,洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,キャミソール,ティーシャツ,アイマスク,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),ゴルフ用シャツ,スカート,パンツ,ジャケット,シューズ,サンバイザー,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),運動用特殊靴(「乗馬靴」及び「ウインドサーフィン用シューズ」を除く。)」及び第28類「愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,家庭用テレビゲーム機,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,運動用具(登山用・サーフィン用・水上スキー用・スキューバダイビング用のものを除く。),遊戯用器具,ビリヤード用具,テレビゲーム機,釣り具,ゴルフクラブ,ゴルフクラブのヘッド用カバー,ゴルフバッグ」を指定商品として、同25年6月11日に登録査定、同年7月12日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 登録異議申立人「リテイル ロイヤルティー カンパニー」(以下「申立人A」という。)の申立て理由
本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その指定商品中、第9類、第18類及び第25類の全指定商品について、同法第43条の2第1号により、その登録を取り消されるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 引用商標A
(ア)登録第4989959号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲(2)
登録出願日:平成18年1月20日
設定登録日:平成18年9月22日
指定商品及び指定役務 :第3類、第9類、第14類、第18類、第25類及び第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務
(イ)登録第5313384号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲(2)
登録出願日:平成19年4月6日
設定登録日:平成22年4月2日
指定役務 :第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
(ウ)登録第5592185号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲(3)
登録出願日:平成25年2月5日
設定登録日:平成25年6月21日
指定商品 :第3類、第18類、第21類及び第24類?第27類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(エ)登録第5282431号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲(2)
登録出願日:平成20年10月8日
設定登録日:平成21年11月20日
指定役務 :第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
(オ)登録第5383129号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲(2)
登録出願日:平成20年10月8日
設定登録日:平成23年1月14日
指定役務 :第35類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務
なお、引用商標1ないし5を、併せて、以下「引用商標A」という。
イ 引用商標1、2、4、5(以下「申立人A商標」という場合がある。)等の著名性について
(ア)申立人A商標に係るブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」の著名性について
a 米国及び世界各国における著名性
申立人Aは、日本や米国等の世界各国においてカジュアル衣料品の製造販売事業を展開しているアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ・インコーポレーテッド(以下「AEO社」という。)の商標の登録と維持管理、登録に基づく権利行使等を行っている。
申立人A及びAEO社のブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」は、米国発のアパレルブランドであり、若者を中心に絶大な人気を誇っている(甲3等)。そして、申立人A商標は、ブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」を象徴する標章として、各種商品、広告、店舗正面部、店舗内看板、包装用袋、AEO社公式ウェブサイト、取引書類などあらゆる場面・場所において広く使用され、ブランド戦略の中心的な存在となっている。
AEO社は、1977年に米国で第1号店を開店して以来、着実に店舗数を増やしており、平成25(2013)年2月1日迄の営業年度については、粗利益が約1340億618万5000円(1ドル約96.4円換算)、全世界での店舗数は1044店となっている(甲4)。
