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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900336 審決 商標
異議2013900317 審決 商標
異議2013900224 審決 商標
異議2013900079 審決 商標
異議2013900217 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1285634 
異議申立番号 異議2013-900258 
総通号数 172 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-04-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-08-07 
確定日 2014-02-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5579174号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5579174号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5579174号商標(以下「本件商標」という。)は、「WaraWara Plaza」の文字を標準文字で表してなり、平成24年11月5日に登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品(別掲1参照)を指定商品として、同25年3月13日に登録査定、同年5月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであって、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4185167号商標(以下「引用商標1」という。)は、「笑 笑」の漢字を横書きしてなり、平成9年1月23日に登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同10年9月4日に設定登録されたものである。
2 登録第4386746号商標(以下「引用商標2」という。)は、「わらわら」の平仮名を標準文字で表してなり、平成11年1月27日に登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同12年5月26日に設定登録されたものである。
3 登録第5311903号商標(以下「引用商標3」という。)は、「WARAWARA」の欧文字を標準文字で表してなり、平成21年8月25日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」及び第43類「飲食物の提供,飲食物の提供に関する指導・助言・情報の提供,会議のための施設の提供,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与」を指定商品及び指定役務として、同22年3月26日に設定登録されたものである。
なお、上記引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは、「引用商標」という。

第3 登録異議申立ての理由
1 商標法第4条第1項第15号該当性
引用商標は、申立人の商標として、周知著名性を有している(甲2?甲68)から、引用商標1及び2と社会通念上同一の表記である欧文字並びに引用商標3を要部とする本件商標がその指定商品に使用された場合は、商品の出所について混同を生ずるおそれがある(甲69?甲84)。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
2 商標法第4条第1項第19号該当性
引用商標は、申立人の商標として、周知著名性を有している(甲2?甲68)。本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)(甲73)のような大企業が、引用商標1及び2と社会通念上同一の表記である欧文字並びに引用商標3を要部とする本件商標を大規模に使用すれば、引用商標の出所表示機能の希釈化、名声毀損等の結果を招くのは自明の理であり、本件商標は、明らかに不正の目的をもって使用する商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号又は同第19号に違反してされたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。

第4 当審の判断
1 引用商標等の著名性について
(1)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる(なお、甲号証において、枝番号を有するもので、枝番号のすべてを引用する場合は、以下、枝番号の記載を省略する。)。
ア 申立人及びその営業に係る居酒屋「笑笑」について