そして、「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」のブランドが、雑誌・新聞等において上位にランクインされている(甲12?甲14)。
さらに申立人Aは、世界各国で商標出願・登録を行っている鷲(イーグル)図形商標(引用商標1、2、4、5)及び文字商標「AMERICAN EAGLE」についての異議申立等において、申立人Aの商標の著名性が認められている(甲15等)。
b 日本における著名性
申立人A商標に係る「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」は、平成24年4月半ばに日本第1号店が開かれるかなり以前から、Gap(ギャップ)等に代表される「アメリカンカジュアル」というジャンルのファッション分野の需要者には注目されていたといえる。
昨今のインターネットの普及によって、被服等のアパレル業界においては、米国等の海外ブランドの著名性が、ほぼリアルタイムで日本の需要者に認識されるものと考えられる。このようなファッション業界の実情の下、ブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」と、これに伴って常に使用されてきた鷲(イーグル)図形商標の米国における著名性はすでに述べたとおりであるため、申立人A商標は、本件商標の出願日前において、日本の需要者にも広く認識されていたと考えるのが自然である。
このことは、本国米国で著名性を獲得していた上記ブランドが、日本で本件商標の出願日以前から注目を浴びており(甲20、甲21及び甲35等)、また、同ブランドが日本に進出する前から数々の並行輸入品販売サイトが開設されており(甲22?甲27)、このことは、同ブランドが日本国内において、第1号店が開かれるかなり前から、需要と人気を獲得していたことを示している。
その後、2012年4月18日に、「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」日本第1号店が開店し、その店舗正面の入口上には巨大な申立人A商標が目立つように掲げられている(甲28?甲33)。
そして、第1号店舗開店後から本件商標の出願日前までに、お台場ダイバーシティ東京プラザ店等の4店舗がオープンし、また、本件商標の出願日後には、2店舗オープンしている。日本の需要者向け「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」公式ウェブサイトも2012年より開設されており、容易に同ブランドの製品を入手できるようになっている(甲56)。
さらに、「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」のブランドに係る宣伝広告が行われ、また、テレビ報道や記事等において同ブランドが取り上げられた(甲34?甲54)。
以上より、ブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」と、同ブランドの象徴として用いられてきた申立人A商標は、本件商標の出願日前においてすでに、日本において周知又は著名であったことが明らかである。
(イ)以上のとおり、申立人A商標は、申立人A及びAEO社のブランドの各種商品や包装用袋、店舗正面部に付されている上、公式ウェブサイトや宣伝広告等あらゆる場所、あらゆる用途に用いられている。まさに、申立人A商標の鷲(イーグル)図形商標は、ブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」のハウスマークであり、象徴となっている。
したがって、本国米国のみならず、日本をはじめ世界各国において、申立人A及びAEO社による同ブランドが需要者に広く知られると共に、申立人A商標も、広く認識されているものとなっている。
ウ 商標法第4条第1項第11号について
(ア)商標の類似について
a 本件商標と引用商標1、2、4、5について
本件商標は、鷲(イーグル)のシルエット図形よりなる商標である。黒く塗りつぶしてシルエットとして描かれた鷲は、大空を舞うように両翼を広げている。
一方、引用商標1、2、4、5は、鷲(イーグル)のシルエット図形よりなる。黒く塗りつぶしてシルエットとして描かれた鷲は、大きく上方に両翼を広げている。
両商標の外観を比較すると、羽の長さや胴体部分の大きさ、全体のシルエットに若干の差異を有する。しかし、いずれも黒く塗りつぶしてシルエットとして描かれた鷲であって羽ばたきのスピードを緩めて地面に降りようとしている様子を表している点、鷲の頭と体の向きが左向きである点、両翼を大きく広げている点、広がった尾がくちばしと逆方向に延びている点、両翼の先端部が何本かに分かれている点等、種々の点で共通する。
さらに、指定商品が「被服」や「履物」等であることに鑑みると、両商標は、ポロシャツやシャツの胸ポケットなどに同色糸による小さめの刺繍(ステッチ)で表されることが頻繁にあるものと想定され、このように使用された場合、共に、鷲であること等といった共通点から、需要者は両商標より、非常に似通った印象を受け、全く同じものであると認識する。そのため、本件商標と引用商標1、2、4、5とは、外観上類似である。
また、観念については、本件商標と引用商標1、2、4、5からは、「鷲」の観念が生じるといえるため、観念上も両商標は類似である。
これらの商標の称呼については、何ら称呼が発生しないため、両者は、比較し得ない。
したがって、本件商標は、引用商標1、2、4、5と外観及び観念が共通し、全体として類似する商標である。
さらに、本件商標は、申立人A商標との関係で、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標である。
b 本件商標と引用商標3について
引用商標3は、引用商標1、2、4、5と同一の図形を、円を描く2本の矢印で囲ったものであるところ、その構成中の引用商標1、2、4、5と同一の図形部分は、商標全体の構成から、需要者の注目をよく集める部分であり、当該部分と本件商標とは、上記したとおり、外観上類似するものであるから、同様に、両商標は、引用商標1、2、4、5と同一の図形部分について外観上類似する。
本件商標は、少なくとも、引用商標3との関係で、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標である。
(イ)商品・役務の類似について
本件商標の指定商品は、「サングラス」、「かばん類」、「被服」等である。一方、引用商標A中、引用商標1では「サングラス」、「その他のかばん類」、「その他の被服」等がそれぞれ指定されておりいずれも本件商標の指定商品と同一又は類似の商品である。また、これらの商標に係る商品・役務は、類似商品・役務審査基準において同じ類似群に属する物が多く、同一又は類似の商品である。
(ウ)小括
本件商標は引用商標Aと同一又は類似する商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標Aの指定商品・指定役務と同一又は類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
エ 商標法第4条第1項第10号について
上述したとおり、本件商標は引用商標Aと同一又は類似する商標であり、本件商標の指定商品は、申立人Aの業務に係る商品・役務と類似する。さらに、上述したとおり、引用商標Aは、日本国内の需要者の間に広く認識された商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
オ 商標法第4条第1項第15号について
上述したとおり、引用商標Aは、日本国内の需要者の間に広く認識された商標であり、本件商標に接する需要者は、申立人Aの業務と何らかの関係があるとの誤認を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
カ 商標法第4条第1項第19号について
上述したように、引用商標Aは、商品「被服」等に係るファッション分野において、本件商標の出願日前に需要者の間で広く認識されていた。したがって、本件商標の権利者が、引用商標Aとは全く関係なく偶然に、引用商標Aと類似する本件商標を採用し、引用商標Aと同一又は類似の商品を指定して出願した、とは考え難い。引用商標Aに係るブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」の日本進出第1号店がオープンした日と本件商標が出願された日が、時間的に非常に近いことも不正の目的といえる。ちなみに、同ブランドの日本進出は、実際に店舗がオープンする前から各種メディアで報道されていた。
これより、本件商標の権利者が、引用商標Aの著名性にフリーライドするという不正の目的をもって本件商標の出願をしたことが自然に推認できる。
また、上述したとおり、本件商標は、引用商標Aと同一又は類似する商標であり、引用商標Aは、日本国内又は外国の需要者の間に広く認識された商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
2 登録異議申立人「株式会社土肥富」(以下「申立人B」という。)の申立て理由
本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その指定商品中、第28類「釣り具」についての登録を取り消されるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 引用商標
(ア)登録第1497469号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲(4)
登録出願日:昭和47年1月6日
設定登録日:昭和57年1月29日
書換登録日:平成15年9月17日
指定商品 :第20類、第28類及び第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(イ)登録第1535743号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲(5)
登録出願日:昭和52年6月20日
設定登録日:昭和57年8月27日
書換登録日:平成16年2月25日
指定商品 :第20類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(ウ)登録第4081057号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:別掲(6)
登録出願日:平成6年1月24日
設定登録日:平成9年11月14日
指定商品 :第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(エ)登録第1811713号商標(以下「引用商標9」という。)
商標の構成:EAGLE
登録出願日:昭和57年12月29日
設定登録日:昭和60年10月31日
書換登録日:平成17年11月16日
指定商品 :第20類、第28類及び第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