申立人は、1983年(昭和58年)に設立され、「白木屋」、「魚民」、「笑笑」などの居酒屋を中心としたチェーン店を全国各地に展開する企業であり、平成24年7月末現在の総店舗数は1,931店舗(海外11店舗を含む。)にのぼり、日経MJ「飲食業2011年度ランキング」(平成24年5月30日)における「居酒屋業界 売上高ランキング」では1位、同「飲食業界 売上高ランキング」では6位、売上高は約1,475億2,500万円であった(甲9)。また、「最新業界地図 2013年版」(発行 成美堂出版)の「113 外食(家族・グループ向け) 居酒屋」で1位との記載、「会社四季報 業界地図2013年版」(発行 東洋経済新報社)の「118 外食[ファミレス、居酒屋など]居酒屋」で「未上場ながらも国内居酒屋最大手。」との記載、「2013年版 図解革命! 業界地図 最新ダイジェスト」(発行 高橋書店)の「外食(…) 居酒屋」で1位との記載がある(甲10)。
申立人は、その営業の中核といえる居酒屋の一つとして、「笑笑」の1号店を、平成11年1月25日に、東京の新橋レンガ通りにオープンし(甲11、甲14の1?4)、それ以降、全国各地の繁華街に多数の「笑笑」(「わらわら」店舗を含む。)店舗をオープンし、平成25年2月22日時点で、353店舗の営業を行っている(甲11)。
イ 居酒屋「笑笑」に関する引用商標等の表示
(ア)店舗が入居する建物の内外に設置された看板
建物の壁面などに取り付けられた看板は、1店舗につき、大小複数の看板が掲げられ、これらは、以下に示す構成であって、d「居楽屋/わらわら」を除くほとんどが、赤色を背景に白抜きの特徴ある筆書風の同一書体により「笑笑」と表示されている(甲14)。
a 「居楽屋/笑笑/わらわら」
別掲2のように、「居楽屋」の文字、それより大きな筆書風の「笑笑」の文字及び「笑」の各文字に近接してふりがなのように小さく「わら」の文字が表示されている(以下「使用商標1」という。)
b 「新しいタイプの居酒屋/居楽屋/笑笑/わらわら」
「新しいタイプの居酒屋」及び「居楽屋」の文字、これらより大きな筆書風「笑笑」の文字及び「笑」「笑」の各文字に近接してふりがなのように小さく「わら」の文字が表示されている(なお、「居楽屋」の文字がないものもある。)。
c 「笑笑/わらわら」
筆書風「笑笑」の各文字には、それぞれ「わら」の文字がふりがなのように小さく付されている。
d 「居楽屋/わらわら」
別掲3のように、「居楽屋」の文字、それより大きな特徴ある筆書き風の「わらわら」の文字が表示されている(以下「使用商標2」という。)。当該看板は、白色と中央付近にある淡い黄色の円状図形を背景とし、各文字は、黒色で表示されており、上記a?cの看板に比べ、その数はかなり少ない。
(イ)メニュー
「笑笑」の店舗内で使用するメニュー(平成14年:甲15の2?4)には、各頁に、別掲4の構成よりなる商標(甲6、以下「使用商標3」という。)の紺色背景のものが表示されているほか、「warawara」、「WARA/WARA」(二段併記)又は「WARAWARA」の文字が表示されている。また、平成16年から同24年まで使用したメニュー(甲29の1?6)にも、使用商標2や使用商標3が表示されているほか、「warawara」、「WARAWARA」、「笑笑」、「居楽屋/笑笑/WARAWARA」(「居楽屋」及び「WARAWARA」の各文字は小さく表示されている。)などの文字が表示されている。
(ウ)食器、灰皿、おしぼり、箸袋等
「笑笑」の店舗内で使用する食器、灰皿には、「WARAWARA」、「Wara Wara」又は「笑笑」の文字が表示され、その他、おしぼり、箸袋、コースター、マット、のれん、土産袋、ボトル、自動ドアの扉には、使用商標1又は使用商標3などが表示され、また、従業員の制服や名札、販促用コートにも「笑笑」の文字をありふれた楕円輪郭で囲ったものや使用商標3などが表示されている。ただし、マット(甲24)以外の「笑笑」の文字が表示された上記物品の使用時期は、2004年(平成16年)9月30日までであり、現在使用中とされる食器に表示された「WARAWARA」の文字は、デザイン化が施され、明確に認識できる態様ではなく、また、同様に食器に表示された「Wara Wara」の文字は、その表示が小さく、拡大しなければ認識できないものも少なくない(甲19?甲28、甲30?甲32)。
(エ)チラシ等
平成12年から同24年までに頒布された新聞折込チラシ(甲17)には、すべてのチラシに使用商標3が表示されているほか、欧文字「warawara」「WARAWARA」「WARA-WARA」や漢字「笑笑」及び使用商標2などが表示されているものもある。
また、同じく広告として頒布されたポケットティッシュには、主として使用商標1が表示され、欧文字「WARAWARA」の表示はない(甲16の2、甲18)。
(オ)その他の広告物への表示
申立人は、平成23年7月15日から、スマートフォン対応の「(株)モンテローザ公式アプリ」の提供を開始し、申立人の店舗検索や、「笑笑」などのクーポン情報やメニュー情報などを提供すると共に、使用商標3を表示した(甲39、甲40、甲42)。その他、インターネット、ソーシャルネットワーク、テレビ放送、電車内及び駅構内の電子掲示板等の通信手段を利用した広告において、引用商標1や使用商標1及び3を表示した(甲43?甲51)。
ウ 居酒屋「笑笑」の売上高等