(オ)登録第1811714号商標(以下「引用商標10」という。)
商標の構成:イーグル
登録出願日:昭和57年12月29日
設定登録日:昭和60年10月31日
書換登録日:平成17年11月16日
指定商品 :第20類、第28類及び第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品
なお、引用商標6ないし10を、併せて、以下「引用商標B」という。
イ 商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標について
本件商標は、明らかに鷲と判別可能な鳥が足を下方に差し出し、翼を大きく広げて羽ばたいている図形からなるものであり、その図形からは「ワシ」又は「イーグル」の称呼が生じ、「鷲」の観念が生じる。
(イ)引用商標Bについて
引用商標6は、その文字部分から「イーグル」又は「イーグルブランド」の称呼が、その図形からは「ワシ」の称呼が生じ、全体から「鷲」の観念を生じる。
引用商標7、8は、その文字部分から「イーグル」の称呼が生じ、図形からは「ワシ」の称呼が生じると共に、全体から「鷲」の観念を生じる。
引用商標9、10は、「イーグル」の称呼が生じると共に「鷲」の観念を生じる。
(ウ)本件商標と引用商標Bとの類否
上記のとおり、本件商標と引用商標Bとは、「イーグル」の称呼及び「鷲」の観念を共通にする類似のものであり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。
ウ まとめ
以上のとおり、本件商標と引用商標Bとは、商標において類似し、その指定商品も同一又は類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

第3 当審の判断
1 申立人Aの申立てについて
(1)申立人A商標の周知・著名性について
申立人Aの提出に係る甲各号証及び申立人Aの主張によれば、申立人Aは、カジュアル衣料品の製造販売事業を展開しているAEO社の関連会社であり、申立人A及びAEO社のブランドである「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」は、米国のカジュアル系ファッションブランドであって、当該ブランドを象徴する標章として、申立人A商標が、各種商品、広告、店舗正面部、取引書類などにおいて広く使用されていることが認められる(甲3等)。
また、AEO社は、1977年に米国で第1号店を開店して以来、平成23(2011)年7月には、北米に1000を超える販売店を有し、平成25(2013)年2月1日迄の営業年度については、粗利益が$1,390,322,000であること(甲3、甲4)、上記「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」ブランドが、「WWD」などの雑誌において、10代女性の人気ブランドなどとして上位にランクインされていること(甲13、甲14)が認められる。
そうしてみると、「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」ブランドと併せて使用されている申立人A商標は、少なくとも、米国内の需要者の間において、カジュアル系ファッションブランドとして広く認識されていたものと認められる。
また、日本においては、平成13(2001)年ないし平成22(2010)年に、「AEO」について新聞で3回紹介されたこと(甲19?甲21)、平成23(2011)年11月に、申立人A商標に係る販売ウェブサイトが開設されていたこと(甲22?甲25)、申立人A商標に係るブランドが、平成24年4月に、第1号店がオープンし、その後の本件商標の登録出願前までに、関東地域に3店舗がオープンし、その店舗の正面などに、申立人A商標が掲げられていたこと(甲3、甲29?甲33、甲56)、平成23(2011)年12月ないし平成24(2012)年5月頃の間に、TV放送番組や、新聞、雑誌において、「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」等に関する宣伝、広告等が行われたことが認められる(甲34?甲54)。
しかしながら、申立人A商標に係る日本第1号店がオープンしたのは、本件商標の登録出願前のわずか約11ヶ月前であって、店舗数も4店舗にすぎず、また、宣伝、広告等にしても、その内容のほとんどが、申立人A商標が表示されているものではなく、さらに、我が国における商品の販売数量、売上高等、申立人A商標の周知・著名性を具体的に裏づける証拠は何ら提出されていない。
そうしてみると、申立人A商標は、我が国の需要者の間において、申立人Aの業務に係る商品を表示する商標として、一定程度知られているとしても、本件商標の登録出願時に、我が国の取引者、需要者の間で広く認識されている商標とまでは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲(1)のとおり、鳥をシルエット状に黒塗りした図形よりなるところ、その構成は、頭部を左下に向き、嘴は閉じて、何かをつかみ取ろうとするかの如く脚部を広げ、両翼を上方に持ち上げた状態であって、その右翼と重なる頭部のラインが白抜きで直線をもって描かれ、翼及び爪等も、ほぼ直線をもって描かれていることから、全体として、シャープな印象を与えるものである。