「大手居酒屋企業の各社主要3ブランドの動向調査(1999年度?2008年度)」(株式会社帝国データバンク:甲52)によれば、「笑笑」の売上高は、1999年度(平成11年度)は46億3,400万円であったが、2005年度(平成17年度)は380億6,000万円に達し、2008年度(平成20年度)は約345億9,600万円であった。また、同調査の市場における各社主要ブランドのシェアにおいて、「笑笑」は、1999年度(平成11年度)は0.36%で7位であったが、2006年度(平成18年度)は3.44%を占めて1位となり、その後、2008年度(平成20年度)まで1位を維持している。
さらに、平成11年7月から同25年3月までの「笑笑」店舗全体の総売上高は、約4,134億円であり、総来店客数は約1億6,800万人となっている(甲53)。また、2002年(平成14年)7月から2009年(平成21年)9月までの「笑笑」店舗全体の月ごとの来店客数は、2008年(平成20年)と2009年(平成21年)のそれぞれの2月を除き、いずれも100万人を超えるものであり、その後も、毎月100万人を越える又は100万人近くの来店客数があった(甲53)。
エ 居酒屋「笑笑」の新聞、雑誌等への掲載
居酒屋「笑笑」は、本件商標の登録出願日までに、新聞、テレビ、雑誌、インターネット、書籍等でしばしば取り上げられ、紹介されていた。特に、「笑笑」の店舗内で提供されるメニューに関し、他企業とのコラボレーションによって作り出されたものであるとか、女性客をターゲットにしたサービスについて「女子会」なる言葉を使用し、該「女子会」の語が平成22年の流行語に選出されたなどといった記事が、多数の新聞、雑誌等に掲載された(甲56?甲63)。
オ 海外における模倣等
海外、特に韓国や中国などにおいては、引用商標を模倣した飲食店の営業や、「笑笑」の文字が先取り的に登録されるケースがあった(甲64及び甲65)。
カ 公的機関による引用商標等の周知性獲得の証明
引用商標1あるいは使用商標3に関し、東京商工会議所、独立行政法人日本貿易振興機構ソウル事務所、経済産業省製造産業局模倣品対策・通商室は、知名度が高いブランドであるなどと証明した(甲66?甲68)。
(2)上記(1)認定のとおり、申立人の営業に係る居酒屋「笑笑」は、平成11年1月に東京新橋のレンガ通りに1号店が開店され、それ以降、本件商標の登録出願日までに、全国各地の繁華街に多数の店舗が開店され、本件商標の登録査定(平成25年3月13日)直前の同年2月25日時には353店舗が営業されていたこと、「笑笑」の店舗の壁面等には、主として、特徴ある筆書風の「笑笑」の文字を大きく表し、これらの文字に、それぞれ「わら」の文字を小さくふりがなのように付した大小複数の看板が設置され、これらの看板のほとんどは、赤色の地に各文字を白抜きで表したものであること、店舗内で顧客が使用するおしぼり、メニュー、食器、箸袋等をはじめ、店舗に設置された自動ドアの扉、マットなどには、使用商標3が多く使用されていた、あるいは使用されていること、広告として頒布される新聞折込チラシやポケットティッシュには、使用商標1及び3が多く使用されていること、申立人は、インターネット、ソーシャルネットワーク、テレビ放送、電車内及び駅構内の電子掲示板等の通信手段を介して居酒屋「笑笑」の広告を行い、その際には、上記店舗等への表示と同態様の「笑笑」の文字よりなる商標並びに使用商標1及び3が多く使用されていたこと、平成14年7月から同21年9月まで(平成20年と同21年の各2月を除く。)の全国の「笑笑」店舗全体の月ごとの来店客数は、いずれも100万人を超えるものであったこと、全国の「笑笑」店舗全体の売上高は、平成17年度には約380億6,000万円に達し、平成20年度には約345億9,600万円であったこと、さらに、大手居酒屋企業の市場における主要3ブランドのシェアにおいて、「笑笑」は、平成20年度には第1位であったこと、居酒屋「笑笑」は、本件商標の登録出願日(平成24年11月5日)までに、新聞、テレビ、雑誌、インターネット、書籍等でしばしば取り上げられ、紹介されていたこと等の事実を総合すると、申立人の営業する居酒屋「笑笑」は、本件商標の登録出願日には既に、我が国の飲食物の提供の分野の需要者の間に広く知られていたと認め得るところである。
そうすると、当該居酒屋において、主として使用されている特徴ある筆書風の「笑笑」の漢字とその読みを表し一部店舗の名称にも使用されている「わらわら」の平仮名よりなる商標並びに引用商標1及び引用商標2は、本件商標の登録出願及び登録査定の時点において、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、我が国の飲食物の提供の分野の需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。
他方、「WARAWARA」の欧文字は、店舗内で使用されるメニューや店舗外で頒布される新聞折込チラシの一部に使用されてはいるものの、その使用度合いは少ないものであることからすると、欧文字からなる引用商標3は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、その需要者の間に広く認識されていたと認めることは困難であるといわざるを得ない。

2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標等の著名性
上記1(2)認定のとおり、使用商標1ないし3並びに引用商標1及び2(これらをまとめていうときは、以下「笑笑(わらわら)商標」という。)は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、我が国の飲食物の提供の分野の需要者の間に広く認識されていたものである。
一方、「WARAWARA」の欧文字からなる引用商標3は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、その需要者の間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
(2)本件商標と笑笑(わらわら)商標の類似性
ア 本件商標は、前記第1のとおり、「WaraWara Plaza」の文字を標準文字で表してなるところ、それぞれの文字は外観上まとまりよく一体的に表されており、その構成文字に相応して生ずる「ワラワラプラザ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、観念については、「WaraWara」を平仮名で表した「わらわら」の文字が、「散りみだれるさま。ばらばら。」(甲8:広辞苑)あるいは「多くの人が群れ集ったり、群衆がばらばらと散っていったりするさま。破れ乱れたさま。ばらばら。」(デジタル大辞泉:(コトバンク)http://kotobank.jp/word/わらわら)の意味を、「Plaza」の文字が、「プラザ【plaza】」の見出しで辞書に掲載され、「街中で人が多く集まる広場。「ショッピング‐?」の意味(甲79の1:広辞苑)や「広場。市場。『ショッピング‐?』」(甲79の2:大辞林)の意味をそれぞれ有するものであることからすると、本件商標は、「多くの人が群れ集う広場や市場」程の意味合いを生ずるものである。
そうとすれば、本件商標は、構成全体をもって一体のものとして認識し把握されるといえるものであり、これよりは、「ワラワラプラザ」の称呼のみを生じ、「多くの人が群れ集う広場や市場」程の観念を生ずるものであって、殊更、「WaraWara」と「Plaza」に分離して把握されるとする事情は見いだせない。
イ 引用商標1は、「笑笑」の文字を横書きしてなるものであるところ、該文字は、「ワラワラ」と読まれ、本件商標の登録出願時には既に、我が国の飲食物の提供の分野の需要者の間に広く認識されていた商標であるから、これより「ワラワラ」の称呼を生ずるものである。そして、観念については、「笑う」などを意味する「笑」の文字を2つ並べた造語として看取され、申立人の営業に係る居酒屋を直ちに想起させるものといえる。
引用商標2は、「わらわら」の文字を標準文字により表してなるものであるから、その構成文字に相応して、「ワラワラ」の称呼を生ずるものである。そして、観念については、「散りみだれるさま。ばらばら。多くの人が群れ集ったり、群衆がばらばらと散っていったりするさま。」の意味合いを生ずるほか、上記1(2)認定のとおり我が国の飲食物の提供の分野においては、「笑笑」の読みを表すものとして、広く認識されているものであることから、申立人の営業に係る居酒屋を直ちに想起させるものといえる。
さらに、使用商標1ないし3は、その構成中の「笑笑」の文字及び「わらわら」の文字より「ワラワラ」の称呼を生じ、申立人の営業に係る居酒屋を直ちに想起させるものといえる。
ウ 本件商標と笑笑(わらわら)商標の類否
本件商標と笑笑(わらわら)商標の類否について上記ア及びイを踏まえて検討するに、両商標は、その外観において構成文字(数)を異にし、相紛れるおそれはない。
また、本件商標から生ずる「ワラワラプラザ」の称呼と笑笑(わらわら)商標から生ずる「ワラワラ」の称呼は、「プラザ」の音の有無に差異を有し、構成音数を異にするから、称呼において相紛れるおそれはない。さらに、本件商標は、「多くの人が群れ集う広場や市場」程の観念を生ずるのに対し、笑笑(わらわら)商標は、申立人の営業に係る居酒屋を直ちに想起させるものである(引用商標2は、このほか「散りみだれるさま。ばらばら。多くの人が群れ集ったり、群衆がばらばらと散っていったりするさま。」の観念も生ずる。)から、観念において相違し、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と笑笑(わらわら)商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはなく、類似の商標ということはできない。
(3)「笑笑」の文字からなる商標(引用商標1,使用商標1及び3)の独創性
「笑笑」の文字は、「笑う」を意味する「笑」の文字を2つ並べた造語であり、さらに、それを「わらわら」と読ませる点において、独創性が高いといえるものである。
(4)本件商標の指定商品と笑笑(わらわら)商標が使用される役務の需要者並びにそれら指定商品と役務との関連性
本件商標は、第9類に属する別掲1のとおりの商品を指定商品とするところ、これらの指定商品は、電子応用機械器具及びその部品(コンピュータソフトウエア、各種プログラムを記録させた記録媒体等)、電気通信機械器具、業務用、家庭用及び携帯用液晶画面のゲーム機用のプログラムを記憶させた記録媒体等を中心とするものであり、これらの需要者には、一般消費者が含まれるといえる。また、笑笑(わらわら)商標が使用される飲食物の提供の需要者も一般消費者である。