これに対し、引用商標Aは、別掲(2)及び別掲(3)に示す構成のとおり、鳥をシルエット状に黒塗りした図形及び当該図形を要部とするものであるところ、当該図形は、頭部を左にした横向き、嘴は開き、両脚を揃えて伸ばし、両翼を上方に持ち上げた状態であって、その頭部、翼等のラインが、曲線をもって描かれていることから、全体として、柔らかい印象を与えるものである。
してみると、本件商標と引用商標Aとは、共に鳥をシルエット状の黒塗りで描いてなる点、両翼を上方に持ち上げた状態である点において共通するものの、本件商標が、嘴を閉じ、脚部を広げ、全体として、シャープな印象を与えるのに対し、引用商標Aは、嘴を開き、両脚を揃えて伸ばし、全体として、柔らかい印象を与える点などに相違している。
そうとすれば、両商標は、その構成態様において十分区別し得る差異を有しており、この差異は、比較的簡潔な構成からなるこれら図形の外観に与える影響は大きく、図形全体から受ける視覚的印象も全く異にするものであるから、これらを時と処を異にして離隔的に観察した場合においても、外観において相紛れるおそれはないというべきである。
また、本件商標及び引用商標Aは、上述のとおり、鳥をモチーフにするものの、その種類は特定することができないものであって、特定の称呼、観念を生ずるものとは認められないから、本件商標と引用商標Aとは、称呼及び観念の点については比較すべくもないものである。
したがって、本件商標と引用商標Aとは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標である。
なお、申立人Aは、本件商標と引用商標Aとは、共に「鷲」のシルエット図形からなることを前提に、外観上類似し、「鷲」の観念を共通にする旨、主張する。
しかしながら、本件商標と引用商標Aのシルエット状の黒塗りで描かれた鳥の図形は、共に、上嘴が湾曲して鋭い点において、猛禽類といい得るとしても、「鷲」とまで特定することはできないから、申立人Aの主張は、その前提において採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
上述したとおり、申立人A商標は、我が国の需要者の間において、広く認識されているものとは認めることができない。また、本件商標と申立人A商標とは、上記(2)と同様に、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない別異の商標といえるものである。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用したときは、これに接する取引者、需要者をして、申立人A又は申立人A商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人A又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上述したとおり、申立人A商標は、米国内の需要者の間において、カジュアル系ファッションブランドとして広く認識されていたものといえるとしても、本件商標と申立人A商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても、相紛れるおそれのない別異の商標といえるものである。
さらに、申立人A商標に係るブランド「アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ」の日本進出第1号店のオープン日と、本件商標の出願日が、時間的に非常に近いことをもって、不正の目的があっとする申立人の主張は、合理的理由がなく、採用の限りでない。
その他、不正の目的があったとする事実を認めるに足りる証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
2 申立人Bの申立てについて
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上述したとおり、特定の称呼、観念を生ずるものではない。
そうしてみると、本件商標から「ワシ」又は「イーグル」の称呼が生じ、「鷲」の観念が生じることを前提に、本件商標と引用商標Bとが称呼及び観念において類似するとする申立人Bの主張は、前提において誤りがあるというべきであり、採用することができない。
その他、本件商標と引用商標Bとが類似するとみるべき特段の理由は見い出せない。
してみると、本件商標と引用商標Bとは、外観、観念及び称呼のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)
(本件商標)


別掲(2)
(引用商標1、2、4、5)



別掲(3)
(引用商標3)


別掲(4)
(引用商標6)



別掲(5)
(引用商標7)



別掲(6)
(引用商標8)



異議決定日 2014-03-05 
出願番号 商願2013-16249(T2013-16249) 
審決分類 T 1 652・ 222- Y (W09182528)
T 1 652・ 261- Y (W09182528)
T 1 652・ 271- Y (W09182528)
T 1 652・ 25- Y (W09182528)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小川 きみえ
田中 亨子
登録日 2013-07-12 
登録番号 商標登録第5599000号(T5599000) 
権利者 株式会社サマンサタバサジャパンリミテッド
代理人 志賀 正武 
代理人 渡邊 隆 
代理人 藤田 典彦 
代理人 藤田 邦彦 

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