そうすると、本件商標の指定商品の需要者は、笑笑(わらわら)商標が使用される飲食物の提供の需要者と共通する場合が多いであろうことは否定できない。
しかし、もとより本件商標の指定商品と笑笑(わらわら)商標が使用される飲食物の提供とは、全く別個の産業分野に属するものであって、商品ないし役務の用途・目的において大きく異なるばかりか、取引の対象・形態、流通経路、販売又は提供場所等においても何ら共通性が見いだせない。
さらに、両者は、同一の事業者によって行われる蓋然性が極めて低いから、社会通念に照らしても、およそ同一の事業者より流出した商品又は役務であると認識されるものとはいえないため、両者の関連性は極めて低いものである。
この点に関し、申立人は、営業に係る店舗の管理等のため、電子応用機械器具等の分野に属する販売処理装置・管理システムの開発を行い、特許出願をして権利化を図っていること、各店舗内のテーブルにタッチパネル式の注文端末を備え付け、当該端末を用いて注文の受付及び自己又は他人の広告を行っていること、異業種の業者とのコラボレーションを行っていること、各種動画サイト等により宣伝広告やゲームの提供、放送等を行っていること等から、笑笑(わらわら)商標が使用される商品及び役務は、本件商標の指定商品と密接な関係があり、本件商標をその指定商品について使用すれば、申立人の提供する商品であると誤認し、出所混同を生ずるおそれがある旨主張する。
しかし、申立人が他社と共同で販売処理装置・管理システム等の開発を行いその特許を取得することが、本件商標の指定商品中の電子応用機械器具等と直接的にいかなる関連性を有するのかは明確でなく、上記特許を取得した製品について、申立人が事業主体となって市場において取引の対象としている事実を明らかにする証拠の提出もない。そもそも商標法上の商品とは、一般の流通市場において取引の対象となり得るような流通性を有するものをいうと解され、また、商標法上でいう役務とは、他人のためにする労務又は便益であって、独立して商取引の目的たり得るものをいうと解されるところ、上記申立人の主張する商品及び役務等が、これらに該当すると認めるに足りる証拠の提出はない。加えて、申立人が、上記申立人の主張する商品及び役務の事業主体として商品を取扱い又は役務を提供すると推認させるに足りる的確な証拠の提出もない。したがって、上記に関する申立人の主張は採用することができない。
(5)出所の混同
以上のとおり、笑笑(わらわら)商標は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願時には既に、「飲食物の提供」の分野の需要者である一般消費者の間に広く認識されていたといえるが、本件商標の指定商品と笑笑(わらわら)商標が使用される「飲食物の提供」とは、関連性が極めて低いものであり、また、本件商標と笑笑(わらわら)商標とは類似しないものであるから、笑笑(わらわら)商標が、申立人の業務に係る役務を表示するものとして、本件商標の指定商品の需要者の間に広く知られているとしても、本件商標に接する需要者が、申立人の業務に係る笑笑(わらわら)商標を想起又は連想することはないというのが相当である。
してみると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その需要者をして、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできない。
(6)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第19号該当性について
(1)引用商標等の周知著名性
上記1(2)認定のとおり、笑笑(わらわら)商標は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願時には既に、「飲食物の提供」の分野の需要者である一般消費者の間に広く認識されていたといえる。 一方、「WARAWARA」の欧文字からなる引用商標3は、申立人の業務に係る役務「飲食物の提供」を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、その需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。
(2)本件商標と笑笑(わらわら)商標及び引用商標3との類否
ア 本件商標と笑笑(わらわら)商標との類否
本件商標と笑笑(わらわら)商標は、上記2(2)認定のとおり、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはなく、類似の商標ということはできない。
イ 本件商標と引用商標3との類否
本件商標「WaraWara Plaza」は、上記2(2)アのとおり、「ワラワラプラザ」の称呼を生じ、「多くの人が群れ集う広場や市場」程の観念を生ずる。
他方、引用商標3は、「WARAWARA」の欧文字よりなるところ、これは、「散りみだれるさま。ばらばら。多くの人が群れ集ったり、群衆がばらばらと散っていったりするさま。」の意味である「わらわら」の語のローマ字表記といえるものであるから、上記意味合いを生じ、構成文字に相応して「ワラワラ」の称呼を生ずる。
そこで、本件商標と引用商標3の類否について検討するに、両商標は、外観において大きく異なり、相紛れるおそれはない。また、本件商標から生ずる「ワラワラプラザ」の称呼と引用商標3から生ずる「ワラワラ」の称呼は、「プラザ」の音の有無に差異を有し、構成音数を異にするから、称呼において相紛れるおそれはない。さらに、本件商標は、「多くの人が群れ集う広場や市場」程の観念を生ずるのに対し、引用商標3は、「散りみだれるさま。ばらばら。多くの人が群れ集ったり、群衆がばらばらと散っていったりするさま。」の観念を生ずるから、観念において相違し、相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標3は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれはなく、類似の商標ということはできない。
ウ 以上のとおり、本件商標と笑笑(わらわら)商標及び引用商標3は、非類似の商標である。
(3)不正の目的
本件商標は、笑笑(わらわら)商標が使用される「飲食物の提供」とは、関連性が極めて低い商品の分野において使用されるものであること、及び本件商標と笑笑(わらわら)商標及び引用商標3とは非類似の商標であることを併せ考慮すると、本件商標権者が、笑笑(わらわら)商標の著名性にただ乗り(フリーライド)することを意図して登録出願し、本件商標をその指定商品について使用することにより、不正の利益を得ようとする意図があったということはできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用をする商標と認めることはできない。
(4)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 (本件商標の指定商品)
第9類「インターネット又はその他の通信ネットワークを介して電子媒体又は情報をアップロード・投稿・提示・展示・タグ付け・ブログ作成・共有利用・その他提供することを可能にするためのコンピュータソフトウェア,ソーシャルネットワーキング用コンピュータソフトウエア,家庭用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・磁気テープ・ROMカード・ROMカートリッジ・CD-ROM・DVD-ROM,家庭用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた記憶媒体,携帯用液晶画面ゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・磁気テープ・ROMカード・ROMカートリッジ・CD-ROM・DVD-ROM,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた記憶媒体,業務用テレビゲーム機用プログラム,業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・磁気テープ・ROMカード・ROMカートリッジ・CD-ROM・DVD-ROM,業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた記憶媒体,ダウンロードもしくはインストール可能な家庭用テレビゲーム機用プログラム及び追加データ,ダウンロードもしくはインストール可能な業務用テレビゲーム機用プログラム及び追加データ,ダウンロードもしくはインストール可能な携帯用液晶画面ゲーム機用プログラム及び追加データ,ダウンロードもしくはインストール可能な電子計算機用プログラム及び追加データ,電子計算機,電子計算機用プログラム,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・磁気テープ・ROMカード・ROMカートリッジ・CD-ROM・DVD-ROM,電子計算機用のプログラムを記憶させた記憶媒体,携帯電話機用ゲームプログラム,電子応用機械器具及びその部品,携帯電話機,携帯電話機の部品及び附属品,携帯電話機用ストラップ,電気通信機械器具,録音済みのコンパクトディスク,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」

別掲2(使用商標1の一例)(色彩については原本参照)


別掲3(使用商標2の一例)(色彩については原本参照)


別掲4(使用商標3の一例)(色彩については原本参照)



異議決定日 2014-02-10 
出願番号 商願2012-89431(T2012-89431) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W09)
T 1 651・ 222- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 大森 健司
村上 照美
登録日 2013-05-02 
登録番号 商標登録第5579174号(T5579174) 
権利者 任天堂株式会社
商標の称呼 ワラワラプラザ 
代理人 竹内 耕三 
代理人 市橋 俊一郎 
代理人 中畑 孝 
代理人 深見 久郎 
代理人 森田 俊雄 
代理人 玉井 信人 
代理人 三田 大智 
代理人 小山 智弘 

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